2021年12月31日金曜日

今年の〆はきんたんぽ


あっという間の1年でした。

去年に続いて、全世界で無かったことにしたい年だったと思いますが、それでも1年は1年。確実に人は年を取って、10年後、20年後にはこんな年もあったよねと言えればいいんですが・・・

大晦日は年越しそばというのが恒例行事ですから、お酒が飲める美味しい料理としては、きりたんぽ鍋を今年の〆にしました。

寒いときは鍋が一番。用意が簡単なので、どんな鍋でもいいんですけど、今回は秋田県の郷土料理、きりたんぽです。きりたんぽは、炊いた米をつぶして木の枝につけたものを焼いたもの。粘りの無い餅みたい・・・ですが、その素朴な感じが旨い。

スタンダードに鶏ガラスープで、鶏モモ肉、鶏つくね、ごぼう、舞茸、長ネギなどと一緒に煮ます。最後にたっぷりのせりを乗せて出来上がり。スープも含めて鶏肉は当然比内地鶏です。

・・・って、実はこれ、秋田の知人からセットでいただいたもの。すべてがセットになっていて、追加で用意する物はまったくありませんという便利なもの。コロナ渦だからこそ生まれたアイデア商品なのかもしれません。

来年は今年の続き、明日は今日からつながっていますが、どこかで区切ることは無意味ではありません。今年も、いろいろな方のおかげで1年が終わろうとしています。誠にありがとうございました。良い年をお迎えください。

2021年12月30日木曜日

もしも久利生公平と深山大翔が対決したら

知らない人には「何のこっちゃ?」という話。

久利生公平は、主としてく東京地検城西支部で働く検事で立場としては公務員。過去に自ら傷害事件の冤罪を被りそうになったところを、実直な担当検事の努力により無実が証明され、高校中退にもかかわらず司法試験に合格しました。捜査権はあるものの、実際には99.9%がデスクワークと呼ばれる検事の仕事の中で、少しでも疑問を感じた場合は、久利生は直接現場に赴き、関係者と面会し、真実を見極めます。

一方、深山大翔は斑目法律事務所の刑事専門弁護士。父親が殺人事件の犯人とされ、無実を主張する中で死亡しました。深山は、起訴されれば99.9%有罪と言われている日本の刑事裁判の中で、0.1%に隠された真実を明らかにするため弁護士を目指しました。一見、事件とは関係のない依頼人の生い立ちから話を聞き始め、起訴状に書かれた犯行の様子を実証実験で再現し、矛盾点を炙りだす独特の調査法を取ります。

・・・と、まぁ、大雑把な二人のキャラクターの説明ですけど、久利生はフジテレビのドラマ「HERO」の主人公で、2001年にSEASON I、2006年にスペシャル・ドラマ、2014年にSEASON IIが放送され、2007年と2015年には劇場版も制作されました。演じたのは木村拓哉で、キムタクにとっても代表的なキャラクターとなりました。

深山は、TBSテレビのドラマ「99.9-刑事専門弁護士-」の主人公。2016年にSEASON I、2018年にSEASON II、そして2021年の昨夜にスペシャル・ドラマが放送され、今日から劇場版が公開されます。演じるのは松本潤で、もちろんジャニーズ事務所のキムタクの後輩ということ。

そもそも、テレビ局が違いますし、年代も被らないのですが、基本的に犯人を有罪にする側の検事と無罪にする側の弁護士という反対の立場にいる二人ですから、もしも二人が法廷で対決することになったらどうなるんでしょうか。

先輩に花を持たせるなら松ジュンの負けですが、キャラクター上は、二人とも自分の足と目と耳を使い、隠された真実を暴くという異色の仕事ぶりの天才同士ですから、たどりつく真実は一緒になりそうです。

検事の桐生は、公的な強制力もある捜査権がありますが、弁護士の深山の捜査はあくまでも任意。桐生の方が真実にたどり着き易そうに思いますが、証言者に強権によるバイアスがかかる可能性は否定できない。

サポートするメンバーは、桐生の場合はあくまでも「秘書」みたいな事務官(松たか子、綾瀬はるか、北川景子)であり、同じ資格を持った弁護士(榮倉奈々、木村文乃、杉咲花)が相棒の深山の方が仲間は強力かもしれません。

犯人が無実を主張しているのは同じですが、桐生の相手は罪を逃れようとするずる賢い輩であり、深山の相手は冤罪に苦しむ一般市民ですから、ちょっと土俵が違う感じがします。同じ事件をあえて担当したら、おそらく二人の「真実」は一致しそうで、そもそも勝敗がつくようなものにはなりそうもない。

無理やり考えると、例えば強力な力を持った、例えば総理大臣とかが犯罪を犯し、その部下が罪を被るような事件で、被疑者が自らの意思で真犯人を必死に隠そうとしているようなケースがあれば、桐生は真犯人を追い詰め深山は犯人の嘘を見破るみたいなストーリーができるかもしれませんね。

2021年12月29日水曜日

ラーメン魁力屋 @ センター南


クリニックの年内の診療は昨日で終了しました。年明けは1月5日から通常診療となります。

コロナ渦になって、外食しなくなりました。できなかった、いえ、したくなかった・・・

表現はいろいろですが、誰もがそんな思いをもったでしょうから、外食産業の打撃たるや想像を超えるものだと思います。それに比べれば、クリニックはまだましかとなる。

去年の2月以降、普通の外食はブログに記録したのがすべてで、8月、9月、11月、1月、5月の5回。そして、昨日で半年ぶりの6回目。6回の内訳はラーメン店3回、蕎麦店3回。

コロナの感染状況の影響を受けて、おそらく約2年間で6回は、通常の半分以下の頻度かと思います。単純に考えてお客さんが1/3になれば店の収益も1/3ですから、経営が大変なのは推して知るべし。

クリニックの片づけなどをして、帰りに近くのラーメン屋さんへ。コロナ前は、年に数回は行っていたラーメン魁力屋です。基本の味は濃厚鶏ガラのストレート細麺。

あー、懐かしい味。やっぱり、美味しい。当たり前ですけど、カップ麺やインスタント・ラーメンとは別次元。

お店の入口には、安心・安全を謳うステッカーやポスターがたくさん張ってありました。蒸し暑い厨房でずっとマスクしているのは、かなり辛そうで気の毒ですがしょうがありませんね。


2021年12月28日火曜日

イーオン・フラックス (2005)

シャーリーズ・セロン主演のアクションSF映画で、ピーター・チョン原作の短編アニメを原作として実写化したもの。ガールズ・アクション物は、いつもかなり辛口の評価が下される例にもれず、この作品も評判は良いとは言えません。特に、女性で日系のカリン・クサマ監督の趣味・趣向がやり過ぎ感があることと、制作会社が監督の意思とは別に大幅にカットしたことが、作品の質を落としたと言われています。

2011年にウイルスの拡散により人類の99%が死亡し、トレヴァー・グッドチャイルド博士が開発した治療により、生き残った人々は最後の都市、ブレーニャに集まりました。以来、400年に渡りグッドチャイルド家による支配が続き、汚染された外界と隔絶する高い城壁に守られた生活を続けていました。

ブレーニャの街では、突然消失する女性がいて、政府が関わっていると考える反政府組織モニカンに属するイーオン(シャーリーズ・セロン)は、政府の監視施設の破壊を命令されます。しかし、自分と接触した妹のウナも殺されてしまいます。続いて、グッドチャイルド自身の暗殺を指令されました。

両足も手にしてしまったシサンドラ(ソフィー・オコネドー)と共に議会に潜入したイーオンは、演説のリハーサルをするトレヴァー・グッドチャイルド(マートン・チョーカシュ)に銃を突きつけますが、「キャサリン、本当に君か」と言われ躊躇した隙に捕えられてしまいます。

トレヴァーを暗殺するための情報をモニカンに流していたのは、兄の地位を狙うトレヴァーの弟オーレン(ジョニー・リー・ミラー)でした。脱出したイーオンでしたが、トレヴァーからのメッセージで再び再会し、どうにも抗えない思いによって一夜を共にしてしまいます。

イーオンは、ウイルス治療の副作用で人類が不妊になったため、以来代々クローンが生まれ入れ替わっていったことを知り、イーオンはトレヴァーの妻のクローンだったのです。しかし、次第に不妊が自然治癒し始め自然妊娠が起こるようになったため、オーレンは自らの永遠の命を守るために妊娠した女性を殺害していたのでした。オーレンは、トレヴァーがモニカンに寝返ったとして二人の抹殺を命じます。

まず、監督の出自に日本が関わっているせいだと思いますが、随所にみられる中途半端な「日本風」がどうもピンと来ない。アメリカ人からするとエキゾチックで、異国風な未来ということになるのかしれませんが、日本人的には腰が引けてしまいます。

政府の警備員は変な忍者みたいな格好ですし、400年も未来なのに日本風の一般家庭とか想像できません。ラストで桜並木はきれいで印象的ですが、本当にこの場所に必要かと疑問に思うところがあります。

そのあたりを横においても、ストーリー的にはいろいろなことが簡単過ぎる。モニカンの存在についてもあまりに説明不足で、一体何に対して反対しているのかよくわからない。トレヴァーさんも政府のトップにしてはあまりに無防備。クローンの作り方にしても、だったら普通に人工授精でよくないと言いたくなる。

全体にスタイリッシュな映像というところでは点をあげたいところですが、頭でっかちになっていて世界観を生かしきれていないようです。見た目の(未来的な)斬新さだけにとらわれて、中身のない空っぽ感が半端ない。

少なくとも、シャーリーズ・セロンのナイスなヴィジュアルを堪能できるのが唯一のポイントで、アクションも及第点のがんばりのようです。観客のアクション映画の主人公が女性だからダメという古臭い価値観ではなく、かっこいい女性を生かしきれない作り手に問題がありそうです。

2021年12月27日月曜日

アポロ13 (1995)

