夏季臨時休診のお知らせ

8月13日(火)~8/17(土)は臨時休診いたします。ご注意ください

2024年7月27日土曜日

Paris 2024 オリンピック開会式


日本時間で本日午前2時半から、フランスはパリで、オリンピック開会式が行われました。

夜中から、寝ずに見たよという方もいることと思いますが、今回は日本と時間差がほぼ半日あり、当面熱帯夜と睡眠不足のダブルパンチが心配です。

すでに、男女サッカー予選が始まり、男子はパラグアイに快勝、女子はスペインに惜敗という結果が出ていますが、まだまだこれからです。

今回の開会式で、初めてで画期的だったのは、競技場ではなくセーヌ川を中心に式が行われたというところ。選手の入場行進はトラックではなく、100隻近い船でセーヌ川を順番に航行しました。

また、それらの光景は川沿いで無料で観客が見れたというのも、金の問題が取り沙汰されやすいオリンピックとしては英断だろうと思います。また、選手登場とフランスらしいアーティスティックなパフォーマンスが並行して行われたのも珍しい。

ただし、間延びした感はあって、まとまった「ショー」としての面白さはかなり減ってしまった感じ。さらにあいにくの天気で、事前にアナウンスがあった「夕日とのコラボ」が実現しなかったのも残念でした。

日本は、開幕直前の体操女子の問題で水を差された感がありますが、国を代表してオリンピックに参加するからには、それぞれが自分の持てる力をすべて発揮してもらいたいものです。そして、それに結果が伴えば言うことなしですね。


2024年7月26日金曜日

コクヨ GLOO


マツコ・デラックスの番組で紹介された、最新の革新的文房具をもう一つ。

今度はのり。

スティックタイプの固形のりを使うことが多いのですが、領収書とかをチャッチャと貼りまくるときは、実は液体のりの方が意外と使いやすいものです。

ところが、液体のりは水っぽいので、貼るものがしわしわになったり、はみ出ると乾くのに時間がかかる。

そこを解決したのがコクヨのGLOO (グルー)です。

何か糖分が入って、紙にしみ込みにくいためしわしわになりにくいらしい。貼った時に明らかにきれいです。

そして、塗り面が四角というのも、ありそうでなかった。今までのはどれも〇ですから、しっかり角まで塗りにくく、場合によってははみ出てしまいやすかった。

これはなかなかの一品です。

2024年7月25日木曜日

重版出来! (2016)

これも野木亜紀子脚本によるテレビ・ドラマ。2011年に第22回フジテレビヤングシナリオ大賞で脚本家デヴューして以来の東京ドラマアウォード2016 脚本賞を受賞した作品。2016年4月期に全10話で放送されました。演出は「ビリギャル」、「罪の声」の土井裕泰や以後盟友となる塚原あや子らが担当しています。

原作は松田奈緒子のマンガで、マンガ週刊誌編集部を舞台に出版業界の実態をコミカルに描いたもの。黒木華はテレビ・ドラマ初主演です。

そもそもこのタイトルは何? というところから始まりますが「じゅうばん」って本を増刷することだと思うんですが、「でき」っと続くと意味がよくわからない。ドラマを見ればすぐわかるんですが、まず、「じゅうばん」ではなくて「じゅうはん」。そして「でき」ではなくて「しゅったい」と読むんだそうです。本が売れて増刷できるという意味で、出版社の最大に嬉しいことで、これを目標に皆が頑張って仕事をするわけです。

けがで柔道を引退した黒澤心(黒木華)は、マンガで何度も勇気づけられたことから大手出版社、興都館に就職し、業界2位のコミック誌、週刊バイブス編集部に配属されます。編集長はタイガース狂の和田(松重豊)、心の指導にあたる冷静な副編集長の五百旗頭(オダギリジョー)、編集部員には、漫画家は使い捨てという安井昇(安田顕)、一途に漫画家を応援する菊地文則(永岡佑)、威勢が良い壬生平太(荒川良々)が揃っています。営業部部長は岡英二(生瀬勝久)、そして心に感化され営業の仕事に開眼する小泉純(坂口健太郎)などがいて、超ポジティブな心の周囲には様々な出来事が絶えません。

マンガ界の重鎮、三蔵山(小日向文世)のスランプの原因を発見し立ち直らせたり、辛い過去をひきづる新人マンガ家の中田(永山絢斗)がデヴューできるように走り回ったり、今は自暴自棄な生活を送るかつての人気マンガ家の娘にマンガの素晴らしさを伝えたりと、とにかく心は忙しい。

