2021年10月3日日曜日

エボリューション (2001)

アイヴァン・ライトマン・・・と聞いて、すぐに思い出すのは「ゴーストバスターズ」です。80年代のホラー(SF)・コメディの大ヒット作の監督として有名で、代表作をあげろと言われれば、他にはこの作品ということになりそうです。映画公開時にも使われた三つ目のニコちゃんマークは、けっこうインパクトがありました。


この映画は宇宙から飛来した生物が、瞬く間に進化(evolution)して、人類があわてふためく様子を描くドタバタ系コメディ。おそらく、ライトマン監督としては一番得意な分野。主役にこれまでコメディと無縁だった美男・美女を配して、周りをコメディ俳優で固めることで、ストーリーをうまく回しました。


アリゾナ州の砂漠に隕石が落下。大学の教員、アイラ・ケイン(デイヴィッド・ドゥカヴニー)とハリー・ブロック(オーランド・ジョーンズ)は、早速現場に到着した二人は、隕石の中から染み出てくる液体を採取します。アイラは液体の中に地球にはありえない生物が、急速に分裂し単細胞から多細胞に進化していることを発見します。

1日もたたないうちに生物は回虫の形になり、さらに分裂して個体を増やしていきます。元陸軍にいたアイラは実は今でも監視されていて、この情報を知った陸軍研究部門のラッセル・ウッドマン将軍(テッド・レヴィン)が引接落下地点を封鎖。ケインのそれまでの調査記録を密かに奪い、疾病管理センターのアリソン・リード(ジュリアン・ムーア)が研究の引き継ぎます。

アイラとハリーは、落下地点に仮設された研究施設に忍び込んで、多種多様に進化した大小さまざまの生物に驚きます。あらためてサンプルを採取しようとしますが、ハリーの体内に「虫」が侵入し大騒ぎになります。その頃、街中にも少しずつ生物が繁殖し始めていました。

数週間で恐竜様に進化し、弱点だった酸素にも適応し始めます。ことが公になり、説明を求めてやって来たルイス州知事(ダン・エイクロイド)に、アリソンは放置すると数か月でアメリカ全土が壊滅すると話します。半信半疑の知事の目の前で、猿人に進化した生命体が襲ってきました。

そもそも隕石の第一発見者だったウェイン・グレイ(ショーン・ウィリアム・スコット)も、成り行きで仲間になり、アリソンもウッドマンに愛想をつかして加わり、四人はエイリアンの弱点を調べ始めます。彼らは火が触媒になって生物が急成長することを発見しますが、ウッドマンは彼らからの情報を無視して、ナパーム弾の準備を始めます。

元素表からセレンが弱点と気が付いた四人は、セレンを含むふけ取りシャンプーを大量に用意して消防車に積み込みます。彼らより早く、ウッドマンは焼却作戦を開始したため異生物は全部が融合するように巨大化してしまいます。消防車の四人は、怪物の真下に向かって突入するのでした!!

やっぱり、ほとんど「ゴーストバスターズ」ののり。台詞は、今ならけっこう問題視されるようなシニカルなものが多く、俳優陣の演技も随所に滑稽な仕草があふれています。軍隊がドジで失敗するからといって、特別な意図は感じられません。まったくのコメディと考えて良さそうです。

「X-File」で人気のドゥカヴニーや、アカデミー賞女優のムーアが頑張っている・・・ことは間違いないのですが、やはり単なるお笑いをするにはどうも無理がある感じは否めない。彼らが出てくると、やはりまじめなSFエイリアン物としてスリル感が増してしまいます。彼らには目一杯シリアスな演技・・・でも実はストーリー的には的外れみたいな感じが良かったのかもしれません。

ちなみに邦題「エヴォリューション」は、2015年、フランスの女性監督ルシール・アザリロヴィックによるダーク・ファンタジー映画でまったく別物です。