2021年10月31日日曜日

トランスフォーマー/最後の騎士王 (2017)

何だかんだと言いながら、このシリーズも10年間で5作目。さすがに、アイデアも詰まってきたと見えて、監督のマイケル・ベイは降板したかったらしいのですが、誰に説得されたかまた登場。メインのヒーローは前作に続いてマーク・ウォールバーグが演じるイェーガー。

本当に人間は懲りずに、またもやトランスフォーマーを討伐する組織TRFで、オートボットもディセプティコンも関係なく痛めつけている。さすがに、この構図からしてマンネリズムとしか言いようがないし、あまりに人類をバカにしてませんか?

今回のお題はアーサー王と円卓の騎士。彼らの後ろにはそれぞれトランスフォーマーがいて、魔法使いマーリンに杖を授ける。どうもこの杖の力でトランスフォーマー騎士団が合体して竜になって勝利に貢献したということらしい。

この杖と言うのが、実は惑星サイバトロンの創造主クインテッサの持ち物。騎士たちが地球に持ち去ったことがサイバトロンの滅亡につながったらしい。オプティマス・プライムはクインテッサに捕まり洗脳され「ネメシス・プライム」と名を変えて杖を奪いに戻って来る。

惑星サイバトロンは地球に接近し、取り返した杖によって地球のエネルギーを吸い取り惑星として復活、地球は滅亡の危機を迎えます・・・

もう、あまりに同じようなストーリーの繰り返しで、さすがにどうなのというところ。アニメからの古いファンには、昔の小ネタがいろいろ登場しているらしく、多少楽しめる要素になっているのかもしれませんけれど。

それでいて、毎回これまでの話は無かったかのように、トランスフォーマーと人類の新たな因縁が語られ、結局トランスフォーマーが地球にやって来る理由は混乱するだけ。最初のオールスパークを巡る駆け引きは何だったの? と言いたくなります。

地上には世界各地に6本の角が出現し、クインテッサは地球のことをユニクロンと呼びます。これは地球そのものが、超巨大なトランスフォーマー、ユニクロンであり、角はユニクロンのパーツということのようです。メイン・ストーリー終了後に謎のエンディングが用意されていて、どうもこれからユニクロンとの闘いに話が進むようですが、さすがにこれ以上は辛い感じ。

このシリーズを見ようと思う人は、基本的に1作目だけで十分。多少興味が湧いたら最初の3部作までにした方がよいかも。そんな映画です。

2021年10月30日土曜日

自販機終了


クリニックには、飲料水の自販機を開院以来設置していましたが、昨日をもって自販機による販売は終了しました。

そもそも自販機を置いたというのは、何かの時に清潔に水を使えるようにしたかったから。いろいろ探して、限られたスペースに薄型の特殊な自販機を設置できることになりました。

それが伊藤園さん。

ところが、9月に突然、伊藤園から「儲からない自販機は撤去したい」と申し出がありました。そりゃ、クリニックの自販機ですから儲かるはずがない。

クリニック側としても、無理して置いてくれとは頼めません。そんなわけで、今度の日曜日に撤去されることになります(本音を言うと、売れるような商品揃えが無いのが問題)。

中には、残念と思う方もいるかもしれませんが、こればかりはしょうがありません。

2021年10月29日金曜日

トランスフォーマー/ロストエイジ (2014)

これまでのトリロジーで、一定の決着がついたはずの「トランスフォーマー」でしたが、新たな設定の下に4作目が登場しました。製作総指揮スピルバーグ、監督はマイケル・ベイで同じですが、今までのレギュラー・キャストは一掃されています。

それにしても、回を重ねるごとに長くなっているシリーズですが、今作は2時間45分。正直疲れる。長けりゃいいってもんじゃない。それと、散々オートボットに助けられて目が覚めたはずの人間が、またまたオートボットを邪魔者扱いしているって、どこまで人間は間抜けなのと言いたくなります。

そして、中国資本のハリウッド進出は強烈で、もはやアメリカは中国抜きでは創造的な仕事はできないのかと思うほど。トランプみたいなのが大統領になるのもわかるような気がします。中国人キャストがたくさん登場し、メインの舞台も中国(香港)だったりして、もうあの栄光のハリウッドの見る影もありません。もっとも、それだけ中国市場が美味しいということも間違いない。

テキサスの田舎のしがない発明家、イェーガー(マーク・ウォールバーグ)が引き取った古ぼけたトレーラーは、実はオプティマス・プライムでした。CIAのアティンジャー(ケルシー・グラマー)らが、ディセプティコン狩りと称して、「墓場の風」を組織して実はオートボットも捕えていました。オプティマス・プライムは、彼らの攻撃をかろうじてかわして逃げたのですが、動けなくなっていたのです。

トランスフォーマーたちのとっての「創造主」は、オートボットもにもディセプティコンにも属さないロックダウンに命じて、地球に残留するトランスフォーマーを拘束・排除することにしていたのです。ロックダウンは、アティンジャーを協力者にし、アティンジャーはロボット産業のKSI社の社長ジョシュアに捕えたトランスフォーマーの部品を与えることで、独自のトランスフォーマーを開発させていました。

イェーガーはオプティマス・プライムを動けるように修理しますが、墓場の風に襲われ娘のテッサ(ニコラ・ペルツ)と恋人のシェーン(ジャック・レイナー)と逃亡することになります。隠れていた仲間のオートボットが合流し、自分たちを追い詰める黒幕を探し始めます。

ジョシュアらが作り上げたトランスフォーマーであるガルバトロンは、メガトロンの頭脳から抽出したデータをもとにしており、実質的にメガトロンが復活したのと同じで、KSI社のコントロールを無視して再び地球制覇を目論もうとします。

オプティマス・プライムを捕えたロックダウンは地球を離れようとしますが、イェーガーらの活躍でオプティマス・プライムは脱出に成功し、ついにオートボット、ガルバトロン、ロックダウンの三つ巴の決戦が開始されました!!

アニメ・シリーズに登場した恐竜からの変形を特徴とするダイナボットが「伝説の騎士」として登場するのですが、このあたりがよくわからない。どうも白亜紀の恐竜絶滅は創造主の仕業らしく、恐竜は金属に変えられてしたまったようです。

本当に長い割には、謎だらけの「創造主」であり、物語の根幹にあたるところが不明のまま進行するので困ったものです。もっとも、そこらを気にするなと言わんばかりにアクションてんこ盛り。ただし、ほとんどがCGですから、リアルなアニメという方が正しいのかもしれません。最後はオプティマス・プライムが創造主のもとに向かって終わるので、当然その結末を描く続編がある仕様です。

2021年10月28日木曜日

トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン (2011)

シリーズ3作目。スタッフ、キャスト共に常連が並び、そういう意味では見ていて安心・・・なんですが、実はヒロインが交代しています。

前2作でヒロインのミカエラを演じたミーガン・フォックスが降板(口が災いしてスピルバーグの逆鱗に触れたらしい)。変わって、ロージー・ハンティントン=ホワイトリーがカーリーという役名(アニメ版のヒロイン)で登場。どちらも超美人さんですが、ミーガン・フォックスの方が妖艶な感じで、ちょっと大人過ぎた感じだったので、それはそれで良しとします。

タイトルの「ダーク・サイド・ムーン」は間に「of the」が入ればピンク・フロイドの名盤のタイトルになりますが、原題では「Dark of the Moon」でsideが抜けています。どっちにしても連想されるものは同じですけど、もちろん関係はありません。

今回の話は、1960年代の月を目指した宇宙開発競争からスタート。サイバトロンでほぼ敗北が決定的だったオートボットの最後の望みを託した宇宙船が、その時のリーダーであったセンチネル・プライムを載せて星を脱出しました。しかし、センチネルもろとも月の裏側に墜落してしまいました。

それを調査するために米ソが宇宙船開発競争を繰り広げたということになっていますが、周知のごとく先に月面に人を送り込めたのはアメリカ。1969年、アポロ11号は月の裏側に着陸ら成功。彼らの極秘任務は、墜落した宇宙船の調査だったのです。

実はソビエトも無人機による月面着陸に成功していて、宇宙船の破片を回収していました。それを知ったオプティマス・プライムは、月にセンチネルが眠っていることに気が付き、宇宙船からセンチネルを回収し、マトリックスを使って復活させます。

サムは、大統領から勲章を授与されたものの就職先が無く、あらたな恋人カーリーの世話になっている身。何故だかやっと採用されたのは社内の郵便配達業務。しかし、一人の社員から「君は戦いのヒーロー」だからと、月の裏側の謎についてのメモを無理やり渡されます。実は月の裏側に関するディセプティコンのミッションには地球人のスパイが多く関わっていて、彼もその一人。用済みと判断された社員は殺されてしまいます。

再び元セクター7のシモンズに相談をしたサムは、センチネルが復活することはディセプティコンが仕掛けた罠であることに気が付き、NESTのレノックスに進言しますが、女情報長官のメアリングに相手にされません。しかし、復活したセンチネルは仲間を裏切り、サイボット脱出時に持ち出した「柱」を使って、無数のディセプティコンを地上に転送するする計画でした。メガトロンは、墜落してしまった柱とそれを扱えるセンチネルの復活を画策していたのです。

セムの恋人カーリーの上司は実はディセプティコンの協力者で、カーリーを捕らえサムに協力を強要します。強大な力を持つセンチネルはオートボットを宇宙に返さないと総攻撃をすると各国政府を脅迫し、人類はオートボットとの協力関係を破棄しを宇宙船に乗せて発射します。しかし、その宇宙船はディセプティコンの攻撃で撃墜され、シカゴの街全体を占拠し「柱」の起動準備を始めるのでした。

アポロ計画には、かねてから様々な陰謀論が付きまとっていますが、ここではそれをうまく利用して、ケネディやニクソンといった大統領の実写を組み入れたりして凝った作りをしています。特にアポロ11号のアームストロング船長と共に月面に降り立ったオルドリン飛行士本人が登場して秘密任務を証言したりするといった念の入れよう。

最終的なディセプティコンの地球侵略の目的が、荒廃したサイボット星を捨て地球を手中にし、人類を奴隷化することであったことが判明します。ここまで人類は、オートボット対ディセプティコンの戦いを第三者的に見守ってきたわけですが、ついに人類対ディセプティコン、そしてオートボットは人類の援護者である構図が明確になりました。

したがってこれまでのシリーズと決定的に違うことは、襲われた人間が消滅してしまうシーンが描かれました。もちろん血が飛び散るような暴力的なものはありませんが、これまでは直接的に人の死の場面は避けられていたように思います。

