2009年4月30日木曜日

情報の整理整豚 part 2

4月29日はドイツ、オーストリアで感染者が確認されました。そしてアメリカで初の死者が出たというのがね大きなニュースになりました。ただし、これはメキシコから来た乳児だそうです。そのメキシコの死者数は159人で、やや鈍った感はありますが、まだまだ安心できません。たぶん治療体制がだいぶ整ったということでしょう。

いまだにメキシコに圧倒的な死亡例の原因はわかっていませんが、保険制度の関係でかなり重篤になってからしか受診しないという事情が取りざたされています。

さて4月30日、今朝WHOは警戒レベルの引き上げを発表し、フェーズ5が宣言されました。もう後がありません。つぎはパンデミックです。

このGWで仕事に行かないですむことで人の動きが減るか、レジャーで大移動するかが日本の感染の大きなキーになりそうです。怖いのは豚ではありません。本当に怖いのは人間です。

初期感染は弱毒かもしれませんが、人から人への感染を起こしていくうちに強毒に変異していく可能性が指摘されています。

やはり、あまり楽観的に考えず慎重な行動が望まれるという状況だということです。

2009年4月29日水曜日

Brahms Complete Works

クラシック音楽デフレも相当な物で、だから自分のような者には助かるわけです。

もともと名盤とか言われていた演奏が廉価盤専門レーベルにライセンス供与されて限定枚数で安くなるのは当たり前。ところが、クラシック音楽のレーベルとしては老舗で、現在でも最強のグラモフォンが自らの廉価盤を出すと、そこには"超"のつく名盤が目白押しですから、注目度は俄然高くなります。

そんなわけで、突然売り出されたのがこれ、ブラームスの大全集。もっとも、完全な全集ではなく、多少ははしょってありますが、ブラームスのほぼ全てがこの1セットで揃ってしまうと言えます。自分のようにブラームスが大好きというほどではない者にはちょうどいい。

クラシックの3Bといえば、バッハ(J.S.Bach)、ベートーヴェン(Beethoven)、そしてブラームス(Brahms)となるわけですが、ブラームスはよく難しいと言われ、モーツアルトのような取っつきやすくがなく、ごつごつした無骨な玄人好みという印象があります。

実際、自分もあまり好みとは言えなかったので、値段に引かれたオピッツのピアノ独奏曲全集の1セットしか持っていませんでした。室内楽のセットも幾度となく探してみましたが、どうしても購入する決断がつかずにここまできていたのです。

ところがこのセットはCD46枚組というのに13,010円。HMVのマルチバイを利用すれば、なんと8,457円という驚きの価格で購入できます。しかもポイントも考慮すると、さらに840円値引きして実質7617円です。1枚当たり166円という、100円ショップも驚く値段。

これでカラヤンの交響曲全集、ポリーニのピアノ協奏曲、ムターのバイオリン協奏曲、アバドのセレナーデ、アマデウス四重奏団の室内楽いろいろ、ケンプらのピアノ曲など、簡単に揃ってしまいます。フィッシャー=ディースカウを中心にした歌曲物も18枚にわたって収録されているという、いたれりつくせりのセットなのです。

ほんとかどうか完全限定となっている以上、自分のようにもともとほとんどブラームスを持っていない者としては有無を言わさず買わざるを得ない。

あ~、また聴く時間も無いのにこんなものを買ってといわれてしまいそうです(誰に?)が、現在唯一の道楽なもんで許してください。ハイドンの交響曲を聴き終わって、何とか6月中には聴き始めたいと思うわけです。

情報の整理整豚

最初の日本でのニュースは4月24日、米疾病対策センターが豚インフルエンザに感染した患者が全米で7人見つかったと発表したわけです。この時点では豚と鳥のインフルエンザが豚の体内で混合して変異し、ヒトに感染するようになった新型インフルエンザと推定されていました。また毒性は弱く患者は回復しており、重大な懸念は無いとも伝えられていました。

翌25日になって、世界保健機関(WHO)がメキシコで3月末からインフルエンザによる60人の死亡があり、豚インフルエンザの疑いがあることを発表しました。さらに同日、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」と認定しメキシコ(死者81名)とアメリカでの感染拡大も公表され、かぜん危機感が強まったのです。

4月26日には、メキシコとアメリカで非常事態宣言。WHOはメキシコとアメリカの患者から検出されたウイルスがH1N1型の新型インフルエンザであると確定しました。メキシコの死者数は103人に増加。さらにカナダ、ニュージーランドでも感染が確認されました。このあたりから、経済界へもさまざまな影響が出始めています。

4月27日にはスペイン、イギリスでの感染が確認され、メキシコの死者数は149人とさらに拡大しました。半年後を目標にワクチンの製造が開始されたと発表され、WHOは2005年に制定された新型インフルエンザの感染拡大に対する警戒フェーズを初めて、引き上げる可能性を示唆しています。

そして実際に翌4月28日早朝にWHOが緊急委員会の結果を受けて、警戒レベルをフェーズ3からフェーズ4への引き上げを発表しました。WHOの警戒レベルの定義では、フェーズ3は新型インフルエンザの人への感染が確認された段階、フェーズ4は地域社会での人から人への感染、フェーズ5はある地域における少なくとも2カ国での人から人への感染、フェーズ6は2地域以上の世界的な感染拡大(パンデミック)を意味します。

日本でも比較的迅速に国は反応して、WHOの発表から間髪をあけずに厚労相が会見を行い、事態をメディアを通じて報告。昼には総理大臣を本部長とする対策会議を招集しました。感染地域への渡航延期を勧告、また感染地域からの入国者に対する検疫体制を強化しました。メキシコでの死者数は152人となっています。

4月29日朝の時点では、イスラエル、コスタリカでも感染確認、韓国でも疑い症例が報告されています。感染が確認された、または疑われる地域は23カ国に上っています。そしてWHOはさらにフェーズ5への引き上げの可能性にも言及しました。

ここまでの感染の拡大は大変早く、世界の人の移動の広域化・高速化が想像以上に進んでいることを意味していると考えられます。それに対する、対策の推進も現状では劣っているわけではありません。比較的素早い対応が行われているものと考えられますが、対策が始まるまでに感染した人がどの程度いるかが問題です。

早ければ、日本でGW開けまでに沈静化のめどが見えてくるのではないかと思えます。しかし、その時点でも感染の拡大傾向が続く場合には、最悪ワクチンが出回るまで流行が継続する可能性があります。実際に日本国内で発生してしまった場合には、そこからの体制についてはまだ準備不足であることは否めません。

ただ、楽観的に考えられるのは、現時点ではメキシコ以外に死者がでていないこと。メキシコだけに死者が集中している理由についてはWHOも理由は不明としていますが、ウイルス自体の毒性は比較的強くないと考えられます。またメキシコに比べて、この時期日本は湿度がありますので、真冬のような通常の流行にはなりにくいのではないかと考えることができます。

2009年4月28日火曜日

豚は飛ばない

ですから、先週メキシコで数人の死者が出ているとの報道があった後、適切な報道が続いていれば、多くの日本人はメキシコなどへの渡航を控えたかもしれませんね。

ところが、日本のニュースは芸能人の酔っぱらい事件の話でもちきり。あのNHKでさえ、9時のニュースで会見生放送のエスカレートぶり。気がついたときには、世界のあちこちに広がっているという、何とも情けない状況。

ついにWHOが新型インフルエンザのフェーズ4を宣言。今日のテレビは、いろいろなあおるようなキーワードを使いまくっていました。もう、一部の人はゴールデンウィークが始まっているわけで、外国に出かけていった方々は少なくないでしょう。

それはさておき、豚は飛ばない・・・ですよ。鳥インフルエンザの怖いのは、鳥が飛んで移動してしまうことで、いきなり遠隔地でも流行する可能性があることでしょう。豚じたいはそんなに勝手な行動はしません。怖いのは、むしろ人間。

新型インフルエンザは一般には鳥インフルエンザの変異として考えられていて、昨年から医師会でも近くの大きな病院と何度も協議を重ねていました。災害担当の仕事をしていると、多少は関係してくるので、以前に自分もブログに書いたこともあります。

実際、豚インフルエンザというのはまったくNo Careであったことは否定できません。近い将来に発生することが想像されていたことではあるにしても、豚というのは驚きですし、現実に起こってみると、いろいろな対策の遅れは否めない。

