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2021年12月19日日曜日

ポルターガイスト (1982)

スティーブン・スピルバーグが制作にまわり、「悪魔のいけにえ(1974)」でホラー映画の世界で名を馳せたトビー・フーパーが監督したオカルト・スリラー。ヒットを受けて、二人の手を離れた続編、続々篇が作られましたが、後の2作はほとんど無視していい存在。

一般的には魔術や超常現象に関係したものがオカルトと呼ばれることが多く、オカルト映画の代表作と言えば「エクソシスト(1973)」が思い出されます。ポルターガイストは心霊現象の一つとされ、ドイツ語の「騒がしい幽霊」という意味。触れていないのに、勝手に物を動いたり、音をたてたりする現象のこと。

スティーヴ・フリーリング(クレイグ・T・ネルソン)の一家は、妻のダイアン(ジョベス・ウィリアムズ)、長女のダナ(ドミニク・ダン)、長男のロビー(オリヴァー・ロビンス)、次女のキャロル・アン(ヘザー・オルーク)の5人暮らし。

真夜中のテレビ。アメリカ国歌が流れその日の放送が終了すると、信号が無くなったテレビは、いわゆる「砂嵐」になります。目を覚まして起きて来た幼いキャロル・アンは、大声でテレビに向かって誰かと会話を始めるのでした。

家の中で不思議なことが起こりはじめ、初めは面白がっていた一家でしたが、嵐と共に庭の木がロビーを襲い、キャロル・アンはテレビの中に吸い込まれしまいます。超常現象の研究家であるレシュ博士を招きますが、異常現象は彼らの手に余りました。レシュ博士は霊媒師のタンジーナに助けを求めます。

タンジーナの助言に従い、ロープを巻いたダイアンは、異次元の入口である子ども部屋の光に飛び込みキャロル・アンを助け出すことに成功しましたが、こどもたちをあきらめていない霊たちは再び襲って来るのでした。

まだCGなどもほとんど使われていなかった頃で、特殊撮影が「SFX」と呼ばれていた頃の映画。ホラー的な怖さよりも、SFXの見事な出来栄えに目を見張った作品です。SFXを担当したのはジョージ・ルーカスのILMで、当時としては最新鋭の技術のお手本のような仕上がり。

論理的に考えてどうしても解決できない現象は常に存在していて、アメリカ人でさえ多くの人が心霊現象を信じているようです。この映画では、学問的な立場のレシュ博士は敗北し、霊媒師に助けを求めました。最終的には、住宅地を開発するときに取り残された墓の遺体が関係する話として、一定の「解決」を示しています。解決がなければ、おそらく見たものは納得できない、つまり映画としてヒットしないのかもしれません。

長女役のドミニク・ダンは、この映画の公開直後に恋人に殺されました。キャロル・アンのヘザー・オルークも難病を発病し、3作目の撮影後に12歳で亡くなっています。こういう事後のエピソードが、より一層映画の神秘的な評価を盛り立てました。

映画としての着想が巧妙で、やはりこれは製作・脚本に関わったスピルバーグの才能というところ。「E.T.」制作中だったスピルバーグはトビー・フーパーに監督を任せますが、血しぶきが飛び散らない作品でのフーパーの恐怖表現は、正直言って平凡の域を超えていません。