このドラマの面白さは、主人公は心で、実に気持の良い周りを元気にするキャラクターが痛快というところ。コメディなんですが、やはり無理に笑わせようとするのではなく、心の言葉や行動が、無理なく可笑しさを作り出すところが素晴らしい。そして、それらにほとんど無駄な時間を費やしていない。必要最低限、ドラマを前に進めるための情報をしっかり描き出しているのです。

そして、もう一つのポイントは、登場する主だった人々のそれぞれにしっかりエピソードを割り振って、物語の中で無駄なキャラクターがいないというのもすごいことです。興都館の社長(高田純次)が何故質素な生活にこだわっているのか、安井が何故マンガ家に厳しい態度を取るのか、小泉がなんでやる気がない「ユーレイ」社員になったのか、三蔵山の万年スタッフの沼田(ムロツヨシ)が何故独り立ちできないのかなど、それぞれが端的に深く描かれます。

連続テレビドラマの場合は、いくら演出が素晴らしくても、やはり脚本家の技量がかなり大きく関与すると思います。最初からゴールをしっかりと考えていないと、途中で無駄な部分ばかりが目立ってしまいます。野木亜紀子の脚本が注目されるのは、おそらく全体の構成力が際立っていて、ストーリーが破綻せずにキャラクターを丁寧に描いているところにあるように感じました。

2024年7月24日水曜日

夏休み


あっ、夏休みなんですね。

気がつけば、7月も下旬。早い物です。

朝、近くの公園に人がわんさか集まっていて、それもこどもたちが中心。なるほど、ラジオ体操だな、夏休みに入ったんだと気がつきます。

自分が小学生の時は・・・あったのかもしれませんけど、少なくとも地域の自治会主体のこのような集まりは無かったように思います。

スタンプを集めるんでしょうけど、それが楽しみな子はどんだけいるのか・・・

そんなことより、毎日ダラダラしやすい長期の休みですから、生活のリズムを作ると言うことが大事。

ラジオ体操もしっかりすれば、とても体に良いことなんで、がんばって出きるだけ参加することは意義がありますね。

2024年7月23日火曜日

フェイクニュース あるいはどこか遠くの戦争の話 (2018)

脚本家、野木亜紀子がNHKでの初仕事になったスペシャル・ドラマ。ネット社会で真偽も確認されないような、まことしやかな話が毎日のように拡散する時代をテーマにした、他人事で片付けられないようなストーリー。

大手の新聞社からネット・メディア「イーストポスト」に出向中の東雲樹(北川景子)は、ネットの「鶴亀食品の人気インスタント麺に青虫が混入していた」という猿滑(光石研)のツイートに注目します。

このツイートは瞬く間に拡散し、鶴亀食品は一気に業績が悪化。似たような異物混入を報告するブログがいくつも登場し、東雲はそもそもがフェイク・ニュースだという記事をかきます。

今度は東雲が多くの誹謗中傷を受けることになり、いい加減な噂がネットの中で広がり続けます。東雲は新聞記者時代に、経産省官僚の最上(杉本哲太)の不正を取材し、セクハラをされた際に得意のテコンドーで最上に怪我をさせた過去がありました。調べていくと、収益目的で猿滑のツイートに便乗するブログを書いた者やインチキのニュースサイトに誘導する者などがみつかります。

新聞社の同僚だった西(永山絢斗)からの情報もあり、これらの情報操作を画策しているのは、県知事選に立候補している最上の疑いが浮上します。東雲はさらに深く真実を探し求めて、取材を続けるのでした。

ネット社会の怖さを描いたものとしては、2012年の「白ゆき姫殺人事件」(原作は湊かなえの2011年の小説)が先駆的作品として思い出されます。野木作品では、憶測が事実のように拡散していく怖さだけでなく、どうやってフェイクが作られていくか、そしてどうやって対処すれば良いのかという点を深く掘り下げようとしています。

ただ、その結論は一度ネットに上がった話題は永遠にネットの中を漂い続けるということ、そして人々が自らの正義だとバラバラに主張することが、まるで善も悪も無い、まるで「戦争」のようなものという悲しい現実です。人々がそこまでおかしなことにならないと信じたいところはありますが、多少なりとも「かもしれない」と思わせるところが脚本の妙味です。