また、人間が自らの手でディセプティコンと対決し倒すシーンも7増えたことも間違いない。特にサム自身が直接にしがみついたディセプティコンを破壊するのは、なかなか見ごたえがある一方で、さすがにやりすぎというところもあるかもしれません。

当然ハッピーエンドで、メガトロンは倒されオートボットと人類の絆は深まって終わりますので、ストーリーとしては一定の完結を見ました。サム君も末永くお幸せに・・・ということなんですが、映画屋さんは一度ヒットしたシリーズを簡単には手放さない。さらなる続編に着手していました。

2021年10月27日水曜日

小室眞子さん


昨日、秋篠宮家のご長女である眞子様が、一般人である小室圭さんとの婚姻届けを出されて皇室を離れました。この数年、このお二人の結婚に関しては、多くの興味本位の話題が先行したことは否めません。

女性皇族が結婚により皇室を離籍されると、一般人として扱われる・・・というのは慣例上、あるいは制度上正しいことなのかもしれませんが、メディアが手のひらをかえしたように「小室眞子さん」と呼び出すことには、大変違和感を感じます。

とは言え、小室眞子さんと呼ばれて一般人となることは、今後プライベートを確立して、執拗なメディアの追求をシャットアウトすることにつながるのであれば、悪いことではないのかもしれません。

少なくとも、一市民としては昨日まで皇室の一員として特別な存在として受け入れていた方ですから、結婚したからと言って簡単に「さん」付けに変えられるものではないように思います。

小室眞子様には一般人という扱いになったとしても、皇室の一員としての自覚を無くすことなく生きていただきたいと思いますし、その中で幸せに暮らしていただけることを強く祈念いたします。

2021年10月26日火曜日

トランスフォーマー/リベンジ (2009)

シリーズ第2作で、人間の主要キャストは引き続き登場です。トランスフォーマーについては、前作の13体でも見分けがつきにくかったのに、今回はぞろぞろ、ぞろぞろと大量に登場して主な数体を除いてよくわからない。スピルバーグ製作総指揮、マイケル・ベイ監督も同じ。

前の戦いから2年。オプティマス・プライム率いるオートボットは軍と協力したNESTと呼ばれる部隊で、ディセプティコンの残党を追っていました。しかし、アメリカ政府は、オートスパークが失われたのにディセプティコンの攻撃が続くのはオートボットがいるからだと考え、NESTを強制的に解散させようとします。

一方、サム(シャイア・ラブーフ)は大学に進学することになり、バンブルビーとガール・フレンドのミカエラ(ミーガン・フォックス)と離れ離れになることになりました。前の戦いのときに衣服についていたオートスパークの欠片を見つけたサムは、触れたとたんに古代サイバトロン文字の情報が頭に入って来て混乱します。

海軍基地で保管していたもう一つの欠片を奪い取ったディセプティコンは、深海に沈められたメガトロンに欠片を入れて復活させました。メガトロンは宇宙に戻り、師と仰ぐフォールンに事を報告します。オートスパーク自体が失われても、中にある情報さえわかれば問題はなく、その情報を持つサムを捕えるように命令するのです。

フォールンは、数千年前に地球に飛来し、太陽を破壊して放出されるトランスフォーマーたちの命の源となるエネルゴンを採取してようとしたのですが、初代のプライム戦士たちが惑星破壊装置の鍵となるマトリックスを彼らの命と引き換えに隠匿したのでした。サムの頭に移された情報は、マトリックスの場所を示すものだったのです。

サムとサムを心配してやって来たミカエラは、ディセプティコンの襲撃を受け、守ろうとしたオプティマス・プライムは倒されてしまいます。セクター7解体で職を失ったシモンズの協力で、エジプトにたどり着いた彼らは遺跡の奥にあったプライムの墓場とマトリックスを発見しました。

地球に降り立ったフォールン、メガトロンらはピラミッドの中に隠された惑星破壊装置を稼働させるため総攻撃を仕掛けてきます。彼らを止められるのはプライム戦士だけなので、NESTのレノックスにオプティマス・プライムをエジプトに運んでもらい、サムは命をかけてマトリックスを彼の体に差し込むことにするのでした!!

・・・前作が、トランスフォーマーの紹介編だとするならば、今回はディセプティコンが地球を狙う因縁の本当の理由が明らかにされる話です。何とかハッピーエンド的にはなっていますが、フォールンこそはオプティマス・プライムに倒されるものの、メガトロンは生き延びて当然続編に続くという感じ。

相変わらず、トランスフォーマー同士の戦いは善悪の区別がつきにくい。しかも、登場するトランスフォーマーがやたらと増えたのでなおさらこんがらがります。サムとミカエラの関係も、一歩、大人に近づいた感がありますが、派手な戦いのCGてんこもりの中では霞んでしまいます。

主役二人だけでなく、お笑い担当のサムの両親、対ディセプティコンの軍のレノックス、元セクター7の頑固者シモンズなど、前作の出演者が引き続き登場するのは世界観を継続する意味では良い感じを出しています。

この手の映画は深く考えなければ、単純SFアクション・ロボット映画といったところで、それなりに楽しめます。続編は評判を落とすことが多いのですが、興行的にはまぁまぁの成績でした。ただし、本作も2時間半の長さで、やはり長すぎる印象ですし、より太古からの因縁を持ち出しわりには、ドラマとしての完成度はイマイチと言う評価がされており、確かにその通りかなと思います。

2021年10月25日月曜日

トランスフォーマー (2007)

自動車とかがガチャコンと変形してロボットになる・・・そんな玩具をタカラトミーが売り出したのは80年代なかばのことで、こどもたち、とくに男の子には大変に魅力的なものだったらしい。これがアメリカでもうけて、いろいろなシリーズが登場しました。それを売るためには、当然のようにアニメ化され、これもだいぶ人気だったらしい。


そこに目を付けたのがスティーブン・スピルバーグ率いるドリーム・ワークス。監督のマイケル・ベイが、この変形ロボットにストーリーの肉付けとCGの衣装で見事に映画化したシリーズの第1作です。

惑星サイバトロンでは、特殊なエネルギーを発する立方体 - オールスパーク - によって生まれたトランスフォーマーと呼ばれる金属生命体が暮らしていました。彼らはスキャンした金属物質に変身する力を持っていました。彼らは、正規軍オートボットと反乱軍ディセプティコンに分かれてオールスパークを巡って戦争状態になっていました。しかし、いつの間にかオールスパークが消失したためサイバトロンはしだいに勢いを失っていきます。

ディセプティコンのリーダーであるメガトロンは、オールスパークが地球の北極にあることがわかり飛来しますが、不調で墜落し凍結してしまいます。1世紀前に、探検家のウィトウィッキーは凍結した「アイスマン」を発見し、その後アメリカ政府の秘密組織セクター7によって、ダムの地下深くにオールスパークとメガトロンは凍結保存されていたのです。

ディセプティコンのメンバーは、オールスパークとメガトロンの捜索のためカタールのアメリカ軍基地を襲い情報のハッキングを試みます。さらに大統領専用機内にも侵入し、ついに「アイスマン」の情報をキャッチするのでした。基地の数少ない生存者であるレノックス(ジョシュ・デュアメル)は、襲撃者の情報を伝えるため何とか国防省とのコンタクトに成功します。

探検家ウィトウィッキーの孫である高校生のサム(シャイア・ラブーフ)は、自動車購入資金のため祖父の持ち物を競売にかけ、ついに中古の黄色のカマロを手に入れ、美女のミカエラ(ミーガン・フォックス)とも知り合います。まだ売れていない祖父の眼鏡には、実はオールスパークスの位置座票が刻まれていたため、ディセプティコンはこの眼鏡を狙ってサムを襲います。

サムの車は実はオートボットのバンブルビーが変身していたもので、バンブルビーの信号によりリーダーのオプティマス・プライムらが駆け付け、サムとミカエラを救出します。続いてディセプティコンはダムのセクター7基地を襲い、氷解し復活したメガトロンと共にオールスパーク奪取のため大暴れをするのでした!!

もともとおもちゃから始まっているので、こども向けの映画と思っていましたが、実際にはある程度大人の鑑賞に堪えられるだけの盛り方はしてあります。特に観客が感情移入してしまう登場人物は死にませんし、少なくとも人が死ぬ直接的な場面は出てきませんので安心です。

若手俳優の注目株であったシャイア・ラブーフやミーガン・フォックスが主役の高校生。国防長官には「真夜中のカーボーイ」のジョン・ボイドが厚みを加えています。トランスフォーマーたちについては・・・困ったことに、見た目も話す声もどれがどれなのか正直よくわからない。

興行的には成功したようですが、ただ批評家の評価は賛否両論。自分的には実写ロボット物ですから、今時のCGが使われるのはしょうがないと思いますが、使い方が派手すぎて人間の俳優の演技よりも目立ってしまうところが残念。露骨なCGの多用は、アニメとの境界に近づいてしまう感じがします。

物語の導入は軍と国防省と主役の二人のストーリーが順繰りに登場し、半ばでそれらが一つにつながるという構成ですが、断片的な説明が小出しにされる印象で、この世界観を理解するのにはちょっと難しい。それと2時間半近い長さも、こどもには辛いかもしれません。とは言え、あまり難しいことは考えず、ある程度リアル感もあるド派手なロボット・アクションとしての完成度は高いと思います。



2021年10月24日日曜日

朝の習慣


朝、起きると、顔を洗ったり、ご飯食べたり・・・テレビをつけて最小限の情報を得るというのは皆がやっていることだと思います。

テレビは音声があれますから、画面を見続けていなくて他のことをしながらでもOKというのが便利なところ。

以前は、うちでは朝と言うとフジテレビ・・・だったんですが、もう5年くらい前からTBSになっています。何故かと言うと、はっきりした理由はありませんが、何となくフジテレビが嫌になったから・・・かな。

TBSで慣れてしまうと、お馴染みの出演者にも親近感が出てくるというものです。

ところが、ところがですね、10月初めからTBSは番組内容、出演者を刷新してしまいました。

視聴率が上がらないから、ということらしい。TBSのエース・アナウンサーの安住さんとか起用して力が入っているのはわかる。金曜日には香川照之をMCにしちゃうぐらいです。

ただ、どうも朝の番組としてどうなの? というところが少なくない。ストリート・ピアニストをスタジオに用意してなんだかずっとピアノ演奏している・・・ってうるさくない? 箸休めのつもりのなぞなぞコーナーもピンとこない。

