2023年4月30日日曜日

Giuliano Carmignola / Giardini, J.C.Bach, C.F.Abel Un Italiano a Londra (2016)

ヨーロッパ大陸からイギリス、ロンドンに渡って活躍した作曲家はたくさんいたようで、とくに有名なのはドイツのヘンデル。ヘンデルはイギリスに帰化して、よく知られている「メサイア」は歌詞が英語です。ひと頃の日本に来るメジャー・リーガーみたいなもので、異国で一旗揚げようみたいなところがあったのかもしれません。

1716年にイタリア、トリノで生まれたフェリーチェ・ジャルディーニも、そんな活路を求めてイギリスに渡ったバロック期最後から古典期ーの過渡期の作曲家。バロックの特徴が、単旋律を中心とした音楽であったとするなら、古典期は和音が主役になって来る。

ジャルディーノはヴァイオリンの神童としてミラノで名を知られるようになり、30歳すぎからはヨーロッパ各地への演奏旅行を度々行い、最終的にイギリスに落ち着きます。この頃、同じくイギリスに定住し、王家にも気に入られアーベルと伴に定期演奏会で人気を博していたのがヨハン・クリスチャン・バッハでした。

ヨハン・クリスチャンは、J.S.バッハの末っ子でしたが、プロテスタントを捨てカトリックほ改宗、ドイツを捨てたことでバッハ家の裏切り者となりますが、イギリスでの人気と活躍、そして新しい音楽理論によって古典期の懸け橋となった重要な作曲家の一人と考えられています。

ジャルディーノはヨハン・クリスチャンの援護もあって、60代までイギリスでの成功をおさめますが、ナポリで劇場を運営するためにイギリスを離れたのが運の尽き。劇場はうまくいかず、70代後半にイギリスに戻るも忘れ去れた存在になっていました。さらにロシアに向かいますが、モスクワで80歳の生涯を終えます。

バロック・ヴァイオリンの大家、カルミニョーラがこのCDのテーマにしたのが、「ロンドンのイタリア人」ということで、ジャルディーノを中心に彼を支えたJ.C.バッハとアーベルを織り交ぜて、彼らの演奏会を再現することです。

一緒に演奏するのはAccademia dell'Annunciataという古楽器楽団ですが、監督を務めるチェンバロ奏者は、人気のIl Giardino Alminicoに所属しているリッカルド・ドニです。

独奏ヴァイオリンだけを聞くと、まだまだバロックの匂いが残る感じがしますが、伴奏は明らかに新しい。管楽器は登場せず、控えめに木管が入る程度で、編成はバロック期とあまり変わりがない弦楽器主体です。

基本的には典型的バロック音楽の、急緩急という三楽章形式が踏襲されていますが、全体の和声進行で伴奏が進みます。強いて言うなら軽めの、あるいは初学者のモーツァルトという言い方ををするとわかりやすい。

バロックから古典への過渡期の音楽ということですが、当時のイギリスの紳士淑女がこれらの新しい音楽を聞いて喝采したと思うと感慨深いです。

2023年4月29日土曜日

自宅居酒屋 #65 炙りノドグロ


スーパーで赤むつ、いわゆるノドグロを売っていました。

普通に高級魚として位置づけられていて、大きい物は40cmくらいになる。よく見かけるのは20cm程度で、一尾1000円くらいするので、あまり手を出したくなりません。

今回みつけたのは、15cmくらいの小さなもので、2尾で600円。う~ん、これなら食べてみようか、というわけで買ってみた。

さて、どうやって食べるか。一般的には煮付けなんですが、今回はあえて刺身にしてみました。

ただし、脂が多い魚なので・・・だから美味しいのですけど・・・、炙りにしてみました。

何しろ小さいサイズなので、三枚におろすとだいぶ食べれるところが減ってしまうのが悩みどころ。

小さくておろしにくいし、骨もあまり固くないのか、包丁を入れると骨も一緒にそげてしまうのがやっかい。

とは言っても、おろした身を斜めに切って、まあ、なんとかさらに盛れる程度の見栄えにはなりました。

バーナーで炙ると皮が縮んで丸まってしまいますが、数時間冷蔵庫で寝かせておくと少しずつ戻ります。

味? 脂が乗って甘みのある白身魚としては、やはり美味しいです。

2023年4月28日金曜日

Ensemble Giardino di Delizie / Isabella Leonarda Trio Sonatas (2021)

ポップス系では女性作曲家は当たり前のようにたくさんいますが、クラシック音楽ではこれまで名を残した人は数えるくらいしかいません。ことにバロックとなると、まぁ皆無と言っていい状況・・・

ですが、いました。いるんですよ。1629年生まれのイタリア人、イザベラ・レオナルダです。

生涯を修道院で過ごした人なんですが、特に歌手でもないし、楽器の演奏者としても有名ではありません。おそらく、教養として身につけた音楽の知識を、修道女たちに教える仕事をしているうちに、作曲もするようになったと考えられています。

基本的には宗教音楽の作曲家ですが、200曲ほど残っている作品の中に11曲のソナタ、器楽曲があります。基本的には独奏楽器としてのヴァイオリン、通奏低音としてのチェロとチェンバロを中心としたトリオ・ソナタです。

しかし、あまり形式にとらわれず、楽章の数もまちまちですし、本来伴奏である通奏低音が主役になっている曲もあります。それがまた魅力の一つになっているように思います。

演奏は古楽器を使うアンサンブル・ジアルディーノ・ディ・デリヅィーというグループですが、HPを見ると、何と全員女性。ストラデッラのソナタ集もリリースしていて、なかなか実力派の集団です。

CDは、以前は他のレーベルのライセンス物の廉価版メーカーという位置づけだった、Brilliantレーベルからですが、最近は自らこのような大手レーベルが商売的に取りこぼしている貴重な音源をリリースしているのには感心します。