これは以前に触れていますが、アポロ計画関連の映画となると無視できない一本で、DVDからBlurayにバージョンアップしたので再度紹介します。

アメリカ航空宇宙局(NASA)が、実施した月に人類を送り込むアポロ計画では、全部で17号までのロケットが打ち上げられ、11号以降6回の月面着陸に成功しました。その中で、唯一、13号だけが月面着陸を断念して帰還しています。

これはNASAがこれまでに経験したことが無い大きな事故により、3人の搭乗員の命の危険が発生し、帰還することは絶望的と思われたものだったからでした。事故の原因と状況については、ネット記事なとで詳細に記載されています。この映画は、当事者であるジム・ラヴェル船長の手記を原作にして、事実にできるだけ忠実に再現しつつ、ロン・ハワード監督が上質のエンターテイメントとして仕上げたものです。

アポロ計画で使われた巨大なサターンV型ロケット(高さ110m)は、打ち上げ用の第一段ロケット、地球圏離脱用の第二段ロケット、月着陸船(LEM)を格納した第三段ロケット、そして司令船(支援船と先端の大気圏突入のカプセル)という構造です。

月への行程の途中で司令船は切り離され反転し、LEMとドッキングして引き出します。月軌道に乗ったらLEMを切り離し着陸させ、司令船は戻ってきたLEMの上半分とドッキングし地球に帰還。最終的に先端のカプセルだけになって大気圏に突入するという計画です。

アポロ13号は、実は最初からトラブル続きでした。当初予定されていた搭乗チームが交代になり、さらに出発の半年前にジム・ラヴェル(トム・ハンクス)、ケン・マッティングリー(ゲイリー・シニーズ)、フレッド・ヘイズ(ビル・パクストン)のチームに交代になりました。しかも、打ち上げ二日前に、風疹感染疑いでケンが外され、補助要員のジャック・スワイガート(ケヴィン・ベーコン)が搭乗することになります。

ラヴェルは、ジェミニ計画で2回飛び立ち、そしてアポロ8号で月の起動周回も行ったベテランでした。それでも月に降り立つという夢を捨てておらず、13という不吉な数字を嫌う妻マリリンと違い、このチャンスを喜びました。

事故はLEMを引き出して月に向かう途中で起こります。急に衝撃が走りも電圧、酸素が減少し、司令船が機能しなくなりました。原因不明のまま、3人は司令船をシャットダウンしLEMに移ります。しかし、本来定員2名を想定しているLEMでは3人が呼吸することで二酸化炭素が危険な濃度に上昇してしまいます。

地上では主席管制官のジーン・クランツ(エド・ハリス)を中心に、関係者を非常呼集して何とか彼らを帰還させる方法を考えます。ケンもシミュレーターで、同じ条件を設定して不足する電力の解決策を模索するのでした。

地球が近づき、まず司令船の支援部を切り離し、彼らはその壁面が吹き飛んだ無残で衝撃的な光景を目にします。そしてカプセルに移動し、ケンの指導で再起動、LEMを切り離して大気圏に突入するのでした。突入時に3分間交信が不能になりますが、3分が過ぎても沈黙が続く。4分経過してついに「無事帰還」と応答があり、すべての人々は歓喜するのでした。

輝かしい失敗・・・アポロ13号に後に与えられた称号。月には降りれませんでしたが、ほぼ絶望的な危機的な状況からの帰還は、巨額な費用が使われる宇宙開発に興味を無くし、批判的な意見も出るようになっていた世相をも巻き込んで、アメリカだけでなく世界中に感動を起こしました。

ロン・ハワード監督は、事実の組み合わせから実に映画的に話を作り上げ見事に大成功をしました。メインのキャストは、やはり何といっても30代後半トム・ハンクスとケヴィン・ベーコンです。二人とも若々しく、一番脂か乗り切った時期かもしれません。作り話がどんなに頑張っても現実のドラマの圧倒的な力にはかなわないと思えるのは、スタッフやキャストの成果と言えるかもしれません。

2021年12月26日日曜日

ファートス・マン (2018)

1960~70年代にアメリカのNASA(航空宇宙局)が実施したアポロ計画は、リアルタイムに少年だった自分にたくさんの夢の実現と困難さを見させてくれました。大人になっても、アポロ計画にまつわる話は、良い事も悪い事でも気になり続けています。

最近は、中国が無人探査機を月に送り込みましたが、いまだに人類が地球以外の星に降り立ったのは半世紀前のアポロ計画だけですし、 下手なフィクションよりリアルの中に本当のドラマが存在することを証明したイベントだったと思います。

この映画は、アポロ11号で初めて月に降り立ったニール・アームストロング船長の伝記を原作として、「セッション(2014)」、「ララ・ランド(2016)」で注目される若手のデイミアン・チャゼルが監督し、製作総指揮にはスティーブン・スピルバーグも加わっています。

ケネディ大統領は、1961年5月25日に「10年以内にアメリカは人間を月に送り、無事帰還させる」と述べたことに端を発し、マーキュリー計画に続くジェミニ計画が始動します。テスト・パイロットのニール・アームストロング(ライアン・ゴスリング)は、当初はチャック・イェーガーから適性を心配されていました。

しかし、脳腫瘍を患った娘の死を乗り越えて、ジェミニ計画のパイロットに応募し合格。苦痛を伴う多くの訓練と仲間の死を経て、ニールは1966年にジェミニ8号に乗船し、初の別機体との宇宙空間でのドッキングを成功させます。しかし、その直後機体が不安定になり、緊急着水を余儀なくされました。

家庭では良き夫であり父であるニールでしたが、妻のジャネット(クレア・フォイ)は、絶えず夫の仕事に対する不安を抱え、それは他の宇宙飛行士の妻たちも同じ。そんな中、大型化しいよいよ月を目標に定めたアポロ計画初の有人飛行となる1号が、発射待機中に火災を起こし3人の仲間で焼死する事故が発生しました。巨額な税金が使われていることに対して、世間の厳しい目も日増しに増えていきました。

1969年、ニールはついに月面着陸を目指す11号の船長に指名されます。ジャネットは出発の準備をするニールに、「こどもたちにちゃんと話して。これが最後なのかもしれないのだから」と詰め寄ります。こどもたちと抱き合い、そして固く握手を交わしたニールは7月16日に月に向けて出発するのでした。

結末はすでに世界中が知っていることですが、それでも、少なからず感動を覚えるのは、贔屓目で見ているところがあるかもしれません。しかし、この映画の優れたところは、ニール・アームストロングという一人の人物に焦点を当てて、死の可能性もある任務に向かう姿を、家族の心情と共に描いたところにあります。

そういう意味では、チャック・イェーガーを中心に音速を超えるところから、マーキュリー計画までを描いた「ライト・スタッフ(1983)」の続編的な位置づけと言えなくなくもない。月に到着し、着陸、そして帰還するという任務そのものよりも、宇宙を目指す人間のドラマだけで映画として成立させています。

それは映像が、ドキュメンタリー的な客観的なシーンと、主観的にカメラを移動させるシーンとを混在させることで、ノン・フィクションですがドラマ性を強調することにつながっています。また、CGの使用は最低限らしく、大多数の撮影が実物大の模型などを使用していることも、緊張感を引き出している要素になっています。

ニールが、幼くして無くしたわが子の名を刻んだブレスレットを月のクレーターに投げるシーンは、おそらくフィクションです。しかし、おそらく月に行こうと決心したのは娘の死と関連していたでしょうし、少なくとも月に足を踏み下ろしたことを心の中で娘に報告したことだろうと思います。

2021年12月25日土曜日

今日がクリスマス


クリスマスは昨日じゃん、と思ってます? ・・・昨日はイブ、前夜祭です。

そんなことは常識・・・って、まぁ、当然わかってることなんですけど、どっちかと言うと24日にいろいろイベントししゃうことが多い。

キリスト教徒なら・・・クリスマスは、イエス・キリストの誕生日を静かにお祝いするというのが本当なので、お祭りイベントは本来はしないはず。

もっとも、キリスト教が広く信じられている欧米では、元旦よりもクリスマスが1年の始まりとして重視されますから、ある程度のお祭り気分は許されるというものかもしれません。

きちんと信じているかいないかは別として、仏教が主流の日本では便乗商法的にクリスマスが利用されている感じがありますが、あまりお堅いことを言ってもしょうがない。

とりあえず、クリスマスを過ぎると、いよいよ街の雰囲気はお正月ムード一色になりますよね。今年もあと1週間ということで、やり残したことがある方は急げ! 急げ!!

2021年12月24日金曜日

インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア (1994)

トム・クルーズの出演した映画を探すと、必ずこの作品が引っ掛かります。邦訳すれば「吸血鬼にインタヴュー」というタイトルは、普通ホラー映画かと思ってしまう。ところが、これがけっこう裏切られる映画で、冒頭クルーズの名前が先に出ますが、主役はどっちかというとブラッド・ピット。この二人が共演しているというだけでも、かなりの驚きです。

二人はほぼ同世代ですが、クルーズが1981年から映画に登場し1986年の「トップ・ガン」で一躍大スターになったのに対して、ピットは1987年のデヴューで、名前が知られるようになるのは90年代になってから。そうなると、映画が「トム・クルーズの」という呼ばれ方をするのはしょうがない。

そして、確かに二人とも吸血鬼なんですが、ホラーじゃない。吸血鬼として不死の体になったことに対する苦しみみたいな、心情をえぐるような「ヒューマン・ドラマ」なんです。そもそも原作を書いたのがモンスター系小説が得意なアン・ライスで、映画化の脚本も手掛けています(ライス氏はつい先頃亡くなったことがニュースになりました)。

ライスは、当初二人の主役が決まると、自分のイメージとは違い過ぎると批判的な言葉を公言していました。しかし、実際の彼らの素晴らしい演技を見て、新聞に全面広告を掲載し謝罪しています。監督はニール・ジョーダンです。