朝は重要なニュースは短く簡潔にてきぱきやってもらいたいのですが、一つ一つが長いし、勿体つけてる感じなのです。3週間以上たちましたが、どうもパッとしない感じが続いています。

2021年10月23日土曜日

スタートレック VI 未知の世界 (1991)

オリジナル・クルーが登場する劇場版「スター・トレック」の第6作で、正真正銘のシリーズ最終作です。前作があまりに評判が悪く、止めるに止められなくなったからなのかどうかはわかりません。

今回はレナード・ニモイが制作・脚本に関わり、第2作で監督したニコラス・メイヤーが復帰、最終作とすべく万全の態勢で臨んだというところでしょうか。特に原作者のジーン・ロッデンベリーが制作中に亡くなったため、冒頭で献辞されています。

前作でカーク艦長は、宿敵クリンゴンと握手したはずなんですが、とりあえず再び両者は火花を散らしあう同士として映画が始まります。エネルギー資源を得ていたクリンゴンの衛星が爆発・消滅したため、クリンゴンも50年後には消滅する機器を迎えます。

スポックの働きかけで、和平のため地球連邦と接触したクリンゴン総裁を出迎えることになったカークは、嫌々エンタープライズで出航します。クリンゴン総裁らをエンタープライズに招き食事を共にする一同でしたが、両者のぎくしゃくした関係が浮き彫りになるだけでした。

その夜、エンタープライズから発射された2発の魚雷がクリンゴン艦に命中し、その混乱の中で謎の二人の人物により総裁は暗殺されます。カークとマッコイは状況が掴めないままクリンゴン艦に乗り込みますが、暗殺犯として逮捕されてしまいます。裁判で二人は、流刑星ルラペンテでの強制労働を課せられます。

クリンゴンは二人をわざと脱走させ合法的に殺すことにしますが、ぎりぎりのところで信号をキャッチしたエンタープライズに転送されました。エンタープライズでは、スポックの指揮のもと連邦政府からの帰還命令を無視し事実を調査していました。そして、魚雷を発車したのが視覚的遮蔽したまま攻撃可能な新型のクリンゴン艦であり、エンタープライズで協力していたのがバルカン人操舵士のヴァレリスであることをつきとめます。

スポックはヴァレリスの心から首謀者が地球連邦のカートライト提督、ロミュラン大使、そしてクリンゴンのチャン将軍(クリストファー・プラマー)であることが判明しました。彼らは、クリンゴンの和平を信用せず、また平和による軍の価値の低下を恐れたのです。

連邦とクリンゴンの和平会議の会場で、連邦政府大統領を暗殺する計画を察知したエンタープライズは会場へ急行。スールーが艦長として乗り込むエクセルシオと協力してチャン将軍の艦艇を撃破し、カークらは会場に乗り込みます!!

「スター・トレック」らしくエンタープライズが大活躍し、新鋭艦エクセルシオも登場。宇宙での空中戦も緊迫感があり、これまで登場したつまらないジョークも排除しました。ストーリーの流れもだれることがなく、てきぱきと進んで緊張感が連続した作品に仕上がりました。

テレビ・シリーズから引き続き出演したオリジナル・クルーと呼ばれる方々をあらためて紹介します。

カーク - ウィリアム・シャトナー (1931-)
Mr.スポック - レナード・ニモイ (1931-2015)
Dr.マッコイ - ディフォレスト・ケリー (1920-1999)
スコット - ジェームズ・ドゥーアン (1920-2005)
ウフーラ - ニシェル・ニコルズ (1932-)
スールー - ジョージ・タケイ (1937-)
チェコフ - ウォルター・ケーニッグ (1936-)

スポック、マッコイ、スコットの三人はすでに故人。他の方々ももうかなりの高齢ですから、もう彼らの活躍を新たに見ることはありません。

しかし、この人気シリーズはさらに若い世代に引き継がれて、新たなテレビ・シリーズや映画を生み出し続けています。ひとたびこの世界が気に入ったなら、まだまだ見るべきものはたくさんありますから楽しみは尽きません。


2021年10月22日金曜日

スタートレック V 新たなる未知へ (1989)

Mr.スポックのレナード・ニモイから変わってメガホンを取ったのは、つい先頃90歳で宇宙旅行して話題になったカーク艦長のウィリアム・シャトナー。オリジナル・クルーによる映画版「スター・トレック」としては「The Final Frontier (邦題:新しい未知へ)」という副題を付けて最終話として完結するはずでした・・・が、世間の評判があまりにも悪かった。

スポックの異母兄で、論理よりも感情を選択した異端のバルカン人、サイボックは中立惑星のニムバス3で反乱を起こし管轄する地球人、クリンゴン人、ロミュラン人の代表を人質にします。そこで、新エンタープライズが修理・調整中の間、休暇を取っていたクルーの面々は非常呼集されニムバス3に向かうことになりました。

この新エンタープライズがあまりにポンコツ。転送装置は壊れていて使えない。ブリッジのドアはちゃんと開かない。通信を表示するスクリーンもダメ。得意の航星日誌の記録装置も壊れている。

サイボックの目的は、惑星シャカリーに行くために連邦の宇宙戦艦を奪取することで、神に会い究極の知識を得るのだという。サイボックは心を操る術を持っており、簡単にエンタープライズは乗っ取られてしまうのです。これはある種の洗脳のようなんですが、それぞれの人が持つ根源的に持つ苦痛(トラウマ)を察知し視覚化して再現する能力らしいのですがわかりにくい。

古くからの伝説の地シャカリーは銀河の中心、危険なグレート・バリアを超えた未踏の世界・・・らしいのですが、簡単に到着します。多少の揺れさえ我慢できるなら、とっくに誰かが到着してそうなもんですけど。

出会った「神」は・・・神でもなんでもなく極地に幽閉されていた何かの悪党らしい。カークをやっつけて男を上げようと追ってきたクリンゴン艦が、急にいい人になってカークを助けて、両者は仲良くなりました。おしまい。

という、正直、肝腎ところはごく簡単に済ませてしまった感じで「・・・らしい」の連続。生粋のファンは、もう黙ってはいられませんよね。主役はサイボックみたいな感じで、カークたちはサイボックにうまく利用される役どころ。「神」という大きな存在を出してきた割には、簡単な幕引きです。

カーク、スポック、マッコイの三人の固い友情がテーマ・・・完結編的な意味合いとしてはこっちの方が重要なんですが、だとすると、サイボックとか出さずに自らの意思でエンタープライズがシャカリーを目指せばいいじゃんとなる。この内容には似合わない前作では好評だったジョークも散りばめられ、それをストーリーの中に引きづるのもいただけない。

実際のところ、1989年のゴールデンラズベリー賞の最低作品賞・最低監督賞・最低主演男優賞を受賞という結果に終わっています。まぁ、好き嫌いは個人の勝手なので・・・

2021年10月21日木曜日

よしだたくろう オン・ステージ ともだち (1971)

レコードが擦り切れるまで聴く・・・

平成以降の方にはわかりにくい表現だと思いますが、レコード盤は回転するターン・テーブルの上で、レコード針によって盤面に掘られた溝をトレースする仕組み。何度も何度も聴くと、少しずつ盤は摩耗していく定めにありました。

テープが伸びたような音・・・

カセット・テープが一般の録音メディアとして主流になった時代には、何度も聴くとビニール素材のテープは少しずつ伸びて、音がふにゃふにゃになっていったものです。

デジタル化されたことによる一番のメリットは、音源データさえ消失しなければ、記録された音の劣化は、原理的には永久に起こらないということ。しかしデジタル・データのデメリットは、0か1に揃えるためにどうしても切り捨てる部分があること。

コンピューティング技術の進歩により、より細かい部分まで記録・再生できるようになり、人の聴覚能力ではアナログとの差をほとんど感じないようになりましたが・・・

話を戻すと、最初にレコードを擦り切れるほど聴いたのは、「よしだたくろう」だったかもしれません。

フォークというと、反戦という言葉と共に存在したのが60年代。アメリカでは反ベトナム、日本では反安保で学生運動の盛んな時代に、ギター一本を手に取って体制批判をするツールの一つとして存在していました。

連合赤軍による浅間山荘事件(1972年)で急速に学生運動が静まっていくと、音楽として残ったのは、当時ひらがな名だった吉田拓郎でした。1970年にデヴューして、メッセージ性のある曲もありましたが、恋愛をテーマにしたり、笑いを取るようなとぼけた歌詞の歌もあったりで、とんがった若者からは「帰れコール」されたりしたした吉田拓郎ですが、自分のような学生運動末期を知るものからすれば、若者の日常を素直に歌う吉田拓郎は実に共感しやすかったと言えます。

よく言われることですが、一つの音符に一つの文字をあてるのが日本の歌謡曲の常識だったのですが、吉田拓郎は一つの音符に一つの言葉を組み入れたことが画期的であり、それがその後のニュー・ミュージックの隆盛につながったということ。

中学生になって、周りの真似をしてフォーク・ギターを手にすると、最初のアイドルになったのは吉田拓郎であったことはごく自然の成り行き。最初に買ったLPレコードが、「よしだたくろう オン・ステージ ともだち」というアルバムでした。

最初にステージに出てくるドタドタという足音から始まる。曲が始めたと思ったらやめちゃう。曲ごとに関係あること無いことよく喋る。ライブの雰囲気をそのままに伝えるこのアルバムは、何度も何度も聴いて楽しめたものです。気が付くと、独特の「・・・なのであります」口調も真似て話す中学生になっていました。


2021年10月20日水曜日

渡辺美里 / born 4~愛と感動の超青春ライブ~ (1990)

18歳でデヴューした渡辺美里の、20代なかばまでの元気いっぱい路線を象徴的にあらわしていたのが、毎年夏に行われた西武球場(現メットライフドーム)でのライブ・パフォーマンスです。西武池袋線には、専用のラッピングがされた電車が走ったりして、当時の話題をさらっていたものです。

当然、自分はそこに出かけたりする時間はありませんでしたが、「born」と題されたビデオ・シリーズがあり、これらの中でダイジェスト的にその興奮のステージが紹介され続けました。今でこそ珍しくありませんが、耳で聴く音楽だけでなく目で見て楽しむヴィジュアル・メディアを重視した方向性は20世紀では先駆的な試みだったのだろうと思います。

この頃は、映像作品はビデオテープからレーザーディスクに変わりつつあり、そしてDVD普及前夜というところ。自分の場合、レーザーディスクで楽しんだのですが、DVDレコーダーが登場した時に、その内容を録画していていました。