幸いなことは、繰り返しますが・・・豚は飛ばない、ということです。しっかりとした水際作戦が行われれば、かなりのウィルス拡散を防止できると考えられます。また、メキシコでは死者が出ている物の、他の国ではまだないようです。これは医療事情がだいぶ違うことが言われています。

いずれにしても、いろいろな乱れ飛ぶ情報に翻弄されてパニックにならないこと。特にメディアは、慎重に冷静に、そして客観的に報道に徹することを望みます。

2009年4月27日月曜日

リウマチ新薬の副作用

関節リウマチの治療薬の中で生物学的製剤と呼ばれる物が、しだいに主流になりつつあるわけですが、昨年発売になったのは2種類、ヒュミラアクテムラです。

5年ほどまえから、関節リウマチの新薬は発売になったあとも、全例登録という制度があり、使用した場合は副作用や効果の情報を報告する義務があります。

医者にとってはたいへんめんどうな報告書を出さないと行けないのですが、おかげで実際に使用されるようになってわかるいろいろな問題点が明確になり、使う医者にとっても使われる患者さんにとっても大変意義のあるものとなっています。

発売後半年の報告が出そろって、だいたい新薬の問題点なども見え始めてきました。

ヒュミラは2001例に使用され、有害事象の発現件数は451件で、このうち重篤な物が59件、死亡例はありませんでした。これらのうち薬との因果関係があると考えられる物は、そう多くないと思われますが、それを証明することは大変難しい。

重篤な物は肺炎と帯状疱疹が主な物で、肺炎は細菌によるものですし、帯状疱疹はウィルスによるものですから、感染症が最も重大ということになります。これは、薬の性質上予想されたことであり、医者もこのへんの対応策も十分に考えていないといけないことをあらためて確認できました。

ヒュミラは先行する他の生物学的製剤と薬理作用のターゲットは一緒で、2週間に1度皮下注射で使用するものです。それに対して、アクテムラは他のものとはターゲットが異なり、他の薬に効果の少ない患者さんへの有効性が期待できる反面、まだどのような問題が起こってくるか不明な点が多いわけです。

新聞報道でも死亡例の話が出たりしていて、正確な情報の把握が重要になっています。アクテムラは4182例に使用され、副作用の発現は1208件、このうち重篤な物は204件となっています。

死亡例はこれまでに22例報告かあり、そのうち薬との因果関係が否定できない報告されている物が13例でした。

ヒュミラに比べると問題の発生頻度が高いことがわかります。特に死亡例があることは大変重要です。これは、もともと他の薬が効かない重症度高い方に比較的使用されたということがベースにあると考えられます。

内容としてはヒュミラと同じで感染症が圧倒的に多いのは、薬の性質として当然ですが、比較的肝機能障害を起こしていることも見過ごせません。これも薬理作用からくるのではないかと想像します。

関節リウマチの診断・治療はもの凄い早さで進歩している分野で、生物学的製剤の登場は患者さんにとって多くの福音をもたらしてくれるようになっていますが、これらの薬を安全に使うためには医者のより一層の努力と患者さんの理解が不可欠です。

2009年4月26日日曜日

Dorati / Haydn Complete Symphonies

再三書いているように、自分はクラシックの中でも、どうも大がかりなオーケストラ作品はあまり好きではない。交響曲はその代表みたいなもので、どんなにベートーヴェンのピアノ・ソナタが好きでも、交響曲なら年に1回第九を聴けば十分なのです。

たぶん、ジャズなら最高な管楽器のキンキンした音が嫌なのかもしれません。もしかしたら、音量の変化がありすぎて耳がついて行かないのかも。たぶん音圧に疲れてしまうこともあるんでしょう。

ただし、ハイドンとモーツァルトの交響曲は別。ハイドンは交響曲の父みたいに言われますが、この2人の交響曲は、まだベートーヴェンのような「大作」というような完成度はなく、どちらかというと室内楽、あるいはちょっと編成の大きめのサロン・ミュージックという感じ。かなりお気楽に楽しむことができ、BGM的にも悪くない。

モーツァルトは50曲あまりの交響曲をのこし、これを全部聴くだけでもけっこう大変です。ところがハイドンは、なんと100曲を超えるといから驚きです。ですから、そんな一杯ある交響曲を一生懸命演奏しようなんて思う演奏家はほとんどいなかった。

現時点でも、副題のついたいくつかの有名なものはしばしば演奏されていますが、それは膨大な数の中からするとごくわずか。ほとんどは、最後の方の「驚愕」「軍隊」「時計」くらいでしょうか。

実際、自分も後半の交響曲のセットを3つ持っていますが、そうなってくると全部聴いてみたいと思うのは当然のこと。ところが、実際探してみると選択しは二つしかありません。HMVで探してみると、1987~2001年に録音されたフイッシャーの全集が、安くて有名なBrilliantから出ていて、CD33枚でおおよそ1万円という値段を考えればオンリーワンと思われます。

もう一つの選択肢が、その100数曲もあるすべての交響曲を初めて録音に遺したアンタル・ドラティです。1969~1972年にかけて、断片的なものも含めて全集を完成しました。当時はまだ古楽という考え方は無かったので、時代楽器などにこだわることはありませんが、曲としてのアンサンブルに重点をおいてハイドンの個性をしっかりと描き出されたものとして評価が高い。

ところが、もともと初発当時も大変高価なものだったわけですが、CDとなっても数万円するわけでちょっと買うには怖じ気づいてしまいます。じゃあ、フィッシャーにするかというと、ユーザーレヴューをくまなく読んでいて気になるのが音。ノイズがけっこうあるらしいし、宮殿の広間での録音で残響がけっこうあるようなのです。コンサートならともかく、録音として聴く場合には音の分離がしっかりしている方が好きなので、なかなか決断できないでいました。

ところが昨年末になってドラティの全集が廉価盤になって限定発売されるということがわかって、ほとんど躊躇無く予約してしまいました。しかも、値段は7000円を切るという破格の安さです。

1月末に手元に届き、HMVではすぐに販売終了となっていたので、待ち望んでいた人が多かったんでしょう。最近は別ルートから再入荷しており、まだ手に入れることができるようです。それにしても、さすがに膨大な量ですから、なかなか聴くには気合いがいります。

少しずつパソコンにMP3で落として聴いていますが、やっと30番くらいまできました。初期の作品は、曲としての完成度というと多少難はあるかもしれませんが、とにかく楽しく聴ける。ヴィバルディの協奏曲を「偉大なるワンパターン」と言うのと通じるところがありますが、これだけ楽しませてくれるなら文句の一つもありません。

2009年4月25日土曜日

くさなぎ君

今週の最も大きなニュースだったSMAPのくさなぎ君の逮捕。特別にファンというわけではない自分でも、いったいどうしたことかとびっくりしました。数日たって、だいたい最初の衝撃も薄らいで、メディアもちょっと冷静に物事を見ることができるようになったようです。

酔っぱらうところまではよしとしましょう。公園で騒いだことはまずい。そして、裸になっていたことも良いことであるわけがありません。しかし、そこからの展開は、やはり異常と言わざるを得ないと思います。

まず、逮捕。世の中には泥酔して騒いでいる奴はいくらでもいるでしょう。いちいち逮捕しているんですかね。警察が出動しても、一晩留置してお灸をすえて翌日帰って貰うというわけにはいかなかったのでしょうか。

公然わいせつと言っても、意図的にだれかにわいせつな振る舞いをしたわけでもないようです。さらに家宅捜索。酔っぱらいの家をいちいち家宅捜索する閑があったら、もっと捜査を進めて貰いたい事件は山ほどあるでしょう。

大臣は「最低の人間」と言ったかと思うと、その発言を撤回するという間抜けぶりをさらけしてしまいました。

あまりに、周囲の対応に余裕がなさ過ぎな印象を持つのは自分だけでしょうか。ちょっとののりしろを持たせておけば、ここまで大騒ぎをしないでもよかったんではないかと思います。すぐに他人の責任を追及する今の風潮の縮図を見たように思います。

日本で最も人気のあるアイドル集団のメンバーであり、確かにその言動や行動は若者に与える影響は多大です。今回の件が、普通のおじさんの泥酔とは大きな違いがあるのは否定できません。

CMの中止や出演番組への影響など、経済的損失もはかりしれない。さらに本人の、これまで作り上げてきた信用の失墜も相当なものがあるでしょう。

ただ、これまでの「いい人」的なキャラの重圧は大きかったのではないでしょうか。そういう意味で、今回のことが虚像を壊すいいチャンスになるかもしれません。より大きなタレントを見せてくれるなら、若い頃の武勇伝の一つとしてしまっておけるでしょう。

2009年4月24日金曜日

やせると死ぬ!!