2023年4月27日木曜日

マイナ保険証の今


4月も残りわずかで、新年度となったあわただしさも落ち着き始めている今日この頃。

医療機関では、健康保険証を兼ねたマイナンバーカードでの受診が本格化しました。去年までは、当然のようにマイナンバーカードと保険証を紐づける人はほぼ皆無。

そもそも、マイナンバーカードを持っている人がほとんどいないという状況でした。

とは言っても、政府のマイナポイント制度でカードを持つ人は増えたらしいのですが、それを携帯するところまでは行っていないという印象。

ただ、マイナポイントの終了、健康保険証の将来的廃止などにより、さはがに新年度からはマイナ保険証を提示する人が格段に増えました。

増えたと言っても、以前は1か月に一人くらいだったのが、2日に一人くらいになったという程度。まぁ、10数倍ですから割合だけなら「激増」ですが、まだまだの感は否めない。

ソフトウェア的な問題はだいたい解消されて、マイナ保険証を提示してもらえると、医療機関は保険証情報の他に受診している医療機関や投薬の履歴も確認できます。

患者さんの立場では、メリットが少ないと感じるかもしれませんが、運転免許証のように毎日携帯する意識さえつけば、忘れる心配はなく、旅先での急に受診も自費にならずに済みます。薬手帳も不要になります。

まぁ、マイナ保険証が普通に使われるようになるには、まだまだ相当な期間が必要だとは思いますけどね・・・・


2023年4月26日水曜日

セブンのおにぎり 3


タイトルに「2」がついて続編扱いなのは、去年の秋に秋の味覚をテーマにしたおにぎりの話題があったらです。

何と、セブンイレブンに、半年ぶりで再び珍しい味が楽しめるおにぎりが登場しています。

右は「東京の味 深川めし」、左は「兵庫の味 たこめし」です。

確かにそれぞれの土地を代表する味覚なので、どのようにおにぎりのなかに凝縮できているのか興味深い。

深川めしは、比較的大粒のあさりが中に詰まっていました。このあたりはけちっていない。たこめしも、5mm角大に切ったたこがたくさん詰まっていて、いずれも具材の量としてはおにぎりのサイズ感からは十分な感じです。

全体の味は、どちらかというと薄味・・・でしょうか。深川めしは薄味の方があさりの味が生きると思うので、まぁまぁOKかなという感じ。

たこめしは、イカと違い素材の味の主張が弱いので、米の味を濃くしないことでたこを目立たせたいということなのかもしれない。ただ、米も具材も味がぼやけてしまったように思います。

まぁ、値段も高いので、一度食べれば満足というところです。

2023年4月25日火曜日

自宅居酒屋 #64 漬けマグロ


スーパーで安いマグロの切り落としを見つけたら、この食べ方はお勧めです。

切り落としはたいていペラペラで、刺身として食べるにはやや物足りない。でも、値段が安いので、そのままスルーするのも残念です。

メチャ旨い本鮪とかではもったいない感じも無いわけではありませんが、メバチとかビンチョウだったら、迷わず「漬け」にしましょう。

ビニール袋にすりおろし生姜少々と醤油を入れてよく混ぜたら、買ってきた切り落としマグロを入れて空気を抜くようにして入口を縛っておくだけ。

冷蔵庫で数時間放置したら、しっかり味が染み込みます。食べる時にみじん切りの長ネギとゴマを混ぜれば出来上がり。

例によって、あとは酒があれば完璧です。

2023年4月24日月曜日

Alberto Martini / Bonporti Inventioni Op.X (2002)

良く知られているヴィヴァルディの「四季」は、「和声と創意の試み」と題された作品番号8の12曲からなる曲集の最初の4曲です。この原題は「Il cimento dell'armonia e dell'inventione」となり、最後の「inventione(インヴェンチオーネ)」は英語・独語では「invention」で、それぞれ「インヴェンション」、「インヴェンツィオン」です。

「invention」と聞いてすぐに思い出すのは、J.S.バッハの「インヴェンツィオンとシンフォニア BWV772~881」です。バッハは本来鍵盤楽器の練習用に、調の異なる2声と3声のそれぞれ15曲ずつからなる曲集を作りました。

もともと「インヴェンチオーネ」は、「創意・工夫」という意味で、バッハが曲集を作るヒントとしたと言われているのが、フランチェスコ・アントニオ・ボンポルティの作品。

「インヴェンチオーネ」と題されたボンポルティの作品10が作られたのは1712年で、それぞれ短い数楽章からなる10曲からなるヴァイオリンのための曲集です。バッハが「インヴェンツィオンとシンフォニア」を作曲したのは、ライプツィヒに行く直前の1723年頃と言われています。

ボンポネティは、1672年に生まれ、成人してローマで聖職者になるべく修行するかたわら、コレッリからヴァイオリンを習ったようです。33歳で故郷トレントで司祭となり、1749年にバドヴァで亡くなりました。

あまり詳しい評伝は紹介されていないのですが、ヴィヴァルディも生涯を宗教者としてすごしたように、バロック期の音楽家は宗教と一体となっていた人が多い。

ボンポルティの「インヴェンチオーネ」は、基本的に独奏ヴァイオリンに目立たない程度の伴奏をする通奏低音(チェンバロ)が加わった物で、全体にヴァイオリンの曲芸的な技巧的な凄さを楽しむ者ではありません。

おそらく、初心者~中級者がいろいろな基本的テクニックを習得するために、教育的な利用を想定していたと思います。

このようなあまり知られていませんが、音楽史に記録されるイタリア人作曲家を忘れられないように発掘するのがイタリアのDynamicレーベルですから、当然ボンポルティについても「Bonporti Edition」と銘打ったシリーズを制作しています。

