ジョゼッペ・トレッリはイタリア・バロック中期に活躍した作曲家。1658年ヴェローナで生まれ、ボローニャでヴァイオリン奏者・作曲家として名を上げます。1709年に50歳で亡くなっていますが、詳細はあまりわかっていないようです。
コレッリで有名になった合奏協奏曲のパターンを始めた一人であり、ヴィヴァルディの典型的な急―緩―急という三楽章構成もトレッリのアイデアが関係していると言われています。
ボローニャのサン・ペトロニオ教会の指揮者を務めていた時に、大変優れたトランペット奏者がいた関係で、トランペットをメインに設えた曲が有名で、一つの独奏楽器を中心にする協奏曲の形式の原型になりました。
アルバムは廉価版のイメージが強いBrilliantからリリースされたもので、CD2枚組でトランペットを用いた曲を網羅したものになっています。メジャーなレーベルが手を出さない、あまり知られていないものでも、Brilliantだとけっこう手頃な価格でまともな演奏が聴けるのでありがたい。
トランペットのソロをとるのはトーマス・ハンメスという人で、ニコル・マット指揮ヨーロピアン・チェンバー・ソロイスツという布陣。正直、どの名前も聞いたことがないし、ネット情報もほとんどありません。
それでも、少なくとも聞いていて特段不満はない。堅実な演奏で、安心して聞くことができます。イタリア・バロックではヴァイオリンが主役であることが圧倒的に多いのですが、トランペットが入るだけで、雰囲気が華やかになり、格調高くなるものです。