鈴井貴之の第2回監督作品で、脚本も自ら担当しました。北海道にこだわる鈴井が、今回はキャストもスタッフもほぼ北海道在住者で固めました。彼の育てたTEAM NACSのメンバーが総出演で、大泉洋は映画初主演です。
北海道の小学校の同窓会で、久しぶりに再会した4人。佐々木耕一(大泉洋)は警察官で、2か月前に通り魔に遭遇したものの、日頃から拳銃を銃弾を込めていなかったため被害者は殺され、犯人にも逃げられてしまいました。藤沢聡(安田顕)は殺された女性との結婚式を間近に予定していて、犯人と見殺しにした警察官を憎んでいました。
北海道の小学校の同窓会で、久しぶりに再会した4人。佐々木耕一(大泉洋)は警察官で、2か月前に通り魔に遭遇したものの、日頃から拳銃を銃弾を込めていなかったため被害者は殺され、犯人にも逃げられてしまいました。藤沢聡(安田顕)は殺された女性との結婚式を間近に予定していて、犯人と見殺しにした警察官を憎んでいました。
いじめに受けていた横井茂(音尾琢真)に誘われて、彼らは2次会としてバーにいきます。そこのバーテンダーはやはり同級生だった九重達也(戸次重幸)で、オリンピックを目指すスキージャンプ選手でしたが、交通事故で断念したのです。それぞれが口に出さずとも、忘れたい過去を引きづっていたのです。
そんな4人に謎の人物が接触してきます。北海薬品工業から「記憶を消す薬」を盗み出してほしいと依頼してきます。横井だけは、こどもが入院したと嘘をついて抜けてしまいます。転校生で半年しかいなかった横井は同窓会に呼ばれるはずが無いことに気がついた佐々木は、横井に対する疑惑を深めます。
流れに乗るしかないと思った佐々木は、藤沢、九重と製薬会社から首尾よく指定されたものを盗み出すことに成功します。しかし、藤沢は逃げ出してしまいました。仕方がなく、盗品の受け渡し場所とした、今では廃校になっている小学校へ向かいます。藤沢は歩いているところ、偶然を装って通りかかった横井の運転する車に拾われ睡眠薬を飲まされてしまいます。
廃墟となった小学校到着した佐々木と九重は、いきなり銃声を耳にします。佐々木は校舎に走っていきますが、足が悪い九重はその場にとどまります。そして、その後ろには銃を構えた横井が経っているのでした。
TEAM NACS総出演なのに・・・まったく笑いは有りません(ちなみにチームのリーダーである森崎博之は佐々木の先輩警官役)。サイコティックな要素も取り入れた陰湿なサスペンスです。映像は徹頭徹尾、暗めのブルーを基調として白黒に近い作りで、暗澹たる空気を増幅させています。またロングショットかアップで人物をとらえることで、極端な主観と極端な客観を表現しているようです。
おそらく大泉洋史上、最高に暗い口調で口数も少ない演技が見れると思います。これは、他のメンバーについても同じで、他の映画と比べても、これほど重たい雰囲気の作品はほとんど思いつきません。
結末は銃声のみで映像としては描かれていません。しかし、おそらく主要人物はすべて死んでしまったのではないかと想像させられる、最後まで希望を見出せない作品です。何故ならタイトルがそれを示している。
学校の浦に小川があり、生徒は毎年春に鮭の稚魚を放流していました。稚魚は皮を下り何年かして同じ川を産卵のため遡上し、産卵の後死んでしまう。つまり、元居た場所に戻ることは死を意味しているわけで、彼らは小学校に戻った時点で運命は決していたということ。
TEAM NACSを使って、真逆のキャラクターに挑戦したところは、彼らを良く知る鈴井だからこそできる芸当というところだと思います。中盤から横井の怪しさを出してサスペンスを盛り上げているのですが、残念ながら事件の動機としては弱いように思いますし、佐々木中心に展開していくので、もう少し丁寧に横井を描いてほしかったという感じがしました。