その画像は、YouTubeなどで見かけるビデオテープから起こした映像と一緒でかなり劣悪なのですが、なんとか我慢できるレベル。bornシリーズはなんだかんだで第1集から第10集まであったと思いますが、その後DVD化されて再発売されましたが、いずれも目を疑うようなプレミア価格がついています。

その中で、最もすごいライブが1989年7月26日の映像が記録されたこのディスクです。ファンの間では大変有名なライブで、実は中止になった講演の様子を収めたものなんです。始まる前から、今で言うゲリラ豪雨状態で、雷も発生。消防署からの勧告もあって、ライブは中止に決定。しかし、豪雨の中に集まった数万人の観客に対して何もしないわけにはいかない・・・

カメラにとらえられる雨が降っている時というのは、実体験ではシャワーを浴びるような量の水が落ちてくる状況。ステージに飛び出した渡辺美里は、「パイナップ・ロマンス」を水しぶきを振り散らして熱唱。そこでスタッフから中止のアナウンス。もう一曲だけという美里の願いで、「すき」が空が雷で光る中で歌われます。

どうしてもステージを去りがたい渡辺美里は、代表曲「My Revolution」を観客の大合唱と共にアカペラで歌いました。このたった3曲だけですが、まさに「愛と感動の超青春」の伝説ステージとなったのです。

もしも、ライブを最後まで強行していたら、激しく歌い踊るのですから、雨によって体温を奪われ低体温症になったことは間違いなく、場合によっては命にかかわる可能性もあるかもしれません。また、電気楽器類は故障し感電事故もおきたかもしれない。

一応、YouTubeや西部球場ライブをまとめたライブDVD集などで見ることはできます。ファンは必見、ファンではなくてもこんなすごいパフォーマンスができる渡辺美里を認識するために一度はみてもらいたいと思います。





2021年10月19日火曜日

渡辺美里 / Lovin' You (1986)

医師国家試験に合格したのが1986年のことで、その前後から研修医をしていた1990年くらいまでは、本当に世間の出来事はまったく知らない生活をしていたと言っても過言ではありません。


例えば1983年デヴューの尾崎豊。1992年に世間的には衝撃的な死を迎えるわけですが、嘘偽りなく死亡のニュースを聞いた時、「誰、それ?」と思った。ほとんどを大学病院の中で過ごしていたので、とても人気がある歌手だなんて知りませんでした。

ただし、唯一例外的にこの時代に聴いていた音楽が・・・渡辺美里。

当時、レコードからCDに移行していた時期で、とにかくどれかに手を付けようと思って買ったのがこの1986年のアルバムでした。理由は、10代の女の子のポップ・シンガーであり、ライブでもないスタジオ収録なのに2枚組というボリュームにびっくりしたから。

レコード時代の名残りで、アルバムと言うと12曲40分というのがスタンダードな仕様。それを一気に2枚分をドドドーンと出しちゃうというのは、相当レコード会社も力を入れていわけだし、それだけの実力があると思われているということ。

TMネットワークで人気に火が付いた、まだいろいろと問題が無かったころの小室哲哉、CBS/SONYの人気シンガーだった岡村靖幸などが全面的にバックアップしていて、歌詞については多くは自作というからすごいことです。

1曲目の「ロング・ナイト」から、ビートの効いたバックに乗せて渡辺美里印の元気シャウトが爆発している。アイドルを売り出すのとはまったく違う、音楽で勝負する気概が溢れているの魅了されました。

代表曲となった「My Revolution」も含め全20曲。疾走感のあるロック、落ち着いたバラード、パンクな雰囲気すら含まれ、どれをとっても揺れ動くティーンエイジの叫びは、35年の時が経っても新鮮です。

あの頃、渡辺美里のファンになった人は、皆、彼女の詩からたくさんの元気をもらったことは間違いない。あらためて自分もその一人であることを再確認しました。

2021年10月18日月曜日

スタートレックIV 故郷への長い道 (1986)

劇場版「スター・トレック」シリーズの第4作目で、監督は前作に引き続きMr.スポック役のレナード・ニモイが担当しました。エンタープライズは自爆させてしまったので、今回は登場しないというだけでも異色作ですが、にもかかわらず300年時をさかのぼって現代のアメリカにクルーが出現して活躍するという設定がうけて、シリーズで最もヒットした作品になりました。

バルカン星でスポックの肉体と精神を融合させたクルーは、軍法会議を覚悟してクリンゴン艦で地球に向けて出発しました。そのころ、地球に向けて巨大な宇宙船が解読不能の信号を発しながら近づいていました。こちらからの呼びかけにはまったく応答せず、近辺の宇宙船やステーションは謎の宇宙船が通り過ぎただけでまったく制御できなくなっていました。

ついに地球に到達した宇宙船は信号を出し続け、海水を巻き上げて地球全体を雲で覆ってしまい、地球連邦政府は惑星遭難信号を発信します。カークたちは謎の信号が探査のために海に向けて発せられていることから、それが21世紀に絶滅したザトウクジラの鳴き声だと気がつきます。

地球を救うには生きたザトウクジラが必要と考えたカークは、太陽周回加速によるタイム・スリップで20世紀末のアメリカに向かいました。クルーたちはサンフランシスコの街に出て、クジラを探すカークとスポック、そのクジラを運搬するための巨大水槽を手に入れるマッイとスコット、そして帰りのエネルギーを確保するために原子力空母に潜入するチェコフとウフーラの三組に分かれ、それぞれが時代のギャップで四苦八苦するのです。

カークはクジラ博物館のジリアン(キャサリン・ヒックス)と知り合い、飼育されている2頭のザトウクジラが、近日中に研究のために発信機を取り付けたうえでアラスカで放流されることを知ります。しかし、何とも怪しげな行動をとるカークとスポックを警戒して、ジリアンは発信機の周波数を教えようとはしません。

しかし、ジリアンに内緒で夜のうちにクジラたちは放流されてしまい、このままでは捕鯨の餌食になる危険もあるため、ジリアンはカークたちがクジラを救ってくれることを願って周波数を教えます。そして、彼らが未来から来たことも理解して、未来でクジラの世話をするため一緒に乗船するのでした。

クジラを発見したカーク達は、船内に転送することに成功し、再び時間の壁を打ち破り彼らの現代に戻りました。海に放たれたクジラは宇宙船の信号に反応して鳴き声を上げ、それを確認した宇宙船は再び宇宙の彼方に去っていきました。クルー達はこの功績により赦免されますが、カークだけは階級格下げで提督から大佐となり、艦長勤務を命じられます。乗船を命じられたのは、新たに再建されたエンタープライズ号でした。

タイム・スリップによる哲学的な命題は、ここではあまり考えていません。彼らからすれば、すでに決定した未来であって今更変わらないとマッコイの台詞で片付けています。あくまでもエンターテイメントですからそれでかまわない。細かいことを考えると、シリアスな展開になって、せっかくのコメディ・タッチが台無しになってしまいます。

もともとテレビ・シリーズでも、社会風刺が効いたストーリーを取り上げていたのですが、当然ここでは絶滅の危機に瀕しているクジラに対する捕鯨という問題が中心テーマですが、コメディをかませて堅苦しくしなかったところはうまい。登場するザトウクジラが見事に撮影されているので、反捕鯨団体からは何か無理強いする仕掛けがあったのでは抗議されたらしいのですが、実はこれは正確に作られたアニマトロニクス技術によるロボットだそうです。

最後に登場する新しいエンタープライズ号。船体番号はNCC-1701-Aとなっています「-A」が追加され、内部も白いカーブした壁で統一され、新しさを強調していました。そして彼らの冒険は続くのです。

2021年10月17日日曜日

スター・トレック III ミスター・スポックを探せ! (1984)

オリジナル・クルーによる劇場版第3作は、前作からの続きのストーリー。監督は、スポック役のレナード・ニモイが初めて務めました。特撮は引き続きILMが担当しています。

前作でエンタープライズを救うため、自らの命を犠牲にしたMr.スポック。彼は、その直前にDr.マッコイに自分の精神を埋め込んでいました。エンタープライズは帰還し、カークはそのことに気が付きます。カークは、苦しむマッコイとスポックの精神を救うため惑星ジェネシスに向かうため、仲間たちとエンタープライズを略奪して出航します。

カークの息子であり、ジェネシスの生みの親であるデーヴィッドは、調査艦グリソムで生まれ変わった惑星ジェネシスに到着、ジェネシス効果で細胞再生したこどものスポックを発見します。デーヴィッドはジェネシスの実験が失敗であり、惑星は新生と同時に急激な退化もしていることがわかりました。

一方、ジェネシスの情報を知ったクリンゴン人の冷酷なクルーグ(クリストファー・ロイド)は、ジェネシスを手に入れようと、グリソムを撃破し惑星に降りていたデーヴィッド、バルカン人女性のサーヴィック大尉、こどものスポックを人質にします。到着したエンタープライズは、クルーグから降伏を迫られ、見せしめにデーヴィッドは殺されてしまいます。

カークは降伏要求をのみ、クリンゴン兵が転送されてくるのに合わせてエンタープライズの自爆装置を稼働させ、自分たちは惑星ジェネシスに逃げました。エンタープライズは、巨大な炎となって墜落していくのでした。追いかけて降りて来たクルーグを倒し、クリンゴンの艦を乗り込んだカーク達はバルカン星を目指します。

勝手に巡洋艦を奪って出航できちゃうところは突っ込み所満載なんですが、それはさておき、テレビ・シリーズからおよそ20年間愛されてきたエンタープライズの最後というのが、ファンには衝撃的だったかもしれません。

また論理的行動を優先するスポックらバルカン人と、(軍人としてはどうかと思いますが)情に脆い地球人との対比がテーマの映画です。彼らオリジナル・クルーの結束力が極まった内容で、本当はエンタープライズの死と共に最終話でもよかったのかしれないと思ってしまいます。

おじさん、おばさんばかりの登場人物の中で、前作から登場のサーヴィック大尉は若い紅一点のアクセントですが、前作のカーティス・アレイがギャラでごねたらしく降板し、今回はロビン・カーティスが演じます。バルカン人らしいメイクのせいで、違和感はありません。「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のドグで人気が出たクリストファー・ロイドの悪役ぶりもなかなかはまっていました。

パラマウント映画は、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のヒットにより、このシリーズでもコメディ・タッチのものを用意しており、シリーズはまだまだ続くことになります。

