2022年1月23日日曜日

パエリアパンを買ってみた


実は、2年ほど前に一鉄製パアリア用の鍋を買ったんですが、底が歪んでしまい使えなくなりました。それ以後は、フライパンで調理していたんですが、やっぱりフライパンをドンっとテーブルに置くと言うのはあまり見た目がよろしくない。

見ての通り、うちはガスコンロが経年劣化で使えなくなって、もうずいぶん前からIHヒーターを二つ並べて使っています。

そもそもパンの底が歪むというのは、IHが急激な高温を作るせいらしい。最近は、パエリアを作る頻度が増えたので、やっぱり新たな専用鍋を使いたくなった。

最初にニトリで売ってた、右側の取っ手無しのフライパンが安かったので買ってみました。IH対応のアルミ製。普通にフライパンとして使うにはいいんでしょうけど、何しろ中心部でしか加熱されない。つまりヘリの部分がほぼ沸騰しない。

ということは、米が真ん中はお粥で、周囲は芯が残るという具合。やはり全体に熱が伝わり保持しやすい鉄製が欲しい。前回のは安さだけで選んだので、薄くていかにも安かろう悪かろうでした。

今回は左の奴で、左側の日本製のしっかりとした鉄製をチョイス。ただし、ダッチオーブンなどで経験済みなんですが、鉄製はメンテナンスを欠かせないところが面倒。慣れれば、それほど大変ではないのですが、油になじませ油膜のコーティングを維持することが大事。

まだ試していませんが、とりあえず普通のフライパンとして何度か使って油をなじませることから始めたいと思います。

2022年1月22日土曜日

どら焼き


どら焼きですが、今年の干支にちなんで「虎焼き」ということ。

表面を虎に似せてまだらに焼いたものとか、もう少し凝った「虎焼き」も巷にはいろいろありますが、これは外装のフィルムに虎のイラスト入り。

これは自由が丘の和菓子店、蜂の家のものです。

寅年だから特別に用意されたわけではなく、年始の進物用に毎年干支のイラストで包んだものを出しているようです。たまたま今年が「虎焼き」でゴロがいいだけ見たい。

例えばカステラの文明堂のどら焼きをスタンダードとするなら、これは生地がふかふかして柔らかい。あんこは、こし餡とつぶ餡の中間みたいな感じで、甘すぎないすっきり系。

重たくないので、何個でも食べれちゃう感じです。

2022年1月21日金曜日

39 刑法第三十九条 (1999)

日本の刑法第39条は、

(心神喪失及び心神耗弱)
第39条
1. 心神喪失者の行為は、罰しない。
2. 心神耗弱者の行為は、その刑を減軽する。

というもので、平たく言えば犯行時に精神的な病的な状態であれば罪を問わないというもの。

被害者、および被害者関係者にしてみれば、おそらくほとんど場合、到底納得できるものではなく、この条項が適用された場合は多くの禍根を残すことは容易に想像ができます。

近年の凶悪犯罪でも、しばしば被告人の精神鑑定が求められたと言う話はしばしば耳にしますし、犯罪事実を覆すことが不可能であれば、弁護側が使う常套手段のようなところもある印象です。

この映画は、この条項を逆手に取った犯人に対する裁判の過程で、精神鑑定の難しさがテーマになっています。監督は森田芳光、脚本は大森寿美男で、重厚なテーマをしっかりと描いた力作と言えます。

劇団員の柴田真樹(堤真一)は、畑田修・恵夫婦を刺殺したとして逮捕されます。弁護人となった長村時雨(樹木希林)は接見で、大人しい柴田が急に狂暴な表情に変わるのを目撃したため精神鑑定を請求します。

