2020年4月30日木曜日

新型コロナウイルスの症状

内科学会シンポジウム(4/12)より

横浜市は、5月初めからドライブスルー方式の新型コロナウイルスに対するPCR検査を開始する予定という報道がありました。医師会が協力することになるのは必至ですが、(内科でないためなのか?)今のところ特に話は何も聞いていません。

以前の新型インフルエンザの時には、都筑区では区役所と医師会が合同でパンデミックとなった場合を想定した科に関係ない緊急時訓練がありましたが、実際のパンデミックが起こっている現在では、何の動きもここまで無いのは不思議です。

それはさておき、ドライブスルーにせよ検査体制を拡充すると、どういう人が検査を受けに行くべきが、より明解になっていないと人が押し寄せて混乱するだけ。

厚生労働省が、自宅待機中に亡くなった事例が出てきたことで、在宅で注意すべき緊急性の高い症状をまとめました(ただし、厚生労働省のHPでどこに掲載されているのか探せませんでした)。

ただし、これは肺炎のような重症化した場合の話で大事ではありますが、大多数の不安を感じている人にはあてはまりません。

上のグラフは中国の報告ですが、真ん中がICU管理になった重症者、右側が軽症者の症状をまとめた物です。

重症度の違いで、呼吸困難と食欲不振以外には大きな差はありません。コロナウイルスは通常のカゼの原因ウイルスですから、ほとんどの自覚症状は特異的なものはありません。

有名人の話から、日本では味覚・嗅覚の異常も言われるようになりましたが、これも特異的とは云い難い。

少なくとも、インフルエンザでは圧倒的に咽頭痛が多くなり、消化器症状はほとんどありませんので、インフルエンザよりも全身への影響がありそうに思います。

発熱だけはほぼ全例で見られるようですから、明らかに数日以上発熱が続く場合は要注意となります。

4月22日に新型コロナウイルス感染症対策専門家会議から厚生労働省へ、感染拡大を受けての最新の提言が行われています。以下はその中での、対応の仕方の案ですが、横浜市を含め各地で実際にもこれに従った検査体制が動き始めています。


正直な感想としては、新型コロナウイルス感染症対策専門家会議もクラスター潰しに固執し過ぎて(あるいは政府の経済温存?の意向に沿い過ぎ)、状況変化に即応する力が落ちているのではないかと疑問を持ちます。これは本来、緊急事態宣言がなされた時点で行われるべきだったのではないかと思います。

とりあえず、帰国者・接触者相談センター(そもそも名称が限定的)のみのチャンネルが拡大され、少なくとも医師が疑いと判断した人は全員検査できるような体制を構築することが勧められています。

基本的な疑い例の考え方には変更はありません。風邪症状や37.5゜以上の発熱が、4日以上継続する場合、および3日以内でも緊急性高いとされる症状が出現した場合には、検査の対象になる可能性があります。

5月以降、各地でコロナ検査センターが開設されれば、より安心が得られやすくなるかもしれません。ただし、医療機関への受診については、発熱外来を設置しているか、感染症に対応できる病院・クリニックに限られることに注意してください。

2020年4月29日水曜日

新型コロナウイルスと免疫


コロナウイルスに感染した場合、通年性のものでは普通の「かぜ」症状を発症します。発熱、咽頭痛、鼻汁、鼻閉、咳、痰などの一般的な上気道の炎症症状で、大多数は1週間程度で回復します。

新型コロナウイルス(COVID-19)の場合には、どうしても急速に重症化する肺炎が命に関わるため注目されます。しかし、今までの集積されたデータからは、感染しても無症状の方、あるいは軽微な症状で推移する方が大多数であることは間違いありません。

通常の免疫力を持っているならば、人は体内に侵入した病原体(抗原)を攻撃する抗体を作り排除する力を持っています。

一度作られた抗体は、はしかや水疱瘡では一生効果が続く(終生免疫)ことになります。しかし、インフルエンザのように数カ月程度しか持続しないものも、ヘルペスのようにほとんど抗体が成立しないものもあります。

通常のコロナウイルスでは、終生免疫は得られていません。感染後にその痕跡として抗体が検出できますが、徐々に減少すると言われています。おそらく、COVID-19についても同様の経過を取ると想像できます。

基本的なワクチンの原理は、病原性を弱めた病原体を接種することで免疫を獲得して、感染しても発症しないようにするということ。一般的なインフルエンザ・ウイルスのワクチンは年始めにその年に流行するウイルスの型を予想して、それにあったウイルス株を専用の受精鶏卵に接種して培養した後不活化し、ワクチンとして流通するのは秋です。

つまり培養株がすでに用意されていても、ワクチンが使えるようになるのには最低半年はかかるということ。効果的な培養株を一から用意しないといけないCOVID-19の場合は、どんなに早くてもワクチンが登場するのには、普通に考えて1年程度は必要です。

一方、集団免疫という考え方があります。これは、集団で免疫を獲得して乗り切るのではなく、免疫力を獲得した人が増えれば、他人に移さなくなり感染が終息に向かうというもの。COVID-19でも、70%程度の人が感染し免疫を獲得できれば、一人の感染者が移すのは一人以下になり終息に向かうことが期待できます。

イギリス、ドイツは当初、集団免疫の効果を期待していましたが、COVID-19の場合は重症者の発生スピードが速すぎて、医療が追いつけない状況になり現実的に待てなくなりました。現在も集団免疫を期待して強力な封鎖などをしていないのはスウェーデン。実際、ウイルスの陽性率は下がり始めていて、もしかしたらうまくいくのかもしれません。

ただし、集団免疫が成功するかどうかは、それぞれの国の医療体制、そして何よりも一人一人の国民の高い意識によるところが大きい。また、スウェーデンは税金が高いことが有名ですが、それを基にした高度の社会福祉政策が基盤にあることが鍵になっています。

日本では、間違いなく医療技術は世界レベルで高いのですが、ベッド数や医療従事者の数は欧米よりも劣ると言わざるをえない。また、国民が一つの方向性に向けるだけの政府の対応がなされているとは云い難い現状では、集団免疫を待つ余裕は無いと思います。

2020年4月28日火曜日

新型コロナウイルスの実際の感染者数は?

日本内科学会シンポジウム(4/12)より

新型コロナウイルス(COVID-19)の感染症では、実際の臨床像は様々と言われています。

もともとコロナウイルス自体は、通常の風邪の原因として普通の物であり、たいていは1週間程度の上気道炎症状を起こします。COVID-19においても、大多数は無症状か軽症と言われています。

無症状については、当然どんなに厳密に調査してもその全体像はよくわかりません。アメリカでの無症状者に対して行われた抗体検査(感染した痕跡を確認できる)では、14%に陽性という数字が出ているようです。これは、PCR検査陽性者の10倍という驚くべき数字です。

中国での感染状況の報告では、確定患者のうち軽症者は80%。これはその他のデータでも似たような数字が出ていますから、全体像を考える上で基本となる数字と考えて差し支えなさそう。重症者は20%で、亡くなった方は2.3%でした。

医療崩壊が起こっているかの判断は、死亡する人が重篤者、重症者の中にで広がるかどうかが決め手になると考えられます。

つまり、人口密集地を中心に考えるなら1万人中1400人が感染し、そのうち140人が発症。さらに、その中の28人が重症化しているということになります。

これは爆発的な感染(オーバーシュート)が起こった場合の話ですから、現在の日本では最悪同じ程度になる可能性があると言えます。

日本では、昨日までに約350人が亡くなっています。当然、確定したものだけで、実際はもう少し増えるものと考えられますが、そこから類推すると発症者はすでに1万数千人。非常に絞り込んだPCR検査しかしていない、国内の実際の陽性者1万3千人とだいたい一致するのかもしれません。

ただし、まだ医療がなんとかギリギリで回っている日本の状況では、死亡率は低く抑えられていると考えられるので、実際の感染者数は陽性者数の数倍から10倍程度はあるのではないでしょうか。もちろん、死亡率にはどのような対策を行っているか国によって事情がかなり異なりますから、単純に比較できません。