最近の厚労省研究班の報告は、なかなか面白い。この前は、腹囲だけではメタボは診断できないというような、厚労省をこけにした報告がありました。

今度は、二十歳の体重より減った人の方が死亡率が高いという話。研究班のリーダーは国立がんセンターの先生。国立というところがみそ。つまり厚労省のお膝元。

9万人近い人を13年間追跡して、二十歳の時の体重から5kg以上減った人、マイナス5kgからプラス5kgの人、そして5kg以上増えた人の3つのグループに分けたそうです。

そしたら、マイナス5kgのグループでの死亡率が最も高く、体重が増えたグループでの死亡率は全体の死亡率と変わらないという結果だったということです。

つまり、これって肥満になっても死にやすいということはない、ということなんでしょうか。ある意味衝撃の結末、っていう感じです。

この数年、医療費抑制の目的で厚労省はメタボにとびつき、メタボを抑制すれば未来の病気人口を減らし医療費が削減できると訴え続けてきました。東大の某先生はまるで教祖のようにメタボ伝道師として行脚し、誇らしげに腹囲でなんでもわかると言わんばかりでした。

その結果、行政のサービスであった一般的な健康診断は中止となり、メタボだけに的を絞った特定健診が昨年から始まり、一般の方も医者も企業も右往左往させられています。

まぁ、どう考えても肥満の方が健康だというようなことはありません。肥満が様々なリスクになることは間違いないのです。ただ、今回の話もそれだけじゃない、ということを証明しているわけです。痩せすぎることは太ることよりもリスクとなり得るということなんでしょう。

まだまだ日本人の肥満は、欧米人に比べてたいしたことはないということらしいです。

ふぅ~。

2009年4月23日木曜日

高齢者向け講演会

本日は、去年も呼ばれて喋ってきたデイサービス施設での講演をやってきました。

そんなに多い聴衆がいるわけではないのですが、かえって直接聞いている方々とおしゃべりをするような感覚なのでやりやすい。

相手は高齢の方が中心ですから、やはり腰痛や膝痛についての話のリクエストになるわけですが、症状・治療法そして予防法と順番に話していくのが常套手段ではあります。

でも、いつも同じに喋っても自分も飽きてしまいますので、今日はいつもと違うアプローチをしてみました。

今日のテーマは関節痛、特に膝だったので、関節の構造と関節の老化現象の病態の説明を主眼にしてみました。少し医学的で難しかったかもしれません。

でも、病態を理解できると、自然とどういう症状がでるか想像できるわけです。そして、予防法も考えやすい。

というのは理屈ですが、もちろんそれだけでは一般の高齢の方には面白みはないでしょうから、時々脱線して小話風のものをできるだけしてみました。

いつも書いているように、こういう会は嫌いではないので、話があればできるだけ引き受けるようにしています。何回かやっているうちに、だんだん上手くなると思いますので、次回はさらに期待してください。

2009年4月22日水曜日

世襲

政治の世界で、世襲議員についての規制について議論がされているそうです。確かに今の政治の中心にいる方々はいわゆる「世襲議員」さんが大変多く、親ほどの力量があるのかないのか・・・

医者の世界も、世襲が多いことは否定できません。実際のところ、昭和には高給取りの代表みたいな職業だったことは間違いない。こどもを医者にしたくてたまらないと思ったことでしょう。また、医学部の学費があまりに高いため、誰でも簡単には入学できないということもあったのだと思います。

自分も親は内科の開業医だったわけで、世襲だと言うことになります。ブロ友のDr.Flickerも世襲なのですが、自分たちの場合、そのまま親のクリニックを受け継がなかったところが共通点。

自分の場合は、そのまま親の後を継ぐということには、大変抵抗があって、医者になることは親の意を汲んだものの、何科の医者になるかは自分の意思。

たぶん七光りみたいなものを嫌ったというとかっこいいのですが、少なくとも自分の力で勝負したいと思ったことは確か。

Dr.Flickerも似たような気持ちはあるのではないかと想像します。Dr.Mの場合も、親のクリニックを受け継いだものの、親とは違う専門科に移行していっているのも同じような気持ちからなんでしょうか。

「二代目は・・・」とか、「三代目は・・・」とかいろいろ言われることが多いので、そのまま親の地盤を受け継ぐというのは男として抵抗があるものなんですよね。

自分が大学にはいったころは、医学部人気のピークで、慶応は倍率40倍。自分の卒業した東海大ですら20倍でした。しかし、医者は余ってきたと言われ、医学部人気は急速に低下し、卒業する時には東海大の倍率は3倍程度。

このところ再び人気を盛り返していましたが、昨今の医療問題などを考えると、自分のこどもを単純に医者にしたいとは思えません。こどもがじぶんの意思で医者になりたいと思うなら、できる限りの支援をすることは当たり前ですが、これからの医者はもっともっと大変だという覚悟が必要です。

政治の世界では、まだまだおいしいところがたくさん残っているんでしょうかね。政治家になるのも国家試験資格にして、世襲する価値があることを示してみるのもいいかもしれません。

2009年4月21日火曜日

リウマチ医療

リウマチ患者さんというのは、そんなに多いわけではない。都筑区20万人の中では1200人と考えられますが、実際のところはよくわからない。と、いうようなことを最近書いたばかりです。

しかし、先週末に来院された、リウマチを心配してこられた患者さん3人が3人とも、医者として大変怪しいと思わざるを得ないというところで、大変びっくりしていました。採血した検査結果を見て、3人とも発症したばかりの関節リウマチと確信して、正直言って驚きを禁じ得ません。

クリニックに訪れる、関節リウマチを心配している患者さんの大多数はリウマチではなく、年齢的な関節の変化や、腱鞘炎、あるいは筋肉の疲労などの原因によるあちこちの痛みである場合がほとんどなのです。

今回のように、続けて3人も初発のリウマチ患者さんが受診するというのは大変珍しい。しかも、通常の初発しやすいのは30歳代から40歳代の女性と言われているわけですが、お一人は70歳代の女性、後の二人は男性というのもびっくり。

リウマチの診断は、何か一つでも決め手になる確固たる物が無いのです。怪しいと思える物を積み重ねて、少しずつ疑いを深めていくしかありません。ですから、少しでも客観性を持たせるためには、診断のための基準をしっかりと考慮することが大切です。

診断の基準を満たさないうちは、リウマチとしか考えられないような状態の患者さんを見ても確定することはできません。そのルールを守らないと、他の医者に説明するようなときに納得してもらえません。まして、皆が認める根拠なしには、危険な副作用を伴うかもしれない薬を使うことができないのです。

一般にはアメリカのリウマチ学会が作った診断のための基準がありますが、これはすでに作られてから20年以上経過しており、現在のリウマチの診断学・治療学からは意義が薄れていることは否定できません。

そこで、自分は日本の学会が作った早期基準を利用しています。これは、確定度は多少劣るものの、疑わしい患者さんを確実に拾い上げることが可能です。

もちろん、これが絶対ではありませんし、ここにレントゲンの変化や、そして自分の経験が加わることになるわけですが、少なくとも診断するために最低満たすべき条件が含まれていると考えることができるのです。

本日は、70歳代の女性の方が検査結果を聞きに再診されました。午後からは天気も悪くなって患者さんも少なかったので、30分くらいかけてゆっくりと病気の説明をすることができました。また、薬の副作用のことなどの説明にも多くの時間を使うことができました。

でも、長く話せばいいというものではありません。一度に多くを説明しても、患者さんはすべてを理解することは難しいと思います。ですから、何回かにわけて、少しずつ理解していただけるようにすることが大切だと思っています。

そして、本日もうひとかた、医者として大変がっかりするような話をお聞きしました。別の病院で、あちこちの関節が痛いという話をしたら、リウマチでしょうと言われた患者さんです。

そこでは、試しにリウマチ薬を出しましょうと言われたそうです。飲んで効けばリウマチだし、効かなければリウマチじゃないという説明だったと言うことです。

これには、正直言って自分は激怒ものです。リウマチ薬はただの痛み止めとは違うわけで、試しに飲んでみたらというような安易な使い方ができるような薬ではありません。

いくらでも、副作用で死亡する患者さんが出るような薬なのです。使う側の覚悟と使われる側の納得が不可欠です。こういう医者が、リウマチ薬の副作用を作って、患者さんの不安をさらにあおることになっているのではないかと思います。

先日、横浜市北部の地区でリウマチを専門にうたっている数人の医者の集まりに出席しました。専門医のネットワークを作るための準備のための会合です。

専門医の中での互いの不足している部分などを補っていく方法と、専門にしていない医者に対して情報を提供していくことが議題です。今回のエピソードは、できるだけ早くこのような組織作りが必要であることをあらためて感じさせてくれました。

2009年4月20日月曜日

あすなろ植物園

どこ?
富良野?