現代。ライターのダニエル(クリスチャン・スレーター)は、ネタになりそうなルイと名乗る青年にインタヴューを始めます。200年以上前の18世紀初めのアメリカ、ニューオリンズ。若い農場主のルイ(ブラッド・ピット)は自暴自棄になっていて、一緒にヴァンパイアとして生きていく仲間を探していたレスタト(トム・クルーズ)の誘いに乗って血を吸わせてしまいます。

人を殺すことを厭わないレスタトに対して、人間だった時の「自尊心」を捨てきれないルイは動物の血でなんとかしのいでいました。しかし、疫病で母親を亡くした美しい少女クローディア(キルスティン・ダンスト)と出会い、ついにルイは人の血を吸ってしまうのです。人を襲ったルイを見てレスタトは喜び、クローディアをヴァンパイアに再生します。

年月がたち、クローディアは無邪気に人を殺してしまうためレスタトをイラつかせます。そして、いつまでたっても体が大人に成長しないことに不満を持ち、この責任はレスタトにあると考えるのでした。クローディアは、レスタトに力を失う死人の血を飲ませ、弱ったところで首をかき切って殺します。しかし、蘇ったレスタトがクローディアに迫ったためルイは火を放ち焼き殺すのでした。

ヨーロッパに逃れた二人は、パリでアーマンド(アントニオ・バンデラス)と名乗る、仲間を集めて劇場を主宰しているヴァンパイアに出会います。アーマンドは人間としての苦しみを忘れられないルイに興味を持ちますが、彼の仲間は仲間殺しの重罪を犯した二人を赦しません。クローディアは日光を浴びて灰になり、ルイは棺とともに生き埋めにされました。

アーマンドに救い出されたルイは、クローディアの復讐をし、アメリカに戻ります。そして、時代は過ぎ、映画が発明されルイは久しぶりに太陽を見ることができました。映画館の帰り道で、死臭を感じたルイは荒れ果てた墓場の奥に入っていくと、そこには老いて醜悪な姿となったレスタトがいました。

トム・クルーズは、今でこそアクション俳優という肩書で呼ばれますが、1996年に「ミッション・インポッシブル」に出演するまでは、かなり文芸路線の作品が多い。ポール・ニューマンやダスティン・ホフマンのような大先輩と共演し、キューブリック監督に認められ、まさに演技派の名優となるべく着々とキャリアを重ねていました。この作品もその一つと言えますが、見事に美しく青白い怖さをたたえたヴァンパイアを好演しています。

ブラッド・ピットも、人であることを忘れられない異色のヴァンパイアを熱演し、映画全体の「愛」、「憎悪」、「執着」と言った人間臭さを見事に画面の中に結晶化させました。子役だったキルスティン・ダンストも、「スパイダーマン・シリーズ」をはじめ、今では人気女優の一人になっています。

全体を覆う耽美的な雰囲気は、同性愛、少女愛といった(当時としては)反モラル的な要素を取り込んでいます。この映画の欠点をあげるならば、じわじわと進行する比較的抑揚のないこの雰囲気でしょうか。2世紀に渡る物語のほとんどが18世紀初めに時間がさかれていて、当然、夜か暗い室内の映像ばかりですから、盛り上がり感が出にくくて当たり前。そんな中で、わざわざインタヴューしなくてもいいんじゃないかと思ってしまいますが、インタヴューがあるからこそラストのオチが生きてくるところは大事なポイントになっています。

なお、映画の中ではドラキュラの話は「単なるフィクション」であり、ニンニク、十字架、心臓に杭などのヴァンパイアの弱点は全部嘘。ただし、生き続けるために生血が必要であること、寝るのは棺の中、そして日光を浴びると死ぬのは本当としています。

2021年12月23日木曜日

オブリビオン (2013)

トム・クルーズ主演のSF映画で、なかなか設定が複雑で理解しにくいところもあり、評価は割れた感じ。「トロン・レガシー(2010)」で監督デヴューしたジョセフ・コシンスキーの2作目の監督作品。

最初にトム・クルーズ演じるジャック・ハーパーのナレーションで、現在の状況を説明してくれます。 半世紀ほど前にエイリアンの襲来と戦いにより、地球は人が住めない惑星になってしまい、生き残った人類の大半は土星の惑星タイタンに移住しました。地球の上空には、テトと呼ばれる巨大な四角錐の前哨基地が浮かんでいました。

2077年3月14日、5年前に強制的に記憶を消去されたジャックは、パートナーのビクトリア(アンドレア・ライズボロー)と共に、エイリアンの残党を監視する任務についていました。任期終了まであと2週間、海岸で海水を汲み上げエネルギーに変換し、タイタンに送るためのハイドロリグを守る必要がありました。

ある日ハイドロリグが爆発し、出動したジャックは謎の宇宙船の墜落に遭遇し、睡眠カプセルに入っていたジュリア・ルサコーヴァ(オルガ・キュリレンコ)を救出します。記録から、戦争の直前からカプセルに入っていたらしい。ジュリアは宇宙船の航行記録装置が必要だと言いジャックは墜落現場に戻りますが、そこでエイリアンに拉致されました。

エイリアンと思っていたのはスーツを脱ぐと人間であり、リーダーのマルコム・ビーチ(モーガン・フリーマン)は、自分たちは人類の生き残りであり、タイタンに移民者がいないこと、テトこそが人類の敵だと語り、自分の目で確かめろと釈放されました。半信半疑のジャックは、実はジュリアは妻であることを思い出します。

自分たちの基地に戻りますが、ビクトリアはジャックの様子からテトにジャックは任務を遂行できなくなったと報告すると、ドローンが出現しビクトリアを抹殺しますが、ジュリアの助けでジャックは脱出できました。二人はマルコム・ビーチのもとに戻り、テトの破壊に協力します。自動でテトに爆弾を運ぶ手段がないジャックは、自らの手で運ぶ決意をするのでした。

映画を見ないでこのあらすじだけ読むと、なんのこっちゃという感想になると思いますが、タイトルの「oblibion (忘却)」がヒントになっている・・・というより、そこから見ている者を混乱に陥らせるスタートになっています。この辺りは若干フェアじゃない感じもしますが・・・

主人公ジャックは、以前から謎の女性と一緒に過ごす「エイリアンとの戦争前の夢」をしばしば見ていて、「強制記憶消去から5年」というナレーションによって、記憶消去以前の「忘却」していた時代の謎を提示しています。

また。ジュリアが50年以上前のジャックの妻であるところで、いったいどういうこと? となるんですが、そこから出てくる答えはおのずとあれしかない。その直後に、実際ジャックの正体が直接的に描かれるのですが、この映画の面白いのは、それより敵味方の逆転設定のところ。

スタートはスタイリッシュな未来的なヴィジュアルをゆったりと眺める感じですが、ジュリアの登場あたりからテンポが速くなり、次々に謎が解明されエンディングに持っていくていくところはうまい構成です。

最後の最後、すべてが終わった後のオチがあるんですが、本当にこれでいいの? という感じは否定できない。ちょっと釈然としないところなんですが、愛があれば許せちゃうというところなのかなぁ・・・

女性陣は、現在の事実上の夫婦であるビクトリアは、金髪でちょっと下ぶくれ顔。元々の妻でありジュリアは、黒髪でややエキゾチックな雰囲気。演じたオルガ・キュリレンコはウクライナ出身の女優さんで、「007/慰めの報酬」のボンド・ガールでした。


2021年12月22日水曜日

ザ・マミー/呪われた砂漠の王女 (2017)

インポッシブルなミッションばかりをこなしていると思ったら、間でこんなこともしてました・・・というトム・クルーズ主演の怪奇冒険物。

ユニバーサル映画は、戦前にけっこう怪奇物ノヒット作をいくつか作っていました。吸血鬼、フランケンシュタイン、そしてミイラ。ワーナーのDCユニバース、20世紀フォックスのマーヴェル・シリーズのヒットを受けて、ユニバーサルも自社の怪奇物をリブートして「ダーク・ユニバース」という構想をぶち上げた。

その第1作として登場したのが1932年の「ミイラ再生」を元にしたこの映画。「MI3」、「トランスフォーマー・シリーズ」、「スタートレック・シリーズ」などの脚本を担当してアレックス・カーツマンが監督に抜擢されました。

古代エジプトで王位を継承するはずだったアマネット王女(ソフィア・ブテラ)は、父親のメネフトラ王に男児が誕生したことで、自ら悪神セトに魂を明け渡し父子を殺害しました。しかし捕えられミイラにされ厳重に隠されました(という、ほぼ架空の設定)。

現代のイラク、メソポタミアの地で盗掘が目的のニック・モートン(トム・クルーズ)と考古学者のジェニファー・ハルジー(アナベル・ウォーリス)は、アマネットが封印されている棺を発見し、飛行機でロンドンに輸送します。しかし、カラスの大群に襲われ飛行機は墜落、かろうじて二人は助かりますが、ニックはアマネットによってセト神の生贄として呪われてしまうのです。

アマネットはニックに迫りますが、その時、彼らを助けたのはプロディジウムという秘密組織。ジェニファーもプロディジウムの協力者でした。組織を率いているのはジキル博士(ラッセル・クロウ)で、薬が切れると危険なハイドに変身するというやばい人。彼らの任務は、捕えられたアマネットのようなモンスターから人類を守ることらしい。

ロンドンの地下で十字軍の秘密墓所が発見され、その中にアマネットが生贄をささげる際に必要な赤い宝石が見つかり、そのことを探知したアマネットは鎖を引きちぎって脱走します。ニックとジェニファーも、宝石を破壊するために墓所に向かいますが、宝石はアマネットの手に落ちてしまいます!!