ネットの中で検索だけでニュースを作り、いかに閲覧者数を稼ぐかだけが評価の対象となっているネット・メディアの実態と、北川景子のいかにも仕事のできる美人という外見も合わさって、実際に取材して真実を探りたい東雲が一人浮いてしまっている状況が過不足なく描かれています。

自分のちょっとした「つぶやき」から、社会的地位、家庭すら失う猿滑、あるいはネットで様々に誹謗される東雲の人間性などは基本的に救済されることがありません。しかし、少しだけ東雲に同調していくイーストポストの仲間を通じて、一縷の望みを託せる「メディアの良心」がわずかに垣間見えるのは見ていて助かります。

テーマがテーマだけに、野木作品の持ち味の一つである出過ぎないユーモアは封印されていますが、自身のオリジナル作品として勝負していける脚本家であることを再認識できる作品です。

2024年7月22日月曜日

カラオケ行こ! (2024)

映画、テレビドラマの製作は、プロデューサーに決定権があり、実際のところアカデミー賞の作品賞はプロデューサーに与えられるものと言われています。ただ、どのように場面を構築していくかは監督、あるいは演出家の腕次第。現実的には、それぞれが監督の作品であることは間違いない。

良質な作品を作るためには、脚本もかなり重要な位置を占めています。原作がある場合、それを3次元の世界で、しかも一定の制約の中で、ストーリーとして成立させるのは脚本家の手腕にかかっている。

最近、原作の実写化における改変について議論を呼んでいるわけですが、世界観が変わりすぎて批判されることもあるし、原作を知っていても新しい楽しみを得られると評価される場合もあり、意見は様々です。どちらの場合でも、原作者との緊密な連携があれば、トラブルは少ないはず。しかし、ヒットすれば何をしても良いというような、実写制作側の「おごり」のようなものが感じられるのは残念なところです。

野木亜紀子は作家性の強い脚本家として、注目すべき人だと思います。2010年にオリジナルの「さよならロビンソンクルーソー」で第22回フジテレビヤングシナリオ大賞を受賞しデヴューし、2012年には「ラッキーセブン(フジテレビ)」の半分以上の脚本を任され、松本潤、瑛太、松嶋菜々子、大泉洋、角野卓造などのそうそうたるメンツを見事に動かしました。

そして「空飛ぶ広報室(2013 TBS)」、「掟上今日子の備忘録(2015 日テレ)」、「逃げるは恥だが役に立つ(2016 TBS)」、「獣になれない私たち(2018 日テレ)」と新垣結衣の主演ドラマを連続4作担当しました。また「アンナチュラル(2018 TBS)」、「MIU404 (2020 TBS)」などのヒット作も手掛けています。特に「アンナチュラル」以後は、すべてテレビでは原作も自ら手掛けるオリジナル作品だけというのが特筆すべきポイントです。

映画でも「図書館戦争(2013~15)」の全シリーズを皮切りに、「アイアムヒーロー(2016)」、「罪の声(2020)」などの話題作を担当しました。そして、もうじき、「アンナチュラル」と「MIU404」の世界観をクロスオーバーさせた「ラストマイル」の公開が迫っています。

目下のところ、野木亜紀子脚本の最新作はこの映画です。原作は和山やまのマンガで、監督は山下敦弘。

森丘中学の合唱部の部長をしている岡聡実(斎藤潤)は、合唱コンクールの帰りに突然祭林組若頭補佐の成田狂児(綾野剛)に「カラオケに行こう」と呼び止められます。組長の誕生日に行われる恒例のカラオケ大会で、一番下手な者が組長自ら下手糞な刺青をされてしまうので、歌い方を教えろということでした。X JAPANの「紅」を熱唱する狂児は、お世辞にもうまいとは言えない。

なりゆきで付き合うことになってしまった聡実でしたが、変声期を迎えて担当のボーイ・ソプラノがきつくなっており悩んでいたのです。秋の合唱大会の当日が祭林組のカラオケ大会でした。バスでいつものカラオケ店の前を通りかかった聡実は、店の前に潰れた狂児の車と力なく救急車に運ばれる男性を目撃してしまうのでした。