いえ、あすなろです。レースラベンダーです。去年の生き残り。何とか枯らさず、水をさしていたんですが春になって大きなプランターに植え替えたら、さすがにとたんに元気になりました。

やっぱり、植物は大きなところでひろびろと育ちたいんですよね。

あすなろ菜園2009 part1

昨年は、きゅうり、ミニトマト、サニーレタスを作りましたが、今年も暖かくなってくると、なんかやりたくなります。

と、いうわけで、種を蒔いてみました。さぁ、これが何になるかはお楽しみ。また、形になってきたら随時ご報告します。

2009年4月19日日曜日

Irina Mejoueva / ピアノ名曲150選

自分はクラシック音楽がいいと言いつつ、もっともクラシックらしい(?)大編成のオーケストラはあまり好きではないという偏屈な好みなのです。

特にピアノ独奏は、クリニックのBGMとしても使いやすいのでけっこう集めました。いつものHMVでBOX物の全集をあさるときは、検索キーワードで"comp (complete) piano"と入れてみます。そんなこんなで、けっこう有名どころはだいたい揃ったような気がしているわけです。

チコリーニが弾くスペインのアルベニス、グラナドス、ファリャの曲集。チコリーニではサティ全集もあります。隠れファンのいる超絶テクで有名なアルカン

グールドの演奏でほとんどがそろうJ.S.バッハの鍵盤曲

ピアノの新約聖書と呼ばれるベートーヴェンの32曲のピアノソナタは、一番のお気に入りで最も多い。

オーピッツのブラームス全集。アシュケナージのショパン全集。ドビッシーとラベルはモニーク・アース。クナダールのグーリク全集。ショルンスハイムのハイドンのソナタ全集。

ドヴォルザークはBlliantの廉価盤で独走全集とデュエット全集。ヤナーチェクとスメタナもBrilliant。

リストはボレットベルマンで主なところをおさえました。HMVでけっこうベストセラーになっているのはモンポウが自ら弾く全集。

モーツァルトのピアノソナタ全集も数種類。リルの弾くラフマニノフ全集。スクリャービンやサンサーンスの全集。シューベルトはケンプ。シューマンはケンプとデムス

ショスタコービッチはペトルシャンスキーの全集と、ニコラーエワの名盤。セルバーダイのシベリウス全集。ポトニコワのチャイコフスキー全集。ちょっと意外なワグナーのピアノ曲全集というのもあります。

もちろん、まだまだ聞くべきピアノ曲はやまほどあります。ノクターンの創始者といわれているジョン・フィールド、メンデルスゾーンも無言歌集以外を聴いてない。フォーレ、プーランクなども拾えていません。

ただ、現代のアブストラクトな感じの物は、どうも何がいいんだかわからない。メシアンとか有名ですが、どうも気が引けます。ベートーヴェンのソナタはまだまだいろいろな演奏を聴いてみたいと思いますし、ショパンやシューベルトも別の演奏を聴くべきでしょう。

リストはあまりに膨大でどこまで聴けばいいのかわかりません。新しいところではロマン派的なメトネルも聴きたい。そんなわけで、何を聴けばいいかよくわからん、という人のために大変すばらしいCDを見つけました。

ピアノ名曲150選というタイトルは、音楽之友社との共同企画で同じタイトルで楽譜集も出ているので、ピアノを実際に弾く方にも好都合。

この手の企画は、だいたいいろいろな人の演奏を集めてきて組んでいることが多いので、辞典的にはよくても、一つ一つの音楽を聴こうと思うと、ばらばらな感じで楽しくないことが多い。

その点、この企画の素晴らしいところは演奏者がイリーナ・メジューエワ一人というところ。メジューエワはロシア人ですが、日本在住で活動し、女性らしい繊細なタッチと強靱な打鍵が評判なのです。メトネルも得意にしていて、自分的には注目していたわけ。

そこで、メジューエワのピアノが聴けるベスト盤であり、しかも有名な曲が網羅されているという点が大変お買い得ということなのです。難易度によって、初級編中級編上級編にわかれていますが、聴く側にとっては、どこにも均等に聴いたことがある曲は入っているし、また新たな発見も含まれています。

もともと数年前に録音された音源を中心に組まれているのですが、メジューエワのファンにとって注目すべきは、かなりの数の録音が昨年新たに録り直されたり追加されていることで、全部でCD6枚に7時間を超える量は凄すぎです。

名曲と呼ばれている曲を聴きたい方、あるいは弾きたい方、メジュヘエワのピアノに耳を傾けたい方には絶好のアルバムではないでしょうか。

いゃ~、久しぶりになんか夢らしい夢を見ました。

大学の教授が病気になって、急に人事異動が発表されるんです。明日から君は大学に戻るように、って。急遽夜のうちに手近な荷物だけ持って、とりあえずの引っ越し。

そして、翌日。外来表を見たら、いきなり外来が組まれている。さて外来に行きたくても、病院は建て直してあって、昔と違ってどこに何があるのかよくわからない。

うろうろしているうちに外来の時間になってしまい、通りすがりの方に「外来はどこですか」と、間抜けな質問をしながらやっとのことで外来に到着。

すると、そこには当然、まったく触ったこともない電子カルテシステム。どうすりゃいいの、と途方に暮れていると、事務の人が来て「私がコーチします」とのこと。

どうもすべてのスイッチは指紋認証みたいなセキュリティになっていて、まだ登録のない自分には何にも始められない。ところが、コーチの事務の人は何を質問しても答えられない。あっちへ行き、こっちへ行き、いつまで立っても始まらない外来。

「じゃあ、自分でわかる人さがしますから」と飛びたすと、広い運動場みたいなところで、教授が挨拶している。

「・・・というわけで、しばらく休養いたしますが、皆さんよろしくお願いします」とか何とか職員にしゃべっているわけ。普通なら職員は仕事している時間なんですけど。

こっちは、それどころじゃありませんから、誰か知っている人はいないか必死です。そうこうしているうちに、なんか運動会をやっている小学校に紛れ込んだ。

こどもたちが元気に競技をやっている横を通り抜けると、見たことがあるお母さんを発見。「ここはどこですか」と聞くと、「××小学校ですよ。病院からは車で10分くらい」とのこと。

あ~、どうしよう、道もわからないし帰ることもできない。途方に暮れて・・・

目が覚めて、しばらくぼーっとしていたら、やっと夢だったということに気がつきました。

さて、皆さん、この夢をどう分析します?

