2023年12月31日日曜日

PHEVへの道 6 走りの良さは?


どんな優れた電池を大量に積んでも、最終的に車としての性能そのものは「走り」にかかっているわけで、従来のガソリン車ならまさにエンジンそのものが注目されていました。マニア的にはいろいろな要素が関わってくるところですが、素人的には単純にわかりやすいのは排気量と馬力。どちらも大きいほど力強いと直感的に理解できるのですが、BEVやPHEVのモーターというのがなんかよくわからない。

HEVであれば、あくまでもモーターは補助的な位置づけですから、それほど気にすることはありません。しかし、BEVやPHEVでは、モーターの性能をある程度は理解しておく必要はありそうです。ポイントは「出力」と「トルク」の2つです。

とりあえず、トヨタのプリウスPHEVの諸元表を確認してみます。

エンジンは直列4気筒、排気量1986cc、最高出力は111kW(151PS)/6000rpm、最大トルクは188Nm(19.2kgfm)/4400~5200rpm、燃料タンクは40Lです。モーターは型式は交流同期電動機1VM、最高出力は120kW(163PS)、最大トルクは208Nm(21.2kgfm)、動力用主電池容量は51.0Ahとなっています。

もうほとんど念仏みたいなもので、だから何だという感じ。まずは出力(Output)がモーターの物を動かす速さ、トルク(Torque)が物を動かす強さを示しています。出力が高いほど速く走れ、トルクが太いほど重くなっても走れるということ。どれだけの時間でどれだけ動くかという仕事率を馬力(PS)と呼び、一般には最高出力と別の表現方法です。

数字だけ見れば大きい方が良いと感じてしまいますが、同じ出力ならばエンジンよりモーターの方が立ち上がりが早いため加速力が抜群に高い。PHEVの場合はエンジン+モーターの出力の合計が理論上最大値になるはずですが、一般に言われているプリウスPHEVは223PSと言われています。エンジンとモーターは協調して作動するので、両者が同時に最大出力を出すことはありません。トヨタの場合は、モーターの出力を90%程度(馬力だと半分くらい?)として合算しているらしい。

先代のプリウスPHEVは、エンジンが75kWでモーターは53kW、システム全体では90kWでした。現行はどちらもパワーアップしていますが、特にモーター出力が強化されているのがわかります。ということは、初動の加速性は相当力強化されていて、高速でのモーターの補助も拡充したことが容易に想像できます。

ただ、今HEVからPHEV、今後はBEVやFCVと言ったエコロジーを重視するからには、ズバズバ走れれば良いと言うものでもない。そもそも日本の自動車産業の雄、トヨタがBEVに後れを取ってもFCV開発に注力していたのは、バッテリーを作ることのCO2排出がバカにできないことも理由の一つにありました。

自動車のCO2排出量をコントロールすることは重要な課題の一つであり、これについても国土交通省が定める測定方法が用いられています。ガソリン車の場合、人一人を1kmの移動させるのに約150gのCO2が排出され、ディーゼル車でも130gです。HEVなら95g、そしてPHEVはできるたけ電力走行するなら55g、FCVはゼロではなくて14gという測定結果があります。ちなみに飛行機は96g、鉄道なら18gです。

プリウスPHEVはトヨタの公表では77g。エンジンも使う現実的な走行では、妥当な数字だろうと思います。エクリプスクロスPHEVは173g、CX-60PHEVは155gですから、小型のプリウスが少ないのは当たり前かもしれませんが、RX450h+でも123gですから、この辺りもトヨタの技術力を認めないわけにはいかなさそうです。

2023年12月30日土曜日

PHEVへの道 5 電気でどれだけ走れる?


ガソリン車なら、1Lのガソリンでどれだけの距離を走れるかと言う「燃費(燃料消費率)」というのが、効率性能の指標として定着していてわかりやすい。「リッター二桁いくなんてすごい」と言っていたのが20世紀の話で、ハイブリッド車が登場してからは20キロ、30キロは当たり前というのが今の時代。

とは言っても、そこそこ走って最大40km/Lというのが限界みたいですし、HEVが普及して燃費競争も落ち着いた感があります。燃費は、一定の測定条件下の公表される数字よりは実際の走行は落ち込むのが当たり前で、PHEVも燃費という面では、HEVと基本的には同じ。むしろたくさんの電池を積んで車体重量が増えてしまうので、燃費そのものは同一車種のHEVよりも落ちてしまいます。

電気自動車では「電費(交流電力量消費率)」という言葉があり、搭載したモーターのエネルギー効率の指標として用いられています。これは1kWhの電気で走れる走行距離で、現在の標準的なモーターでは6km/kWh程度が一般的で数字が大きいほど優秀。ただし、逆に1kmの距離を走るのに必要な電力をWh/kmで表示すると(標準167)、小さいほど優れていることになります。