精神鑑定をすることになった藤代実行教授(杉浦直樹)は、助手の小川香深(鈴木京香)と共に拘置所を訪れ柴田と面会します。鑑定中に豹変した柴田は、香深を押さえつけ首を絞めようとします。教授は柴田を多重人格と鑑定しますが、香深は首を絞められたときに殺意を感じなかったことから、詐病を疑い草間検事(江守徹)にあらためて自分に鑑定をさせてほしいと願い出るのです。

殺された畑田修は、実は15年前に女児連続殺人の犯人として逮捕されながら、刑法第39条により罪を逃れていたのでした。柴田を逮捕した名越刑事(岸部一徳)も、香深に協力して柴田の足取りを調べたところ、15年前の被害者の兄、工藤啓輔の存在が浮かび上がってきました。

啓輔は別の男と戸籍を交換し、自分はホームレスだった柴田利光(國村隼)の死んだと思っていた息子として生活し、その間に徹底的に精神医学、心理学などの本を研究していたのです。香深の依頼を受けて草間検事は、裁判の場で、公開の精神鑑定を行うことを要請します。裁判官、検察、弁護人、そして傍聴人の見守る中、向き合って座った香深と柴田の静かな対決が始まるのでした。

森田芳光監督は、もともとはトレンディな商業映画で成功し、ユーモアを持った作品が多い人でしたが、90年代前半は自身の映画作りに悩み、沈黙した時期がありました。しかし1997年の「失楽園」で復活し、その次にメガホンをとったのが本作です。復活後は、重いテーマを扱うことが多くなり、作家性を強く出すようになりました。

この映画は、森田作品の中での注目度は高いとは言えないのですが、たくさんの達者な俳優による抑制された演技に支えられて、そして考え抜かれた編集によって実に見ごたえのある一本に仕上がっています。

主演の堤真一は、まだTVドラマの「やまとなでしこ(2000)」でブレークする直前ですが、舞台出身の確かな演技で二つの人格を表現しています。また、その別の人格が演技であるという演技も素晴らしい。鈴木京香は、すでに多くのドラマで人気女優の地位にありましたが、ここではこれまでにない自らも心理的トラウマを抱え、物静かですが芯の強い役柄を演じました。

映像は、俳優はアップが多い主観的なカットを多用して周りの雰囲気を意図的に消しているように思います。景色が入るときはカメラを傾けて、構図に不安感をにじませています。動く時は、手持ちカメラのようなブレもありドキュメンタリー的。銀塩残しと呼ばれるざらついた画面で彩度を抑えて、全編にわたって重圧感を出し続けています。

刑法第39条によって無罪放免された犯罪者に対して被害者家族が長年に渡って消えない傷をうけたこと、そして復讐のため自らが第39条を利用することによって、映画の中でこの法律の不合理さを訴えています。復讐を良しとするものではなく、法律そのものの是非を問うことが、被告人側だけでなくその精神を鑑定する側からも提起されるところが忘れてはいけないポイントになっています。

森田監督の代表作とは言えないかもしれませんが、ファンなら避けてはいけない作品であり、日本の法廷映画としてもしっかりと評価されるべきものだと思いました。いまだにブルーレイ化されていないのが残念です。

2022年1月20日木曜日

自宅居酒屋 #47 カキ炒め


柿じゃなくて牡蠣。牡蠣を炒めるだけ。

生食用より加熱用がちょっと安い。まず洗いましょう。ひだひだのところに汚れが残っています。

薄めの塩水でもにょもにょとすると、けっこう汚れが浮いてきます。水気はできるだけ切っておきます。

さて、炒め方は・・・こういう時はオリーブオイル+にんにくが最強です。熱くしたオイルにニンニクを入れて香りか立ったら、牡蠣を投入。

炒めすぎると、牡蠣が縮んじゃうし、せっかくの美味しいスープが出てしまいます。全体に熱が通るように混ぜながら、汁がでてきたらお終い。だいたい2分程度でしょうか。

最後にかなり少なめに塩を薄くパラっとかけて、レモン汁を回しかければ完成。イェィっ!!

