宮脇悟(福士蒼汰)は、飼い猫のナナ(声・高畑充希)と共に車で旅に出ます。ナナはもともと野良猫でしたが、悟はしょっちゅう食べ物を分けてくれていました。ある時、交通事故にあったナナを悟が病院に連れて行き、それ以来ナナは悟の飼い猫になったのです。
ある事情でナナを飼うことができなくなった悟は、最初にナナを預かっても良いという小学校の時の友人だった澤田幸介(山本涼介)のもとに向かいます。幸介の父親は、幸介が拾った猫を飼うことを許さないため、ハチと名付けたその猫は悟の家で飼うことになり、家族の一員として大事に育てられました。
しかし、悟が修学旅行に出かけているとき、悟の両親が交通事故で二人とも亡くなってしまいます。親類が悟の処遇をなすり合いしている中で、母親の妹、法子(竹内結子)が毅然と引き取りを宣言するのでした。しかし、裁判官の仕事をしている法子は転勤が頻繁で猫を飼うことができないため、ハチは高松の遠縁に預けることになりました。
いまだに父親との関係がよくない幸介は、そのため妻も実家に帰っていたのです。ナナがいれば妻も考え直してくれるかもしれないと話すのですが、悟はそれならハチとの一件を引きづらないように、まったく新しい真っ新な猫を奥さんと探した方が良いと言ってナナを連れ帰ります。
預かりを申し出てくれた中学の友人は、たまたま飼い猫が増えてしまったので数か月待ってほしいと言ってきました。高校の友人だった、今では夫婦で動物ペンションを営む杉修介(大野拓朗)と千佳子(広瀬アリス)を訪ねます。
夏休みに高松にハチに会いに行くための資金を集めたい悟は、修介と一緒に千佳子の家の茶畑の手伝いをしたことがありました。その時に、ハチが事故で死んだことを知らされ、高松にはいく必要がなくなったという悟に、千佳子はちゃんとお別れをしに高松に行かなくては駄目だと言うのでした。
二人はナナを歓迎してくれましたが、修介が飼っている犬とナナがどうしても合いそうになく、無理と判断した悟は再びをナナを連れて法子の家に向かうのでした。法子は悟とナナのために、転勤のない弁護士に転職していたのです。しかし、悟に残されている時間はあまり無かったのです。
劇中で悟は大変な十字架を背負っていたことが明かされ、それでも両親や法子、たくさんの友人たち、そしてハチとナナに巡り合えたことで幸せに暮らしてきたことがわかります。猫は「家につく」と言いますが、ここに登場するハチとナナはいずれも悟にしっかりつくことで、お互いに信頼と愛情を持つ存在になっています。
まぁ、話としては作り過ぎというところはありますし、想定通りの結末に向かって話が進行していくところは、ひねりも何もありません。大事にしている猫を何で手放すのかという謎が少しずつ伝わって来て、わかっていても不覚にも心を動かされてしまいます。
ちょっとだけ残念なのは、猫の演技があと少し頑張れていればよかったかなと(作り手の忍耐が足りないということ)・・・相手は動物ですから、あまり贅沢なことは望んではいけませんね。それと福士くんが、ちょっと元気すぎるかなとも思いました。