2009年4月18日土曜日

初バーベQ

昨日は焼き肉。今日はさっぱりと・・・

と、思っていたのに、とーさんばかりずるいという意見が強く、今年初めて外でバーベQをすることになってしまいました。

炭火をおこすのは半年ぶりくらいでしょうか。やっぱり、これだという感じでしょうか。炭火の柔らかい火がおこってくると、何故か安らぐものです。

うちのバーベQは、まず厚切りの牛タン。続いて豚トロ。そして、メインは鶏ネック。別名セセリ。ここまで、すべて塩です。ほんと、ネックは旨い。鶏肉の中で、たぶん一番味が濃い。

途中でピーマン、椎茸、茄子、タマネギなどの野菜系を入れます。その後は、カルビもロースもなくて、ミノとしまちょうとなります。

開業してから、できなくなってつまらいないのがキャンプ。ゆっくりキャンプに行って、ゆっくり炭火の焼き物を楽しみたいものです。まぁ、うちでちょっとは気分を味わうことはできるので、しばらくはこれで我慢です。

2009年4月17日金曜日

Let's 医師会 4月 part2

今夜は医師会の理事会。

センター北の焼き肉屋さんの「ひゃら亭」で、2年に一度の宴会理事会でした。 先週からちょっと肉を食べ過ぎですが、まぁよしとしましょう。

いろいろな話題で親睦をはかりつつ、医師会としての結束をはかり、より都筑区の地域の方に適切な医療を提供できるようにするためのいろいろな話題で盛り上がりました。

とにかくまずは顔が見えるお付き合いというのが基本ですから、こういう会は大変大事。開業医は個人事業ではありますが、一人でできることには限界があり、専門科が違ってもいろいろ協力し合う部分は多々あります。

堅苦しい理事会の話は、さっさと切り上げてあとは宴会モードに突入です。

ひゃら亭は港北ニュータウンでは、有名な焼き肉屋さん。タン塩もけっこう厚切りで、好調な滑り出しです。カルビ、ロースなどの定番をいろいろ食して、最後の方にはホルモンいろいろ。

これがまたいい。せこい店ではホルモンと言えば、てっちゃんしかありませんが、ここはバラエティに富んでいます。

チヂミも石焼きビビンバもけっこういい味しています。付近では人気なのもうなずけます。そんなわけで、ちょっと飲み過ぎてしまいました。明日も診療、がんばります。

2009年4月16日木曜日

タイミングのずれた景気対策

なんか、各地で政府からお金がもらえているらしい。景気対策だとかいうことで、貰えるものならそりゃいただくことにしますけど。

実際、他のことで国をよくすることもできるでしょうに。まぁ、どうせ貰うなら文句を言ってもしょうがないけど・・・

って、横浜じゃ、とんと聞きません。どうなっているんですかね。なんでもGW開けから、順次案内が届くらしい。近くの町田市のような比較的大きな市でも、とっくに配り終わっているとかいうことなので、横浜は相当遅い感じですね。

「なんせ巨大行政区なもんで・・・」といういいわけが聞こえてきそうですが、なんのために区に分けているんでしょうかね。

タイミングのずれた和平工作など、なんの役に立つと言われて息子にやられてしまったデギン・ザビを思い出すわけです。

タイミングのずれた景気対策、しかもちょびっとな対策など何の役に立つ。GWに使わないなら、固定資産税やら自動車税やらに使って終わってしまいそうです。

車を買うのが安いよ、と言われても、じゃあ買うかとはいかない。高速道路が安いよと言われても、出かけるほど金も閑もない。

車産業にはずいぶんと手厚い対策ですよね。確かに日本の経済の根幹を支えている産業の一つなんでしょうけど、それだけじゃないでしょう。

景気景気といっても、大企業の収益だけの話だけで決まっていて、一般庶民の感覚とはだいぶ違う。株価が上がろうが下がろうが、ほとんどの人には関係ない。世界中の政府が、マネーゲームをしている人たちが潤うのが好景気と考えているのでしょうか。

年金もますますもらえないことがはっきりしてきましたが、もらえないならますます払いたくないというのは当然ですから、さらにもらえなくなる悪循環はますます進むでしょう。

なんにしても、政治家の皆さん、花咲かじいさんのようにばらまいてばかりいないで、将来の日本の安定と安心を作ってくれませんかね。

2009年4月15日水曜日

あざみ野 揚州商人

いろいろラーメンを食べ歩く、と言ってもなにしろ狭い行動半径ですから・・・あざみ野です。

一人孤高の味を追求するお店もいいんですけど、チェーン展開している店も味のぶれがすくないので悪くはないと思います。

そこで、今日は揚州商人(ようしゅうしょうにん)。店の中は、上海かどこかの中国の露店のような内装でけっこう楽しい。屋内にいるのに、街頭に座っているような雰囲気です。

そして、注文するのは・・・ほぼ、間違いなく一番普通の醤油ラーメン。いわゆる、昔の中華そばとか支那そば。すっきり細麺+鶏ガラです。

これが、自分にとってはまさにラーメンの基本。醤油豚骨も好き、辛味噌も好き、塩もいいし、九州豚骨もOK。でも、基本は鶏ガラなんです。

普通のチャーシューといっているのは、たいていは煮豚。でも、上海焼豚は食紅で周りを赤くして、本当に焼くんです。これがトッピングのポイント。ナルトがのっかっていれば、昔ながらのものって感じです。

高校生の時に、ともだちと中目黒の塾に通っていました。帰りは、電車に乗らずに渋谷まで歩くんです。途中で、余った電車代でこのラーメンを食べるのが楽しみでした。

あ~、これがラーメンというやつです。今の場所に住むようになって、揚州商人を見つけたときは嬉しかったですね。時々、どうしても食べたくなる味というものは、誰にでもありますよね。

2009年4月14日火曜日

告白

医者、特に外科系の踏み絵としてよく使われる会話の話。

ある患者さんに対して、手術を勧めるときに、「もしも自分の家族だったら、その手術を勧めますか?」というのがあります。

正直に言いますと、過去にやった手術の中には、自分の家族にはやらないかもしれないけれども、自分の興味を満たすため、学会活動のためなどの理由が優っていた手術があったことが確かにあります。

もちろん、やってはいけない手術をしたことは一度もないと断言しますが、手術以外の方法もあったのに、あえて手術を選択したということです。

当然、患者さんには「手術以外にも××な方法もありますが、手術の方がよい結果が出ると思います」というような説明になっていたと思います。手術をしたくてしたくてたまらない医者にとっては、他の方法は価値が無いもののように思っているものなのです。

フェアな気持ちで、いろいろな治療方法を提示できるようになったのは、けっこう最近のことかもしれません。でも、そういうかなりアグレッシブな姿勢が、まったく悪いと言うことはないと思います。

もちろん、手術を失敗していたら駄目ですが、いろいろ積極的に物事にかかわっていく姿勢は、そこから新しい何かを生み出す原動力になっていくと思うからです。

ある意味では、まだいい時代だったのかもしれません。今では裁判になった時の保身を考えて、いろいろ説明し、何枚もの承諾書を書いて、大袈裟に言えば本当は何のために手術をするのかも見失ってしまうような世の中になってしまいました。

これは、手術に限らず医療全体に言えることかもしれません。戦争が医学を進歩させる原動力であったことは間違いありません。どこかで、患者さんを「犠牲」にしている部分が無いとの言い切れないのです。

2009年4月13日月曜日

本当にいた余分三兄弟

♪さよなら、余分三兄弟・・・

まぁ、なんともタイムリーなCMのシリーズがありますが、最近放送されているのはゴルフ編。こんな兄弟確かにいりませんが、みんな内心笑っていても、ちょっとドキっとなるところが魅力なんでしょう。

まぁ、CMの世界だけの話とすましていたら、なんと本当にいました。それも、どうどうのマスターズの最終日。そろってプレイオフという快挙です。

タイガー・ヴッズのようなスマートな選手を見慣れていると、この3人はすごい。中年の星、メタボもなんのそのです。

結局、今年のマスターズ2009は優勝したのは左側のアンヘル・カブレラ。真ん中のケニー・ペリーが準優勝、右側のチャド・キャンベルがそれに続くという結果に終わりました。

それに続くのが日本の片山晋呉というのも、日本人的にはすごいことで、復活のタイガーは6位タイという結果。石川遼君のような話題が先行した感じがありますが、最近女子に話題をもっていかれっぱなしだった日本の男子プロも逆襲を開始したようです。

2009年4月12日日曜日

masumi先生

今日は、おすすめブログを紹介します。サイドメニューでもmasumiさんとしてリンクは入れていますが、その正体は・・・

まぁ、ご本人が本名で書いていますし、そもそも自分の職場のホームページの中にブログがあるわけですから、自分たちと一緒で正体まるわかりなのです。とりあえず、北海道の帯広市にある整形外科が中心の病院の勤務医をされている女医さんということはまちがいない。