2021年10月16日土曜日

スター・トレック II カーンの逆襲 (1982)

映画版「スター・トレック」の第2作。監督は6作目も担当したニコラス・メイヤー。前作に引き続きオリジナル・クルーが登場します。

今回の話は、テレビ・シリーズの第15話「宇宙の帝王」の後日譚になっています。もちろん、テレビを知らなくてもある程度は理解はできるようになっていますが、知っていて損はありません。

20世紀末にアジアを中心に支配していたカーン・ノニエン・シンは、遺伝子操作によって生まれた超人的な知能と身体能力を持っていました。世界制覇を夢見て「優性戦争」を引き起こし敗北、宇宙船「ボタニー・ベイ」で地球を脱出し、船内で300年間冬眠していました。

漂流中のボタニー・ベイを発見したエンタープライズによってカーンは救助されますが、カーンは逆にエンタープライズの乗っ取りを画策したため、カーク艦長により無人惑星セティ・アルファ5号星への追放されたのでした。

さて、映画はそれから15年後。宇宙探査は若者の仕事だと言うカークは再び地上勤務となりますが、Dr.マッコイからも老け込む前に現場に復帰するように勧められていました。一方、カークの古い恋人だったキャロル・マーカス博士(ビビ・ベッシュ)が息子のデビッドと共も遂行しているジェネシス計画のために、リライアント号に乗船しているチェコフは、生命体がまったくない惑星を探していました。

チェコフは候補となったセティ・アルファ6号星にテレル艦長と共に降り立って調査をしますが、何とボタニー・ベイ号を発見し、現れたカーン(リカルド・モンタルバン)に捕えられてしまいます。実はそこは5号星で、6号星が爆発し消滅したため5号星は不毛の地になり、カーンはカークを逆恨みしていたのです。カーンは二人に従順になる寄生虫を体内に潜り込ませました。

新たな生命体を創造するジェネシス計画が、強大な破壊力を持つ武器になることを理解したカーンは、リライアント号を乗っ取ると、マーカス博士らかいる宇宙実験室レギュラー1へ向かいジェネシスを奪うことにしますが、マーカス博士はジェネシスと共に地下実験中のジェネシス惑星に逃れました。

カークは、Mr.スポックが艦長を務めるエンタープライズの訓練航海に若い訓練生と共に査察目的で搭乗します。しかしレギュラー1の異変ににより、急遽指揮を執ることになります。しかしカーンの奇襲を受けエンタープライズは被害を出しつつも、何とかリライアントを撃退しました。ジェネシス惑星からマーカス親子を救出しますが、ジェネシスはカーンに奪われてしまいます。

エンタープライズは、レーダーが効かず防御スクリーンも張れない星雲内にカーンを誘い込み頭脳戦で勝利しますが、カーンはジェネシスの自爆スイッチを入れるのでした。損傷したエンタープライズの動力室では放射能漏れのため、爆発後に発生するジェネシス波から逃れるためのワープ航行ができません。

Mr.スポックは、自らを犠牲にして放射能漏れを修理したため、エンタープライズは寸前で脱出することができました。そして、ジェネシス波によりは緑の惑星に変わったジェネシス惑星に向かって、Mr.スポックの遺体を載せた棺が打ち出されました。

映画シリーズの中で人気のある本作は、ど派手なレーザー砲とかミサイルとかが飛び交うわけではありませんが、戦艦同士の緊張感のある戦いはシリーズ屈指の戦闘シーンです。仇敵カーンを演じるのもテレビと同じ俳優で、わかる人は大変喜んだようです。終わり方も続編ありありで、期待が高まりました。

前作と比べると、特撮をジョージ・ルーカスが設立したILMが担当したことは大きい。合成シーンの境界も目立たなくなりましたし、黎明期ながらCGも使われて見ごたえがあります。今作では、生命の新生ということに合わせるかのように、主要キャストが年を取ったことを積極的に表に出しているのも面白いところ。さぁ、次はMr.スポックを探しに行きます。

2021年10月15日金曜日

スター・トレック (1979)

2021年10月14日のニュース。ジェームズ・T・カーク船長が、米宇宙開発企業ブルー・オリジンが13日に実施した宇宙旅行に参加し、地球に帰還後、「信じられない」体験だったと振り返った。

カーク船長とは、もちろん「スター・トレック(宇宙大作戦)」での役名。長年、カーク艦長を演じたウィリアム・シャトナーは御年90歳で、宇宙旅行の最高齢者となりました。ブルー・オリジンを創業したのは、Amazon創業者のジェフ・ベゾス氏で、11分間の飛行を終えて帰還した乗客にシャンパンをふるまったとか。

カーク艦長も90歳ですか。こっちが年を取るのも当然です。そもそも、ジーン・ロッデンベリーの制作した最初のテレビドラマシリーズが始まったのは1966年。1969年に一度終了して、10年後についに映画化され、オリジナル・キャストが再招集されました。

1977年の「スター・ウォーズ」の大ヒットで、宇宙物の映画が次々と作られた頃でしたが、テレビですでに認知度が高かった「スター・トレック」の登場は、当時も大きな話題をさらいました。元々のテレビ・シリーズが、宇宙を探検していろいろな不思議な出来事に遭遇するクルーの活躍を描いていたので、いわゆる善悪が登場する冒険活劇とは一味違う内容です。

監督は名匠ロバート・ワイズ、音楽はジェリー・ゴールドスミス、そして特撮はダグラス・トランブル、ジョン・ダイクストラという名人芸のスタッフが集結しました。テレビ・シリーズにも登場したメイン・キャストは、ジェームズ・T・カーク船長(ウィリアム・シャトナー)、科学主任Mr.スポック(レナード・ニモイ)、医師Dr.マッコイ(ディフォレスト・ケリー)、機関主任スコット(チャーリー ジェームズ・ドゥーアン)、通信士ウフーラ(ニシェル・ニコルズ)、操縦士スールー(ジョージ・タケイ)、砲撃手チェコフ(ウォルター・ケーニッグ)、医務室チャペル(メイジェル・バレット)らです。

遠い宇宙空間から地球を目指して超巨大な電子雲を伴う物体が、途中にある宇宙ステーションなどを飲み込んで接近してきていました。最も早くに対処できるのは、ドックで整備中だった戦艦エンタープライズ。提督になっていたカークは、再びエンタープライズに乗船し電子雲を目指します。故郷のバルカン星に戻っていたMr.スポックも、電子雲の存在を感知して合流します。

強大なプラズマ・エネルギーを放つ電子雲には、さしものエンタープライズも歯が立たず、送り込まれてきた探査エネルギー体によって、ナビゲーターのデルタ星人のアイリーア(パーシス・カンバッタ)が連れ去られてしまいます。そしてアイリーアのコピー体がエンタープライズに送り込まれてきて、電子雲は「ヴィジャー」と名乗り、地球にいるはずの自分の創造主と合体することが目的であり、人間を炭素ユニットと呼び、創造主の邪魔をしているため排除するというのです。

カークは、とっさに創造主とコンタクトを取る方法を知っていると言うと、彼らはヴィジャーの本体に招かれるのです。そこでカークらが目にしたのは、何と300年前にアメリカで打ち上げた太陽系探査衛星のボイジャー6号でした。ボイジャーは多くの探査を行い、ブラックホールに消えたのですが、機械惑星化してなおも知識を増大させ創造主とコンタクトを取ることを望む知的生命体になっていたのでした。

創造主という「神」を思わせるワードが出てくるため、直接的な宗教色は無いものの深遠なテーマを持っているストーリーです。解決方法についても、何だかそれでいいの? と言いたくなるような曖昧さを残すものになっています。ただ、それがむしろ「スター・トレック」の特色なのかもしれません。

実際のボイジャー計画では、1977年に1号と2号の二つだけが打ち上げられていて6号は架空の物。本物のボイジャーは二つとも、現在も稼働しており、数年後に停止する見込みらしいです。

2021年10月14日木曜日

衆議院解散


与党自由民主党内の派閥力学がいろいろと取り沙汰され、ある意味一般国民にも注目された総裁選挙から2週間。勝ち上がった岸田文雄氏が当選し、辞任した菅氏にかわって第100代内閣総理大臣に就任したのが10月4日。

予想されていた時期を可能な限り前倒しして、岸田首相は本日、衆議院を解散します。新たに誕生した総理大臣を国民が信任するかどうかと言う意味では、この選挙は重要でありできるだけ早くに行うことは悪くはないと考えます。

1年前、密室政治で誕生した菅内閣は、一度も国民が信販を受けることはありませんでした。あくまでも官房長官時代の「人気」におんぶしただけで、前総理の尻拭いで祭り上げられ、そしてどうやらそういう総理経験者たちの思惑で引きづり下ろされた感があります。まさに国民不在の与党を象徴するような内閣だったように思います。

コロナ渦が沈静化しつつあるこの時期もちょうど良い。このままコロナが終息することは考えにくく、外国の状況からもワクチン接種が進んでいても、経済的な緩和が進むとワクチン非接種の若者を中心とした再燃が予想されます。今のうちに、政治的な安定的新体制を確立しておくことは重要です。

記録に残る短命内閣としては、羽田孜(1994年)の64日、石橋湛山(1956年)の65日、宇野宗佑(1989年)の69日がこれまでのBEST3ですが、衆議院選挙の結果によっては、岸田内閣はぶっちぎりの11日天下でトップに躍り出ます。さすがにそれはないでしょうけど、御祝儀人気にあまり期待できない状況で、議員数を減らさずに済めば合格というところなんでしょうか。

一方の野党は、今回は共闘色を強めていますが、いつ政権交代してもすぐに政治を動かせるだけの雰囲気が見えてこない。少なくとも、一人でも二人でも、与党の議席を奪い力を蓄えていけるかどうかが選挙の見せ所です。

2021年10月13日水曜日

トヨタモビリティ神奈川


トヨタ自動車を売る店・・・いわゆるディーラーというと、コンビニかと思うくらいあちこちにたくさんあって、神奈川県内で以前は、神奈川トヨタ、トヨタ・カローラ、ネッツ・トヨタ、トヨペットなどがありました。

トヨタとついていますが、本家の自動車を製造するトヨタ自動車株式会社とは実は別会社。それぞれの会社が、トヨタ自動車から車を仕入れて顧客に売るだけで、それぞれの販売会社によって扱う車種に違いがありました。

客としては、いつも付き合いがあるディーラーで買いたくても扱っていないトヨタ車があったり、中身は一緒なのにディーラーによって微妙にデザインが違う兄弟車がいめろいろあってわかりにくかった。