で、この後、あれやこれやで当然アマネットを退治するんですが、その代償としてニックが魔界に堕ちてしまう。しかし良心を残したニックは、これから続々と登場するであろう吸血鬼やフランケンシュタインと戦うというのが、ユニバーサルの計画。

ただし、残念なことにトム・クルーズ主演作の中でも1、2を争う低評価。アメリカ国内では黒字にできず、評論家諸氏からもたくさんのダメ出しがあって、「ダーク・ユニバース」の構想は白紙に戻ってしまったようです。

確かに、シリーズ化するための設定の説明が多くて本編の話がスカスカ。ミイラの話ですが、あまりその部分については深く掘り下げていないので、単なるモンスターという扱い。しかも、アマネットに生気を吸い取られた人間が生き返ってうようよしてばかりいるので、ゾンビ映画という方が似合っている。

実は「ハムナプトラ/失われた砂漠の都(1999)」も「ミイラ再生」のリメイクなんですが、オリジナルの話を踏襲しつつ、エジプトを舞台にしっかりと現代風のストーリーにまとめ上げているので、B級SFX映画にしては評判が良くシリーズ化しました。

ソフィア・ブテラはまぁまぁかっこいいんですが、ヒロインのアナベル・ウォーリスはどうも影が薄い感じ。ラッセル・クロウやトム・クルーズを起用した割には、あまり彼らの存在感が出ずにパッとしませんでした。

2021年12月21日火曜日

クリニックの非常退避路


年の瀬の17日に起こった大阪のビル火災は、多くの犠牲を出しました。

しかも、火元がクリニックで放火だったこと、犯人が通院する患者だったことなどがわかってくると、他人事と簡単に片づけられないところがあります。

今回の事件の現場に限らず、多くのビル診療を行うクリニックでは、入り口は一つしかなく、内部は仕切りが多いので、何か起こってもすぐに把握しにくいだろうと想像します。

もちろん、日頃からうちのクリニックで、同じような事件が発生する不安を感じているわけではありませんが、あらためて避難路を確認してみました。

うちの場合も、正規の非常時の避難路は一つだけの北側の出入り口しかありません。ただし、窓は東側、南側、西側の三面にあります。

しかも、幸いなことに南と西は窓の外はベランダになっており、少なくとも室内から脱出することが可能。さらに、待合室からリハビリ室まで全面に窓がある南側はベランダに救助袋が設置されており、下の階などへの退避ができる構造です。

西側ベランダは隣の泌尿器科クリニックと共用なので、助けを求めることが可能かもしれない。また、東側は、ベランダはありませんが隣のビルとの距離が狭いので、工夫次第では飛び移れるかもしれません。

クリニック内ではガスの使用はなく、直接火が出るところはまったくありませんが、電気系統のショートなどが火災の原因になる可能性は否定できません。今後も、しっかり注意していきたいと思います。

2021年12月20日月曜日

2021年総決算


毎年、この時期になると1年を総括した「総決算」というタイトルの記事を書いていますが、今年は去年に続きコロナ渦の影響で、低調な1年という以外、ほとんど書くべきことがありませんでした。

思い出そうとしても、特段変化は思い出せず、何とか雇用を守るので精一杯。業績は回復したとは言えず、現状を何とか維持していたというところでしょうか。

ある意味、この状況に自分も、スタッフも、そして患者さんも慣れてしまったという1年だったのかもしれません。月によっては、昨年より患者数の少ない時もあったのですが、もう今更スタッフの勤務を減らすと言うわけにもいかない雰囲気で、かと言って増やせる状況でもない。

昨年の患者数激減の際に、自分の取り分は生活費と住宅ローンだけにしましたが、これもほとんど変わらずで、我が家の教育が終了しているからいいようなものの、今後に関わる「老後の資金がありません」というのは現実味を帯びています。

そういえば、車が変わりました。コロナ渦直前にちょっと余裕が出てきていたので、リースでレクサスとかに乗っていたんですが、毎月のリース料が高いのでやめました。遠出ができない状況で、ほとんど自宅とクリニックの往復しかしないので1500ccの安全装備第一の車に乗ってます。

まぁ、あんまり弱音ばかり言ってもしょぅがない。中には公的援助を申請するクリニックもあったりする状況ですから、何とか自前で維持できているのは良しとするところです。

クリニックも17年目に入りまして、目下のところ一番心配なのは、自分も含めて設備の老朽化。自分のことでは、老眼の進行が顕著。たいていは眼鏡無しでなんとかなりますが、細かいことをするのにメガネが必要。これがけっこううっとおしい。

レントゲンの撮影機械でエラーがよく出るようになり、点検してもらったらレントゲン線を放射する管球が傷んできているとのことで、消耗品なのでしょうがないことですが、突然撮影できなくなる可能性があります。その時は、大至急で管球の交換をしてもらうしかないのですが、これが安くない(百万円くらいかかる)。

システムとして、ほぼ強制的に導入しないといけないのが、例の「マイナンバー・カード」が保険証のかわりになるというやつ。今月、電話回線をISDNから光通信に変えたのは、実はこれを導入するため。マイナンバー・カードを機械に通してもらうと、数秒単位で有効な健康保険が確認できるという・・・言葉だけで言うと優れモノ。

ただし、高齢者では自己負担割合が1~3割でいろいろなのが、きちんと電子カルテに自動入力されるわけではないらしい。また多くの人が持っている健康保険に併用する医療証については、ほぼ自動確認は無理で手入力するしかない。要するに、受付職員の手間が増える方が多く、全員がマイナンバー・カードを提示してくれなければ、クリニック側としてはあまりメリットが無い。

今のところ、運用の仕方を受付でいろいろと考えてくれていますので、来年から実用としたいと考えています。みなさんにできるだけマイナンバー・カードの取得をお願いしたいところです。健康保険証との紐づけはクリニックの機械ですぐに可能です。

趣味的な話としては、今年はひたすら時間があると映画をみています。もちろん映画館に出向くほどの余裕は無いので、ブルーレイかDVDディスクによるパソコン画面での鑑賞です。映画好きの正しい鑑賞法とは言えそうにありませんが、その時期によってテーマを決めて集中的に見れるのは悪いことじゃない。

去年の11月の007シリーズに始まり、監督としてはスティーブン・スピルバーグ、デヴィッド・フィンチャー、ウェス・アンダーソン。今まであまり見てこなかった戦争物、そしてオールテイムのSF名作などを、ほとんどはレンタル落ちの安いメディア、時にはAmazon Primeの無料視聴を利用してきました。さすがに映画は探せば探すだけ見ていない作品が出てくるので、底が見えてきません。まだまだ当分続きそうです。

2021年12月19日日曜日

ポルターガイスト (1982)

スティーブン・スピルバーグが制作にまわり、「悪魔のいけにえ(1974)」でホラー映画の世界で名を馳せたトビー・フーパーが監督したオカルト・スリラー。ヒットを受けて、二人の手を離れた続編、続々篇が作られましたが、後の2作はほとんど無視していい存在。

一般的には魔術や超常現象に関係したものがオカルトと呼ばれることが多く、オカルト映画の代表作と言えば「エクソシスト(1973)」が思い出されます。ポルターガイストは心霊現象の一つとされ、ドイツ語の「騒がしい幽霊」という意味。触れていないのに、勝手に物を動いたり、音をたてたりする現象のこと。

スティーヴ・フリーリング(クレイグ・T・ネルソン)の一家は、妻のダイアン(ジョベス・ウィリアムズ)、長女のダナ(ドミニク・ダン)、長男のロビー(オリヴァー・ロビンス)、次女のキャロル・アン(ヘザー・オルーク)の5人暮らし。

真夜中のテレビ。アメリカ国歌が流れその日の放送が終了すると、信号が無くなったテレビは、いわゆる「砂嵐」になります。目を覚まして起きて来た幼いキャロル・アンは、大声でテレビに向かって誰かと会話を始めるのでした。

家の中で不思議なことが起こりはじめ、初めは面白がっていた一家でしたが、嵐と共に庭の木がロビーを襲い、キャロル・アンはテレビの中に吸い込まれしまいます。超常現象の研究家であるレシュ博士を招きますが、異常現象は彼らの手に余りました。レシュ博士は霊媒師のタンジーナに助けを求めます。

タンジーナの助言に従い、ロープを巻いたダイアンは、異次元の入口である子ども部屋の光に飛び込みキャロル・アンを助け出すことに成功しましたが、こどもたちをあきらめていない霊たちは再び襲って来るのでした。

まだCGなどもほとんど使われていなかった頃で、特殊撮影が「SFX」と呼ばれていた頃の映画。ホラー的な怖さよりも、SFXの見事な出来栄えに目を見張った作品です。SFXを担当したのはジョージ・ルーカスのILMで、当時としては最新鋭の技術のお手本のような仕上がり。

論理的に考えてどうしても解決できない現象は常に存在していて、アメリカ人でさえ多くの人が心霊現象を信じているようです。この映画では、学問的な立場のレシュ博士は敗北し、霊媒師に助けを求めました。最終的には、住宅地を開発するときに取り残された墓の遺体が関係する話として、一定の「解決」を示しています。解決がなければ、おそらく見たものは納得できない、つまり映画としてヒットしないのかもしれません。

長女役のドミニク・ダンは、この映画の公開直後に恋人に殺されました。キャロル・アンのヘザー・オルークも難病を発病し、3作目の撮影後に12歳で亡くなっています。こういう事後のエピソードが、より一層映画の神秘的な評価を盛り立てました。

映画としての着想が巧妙で、やはりこれは製作・脚本に関わったスピルバーグの才能というところ。「E.T.」制作中だったスピルバーグはトビー・フーパーに監督を任せますが、血しぶきが飛び散らない作品でのフーパーの恐怖表現は、正直言って平凡の域を超えていません。

2021年12月18日土曜日

マウス・オブ・マッドネス (1994)

怪奇の世界を描くなら、やっぱりジョン・カーペンターは外せません。SFやホラーと呼ばれる幾多のかけの作品は、名作・珍品ぞろい。これは、カーペンターを否定しているわけではなく、独創的な世界は他の追従を赦さない唯一の物だということ。