野木亜紀子の脚本がどんな特徴があるのかを論じるだけの知見は持ち合わせていませんが、どの作品でも言えることは登場人物のキャラクターが立っているなと感じます。この映画でも変声期を迎えた思春期のビミョーな時期の中学生、通すべき筋は通しカラオケに真剣に取り組もうとするヤクザという、対照的な二人なのにしだいに「ともだち」になっていく過程に無理を感じません。

内容だけ聞けばコメディなんですが、無理に笑いを取るようなユーモアはほとんどなく、自然な彼らの行動がじわっと可笑しさを出しているあたりは好感が持てるところ。聡実の本音の部分も、映画独自の「映画を見る部」というものを設定して、その中で垣間見えるというのもなかなか良いアイデアでした。

いずれにしても、過ぎ去っていく時代、それは変声期を迎えた中学生であったり、古いタタイプのヤクザであったりするわけですが、それらの哀愁みたいなものをうまく映像の中に表現した作品であろうと思いました。

2024年7月21日日曜日

ORENZ


そもそも文房具の基本中の基本は紙と筆記具だと思うんです。鉛筆があるから、消しゴムや筆箱に価値があるわけですし、紙があるからハサミやのりが必要になる。ところが、世の中のデジタル化の中で、紙と筆記具は急速に使用頻度が減少しています。

本屋さんが減っているというのはしばしば話題になりますが、文房具屋さんも見かけなくなってきました。ところが、逆にアナログなものに新鮮な楽しみを発見する若者が増えているというのも事実で、我々昭和人の常識を覆すような画期的な文房具も増えています。

そんなわけで、マツコ・デラックスの番組で紹介された文房具を、さっそく買ってみました。

一言で云えば「シャーペン」なんですが、シャープペンシルは削らずに書き続けられる鉛筆として、たぶん自分が小学生高学年ごろから一般に普及したと思います。ある意味、革命的に「書く」という行為が楽になった。

ただし、芯が細いので、ちょっと力を入れると芯がポキポキ折れてしまう。ついつい、カチカチとノックし過ぎるのもダメ。そこで、最近画期的な製品がぺんてるから登場していました。

その名は「ORENZ(オレンズ)」です。芯が「折れんず」というわかりやすいネーミングの是非はともかく、セールスポイントは芯が折れないというもの。

ノックは1回。芯がカバーと一緒に出てきて、書いて芯が擦り減るのに合わせて、カバーがスライドしていくことで邪魔をしないというもの。

芯を強力に保護できるので、0.2mmという信じられない細さの製品もラインナップされています。あまりの人気で入手困難になっている。今回は在庫があった0.5mmを手に入れましたが、一番馴染みのある太さなので、字を書くという目的では書き味は何の問題もありません。

確かに1回のノックで芯がカバーごと出てきて、普通に書く分には通常の数倍は書き続けられる印象です。シャーペンを使う時のストレスがかなり軽減されることは間違いなく、なかなか面白い製品です。

2024年7月20日土曜日

グッドモーニングショー (2016)

おそらく、おそらくですよ、各テレビ局が放送し続ける朝のワイドショーの実態をかなり暴露するような内輪ネタ映画・・・ですけど、それなりに楽しめるところはさすが。何しろ、脚本・監督が「踊る大捜査線」シリーズを作った君塚良一です。業界の事は一から百まで、いや万までよ~く知り尽くしています。

朝のワイドショー担当するメイン・キャスターは澄田真吾(中井貴一)、サブに入る女子アナは小川圭子(長澤まさみ)と新人の三木沙也(志田未来)。プロデューサーの石山聡(時任三郎)は、マンネリで人心一新が検討されていることを澄田に伝えます。

この日、いつものように午前3時に起床した澄田は、いきなり息子からできちゃった結婚すると告げられ、出社すると勘違い女子の圭子に私たちが付き合っていることを放送中にカミングアウトすると言われ、報道部からは低俗なワイドショーと嫌味を言われる。

それでも、いつも通り8時になると番組をスタート。いつもと同じと思いきや、突然入ってきた「立てこもり事件」の速報。テレビ局から近い場所で、猟銃を持った男が人質を取って立てこもったのです。しかも、犯人の要求は、何と澄田を連れてこいというものでした。

視聴率のためなら何でもしなきゃいけない澄田は、しかたがなく現場に急行し、隠しカメラ・隠しマイクをしたためて警察に守られて店に入るのでした。犯人の西谷颯太(濱田岳)は、澄田にワイドショーが散々嘘をまき散らしてきたことを土下座して謝罪しろというのです。