不確実な数字しかありませんので、あまり考え込んでもしょうがないところがありますが、いずれにしてもまずは早く終息に転じることが最も重要なことに変わりません。

2020年4月27日月曜日

緊急事態はいつまで続くか


4月7日に緊急事態宣言が出された時は、ゴールデンウィーク明けの5月6日までの1か月間という期間が提示されていました。

正直、医療界の端くれにいる身としては、たかだか1か月でどうにかなるものではないと感じましたが、徹底的な人の動きが制御されれば、終息の目安ぐらいは付くかもしれない・・・

人の動きを強権的にストップさせる、本当の意味でのロックダウン(都市封鎖)を行ったヨーロッパでは、3月初めから急上昇した感染者数・死亡者数の増加の割合がやっと減り始めたところ。

ゴールデン・ウィークが目前に迫って来ると、日本ではどう楽観的に観ても何かが好転したと言える状況はほとんど無いと言わざるをえない。

もちろん、感染症から命を守ることは最優先されるべきなんですが、経済活動の停滞も長期化すれば命の問題に発展することになります。

すでに中小企業、店舗などでは倒産、閉店、従業員の解雇などが始まっていて、経営状況に余裕があるところでも、数カ月くらいしかもたないと想像します。

現在までに政府が行った国民生活に対する直接的援助は・・・アベノマスクだけ。それも中途半端で、結局、配布を中止して回収しているという状況。

とにかく、感染拡大をストップできる見込みが立たないことには、どうにもなりません。来年に延期されたオリンピックすら危ぶむ声も、あながち一蹴できない可能性があります。

もしも・・・というより、たぶん緊急事態は延長されるべきだと考えますが、少なくとも、強制力を行使できないのであれば、人々が自粛延長をしっかり納得できるだけの説得力のある説明と即時に実行される現実的な対策が求められるということです。

本物の危機が、政治家の真の力量を白日の下にさらけ出しました。

2020年4月26日日曜日

緊急事態宣言下の診療について 5


現在、通常の診療時間で診療を行っています。

ゴールデンウィーク前後についても、カレンダー通り(日曜日・祝祭日は休診)ですので、今週は4月29日(水曜日、昭和の日)が休診となります。

ただし、スタッフの感染防止、患者数減少のため出勤するスタッフは最小限としていますので、いろいろとご迷惑をおかけする場合があるかもしれませんのでご了承下さい。

来院される方は、できるだけクリニック内で常時マスクの着用をお願いします。マスク供給が確保されていないため、クリニックからマスクをお分けすることはできません。

また、トイレ内に手指消毒用のハンドソープ、消毒用アルコールを設置していますのでご利用ください。ただし、これらも、潤沢に使えるほど確保できない状況が続いていています。

関節リウマチ、痛風などで採血検査、あるいは点滴の治療を行っている方などは、できるだけ朝早い時間帯、または夕方以降の時間帯は避けていただければ幸いです。

現在の来院患者数では、ある程度院内でのいわゆる3密状態は避けることが可能です。入口ドアは開放とし、常時窓も開けて換気に努めています。受付では飛沫予防の仕切りを設置しました。待合室は、椅子を離して並べています。

ただし、診察については接近は避けられず、直接触れる場合が多々あります。処置などをする場合を除いて、お断りした上で、診察室のドアも開けたままにしています。

また、リハビリ室ではスタッフとの接触は回避できません。できるだけ頻回に、アルコールによる手指の消毒、次亜塩素酸ナトリウム希釈液による機器の清拭を行っています。

先週までの神奈川県内の新型コロナウイルス患者発生状況を、神奈川県の白地図に色分けして表示してみました。

横浜市と川崎市以外は人口に大きな差がありますので、色を変えてあります。色が濃い所ほど人数は多くなります。

横浜市の最多は青葉区の33人、川崎市では中原区の47人です。横浜市・川崎市以外では、最も多いのは藤沢市で56人。

疑い例を含めて、積極的なPCR検査が行われていないため、数字そのものの意味は薄れますが、だいたいの傾向はつかめるかも知れません。

多摩川によって隔離されているとはいえ、東京に近い方が感染者は多く確認されています。東急田園都市線、東急東横線、小田急江ノ島線、JR横浜線、相鉄線などの通勤に関係した沿線地域は、これらの数の何倍もの感染者がいることは想定すべきでしょう。

2020年4月25日土曜日

つねひごろ


周りをゆっくりと見渡す余裕が無くなって、テンションも下がり気味の毎日。

でも、人以外は普通に季節の営みを粛々と進行させているようです。

低木の街路樹の定番であるツツジ。自分の行動範囲では、かなり目に付くんですが、ほぼ満開という感じ。

いつもと変わらない日常を感じられ、ホッとする瞬間です。日常が続くと、ため息をつくのに勝手なものです。

二十四節気では「穀雨(こくう)」の真っ只中。穀物を育むための恵みの雨が地上に降り注ぐ時期。

七十二候では、「葭始生(あしはじめてしょうず)」が終わり、今日から「霜止出苗(しもやみてなえいずる)」、もう霜が降りることは無く、苗がすくすくと育ち田植えの準備が始まります。

もともと、日本人の日常というのは、時節を表すこれらの言葉の中にあるもの。人はより便利に生活するために、日常を変えてきました。

変えた日常の歪みはどこかに溜まっていて、チャンスがあれば一気に吐き出されるのかもしれません。

2020年4月24日金曜日

濃厚接触者

https://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/202004/CK2020042202000126.html

新型コロナウイルス感染問題で、しばしば登場する「濃厚接触者」という言葉。

クラスターと呼ばれる、いわゆる集団感染を防ぐためには、いかに感染者から別の人に感染が拡大していくのをストップできるかが重要。ところが、COVID-19については無症候性感染者の存在が悩ましい。

感染しているのに症状が無い人が5人いると、そのうち1人は他人に移していると言われていますが、症状が出ない人が間に入ると感染のリンクが途切れてしまいます。

リンクが不明の感染者が出現すると、新たなクラスター発生を防止するために、過去に戻ってその人が移したかもしれない人々を探すことになるわけですが、そういう疑いをかける必要があるのが濃厚接触者です。

当初の定義としては、発症日以降に2m以内(Social Distance)に接近した人としていましたが、4月20日に国立感染症研究所が「新型コロナウイルス感染症患者に対する積極的疫学調査実施要領」の中で、この定義を変更しました。

まず、発症前からうつす可能性を認め、時期としては発症前2日以内から隔離されるまで変更しています。距離については、直接手で触れることが可能な1m以内に15分間以上滞在し、適切な感染防護が無かった場合としています。

もちろん、発症者と同居する者、明らかに直接接触する者、汚染物を直接触れた者は無条件に濃厚接触者とされます。

当クリニックの場合、直接発熱者の診療は行っていませんが、現在のところ自分が感染していないと証明できませんし、受診した患者さんも同様です。受付から待合室については、濃厚接触を防止することは可能ですが、診察行為はどうしても接近せざるをえません。また、リハビリ室では、スタッフが直接に患者さんに触れる状況も回避不可能です。

標準的予防策(マスクの着用・手指のアルコール消毒)以外に、クリニック全体の換気、診察室は診察中でも可能な限り開放して換気を確保する、患者さんが使用したリハビリ機器・触れた部位などは毎回次亜塩素酸ナトリウム希釈液による清拭を行うなどを実施しています。

また、スタッフの人数は診療可能な最小に減らしていますが、体調不良のスタッフは、すぐに連絡をもらい自宅待機。1週間無症状を確認した後復帰してもらうことにしています。

来院される方は、できるだけマスクの着用をお願いします(クリニックからお渡しはしていません)。また、来院時にまず手洗いをしていただくことをおすすめします。トイレには、ハンドソープ、アルコール消毒液を用意しています。

感染しているのかどうか確認できない状況では、まだまだ対策としてはこれだけでは不十分かもしれませんが、今後もできることがあれば、努力して濃厚接触を防ぐしかありません。

