これは以前に触れていますが、アポロ計画関連の映画となると無視できない一本で、DVDからBlurayにバージョンアップしたので再度紹介します。
アメリカ航空宇宙局(NASA)が、実施した月に人類を送り込むアポロ計画では、全部で17号までのロケットが打ち上げられ、11号以降6回の月面着陸に成功しました。その中で、唯一、13号だけが月面着陸を断念して帰還しています。
これはNASAがこれまでに経験したことが無い大きな事故により、3人の搭乗員の命の危険が発生し、帰還することは絶望的と思われたものだったからでした。事故の原因と状況については、ネット記事なとで詳細に記載されています。この映画は、当事者であるジム・ラヴェル船長の手記を原作にして、事実にできるだけ忠実に再現しつつ、ロン・ハワード監督が上質のエンターテイメントとして仕上げたものです。
アポロ計画で使われた巨大なサターンV型ロケット(高さ110m)は、打ち上げ用の第一段ロケット、地球圏離脱用の第二段ロケット、月着陸船(LEM)を格納した第三段ロケット、そして司令船(支援船と先端の大気圏突入のカプセル)という構造です。
月への行程の途中で司令船は切り離され反転し、LEMとドッキングして引き出します。月軌道に乗ったらLEMを切り離し着陸させ、司令船は戻ってきたLEMの上半分とドッキングし地球に帰還。最終的に先端のカプセルだけになって大気圏に突入するという計画です。
アポロ13号は、実は最初からトラブル続きでした。当初予定されていた搭乗チームが交代になり、さらに出発の半年前にジム・ラヴェル(トム・ハンクス)、ケン・マッティングリー(ゲイリー・シニーズ)、フレッド・ヘイズ(ビル・パクストン)のチームに交代になりました。しかも、打ち上げ二日前に、風疹感染疑いでケンが外され、補助要員のジャック・スワイガート(ケヴィン・ベーコン)が搭乗することになります。
ラヴェルは、ジェミニ計画で2回飛び立ち、そしてアポロ8号で月の起動周回も行ったベテランでした。それでも月に降り立つという夢を捨てておらず、13という不吉な数字を嫌う妻マリリンと違い、このチャンスを喜びました。
事故はLEMを引き出して月に向かう途中で起こります。急に衝撃が走りも電圧、酸素が減少し、司令船が機能しなくなりました。原因不明のまま、3人は司令船をシャットダウンしLEMに移ります。しかし、本来定員2名を想定しているLEMでは3人が呼吸することで二酸化炭素が危険な濃度に上昇してしまいます。
地上では主席管制官のジーン・クランツ(エド・ハリス)を中心に、関係者を非常呼集して何とか彼らを帰還させる方法を考えます。ケンもシミュレーターで、同じ条件を設定して不足する電力の解決策を模索するのでした。
地球が近づき、まず司令船の支援部を切り離し、彼らはその壁面が吹き飛んだ無残で衝撃的な光景を目にします。そしてカプセルに移動し、ケンの指導で再起動、LEMを切り離して大気圏に突入するのでした。突入時に3分間交信が不能になりますが、3分が過ぎても沈黙が続く。4分経過してついに「無事帰還」と応答があり、すべての人々は歓喜するのでした。
輝かしい失敗・・・アポロ13号に後に与えられた称号。月には降りれませんでしたが、ほぼ絶望的な危機的な状況からの帰還は、巨額な費用が使われる宇宙開発に興味を無くし、批判的な意見も出るようになっていた世相をも巻き込んで、アメリカだけでなく世界中に感動を起こしました。
ロン・ハワード監督は、事実の組み合わせから実に映画的に話を作り上げ見事に大成功をしました。メインのキャストは、やはり何といっても30代後半トム・ハンクスとケヴィン・ベーコンです。二人とも若々しく、一番脂か乗り切った時期かもしれません。作り話がどんなに頑張っても現実のドラマの圧倒的な力にはかなわないと思えるのは、スタッフやキャストの成果と言えるかもしれません。