この映画は、純粋にホラーと呼べそうな作品で、スティーブン・キングをモデルにしているっぽいサター・ケインというホラー作家の失踪にまつわる恐怖を描いています。

ケインの作品の読者は、小説の世界に洗脳されたかのように異常行動に走ることがあるらしい。しかし、ある時ケインは失踪し行方不明になります。出版社は保険調査員であるジョン・トレント(サム・ニール)に調査を依頼し、出版社のケインの担当をしていたリンダ・スタイルズ(ジュリー・カーメン)と共に、ケインの本の記述を手掛かりに調査を始めました。

ケインの小説の舞台となっている町にたどりついた二人は、まるで小説の中と同じような現象に遭遇し、スタイルズはしだいに狂気に取りつかれていくのです。教会に隠れていたケイン(ユルゲン・プロホノフ)を発見しますが、すべては私が書いた世界であり、トレント自身すら私の登場人物の一人なのだと説明します。

そして、君がこの世界の終わりを書いた最後の小説の原稿を持っていくのだと言われますが、トレントは原稿を読まずに処分します。闇から出現する怪物に追われるように逃げ出すトレントは、気が付くといつもの街に戻っていて、出版社ではスタイルズという社員はいないと言われ、ケインの最後の小説はすでに出版されていました。

現実と小説の境界がわからなくなったトレントは、精神病院の隔離病棟に収容されていて、これまでの話を医師に話し終えました。街ではケインの小説を読んだ人々が暴動を起こし、狂気はどんどん拡大していくのでした。

出版社のお偉方を演じているのは、御大、チャールトン・ヘストン。またケイン役もユルゲン・プロホノフという名優が演じています。主役は「ジュラシック・パーク」シリーズでも有名な、サム・ニールが手堅い演技で見せてくれます。

恐怖演出は、やや定型的で、突然画面に入って来る物体と音響が中心。怖さだけを求めるとかなり評価は下がりそうですが、現実が実は小説の世界で、小説の世界が現実になっていくという複雑なプロットが秀逸です。書き換えられると現実も変わるので、話が複雑になっていきますが、トレントの視点のみに集中することで比較的整理されている感じがしました。

この映画の中には、1920~30年代にハワード・フィリップス・ラヴクラフトらが創作した「クトゥルフ神話」に登場する名詞が随所に登場しているらしい。クトゥルフ神話は、ファンタジー系の各種メディアには、連綿と受け継がれ引用される強い影響力を持っていて、代表的な作品としてラヴクラフト作の「狂気の山脈にて(At the Mountains of Madness)」があります。


2021年12月17日金曜日

ビルの修繕工事 足場完成


クリニックの入っているベルヴィル茅ヶ崎ビルの修繕工事が、 11月末から始まっています。足場架けが終了し、今日あたりから本格的に工事の方が窓の外を行き来すると思われます。

さすがにのぞかれる感じは嬉しくないので、ブラインドを広げることになりますので、だいぶ暗くなるかもしれません。

また、換気の問題があるのでときどき窓を開けるのですが、全面にシートがかかったので風通しは良くありませんので、長めになるかもしれません。

いろいろご不便をおかけしますが、ご協力をお願いします。

2021年12月16日木曜日

IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。 (2019)

スティーブン・キング原作の小説「IT」の後編。前回の80年代の話から27年後、再び踊るピエロ、ペニーワイスの恐怖がデリーの町に戻ってきました。監督は前作と同じでアンディ・ムスキエティ。もともと2部構成ですから、監督が変わったらおかしいということ。

それにしても日本だけの副題「それが・・・」は前作では褒めましたが、今回は原題との間に「THE END」が挟まっただけという、なんともわかりにくいタイトル。一見すると区別がつきにくいのはどうかと思います。そもそも、それを見えても終わらないことが多いし・・・

あれから27年、デリーの町で殺人・行方不明事件が発生します。唯一デリーの町に残って、図書館で働きながらペニーワイスのことを調べ続けていたマイクは、「それ」の復活を確信して、大人になった「負け犬クラブ」の面々に連絡を取り集めます。

ペニーワイスに立ち向かい勝利したと思っていた「負け犬クラブ」は、ビリー、ベン、ベバリー、リッチー、スタンリー、エディ、マイクの七人。しかし、スタンリーは招集の電話の後自殺してしまいます。ペニーワイスを倒すには、マイクが調べた先住民族の儀式を全員で行わなければならないのです。

ペニーワイスは、それぞれに再び悪夢を呼び起こし精神的に襲い掛かって来るのでした。彼らはついに、ペニーワイスとの最終決戦に挑むために、27年前と同じ朽ち果てた洋館に足を踏み入れるのでした。

やっつけたはずのペニーワイスが、27年後に再び復活して恐怖をまき散らすという内容ですが、そもそも原作が2つの時代を描いたものですから、いわゆる続編ではありません。最初から2部構成で企画制作されたもので、負け犬クラブのメンバーは10代なかばから40代にになっています。

ペニーワイスは、ある意味、彼らに植え付けられたトラウマの象徴。一度は克服したかに思えたわけですが、どこかに隠れ潜んで簡単に消えるものではありません。マイクはずっとトラウマに囚われ続けたわけで、他のメンバーは記憶から忘れ去ることで封印したはずのトラウマがマイクの電話によって呼び起こされてしまう。

トラウマの重圧に耐えられず自ら命を捨てる者もいるし、逃げ出そうとする者、そして立ち向かう者。大人になってそれぞれ違った思惑があるのは当然ですが、友情のもとに再集結して乗り越えようと努力することが中心テーマなんでしょうか。

ペニーワイスはほぼCGのようですが、後編では戦隊物の定番である最後は巨大化する怪獣状態で、とてもホラーとは呼べません。サイコホラー調のモンスター・アクション映画になっています。それにしても頼みの綱の儀式が失敗して、こんな手でやっつけるんかい、と言いたくなる結末でした。

ちなみに、ちょっと驚いたことが一つ。何と、原作者のスティーブン・キングが古道具屋の親父でカメオ出演しています。それも、けっこうセリフもあって、カメオの域を超えていました。

2021年12月15日水曜日

IT/イット “それ”が見えたら、終わり。 (2017)

これはSFじゃない・・・んですが、近年のホラー映画の中では評判をとった作品。あえて分類すると青春ダーク・ファンタジー・ホラー なんていう言い方があっているかも。もしかしたらホラー版「スタンド・バイ・ミー」というのは・・・おや、そういえば作者も同じスティーブン・キングです。

スティーブン・キングといえば、アメリカン・モダン・ホラー小説の大家。この原作も1986年に刊行された、今では初期の長編という扱い。タイトルの「それが・・・」は、まったくの日本独自のものですが、it という代名詞だけではよくわからないところを、言いえて妙という副題をつけたと褒めておきます。

原作も2部構成で、1990年にテレビのミニ・ドラマとして最初の映像化がされ、全体を3時間で作り上げ評判だったようです。今回は、最初から前編・後編に分かれていて、この作品の最後に「CHAPTER ONE」と明示されています。

デリーの町でこどもが行方不明になる事件が多発。ビリーの弟ジョージーもその一人で、ビルはそのことに強い責任を感じています。太っているベンは転校生で周りになじめず、いじめっ子グループにもめを付けられている。ベバリーも男好きと悪い噂ばかり立てられ、父親からも性的虐待を受けています。他にもリッチー、スタンリー、エディ、マイクらも心に何かしら劣等感や恐怖心を隠していました。

ベンが図書館で調べると、この街には27年ごとに大量に人が消える事件が発生しており、彼らの目にも恐怖を持ってくる踊るピエロ、ペニーワイスが次々と姿を現すのです。いずれの事件でも下水道が関係していると考えた彼らは、下水道が川に出る手前で集まる場所の上に建っている朽ち果てた洋館が鍵と考え乗り込むのでした。

監督のアンディ・ムスキエティはアルゼンチンの人。音響や映像は定型的なホラー映画を踏襲しているところはありますが、恐怖よりもファンタジー色が強く、「負け犬クラブ」のこどもたちの成長が主題にある感じで、勇気を振り絞って友情を堅持し、悪夢に立ち向かっていくこと、そして仲間を信じ切ることの大事さを描いていきます。

次々と残忍な人殺しが続き血が飛び散る、いわゆるスプラッター映画とか、ただひたすら死んでも死んでも生き返るゾンビ映画などは好みではないので、こういう作品は歓迎です。それらしてもピエロは、普通は滑稽な雰囲気ですが、話によっては哀愁をたたえ、ここでは本当に不気味な存在として強烈な印象を残しました。

2021年12月14日火曜日

自宅居酒屋 #43 ちぎりキャベツ


タイトルはなんでもいいんですけど、これも超超超超超・・・簡単。

でもって、美味しい。言うことなしのレシピです。

キャベツを洗って、一口サイズにちぎる、ちぎる、ちぎる・・・ちぎったものはきれいなビニール袋に。

葉を一枚一枚バラバラにすると面倒なので、ある程度塊のままやったほうが早い。今回は余っていた1/4玉ほどを使いました。

ゴマと輪切りの鷹の爪を適量。ごま油をさーっと一たらし。

さて味付けは、チョレギサラダのドレッシングがあれば、それを使っちゃうのが一番簡単ですが、なければ塩と少しの醤油でもOK。

そして、大事なのがにんにく。すりおろしにんにくを3~4cmくらい入れます。

あとはビニール袋をしゃかしゃかと100回くらい振るだけ。

調理時間は5分とかからない。これだけで、ずっと食べていられます。

2021年12月13日月曜日

クワイエット・プレース 破られた沈黙 (2021)

声を出したら即死・・・

宣伝のキャッチ・コピーも有名になり、大ヒットした映画の続編です。今回も監督・脚本はジョン・クラシンスキー。クラシンスキーはアボット家の父親、リーを演じますが、前作で家族を救うために犠牲になったので、今作では冒頭の「第1日」の回顧シーンのみに登場。エミリー・ブラント演じる母親のイヴリン、長女リーガン、長男マーカスは一緒。