2020年4月23日木曜日

緊急事態宣言2週間の評価

https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/

緊急事態宣言が発出してから2週間が経過しました。

専門家会議からは、人と人との接触を8割減らすという目標は達成できていないと報告されました。ただし、感染者数の鈍化が始まっているとの評価です。

確かに、日中の街中の人出は減ってはいますが、スーパーなどでは家族総出で来る人もいたりしますし、湘南海岸はまるで真夏のような状況だったりします。

それらを批判・否定するのは簡単ですが、強制力を持たないお願いレベルの外出制限の限界なのでしょうし、実現させるための対策が中途半端だということ。

感染者数の減少についても、基本的に全体像を把握している数字ではないので、鈍化してきたと言われても、素直に受け取ることはできません。

国内の新たな感染者発生数は宣言前より減っているのですが、検査数も鈍化している傾向で、この状況がどうしてなのかよくわからない。

日本ではある程度感染の影響は、重症者数・死亡者数で推察するしかない。ただし、これらの数字はリアルタイムの感染者数を反映しているとは限らないのですが、死亡者数については鈍化しているという雰囲気ではありません。

いずれにせよ、終わりは必ずあるはずですが、長期化は避けられそうもない。最近では、肉体的・精神的なアクティビティの低下が顕著になり始めているところがあります。

実際、診療をしていると、在宅で動かないことで腰痛、高齢者の転倒によるケガが増えています。外出しない分、少しでも体を動かしたいものです。

ただし、ゴールデンウィーク明けまであと2週間が鍵になりそうです。



2020年4月22日水曜日

感染防護服


感染から身を守る防護服の話。

現在普通に使われている防護服は、頭から足までを包み込む不織布で作られたもので、基本的に使い捨て。

感染症の処置に一度使えば、基本的に汚染された状態と判断し、別の人の処置には使えません。

今問題になっている新型コロナウイルスに対する使い方で、例えばドライブスルー方式の検査を行う場合、膨大な防護服が必要になります。使い捨てをせずに、連続で複数の人の検査を行えば、感染を広げる事態を招くかもしれない。

以前、新型インフルエンザの脅威が広がった時に、自分も緊急時対策の訓練に参加して防護服を着たことがあります。

普通の衣服と違って、着にくいのは当然ですが、マスク、フェイスガード、手袋などを装着する正しい手順がけっこう面倒くさい。慣れればたいしたことは無いとは思いますが、それでも切るのに10分近くはかかります。脱ぐ時も同様に手順が決まっていて、着る時ほどではありませんが、時間がかかります。

一人の対象者の検体を採取する作業をする場合、一件について着る・作業・脱ぐで20~30分はかかるんじゃないでしょうか。通常の保健所・保健センターでは、医師・看護師が数人しかいないので、連続的に作業しても、一日にできる検査数は最大でもせいぜい100人くらいだと思います。

検査数を増やす必要性は高まっていると思いますが、効率的に、かつ安全に行うための人的・物的、そして空間的な資源の問題は、簡単にはいかないのかなと想像します。

2020年4月21日火曜日

緊急事態宣言下の診療について 4


現在のところ、クリニックの診療時間には変更はありません。

ゴールデンウィーク前後も、カレンダー通りの予定です。カレンダーの赤い日は休診です。スタッフの勤務体制は、かなり縮小していますので、何かとご迷惑をおかけするかもしれませんがご了承ください。

さて、マスク不足・・・増産していると言っても、まったく手に入らない状況に変わりはありません。今日から話題になったシャープ製も販売が始まるようですが、たぶんオリンピックのチケット並みの確率で、なおかつかなり高額です。

感染経路が不明の市中感染が増えた現在では、自分が感染していないという保証がまったく無い状況。予防効果は期待できませんが、マイクの着用は重要な意味があります。

外来に来る多くの患者さんはマスクを着用していますが、見ていると本来使い捨てのマスクでも、だいぶ毛羽立っていて、何度も洗って再使用していると思われます。

クリニックの在庫も3月初めの時点で、普通に全員が毎日使用すると、4月一杯で無くなるくらいでした。しかし、勤務するスタッフを減らし、マスクの洗濯をすることにして倹約したので5月まではなんとかなりそうという感じ。

4月はじめ、横浜市、そして医師会を通じてマスクの配給がありました。ただし、22枚という数で、これっきりだったら焼け石に水。もちろん頂けるだけでもありがたいのですが、マスク不足の不安を解消できるわけではありません。

先週、追加で今度は各クリニックに100枚の配給がありました。だいぶまとまった数で、これで1か月くらいの余裕ができました。ありがとうございます。

消毒用アルコールについては、通常時の数倍の消費量で、3月はじめに納入されてからは、まったく出回っていません。在庫は4月一杯で底をつきそうな状況ですが、昨日、医師会を通じて購入できるという案内が来ました。

価格が高いらしい、希望通りの数が買えるとは限らない、どんな品か不明など不安要素も多いのですが、そんなことは言っていられない。

さすがに、いろいろなところで現実的な対策が回り始めた感じです。

2020年4月20日月曜日

ジャズとは? 2


ジャズと呼ばれる音楽の歴史をざっと眺めてみると、ニューオリンズで音楽の様式が出来上がった当初からアンダーグラウンド的な要素が付きまといました。それはシカゴ、ニューヨークに広がるにしたがって、発展の糧のとなったのは酒と薬であったことは、全部ではないにしてもかなり深い関係と言わざるをえない。

実際、巨人と呼ばれるような名だたるミュージシャンの多くが薬物中毒者であり、実際薬によって非業の死をとけだものも少なくはありません。

そういう意味で、る90年代以降ジャズに限らず、ポップス、ロックなどのすべてが、少なくとも外見上は太陽の下で楽しめるような健全な音楽に変容してきたことは、狭い意味での「ジャズの死」を意味しているのかもしれない。

今日、ジャズと典型的に呼べる音楽はほとんど無く、ジャズのような様式を利用しただけのものが生き残っているというと言い過ぎでしょうか。少なくとも1940~1990年までの半世紀の中で生まれた過去の音楽だけで、生き生きとしたジャズを十分すぎるほど楽しめるということになります。

こう書くと気がつくのは、実はこの期間は、まさにマイルス・デイビスの活躍した期間と一致するということ。マイルスは、亡くなってすでに30年になろうとしていますが、ジャズがジャズであった時代の象徴として、最も偉大なミュージシャンとして忘れることができない存在なのです。

マイルスの音楽だけで、主だった有名ミュージシャンが集まっていますから、ジャズを楽しむのに事足りるのですが、さすがにそれだけでは偏りが大きい。他にもマイルスと絡まなかった無視できない人は大勢います。

そこで、誰もが認めるジャズの巨人を選び出してみます。こういうことを考えた時に便利なアンチョコがあります。講談社から出た「ジャズ・ジャズ 5000」というもの。

実は、これは昭和52年発行。1977年で、43年前のもの。当時、ジャズ初心者の自分がリアルタイムに購入して、これを参考にレコード盤を買ったり、ジャズ喫茶でリクエストしたりしていたんです。

便利な時代になったもので、そんな古い書籍でも、Amazonで簡単に見つけ出して、比較的状態が良い物を手に入れることができました。この本の表紙はスタイリッシュで目を引くんですが、池田満寿夫が描いたもので、氏のジャズ関連の最初の仕事です。

マイルス・デイビスとジョン・コルトレーンの二人は別格扱いで詳細なディスコグラフィーが掲載されています。そして、この二人を含めて21人を重要なジャズ・ジャイアントとして選抜していますので列挙(アイウエオ順)してみます。

アルバート・アイラー
ルイ・アームストロング
デューク・エリントン
ディジー・ガレスピー
ジョン・コルトレーン
オーネット・コールマン
エルビン・ジョーンズ
マッコイ・タイナー
マイルス・デイビス
セシル・テイラー
エリック・ドルフィ
バド・パウエル
チャーリー・パーカー
クリフォード・ブラウン
コールマン・ホーキンス
ビリー・ホリデイ
チャーリー・ミンガス
セロニアス・モンク
マックス・ローチ
ソニー・ロリンズ
渡辺貞夫