その第4巻が、「インヴェンチオーネ」を含むもので、演奏は古楽器集団であるAccademia I Filarmoniciで、ヴァイオリン独奏はアルベルト・マルティーニという人。このあたりは、例によってネット社会の今でもあまり情報がなくてよくわからないのですが、普通に堅実な演奏というところでしょうか。

2023年4月23日日曜日

自宅居酒屋 #63 砂肝にんにく焼き


焼き鳥の定番としても人気のある砂肝。独特の食感が病みつきになりますが、砂肝は鶏の砂胃と呼ばれる部分。

低カロリーで高タンパク、貧血予防になる鉄やビタミンB12をたくさん含むのが嬉しいポイント。一方で、コレステロールが多いので食べすぎもよくありません。

今回は、単なる塩焼きではつまらん、ということで別の調理をしました。と言っても、例によってレシピは簡単。

食べやすいように適当に砂肝を切ったら、30分間くらい醤油とニンニクのたれにつけておきます。

たいてい砂肝は二つのこぶが一塊になっていますが、それが8個に対して、ニンニクはチューブの生ニンニクを5cmくらい使いました。醤油はしっかり馴染むように少し多め。お好みで胡椒をかけます。

あとはフライパンで焼くだけ。たれを全部使うと味が濃くなりすぎるので、砂肝だけ取り出して5分間ほど焼けば出来上がり。

酒の肴としてばっちり。ニンニクの香りがそそられます。

2023年4月22日土曜日

Shlomo Mintz / J.S.Bach Sonatas & Partitas (1984)

シュロモ・ミンツは、1957年にモスクワ生まれ、2歳でイスラエルに移住し、何と11歳でズビン・メータ指揮イスラエル・フィルと共演しデヴューという早咲きの天才ヴァイオリン奏者です。

巨匠アイザック・スターンも直接指導に携わり、各地の音楽祭に招かれ、1980年にドイツ・グラモフォンからレコード・デヴューも果たしました。次々に高評価されたアルバムを出しましたが、90年代に入ると録音活動を休止してしまいます。

かつてグレン・グールドは「コンサート・ドロップアウト」と呼ばれる、王道の人気曲の演奏ばかりを求められ、世界中に呼ばれ疲弊する演奏会活動を一切やめてしまいました。亡くなるまで、スタジオにこもってのレコード録音だけで巨匠としての評価を維持したことは有名です。

ミンツも30代になり、音楽の芸術活動と商業的価値観との狭間に何らかの疑問を持つようになり、グールドとは逆に「レコード・ドロップアウト」し、教育と時折ステージに上がることに専念するようになったのだと思います。

しかし、「巧い奏者は大勢いるが凄いのはミンツだけ」と言われ、ほとんどレコード、CDの新しい物が無いのに関わらず、聴衆は言うに及ばず、多くのヴァイオリン奏者からも現在も尊敬され続けていることは驚きです。

このミンツのバッハも高い評価を受けており、古楽奏法がまだあまり知られていない80年代前半のバッハ演奏としては、まさに最高ランクに位置する録音だろうと思います。

ゆったりとしたテンポで、一音一音をしっかりと丁寧に弾き切る。まったくブレの無いヴィブラートが、長音符の美しさを際立てます。録音の良さもあるのでしょうが、本当に音の歪みが無く、それでいて滑らかな運指は素晴らしいの一言に尽きます。

2023年4月21日金曜日

Alina Ibragimova / J.S.Bach Sonatas & Partitas (2008,09)

バロック中期まではヴァイオリン奏者はどのように演奏していたか。いろいろな古い絵画に、演奏者が描かれているので、比較的よくわかっています。

現在のヴァイオリンは鎖骨の上で構え、顎で挟むようにします。一方、バロック時代には、簡単に言えば、鎖骨の下に当てて構えていました。

当然、安定性が良くないので、左手のネックを手前にずらして高い音程を出すのにはそれほど問題はありませんが、音程を下げていくときは体から左手が遠くに行くために不安定になるとという欠点がありました。

バロック後期になると、しだいに鎖骨上に構える姿勢が一般化していったようです。その分、高度な技巧的な演奏が可能になったと言えそうです。

技巧的な部分は、ヴァイオリンを弾かないと理解できないので、あまり偉そうなことは書けません。ただし、物理的な進化がもたらしたのはよりボディに共鳴して大きな音量が得られるようになったことが関係します。

よく「鳴る」ようになったことで、テンポを落としてじっくりと響かせることが可能になり、長く延ばした音を美しく聞かせるために、ほぼすべての音にヴィブラートをかけるようになったのがモダンな演奏の特徴だろうと思います。

そのあたりを逆に考えれば、おのずとバロック・ヴァイオリンの演奏方法も想像できる。モダンと比べれば、音を長く延ばすことは得意ではなく、その結果ヴィブラートの必要性も少ない。おそらく、教会のような反響の大きい場所が演奏の場として使われていたことで、その欠点が補えていたのではないかと思います。

もちろん、モダン・ヴァイオリン奏者も聞かないわけではありません。アリーナ・イブラギモヴァは、1985年生まれの現在37歳。バッハの無伴奏は24歳の時に録音しています。ソリストとしては、王道のレパートリーを若くして取り揃え、自ら四重奏団も結成し活躍しています。

イブラギモヴァは、古楽系の演奏に比べて確かにゆったりとしていて、ヴィブラートはほどほど。モダン楽器の利点を生かして、古楽的な演奏に近づいているという印象を持ちます。

また、共鳴の良さを生かすテクニックとして、音の強弱を積極的に織り込み、情感を生み出すことにも成功している演奏だと思います。

2023年4月20日木曜日

ロケ


港北ニュータウンはテレビ・ドラマなどのロケ地として有名。

年中、どこかで何かの撮影が行われていると言われていますが、今回はクリニックの入っているビルの正面で行われていました。

一昨日は午後から、ベビーカーを押しながら何度も行ったり来たりする女優さん(?)らしき人物を撮影していましたが、昨日は陸橋の上をヘヴィメタな男女が歩く様子が見れました。

何しろ、クリニックの眺望の良い窓から丸見えなので、来院した患者さんも興味津々。自分も含めてスタッフもミーハー根性丸出し。

ただ、最後まで何の撮影なのかは不明のまま。撮影されていたのが誰なのかもよくわからず、モヤモヤが残るだけでした。

ツンツン頭のギタリストをテレビで見かけたら、誰か教えて!!