本編は前作の2日後、イヴリン、リーガン、マーカス、そして生まれたばかりの赤ん坊は家を捨て歩き出します。鉄道の操車場で仕掛けてあった鈴の音が鳴り、彼らは走りだしますが、マーカスは動物用の罠に足を挟まれて悲鳴をあげてしまいます。エイリアンがすぐさまやってきますが、リーガンが補聴器のハウリング音を携帯アンプで大きくしてひるませ、イヴリンが撃ち殺しました。

罠を仕掛けていたのは同じ町の知人だったエメット(キリアン・マーフィー)で、イヴリンたちを安全な場所に匿いました。マーカスがラジオから音楽が流れていることに気がつき、海岸から近い島からの放送であることを知ります。リーガンはハウリング音を流してもらえると考え、イブリンに黙って出発します。

イブリンに頼まれたエメットは、しかたがなくリーガンを追います。エイリアンに襲われそうになったリーガンを助けたエメットは、一緒に海外を目指すのでした。イヴリンはマーカスのケガの治療薬を探しに街へでかけますが、戻ると隠れ家にエイリアンが侵入していたました。

リーガンとエメットは何とか島に渡り、生存者たちと出会い、エイリアンが泳げないのでここは安全だと聞かされます。しかし、一隻の船が漂着し乗っていたエイリアンが島に上陸してしまうのでした。

子役の成長というのは、続編ではけっこう頭の痛い問題です。今回は特にマーカスがけっこう大きくなっている。まぁ、そこんとこはしょうがないので、あまり考えないことにします。家族の中だけの話だった前作よりも、人との関りが増えて台詞はかなり多くなりました。とは言っても、ほとんどが囁くような声ですけど。

リーガン役のミリセント・シモンズは、実際に聴覚障害があり、全体の撮影進行にも手話が多用されたようです。一作目でも、優れた演技者として評価されましたが、今作はある意味主役として、エミリー・ブラントやキリアン・マーフィーを押しのけて存在感を十分に出しています。

一般的には続編の方がつまらなくなることが多いのですが、今作では「親が子を守る」から「こどもが成長して自ら戦う」にテーマがシフトしたことで、二番煎じ感は薄まりました。前作ではできるだけ「なぜ?」に対する説明を省いた作りで、恐怖を増幅させていたのですが、今回はエイリアンに対する答えの一部が含まれました。それでも合点がいかないところは残しつつ、まだまだ続きがあるぞという感じの終わり方です。

しかし、さらに続くとなると、もうエイリアンとの戦争しかない。そこには「静寂の場所」は無くなってしまうので、もうこのアイデアでは深追いしない方が懸命のような気がします・・・が、何か続きをやるようなアナウンスがされているので、ちょっと心配。



2021年12月12日日曜日

クワイエット・プレイス (2018)

SFホラーというジャンルで、最近の成功した映画といえばこれ。エイリアンが次々と人類を餌食にする絶望的な状況を描いているのですが、とにかく極めて特異な設定が目新しい。エイリアンは音に反応して襲って来るので、生存者は極力音を立てない。当然、話すことができないため、映画の中で声を出しての台詞がほとんどありません。

監督をしたジョン・クラシンスキーは、俳優でありここでも中心となるリー・アボットを演じています。もともと彼が持っていた原案に妻の妊娠をきっかけに「こどもを守る」というポイントを押し出した脚本を書いたところ、妻の勧めもあって自身が監督を務めることになりました。その妻というのが、イヴリン・アボットを演じたエミリー・ブラントです。

およそ3か月前から始まった宇宙からの怪物の襲撃により、街は人がいなくなり荒れ果てていました。エイリアンは視覚はありませんが、音に対しては鋭敏に反応するのです。声を出せない閉塞感と恐怖の中で、アボット一家には長女リーガン(ミリセント・シモンズ)、長男マーカス(ノア・ジュープ)、次男ボー(ケイド・ウッドワード)の3人のこどもがいます。リーガンが耳が不自由なため、彼らは手話での会話ができました。一家は街で物資を調達した帰りに、音を立ててしまったボーが殺されてしまいます。

1年後。イヴリンは妊娠しており、リーガンはボーが音を立てたのは自分に責任があると考え、孤立感を深めていました。リーはマーカスに魚の捕り方を教えるため川に行き、より大きな音がする滝の近くで、久しぶりに会話をします。マーカスは、もっと姉さんの気持ちを察してあげてと言います。

陣痛が始まってしまったイヴリンは、あわてて釘を踏んでしまい声をだしてしまう。すぐさまエイリアンが侵入してきて、音のもとを物色し始めるのです。戻ってきたリーは異常を察知し、マーカスに花火をあげて音を立てるように指示します。

イヴリンが耐え切れなくなって声を出した瞬間、花火の轟音によってエイリアンは飛び出していき、イヴリンは男の子を生み落とします。しかし、エイリアンは執拗に獲物を探し続けるのでした。

クラシンスキーは初監督とはいえ、台詞が無いという特殊な環境が自然と恐怖を醸し出すことに助けられ、比較的うまく見ている者を怖がらせることに成功したようです。人が襲われる直接的なシーンは動きが早く、いわゆる血が飛び散るような場面はありませんので、音を出せない心理的な怖さと、じわじわと音を求めて獲物を探すエイリアンの迫って来る恐怖で盛り上げます。

出演者はほぼ家族だけですし、物語の性質上、音楽もほとんどありません。逆にたまに聞こえる効果音、それも普通に聴くような音がサスペンスになります。襲って来るエイリアンは、実際の人物が動いたモーション・キャプチャーにCG合成したもののようで、業界トップのILMが担当しています。比較的低予算の映画と言えそうですが、正味85分の中に程よくまとめられている印象です。

リーガンの使う補聴器がヒントになりエイリアンの弱点に気が付くのですが、その過程にも無理が無くうまく処理されています。親として「こども守る」というテーマからすると、どうがんばっても音が出ないはずがない出産は、スリルを増幅する状況としてうまく機能している。

ただし、この状況下で妊娠・出産すれば命取りになる可能性が高いのに、こどもを作ろうというのは現実的にかなり無謀な感じがします。こども一人失ったからとは言え、わざわざリスクを最大に侵すのは無理があるように思いました。

終わり方は一難去ってまた一難。彼らの未来への不安を残す終わり方です。当然、映画の高評価を確認して、すぐさま続編が作られました。


2021年12月11日土曜日

クリスマス・シーズン


クリニックで、クリスマス・ツリーを出しました。

もう10年くらい使っていて、グラスファイバーが通してあるので豆電球の電飾不要というもの。ややへたってきた感はありますが、飾り付けが簡単なので重宝します。

例年は待合室に置いていましたが、日中は明るいと電飾効果がほとんどありませんでした。

今年は、自販機を撤去したあとのスペース、つまり受付の対面に置くことにしました。ここだと、昼間でもライトがきれいに見えます。

ついでに3Dリアル造形の月の模型も吊るしてみました。まぁ、あくまでもおまけ。

来週からは、年末恒例、スタッフ全員の手作りサンタクロースの折り紙に小さなお菓子をいれたものを配れるように用意ができています。

今年もコロナ渦が続き季節感が薄れた1年ですが、季節のイベントをすると少しだけ年末を感じることができるというものです。

2021年12月10日金曜日

自宅居酒屋 #42 大根しらすサラダ


とにかく簡単であることが大事。

居酒屋としては、注文してくれた「お客さん」をお待たせしないことが大事・・・というわけで、簡単にできる時短料理でアルコールのお伴になるものが良い。

今夜は大根サラダのバリエーション。

千切りにした大根。これで大根の5~6cmぶんくらい。しらすは、よくあるパック売りのものから半分くらいの量。同じくパック詰めの鰹節1袋。

ただ混ぜただけ。味付けの追加はありません。しらすの塩気だけで十分です。

これで何人分かというのは、なかなか判断が難しい。お通しというレベルなら、余裕で10人分はありそう。一品料理としてなら、2~3人分というところでしょうか。

2021年12月9日木曜日

店変わり


今年の1月に開店した美容室・・・と呼んでいいんでしょぅか、うちのクリニックの入ってるビルの地下1階に開店した店。

地下と言っても、駅側からは裏になり、コーナン・ホームセンターの向かいで、道路とは同じ高さ。もともと、このビルの管理会社であるトラストワンが入っていたテナントです。

センター北にも店がある美容室のチェーン店らしく、カット1400円は安いのか高いのかよくわかりませんが、まぁ同じビルのことですから流行ればいいねくらいに思っていました。

ところが7月に休業の張り紙。おやおや、コロナ渦での開店はリスクが高すぎたのかという感じでしたが、12月になって店名を変更して再び開店した? らしい。

今度の店名はヘアサロンベスト。

ほとんど同じ店構えなので、経営が同じなのか変更されたのかよくわかりませんが、カットは昼休みの時間帯だけ690円と格安。カラーは以前は2900円だったのが3690円になっています。面白いのは、丸刈り490円というのがあるところでしょうか。


2021年12月8日水曜日

三羽のカラス


次のお題は・・・はい、この写真を見て一言。

カラスA「俺様の獲物はこれ」
カラスB「僕だって」
カラスC「・・・コンビニ袋と紙袋やんけ」

カラスA「パラシュートが絡まった」
カラスB「山頂に立つ」
カラスC「・・・まじめに食い物探さんかい」

やっぱり座布団はあげられませんね。

2021年12月7日火曜日

コンティジョン (2011)

原題の意味は「伝染、contagion」と言う意味で、怖いバイオ系SFという位置づけの映画。新型コロナウイルスによるパンデミックが起こった現在では、あながちフィクションと簡単に片づけられなくなって、注目度が上がった作品と言えます。

監督は「オーシャンズ11」シリーズのスティーブン・ソダーバーグ。サスペンス系は得意でここでも手堅くまとめ上げたという感じでしょうか。

この映画は「DAY 2 (二日目)」から始まります。世界各地で、咳や倦怠などを発症する人々が現れます。2日後、ミッチ・エムホフ(マット・デイモン)は香港への出張から帰宅した妻のベスが原因不明で亡くなり、家に帰るとこどもも同じように息を引き取っていました。スイスに本部がある世界保健機構(WHO)も、事態を把握しレオノーラ・オランテス(マリオン・コティヤール)を香港に派遣し感染源の特定作業に取り掛かります。。