2022年1月19日水曜日

ビルの修繕工事 経過報告


クリニックが入っているベルヴィル茅ヶ崎ビルの修繕工事が、昨年11月末から始まっています。12月なかばにビル全体を覆う足場が完成し、さぞかし窓の外を作業する人が行き交うのかと思ったら、意外にそうでもない。

確認していませんけど、常時作業しているのはビル全体で数人? という感じです。窓の外に人を見かけるのは日に1回有るか無いかというところ。どうも、そのために一日中ブラインドを閉じておくというも、暗くなりすぎて気が引ける。

年末・年始でテナントが休みの間は、内部の共用部分の塗装作業が一気に行われたようで、年明けから有機溶媒の独特の匂いがありました。

年明けからは、穴をあけるドリルなのか、ネジを締めるドライバーなのか、何かの電動工具を使った音が聞こえるようになりました。正直、けっこううるさく聞こえます。

どこでやっているのかと思って窓を開けて上下左右を眺めても・・・誰もいません。構造に振動が響いてくるせいか、どこにいてもよく聞こえるようです。

受診した方々には、引き続き御迷惑をおかけしますが、こればかりはどうしようもないのでご了承ください。

今週は、ビルの備え付けの天井のエアコンについて、取り換えのために調べるそうです。この手のエアコンはおよそ工事費込みで1台につき20万円くらいかかると思いますが、うちのクリニックだけで6台。たぶんビルのテナント部分で40台ちかくあると思うので、これだけでもけっこうな金額になりますよね。

2022年1月18日火曜日

オンライン資格確認


オンライン資格確認というのは、まだまだ耳慣れないとは思いますが、マイナンバーカードが保険証になるシステムと言うとわかるでしょうか。

日本は国民皆保険制度の国で、原則としてすべての国民は健康保険に加入し、病院を受診する際には保険証を提示することで、かかった医療費のうち自己負担分は0~3割ですみます。

そこで健康保険証とマイナンバーを紐づけして、マイナンバーカードを読み取ることでそれぞれの保険組合にネットを通じて照会をするというのがオンライン資格確認です。

マイナンバーカードに含まれているのは、顔写真とその人のマイナンバー、連絡先などですから、保険証情報が含まれるわけではありません。

これまでの保険証の手作業の確認は、ときどき間違いが発生することはゼロにできませんでしたが、このシステムによってご入力は限りなく減ると期待できます。

また、稀に勘違いや、大変残念なことですが時には意図的に無効の保険証を提示する方もいますが、これもその場でチェックできる。

うちのクリニックでは年末に準備を終え、年明けから運用を開始しましたが、マイナンバーカードを使用した方は、まだまだごくわずか。マイナンバーと保険証の紐づけは、設置している機械でその場で簡単にできます。

・・・ですが、実際使い始めると、まだまだ保険組合の方でマイナンバーとのデータ整合が完了していないのがかなりあります。オンライン照合しても、データなしで画面はくるくるするばかり。

こういうシステムをしっかり根付かせるためには、大元のデータをちゃっとしてくれないと意味がないんですけどね。

2022年1月17日月曜日

ザ・ファーム 法律事務所 (1993)

トム・クルーズが若手敏腕弁護士を演じていますが、裁判は特に無い。つまり法廷物ではなくて、弁護士事務所を舞台に陰謀に巻き込まれるサスペンス系の映画です。原作はジョン・グリシャムのベストセラー小説です。監督は名匠シドニー・ポラックで、ジーン・ハックマンが若いクルーズを盛り立てます。

ハーバード大学法科を優秀な成績で卒業したミッチ・マクディーア(トム・クルーズ)は、破格の条件でメンフィスの法律事務所に就職し、妻のアビー(ジーン・トリプルホーン)と共に新天地に向かいます。