もちろん、ここにあげられた人に文句のつけようがないのですが、当時でも何であの人が抜けてるのとか、今から考えれば70年代以降に活躍した、当時の若手はほとんど入っていないので、さすがにこれだけでは物足りません。

とは言っても、最低これくらいの名前を知らないとジャズは語れないということ。今の耳であらためて聴くと、駆け出しのリスナーの時とは違った音が聞こえてくるのが楽しかったりします。

2020年4月19日日曜日

医療崩壊と経営危機


あー、どうしてもこの話題から遠ざかることができない。

新型コロナウイルス・・・

1月末に、始めた中国の話が聞こえてきた時、よもや世界中の今の状況は誰も想像しませんでした。2月半ばからヨーロッパで感染者の増加に医療が追いつけず、そして3月に入ってアメリカも医療崩壊しました。

そして、3月末から始まった日本での感染者増加傾向は、いまだに歯止めがかかっていません。日本の緊急事態宣言の効果がどれほどなのかは、来週以降に現れてくると考えられています。

この感染症の怖さは、病原体の毒性そのものよりも、感染力・・・つまり、感染のしやすさ、感染の拡散の猛烈な速さにあります。それが医療崩壊という事態、ハード・ソフトの両面での医療供給を上回る状況を招くことが、最も恐れるべき事。

何かと発言が注目されるホリエモンこと堀江貴文氏も、この点については様々なツイートを発していますが、17日にはこんな発言が・・・

「医療崩壊が起きてるのはICUで、ほとんどの病院は3割減はザラで経営危機になっている。みんなが出歩かなくなって交通事故とかも減ってるようだ。これはこれで危機なんだよね。。」

氏の発言がどれでも賛同できるわけではないのですが、これはこれで、だいたい正しい見方。最も恐れる直接的な医療崩壊は、感染症医療であり、ICUのような高度な医療により救命を担う現場が患者数の増加に対応できない状況。

ただし、ICUというのは病院機能のごく一部であって、拡大して考えると急性期病棟全体にしわ寄せがくることは明白。不十分な装備供給のもとで病院での検査を増やせば、院内感染の拡大は必ず起こりうる。今のところ集団感染が発生した医療機関は閉鎖するしかないので、物的・人的な医療資源が凍結されてしまいます。

検査が極端に限られて全体像が把握できない状況では、最も効果的な戦い方の作戦が不明のまま。医療崩壊を防ぐためには、検査をしない方が良い、した方が良いという正反対のジレンマを抱えています。

しかし、クリニック・レベルでも、感染症に関係しやすい内科・小児科・耳鼻科などでは、感染したら終わりという状況下で病院以上に医療従事者が自らを防護する物資不足に直面しています。

これも医療崩壊の一種であることは間違いない。病院とクリニックの機能分化が進んでいますから、新型コロナウイルス感染症以外の通常の医療の提供に支障がでれば、通院を要する多くの人々に影響がでます。

自分の場合は、クリニックの医者ですし、リウマチ科・整形外科ですから、今のところ直接的に感染症診療にあたるわけではありません。それでも、感染症対策のプレッシャーは少なからずあります。そして、堀江氏が言うように、2月以降に来院患者数減少は顕著になっており、まさに「経営危機」と言いたくなる状況。

一般のお店と同じで、休診した場合でもテナント料、リース料、各種医療機器のメンテナンス料などは発生します。診療を続けた場合は、人件費、薬品・医療材料などの購入費などが発生する。どちらを選んでも、経営的には厳しいのは変わりない。

何にしても、医療を提供する側としては、緊急事態宣言が出される状況を重く受け止めつつ診療を続けるしかない。楽観的に考えても、あと数カ月は続くでしょうから、人もそうですがクリニックの体力も落とさないようにするしかありません。

2020年4月18日土曜日

アルコールが無い


医療物資不足は、深刻化に拍車がかかっています。

もちろんマスクは無いわけですが、マスクについてはいろいろな代替手段も無いわけではない。また、使い捨てと言っても、洗濯できるので複数回は使えないわけではありません(推奨はされませんが)。

感染症を診察しないといけない現場では、防護服が無い。大阪府は「雨合羽」の提供を呼びかけ始めました。後を追うように、国も雨合羽での代用を認める通知を出しました。

海外では、それもこともあろうに医療先進国アメリカのニューヨークでは、ゴミ袋で身を守る医療関係者の姿を報道していました。医療に携わる者としては、大変ショッキングでした。

それでも知恵を絞って代用品が見つかる物はまだましで、消毒液不足はどうにもならない。一般的な消毒液は細菌には有効でも、ウイルスには無効です。必要なのはアルコール。

アルコールは、新型コロナウイルスのタンパク質と脂質からなる被膜(エンベロープ)を溶解することで不活化します。一般的な消毒用エタノールは、75~85%程度の濃度で、これより低いか高いと消毒効果が薄れてしまいます。

家庭用のアルコール入り除菌液は、たいてい濃度が低くて効果については不十分。無いよりはましかもというところ。強アルコールの酒の代表でウォッカがありますが、濃度が高くても50%。

酒造メーカーが77%の焼酎を作って売り出しましたが、これなら効果は期待でき、公的にも代用として認めるような話がでています。ただし、さすがにこれは家庭用の話であって、(今の段階では)医療機関で使うわけにはいかない。

最近のニュースでは、経済産業省から台所・住宅用洗剤の材料である界面活性剤、次亜塩素酸水、第4級アンモニウム塩が効果ありとのこと。これから試験して確認するらしい。ただし、医療の現場で使えるかどうかは何とも言えません。

クリニックでは、消毒用エタノールは3月はじめに納入されたのが最後で、その後の注文は1か月近くたちますが納期不明のまま。この状況が続いて消費していくと、在庫は1か月程度で底をつく感じです。

アルコールが欲しい!! アル中じゃなくても叫びたくなりますね。

2020年4月17日金曜日

緊急事態宣言地域を拡大

https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/

昨日、政府から緊急事態宣言の地域を全国に拡大する発表があり、首相が記者会見しました。先週、最初の宣言発令時には、2週間は様子を見るという言い方をしていましたが1週間で見直しを迫られた結果です。

ある意味、いかに政府の見通しが甘いかということで、ここに来ても後手後手の対策を取り続けていることを再び露呈したということ。経済活動は確かに重要ですが、口では医療崩壊を防ぐと言いつつも、重きを置く視点のずれは如何ともしがたい。

3月末から新規感染者数の増加が顕著となった国内では、先週をピークにやや増加傾向が鈍った感があります。ただし、PCR検査数の少なさは相変わらずで、それを実態と考える人はいないでしょう。

緊急事態宣言の効果があるならば、来週から感染者数、発症者数、死亡者数などの減少傾向があるかもしれませんが、実際のところ人と人との接触を8割減らすというのは今の状況では実現できていないのは明白なので、数カ月で終息ということはほぼ期待できない。

ゴールデンウィークを含む、この後の3週間をどれだけ外出せずに耐え忍ぶかが鍵。予防対策を言葉通りに実行できれば、通常のインフルエンザ並みの扱いが可能になるかもしれません。

ただし、まだ日本の死亡者数が対人口比で考えるなら世界的に少ない事は救いです。日本の医療技術は世界的にも先進国と言え、まだぎりぎり機能しているわけですが、医療のキャパシティは欧米よりも低いと言わざるをえない。

新型コロナウイルスは単発の発生であれば、それほど怖い感染症ではないかもしれません。ただし、確実な治療法はありません。不安を煽るつもりはありませんが、まだまだ危機感が少ないと感じる状況があり、一番恐れるのはパンデミックによる医療崩壊です。