アメリカ国内でも、CDC(疾病予防管理センター)のチーヴァー(ローレンス・フィッシュバーン)らが、死亡者の検体の調査に着手していました。豚とコウモリの交差した新種のウイルスMEV-1が確認され、現状の致死率は20%でした。チーヴァーの部下のエリン・ミアーズ(ケイト・ウィンスレット)はエムホフの足取りを追います。

民間のサッスマン博士(エリオット・グールド)はコウモリの細胞を使って培養することに成功し、CDCのアリー・ヘクストール(ジェニファー・イーリー)がワクチン開発へのきっかけとなると考えていました。その一方で、SNSを活用するフリーのライター、アラン・クラムウィディ(ジュード・ロウ)は、ブログに知りえた真偽不明の記事を投稿し、市民に不安を拡散させていました。

14日目。現地の手配に奔走していたミアーズが発病して死亡。香港のオランティスは、香港の役人にワクチンを優先的に貰うための人質として拉致されます。ついに町では略奪が始まり町も封鎖されました。クラムウィディは、チーヴァーが女友達を街が封鎖される前に脱出させたことを暴露し立場を悪くさせます。

1か月を過ぎた頃、ヘクストールは効果が期待できるワクチンを、治験などをしている時間を節約するため自らを検体として試しました。4か月、誕生日で抽選した人がワクチンを打てるようになりました。そして、少しずつですが日常が戻ってくるのでした。

あくまでもフィクションですが、まるでドキュメンタリーのように淡々とシーンを積み重ねていきます。このような手法はモキュメンタリー(mockumentary)と呼ばれます。構成は起 - 感染者出現、承 - 感染拡大、転 - ワクチン発見、結 - 終息、という具合ですが、かなりその起伏は低めで、大きな山はありません。

しかし、だからこそじわじわとウイルス感染拡大の恐怖がひろがり、その時人々に起こる様々な心や行動の変化が現実味を帯びてきます。おそらく10年前のリアルタイムでは、あくまでも映画と思って鑑賞したでしょうけど、現実のパンデミックを経験した今ではほとんど世界の縮図を見る思いになります。

WHOとCDCという二つの大きな組織が中心になり、そもそもの感染者の調査、病原体の特定と分離・培養、ワクチン精製などが行われる過程はまさに実際と同じ。中には、自ら感染して命を落とすスタッフもいる中で、彼らは必死に解決に向けて努力している。

その一方で、その過程には陰謀があると批判する人がいて、SNSの活用によりデマが拡散し力を持つようになります。公的な発表は信じないくせに、そういう風評だけは信じてしまうというのも現実にいくらでも起こっていることです。

映画として名作とは呼びにくい作品ですが、良作として今だからこそ現実を客観的に見つめ直すための一助としてお勧めしたいと思いました。

2021年12月6日月曜日

スペース・バンパイア (1985)

タイトルからしてSFホラーの王道のような感じですが、原題は「Lifeforce」、まぁ、生命力とでも言うんでしょうか。監督はホラー映画では有名なトビー・フーパー。脚本にダン・オバノン、特撮はジョン・ダイクストラ、そして音楽はヘンリー・マンシーニという具合に、スタッフには有名人がそろっていますが・・・結局はB級ホラーの域を出ない。実際のところ、主演したマチルデ・メイの魅力だけで語り継がれているみたいなところがある作品です。

時代はスペースシャトル。地球に接近したハレー彗星の調査に向かったイギリスのチャーチル号は、彗星の雲の中に全長240kmにもおよぶ巨大な宇宙船を発見。乗員が中に入ってみると、おびただしいコウモリのようなエイリアンの死体がありました。さらに奥に行くと、カプセルに入って意識のない全裸の人間らしき女性1体、男性2体を発見し持ち帰ります。

一か月後、地上からの呼びかけに反応せず進路が狂っているチャーチル号に対して、救援のシャトルが飛び立ちました。チャーチルの船内は焼け落ちており乗務員は全員死亡したと思われましたが、謎の人体の入ったカプセルだけは無傷で回収されました。

さて、未知の物質でできたカプセルをどうやって開けようか・・・と研究所関係者が会議している次のシーンでは、女(マチルダ・メイ)だけが医務室のようなところのベッドに寝かされている。簡単に開いたわけですね。一人残った警備のお兄さん、ちょっとムラムラとしたのか、女に触れた瞬間、女を目を開き起き上がるとキスをして生気を吸い取り夜のロンドンに消えていきました。

男性2体も目を覚まし監視の兵を襲ったため、銃撃と手榴弾で応戦。警備員の干からびた遺体は、2時間後に起き上がると医師から生気を吸い取って復活。エイリアンたちは人間の生気を吸い取って元気になり、吸い取られて死んだ遺体は復活してまた誰かの生気を吸い取るのでした。

調査を始めたイギリス特殊部隊のケイン大佐(ピーター・ファース)は、チャーチルの脱出艇が発見され、乗っていたトム・カールセン大佐(スティーヴ・レイルズバック)から、乗務員が次から次へと干からびるように死んで、地球に戻ってはいけないと感じ自ら火災を起こしたという信じられない話を聞きます。

夜になって、女はカールセンの心に接触してきました。ケインらはカールセンに逆に女の心を探すように言います。女は元の体はどこかに隠し、他人に次から次へと乗り移っていました。乗り移られた一人は病院の院長(パトリック・スチュワート)でした。ここからは話が途端に大きくなり、ロンドン中に生気を吸い取る人々が急増し戒厳令が敷かれます。

吸い取った生気は彗星の雲から離脱した宇宙船に送られていました。カールセンとケインは危険を承知で市内に向かうのでした。

・・・って、最後はロンドン中がゾンビだらけで、もう、ぐっちょんぐっちょんの感じになってます。ストーリー的には、わかったようなわからないような組み立てで、後に「スター・トレック」で艦長になるおじさんまで大暴れ(この頃から頭頂部は髪の毛が無い)。

セットも格安作りで、宇宙センターと言ってもほとんど普通のオフィース・ビル程度。やはり、ほぼ服を着ているシーンがないマチルダ・メイの美しい裸体を拝んでいるうちに何となく終わる映画です。それ以上は・・・特にないです、はい。

2021年12月5日日曜日

アポロ11 完全版 (2019)

事実は小説より奇なり・・・

SF映画のSFは「science fiction」、つまり科学的な事象に基づいた虚構です。多くの小説は、作者の空想上の出来事を物語にしたものです。ですから、ストーリーは劇的に進行し、その小説を読む者、あるいは映画化された映像を見る者に感動を与えてくれる。

実世界ではほとんどの物事は平々凡々に静かに進行して、誰かの注目を浴びるようなことは稀ですが、その中にごく僅かですが小説を凌駕するような驚くべきストーリーがあったりします。

1950年代末から始まったアメリカ合衆国における宇宙開発事業は、まさにフィクションを超えるドラマの宝庫で、その中心となる舞台はNASA(アメリカ航空宇宙局)であり、ここから数々の人間ドラマだけでなく、多くの現代社会に貢献する技術革新も生まれました。

第二次世界大戦ではプロペラ機が主力戦闘機でしたが、その後ジェット機の開発によってスビートを競う時代が到来します。1947年に初めて音速の壁を打ち破ったのは、チャック・イエーガーが操縦する機体でした。

1957年10月4日、ソビエト連邦(現ロシア)が世界初の人工衛星(スプートニク1号)の打ち上げに成功し、アメリカでは「スプートニク・ショック」が広がりました。冷戦時代において、ソビエトに先を越されたことはアメリカに大きな衝撃となり、航空機開発はいっきに宇宙を目指すことになり急遽組織されたのがNASAでした。これらのエピソードと伴に宇宙を目指すマーキュリー計画までが映画「ライト・スタッフ(1983)」で克明に描かれています。

この時代は、実用的なコンピュータと呼べるものはほとんどなく、宇宙を目指すための計画に必要な数学的計算の多くは計算尺を用いた手作業でした。また組織の中心だったジョンソン宇宙センターがあるテキサス州ヒューストンは、女性や黒人に対する差別が色濃く残っていました。NASA黎明期のこれらの問題を映画化した「ドリーム(2016)」では、実在した3人の黒人女性がたくましく地位を獲得していく様子が描かれました。

1961年4月12日、ソビエトはガガーリン飛行士が登場したボストーク1号の打ち上げに成功し、世界初の有人宇宙飛行に成功しました。またしてもソビエトの後塵を拝した当時のケネディ大統領が「60年代末まで我々は月に人類を送り込み、そして安全に帰還させる」という演説を行ったのです。有人飛行を目指したマーキュリー計画、宇宙での長期滞在のためのジェミニ計画をへて、ついに月旅行を実現させるためのアポロ計画が始まります。

最初の有人飛行を目指したアポロ1号の、司令船火災による3名の搭乗者が死亡するという痛ましい事故(1967年)がありましたが、その後順調に実績を積み重ねて、ついに1969年7月16日、世界初の月着陸を成し遂げたアポロ11号が打ち上げられたのです。

この映画は、完全ドキュメンタリーで、2017年に新たに発見された映画サイズのフィルムをもとに、信じられないくらい鮮明な映像を含めて、今まで公開されていなかった映像だけで発射から月面着陸、そして無事に帰還するまでをパッケージ化したものです。

監督のトッド・ダグラス・ミラーは、2016年に最後の有人月面着陸となったアポロ17号のショート・ドキュメント「The Last Steps」を制作した人。発見されたフィルムを高解像度でスキャンし、既存の映像もリストアして現代の視覚に耐えうる美しさを再現しました。