所長のオリヴァー・ランバート(ハル・ホルブルック)、ミッチの指導に当たるエイヴァリー・トラー(ジーン・ハックマン)に歓迎され、最初は有頂天だったミッチでしたが、仲間の弁護士二人が謎の死を遂げ、ミッチの周囲にも謎の男たちが出没するようになりました。

この事務所はシカゴのマフィアと深いつながりがあり、彼らの資金を浄化して海外に貯える操作をしていたのです。ある程度中堅になって来るとマフィアの話を打ち明けられ共犯として抜けることができないようにしていました。

ミッチは就職時に収監されている兄がいることを隠していましたが、面会に行ったときに事務所の謎を調べるために私立探偵を紹介してもらいます、しかし、調査を開始した途端に探偵は殺されてしまい、謎の男たちが接近してきました。彼らはFBI(エド・ハリス)で、ミッチに事務所の不正、マフィアの資金源についてのファイルを渡すよう迫ってくるのです。

ミッチは兄の保釈と引き換えに了承しますが、いくら悪者とはいえ顧客の情報を開示してしまうことは弁護士資格を失うことになるのです。そこでミッチは、事務所が費用を顧客へ水増し請求していることに目を付け、自分は罪とならない方法で事務所の不正を暴くことにしたのです。

「ア・フュー・グッドメン」に続いて、クルーズは弁護士の役。今作では、裁判とかより弁護士の収入になる実務、つまりクライアントの資産管理・税金対策などに焦点が置かれていて、特に守秘義務が大きなポイントになっています。そして訴訟大国と言われるアメリカでは、いかに弁護士が高給取りの美味しい商売というところも見て取れる。

クルーズは「ミッション・インポッシブル」前夜にあたり、またもやジーン・ハックマンのような大物の名優と共演できる機会を得ましたが、欲を満たすことを優先して陰謀に巻き込まれ、しだいに何が大切なのかに気が付いていくところをうまく演じています。アクションは全力疾走くらいですが、演技で自分を映画の枠の中に目立たせることにかけては天才的という感じがしました。

ポラックの演出はもちろんあまり文句をつけるようなところはありませんが、2時間半という長さで、ややだれ気味のところも無いわけではありません。音楽を担当したのはフュージョン音楽畑で有名なデイブ・クルーシンで、全編にわたってブルージーなピアノを主体にした音楽が登場します。

2022年1月16日日曜日

裁判長!ここは懲役4年でどうすか (2010)

裁判、とか・・・法廷、とか・・・そんなキーワードで映画を探してみたんですが、外国と日本では司法のシステムの違いがあるので、邦画も含めてみた方が良いかと。

そんなわけで、ひっかかったのがこの映画。北尾トロ氏の裁判傍聴をテーマにした2003年のエッセイ集が原作で、それを元に2007年にマンガになり、2009年にテレビドラマ(主演・向井理)、そして2010年に映画になっちゃいました。

監督は豊島圭介という人で、最近だと「三島由紀夫vs東大全共闘〜50年目の真実〜(2020)」が話題になりましたが、主としてコメディタッチの怪談とかが得意みたい。

売れない脚本家の南波タモツ(設楽統)は、怪しげな映画プロデューサーの須藤(鈴木砂羽)に依頼され「愛と感動の裁判映画」の脚本を書くことになったため、実際の裁判を知るため裁判所に通うことになります。

南波は裁判を傍聴することを生きがいとする「傍聴マニア」の西村(螢雪次朗)、谷川(村上航)、永田(尾上寛之)らと知り合い、いろいろな法廷で被告だけでなく、それぞれが個性的な裁判官、検事、弁護士など裁判に関わる人々に興味が湧いてくるのでした。

しかし、美人で攻撃的な追及を身上とする長谷部真理検事(片瀬那奈)に、傍聴マニアは「他人の人生を楽しむ」だけと非難され、南波は落ち込んでしまいます。西村は、傍聴するだけで裁判に関われない自分たちでも、KOパンチは撃てなくてもジャブは出せると、冤罪かもしれない事件を紹介します。