2020年4月16日木曜日

緊急事態宣言下の診療について 3


新型コロナウイルス感染拡大による政府の緊急事態宣言が発出されて、丸1週間が経過しました。

当院の診療は、引き続き通常の診療時間で行っています。

まだまだ寒さを感じることがありますが、ときどき換気のため窓を開けますのでご了承ください。また、診察内容によっては、診察室のドアも開けたままにする場合があります。

追加した予防対策が一つあります。

実は、近隣の老人施設でもスタッフの中から感染者が認められており、自分から動けない高齢者の場合は感染が命取りになりかねません。

ウイルスを広げないために、施設からの高齢受診者の方については、介助者を含めて受付前で待機していただき待合室の利用は避けていただくことにしました。受付前から、待合室を通らずに診察室に誘導いたします。

実は横浜市の公表する情報はあまりにも貧弱で、感染者の分布状況はほとんどわからない。近隣の感染状況は、ほとんど口コミでしか把握できません。

どこに感染者がいても不思議が無い状況ですが、病院・クリニック・介護施設などを介した院内感染は、爆発的感染の起爆剤になることは明白です。診療を続ける上で、もう少し詳細な情報を公開されることが強く望まれます。

2020年4月15日水曜日

急速に普及するテレワーク


テレワークが巷ではブームです。

テレというと、電話を想像するのは昭和人でしょうか。もちろん電話で仕事をするわけじゃない。テレワーク(telework)はインターネットを利用して、離れた場所(tele)で働く(work)こと。

主にやっていることは、仕事場にあるパソコンに自宅からアクセスするリモート操作と、仕事場の人々とビデオ画面を利用して会議をすることで、これらを自宅にいながら実現しています。

新型コロナウイルスの蔓延で、人と人の接触を減らすことが強く要請されている現状では、一気に広まっているわけですが、自分の仕事でいうと「オンライン診療」これにあたります。

ついには初診すらOKということになってきていますが、自分の診療分野では問診だけで済む者はほとんどありません。IT技術に馴染みやすい若い世代では怪我人が多く、画像検査抜きでは適切な診療はできません。一方、高齢者も多く、IT導入は難しい。

支払いの問題もあります。整形外科では通常の健康保険だけでなく、労災保険や自賠責保険もしばしばあり、これらは保険の適応が確定するまで自費扱い。その場での支払い方法をどうするかというのも問題ですが、保険が確定すると返金があるため、これがもっと難しい。

基本的に人と人との関係が基本にある医療という分野では、オンライン診療はなかなか困難な問題が多いのが現状です。それを古臭い考え方と言われてしまえばそれまでですが、現実に新型コロナウイルスの診療そのものもオンラインでは不可能です。

そんなわけで、まさか自分にテレワークが降りかかってくるとは思っていなかったのですが、意外なところで始めることになりました。

それは都内にある会計事務所とのやりとり。普段のデータのやり取りは、ネットで行っていましたが、月に一度は会計士さんが来院して、いろいろな書類の整理とか、足りない部分の補足をしたりしていました。

また決算時期がせまってきたので、今月は決算検討をすることになっていたのですが、これをビデオ会議に変更しようということになりました。急遽、流行りのビデオ会議ソフトの「ZOOM」の使い方を勉強し始めました。

一対一ならLINEの無料ビデオで十分ですが、複数の人々との同時会議となると、そもそもスマートホンの小さな画面ではやりにくい。パソコンで使えるものとして、ZOOMというのは定番のようです。

まぁ、こんなところから少しずつ働き方がかわっていくんでしょうか。こういうことが普及すると、将来パンデミックが終息しても、人と人の付き合いはさらに希薄なものになってしまうのかもしれません。

2020年4月14日火曜日

新型コロナウイルスとLINEによる全国調査

現代人はスマホは一人一台に近い普及をしており、利用しているアプリの中でもLINEは圧倒的に使われていると思います。自分も、個人的な利用以外にもクリニックのスタッフ連絡などに利用しており、大変に重宝しています。

そのLINEに3月30日に「新型コロナ対策のための全国調査」なるものが急に配信されて、大多数の方はびっくりしたのではないでしょうか。

これは厚生労働省がLINEを利用して行うアンケートで、個人情報に関係した質問は居住地を限定するための郵便番号だけで、後は気楽に答えられるものばかり。

先週第2回、一昨日第3回と送られてきて、質問は同じで直接的にどれほど役に立つのかと思う内容。ただし、こうやって継続していくことで、国民全体の健康度や意識の変化をとらえることができる可能性があり、あまりお金をかけずに興味深いデータが集まりそうな感じがします。

第3回のアンケート依頼と伴に、約240万人の回答による第1回のアンケート結果が公表されました。

密閉・密接・密集を避けられないグループ、つまり接客を伴う飲食店などのサービス業が有熱者が多いということでした。ちなみに診察などで密接が裂けられない医療職では、全体の平均よりも少なめ。ほぼ3蜜を避けられる生活をしているグループは、それよりも少ないようです。

そんなことは当たり前だろうということに、想像だけてなく現実来な根拠を与えることが目的だろうと思いますし、それはとても重要なことです。簡単な質問だけで答えるハードルは低く、とにかく継続して変化をリアルタイムに捉えることが意味があります。



2020年4月13日月曜日

新型コロナウイルスシンポジウム


厚労省クラスター班 押谷仁先生の資料から

昨日、日本内科学会は新型コロナウイルスについて、現状でわかっている様々な情報をとりまとめたシンポジウムを開催しました。

これはオンライン配信、無聴衆で行われ、全医療関係者が視聴できるように、内科学会会員以外にも開放されされ、自分も視聴することができました。

政府の専門家会議の主要メンバーも演者として参加しており、新型コロナウイルスの日本のこれまでの戦い方の解説もあり、検査は絞り込んでクラスター(集団感染)対策を中心とした根拠も理解することができました。

初期のクルーズ船下船者、武漢からのチャーター便による帰国者など、モニタリングをしっかりできた方々については、2次感染の発生はほぼ完全に抑止できています。これはクラスターとなりうる人々をしっかり「隔離」することが効果的であったことを示しています。

ただし、この2週間くらいで急増し始めた状況は、感染履歴が追えない市中感染が拡大しており、それ以前に中国から入ってきた無症状の感染者や、感染が拡大したヨーロッパなどからの有症状の帰国者などが関与している可能性があり、もはやクラスター対策だけでは持ちこたえられないフェーズに突入したことを示唆します。

これが緊急事態宣言を出す根拠となったようですが、そうなると検査体制の拡大、医療体制の確立が必要になるのですが、内科学会としてはいまだに政府主導の整備が遅々として進んでいない状況を憂いていることを隠しませんでした。

これは、まず検査の中心を担っている保健所(保険福祉センター)の体制が脆弱で、もはやマンパワー不足がはっきりしていて、感染拡大のフェーズが変容したことに対応することができていない。ただし、検査を自由化すると病院に殺到する人々が新たなクラスター化することは海外の状況からもはっきりしています。

また、すでに日本の医療機関では、医療スタッフ自身が感染から身を守る防護用品が不足し入手困難な状況になっていて、軽症者をクリニック、重症者を病院という当たり前の役割分担もできない。またすでにベッド数も不足し、実際東京都は軽症者をホテルなどに移す方策を開始しています。

感染者のうち若者がしばしば問題にされていますが、確かに若者には発症しないため自分が感染している自覚がない人が多く存在し、活動性の高さからクラスター発生要因になっていることは間違いない。ただし、完成した高齢者はウイルス排出量が若者よりも多めになっていて、活動性が高い高齢者は若者よりも危険な存在かもしれないということです。

慶応義塾大学 竹内勤先生の資料から

また、今回のシンポジウムには日本リウマチ学会理事長の慶応義塾大学の竹内先生も演者として登壇し、リウマチ医の立場からの話をしていました。基本的な内容は、すでに学会ホームページにて公開されていますが、あらためて重症化肺炎の成立機序にリウマチの悪化と関係があるサイトカインの関与が考えられていること、現時点では発症者を除いて治療の変更は必要ないことを解説しました。