2023年4月19日水曜日

ツツジも早い


今年は、桜は例年より早くに咲きました。

花の開花は、寒暖差が大きく関係しますから、厳しい寒さから急に気温上昇がトリガーになったのでしょう。

桜が終わると次に町並みで目を引くのがツツジ。どうやら今年はツツジも開花が早いようです。あちこちで、もうツツジが見頃を迎えそうな勢いです。

とは言え、桜も開花時期にばらつきが目立ちましたが、どうやらツツジも場所によって開花の程度には差があるように思います。

一度にそこらあたり全部がまとめて咲いてくれた方が見応えはあるんですが、どうなるもんでしょうか。

2023年4月18日火曜日

Giuliano Carmignola / J.S.Bach Sonatas & Partitas (2018)

モダンとバロックでヴァイオリンは何が違うのでしょうか。ネットで検索すると、詳しい説明がたくさん出てきますので、ここでは基本的なことだけあらためてまとめておきます。

まず形状。モダンはほぼ規格化されて、ほとんどがネック長は130㎜、表板のエッジから駒を立てる位置まで195㎜です。顎を乗せる顎あてが付属しています。基本的に丈夫なスティール弦を用います。弓は中央がやや凹んだ形になります。

一方バロックは、一定の形が決まっていないのですが、一般にネックは太め短めで、駒は低めでカーブが少ない。羊の腸から作るガット弦を用います。弓は直線的かやや中央が膨らんでいることもあります。

楽器から出てくる音は、バロックの方が音量が小さく共鳴が少ない。そして、細かい雑音が多めで、高音部で倍音と呼ばれる共鳴音が出やすいため線の細いひなびた感じになりやすいというのが特徴です。

実際のところ、だから何?! と思うかもしれませんが、演奏法にも違いが出てくるので全体の雰囲気はけっこう違って聞こえます。

現代バロック・ヴァイオリン奏者としては、男女を問わず最高ランクの巨匠に鎮座するカルミニョーラですが、イタリア人としてヴィヴァルディ中心のレパートリーが多かったので、ドイツ・バロックについてはあまり目立ちませんでした。

とは言っても、バッハについては、2000年にチェンバロ伴奏があるヴァイオリン・ソナタ、2007年にはアバドと共にブランデンブルグ協奏曲全曲、2013年にヴァイオリン協奏曲という具合に、基本的な部分はしっかり録音を残してきました。

そして2018年についに満を持して登場したのが、無伴奏ソナタ&パルティータ全6曲です。これまで、ドイツ・グラモフォンの古楽系レーベルであるアルフィーフからリリースしていましたが、これは初めてのグラモフォン盤で、ジャケットにはあのいかにもという黄色い枠内にアルバム名と奏者が印字されています。

後年に学者によってつけられたカタログ番号順に、ソナタ-パルティーターソナターパルティーターソナターパルティータと交互に演奏されるのが通例ですが、カルミニョーラはソナタだけパルティータだけとまとめています。ですからCD1は66分、CD2は81分とかなりでこぼこ。この意図は不明ですが、それぞれ形式が違うので、こういうまとめ方もありというところ。

内容は、ヴィヴァルディの「四季」の時のように、ある意味エキセントリックな聞く者を驚かせるようなことはしていません。堅実に丁寧にバッハが紡いだ一音一音をしっかりと再現しているかのようです。

使っている楽器の関係なのでしょうが、よりモダン楽器との音の差が際立っているように思います。モダンの澄み切った綺麗な音に慣れていると、やはり雑味のある感じの印象を持つかもしれませんが、バッハ自身が耳にしていた音という意味でバロック・ヴァイオリンに軍配を上げたいと思います。

2023年4月17日月曜日

Amandine Beyer / J.S.Bach Sonatas & Partitas (2010)

J.S.バッハの音楽は、リアルタイムには古臭いと評されることがあったとか・・・

たぶん、対位法と呼ばれるバロック中期まで盛んに用いられた手法を多用していたからなのかも。対位法とは「複数の旋律を、それぞれの独立性を保ちつつ、互いによく調和させて重ね合わせる技法」とあり、バッハの鍵盤曲などでは、よくもまぁ、左右の手で別々のメロディをよく弾けるもんだと感心させられます。

実際、バッハが活躍するバロック後期には、他の作曲家は一つの主旋律に対して和音を用いる方が一般的になっていたようです。実際、バッハほどあからさまな対位法は、いろいろ聞いてもそれほど目立つものはありません。

バッハがとことん突き詰めた音楽理論にフーガというのがありますが、対位法的な技巧をさらに発展させたものという言い方は正確ではないかもしれませんが、少なくとも間違いではありません。

フーガは全体に似たような旋律あるいはリズムが主旋律に絡むように登場する形式で、複数の旋律が登場する多重フーガともなると、かなり高度な音楽理論が駆使しないと曲として成立しなくなってしまいます。

簡単に和音を出せる鍵盤楽器ではまだわかりますが、バッハの怖い所は、基本的に単音楽器であるヴァイオリンにフーガを弾かせるところ。それが、顕著なのが無伴奏ヴァイオリン・ソナタです。

