1971年もボブ・ディランの活動は活発です。1971年3月にアメリカ南部ロックを代表するレオン・ラッセルをプロデューサーに迎えて、新曲「When I Paint My Masterpiece」、「Watching The River Flow 」のセッションが行われました。シングルとしては発売されましたが、「Greatest Hits Vol.2」以外のアルバムには登場しないレアな名曲になっています。
そして、1971年8月1日、ジョージ・ハリスンが主催したマジソン・スクエア・ガーデンで行われた「バングラ・デシュ救済チャリティ・コンサート」のステージで、ディランは久しぶりに人々の前に姿を見せたのです。ハリスンの熱心な誘いを受けてのことでしたが、直前までディランが出演するかどうかはっきりしなかったため、代替案の準備も行われていました。
ディランのサプライズ登場に観客は大歓声を上げ、ハリスンのギター、レオン・ラッセルのベース、リンゴ・スターのタンバリンという豪華な面々による最小限の伴奏を加えて、誰もが知っているフォーク期の代表曲5曲を歌ったのです。これは、ディランにとって、嫌っていた過去の封印を解き、大観衆の前で歌う自信を復活させるという大きな効果がありました。
このコンサートで、再びディランが脚光を浴びると、1967年の「Greatest Hits Vol.1」に続く、コロンビアはクリスマス商戦に向けた「Vol.2」の計画を進行させました。ディランの凄いと同時に謎なところですが、「Greatest Hits」というタイトルなのに、未発表音源や新録音音源が多く収録されて、ある意味評判の悪かった「Self Portrait」の再現・仕切り直しとでもいうような内容になりました。ジャケット写真は「バングラデシュ」のステージ写真が使われ、実は写真の右側にはハリスンがいてお互い顔を見合わせている時のものです。
8月21日、刑務所から脱獄を試みたジョージ・ジャクソン受刑者が警備員により射殺されるという事件が発生します。ジャクソンは黒人の急進派共産主義者で、必ずしも擁護される人物ではないように思いますが、ディランはこの事件を11月にすぐさまシングルとしてリリースし、ジャクソンを悼みつつ「この世全体が監獄で、周りの人々は看守」だと歌いました。体制を批判するディランが帰ってきたと、世評では比較的好意的に受け止められました。
11月に「Greatest Hits Vol.2」は、LPレコード2枚組として発売されました。ディランのベスト盤は数多くありますが、売れ行きは好調でレア度ではトップクラスですので、コンピレーションですがチェックを外せません。オリジナル・アルバムに匹敵する価値があると言えます。
Vol.1との重複は無く、全21曲中今までのアルバムに未収録が6曲、特に3月のレオン・ラッセルとのセッション、そして9月に行われた旧友ハッピー・トラウムとの二人だけでのセッションは他では聞くことができない新録音です。なお、「George Jackson」は含まれていません。
大晦日には、ニューヨークのアカデミー・オブ・ミュージックで行われたThe Bandのコンサートにサプライズ登場します。すでにThe Bandはかつてのディランのバックバンドから、完全に独り立ちした人気を得ていました。日付が変わり1月1日になった頃に、予定されていたセットリスト終了後のアンコールとして事前の打ち合わせ無しで即興的に両者の共演が実現しました。
この日のライブは、「Rock of Ages」というタイトルで2枚組LPとして発売されましが、オリジナルではディランの演奏は含まれていません。しかし2013年にこの公演のコンプリート盤が発売され、現在ではその時のディランとThe Bandの熱い4曲を聴くことができます。ディランには大きな刺激になり、後の1974年合同ツアーへの布石となりました。
Stuck Inside of Mobile with the Memphis Blues Again (Blonde on Blonde)
The Mighty Quinn (Self Portrait)
* Previously unreleased
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