自分は整形外科医で目下のところ直接的な新型コロナウイルス診療にあたっているわけではありませんが、医療に携わる者として、特にリウマチ診療に関与する立場からも、この問題は絶えず注視していく必要性を強く感じています。

特に注意したいのは、事実をしっかり認識することで、様々な噂話により右往左往するような状況をできるだけ排除する必要があるということです。よくネットでは、ネットを使いこなせない人々を「情弱」という言葉で揶揄するのを見かけますが、逆に情報強者である人々は真偽を考えずに情報を広めてしまうことが多いように思います。

待った無しの状況であるからこそ、冷静に、しかしスピーディにいろいろに対応をしないといけないということは、医療関係者以外にも求められています。補償が有るとか無いとかは重要な問題ですが、それらの結論が出るまで待てない状況であることは間違いありません。

2020年4月12日日曜日

パソコンのMBRが壊れた


う~ん、困った。自宅のパソコンのハードディスクが、急に認識されなくなりました。

こういう事は、幾度となく経験してきたので、何かあったらといろいろなバックアップ対策は考えているのですが、残念ながら同じ目に合うことは少なくて、毎回違った問題が生じるもの。

今回は、データ用につなげている内臓のハードディスクがいかれてしまった。昨日の朝は何ともなかったのに、夜スイッチをいれたらバカになっていました。ついにパソコンまで、ウイルスに感染したのか??

こういう時のために、システム領域(Windowsのシステムと主なソフトウェア)とデータ領域は、物理的に別々のストレージを用意しています。システムはSDDでデータはHDD。

システムがだめな場合は、新しいストレージを用意して、あらためて全部インストールし直すだけ。面倒でも確実に戻ります。

今回はHDDの故障。まずはお決まりのWindowsに搭載されている「コンピュータの管理」で状況を確認。「ディスクの管理」を開くと、「論理ディスクマネージャーがアクセスできるようにするためにはディスクを初期化する必要があります」というメッセージが出てきてフォーマットを則してきました。

これをOKすれば、簡単に戻せるように思いますが、それは同時に中身をすべて捨て去ることを意味します。大事なデータは、さらに別のHDDなどに分散バックアップをしてますが、さすがに毎日バックアップを実行しているわけじゃない。

ほとんどは問題ありませんが、何が保存されているのかすべて記憶しているわけでも無いので、全部消えたら困るかもしれません。というわけで、何とかならないかジタバタすることになります。

コンピュータの管理では物理的には認識していますので、HDDそのものが壊れたわけではなさそう。中身の形式が不明ということなので、MBRが壊れた可能性が高そうです。

MBRというのは、マスターブートレコード(Master Boot Record)とは、各ストレージの先頭にある、そのディスクがどういう構成になっているかを示す目次みたいな物。これが読めないと、中身は不明となってしまいます。

「MBR、修復、フリーウェア」でググってみると、いろいろ情報が出てくるんですが、ほとんどは有料ソフトの広告。一部が無料で使えるんですが、ほとんど調べるだけで実際の修復は有料版でないとできない仕組みになっている。ある意味、弱みにつけ込む商法で、その手に乗るのは何か悔しい。

そこで登場するのが「TestDisk」というフリーウェア。これはフリーでいろいろなディスクの調査・修復ができる優れものなんですが、インターフェイスがコマンドライン風になっていて、使いこなすにはハードルが高い。

ただし、「PhotoRec」というデータを取り出すフリーウェアも同梱されていて、こちらはGUI版の「QPhotRec」も含まれています。物理的なディスク損傷でなければ、これでだいたいのファイルは拾いだせます、残念なのは「目次」が無いので、ファイル名は修復されず、修復で便宜上付けられた名前の連番に統一されてしまいます。それでも、いきなり初期化するよりはまし。

あとは意を決して初期化をクリック!!

2020年4月11日土曜日

22枚のマスク


2月の始めに一斉にマスクが消えて、早2か月。

通常のルートでは、まったくマイクが入手できない状態が続いています。そんな中、やっと新品のマスクを22枚、医師会からもらうことができました。

これは、横浜市が医師会に5万枚を提供してくれたもので、クリニック数(会員数)によって均等に配布した物です。

22枚・・・う~ん、ビミョーな枚数です。うちのクリニックの場合だと、毎日、自分やスタッフが普通に使うと、1週間ももたない数。されど、22枚です。無いよりはまし。ありがたくいただきました。

基本的にマスクの使用で自分が感染しない保証は無いわけですから、当初は自分も節約の意味も含めて診療時に使わないでいました。

ところが、もしもし感染者の来訪先としてクリニックがあがった場合、マスク無しだと濃厚接触者の扱いになり施設は閉鎖になってしまうため、3月後半からは自分も着用しています。

都内の大学病院では、一般研修医が使えるマスクは2日に1枚というところもあるようですが、神奈川の某大学病院は、まだ余裕があるようです。

クリニックには、最近怪しげなファックスが舞い込みます。転売ではないマスク数千枚単位で販売します、1枚100円くらいの値段でどうですかみたいな感じ。

使い捨てマスクは、従来1枚5~8円くらいでした。それを20倍近い値をふっかけてくるというのは・・・おそらく、中国製の横流し品の可能性が高そうで、中には中国政府の管理下に無い粗悪品もかなりあるかもしれません。

それでも、大規模病院はやむをえず、こういう高額品でも仕方がなく購入しているのかもしれません。自分のような小規模クリニックでは、さすがに手が出ない。

もともと、マスクは普通に使って春までもつくらいの量は昨年のうちに用意していましたが、2月以降、スタッフに倹約して使ってもらっているので、少なくとも連休明けまではもちそうです。

また使用済みマスクも、崩れていない物は洗濯して捨てずに残してあります。いざとなったら、アルコール消毒をして再使用するするかもしれません・・・が、そんなことにならないことを祈るばかりです。

また通常よりも使用量が増えた消毒用アルコールも、追加注文してもまったく入荷できなくなりました。その他にも入荷待ちの物が多く、消耗品は入手困難状態です。

政府は440億円かけて布マスクを配布するなら、何かもっと違う使い道があるように思います。

2020年4月10日金曜日

緊急事態宣言を形骸化させないために


残念ながら、ここまで来ても政府のやりたいことに対するモヤモヤが払拭できない。

東京都の休業要請の範囲が広すぎると、政府は文句を付けているらしい。

つまり、ニュースによると「西村康稔経済再生担当相が対象地域となった7都府県知事とのテレビ会議で、休業要請を2週間程度見送るよう打診した」というで、国としては非常事態宣言をして「8割の人との接触を減らす」効果を見るまで待ちたいということ。

東京都が先に休業要請を出す業種を絞り込んで、先に会見で公表したことが気に入らない御様子。特に小池東京都知事の肩を持つつもりはありませんが、そこをはっきりさせないと、宣言した意味が半減すると思います。

できるだけ外出は控えてください、というのはもうさんざん言ってきたことで、8割減は表現が変わっただけのこと。それで効果が出なくて、感染者の増加に歯止めがかからないからの緊急事態ではないんでしょうか。

実際、自民党内部からも「8割なんて無理」と公言する人が出る始末(4月8日、二階幹事長談)。強制力無しに8割減らすというのは、最初から現実的ではないとは誰もが容易に想像できる。

確かに休業による全ての損失を国・自治体が補償することは無理ですが、この期に及んで休業要請を出すことで一定の責任が生じることを避けたいという政府の本音が現れているとしか言いようがない。

しかし、新型コロナウイルス禍が長引くほど、経済的な損失は膨らむ一方で、国としての政府の責任も肥大化するだろうことは間違いありません。諸外国の強制的な外出制限に少しでも近づいた形で、人の移動を制限することが必要な状態が非常事態なんだと思います。

感染者数の増加に対して、死亡者数の上昇が抑えられているのでまだ心配ないというような主旨の記事がありましたが、確かに日本の医療技術は高く世界水準を上回っていると思います。