彼らは協力して、事件の弁護士にディベートに勝利するアイデアを匿名で送ったり、担当検事が集中しにくい変人の傍聴人をそろえたり、裁判長の出勤に合わせて息子の無実を訴える母親を配置したりといった作戦を展開しました。めったにお目にかかれない逆転無罪を期待する裁判が開廷しましたが、その冒頭で何と被告は自ら自分が犯人だと自白してしまうのでした。

原作はもとよりマンガもドラマも知りませんので、あくまでもこの映画だけについてのことですが、軽いタッチで裁判のシステムを紹介することには成功していますが、映画としてはテーマが希薄。笑わせ方も、俳優たちの大袈裟な演技だけに頼っているだけという感じです。

バナナマン設楽が主役で初の演技をしていますが、演技達者な脇役で固めてそつなく自然な演技を見せています。ただし、南波というキャラ自体は笑えるところがほとんど無いので、コメディアンを起用した意図がよくわからない。いろいろな裁判を傍聴するため小さなドラマを積み重ねた群像劇みたいなところがあるのですが、わざわざ映画にするほどではないかと・・・

2022年1月15日土曜日

自宅居酒屋 #46 肉じゃが



家庭料理としてはド定番の肉じゃがです。


それぞれの家にそれぞれの味があってもいいので、逆に絶対的なレシピなんて無くて当然。食べなれた味が一番というもの。

ただし、必要不可欠な材料はじゃがいもと肉。肉はたぶん普通は豚肉ですが、牛肉を使う人もいるかもしれない。

できるだけ入れる物としては、たまねぎ。それと、コンニャクまたはしらたき・・・今回は無かったので、代わりと言っては何ですが余っていた椎茸を使っちゃいました。ニンジンが入っていることもありますよね。

味付けは、ひと頃、醤油のCMで「醤油とみりんを1対1」なんてやってましたけど、実際やってみると何か物足りない。やはり、少し出しがあった方が格段に美味しい。

煮方は、ずっと煮続けてじゃがいもがぐすぐすになったのが好きという人もいるでしょうけど、自分は煮崩れたのはあまり好きじゃない。

10分くらい煮たら、味付けして一度火を止めます。冷えたらもう一度沸騰させて、また火を止める。冷める時に味が染み込みます。時間があるときは、さらにもう一度温め直すして冷ます。

とか、ぐすぐす言っていないで、まぁ、好きなように作ればいいんじゃないでしょうか。

2022年1月14日金曜日

自宅居酒屋 #45 アクアパッツア



居酒屋メニューですから、簡単で早く作れることが大事。

それにしては、ずいぶんとシャレたものを出すと思うでしょうが、これがまさに簡単で早く出来上がるんですよ。

アクアパッツアはイタリアの代表的な魚料理ですけど、aqua pazza は英語だと crazy water。つまり「狂った水」ということ。魚を水で煮るだけの料理。

切り身の魚なら何でもOKですが、白身が合うので、鯛とかヒラメとか・・・今回は鰆(サワラ)を使いました。あとは冷凍シーフードです。

まずオリーブオイルでニンニクを炒めます。香りが出たら、エビ、アサリ、カキなどを投入。魚は焦げ目がつく程度に焼いたところで、カップ一杯程度の水を入れて10分間程度煮るだけ。

今回はトマト、しめじ、そして正月に余った三つ葉も使いました。調理時間は15分程度です。

あれっ? 味付けは?

そうなんです。何もしてません。魚介から染み出る塩味だけなんです。どうしても薄いと思う方は、ちょっと塩を追加してもいいんですが、スープが煮詰まりますので注意しないと塩辛くなります。

基本は水だけでOKですけど、白ワインが余っているなら、これを使えばさらに美味。

ワイン飲みた~い!!