実は、東京女子医科大学の膠原病リウマチ痛風センターでしばらく一緒に働かせていただいた先生なのです。長身でなかなか美人の先生ですが、ご主人が外国の方で、リウマチセンターの後にご主人の母国の病院で働いていました。

自分にはできないような、貴重な経験を一杯されて帰国したあとは、北海道の雄大な自然とともに医療に励んでいるわけです。

ブログは外国暮らしの頃から書いていて、自分よりはるかにベテランです。いろいろなことに疑問を持ち、自分を高めることに躊躇しない語り口が信条。コメントも、むしろいろいろ困っている人が相談をもちかけるようなものが多く、それに対しても真摯に返事を書いていらっしゃいます。

最近のエントリーでは、患者さんがいろいろな病院を渡り歩く問題についての話。医者にとっては、大きな問題です。

患者さんが医者に対して、不安を感じたとき、不満を持ったとき、信用できないときなど、医者が患者さんの求めるものを提供できない場合に、患者さんは別の病院に移ってしまうのです。そこには、いつでも患者さんと医者との間の信頼関係が存在していないことになります。

もちろん医者だけに責任があるわけではないと思いますが、医者の方から努力しないといけない問題なのです。

自分のように開業医となってみると、大学のブランドのような付加価値は無く、よけいに自分の実力、やり方などがそのまま患者さんの数に反映するのでなおさらのことです。ですから、自分にとって一番重要に思っていることは初診患者数ではなく再初診の数なのです。

初診の方は、もちろんいろいろな評判を聞いて来院していただく場合もありますが、なかにはたまたという方も少なくありません。そういう方たちに、しっかりと納得していただけるような医療を提供できれば、次に何か困ったことが起こったときにはも再び相談にきてくれる。

他人の不幸を喜んでいるみたいで申し訳ないのですが、以前来院した患者さんが、久しぶりに受診してくれることは自分にとっては勲章みたいなものだと思っています。

masumi先生は、患者さんが転院してしまうと、自分の医療について点検し悩む、本当に正直な先生なのです。近くにこのような先生がいる帯広の方は幸せです。「神の手」などというような嘘くさい安っぽい表現ではなく、masumi先生の「人の手」による温かい医療がいつまでも続くことを期待しています。

クリニック飲み会

昨日はセンター北のあいたい、焼き肉の叙々苑に行ってきましたよ。

これは新しいスタッフの歓迎会だったんですけど、食べたいだけ食べて、飲みたいだけ飲んでみたいな感じでした。日頃の疲れを癒し、明日からの英気を養う会になったと思います。

うちは小さいクリニックですから、受付をしてくれるスタッフが3人。患者さんが多いところが、少しだけ二人体制になっていますが、ほとんどは一人だけ。

看護師さんはいつでも一人、あるいはいないときもあります。リハビリ助手は二人。こっちは絶えず一人で、こういう会でしか、なかなか交流することが難しい。

後の足りないところは、家内と長女が埋めているわけです。受付もリハビリ助手も、もう少しいないと「大変!!」といわれるようにならないとね。

2009年4月11日土曜日

大学のOB & OG会

遼君、残念でした。でも、若いから何でもこれからの糧になると思います。

されはさておき、今日は暖かくて初夏の陽気。患者さんも半袖一枚とか、もう気分は梅雨時を通り越して夏モード・・・って、そりゃ、いくら何でも早すぎです。

今週は、少しアルコールが入りすぎで、ちょっと体がだるい。いけないなぁ、と思いつつも、心と体は別々のものを求めているようなところ。

火曜日は、臨時のブロ友の会。場所はあざみ野の権八。去年の母の日に家族で行ったことを、前に書いている場所です。Dr.Flickerが「あざみ野あたりの焼き鳥屋で一杯・・・」と言ったので、Dr.Mにも気に入ってもらえそうな店として思い出して決めました。なかなか好評だったようで、気楽に楽しめました。

昨日の金曜日は、自分の所属していた(今も所属してますけど・・・)東京女子医科大学膠原病リウマチ痛風センターのOB & OGで始めた会。

第1回はあざみ野メロンディアで、ちゃんとまじめにお勉強。第2回はゆかりのある先生を招いて食事会。これは昨年のクリスマスの頃で、ブログでは書いていません。

昨日の会が3回目だったんですが、今回は新入会員をお招きしました。と、いうのは、センターの教授の原まさ子先生が3月一杯で定年退職となったので、原先生に是非会員になっていただこうということで来ていただいたわけです。

場所は青葉台の青柿というお店。このあたりでは、けっこうな料亭なんです。平成元年にできた店で、特別なお客さんをもてなしたい時に利用したいお店なんです。

いゃ~、教授にまでなった先生ですから、こちらは気を使うかというと、そうでもない。原先生はたいへんきさくな人柄で、今回の誘いにも二つ返事でOKをいただきました。

昨日の会でも、退職後のSecond Stageの話で、大いに盛り上がり、自分の人生を最大に楽しむ方法をしっかりと心得ているんだなぁ、感心した次第です。

これで原先生に入ってもらえば、もうこの会はリウマチセンター公式OB & OG会みたいなもん・・・でしょうかね。これからも、続けていきたい会の一つです。

2009年4月10日金曜日

あっぱれ !! part2

何が天晴れかというと、ゴルフの石川遼。

もちろん、まだまだ、そんな誉めるほどのことはないのですが、日本時間の今朝からマスターズが始まりました。

特別に出場したわけですし、まだ初日ですから、あんまり持ち上げてもしょうがないところではあります。

でも、17歳ですから、マスターズの独特の雰囲気と高揚感の中で、初日出入りが激しいゴルフでしたが、なんとか1オーバーという成績は賞賛に値します。

だって、あのタイガーでさえ、マスターズの過去の初日の平均はほぼイーブンくらいだそうです。まぁ、あわよくば本戦出場のためにはアンダー1か2に持って行きたいところでしょうか。

がんばれ、日本の若僧!!
オーガスタの風を自分に吹かせよ!!

2009年4月9日木曜日

あっぱれ!!

天晴れ、と書いてあっぱれと読むわけですが、今日の天気は、まさに天晴れな快晴でした。

今日は、午後からは大学の外来だったので、新宿へ。帰りは、神宮外苑を通るので、ちょっと車を止めてパチリ。

お店では、外のテラスに出ているお客さんが大勢いました。秋に有名な銀杏並木ですが、ベンチにはいかにも今時の人が木漏れ日を浴びながら読書をしていたりして、アーバンな雰囲気が漂っています。

こっちみたいに毎日ガツガツしていないんだろうなぁ、と思うとちょっとうらやましい感じです。

数年前、大学に勤務していたときは、ここを自転車で行き来していたんですよね。なにしろ、外来や医局があるリウマチセンターの本部は新宿河田町、手術をする病棟があるのは外苑前。

地下鉄の大江戸線が開通するまでは、自転車が便利だったんです。でも、途中でゆっくりベンチで休憩したりするゆとりはありませんでしたね。

SAKURA part 2

今年のサクラはゆっくり満開になっているようで、例年より長い期間楽しめるような感じですね。

南向きのサクラは、そろそろ葉っぱが目立ってきて、道がピンク色の絨毯を引いたようになり始めています。

日当たりの悪いところのサクラは、これからという感じです。

花散らしの雨も降らないので、今週末でも花見ができそうですね。

野菜おかず

いゃぁ~、写真ボケボケですみません。まぁ、雰囲気だけで許していただくことにして、時々健康を思い出して、野菜おかずだけの夕食にしてみました。

時々・・・だから駄目なんですよね。毎日、にならないとね。

手前はサラダ。ベビーリーフ、タマネギ、きゅうり、レタス、レッドキャベツなどです。最近、普通のキャベツがやたらと高い。そんなに大きくもないのに398円とかですよ。ちょっと、勘弁してください。

どうも、キャベツダイエットとかいう新手のブームのせいらしいです。どうせ、そんなんで痩せやしないんだから、キャベツ買い占めるのはやめてもらいたいもんです。ソーセージはボイルして油を抜きました。

右は中華風春雨サラダ。これはお総菜ですが、きゃうりを増量。

左はれんこんとほうれん草、にんじんなどに豆腐を混ぜた白和え。

そして後ろは、豚肉とたっぷりのもやしを茹でて、豆板醤と余っていた味噌ラーメンスープで味付けしたもの。

これは画期的ですよ。何がって?