しかし、全販売チャンネル共通車種が増えたり、自動車全体の国内の販売台数が減って来た、トヨタ以外の自動車会社の低迷などもあって、トヨタの敵はトヨタと言われるようになって、トヨタのディーラー同士が共食い状態になってきた。本家の意向により、各販売会社の統一が図られるようになったのが2019年から。

神奈川県内では、昨年5月についに神奈川トヨタがカローラとネッツを吸収合併する形でトヨタモビリティ神奈川が誕生しました。これで、トヨタの販売チャンネルはすっきり整理されてわかりやすくなった・・・と思ったら、あれっ? ということもありました。

もう1年半になるというのに、よく前を通るカローラ店は、いまだに看板はそのまま。これは、どうもめんどうなだけなのか、看板を変える予算がないのか不明です。

それと、トヨタの重要な販売チャンネルであったトヨペットは、実は合併されるのを嫌ったのか、トヨタモビリティに参加しませんでした。都内ではモビリティに統一されているのに、横浜トヨペットは独立を堅持しているらしい。

なんかバラバラ感がいつまでもあるのは違和感しかないのですが、結局、それぞれの土着の販売チャンネルがそもそも別べの経営というところが原因のようで、消費者側からはまだまだわかりにくいということでしょうか。

2021年10月12日火曜日

ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う! (2013)

スリー・フレーバー・コルネット3部作と呼ばれる、監督エドガー・ライト、脚本サイモン・ペグ、主演サイモン・ペッグ、ニック・フロストらのチームによるコメディ映画の一つ。完結編にあたる本作はストーリーはまったく繫がりはりませんが、思春期から成長した個人の人間関係を描くという共通のテーマを持っています。


この作品では、SF映画の形態をとっていますが、時代は現代の地球であり、進歩した科学的なギミックなどはまったく登場しません。エイリアンによる密かな地球侵略というのは古典的名作「ボディ・スナッチャー」を思わせるものですが、酔っ払いによる大騒ぎコメディとなっています。

イギリス郊外の町で生まれ育ったゲイリー・キング(サイモン・ペッグ)は、高校卒業記念に悪友たちと地元の12軒のバーの制覇を試みるも失敗。以来アルコール中毒となり、自由だが社会的な落伍者となっていました。そろそろ40代となり、何とかバーのはしごを成功させて、自分を変えたいと考えたキングは、今では社会的に成功しているかつての悪友、アンディ・ナイトリー(ニック・フロスト)、スティーヴン・プリンス(パディ・コンシダイン)、オリヴァー・チェンバレン(マーティン・フリーマン)、ピーター・ペイジ(エディ・マーサン)を無理やり招集します。

約20年ぶりの故郷は一見なんの変りもないようでしたが、かつてのバーはどこも似たような今時風に改装されていました。それでも、昔を思い出してガヤガヤとビールを一杯ずつ飲みながら4軒目になりました。トイレで地元の少年と喧嘩になった五人組は、彼らが体がバラバラになっても動く人形のような生命体ブランクスであることに愕然とします。

ここまでに感じた違和感、何故か地元の人たちの無反応な様子から、町全体の人々がブランクスに入れ替わっていることに気が付きます。町から脱出する手段が無いため、彼らははしご酒を続けますが、いつの間にかオリヴァーとピーターもブランクスと入れ替わってしまいます。

しだいに襲って来るブランクスの数が増え、入る店々で大乱闘を繰り広げながら、ついにゴールの12軒目の店、ワールド・エンドに到着。しかし、そこはブランクスたちの本拠地だったのです。宇宙から密かにやって来た「ネットワーク」と名乗るエイリアンが、人間の生活にする豊かにするためにIT技術を広め、協力しない人々をブランクスと交換していたのです。

ネットワークは人間のためを思ってやっていることだから協力しろとキングに言いますが、何を言ってもキングは言うことを聞かず、聞く耳を持たず、自由が欲しいだけだと絶叫して拒否するのです。酔っ払いの大騒ぎにあきれ返ったネットワークは、すべての技術を回収し、自分たちの痕跡を焼却して宇宙に帰ってしまいます。

その結果、世界は廃墟となり人々は昔の自然と共生する生活に戻されます。キングは酒を断ち、取り残された悪ガキブランクスを引き連れて町を闊歩するのでした。

というわけで、酔っ払いが宇宙から「親切風」な侵略の魔の手を追い払った話なんですが、その結果世界を救うどころかぶっ壊した結果になっているのが、最大のブラックなジョークかもしれません。ただし、さりげなくクスっと笑いを誘う映画ではなく、かと言って爆笑するようなコメディでもありません。やはり日本人と欧米人の笑いのつぼの違いというのはいかんともしがたいところ。

サイモン・ペッグは、トム・クルーズの「M:Iシリーズ」ではコメディ・リリーフとしては常連ですが、シリアスなアクション物ですからかなり抑えた演技をしていました。そういう意味では、この映画のようなエイリアンにもひるまない破天荒な酔っ払いというのは、彼本来の味なのかもしれません。


2021年10月11日月曜日

銀河ヒッチハイクガイド (2005)

イギリスのダグラス・アダムスが書いたSF小説で、原作はかなりの人気作でシリーズ化されました(1979~1992年)。このタイトルそのものは、小説に出てくる電子本の名前で。テレビ・ドラマもあったようですが、2005年に満を持して映画化が公開され、原作を雰囲気を壊さずに皮肉っぽい笑いの要素をうまく視覚化したと高く評価されました。


監督はミュージカル・コメディの3Dアニメ「シング」のガース・ジェニングス。原作者のアダムスが初期稿の脚本に参加しましたが、心筋梗塞により2001年に亡くなったています。オープニングで使用された「ザ・ドルフィンス」は、破滅する地球からイルカが脱出する際に、今までたくさんの魚をありがとうと人間に語り掛けるもので、「ソロン、ソロン・・・(so long)」がやたりと耳につく不思議な曲。

ドジで失敗ばかりのアーサー・フィリップ・デント(マーティン・フリーマン)は、バイパス道路の着工で家を取り潰されそうになります。工事の責任者には、1年も前から市役所に掲示されていたのに抗議しなかったのが悪いと言われてしまう。そこへ親友・・・実は宇宙人のフォード・プリーフェクト(モス・デフ)がやって来て、どうせあと数分で地球はなくなるからそんなことはどうでもいいと説明。

アーサーの家を解体しているところへ、空に巨大な宇宙船がやってきて、ヴォゴン人の銀河系開発審議官が「辺境地区の開発のためバイパスを作るため、邪魔になる地球をこれから取り除きます。50年前から事務所で掲示していたことなので」と説明します。

フォードは宇宙船に向かって親指を突き立て、地球が壊される直前にデントと共にヒッチハイクに成功しました。フォードは宇宙ベストセラーになっている「銀河ヒッチハイク・ガイド」の著者でした。しかし、無断で船に転送して乗り込んだことでヒッチハイカーが嫌いなヴォゴン人に捕まり宇宙に放り出されてしまいます。

そこに通りかかったのが、銀河宇宙大統領・・・なんですがかなり胡散臭いゼイフォード・ビーブルブロックス(サム・ロックウェル)で、かつて地球でゼイフォードにナンパさアーサーのもとを去ったトリリアン(ズーイー・デシャネル)と一緒に伝説の惑星マグラシアを探す気ままな旅を楽しんでいるところで、ヒッチハイク信号により自動で二人を回収してしまいます。

ゼイフォードは勝手に宇宙に飛び出したため追われる身でしたが、大統領選挙での宿敵ハーマ・カヴーラ(ジョン・マルコヴィッチ)にトリリアンを拉致されてしまったため、救出に向かいます。何とか助け出した一行は、やっとのことでマグラシアに到着しますが、アーサーは早々にはぐれてしまいスラーティバートファースト(ビル・ナイ)と名乗る惑星製造人に連れられて、惑星建造工場を見学します。そこではなんと、バックアップの「地球」が完成間近だったのです!!

何とも、不思議な映画です。見る人のセンスを試されているような感じ。実は地球で一番の生物は・・・これがキーポイント。2番目が人間・・・じゃなくてイルカ。人間は3番目なのです。1番目の生物が地球を作ることを依頼して、人間は彼らにうまいことコントロールされていたらしい。

究極的には地球上での人間の思い上がりを痛烈に皮肉に笑い飛ばしているわけで、人類の嫌なところを官僚主義的で融通の利かないヴォゴン人に詰め込んだようです。ヒッチハイクは最初の2回だけで、まぁほとんど映画的には関係ありません。ガイド・ブックは、宇宙でのうまい過ごし方を知るうえで大変役に立つようで、映画では説明しきれない展開の解説文という役割を担っています。

頭でっかちのロボット、マーヴィンは本当は大変優秀な頭脳を搭載しているのですが、いつでも悲観的でぼやき続けているのが可愛らしい。ある意味、人間らしさでは登場人物の中で一番かもしれません。基本的にはハッピーエンドなんですが、アーサーは再始動する地球には自分はいらないと考え、冒険の末に自ら幸せを求めて行動するように生まれ変わるということ。

地球上には人類がはびこり、自分たちの利益のために多くの物を犠牲にしてきました。この映画、というより原作は今ならまだリセットしてやり直せるかもしれないということを気が付かせることがテーマのようです。

2021年10月10日日曜日

CASIOPEA PERFECT LIVE II (1986)

日本のfusion系バンドの草分けで、どちらかいえばジャズに寄っていたのがスクウェアで、ロックに寄っていたのがカシオペアという認識なんですが、どちらも80年代が全盛期であることは間違いない。

音楽的な美しさで言えばスクウェアが好きで、耳で聴くだけなら向いているように思います。ミュージシャンのバカ・テクを堪能して、なおかつステージ・パフォーマンスということならカシオペアに軍配が上がる感じ。つまり、映像付きで楽しむならカシオペアという評価。

1986年の年末に五反田で行われたライブの模様をおさめたのがこれで、購入したのは数年後だったと思います。媒体はLD・・・レーザー・ディスクでした。

つまり、LDの機器をそろえて、何か面白いメディアは無いかと最初期に買ったものの一つ。ビデオ・テープによる視聴に比べて、圧痛的な画質の良さに驚いたものですが、その後登場したDVDより解像度は劣るんですね。ただし、DVDと違って記録されている信号はデジタルではなくアナログなので、デジタル圧縮によるノイズは無い為、けっこう見やすかったようです。