2022年1月13日木曜日

ア・フュー・グッドメン (1992)

法廷物と言っても、ちょっと毛色が違う映画です。これはアメリカの軍事法廷の話。アメリカ軍内部での司法は、一般の物とは独立したものですが、同じような仕組みがある。

軍内での犯罪に対してはMP(Military Police)が捜査・犯人逮捕までを行います。軍の中の法務部に検察と弁護を担当する係がいて、軍事法廷で裁きを決定します。そこには軍関係者からなる裁判官と陪審員もいる。

主演のトム・クルーズにとっては、演技派俳優として成長の過程における重要な作品の一つであり、共演した名優ジャック・ニコルソンから多くのことを学ぶ機会を得た映画となったはずです。

監督はスマッシュ・ヒット作が多いロブ・ライナーで、脚本はアーロン・キーソン。元々はキーソンの書いた舞台劇が原作。アカデミー賞の多くの部門にノミネートされましたが、イーストウッドの「許されざる者」に敗れ残念ながら受賞は逃しました。

キューバの海兵隊基地でリンチによる殺人が発生し、表向きは禁止されている体罰を意味する「コード・レッド(Code R)」が発令されていました。犯人として逮捕された二人の兵士は、上官からの命令に従ったもので、海兵隊としての義務を履行したと主張します。

彼らの軍事裁判で弁護士に任命されたのは、海軍法務官であるダニエル・キャフィ中尉(トム・クルーズ)で、補佐にはジョアン・ギャロウェイ少佐(デミ・ムーア)がつくことになります。キャフィは事前の司法取引ばかりで、実際の法廷に立つ経験はありませんでしたが、有能な弁護士だった故人である父親に対する対抗心がありました。

キューバに飛んだキャフィーらは、基地の司令官、ネイサン・R・ジェセップ大佐(ジャック・ニコルソン)と面会しますが、彼は軍に対して誇り高く、兵士を強くするために神のような存在となっていました。

裁判が始まり、検事側のジャック・ロス大尉(ケヴィン・ベーコン)の巧妙な進行に苦戦します。ジェセップの副官であるマーキンソン中佐がコード・レッドを隠蔽する工作をしたことをキャフィーらに話しますが、彼は証言前に自らの責任を死をもって償います。

切り札の証人を失ったキャフィーはついにジェセップ大佐を喚問する決意をしますが、上級士官に偽証の疑いをかけることは自らも軍事裁判にかけられる危険もはらんでいました。しかも、証拠はすべて消されていて、ジェセップ大佐にコード・レッドを発令したことを自白させるしか方法は無いのです。

主演は確かにトム・クルーズなんですが、ジャック・ニコルソンの存在感たるや半端ない。法廷の扉が開き、ニコルソンが入って来ただけで、画面に物凄い緊張感が走るのはさすがです。実際、本読みでも全開の演技で共演者をびびらせたらしい。最終対決での「お前に真実などわからん!! (You can't handle the truth)」は名セリフとして記憶されています。

元は舞台劇ですが、ここでは映画として屋外でのロケもあり、野球好きのキャフィーが度々グランドにいたり、キャフィーらの作戦会議が彼のアパートだったりと場面転換をうまく使っています。裁判の緊迫するシーンとのバランスがうまく取れていて、大変重たいテーマの映画ですが窮屈感を軽減しています。

一つ、当たり前ですが驚いたのは、本編終了時に「The End」と画面の真ん中に表示されたこと。70年代くらいまでは、スタッフ、キャストは冒頭に紹介され、最後に「The End (フランスならFin、日本なら完または終)」が表示され終了が普通でした。最近のように、本編終了後に延々とスタッフ・ロールが流れる(10分近いものもある)ことはまずありませんでした。この映画では「The End」の後にスタッフ・ロールもあるので、何か特別な意図があるのかもしれません。

2022年1月12日水曜日

告発 (1995)