現状の病院のベッドは、急性期用と慢性期用に分けられ、急性期の中でも特に重症者の管理に必要なのが集中治療室(ICU)のベッドです。

日本は病院の数は諸外国より多めで、急性期ベッドは人口1万人当たり77.9床と言われています。韓国は71.4、ドイツは60.2。しかし、イタリアは26.2、アメリカは24.4、スペインは24.3と少ない。

しかし、ICUのベッドの数は逆転します。日本は人口1万人当たり0.73床。韓国は1.06。ドイツは2.92、イタリアは1.25、アメリカにいたっては3.47で、いかに日本のICU病床数が少ないかがよくわかります。

もちろん医療システムの違いがあり、簡単に比較できるものではありません。保険制度の脆弱なアメリカは、重篤な患者さんしか病院に入らないということがあります。日本の方がいざとなったら、ICUとして転用可能なベッド数は余裕があるかもしれません。

ただしICUが少ないということは、人工呼吸器や人工心肺装置と言った高度の医療機器を扱いなれている医療従事者も、日本はけっして多くは無いということ。さらに医師・看護師の人口当たりの数は欧米に比べて、日本は少ない。つまり、ベッドが足りたとしても医療技術者のオーバーワークはあっという間に起こります。

昨日の東京都の陽性者発生数はさらに増加しました。だらだらと小出しの作戦で様子を見ていられるほど、余裕は無いと思うんですけどね。

不安を煽ることは良くは無いのですが、緊急事態宣言を形骸化させないためにも、もっと大々的にかつスピーディな方針が必要なんじゃないでしょうか。

2020年4月9日木曜日

彩雲


これは一昨日の南の空。

雲の中に微妙な色彩が、見え隠れしました。

Wikipediaによると「彩雲(さいうん、iridescent clouds)は、太陽の近くを通りかかった雲が、緑や赤に彩られる現象である。瑞雲(ずいうん)、慶雲(けいうん)、景雲(けいうん)、紫雲(しうん)などともいう」とあります。

見つけると何か良いことがあるかも・・・ということで、幸運を呼び込むと言われることもありますが、地震などの天変地異の前兆と考えられている場合もあるようです。

少なくとも、昨日はニュースになるような地震はなかったようです。

かと言って、巷は新型コロナで緊急事態宣言ですから、まだまだ良い事なんて見つけられるはずもないし・・・

やっぱり、単なる自然現象ということで終わってしまうことになりそうです。

2020年4月8日水曜日

緊急時代宣言下の診療について 2


昨夜、政府から緊急事態宣言が発出しました。

午後7時からの安倍首相の記者会見では、冒頭の多くの時間が新型コロナウイルスに対する医療現場への感謝と励ましだったことは、直接関係しない自分としてもこの宣言の重大性をあらためて認識せずにはいられませんでした。

期間の目安はGW明けまでの1か月間となっていますが、個々の自覚しだいによっては先行きはいぜん不透明です。罰則などの強制力は無いことがしばしば言われていますが、できる限り遵守して何とかこの事態を終息させる努力が求められています。

クリニックは診療の維持が要請されています。現状では、診療時間の変更はありません。

すでにスタッフのマスク着用、適時アルコールによる手指消毒の励行は行っており、椅子やベッド、あるいはリハビリ機器の消毒液による清掃は、可能な限り頻回に行っています。

来院者用の消毒用アルコールはトイレに設置しています。全員の方に気兼ねなく使用していただくことが理想ですが、現状ではアルコールも入荷の見通しが立たないため、潤沢にお使いいただく形はとれません。

勤務するスタッフの人数は減らして対応さぜるをえないため、いろいろとご不便をおかけする可能性があります。従来、原則として来院順に行っている診療の順番も、診療内容によってずれることがあるかもしれません。

待合室では、椅子を可能な限り離した配置に変更しました。推奨されている2mはさすがに難しいのですが、少しでも間隔が開いている方が安心です。また、まだ寒い時もありますが、診療スペースの換気も行いますのでご辛抱願います。

リハビリ室では、元々ゆったりとした椅子・ベッドの配置をしていますので、特別な配置換えはしていません。

診察は接近することを避けることが不可能なので、できる限りマスク着用での来院をお願いします。また、当院で行っている診療は、ほとんどがオンライン診療には向かない内容となっていますので、今のところオンラインの対応はしていません。

当院かかりつけの方で、かぜ症状などが出た場合は、事前に電話などでご連絡いただけると助かります。当院はリウマチ科・整形外科を標榜しているクリニックで、直接に発熱者の診療は行っていません。従って、新型コロナウイルスの感染が心配な方は発熱外来を設置している病院、あるいは行政の相談窓口にご連絡下さい。

2020年4月7日火曜日

緊急時代宣言発令下の診療について 1


各社報道によりますと、本日(4月7日)に安倍首相が、新型コロナウイルスの感染拡大により「緊急事態宣言」を発令することが決定したようです。

東京都を中心に神奈川県も含む首都圏は、宣言下に置かれ様々な制約が発生することになります。

各種の企業・店舗が営業の制限を要請されますが、発令下においてもライフラインを守る観点から、病院・診療所については原則現状維持となっています。

自分のクリニックについても、基本的には診療を維持することになります。

ただし、勤務するスタッフの安全を確保する必要もあるため、現状以上に勤務体制はさらに大幅に縮小さぜるをえません。

現実には日に日に来院患者数はすでに減少しており、経営者の立場からはさらなる大変厳しい状況が想像されます。

従いまして、今後の状況によって、診療時間の縮小、あるいは臨時休診などの可能性は否定できません。

発令後のクリニックの診療については、正直に言いますと、まだ確定的な体制を決定しかねており、クリニックのホームページ、及び当ブログにて状況の変化があれば随時お知らせいたします。

いろいろとご迷惑をおかけする場合もあるかもしれませんが、くれぐれもご理解いただきますようにお願いいたします。

2020年4月6日月曜日

春になれば・・・


・・・しがこもとけて どじょっこだの ふなっこだの
夜が明けたと思うべな

お馴染みの童謡「どじょっこ ふなっこ」です。東北地方の伝承歌が元らしく、「しがこ(すがこ)」は氷の事。

世の中は、間違いなく春。

春なんですが、戦争を知らない世代である自分たちにとって、これほどまで暗澹たる春は今まで経験したことがありません。

それでも、イタリアやニューヨークの事を考えると、まだまだ序の口。

今の状況だけでも、経済的な打撃は「壊滅的」と表現したくなるほどですが、感染爆発(オーバーシュート)となれば、「壊滅」しそれからの立ち直りは生半可なことではなくなります。

おそらく、バブル崩壊、リーマンショックなどとは比較にならないほど、影響の範囲が広がっています。

暖冬だった影響で、桜も開花が早まりましたが、すでにツツジも蕾が膨らみ咲き始めています。明けない夜は無いはずですが、暁光は見えてくるんでしょうか。

2020年4月5日日曜日

新型コロナウイルスと関節リウマチ

https://experience.arcgis.com/experience/685d0ace521648f8a5beeeee1b9125cd

関節リウマチの患者さんにとって、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)は大変に脅威だろうと思います。

最もよく使用されているリウマチ治療薬であるメソトレキサート(商品名:リウマトレックス、メトレートなど)は、一般に免疫抑制剤という呼ばれ方をしますので、COVID-19による疾病が重症化するリスクの一つにあげられます。

また近年、生物学的製剤と呼ばれる注射薬も多用されており、こちらも感染症は重大な副作用として使用にあたっては注意喚起していることも事実です。

関節リウマチをはじめとする、自らの身体に対して異常な免疫が生じる自己免疫性疾患では、これらを抑えることが治療につながるためこのような薬が開発され、実際に病気を鎮静化する効果が認められています。

COVID-19はまだ問題が大きくなって数カ月ですが、すでに膨大な症例報告が世界中から集まっていて、多くの研究者・臨床家により分析が進んでいます。ただし、3月末までの時点では、決定的に分かっていることは多くは無く、残念ながらほとんど手探りの状態です。