カシオペアは、すでに10年ほどのキャリアがあって、中心メンバーである野呂一生(ギター)に向谷実(キーボード)、桜井哲夫(ベース)、神保彰(ドラムス)という鉄壁の布陣によるライブです。自分と同世代の人たちなのも嬉しいところ。

全編にわたって、当時のカシオペアのロック・ジャズ・ファンクを基調としたヒット・パレードで、ノリノリで楽しめる。車の運転中の音楽としても相性が良かったのですが、その頃は車の中でビデオを見るなんて想像も尽きませんでしたので、車用にはCDを別に買ったりしました。



2021年10月9日土曜日

Cream / Live at Royal Albert Hall 2005

こどもの頃にテレビで懐メロの番組とかやっていると、まぁ随分と古臭い音楽だなと思ったりしていました。実際、「歌謡曲(ほとんどは演歌)」と「ニュー・ミュージック」くらいの違いがありましたから、違って当たり前と思います。

ところが、自分が年取って、中高生の頃に聞いていた音楽・・・って、もう半世紀くらい前のものになりますが、これが今の音楽と大きな差を感じない。今の若い人が聞けば、昔の自分が感じたような古臭さがあるのかもしれませんけどね。

実際、今時のバンドの演奏なんて、ほとんどは70年代以降のロック・グループの流れを汲んでいると言うと言いすぎでしょぅか。その大元を探ると・・・たぶんイギリスのクリーム(CREAM)という3ピース・バンドにたどり着くというのはあながち間違いじゃない。

1966年にジャック・ブルース(ベース・ギター)、ジンジャー・ベイカー(ドラムス)、そしてエリック・クラプトン(ギター)という三人組により結成。ブルースを基本にしていますが、独自のアンサンブルやリズムを取り入れ、各人のアドリブ・ソロを大きくフューチャーしたスタイルは、その後のロック・バンドの基本路線となりました。

それぞれの個性が強すぎて、1968年に解散という比較的短命に終わった割には、その影響力の大きさは計り知れません。自分がバンド少年だった頃は、その次の世代である、レット・ツェッペリンやディープ・パープルの時代ですが、すでに伝説と化していたクリームは必聴の教科書みたいなものでした。

特に、「クロスロード」でのクラプトンのギター・ソロに絡み続けるブルースのベースは、もうほとんど全編アドリブ合戦の様相を呈していて、凄まじいの一言につきます。

彼らが2005年にリユニオンしてステージに立った時の様子が治められているのが、このロイヤル・アルバート・ホールでのライブ。20代後半だった彼らが、還暦過ぎた年でのステージで、真っ先に感じるのはもう年を取ったよねということ。クラプトンは現役ですから、だんだん年取ったのを知っていますが、あらためて残りの二人と並ぶと「おじいちゃんバンド」です。

ところが、このおじいちゃん達が凄いのなんのって、よくもまぁ昔と変わらずの迫力です。三人組というのは音が薄くなりがちなのですが、やはりブルースの単に根音を鳴らすだけのベースじゃないところが、音楽の厚みを作っているのがよくわかる。こういうリユニオン・バンドはよくありますが、皆、年取って丸くなった分、音楽を楽しんでいる感じが伝わってきて聴きやすい。

2014年にジャック・ブルースは71歳で亡くなりました。そして、2019年にジンジャー・ベイカーも80歳であの世にいっちゃった。クラプトンは76歳で現役です。一人になったけど、まだまだ頑張ってもらいたいと思います。

2021年10月8日金曜日

地震だっ!


昨夜は、突然の大きな地震でだいぶ驚かされました。

千葉県千葉市付近の直下を震源とし、埼玉県と足立区の一部で震度5強、川崎から横浜の東京湾隣接地域では震度5弱でした。

自分の自宅やクリニックのある横浜市北部地域は震度4だったようですが、東日本大震災以来かと思うくらい長くて強い揺れでした。

大きな被害は報告されていないようですが、停電しているところも一部にはあるようですし、都筑区では家具の下敷きになった人もいるようです。

こういう地震があると、いつか来ると言われている首都圏直下型地震の心配が再び増えてしまいますが、あわてることが一番怖い。できるだけ冷静に対応することが大切ということですよね。


2021年10月7日木曜日

自宅居酒屋 #40 鯵


美味しい魚・・・味が良いことから、アジと呼ばれるようになったらしい。美味しくて「参ってしまう」ので「鯵」と書くとか、生臭いという意味の「喿」の字の写し間違いで「鯵」になったとか諸説あり。

先日、釣りに行ってきたという患者さんに釣果の鯵をいただきました。普通にスーパーで見かける20数センチ程度のものだと、刺身だと一尾で一人分くらい。

ところが、いただいたのは丸々肥えて30センチ超えの大きさ。ニ尾を三枚におろして刺身用に切ったら、こんな量になってしまいました。

さすがに食べきれませんので、残りは醤油漬けにして翌日に大葉と生姜を加えていただきました。

2021年10月6日水曜日

メン・イン・ブラック3 (2012)

10年ぶりのシリーズ3作目。監督は同じバリー・ソネンフェルド、製作総指揮にスピルバーグが絡むのも同じ。目新しいところは、まず前作までMIBのリーダーだったZを演じたリップ・トーンが高齢のため降板し(2019年に88歳で亡くなりました)、「ハリー・ポッター・シリーズ」でお馴染みのエマ・ワトソンが新たなリーダーOとして就任しました。

今回はタイム・トラベルが鍵になるので、ヤングKが登場します。演じるのはジェームズ・ブローリンの息子でジョシュ・ブローリン。もちろん、Kのトミー・リー・ジョーンズ、Jのウィル・スミスは再登場。過去に戻ってJがKを助けるというアイデアは、何と発案者はウィル・スミスだったとか。

月の刑務所から凶悪なボリス・ジ・アニマル(ジェマイン・クレメント)が脱獄。彼は1969年7月16日にKによって左腕を失い逮捕された恨みを晴らすために、地球に戻ってきます。そして、密かにタイム・トラベルを行うジェフリーによって1969年にタイム・スリップするのです。時空の歪みのために、現代のJは激しい頭痛を感じ、翌朝MIB本部に行くと誰もKを知らない。

Oは40年前にKは死んだと言いますが、あまりにKのことを知っているJの様子から時空破壊が起こったのかもしれないと考えます。Oはマークしていたジェフリーの居所を教え、Jが向かうと確かにボリス・ジ・アニマルを過去に送ったと白状します。Jもジェフリーの助けで、Kがボリス・ジ・アニマルを逮捕する前日にスリップするのでした。

ボリス・ジ・アニマルを発見し銃を向けたところ、横からヤングKによって気絶させられ、目を覚ましたのはいかにもレトロなMIB本部でした。最初は不審に思っていたヤングKでしたが、ここでもいろいろと知っているJの言うことをだんだん信じるようになります。

二人は予知能力を持つ宇宙人グリフィン(マイケル・スタールバーグ)から、地球を救えるバリアを貼れるアークネットを渡され、もうじきフロリダから打ち上げられるアポロ11号の先端に取り付けることになります。Kにフロリダに行くと死ぬからと止めるJでしたが、Kは承知しません。グリフィンも連れてアポロの発射場に到着しますが、1969年と2012年の二人のボリス・ジ・アニマルが襲い掛かってくるのでした!!

トミー・リー・ジョーンズの登場シーンは最初と最後だけでわずかなんですが、ヤングKのジョシュ・ブローリンが、メイクのせいもあるかもしれませんが、絶妙な演技によっていかにも若いトミー・リー・ジョーンズという感じで、ずっとKが映画の中で活躍している感じにまったく違和感がありません。

変えられた過去を元に戻すということで、タイム・トラベルの作法はほとんどくずしていないのですが、冷静に考えると多少の混乱はあるようです。しかし、3作目のアイデアとしては大変痛快で、時間のずれを利用した笑いの要素も盛り込まれ、シリーズ本来の味がうまく出せているように思いました。

特に1969年7月16日というのが、おそらく多くのアメリカ人ならピンと来る日付。この日、フロリダのケープカナベラルにあるNASAのケネディ宇宙センターからアポロ11号が打ち上げられ、7月20日に人類が初めて月に降り立ったのです。この歴史的快挙の裏で、こんなことが起こっていたという発想は大変ユニークです。

アンディ・ウォーホールが実はMIBの職員だったり、そこに訪ねてくるのヨーコはたぶんオノ・ヨーコ。現代のMIB本部のモニターにはレディ・ガガ、ジャスティン・ビーバー、ティム・バートン、デビッド・ベッカムらが登場していますが、ガガ様はそれだけでなく過去のMIB本部内でもエイリアンの格好で横切っているらしいし。

このあと2019年には、監督・主役俳優が変わった「MIBインターナショナル」が制作されました。こちらは、同じ世界観を引き継いだロンドン支局の話になっています。

2021年10月5日火曜日

メン・イン・ブラック2 (2002)

前作に引き続き、スティーブン・スピルバーグ製作総指揮、監督はバリー・ソネンフェルド。冒頭に、今回のストーリーのイントロダクションを「スパイ大作戦(TVシリーズ)」のピーター・グレイブスが登場して解説する趣向になっています。

1978年にサーリーナ星人の魔の手から逃れてザルタ星人が地球に到着。ザルタの王女ロラーナは秘宝である「ザルタの光」を隠すことをMIBに頼みました。MIBは、サーリーナを足止めして他の星に隠すようにロラーナ逃がしました。

そして2002年、通り道の星々を破壊しながら、ザルタの光を見つけることができないサーリーナ(ララ・フリン・ボイル)は再び地球にやって来たのです。MIBでは、K(トミー・リー・ジョーンズ)は5年前に引退していて、J(ウィル・スミス)は優秀な捜査員になったものの相棒に恵まれず、ついに犬のパグに変身しているエイリアンのフランクを相棒につけられてしまいます。

サーリーナは雑誌の美女モデルに変身して、ザルタの光のありかを知るザルタ星人のピザ屋を脅し、明晩、光は地球を離れると白状させてから殺しました。目撃してしまったピザ屋の店員、ローラ(ロザリオ・ドーソン)から話を聞いたJは、恋した?彼女の記憶を消すことができませんでした。

サーリーナの宇宙船が発見され、Jは過去の事件の担当だったK・・・今は郵便局員のケヴィンのもとを訪ねますがMIBの時の記憶が無いKに相手にされません。何とかKを連れ出し、記憶を戻す装置に座らせようとしますが、サーリーナがMIB本部を襲撃してきます。KとJはかろうじて脱出し、過去に記憶復帰装置をハッキングしていた宇宙人の協力でKは記憶を取り戻します。

実は、ザルタの光の所在を示すものは、ローラの身につけているブレスレットが重大な手掛かりだったのです。しかし、サーリーナによってローラは捕まってしまったため、KとJは占拠されているMIB本部に突撃するのでした!!