アルカトラズ・・・サンフランシスコ湾のなかにある小島で、連邦政府刑務所があったことで有名です。禁酒法時代に整備され、アル・カポネなどの有名な犯罪者が収容されたことでも有名で、周囲を流れのはやい潮流で囲まれた小島は自然の要塞と化し、脱獄不可能と言われていました。

しかし、1963年に閉鎖されるまでに、14回、延べ36人が脱獄を試み、23人は拘束、6人は射殺、2人は溺死、そして5人は行方不明(おそらく溺死)とされています。

クリント・イーストウッドが演じた「アルカトラズからの脱出(1979)」では、ほぼ事実に基づいた1962年のフランク・モリスの脱獄が映画化されています。もとから施設の維持費用が他の刑務所に比べて高い事などが問題視され、モリスの脱獄により、施設の老朽化などが明らかになり閉鎖に至ったとされています。

強盗、殺人などを繰り返していたヘンリー・ヤングは、1933年にアルカトラズに収容され、1939年1月に脱獄の失敗により22か月間の独房収容となり、独房から出された1940年12月に脱獄の仲間だった囚人を刺殺しました。ヤングの裁判により、アルカトラズにおける非人道的な囚人の扱いが明らかになりました。

この映画はヘンリー・ヤングをモデルとし、マーク・ロッソが監督した、映画冒頭に示される自称「真実の物語をもとにしている」ストーリーです。自称としたのは、ヘンリー・ヤングのキャラクター設定を、あからさまに観客が同情できるように改変していることによります。

映画ではヘンリーはたった5ドルを盗んだだけで収監されたことになっていて、脱獄失敗後に3年半の間独房に入れられたことになっています。そして殺人罪の裁判で事実上の勝利(傷害致死罪)を得るのですが、絶望のアルカトラズに戻されたことで(おそらく)自殺してしまいます。

ヘンリー・ヤングはたった5ドルを盗んだだけではなく、銀行強盗もしているし殺人も犯している。独房に入っていたのは22か月(それでも長いですが)、そして裁判の後は別の刑務所に移され後年保釈されています(Wikipediaより)。フィクションとして多くの非人道的な扱いに屈することが無い人間のストーリーならばわかりますが、明らかに「事実に基づく」とすることで、より大きな感動を呼び起こそうとする作為は反則です。

それでも感動のストーリーとして絶賛する声も理解できますが、話を作り過ぎという気持ちはかなり興味をそがれることも否定できません。ただし、ヘンリー・ヤングを演じたケヴィン・ベーコンの熱演は見事で、彼にとっても代表作の一つに数えることができるものだろうと思います。また、囚人を苛め抜くグレン副所長を演じたゲイリー・オールドマンのサディスティックな演技も凄まじい。

もっとも、この映画の見所はヤングの裁判を通して、アルカトラズの囚人に対する虐待行為を告発することにあります。ヤングの弁護士となったジェームズ・スタンフィル(クリスチャン・スレーター)は、ある意味政府の犯罪を明るみにしようとしているので多くの妨害を受けることになります。ヤングとスタンフィルの間にはしだいに友情のようなものが芽生えてくるのですが、事実がどうだったかは判断できません。

この事件は、世間がこの刑務所に疑惑の目を向けるきっかけにはなったかもしれません。しかし、実際この事件のあとモリスの脱獄まで20年もアルカトラズは刑務所として使われたわけですから、映画的にこの事件が閉鎖に追い込んだという見方に誘導するような終わり方にも問題があるかもしれません。

2022年1月11日火曜日

チョイ見え


自宅付近からは富士山は見えます。

と言っても、立派な富士山ではありませんけど。上の方だけ、丹沢の山なみから頭だけ出している感じ。

坂道の上側ではこんな感じですが、坂道の下だとたいてい見えません。

全国に「富士見」という地名は山ほどありますが、調べた人がいて、37都道県で419件あるらしい。

結局、ビルが建ったりしてその全部で見えるわけじゃないでしょうが、そのくらいあちこちから富士山がランドマークとして認知されているということ。

もっとも、富士山が富士山らしく見えるのは、せいぜい100km圏内くらいでしょうか。

2022年1月10日月曜日

12人の優しい日本人 (1991)