バッハの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ&パルティータは、まぁ、古今東西名の知れたヴァイオリン奏者では必ずと言って良いほど録音を残している。それぞれ3曲づつの計6曲で、パルティータは5~8楽章で、様々な舞曲形式が登場します。特に有名なのはパルティータ第2番の終曲、十四分に及ぶシャコンヌでしょう。

ソナタは4楽章形式で、いずれも第2楽章がフーガです。特に第3番では11分という長さを伴奏無しの独奏で弾き切らないといけないので大変なことこの上ない。

今回はアマディーヌ・ベイエの演奏を楽しみました。正直言って、上手・下手はよくわからない・・・というか、どれを聞いてもすごいなぁと思ってしまいます。

ヴァイオリン独奏なのに、もう一人ヴァイオリン奏者がいるんじゃないかと疑いたくなる。まるで二人で弾いているように聞こえるということは、フーガの演奏としては完璧ということなんでしょうね。

それにしてもバロック・ヴァイオリンのガット弦の音に慣れると、モダン・ヴァイオリンのスティール弦の伸びやかな明るい音が嘘っぽく聞こえてしまいます。


2023年4月16日日曜日

自宅居酒屋 #62 春雨たらこ


簡単にすぐ作れて旨いというのが、自宅居酒屋のコンセプト。

となると、どうしても混ぜるだけというのが多くなり、似通った物が多くなるのはいたしかたがないところ。食材はたくさんありますが、日本人的に馴染みのあるものを選んでいると、ある程度使える物は絞られてしまいます。

今回は春雨メイン。

そもそも、春雨・・・って何? 春雨は緑豆、芋などのデンプンから作られます。ビーフンは米が原料。素麺は小麦粉。細くてつるつるとは言っても、材料は様々。

日本では鎌倉時代からあるようですが、練ったデンプンをジョウロのような筒から押し出して麺状にするので、先端から落ちてくる様子が、しとしと降る「春の雨」に似ているからというのが名前の由来。

という、今更の蘊蓄を並べておかないと、書くことがほとんど無いくらいレシピは簡単。

適量の春雨を茹でる。適当な固さになったら水洗い。水をしっかり切って、ほぐした適量のたらこと混ぜる、出来上がり、食べる、旨い。

さすがにこれだけだと彩が寂しいので、細切りキュウリを混ぜました。大葉もいいかもしれません。春雨は、できるだけ太目のものを使った方が合うと思います。

2023年4月15日土曜日

カップヌードル 生姜焼き


まぁ、いろいろ新たな味を登場させるのがカップヌードル・シリーズ。

食べてみると、まぁ食べれるけどリピートするほどのものは・・・・ほぼ無いと言える。結局、スタンダード、シーフード、カレーの古い三種トリオに戻る繰り返し。

今回は「生姜焼き」ということで、結果は想像できますが思わず手に取ってしまいました。

予想通り、具材はそんなに生姜焼きらしいものはない。そのままだと、いつものと多少は味が違うかなぁくらいのもの。

「コク旨だれの生姜焼き味」と書いてありますが、これは付属のオイルを追加してのことらしいのですが、これを追加すると確かに生姜の香りが強まりますが・・・

まぁ、あくまでの個人の感想というやつですけどね。

2023年4月14日金曜日

Amandine Beyer / Matteis False Consonances of Melancholy (2009)

アルバムのタイトルは「False Consonances of Melancholy」で、和訳すると「憂鬱な疑似協和音」という何とも理解しがたいもの。作曲者はニコラ・マティスで、この人も資料が乏しく謎めいています。

生まれたのは1650年頃らしい。自分を「napolitano」と表現していたらしいので、ナポリ出身のイタリア人なのかもしれない。成人するとロンドンにやって来て、イギリスで成功したイタリアのヴァイオリン奏者の初期の一人となります。亡くなったのも1713年頃としかわかっていません。

当時のイギリスはフランス風のヴァイオリン演奏が主流でしたが、マティスによって現代につながるイタリア的な演奏法が根付いたと言われています。マティスは初学者のために、楽譜に詳細な演奏法の注釈を書き入れたので、これがずいぶんと役に立ったらしい。

比較的早くに引退してしまい、残された作品も少ないので、ほとんど人々の脳裏からは忘れ去られた存在になってしまい、再発見されあらためて評価されたのはこの数十年前の話です。

このアルバムに収められているのは、マティスの「ヴァイオリンのためのエアーズ(アリア)」とタイトルされた曲集の第1集で、副題には「すべての手と能力に適合する二重構成」となっていることから、ある種の練習曲集と考えられます。

実際、一つが1~2分程度のさまざまな形式のヴァイオリンのための音楽が寄せ集められた感じの物ですが、おそらく全部を弾きこなせばどんな場面でも困らないということらしい。

注目のバロック・ヴァイオリン奏者のアマディーヌ・ベイエは、手兵のリ・インコーニティからメンバーを選りすぐってこの曲集を演奏しています。技巧に走らず、落ち着いて曲に命を吹き込むような演奏で、バラバラの短いフレーズがまとまった大曲のように聞こえるのが不思議です。

2023年4月13日木曜日

Leila Schayegh / Vivaldi The Four Seasons

古楽ヴァイオリンの第一人者の一人であるキアラ・バンチーニが、教育・研究の本拠地にしていたのがスイスのバーゼル・スコラ・カントルムという音楽大学でした。そしてバンチーニの元でアマンディーヌ・ベイエと共に薫陶を得て、現代の古楽ヴァイオリンを牽引する存在となっているのがレイラ・シャイエです。

ベイエよりも1歳年下の48歳ですが、二人は仲の良いライバル関係にあるようで、互いに切磋琢磨して現代の古楽を盛り上げていることは間違いない所です。

古楽器の場合、現代楽器よりも響きが弱めなので、あまり長く音を伸ばすのは得意ではないというのが一般的な見解。ですから、自然と演奏が早くなりやすい。カルミニョーラの「四季」は約37分で、イ・ムジチの43分より6分も早くなっています。

