2009年4月26日日曜日

Dorati / Haydn Complete Symphonies

再三書いているように、自分はクラシックの中でも、どうも大がかりなオーケストラ作品はあまり好きではない。交響曲はその代表みたいなもので、どんなにベートーヴェンのピアノ・ソナタが好きでも、交響曲なら年に1回第九を聴けば十分なのです。

たぶん、ジャズなら最高な管楽器のキンキンした音が嫌なのかもしれません。もしかしたら、音量の変化がありすぎて耳がついて行かないのかも。たぶん音圧に疲れてしまうこともあるんでしょう。

ただし、ハイドンとモーツァルトの交響曲は別。ハイドンは交響曲の父みたいに言われますが、この2人の交響曲は、まだベートーヴェンのような「大作」というような完成度はなく、どちらかというと室内楽、あるいはちょっと編成の大きめのサロン・ミュージックという感じ。かなりお気楽に楽しむことができ、BGM的にも悪くない。

モーツァルトは50曲あまりの交響曲をのこし、これを全部聴くだけでもけっこう大変です。ところがハイドンは、なんと100曲を超えるといから驚きです。ですから、そんな一杯ある交響曲を一生懸命演奏しようなんて思う演奏家はほとんどいなかった。

現時点でも、副題のついたいくつかの有名なものはしばしば演奏されていますが、それは膨大な数の中からするとごくわずか。ほとんどは、最後の方の「驚愕」「軍隊」「時計」くらいでしょうか。

実際、自分も後半の交響曲のセットを3つ持っていますが、そうなってくると全部聴いてみたいと思うのは当然のこと。ところが、実際探してみると選択しは二つしかありません。HMVで探してみると、1987~2001年に録音されたフイッシャーの全集が、安くて有名なBrilliantから出ていて、CD33枚でおおよそ1万円という値段を考えればオンリーワンと思われます。

もう一つの選択肢が、その100数曲もあるすべての交響曲を初めて録音に遺したアンタル・ドラティです。1969~1972年にかけて、断片的なものも含めて全集を完成しました。当時はまだ古楽という考え方は無かったので、時代楽器などにこだわることはありませんが、曲としてのアンサンブルに重点をおいてハイドンの個性をしっかりと描き出されたものとして評価が高い。

ところが、もともと初発当時も大変高価なものだったわけですが、CDとなっても数万円するわけでちょっと買うには怖じ気づいてしまいます。じゃあ、フィッシャーにするかというと、ユーザーレヴューをくまなく読んでいて気になるのが音。ノイズがけっこうあるらしいし、宮殿の広間での録音で残響がけっこうあるようなのです。コンサートならともかく、録音として聴く場合には音の分離がしっかりしている方が好きなので、なかなか決断できないでいました。

ところが昨年末になってドラティの全集が廉価盤になって限定発売されるということがわかって、ほとんど躊躇無く予約してしまいました。しかも、値段は7000円を切るという破格の安さです。

1月末に手元に届き、HMVではすぐに販売終了となっていたので、待ち望んでいた人が多かったんでしょう。最近は別ルートから再入荷しており、まだ手に入れることができるようです。それにしても、さすがに膨大な量ですから、なかなか聴くには気合いがいります。

少しずつパソコンにMP3で落として聴いていますが、やっと30番くらいまできました。初期の作品は、曲としての完成度というと多少難はあるかもしれませんが、とにかく楽しく聴ける。ヴィバルディの協奏曲を「偉大なるワンパターン」と言うのと通じるところがありますが、これだけ楽しませてくれるなら文句の一つもありません。