当初は博物館用に47分「The First Steps」版を作りましたが、劇場公開用に93分に拡張編集したのがこの「完全版」ということになります。ナレーションを排し、実際の会話、交信の音声だけで構成し、しばしば手前味噌で白ける関係者のインタヴューは含まれていません。

それでも、本当に最初から意図して構成したストーリーがあるかのような、映画的な編集は素晴らしく、まさにスリルとサスペンスが持続して目を離せません。当時、遠く離れた日本で小学生だった自分は、小間切れに伝わってくるニュースにワクワクした覚えがありますが、半世紀もたってあらためてアポロ11号の経時的な偉業を再認識させてくれました。

2021年12月4日土曜日

自宅居酒屋 #41 ローストビーフ


久しぶりにローストビーフを作ってみました。

最近は肉塊料理なんてほとんど口にしていなかったのに、なんでまたローストビーフ? というところなんですが、単純に値段が安かったから。

これで約600gもあって、1000円しませんでした。

ローストビーフを作るのは、作業としては簡単。仲間で味が浸みるように、フォークなどを刺してでたくさんたくさん穴をあけます。塩と胡椒を表面にふって、4~5日冷蔵庫に放置。

あとは火を入れるだけなんですが、これが一番面倒。

今回は、オーブンを使用。180゚cで予熱無しで30分にしてみました。はじっこはいいんですが、真ん中は最大厚さが6cmくらいあったので、食べれないほどではないけど中心部は生っぽい感じ。

もう少し温度を下げて、時間を長くした方が良かったのかもしれない。例えば、150゚cで60分とか・・・

他には、表面をフライパンで焼いてからビニール袋に入れ、お湯の中に落としておくというやり方もあります。鍋で水を沸騰させ火を止めておき、30分くらい放置するというもの。

いずれにしても、火加減がうまくいかないと美味しくはなりません。今回はギリギリの合格で60点というところでした。

2021年12月3日金曜日

マルエフ


正式名称は「アサヒ生ビール」、通称「マルエフ」だそうです。

さらに、「飲食店で愛され続けたまろやかなうまみ、"復活の味"」と缶に書かれています。

なんで「〇F」なのかというと、「Fortune (幸運)」のエフらしい。

公式HPによると、アサヒ低迷期に復活の願いを込めて「Phoenix (不死鳥)」の頭文字をFだと勘違いして最初に使っていたということらしい。

コクがあるのにキレがあるというのが評判となってうけて、スーパードライが誕生につながり、一般向けの販売は1993年に終了。ただし、飲食店向けには販売が続いていたそうです。

2018年に一度、限定発売されましたが、今年の9月から一般販売となったとのこと。飲み比べたわけじゃないのですが、スーパードライのような苦みが感じられました。普通に美味しいビールという印象ですね。


2021年12月2日木曜日

バイオハザード ザ・ファイナル (2016)

いよいよこのシリーズも最後です。もう、いまさら何をかいわんやという感じ。


冒頭の約5分間、改めてこの物語の背景がアリス(ミラ・ジョヴォヴィッチ)の口から語られます。アンブレラ社はもともとマーカス、アイザック(イアン・グレン)の両博士が中心人物で、マーカスは娘アリシアの早老病のためにTウイルスを開発。アイザックはTウイルスの兵器利用のため、マーカスを殺害し暴走し始めるというのがそもそもの発端らしい。

前作の最後で、ワシントンに集まった生存者はアンデッドとモンスターの群れと戦い、たぶんほぼ全滅したっぽい。生き残りを集めて叩き潰すというウェスカー(ショーン・ロバーツ)の計画だったようで、ウェスカーはハイブに立てこもりました。衛星からアリスを捕捉したレッド・クイーンは、アリスにコンタクトし48時間後にはすべての人類は抹殺されることを教え、防ぎたければハイブにある抗ウイルス薬を手に入れるよう進言してきます。

ハイブに向かう途中でアイザックに捕まったアリスですが、アイザックの左腕を切り落として逃げ切ります。ハイブにはクレア(アリ・ラーター)らの生き残りグループが立てこもっていました。その中には、日本からローラが特別出演! ですが、アイザックとアンデッド軍団が大挙して襲いかかってきたためあえなく絶命。

アリスとクレアたちは、アイザックを撃退しハイブに侵入します。コンタクトしてきたレッド・クイーンは、アンブレラ社がアイザックの提案により、人類を一掃して自分たちに都合の良い新しい世界を作るためにウイルスを意図的に散布したことを教えます。人命尊重のブログラムを組み込まれているレッド・クイーンは、その情報により矛盾が生じアリスを迎え入れたのでした。

メイン・コンピュータから最深部に向かったアリスは、オリジナルのアイザック、ウェスカーらと対面します(ホンマでっか?)。アイザックが持っていた抗ウイルス薬は、感染したものをすべて殺す力があり、それを使うと言うことは感染しているアリスの命も無いと言うこと。そして、もう一人、死を目前にしたアリシア(老けメークのミラ・ジョヴォヴィッチ)が登場します。実は、アリスはアリシアのDNAをもとに作られたクローンだったのです!!

ふぅ~、やっと終わった。制作元は来年、クレアとクリスの兄妹を主にしたリブートを用意しているらしいのですが・・・まぁ見たい人は見ればいいんじゃないですか、という感じ。これまで5作で、毎回話をこじつけてきましたが、最終話でもウイルス散布は、神の怒りによる人類リセットとノアの箱舟になぞらえたのは大きく出ました。旧約聖書版バイオハザードということ。

第1作で金になると思ってウイルスを盗み出したことになっている、スペンサーの立場とどうなるのでしょう。人類リセットのためなら、安全性の高い自分たちの地下施設でウイルスを最初に散布しなくても、もっと効率的にやる方法はいくらだってあるはずです。

どう考えても、最初からこの最終話までのストーリーがあったとは思えず、毎回話を盛り上げるためにいろいろな設定を追加・削除しただけのように思います。つまり、まさにビデオゲーム。主人公が死んでもリスタートすればやり直せるし、いろいろな能力や武器をカスタマイズできるというのは、ゲーム感覚というところか。まぁ、単純に女性が活躍するアクション映画と考えれば、ミラ・ジョヴォヴィッチさんは10年以上よく頑張りましたと拍手を送っておきます。

2021年12月1日水曜日

バイオハザード V リトリビューション (2012)

SF映画としても、ホラー映画としても、あるいはアクション、スリラー、サスペンスなど、あらゆる要素をごった煮にしたような「バイオハザード」シリーズですが、今回は5作目。サブタイトルは「報復 (retribution)」です。

冒頭海の中に漂うアリス(ミラ・ジョヴォヴィッチ)が、浮かび上がって逆再生で船に戻り、襲ってきたジル(シエンナ・ギロリー)が率いるアンブレラの舞台もオスプレイに戻る・・・とアリスによるあらすじの始まり始まり。これで7分間使っちゃう。でもってさっきの逆再生の場面がが今度は順再生されて、海に沈むアリスが目を覚ますと・・・

何か普通のアメリカの家庭で目を覚ます主婦アリス。夫の名はトッドですが、何とIIIで自ら犠牲にしたはずのカルロス(オデッド・フェール)じゃないですか。しかも、ベッキーという聴力障害のある娘がいる。幸せな朝の日常だったのに、急にゾンビが現れ襲って来るのです。しかも、ゆっくりじゃなく全力疾走です。表に出たところ、通りかかった車を運転していたのはIで死んだはずのアリスの仲間の特殊部隊隊員のレイン(ミシェル・ロドリゲス)。再び家に逃げ込みますが、ついにゾンビ化したカルロスが・・・

再び目を覚ますアリス。そこはアンブレラ社の拘束室で、ジルが金属音による拷問をしながら、何故裏切った? 誰に頼まれている? と執拗に問い詰めますが、何故かセキュリティ・システムが停止し、再起動までの隙にアリスは逃亡します。外に出ると、そこは東京。JPOP GIRL(中島美嘉)が近づいてきて、襲い掛かって来る。お気の毒なことに中島さんアリスに撃ち殺されちゃいます。

そこへ宿敵ウェスカーの部下エイダ・ウォン(リー・ビンビン)が現れ、アリスを救うためにセキュリティを停止したといい、モニターにウェスカー(ショーン・ロバーツ)が映し出されます。ここはアンブレラ社のロシア極東の海中にある模擬的な街を再現した実験施設だと説明します。地上からの救出チームと合流するためアリスとエイダは疑似ラクーシティに入り、そこで実験用に使われ死んでいるアリスクローンを発見します。さらに隠れていたベッキーはアリスを母親だと思って抱きついてきました。

ジルの部隊にはワン(Iで登場した特殊部隊隊長)、レイン、カルロスらのクローンもいて、執拗にアリスたちを追い詰めます。救援チームもほとんどが倒されますが、アリスはジルとの直接対決でジルをコントロールしていたスカラベを取り除き、ベッキーをつれてウェスカーの送ったヘリコプターに乗って脱出しました。

ウェスカーはホワイトハウスのアメリカ大統領執務室に陣取り、レット・クイーンがアンブレラ社を牛耳って人類を絶滅させようとしているので、アリスが最後の望みだと説明し彼女の超能力を復活させました。でもって、エンドクレジットの長い10分間でおしまい。

つまり96分の映画で、初めの約10分と最後の10分間はほとんどいらない部分なので、正味76分という上げ底映画。過去の登場人物をクローンとして大量復活させたり、急に悪役ウェスカーが死んでないどころか対レッド・クイーンの総大将みたいな感じという具合で、もうやりたい放題。

死んでも死んでも何度でも出てくるのは、クローンもゾンビと同じということ。もう、こういう企画だとストーリーとしては有っても無くてもかまわなくて、ただただモンスターをひたすらやっつけてますみたいな話になってしまいました。

これで興行成績だけは良いというのが困る。はっきり言えば、こんな雑な映画がうけるのは、ひとえに原作のビデオゲームがそれなりに人気を保っているからとしか理由は想像できません。とりあえず、あと一つだけあるんで終わりは見えてますからいいんですけどね。