もちろん使用する楽器の特性だけではなく、演奏者のいろいろな考えも反映しているわけですが、シャイエの「四季」は冒頭、いきなり予想を裏切りゆったりとしたスタートです。しかも、小鳥のさえずりの効果音も入れて情感たっぷりというクラシックでは珍しい構成。

だからと言って、全体で40分程度なので、やたらと遅いわけではない。楽章内でのテンポの揺れは最小限におさえ、楽章ごとにスピードのメリハリをつけている感じです。また、アドリブといってもいいくらいの独奏パートを随所に入れて聞きなれたこの曲に新しさを吹き込んでいます。

共に演奏する古楽集団はチェンバロ奏者のダニエラ・ドルチが率いるムジカ・フィオリータで、シャイエとはレギュラー・セッションかのように息がぴったりで、お互いにやりたいことがしっかりと伝わっているようです。

2023年4月12日水曜日

自宅居酒屋 #61 中華風豆腐うま煮


これは昔から時々作るんですが、名称がどうもはっきりしないので、いつもは「白マーボー」とか呼んでます。でも、麻婆豆腐とはまったく違うもの。

まぁ。簡単に言えば、五目あんかけの汁で豆腐を軽く煮込んだ感じ。中に入れるのは、豆腐以外はその時に冷蔵庫に余っているものいろいろという感じです。

中華味の素、なければ鶏ガラスープの素で煮込むスープを薄めの味に作ります。ニンニク好きなだけ、生姜少々、砂糖少々、豆板醤少々、醤油少々を追加して味を整えます。

今回の追加オプション食材は、ムキエビ、椎茸、ブロッコリーでした。最後に使うみじん切りの長ネギを少々用意しておきます。

豆腐は大きめに切って、スープに入れて5分ほど煮込みます。他の食材にも火が通ったら、長ネギと水溶き片栗粉を入れて、さらに5分ほど弱火で煮込んで出来上がりです。豆腐が崩れやすいので、できるだけかき混ぜないことが大事。

味は誰もが想像する通りで、美味しくないわけがない。手の込んだ作業は無しで、簡単に美味しいというのは正義です。

2023年4月11日火曜日

Amamdine Beyer / Vivaldi Les Quatre Saisons (2008)

アマンディーヌ・ベイエはフランスの女流古楽系ヴァイオリン奏者で、ドイツのイザベル・ファウストより2歳年下で現在49歳。1995年にキアラ・バンチーニに弟子入りして、バロック・ヴァイオリンをみっちり教わりました。


バンチーニが率いる古楽集団アンサンブル415と共演し腕を磨きつつ、2006年からは自らの楽団、リ・インコーニティ(Gli Incogniti)を結成し、世界的にも知られるようになりました。現在はバンチーニの後継者として、後進の教育にも携わっています。

2008年にGli Incognitiともに演奏したこのアルバムは、また新しいヴィヴァルディの「四季」の世界を見せてくれています。

「四季」の4つの協奏曲の前に、約8分の「2つのヴァイオリンとチェロのための協奏曲(RV578)」、約12分の「ヴァイオリン協奏曲(RV372)」の2曲から始まります。そして通称「四季」と呼ばれる4つのヴァイオリン協奏曲となりますが、これが約38分ですからけっこう速い感じ。そして最後に約12分の「ヴァイオリン協奏曲(RV390)」で締めくくります。

「四季」のアルバムは、LPレコードならそれだけで終わり。CDだと余った時間にオマケ的に2曲程度の協奏曲が入るパターンがほとんどで、下手をするとメイン以外はあまり気にかけないこともあります。

ここでは、まずあまり馴染みのないヴィヴァルディの典型的な世界に入り込んだ後に、誰もが知っているメロディが始まります。ベイエの演奏は古楽にありがちな「奇をてらった」演奏ではありません。早めで切れのある演奏ですが、比較的落ち着いて優雅さを感じさせるところが特徴のように思います。

実は「四季」以外の3曲は、比較的新しく発見されたもので、馴染みが無いのは当たり前。めっちゃ知られている物と知られていない物をうまく組み合わせて楽しませてくれていたということ。なるほどね。

2023年4月10日月曜日

Francesco Galligioni / Vandini Complete Works (2020)

アントニオ・ヴァンディーニは1691年にボローニャに生まれた、イタリア・バロック後期の作曲家でありチェロ奏者。同時代のヴァイオリンの名手、ジョゼッペ・タルティーニと同じオーケストラで演奏していました。

後に一時、タルティーニと共何プラハに滞在したこともあるようですが、大変優れたチェロ奏者と評価されていたにもかかわらず、詳しい経歴はほとんど知られていません。

ヴァンディーニの作品は7つのチェロのための協奏曲だけが現存していて、いずれもバロック後期に登場する、従来の荘厳な雰囲気よりも優美さを重視した典型的なギャラント・スタイルで作られています。

圧倒的にヴァイオリンが花形楽器であったイタリア・バロックの中で、ギャラント・スタイルによってはじめて、それまで低音部の補強目的でしかなかったチェロにも陽があたるようになったのかもしれません。

7つのすべての協奏曲をおさめる録音というのは、やはりイタリアのDynamicレーベルにしかできない仕事のようで、Amazonで探せる唯一のCDがこれ。演奏はタルティーニの協奏曲全集を完成させた L'arte Dell'Arco で、独奏チェロを弾くのはフランセスコ・ガッリジョーニ。

ガッリジョーニは、他にも L'arte Dell'Arco との共演がありますし、ジュリアーノ・カルミニョーラとのコラボもあり、古楽系チェロ奏者としては一定の評価があるようです。

