数えきれない実写化作品を輩出しているベストセラー作家・東野圭吾の推理小説が原作。それだけでも、期待してしまうのですが、タイトルからして話の舞台全体が密室となっていて、登場人物が一人ずつ消えていくのだろうと考えてしまいます。監督は「宇宙人のあいつ」の飯塚健、飯塚と加藤良太の共同脚本になっています。
人気劇団「水滸」の次の舞台の主役を決めるため、海辺の豪華な貸別荘に集まったのは7人の役者。集めたのは水滸の演出家東郷です。メンバーは、リーダーの雨宮恭介(戸塚純貴)、実力派人気俳優の本多雄一(間宮祥太郎)、感情的な田所義男(岡山天音)、東郷に取り入って主役を得た噂がある笠原温子(保田真由)、演技派下手ですが父親が劇団のスポンサーである元村由梨江(西野七瀬)、個性派美人女優の中西貴子(中条あやみ)、そして唯一水滸に所属していない久我和幸(重岡大毅)です。
到着すると、早速東郷からのメッセージが壁に映し出されます。それは「これから殺人事件が起きる。その状況を踏まえて各自が独自に演技をすること。犯人を突き止めたものが次の主役になる」というもので、ここが「大雪で閉ざされた山荘」であるという設定で、外部との連絡は禁止されます。
二日目の朝、笠原がいないことに気がつきます。すると東郷からの「笠原は絞殺された」というメッセージが映し出されますが、皆はこれはオーディションの設定の一部かもと考えます。しかし、三日目の朝、今度は元村がいない。彼女の部屋の壁には血糊が撒かれ、リビングには本物の血がついた花瓶が置かれていました。再び、東郷から「元村は撲殺された」とのメッセージ。
雨宮は荷物をまとめて逃げ出そうとしますが、本多はこれらも全部芝居をするための演出かもしれないと踏みとどまらせようとします。田所は、笠原、元村と消えると次は雨宮だろうから怖いのは当たり前だと言い出します。
実は、前回の舞台で最も実力のある麻倉雅美(森川葵)が、主役を笠原に取られたことで劇団を辞めて実家に帰ってしまい、雨宮、笠原、元村の三人が復帰をさせようと説得に行って、かえって麻倉を傷つけてしまったのです。しかも、麻倉は、笠原の嘘のせいで交通事故にあい下半身不随の後遺症を負ってしまったのでした。
そして、最終日、四日目の朝。荷物をまとめて出てきたのは、本多、田所、中西、久我の4人。雨宮の姿はありませんでした。
基本的には推理物ですから、せいぜい紹介できるストーリーはこのくらい。また感想もほとんどネタバレになるので、多くは語れません。
オーディションの最終選考に集められた別荘で、劇団員たちは、携帯などの使用は禁止され、敷地から出たら不合格になるという「クローズド・サークル」が設定されています。クローズド・サークルとは、推理小説で外界との交流が断たれた閉鎖空間の中を意味する用語で、東野圭吾の得意技。ただし、出たくても出れない物理的な密室のようなものとは違い、心理的な施錠がされた状況というのが珍しい。
とは言え、携帯電話などは自己申告で提出していて、2個持ちも有りうるし、本当に殺人があったと考え、かつ次は自分かもしれないと思ったら、いくら配役を貰いたくてもその場に居残るというのはあまりにも不自然ではないでしょうか。家中に監視カメラが設置してあり、そもそもこの最終選考を企画した演出家の東郷が何らかの関りがあることは間違いないわけで、そういう意味でも主役に選ばれたいモチベーションが続くはずがない。
そこは別荘に中で、殺人をテーマにした自由な演技をしろというテーマがあること、殺されたとされる人物の死体が出てこないことで、残された人々は本当なのか演技なのか疑心暗鬼になることで誤魔化されているような感じがします。
原作(未読)にも家の見取り図が掲載されていて、謎を解明する大きな手がかりになっているらしい。それを踏襲してか、見取り図上に登場人物がはめ込まれて、今どこにいるかを示すシーンがしばしば出てくるのですが、ほとんど意図するものが不明なだけ。いちいち東郷のメッセージが、いろいろな場所でプロジェクションで映されるのも嘘くさい。
また犯人の意図が判明した時点で、じゃあそもそも部外者の久我がいる理由がわからなくなります。また、犯人を特定しろという命題があるにも関わらず、そのための手掛かりは映画の中でほとんど示されません。
開けても開けても中にさらに小さな人形が入っているマトリョーシカのような構成になっているのは原作の妙味ですが、最後のシーンを見ると元々の人形が美しい箱の中にしまわれているようなことなのかもしれません。いずれにしても、原作はともかく、映画に関しては、「多くは語れない」と言いましたが、「推理物」としては、かなり雑な作りであり突っ込みたくなるところが多過ぎると思いました。
