ある特定のアーテイストの音楽を聴こうという場合、正規の公式アルバム単位で、できれば古い物から順番に聴くというのが基本です。ですから、ネットで「おすすめ」とか「ランキング」で検索すると、アルバムごとの評価が並ぶことになる。
ボブ・ディランの場合も基本的にはそれでいいんですが、通常は一定のコンセプトでまとめられたはずのアルバムのはずが、意外とあまり考えられていない場合があったりします。ただやりたいからやったみたいな、かなり雰囲気だけで決めている節がないわけではないので、ボブ・ディランを聴き込む場合は、一つ一つの曲により注目することも忘れてはいけません。
また、ネットの情報はやはり個人の主観、そしてすでに定まった評価に基づいていることが多く(当然、ここでの話もそうなんですが)、必ずしも良し悪しを判断する最適な方法とはならないことがしばしばあります。とにかく、他人の意見に左右されずに自分の耳で聞くことが大事ということを忘れてはいけません。
さて、記念すべきボブ・ディランのデヴュー・アルバムは1962年3月にリリースされた、ずはりタイトルは「BOB DYLAN」です。全13曲収録で、自作曲は「ウディに捧げる歌」、「ニューヨークを語る」の2曲だけであとはカヴァー曲という構成。録音は前年の11月20日と22日の二日間だけで行われました。
自作曲が少ないという理由で、たいへん評価が低いのですが、それは作詞家・作曲家というの一面についてのみ注目しているからです。才能が有ると認められたから大手のコロンビア・レコードと契約できたものの、まだ海の物とも山の物ともわからない二十歳になったばかりの若者を売り出すためには、誰もが知っている曲を利用するというのはレコード会社の常套手段です。
ですから、ここでは歌手としてのボブ・ディランに注目すべきところ。そう思って聞くと、ディランの意識的に曲によって声色を変える特徴はすでにここでも聞くことが出来ます。また、曲によってはフォークというよりは、明らかにロック歌手のような歌い方もしていて、自分で演奏するフォーク・ギターとハーモニカだけのシンプルな世界なのに、独自の雰囲気をしっかりと出している作品で悪くはないと思います。
とは言え、他人の曲ばかりでは本人も多少不本意な部分はあったのかもしれません。後にリリースされた「The Bootleg Seriese Vol.1」に数曲のアウトテイクが収録されていますが、何度も歌うことには乗り気でなかったようです。いずれにせよ「ボブ・ディラン」はここから始まったことは否定しようのない事実です。
November 20 & 22, 1961, NYC