ここで興味深いのは、わざわざ「with underhand bow grip」とアルバム・ジャケットに記載されているところ。現代のヴァイオリンやチェロの演奏では、弓を上から手をかぶせるように(内返しして)持つことが一般的です。それに対して、古いスタイルでは弓を下から手で支えるように(外返しして、逆手で)持つのが一般的だったようです。

ヴァンディーニが弓を下から持つスタイルだったことは、当時の音楽史家が記載しており、またヴァンディーニに演奏の様子書いた絵(CDジャケット)でもはっきり確認できます。ガッリジョーニは、音楽を再現するために奏法にもこだわっていることの現れとして評価したいポイントです。

2023年4月9日日曜日

SAKURA 2023 LAST @ 早渕川岸


今年の桜のピックアップの最後。開花間もない早渕川の川岸から始まったので、最後も同じ場所の様子で締めたいと思います。

今年は、比較的綺麗に咲き誇った感じがするのですが、残念ながら天候に恵まれず、一番見たい時に雨だったりして、なかなかタイミングが難しかったことと思います。

また、特徴的だったのは、近い場所でも開花の程度に差が有ったこと。ちょっと離れると、あっちは満開だったのにこっちは三分咲きとかがありました。

早渕川では、ほとんどが満開なのに中に数本、まったく咲く気配がないのがあって、あれれれ、樹が枯れちゃったのかなと心配していたのですが、1週間くらいずれてピンクに染まりました。

逆に、今は他の樹が完全に落花して葉だけになってしまったのに、遅れて開花した樹は花を残しています。

去年の写真を探してみたら、同じ樹が花の付き方が今年ほどではないけど遅かったのがわかりました。もともとの植えた時期が違うのかもしれません。

とにかく、桜が散るといよいよ新緑の季節。コロナもかなり落ち着いてきましたので、生活も戻って来ることを期待します。


2023年4月8日土曜日

自宅居酒屋 #60 ニラたま


自宅居酒屋シリーズとしては簡単は正義。

まさに、ニラたまは簡単で美味しい一品です。ニラ入りの玉子焼きということですが、最近は卵の価格が高騰していますから、高級料理になっているかも。

適当に切ったニラを入れて玉子焼きを作るだけなので、レシピというほどのものは無いのですが、それなりに注意したいところはあります。

まず味付け。まぁ、好きにすればいいんですが、今回は液体の白だしと塩少々、そして砂糖も少々入れました。砂糖は入れすぎると、焼いている時に焦げやすいので注意が必要。

醤油主体でもOKですが、材料の味を生かすなら、薄めの味付けがおすすめです。

次に焼き方。ロール状にして、普通の玉子焼きのようにしてもいいのですが、丸める作業はけっこう面倒なので、今回は平たいままで両面を数分ずつ中火で焼いて完成。

それにしてもニラと卵は相性が良い組み合わせで、どうやっても美味しくなるので重宝します。

2023年4月7日金曜日

Thomas Hammes / Torelli Trumpet Concertos (2004)

ジョゼッペ・トレッリはイタリア・バロック中期に活躍した作曲家。1658年ヴェローナで生まれ、ボローニャでヴァイオリン奏者・作曲家として名を上げます。1709年に50歳で亡くなっていますが、詳細はあまりわかっていないようです。

コレッリで有名になった合奏協奏曲のパターンを始めた一人であり、ヴィヴァルディの典型的な急―緩―急という三楽章構成もトレッリのアイデアが関係していると言われています。

ボローニャのサン・ペトロニオ教会の指揮者を務めていた時に、大変優れたトランペット奏者がいた関係で、トランペットをメインに設えた曲が有名で、一つの独奏楽器を中心にする協奏曲の形式の原型になりました。

アルバムは廉価版のイメージが強いBrilliantからリリースされたもので、CD2枚組でトランペットを用いた曲を網羅したものになっています。メジャーなレーベルが手を出さない、あまり知られていないものでも、Brilliantだとけっこう手頃な価格でまともな演奏が聴けるのでありがたい。

トランペットのソロをとるのはトーマス・ハンメスという人で、ニコル・マット指揮ヨーロピアン・チェンバー・ソロイスツという布陣。正直、どの名前も聞いたことがないし、ネット情報もほとんどありません。

それでも、少なくとも聞いていて特段不満はない。堅実な演奏で、安心して聞くことができます。イタリア・バロックではヴァイオリンが主役であることが圧倒的に多いのですが、トランペットが入るだけで、雰囲気が華やかになり、格調高くなるものです。

2023年4月6日木曜日

自宅居酒屋 #59 たけのこバター炒め


たけのこが美味しい季節になりました。この時期だけは、一度は生のたけのこを買って食べたいものです。

本当に採り立てのものなら、あく抜きの必要はなく、「刺身」で食べるというのもありますが、都会に住んでいるとそれは難しい。

たけのこのメニューとしては、比較的マイナーですが、バター炒めがかなり旨い。

もちろん、レシピは簡単。

あく抜きして茹でたたけのこを薄切りにします。向きや大きさは好き好きでかまいません。ただし、厚みは、数mmにします。厚いと味が染み込みにくいし、薄すぎるとたけのこの味がいきません。

バターは・・・雰囲気なんですが、ちょっと多めくらい。溶けたらたけのこを入れて炒めます。醤油を一回しかけて、少したけのこに焦げ目がつくくらいが目標です。

最後に胡椒を振って、味を見て塩を追加して出来上がり。

例によって、めちゃめちゃ旨い。いくらでもいけちゃいます。飲み過ぎに注意です。

2023年4月5日水曜日

Bee Gees / First of May (1969)