前半、生放送のテレビ番組が作られる仕組みの一端が事細かに見せられるのは、楽屋を除くような新鮮さがあり、本物を見たことが無くてもなるほどと納得できます。後半の犯人説得は、さすがにそんなこと警察がさせるわけがない。

でも、怒涛の勢いで番組が進行するのと同じで、映画を見ている側もそれが嘘だろうとか考える暇がありません。一気に押し切ってしまう、企画力の勝利ということでしょうか。こういう真面目そうなキャスターの役には、中井貴一はぴったりというところ。直接ストーリーに関わるわけではありませんが、長澤まさみのいかにも「女子アナ」風のキャンキャンした雰囲気が良いアクセントになっています。

特別に世間に訴える内容があるとは言えませんが、ワイドショーの功罪をうまくまとめ上げているところが見どころというところでしょうか。

2024年7月19日金曜日

梅雨明け


関東地方が、昨日梅雨が明けたようです。

去年は7月22日で平年より3日遅れ・・・ということは今年はちょっと早かったということになるんでしょうかね。

ドバーっと雨が降った時もありますが、空梅雨とまではいかないにしても、トータルとしてはあまり雨が降った印象がありません。

うちは、雨漏りの影響で扉の一つが閉めにくくなる(!!)ので、毎年の梅雨時は困るんです。ところが、今年はあまりそのような事態は経験しなかったので、少なくともぶっ続けで雨が降ることはなかったことは間違いありません。

何にしても、これからは灼熱地獄がつづくのかと思うと、それはそれで憂鬱ですね。

2024年7月18日木曜日

劇場版 コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命- (2018)

コード・ブルーというのは、病院内で心肺停止となった人が出た場合に、医療スタッフに知らせるための全館放送のこと。自分が大学病院にいた時は、「CAC、××病棟・・・」というコールでした(Cardic Arrest Call、心停止の呼び出し)。1年目の時、内科病棟でCACがかかり、駆け付けたら一番乗りしてしまいチョー焦ったことがあります。

医療系ドラマは嘘がわかってしまうのであまり見ないのですが、「TOKYO EMR」よりは現実味があり、若い医師たちの成長に主軸があるので、これはけっこう楽しめます。神がった医師が登場する「ドクターX」とか「ブラックペアン」はありえないし、「白い巨塔」のような権威主義に凝り固まったのも嘘臭くてダメ。

2008年から始まったテレビ・ドラマ「コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命」は、大変人気を呼び、2009年にスペシャル・ドラマ、2010年に2ndシーズンが放送され、緊急時にヘリで駆け付ける若い救急救命医師たちの成長が描かれました。さらに2017年に彼らの下に新たな若い研修医が配属される3rdシーズンが放送され、その延長として10年間の完結編となる劇場版が2018年に公開されました。シリーズ全体の演出に関わった西浦正記が監督を務め、3rdからスタッフになった安達奈緒子が脚本を担当しています。

ヘリコプターに搭乗して現場に直接医師が出向き、救える命を一人でも増やすというドクターヘリのフライトドクターの認定を取得した藍沢耕作(山下智久)、白石恵(新垣結衣)、緋山美帆子(戸田恵梨香)、藤川一男(浅利陽介)と、1人のフライトナース・冴島はるか(比嘉愛未)は、翔陽大学附属北部病院救命救急センターで苦楽を共にしてきた仲間。彼らの下に配属されたのは、フライトドクター候補生の名取颯馬(有岡大貴)、灰谷俊平(成田凌)、横峯あかり(新木優子)と新人フライトナースの雪村双葉(馬場ふみか)です。

今回のストーリーで扱われる大きな出来事は、成田空港での旅客機着陸失敗による事故と海ほたるへのフェリーの衝突事故。例によって立て続けに大きな事故が起こるのはストーリーを進めるうえでしょうがないのですが、実は間に挟まった雪村とアルコール依存症の母親とのエピソードが重要。これまでにも藍沢や白石の家族との関係が描かれ、彼らが成長する過程で家族との関りも大きなカギになっています。

基本的には、劇場版だけを見ても楽しめるとは思いますが、主要登場人物の動きは、10年かけて積み上げてきた細かいエピソードが様々な形で反映されたもの。はっきり言って、過去のテレビ・シリーズを知っているか知らないかで、映画への没入感はかなり大きな差が出るところ。おそらく制作サイドも、ずっとファンでいてくれた人々へ一定の決着を見せることをものすごく意識したのだろうと思います。