だって、春雨サラダのゴマ油以外には油を使っていないんです。なんてヘルシー。毎日、こういう食事をしないといけませんね。

でも、無理だなぁ。

2009年4月8日水曜日

あすなろうの木の下で

どうも。亜沙郎です。あすなろうと読みます。

このブログのタイトルは「あすなろの木の下で」です。「あすなろうの木の下で」ではありません。

このブログを探していただくキーワードには、いろいろありますが、「あすなろうの木の下で」というのが、必ず毎月上位に入ってきます。

うちのクリニックの名前はあすなろ整形外科クリニックなので、ハンドルネームにあすなろを使おうとおもったわけですが、横溝正史の戦前の谷崎潤一郎風の小説のタイトル「真珠郎」をヒントにして亜沙郎という名前にしたんです。

前にも書いた気がするんですけど、どこに書いたかどうもわかりません。亜沙老としてもよかったんですが、さすがにあまり自分から老け込むのもどうかと思ったわけです。

しかしねぇ、人間誰しも年をとりますからね。去年老眼鏡を買いましたが、老眼は明らかに進みましたね。ほんと細かい字が読みにくくなりました。診断書書きみたいな仕事も辛くなってきた。

電子カルテを使っていると、一日中パソコンとお友だちみたいなところがあるわけですが、画面を見るのも大変。そこで、モニターを広げることにしました。

今までは1280×1024ドットのモニターを3面横並びにして使っていたんですが、先週から1920×1080のいわゆるハイビジョン対応のモニターを縦にして3面並べるようにしました。全体で3240×1920ドット。

いやぁ、Windows3の頃が懐かしい。だって、あの頃は640×480ですよ。16面分ですよ。今じゃ、VGA規格じゃ携帯電話ですもん。

こんなことやっていると、電子カルテの会社はリモートでメンテナンス入ってくるときさぞかし困るんじゃないかと思うんですが、まぁ、あっちも商売ですから何とかするでしょう。

2009年4月7日火曜日

SAKURA

今年は随分と早くに咲きそうだったのが、3月最後がけっこう寒くて、けっきょくちょうどいい頃に満開を迎えていますね。

やはり、日本人なんですねぇ。サクラが咲くと、目一杯春を感じますし、あの時のサクラ、この時のサクラというぐあいに、いろいろなことも思い出されててくるもんです。

地球温暖化とか言われていますけど、これからもこういう時期に毎年咲きほこって、いろいろな人のいろいろな思いを増やして貰いたいものだと感じます。

2009年4月6日月曜日

30年前の新聞

ひょんなことから、患者さんに古いバックをいただきました。で、バックの中からなんと1978年4月23日の新聞がでてきましたよ。

正確には31年前。自分が浪人中の頃ですかね。


そこへ載っているのがサザエさん。しかも、打ち明け話と題して、一種のエッセイみたいなものなんですが、全編にマンガが使われ、大変みごとなものです。


ちょっと画像が大きいのですが、是非ゆっくりご覧なってください(クリックすると元画像が表示されます)。


左下の長谷川きよしの小さな記事も、自分的にはちょっと嬉しい。

2009年4月5日日曜日

4月人事

4月というのは、好むと好まざるとにかかわらず、いろいろなことが新しくスタートするんですよね。

横浜市の区長さんというのは、選挙ではないんです。今年は都筑区の区長さんが交代になりましたが、これは市の人事異動見たいなもんなんですね。

医師会の仕事で区役所との会合などもしばしばあり、新しい区長さんにもこれまでのいろいろな事を理解していただかなければならないので、ちょっと不安です。

しかも、今年は保健センター、いわゆる保健所の所長さんも変わってしまったので、なんかすべて一からやり直しにならなければいいんですけど。

さらに、毎週行く横浜市社会福祉協議会が運営しているケアプラザの所長さんも変わっていてびっくり。けっこう間際で急に話がでるんでしょうか。いかにも行政のすることらしい。

確かに、交代することがわかっているとテンションが下がりますよね。自分も、過去に大学の人事で数年ごとに病院を変わることがしばしばありましたが、数ヶ月前にわかっているので、最後の1ヶ月くらいになると気持ちを引き締めるのが大変だった覚えがあります。

横浜市の人事異動は退職ではないから大丈夫でしょうけど、病院の移動は1回1回が退職で、4月移動だと、ボーナスにはもろに影響するんですよね。

それに退職金もありませんし。休みも少ないし、時間外手当なんて貰ったことないし、皆さんが羨むほど、医者は高給取りじゃありません、って結局ぼやきになってしまいました。

Goodman / Mendelssohn String Symphonies

弦楽器といえば、身近なところではギター。華がある独奏楽器ならバイオリンということになります。自分は、バイオリンの高音があまり好きではなく、チェロの低音域から中音域をカバーしたやさして響きの方が好きなのです。

そんなわけで、比較的バイオリンをまじめに聴くようになったのは最近のこと。バイオリンの固さを包み込んでくれるので、弦楽四重奏曲などはけっこう好みです。

さらに音に厚みが増すので、五重奏、八重奏なども気持ちよく聴けるのですが、そうやって弦楽器だけで構成されたオーケストラというのも、クラシックの一つのジャンルとして存在しているわけです。

某消費者ローンの宣伝(チワワの出てくるシリーズ)で使われて、一躍有名になったのがチャイコフスキーの弦楽セレナーデ。他にもドヴォルザークのものも有名で、しばしばカップリングされたCDがありますね。

マーラーの交響曲第5番の第4楽章は、弦楽器だけで演奏され、映画「へニスに死す」のラストを一気に盛り上げてくれました。「ウィリアム・テル序曲」などの歌劇で有名なロッシーニも弦楽ソナタと題して、それも第6番まで作曲するという熱の入れようです。

管楽器が入ってこないので、全体に優しい感じで、キンキンしたところがありません。BGMとしても極上のひとときを演出してくれるのです。そんな弦楽オーケストラの集大成とも言えるのを作曲したのがメンデルスゾーン。

メンデルスゾーンといえば、バイオリン協奏曲や「真夏の夜の夢」の中の結婚行進曲が有名ですが、かなりの多作家で、幅広いジャンルですぐれた曲をたくさん遺しています。そんな中で、「弦楽のための交響曲」というのを第1番から第13番まで作ってしまいました。

これは、なんと、メンデルゾーンが12歳から14歳の時に作曲した、管楽器の入った通常の交響曲を書くための習作だというから驚きです。ただでさえ天性のメロディメーカーだったメンデルスゾーンの曲ですし、長調が比較的多いこともあって、聴いていて疲れません。

さて、自分が持っているのは、いつものHMVにて購入した物で、古楽系指揮者ロイ・グッドマンと時代楽器を使うザ・ハノーヴァー・バンドの演奏です。1992年のデジタル録音でなかなかクリアな録音で、透明感のあるシャープなアンサンブルを楽しめます。

2009年4月4日土曜日

関節リウマチの数

関節リウマチ患者さんの数は、世の中にどれだけいるのでしょうか。教科書的には、日本で70万の患者さんがいると言われています。これは日本人1000あたり約6人という数字。

横浜市都筑区は人口約20万人ですから、1200人の患者さんがいることになります。通常は30~40歳代に発生することが多いと言われていますから、都筑区のように平均年齢が40歳以下の若い街では、なおさら多いはずです。

しかし、年間の発生数など、意外とデータが無いので、実態については不明な点が多い。自分のような「リウマチを専門にしています」と表に出しているようなクリニックにおいでになるリウマチを心配している方は、月に数人から多くても10人程度でしょうか。

その中で、実際にリウマチと診断せざるをえないのは、数ヶ月に1人くらいなものです。大多数は筋肉の疲労や、筋力低下、関節の摩耗による痛み、あるいは腱鞘炎が原因だったりするのです。

では、リウマチ専門施設である東京女子医科大学膠原病リウマチ痛風センターの外来だったらどうでしょうか。他の先生の場合は違うかもしれませんが、初診でいらっしゃった患者さんのうちリウマチと確定できる方は10人中数人程度だと思います。