5月のはじめ、という意味ですが、日本でヒットしたビージースの大ヒット曲としてのタイトルは「若葉のころ」でした。

5月だと、日本のイメージでは若葉というよりは緑が一杯という感じで、暖かくなり出して樹々に新しい葉が出始める今頃の方が似合っている感じがします。

「若葉のころ」は、映画「小さな恋のメロディ(1971)」の中で使われ日本では大ヒットし、ビージースの知名度を一気に広めた曲の一つ。

サントラ盤のレコードを持ってました。新しいことは覚えられないのに、古いことは忘れないというのは脳の老化の特徴ですが、「小さな恋のメロディ」はリアルタイムで映画館で見て、テレビでも見たかもしれませんが、ビデオとしては持っていないのに、トレイシー・ハイド、マーク・レスター、ジャック・ワイルドという主演三人の名前は、Wikipediaを調べなくてもすぐ思い出せたりします。

映画では、他にも「ラブ・サムバディ」、「イン・ザ・モーニング」、そして主題歌だった「メロディ・フェア」が歌われ、いずれもヒットしました。

フォーク調だったビージースが、その後「サタデイ・ナイト・フィーバー」でディスコ・サウンドに様変わりした時は驚きまくり、ちょっとがっかりしたものです。

2023年4月4日火曜日

自宅居酒屋 #58 ホウレン草のソテー


これは、もう説明の必要はありません。

居酒屋、というよりも家庭の定番。ホウレン草とベーコンは間違いない組み合わせ。トウモロコシをちょっとトッピングすれば、パーフェクト。

むか~し、昔、小学校で家庭科の時間に、初めて作った料理の一つがこれ。ホウレン草だけをバターで炒め、塩・胡椒で味付けというもの。美味しいと思ったものの、ちょっと口の中にザラツキ感みたいなものが残るのが気になった。

手間がかかりますが、先にホウレン草を茹でてから炒めると防げて、より美味しくなります。また、バターも美味しいのですが、オリーブ・オイルだとホウレン草の味がより引き立つと思います。

2023年4月3日月曜日

SAKURA 2023 @ 王禅寺


今年の桜は、地域によって、または同じ場所でも木によって咲き方がバラバラの印象がありますが、さすがにそろそろ花期は終わりが近づいています。

王禅寺は川崎市麻生区にある寺の名前ですが、その近辺の地名でも使われています。

ここには、日立製作所の原子力事業部王禅寺センターというのがあって、小高い丘の上にけっこうな広さの施設があります。原子力発電関係の仕事をしているらしいのですが、詳しくはよくわからない。

丘のこっち側、住宅街から見ると桜の巨木があり、毎年この時期には見事な景色を見ることができます。

おそらく、高さは20mくらいか、それ以上。枝を伸ばした横幅も同じくらいありそうです。

もっとも、以前はもっと広く薄桃色が広がっていましたし、ここ数年は彩もくすんできたように思います。

今年は、わりと綺麗に咲き誇っているようです。そろそろ桜の樹木としては寿命なのかもしれませんが、いましばらくは頑張ってもらいたいものです。

2023年4月2日日曜日

Ensemble 415 / Geminiani Concerti Grossi (2003)

フランチェスコ・ジェミニアーニもイタリア・バロック後期の作曲家。トスカーナで1687年に生まれ、A.スカルラッティ、コレッリより直接学び、24歳でナポリの宮廷楽団で成功します。

27歳でロンドンに招聘され、ヘンデルの伴奏で国王ジョージ1世の前でヴァイオリン演奏を披露して以来生涯の大部分をイギリスで過ごし、1762年にアイルランドのダブリンで亡くなりました。

晩年に出版されたいくつかのヴァイオリン演奏の理論書は、当時の演奏家にとって最も有意義な教科書となり、現在も研究者にとって重要な文献と評価されています。

ジェミニアーニは、多くの合奏協奏曲を残していますが、ここで聞くのは師匠でもあるコレッリのヴァイオリン・ソナタ作品5をベースにしたもの。「2つのヴァイオリン、ヴィオラ、チェロと通奏低音のための」とあり、実質的には弦楽四重奏の形態となっています。

原曲と聞き比べてみると、元の主旋律は同じでも、トリオ・ソナタだった編成が厚みを増してより音楽的になっています。だからといって、ヴァイオリンの独奏部分が埋もれてしまっていないのが面白い。

ここでも、演奏はキアラ・バンティーニが率いるアンサンブル415。録音が良いのもありますが、各楽器のバランスの良さは、バンティーニの考え方が全体によく伝わっているということでしょうか。素朴なトリオ・ソナタもいいのですが、華やかさが増したこちらも悪くはありません。

2023年4月1日土曜日

Ensemble 415 / Valentini Concerti Grossi (2001)

ジュゼッペ・ヴァレンティーニは、1681年にフィレンツェで生まれた後期イタリア・バロックのヴァイオリン奏者であり作曲家です。


10歳を過ぎるころにはローマに出て、早くも注目される存在になりました。1701年以降、作曲活動に力を入れ、ヴァイオリンを中心とした器楽合奏曲は評判となります。

先輩コレッリは1708年に引退を宣言していますが、ローマでのヴァレンティーニの人気にショックを隠せなかったらしい。

当初は小編成でトリオ・ソナタの延長のような物が多かったのですが、1710年からは合奏協奏曲を続けざまに発表し、その後はオペラも作りました。40代半ばからは教会での仕事に集中したようですが、残された楽曲はほとんどありません。

この合奏協奏曲集は作品7で、それぞれ多楽章形式で複数のヴァイオリンがフューチャーされていて、ヴィヴァルディの典型的な長調主体の急緩急と違い、いろいろな面を聞かせてくれます。合奏協奏曲ですから、その合間にヴァイオリン単独、あるいは複数が絡み合うソロが出てくるのが楽しい。

演奏は、スイス生まれのバロック・ヴァイオリン奏者のキアラ・バンチーニが率いるアンサンブル415で、イタリア・バロックを中心に評判になった演奏を多く録音しています。ここでも、古楽奏法ですが急ぎ過ぎず、聴き所はしっかりと情感をたたえた演奏は素晴らしいと思います。