途中でMIBエージェント希望のエイリアン役で、なんとマイケル・ジャクソンが登場したりします。前作の終わり方が完結っぽかったので、続編を作るとなってスタッフは相当考えたんでしょうね。引退してエージェント時代の記憶が無くなったKというのがテーマで、おそらくそのために過去の因縁などの話を作り上げたと思います。

シリーズ物の続編は、一作目に劣ることが多いのは二番煎じになりやすいことも理由にあります。そういう意味では、前回とはだいぶ異なるシチュエイションになったことは悪いことではありません。しかし、それでも正直、一作目を比べてパワーダウンは否めないところ。

その理由としては、おそらくコメディ要素が減ったことに原因の一端があるかもしれません。ユニークなエイリアンが登場して見た目の可笑しさはあるのですが、アクション映画としての色彩が強まりました。その割には、アクションが物足りなかったりして中途半端というところでしょうか。さらなる続編もありますので、今後に期待というところです。

2021年10月4日月曜日

メン・イン・ブラック (1997)

スティーブン・スピルバーグが製作総指揮でからんで、スピルバーグのアンブリンが制作に携わった大ヒットSFアクション・コメディ。監督は「フダムス・ファミリー」のバリー・ソネンフェルド。

メキシコからの不法移民の取り締まり中に、黒いスーツを着込んだ二人が現れ、移民の一人を離れた場所に連れていきます。彼らはエイリアンの監視組織MIB(Men in Black)のメンバーで、移民の正体はエイリアンでした。エイリアンは、国境警備隊員に襲い掛かろうとしたためK(トミー・リー・ジョーンズ)が射殺しました。年寄りのDは、瞬時に対応できなかったことから引退を決意します。

一方、ニューヨーク市警の警察官ジェイムス(ウィル・スミス)は、超人的な脚力を持つ犯人を追い詰めましたが、「世界の終末が来る」と言い残して飛び降り自殺してしまいます。しかし、仲間はジェームスの話を信じない。Kはジェームスの力を買い、Dの後釜にスカウトします。宇宙難民のエイリアンが、今ではニューヨークに1500人ほど地球人の外見で住んでいて、大多数はまじめに働いていますが、中には危ない奴もいるらしい。

早速、指定区域外のエイリアンの調査に出動するKとL。多くのエイリアンが地球を脱出しようとしていることが判明します。違法進入したエイリアンが、「銀河」を管理するエイリアンを殺して銀河を手に入れようとしてるらしい。管理官の母星では銀河を返さなければ、地球を破滅させると迫ってきました。

死体置き場の検視官、ローレル(リンダ・フィオレンティーノ)は、運ばれてきた死体が地球人ではないということに気が付くたびに、Kによって記憶を消されていました。今回も管理官の死体から人間ではないことに気が付き、彼が飼っていた猫の首輪に銀河が隠されていることに気が付きます。エイリアンはローレルを襲い、銀河を手に入れると宇宙に逃亡しようとしますが、それに気づいたKとJも後を追います!!

もともとは今やDCと双璧をなすマーベル・コミックから生まれた話。だからといって、特殊能力を持った超人が登場するわけではありません。昔からUFOとか宇宙人の目撃談とかはたくさんあって、誰もがそんなこともあるかもしれないと思っていることを、一歩も二歩も進めたストーリーです。

気が付くとエイリアンは身近に人間の姿をして大勢生活していて、MIBは秘密裏に彼らの入出国と、地球での生活を監視・管理しているという設定が実にユニーク。まとめて宇宙人を引き受けてトラブルになるのが「第9地区」のような話ですが、ここでは一般人には知らせないことでパニックを防止し、平和な生活が維持されるという考え方。

ただし、全体のストーリーの流れはわかりにくいところがあって、そもそも猫の首にぶら下がっている「銀河」というものの正体や重要性があまり伝わってこないのが残念なところ。ラストシーンを見ると、どうやら宇宙人たちの遊び道具のボールのことらしい。このボールの中に銀河があり、太陽系があり、そして地球があって人類がいる・・・という一つの宇宙全体のことのことなんでしょうか。

何といっても、主役のトミー・リー・ジョーンズとウィル・スミスのコンビがいい。ロマンティストですが、冷静沈着なベテランKと、体力に自信ありの猪突猛進型のJという、いわゆる凸凹コンビが自然と楽しさを作り出しています。特殊メイクは、巨匠になったリック・ベイカーによるものでさすがです。一応、完結した雰囲気の終わりですが、大ヒット御礼により続編が登場しました。



2021年10月3日日曜日

エボリューション (2001)

アイヴァン・ライトマン・・・と聞いて、すぐに思い出すのは「ゴーストバスターズ」です。80年代のホラー(SF)・コメディの大ヒット作の監督として有名で、代表作をあげろと言われれば、他にはこの作品ということになりそうです。映画公開時にも使われた三つ目のニコちゃんマークは、けっこうインパクトがありました。


この映画は宇宙から飛来した生物が、瞬く間に進化(evolution)して、人類があわてふためく様子を描くドタバタ系コメディ。おそらく、ライトマン監督としては一番得意な分野。主役にこれまでコメディと無縁だった美男・美女を配して、周りをコメディ俳優で固めることで、ストーリーをうまく回しました。


アリゾナ州の砂漠に隕石が落下。大学の教員、アイラ・ケイン(デイヴィッド・ドゥカヴニー)とハリー・ブロック(オーランド・ジョーンズ)は、早速現場に到着した二人は、隕石の中から染み出てくる液体を採取します。アイラは液体の中に地球にはありえない生物が、急速に分裂し単細胞から多細胞に進化していることを発見します。

1日もたたないうちに生物は回虫の形になり、さらに分裂して個体を増やしていきます。元陸軍にいたアイラは実は今でも監視されていて、この情報を知った陸軍研究部門のラッセル・ウッドマン将軍(テッド・レヴィン)が引接落下地点を封鎖。ケインのそれまでの調査記録を密かに奪い、疾病管理センターのアリソン・リード(ジュリアン・ムーア)が研究の引き継ぎます。

アイラとハリーは、落下地点に仮設された研究施設に忍び込んで、多種多様に進化した大小さまざまの生物に驚きます。あらためてサンプルを採取しようとしますが、ハリーの体内に「虫」が侵入し大騒ぎになります。その頃、街中にも少しずつ生物が繁殖し始めていました。

数週間で恐竜様に進化し、弱点だった酸素にも適応し始めます。ことが公になり、説明を求めてやって来たルイス州知事(ダン・エイクロイド)に、アリソンは放置すると数か月でアメリカ全土が壊滅すると話します。半信半疑の知事の目の前で、猿人に進化した生命体が襲ってきました。

そもそも隕石の第一発見者だったウェイン・グレイ(ショーン・ウィリアム・スコット)も、成り行きで仲間になり、アリソンもウッドマンに愛想をつかして加わり、四人はエイリアンの弱点を調べ始めます。彼らは火が触媒になって生物が急成長することを発見しますが、ウッドマンは彼らからの情報を無視して、ナパーム弾の準備を始めます。

元素表からセレンが弱点と気が付いた四人は、セレンを含むふけ取りシャンプーを大量に用意して消防車に積み込みます。彼らより早く、ウッドマンは焼却作戦を開始したため異生物は全部が融合するように巨大化してしまいます。消防車の四人は、怪物の真下に向かって突入するのでした!!

やっぱり、ほとんど「ゴーストバスターズ」ののり。台詞は、今ならけっこう問題視されるようなシニカルなものが多く、俳優陣の演技も随所に滑稽な仕草があふれています。軍隊がドジで失敗するからといって、特別な意図は感じられません。まったくのコメディと考えて良さそうです。

「X-File」で人気のドゥカヴニーや、アカデミー賞女優のムーアが頑張っている・・・ことは間違いないのですが、やはり単なるお笑いをするにはどうも無理がある感じは否めない。彼らが出てくると、やはりまじめなSFエイリアン物としてスリル感が増してしまいます。彼らには目一杯シリアスな演技・・・でも実はストーリー的には的外れみたいな感じが良かったのかもしれません。

ちなみに邦題「エヴォリューション」は、2015年、フランスの女性監督ルシール・アザリロヴィックによるダーク・ファンタジー映画でまったく別物です。

2021年10月2日土曜日

台風16号


昨日の台風16号は、強い勢力を保ったまま関東に向けて日本に接近してきました。

被害に遭われた方には申し訳ない言い方ですが、横浜では暴風圏の外縁をだったこともあり、時折強めの雨と風というくらいで、「見掛け倒し」的な台風でした。

それでも「来るぞ、来るぞ」と事前に言われていたので、出歩く人は大変少なく、うちのクリニックでも最小限のスタッフの出勤だけにしました。

当然、やって来る患者さんは少なく、それでも普段の1/4~1/3程度。

台風なのによく来たと言うべきか、この程度の天候にしては少ないと考えるのか微妙な感じ。いずれにしても、10月初日としては気合が入らない結果でした。

まぁ、台風が来るたびに秋は深まっていくということ。朝晩の冷え込みも強まりますので、体調管理には注意が必要な時期と言うことですね。

2021年10月1日金曜日

ゴルゴ13


「こち亀」であろうと、「ワン・ピース」であろうと、「ゴルゴ13」にかかれば、子供だましみたいなもの。何しろ、漫画単行本202巻はギネス記録だし、その時々の時事ネタを巧妙に取り込んだ時代を象徴的に表現した内容は圧倒的です。

中高生の頃は、ちょっとエロティックな場面にドキドキし、成人してからは世界情勢にハラハラ。ひと頃は、単行本を100巻くらいまでは持っていました。仕事で忙しくなって、時々見るくらいになってしまいましたが、大好きなマンガであることには変わりありません。

1968年に連載が始まり、すでに半世紀以上。まったく年を取ることを知らないゴルゴと同様に、作者のさいとうたかお氏も、永遠の命があるのかと・・・でも、やはり人間です。1週間ほど前に膵臓がんで84歳の生涯を閉じられました。

スタッフによって、今後もゴルゴの連載は続くらしいのですが、残念ながら親分がいるかいないかで価値はずいぶんと変わってしまいます。とにかく、本当に長い間ご苦労様でしたということ。

合掌