そういう意味で、「映画」としての評価はなかなか難しい。2時間程度の一定の枠内で何らかのドラマを見せるものとしては明らかに不親切で、明らかに大河ドラマの最終回みたいなものになっています。ですから、通常の映画ファンにはあまりお勧めできないかもしれません。映画は山ピーやガッキーのファンという方向けなんですが、もっともそういう方はテレビ・シリーズもずっと見てきたとは思うので、特に問題はないのかもしれません。

2024年7月17日水曜日

パレード (2024)

最近は、映画もネット配信という方法が多くなり、けっこう早くに家で最新映画を楽しむことができます。特にNetflix、HuLu、Amazon Primeなどは比較的良質の作品を配信することが多く、既存の映画会社には無い新しい映画の形を提供しているのは注目すべきところです。

この映画も、そのようなネット配信の最新作の一つ。監督は37歳という若さにもかかわらず、すでに「新聞記者(2019)」で注目される藤井道人。脚本は「百円の恋(2014)」の足立紳です。

津波に呑み込まれ海岸に打ち上げられた美奈子(長澤まさみ)は、離れ離れになった息子を探して瓦礫の山となった街の歩いて救護所にたどりつきますが、誰も自分に関心を持たず、話しかけても返事すらしません。再び街に出ると、一台の車の男性が通りすがりに「大丈夫ですか」と声をかけてくれました。

アキラ(坂口健太郎)と名乗る男性は、街から離れた廃遊園地に美奈子を連れていきますが、そこにはやたらと口数が多いマイケル(リリー・フランキー)、皆の食事の面倒などを見るスナックのママ(寺島しのぶ)、ヤクザのせがれの勝利(横浜流星)、新聞ばかり読んでいる無口な田中(田中哲司)がいました。

かれらの話から、美奈子はすでに死んでいること、現世に強い未練を残した者たちが「あっちの世界」との間でとどまる場所であることが伝えられます。最初は受け入れられない美奈子でしたが、しだいに状況を理解し、息子の安否を調べるようになりました。

ママは自分のこどもたちが無事に大人になるのかを見届けたい、アキラは無骨な父親が自分のことを小説に書くようになったのでその完成を待ちたい、マイケルは別れた恋人にちゃんと謝りたいなどの未練があったのです。そういう思いを持った死者は他の場所にも大勢いて、月に一度全員が街の通りを行進するのが恒例で、そこで会いたかった人を探すのでした。

勝利は組の抗争で死んで、残した恋人がどうなったかが気がかりでした。自分の七回忌の法要を遠くから見つめていた女性を見つけると、彼女が今でも自分の事を忘れずいること、でもその上で新しい幸せを掴もうとしていることがわかり安心します。勝利は田中に「行きましょう」と云います。田中はこの世界の「監視員」で、思いの整理がついた人々を「あっちの世界」に導く係だったのです。

新たにセーラー服の高校生ナナ(森七菜)が仲間に加わります。彼女はいじめを苦にして自殺したのでした。マイケルはみんなに協力してもらい、自分の過去をストーリーにした映画を撮り始めます。そして、美奈子は息子が無事に施設で生活し始めたことを知らされるのでした。

死後の世界を舞台にしたストーリーはたくさんありますが、この世に未練があり成仏できずに「彷徨える幽霊」となった人々を描くというのは新鮮な着眼点かもしれません。生き残っている者にも、死者に対する未練はあるはずで、そういう意味では現世と映画の世界は合わせ鏡のような存在なのかもしれません。

ただし、こっちから向こうには行けるかもしれませんが、向こうからこっちには戻ってこれないというところが決定的な違いです。自分の死を納得できる形にするのは、とても大変なことなんでしょう。特に事故などで突然の死を迎えた方には、並大抵のことではない。この映画では、死んで終わりではなく、死んでから始まるストーリーがあることを教えてくれます。

もちろん、あくまでも生きている人の想像にすぎませんが、誰もそんな世界を生きているうちに知ることはできないのですから、ファンタジーと言ってしまえば確かにその通りです。でも、一欠片のリアルを感じることがあれば、この映画は成功といえるのかもしれません。

注) 2月に公開されたばかりなので、紹介しているBlurayはおそらく中国製で正規品ではありません

2024年7月16日火曜日

キャラクター (2021)