専門施設ですから、他の医師がリウマチの疑いがあるとして紹介してくるケースが多いのですが、それでもそんなもんです。個人的な意見ですが、加齢による関節の痛みなどでもリウマチとして治療されているような場合が、けっこうあるのではないかと思うんです。

リウマチ反応と呼ばれている検査がありますが、これが陽性だからという理由で診断を決めている医師がけっこういる。リウマチ反応陽性は怪しむ要素の一つに過ぎず、それだけでは診断することには無理があります。

炎症の指標であるCRPという項目が高いことを理由にする場合もありますが、CRPが低くてもしっかりとリウマチの症状を持っている方もいて、それほど当てになるとは言えそうにありません。

この数年は、MMP3とか抗CCP抗体という検査ができるようになって、診断の精度が上がりましが、それでもなかなかリウマチと断定することは難しい。

もしも、本当はリウマチでないのに抗リウマチ薬と鎮痛剤を使った治療を始めたら、当然痛みの症状は落ち着く可能性があり、こういう場合は早期発見・早期治療が有効だった、という評価がされるかもしれないのです。

ですから、リウマチを専門にしている医者としては、慎重に診断し、そして大胆に治療をすることが求められているのです。日本の学会の早期基準を満たすことにより十分な疑いを持ち、アメリカの学会が決めた分類基準により確定するという流れを忘れてはならないのです。

もちろん、どうしてもこれらの基準を満たせない患者さんもいることが、事を複雑にしていることも確かです。しかし、副作用で死亡するケースも出るような薬を使うのですから、患者さんに治療のリスクを負わせるだけの根拠がしっかりしていないといけません。ですから、疑わしい場合は粘り強く繰り返し症状や検査をチェックすることが重要です。

いずれにせよ、現状では予防法のない病気で、誰でも明日からリウマチが発症する可能性はあるわけですから、ふだんからあまり心配し過ぎても疲れるだけです。関節の痛みだけでなく、腫れも伴う場合は必ず専門の医療機関に相談してください。

2009年4月3日金曜日

孤独

「総理大臣は、どす黒いまでの孤独に耐え切れるだけの体力、精神力がいる」

麻生首相が最近、高知市内で学生相手にこう語ったそうな。う~ん、まぁ、説得力あるかもしれませんな。それにしても、もう自分からやめる気はなさそうでんな。どこまでも、日本を潰しにかかっているような、涙ちょちょ切れ内閣ってな感じでしょうか。

まぁ、それはいいとして、孤独という言葉はなんなんでしょうかね。寂しい言葉なんですけど、かっこいい感じもあるし、不思議な感じ。最初に「孤独」という言葉を意識したのは・・・

実は、昔昔、TBSテレビのドラマの主題歌だった「私の孤独(Ma Solitude)」という曲ですよ。歌うのはギリシャ人のジョルジュ・ムスタキ。もちろん、日本語じゃないので詳しい歌詞はわかりませんでしたが、当時自分はロック少年にもかかわらず、なんかすごく好きだったんですよ。

飛行機事故で亡くなったギルバート・オサリバンの大ヒット曲で「アローン・アゲイン」というのもありましたね。これも、当時は英語なんて不得意科目でしたから、ちゃんとヒアリングなんてできません。友人と、この曲をカタカナ英語で歌ったものです。出だしは、「メナメナハーフナウ、ハッピナガニレッサ・・・」と聞こえました。

さらになんといっても、一番有名なのは「ミスター・ロンリー」です。FM東京で、城達也の大人のナレーションで有名だったJET STREAMのテーマ曲でしたよね。

そんなわけで、孤独というのはヒット曲と結びついて記憶に残っているもので、あまり悲しいイメージはありません。でも、まじめに考えると、精神的な結びつきを持った人が周りにいない状態が「孤独」ということなんでしょうね。

孤独を愛するという人もいますが、わざわざ孤独になろうとするというのはいないと思いますよ。人間そんなに強くはないでしょう。人は皆、一人では生きていけないものだから(by 中村雅俊)。

2009年4月2日木曜日

Let's 医師会 4月

医師会っていう組織は下から上まで、いろいろあるんですよ。

昔、武見太郎さんという有名人がいましたが、これは日本医師会。その次は、各都道府県の医師会で、自分たちが関係するのは神奈川県医師会。横浜市は大きな地域なので、当然その下にあるのが横浜市医師会です。

そして、その下に各区ごとの会があって、自分が入っているのは都筑区医師会ということになります。医師会に入会するということは、それらのすべてに入会することになるわけです。

都筑区医師会は、最も各会員に近い存在であると同時に、一般の区民の方にも近い。都筑区区役所と協力して、区民の健康を守るためのいろいろな事業を行っているわけです。

実際にどの仕事を誰がするかとか、もっとも実務的なことをやっているわけで、ある意味医者らしい仕事を仕切っているとも言えます。

ひとつ上の横浜市医師会になると、もう会員の一人一人の顔は見えてきません。横浜市内の会員を束ねているわけではなく、各区の医師会を束ねているわけで、もちろん上に行くほど会員はもとより一般の方からも離れていくのはいたしかたがないところ。

今夜は横浜市医師会の代議員会でした。自分は都筑区医師会の理事で、都筑区民との関わりの中で医師会の中にいる意義というのを感じているので、それ以上上の医師会の仕事をするつもりはありません。

ただし、都筑区医師会という実務的な最小単位の動きを知る意味でも、都筑区医師会会員の代表として、一つ上の横浜市医師会にちょっと関わるという仕事も意義を感じているのです。

とは言っても、年に数回の会ですから、いつも物見遊山状態で、なんか格式があってすごいなぁ、と感心して帰ってくるだけなんです。

桜木町の休日診療所があるビルの中に横浜市医師会も入っていて、そこの講堂が会場です。壇上には、横浜市医師会長、各区医師会長、常任理事の皆さんなどがずらりと並んでいるんです。一般代議員は椅子席に座るんですけど、けっこう重圧感のある空間なんですよね。

神奈川県医師会の代議員会とか、日本医師会の代議員会となると、きっと国会みたいな感じなんでしょうかね。さすがに、自分は興味ないし、実際縁のない世界だと思いますから、どうでもいいって言えばどうでもいいんですけどね。

2009年4月1日水曜日

April Fool

なんで4月1日には嘘をついていいのか、確かな説は無いそうです。何にしても、嘘をつくというのは罪な場合が多々あるわけで、そう簡単にはつけるもんじゃありません。

もちろんジョークとしてなかなか素晴らしいものもありますが、当然人によっては不愉快に思うものもあるでしょう。

そんな中で日本インターネットエイプリル・フール協会なるものがあって、なんとも不思議なもんです。Google Mapにもガチャピンが登場したり、いろいろ面白いこともあったりします。

いつも楽しませていただいているさとちんさんの大がかりなイタズラは最高でした。 たった1日のために、ここまでやるか? っていうところに、けっこう本質が出ているようです。

自分の場合、そもそも4月1日は、だいたい春休みの最中ですから、ともだちをだましたくてもなかなか会うことがありません。医者になってみると新年度で職場が変わったりすることが多いので、そんな余裕はありません。

開業してみると、診療報酬や薬価が変更になるので、それどころじゃありません。けっきょく、気のきいた嘘をいったことなどありません、というのが本当のところです。

実際、今日は患者さんは少なめで普通なら閑だぁ~、と泣いているところでしたが、実際はけっこうパニくっていました。今年は診療報酬の改定はないのですが、薬価の改定で、今までの処方していた薬が消えたり、名前が変わったりと、電子カルテだといつも通りに受け付けてくれない薬が山ほど出てきました。

これってエイプリルフールかと、一瞬思ってしまいましたが、そんなはずはありません。そのたびに薬のマスターと呼ばれるデータベースから探してこないといけません。

いや~、まいった。かなりてんぱってしまいました。このあたりは高級な電子カルテなら、自動的に新しいものに変換してくれるんでしょうか。なにしろ、うちのは業界でも最安値のシステムですから大変です。これからしばらくは、続くのかと思うと、ぞっとします。

とにかく、新年度となって、新しく始まることがいろいろあって、多くの人はドキドキしていることでしょう。

緊張ばかりでは長持ちしませんから、必ず緩和が必要です。そういう意味では、初日から緩和してもしょうがないので、4月15日くらいに四月馬鹿があったほうがいいんじゃないかと思ってしまうのでした。