それらの報告の中で、今のところ重症化のリスクとして明確なものは、高齢者・糖尿病・高血圧であり、今のところ抗リウマチ薬が重症化に関与したとする報告は無いようです。また、以前のコロナウイルスによるSARSの場合にも、積極的なリスクにはなっていません。

通常の予防策である、人混みを避けること、徹底的に手洗いを励行すること、そしてできればマスクを着用することなどをしっかり実行することが重要であり、抗リウマチ薬をいきなり中止する必要はないと考えられます。治療を中断することで、関節リウマチが悪化することは、発症時の抵抗力を落とすことにつながることもありうると考えます。

関節リウマチに伴う呼吸器病変がある方、または普段からかぜをひきやすい方は、特に厳重な注意をしていただく必要があります。肺炎を起こした場合には、重症化のリスクは高いと言わざるをえません。

COVID-19の重症肺炎については、様々な治療経験が報告され、既存薬の中から治療に有益だった可能性が議論されています。

治療薬として、ウイルスそのものに対しては、予防としてのワクチン、そしてウイルスそのものを排除する新型コロナウイルスに特異的な抗ウイルス薬については、どんなに早くても1年程度はかかるでしょうから、現段階では使用できるものはありません。

ただし、他のウイルスに対する薬の一部が検討されています。新型インフルエンザ用のファビピラビル(商品名:アビガン)は、ウイルスが似たような構造であることから高く期待されています。

また、実は関節リウマチの治療に使われているトシリズマブ(商品名:アクテムラ)が、重症肺炎の治療に効果があったとする報告が相次いでいます。一見、逆のような話ですが、生物学的製剤はサイトカインと呼ばれる炎症を引き起こす物質をブロックする薬理作用があり、トシリズマブがターゲットにしているサイトカインの一つであるIL-6がCOVID-19の肺炎に関与していることを示唆しています。

300人近くでトシリズマブを使用した報告が出ていますが、特に中国では重症肺炎21名に投与して全員に改善効果があったとしています。なおIL-6をターゲットにした生物学的製剤としてサリルマブ(商品名:ケブザラ)も、同様に効果が期待されています。

一部の薬剤がCOVID-19の影響で出荷できなくなっている影響が出ていますが、アビガンもトシリズマブも、実は日本で創薬されたものであり、国内での流通に関しては比較的不安はありません。

トシリズマブについては、COVID-19に関連した需要が急速に広がった場合に、新規のリウマチ患者さんへの使用は難しくなる可能性は否定しませんが、現在使用中の方への供給が滞ることはないと考えますし、実際直接に製薬会社に確認したところでは現在のところまったく心配ないとのことでした。

2020年4月4日土曜日

SAKURA 2020 @ 茅ヶ崎城址公園


都筑区には茅ヶ崎城址公園がありますが、これは比較的新しく整備された公園です。

城址というくらいですから、茅ヶ崎城という城があったことがわかっています。城そのものはありませんが、横浜市の指定文化財になっています。

日本の城で天守閣が残っているもので、一番古いと考えられているのは松本城(長野県)、あるいは丸岡城(福井県)と考えられていますが、いずれも16世紀の話。

茅ヶ崎城は、推定されている築城は15世紀(伝聞では11世紀)。もしも建造物が残っていたら・・・なんてロマンが感じられますが、興味のある方は近くの横浜市歴史博物館に脚を伸ばしてみるのがお勧めです。

ここの桜も、まだまだ若い木ですが、丘の上でまとまった桜が見れて、毎年絶好のお花見スポットの一つになっています。

さすがに、花びらが風に舞いだすようになり、今年の桜もこの週末でおしまいみたいですね。

2020年4月3日金曜日

SAKURA 2020 @ 荏田南町


今年の桜は、暖冬の影響で大変早い時期から開花が始まりました。

ただ、自分の行動範囲の狭い場所だけでも、開花にはバラつきが多いという印象。

これは老人施設の入り口から、丘の上の建物までの道沿いを中心に植えられた桜。この数日でやっと満開になりました。近場で間近に見れるものとしては、最もまとまったものです。

実は、この施設は開設したのが、自分のクリニックと同じ年の15年前。開設当時は、高さが2mくらいのいかにも苗木だったと思いますが、10年くらいでかなり見ごたえのあるしらいに成長しました。

桜の花は、30年くらいで最高潮に達し、寿命は100年程度といわれています。まだまだこの先、何十年も地域の人々の目を楽しませてくれるはずです。

2020年4月2日木曜日

新型コロナウイルスの死亡者数を理解したい

新型コロナウイルスの怖さを確実に知るためにはどうするか?

3月なかばに、死亡率に注目して人口100万人当たりで亡くなっている人数を計算してみました。

検査の実施には各国のばらつきがあり、感染者数(ウイルス陽性者数)は正確な感染の拡大を反映しているかは不透明。特に日本では、以前より検査数の少なさは指摘されていますし、現実に対象を絞っていることは事実。

しかし、肺炎により亡くなった方については、確実にウイルスが検出されて初めてカウントされていると考えられるので、間違いなく重症者の推定に役に立つと考えられます。

もちろん、前提としてWHOが集計している統計データが正しいとするなら・・・です。これまで信用しないと言われてしまえば、もう何も論じることはできなくなってしまう。

わずか2週間前、3月14日時点、つまりイタリアが急速に感染が拡大し、まだアメリカは余裕を見せていた時には、

日本 0.164人 (クルーズ船含みで0.220人)
中国 2.26人
イラン 6.42人
イタリア 4.27人
韓国 1.41人
スペイン 2.61人
フランス 1.16人
アメリカ 0.127人

全世界で集計すると0.726人という数字でした。

これを、経時的に確認したいなと思ったのですが、膨大な数字を連続的に処理し続けるのがかなり大変で、何か簡単な方法はないかなと思っていたら・・・

同じことを考えていた人がいました!!

100万人あたりの死者数推移から見るCOVID-19感染抑止の現状http://blog.livedoor.jp/lunarmodule7/archives/5166939.html、と題した記事をネットに上げた人がいます。


これが見たかった、というところなんですが、グラフについては縦軸が対数軸なので現実の増加より多くなればなるほど上がり幅が少なく見えることに注意が必要です。もっとも実数でプロットすると、少ない国は底辺に集まり過ぎてしまうので、それはそれで見づらいわけですが。

書いている方のプロフィールはわからないのですが、少なくともこれを作るための労力はよくわかるので、こういうまとめ方を見せてくれたことには大変感謝します。

現実に、いざとなったら病院に入院できると思ったら大間違いです。すでに、現状で新型コロナウイルス感染以外で入院している人がたくさんいます。しかも、経営面から病院はできるだけベッドの稼働率を上げるため、どこでも満床に近い状態のはずです。

つまり、急激に入院ベッドの需要が増えても、初期の段階で受け入れ不可能になることは明らかです。緊急的な臨時のベッドを増やすしかありませんが、現状では法的にできない。働き方改革で実働できる医療スタッフは昔より減っていますから、仮にベッドが増えても医療関係者の過重労働により限界はすぐに来ます。

現実にイタリア、アメリカから爆発的感染が生じたらどんなに悲惨な状況になるかは、いくらでも惨憺たる状況が伝わってきています。緊急事態宣言は、一定の歯止めは確実に期待できますので、遅すぎては意味が無いということを理解しておく必要があります。

2020年4月1日水曜日

キジ、近っ!!


何とも、重苦しい新年度の始まり。

もう、エイプリル・フールなんて洒落にもならない。

さて、今までに通勤途中の同じ場所で、何度か遭遇しているキジです。

年をまたいでいるので、同じキジかどうかはわかりませんけど、少なくともこの近辺に巣をかまえていることは間違いない。

今回は、すごく近い。あまりに近くて驚きましたが、たぶん数メートルくらい。

あわてふためく人間どもをよそに、キジは悠然と前を見据えていました。