監督は永井聡。原案と脚本は長崎尚志による、いまどき珍しいマンガと関係ないオリジナル作品。主演は飛ぶ鳥を落とす勢いの菅田将暉で、脇を固めるのが小栗旬なんですが、何といってもSEKAI NO OWARIのFukaseが、初演技でサイコパスを演じるのが最大の見物です。

人気マンガ家のアシスタントをしている山城圭吾(菅田将暉)は、作画能力が高いことは誰もが認めるものの、読者を魅了するキャラクターを描けないため、自身が自立することを諦めかけていました。

アシスタントとしての最期の仕事、「幸せそうな家」のスケッチをするため夜の街に出た山城は、クラシック音楽が聞こえてくるモダンな一軒家を見つけます。スケッチをしていると、近所の家から顔を出した人に「音楽がうるさい。止めるように言ってくれ」と頼まれ、家の中に入ってしまいます。

そこで山城はが目撃したのは、食卓を囲むように椅子に縛り付けらた4人家族の惨殺遺体でした。そして、庭から出ていく犯人を目撃しますが、真壁(中村獅童)や清田(小栗旬)ら警察の取り調べでは「誰も見ていない」と証言します。

山城は憑りつかれたように事件をヒントにして、目撃した犯人の姿を主人公にしたマンガ「34(サンジュウシ)」を書き始めます。これが大人気となり、1年後には恋人の河瀨夏美(高畑充希)と結婚してタワーマンションに引っ越していました。

そして山林の中で林道から転げ落ちた車の中で、あらたに4人家族の惨殺遺体が見つかります。清田は事件の様子が「34」で描かれたものと酷似していることに気がつき、山城に話を聞きに来ます。そして、もう一人、両角(Fukase)と名乗る青年も山城に接触してくるのでした。山城は両角を見て凍り付くのでした。

基本的には犯人が分かっているサイコ・スリラーですが、犯行の動機や山城との対決、そして衝撃的な小栗旬の役回りなどの見所満載の映画。とは言っても、2時間程度の映画の中で描くには話の展開が早すぎて、それぞれの人物描写が物足りない。それぞれの「キャラクター」が特徴的なのに、ネタの掛け捨てになっているような印象です。

その結果、誰にも感情移入できないので、映画の世界に没入しにくいところがあるように思いました。ただし、Fukaseの演技そのものは初めてとは思えない注目のものです。直接的な猟奇殺人のシーンはほぼ無いのですが、十分にサイコティックな怖さが伝わってきます。

全体のコンセプトは面白いので、ネット・ドラマで5~6話くらいで、もう少し丁寧に描かれるともっと興味深く仕上がったのではないかと感じます。

2024年7月15日月曜日

メタモルフォーゼの縁側 (2022)

名子役と言われたけど、大人になっても輝きを失わない俳優は必ずしも多くはありません。2009年デヴュー当時5歳だった芦田愛菜は、つし最近20歳になりました。2011年にドラマ「マルモのおきて」でブレーク。中学生~高校生は学業を優先してメディア露出は少な目でしたが、久しぶりにこの映画で、錆びつかない見事な演技を見せてくれます。

原作は鶴谷香央理の漫画で、監督は「青くて痛くて脆い(2020)」の狩山俊輔、脚本は「ちゅらさん」、「ひよっこ」の岡田惠和。「メタモルフォーゼ」とは「変化」とか「変身」という意味。

高校生の佐山うらら(芦田愛菜)は、いろいろなことを気にするタイプ。自分を表に出すのが不得意で、同級生で幼馴染の河村紡(高橋恭介)が他の女の子と仲良くしていることも気になっている。うららが本屋でバイトをしていると、75歳の市野井雪(宮本信子)が表紙の絵がきれいという理由でBL(ボーイズ・ラブ)コミックを買っていきました。

うららは雪が何度か訪れるうちに会話をするようになり、他のBLコミックを貸してほしいといわれ雪の自宅にも訪問するようになります。二人は年齢を超えてともだちになり、BLの魅力で大いに盛り上がるのです。

マンガを描くことも好きなうららは、自分が描くから二人で同人誌販売会に出ようと雪を誘います。その当日、雪が腰を痛めたため、一人で販売会に行ったうららでしたが、自分の場所を開くことができずにいました。そこへ紡がやって来て、「僕はこの話好きだよ」と言って1冊購入してくれたのです。