日本にはこの映画の時点では陪審員制度もありませんし、裁判員制度も始まっていません。これは「十二人の怒れる男(1957)」に触発されて、もしも日本の裁判に陪審員の仕組みがあったらという三谷幸喜が書いた舞台劇(1990年初演)を映画化したもの。監督は、日活ロマンポルノ出身の中原俊。

陪審員1号 塩見三省
 陪審員長。有罪とする責任から逃げたい。
陪審員2号 相島一之
 妻と別居中の会社員。「話し合いがしたい」と言って強硬に有罪を主張。
陪審員3号 上田耕一
 喫茶店経営。アル中で議論や会議が苦手。
陪審員4号 二瓶鮫一
 元信用金庫職員。何となく無罪という意見を変えない。
陪審員5号 中村まり子
 独身OLで、几帳面なメモ魔。
陪審員6号 大河内浩
 セールスマン。仕事が気になりやる気がない。
陪審員7号 梶原善
 職人。気性が荒く、被害者を嫌悪する気持ちから無罪を主張。
陪審員8号 山下容莉枝
 若い主婦。優柔不断で意見は二転三転。
陪審員9号 村松克己
 歯科医。議論好きな自信家で、議論のために有罪説を展開する。
陪審員10号 林美智子
 クリーニング店経営者。気が弱いが、何となく無罪を変えない。
陪審員11号 豊川悦司
 役者。 最初は無関心だったが、途中から弁護士と称して無罪に味方する。
陪審員12号 加藤善博
 スーパーの課長。仕切りたがり、合理的な考え方をする。

何ともあっけない始まり。陪審員として集まった12人。じゃあ、最初に被告人が有罪か無罪かで決を採ると、全員無罪ということで会議は終了(怒男ではヘンリー・フォンダ一人を除いて有罪)。ちなみに、事件というのは21歳の女が復縁を迫る元夫を突き飛ばしてトラックに轢かれて死亡させたというもの。

・・・と思ったら、2号が「話し合いがしたい」と言い出し、有罪を主張。やたらと議論を吹っかけてくるのです。いろいろとぐちゃぐちゃな議論の末、被告人には殺意があった可能性が出てきて、有罪と無罪が6対6で同数になってしまいました。無罪派は被告が可哀そうとか、若くて綺麗だからとか、死んで当然の男だからとか、人情論・同情論で譲らない。

結局、殺意ありだと計画殺人で場合によっては極刑もあるので、有罪派は殺意があったことは忘れるから、無罪派は傷害致死での有罪で妥協してくれということになります。ところが、4号と10号だけがどうしても無罪と言い張り、その根拠は・・・無い。しかし、それまで無関心だった弁護士だと名乗る11号が、急に有罪の根拠を崩し始めるのです。

当然「怒男」のパロディ的な側面が多く、三谷幸喜らしいひねくれたシュールな笑いが随所にみられる作品です。当然、元々舞台用ですし、ほとんど会議室の中だけの会話劇ですが、元ネタと相反するような展開を見事に作り上げた脚本の良さは認めないわけにはいきません。

とはいえ、2号が一人有罪を強く主張し、次から次へと無罪派の根拠が曖昧であることを指摘していきますが、有罪を主張する側にも確固たる根拠は無いというところを誰も指摘しません。結局最後のオチみたいな所に持っていくためにあえて触れなかったのかもしれませんが、そこが見ていてイライラする感じがします。

今では11号の豊川悦司だけが主役級ですが、その他の出演者は力を持ったバイプレーヤーばかりで、映画と演劇の中間地点での落としどころを良くわきまえたセリフ回しが素晴らしい。演劇を目指す方にはとても参考になる演技ではないかと思います。