雪は知り合いの助けで車でなんとか近くまできたところで、車が故障し立ち往生。そこへ通りかかった販売会帰りの女性が、うららのマンガに興味を示し雪が持っていた一冊を買い取ってくれました。その女性は二人が大好きなマンガの作者であるコメダ優(古川琴音)だったのです。

雪の自宅の縁側で、二人がいろいろと語り合ううちに年齢差を超えた大切な時間を過ごし、まだまだ大人になり切れない不安定な揺れる思いを抱えるうららは、しだい自分の思いを表に出すように変わっていくのです。雪はこどもの頃を思い出し、自分にもまだ挑戦できることが残っていたことに気がつき、それぞれが「メタモルフォーゼ」していく。

大袈裟な波風が立つわけではありませんが、少しずつ汐が満ち引きするような内容で、最後まで飽きずに見ることかできました。BLについては趣味じゃないのでよくわかりませんが、登場する二人にとっても、おそらく遠いところにある存在だと思います。でも、遠いからこそ、未来を見るため、過去を振り返るためのきっかけとして機能したように思います。

2024年7月14日日曜日

そらのレストラン (2019)

大泉洋主演の伊藤亜由美企画・製作の北海道シリーズ第3弾。今作の舞台は、札幌と函館の中間、日本海に面するせたな町で、「海が見える牧場」です。前2作と異なり監督は深川栄洋、脚本は土城温美が担当しています。

設楽亘理(大泉洋)とこと絵(本上まなみ)の夫婦、そして娘の潮莉(庄野凛)の三人は、海が見える牧場を営み、採れた牛乳でチーズを作っていました。

幼馴染でもある近所の農家の富永芳樹(高橋努)、石村甲介(マキタスポーツ)と妻の美智(安藤玉恵)、イカ釣り漁師の野添隆史(石崎ひゅーい)と言った友人たちと毎日を過ごしていました。そこに脱サラで牧羊を始めたばかりの神戸陽太郎(岡田将生)が加わり、より賑やかさが増してきました。

彼らは収穫物を朝市に持っていくと、札幌の有名シェフである朝田一行(眞島秀和)がその美味しさに感動して、皆にそれらを使った創作料理をふるまいました。それぞれが、自分の作ったものには自信がありましたが、さらに美味しくなったことに驚きます。そして、この美味しさをもっと多くの人に知ってもらおうと、一日だけの「レストラン」を開こうということになります。

亘理は父親が亡くなり牧場を継いだ時に、近くのチーズ工房の大谷雄二(小日向文世)にこの牛乳じゃないとチーズが作れないと言われ、出来上がったチーズの美味しさに感動してチーズ作りの教えを請うたのです。以来、大谷を師匠と仰ぎ、度々味見してもらいますが、なかなか理想の味にたどり着けない。大谷の妻、佐弥子(風吹ジュン)はこと絵や美智らとの交流の中で、やさしい祖母のような役割をしていて、まるで仲間全員が一つの家族のようでした。

ある日、亘理は出来上がったチーズを大谷に吟味してもらうため持っていくと、彼は口にする前に「なんでチーズを作っているんだ。お前は・・・」と言いかけて倒れます。そのまま帰らぬ人になってしまい、師を失った亘理は目標を失ったことで牧場もやめると言い出すのです。

仲間たちがそれぞれのやり方で励ます中、佐弥子から贈られた鍵で工房に入った亘理は、たった一つ残っていた初めて牛乳を届けた日に作られたチーズを見つけます。それを食べてみると涙が流れ、亘理はやっと「大谷さんのチーズ」ではなく「自分のチーズ」を作らないといけないことに気がつくのでした。

ファンタジー色が強く、心が現れるようなやさしさが描かれた前2作に比べると、ストーリー性が強調され、起承転結がはっきりした内容になりました。前のふわっとした雰囲気が好きな人にはちょっと現実感が強すぎるかもしれませんが、物語としての面白さは一番かもしれません。

冒頭、吹雪の中、「海の見える牧場」を見たくてやってきたこと絵が初めて亘理と出会うシーンは、いろいろ賛否両論がありそうです。いきなり10年後に三人家族になっているのですから、話が突飛すぎる。ただ、この地で生活する厳しさ、その中で作られる牛乳の良さ、そして亘理とこと絵の人間性みたいなものが端的に伝わるシーンであり、夏の牧場のさわやかな雰囲気をより強調する役割があるように思います。