例えばトヨタ唯一の100%電気自動車であるbZ4Xでは、国土交通省が審査するWLTCモードで前輪駆動(FWD)なら128Wh/km、四輪駆動(4WD)なら134Wh/kmです。表記法を変えれば、FWDは7.8km/kWh、4WDは7.5km/kWhということになります。ちなみに先行するBEVメーカーであるTESLAの場合、日本で一番売れているModel3の後輪駆動(RWD)は123Wh/kmとされています。

プリウスPHEVの場合は、FWDで134Wh/km。同じくPHEVであるLexus RX450h+は178Wh/km、マツダCX-60PHEV(4WD)は247Wh/km、三菱自動車エクリプスクロスPHEV(4WD)は213Wh/km。BEVである日産リーフは標準モデルで155Wh/km、中国製BYD ATTO3は139Wh/kmとなっています。

無くなればすぐに給油すれば良いガソリンの場合は、ガソリン代も高くなりましたし燃費はすごく気になるところなんですが、現状では電気の場合は必ずしも充電が自由にできる保証はありませんので、電気代も無視はできませんが一度にどれだけ走れるのかの方が実用面では気になるところです。

となると、実際には搭載した電池に依存する部分が大きいと言うこと。HEVでは、元々電力のみの走行を前提にしているわけではないので、電費という概念は適用されません。プリウスのZグレードではPHEVが51Ahという電池容量があるのに対して、HEVだと1/10以下の4.08Ahで十分に充電されていてもEV走行できるのはノロノロでせいぜい2km程度です。

電池の種類によって細かい違いはありますが、最終的にはどれだけの容量を積めるかが大事で、より小さく軽い電池が有利になるため、現時点ではニッケル水素よりもリチウムイオン電池、そして将来的には全固体電池が必須ということになります。

電池容量の表記はkWhとAhの2種類があり、ちょっとわかりにくい。電気の仕事量がW(ワット)で電流Aと電圧Vをかけたもので、1時間当たりどれだけ使えるかを示したのがkWhです。一方、Ahは電圧は考慮されていません。例えば100Ahの電池から、10Aの電流を取り出す場合は10時間もつということになります。その時の電圧が100Vならば、10kWhの電池となり、100Wの規格の道具を100時間使用できることになります。

トヨタはAh表記が多いのですが、本来Ahは家庭で使う小さな鉛電池などに用いられるむもので、リチウムイオン電池ではkWh表記の方が望ましいようです。日産リーフの場合、リチウムイオン電池で総電力350V、総電力量40kWhと記載されていますので、単純に計算すれば114.3Ahとなり、プリウスPHEVの倍以上の電池容量となります。

エクリプスクロスPHEVは300V・13.8kWhとなっているので46Ah、CX-60PHEVは355V・17.8kWhで50Ahです。RX450h+では355.2V・18.1kWh・51Ahと記載されているので、プリウスPHEVと同等と想像します。bZ4Xは355.2V・71.4kWh・201Ahで、BYD ATTO3は390.4V・58.56kWhで150Ah。TESLAは詳しい諸元を公表していないのですが54~75kWhと言われています。

忘れてはいけないのが、電池の経年劣化の問題。BEVもPHEVもリチウム・イオン電池を使用していますが、使い込んでいくと充電量が次第に低下していくことは避けられません。充電方法と温度管理が大きく影響するわけで、スピーディに充電できる方法ほど電池に負担をかけますし、また電池を傷める発熱量も大きくなる。充電は100%と0%を繰り返すとより電池を傷めますので、30~80%の範囲で使用するのが良いと言われています。

もしも毎日フル充電と電池を使い切るような走り方をしていると、1000回の充電(約3年)で電池容量は90%程度に低下するといわれています。しかし、容量の半分程度を維持するような使い方なら、90%程度に低下するまでに5000回以上の充電が可能です。もっとも、満充電で500km走れるBEVなら、1000回の満充電で50万km走ることになるので、タクシーでなければあまり気にし過ぎない方が良さそうです。

最終的には総合的な航続距離については、やはり国土交通省基準の審査方法による「充電電力使用時走行距離」として公表されています。bZ4xは559km、リーフは322km、BYD ATTO3は470km、TESLA Model3は573kmです。例えば用賀から名古屋までの東名高速道路の総距離は346.7kmで、上りも下りも数十kmごとにSAなどに充電スポットが10か所程度設けられています。BEVの場合、ある程度満充電で出発すれば、そのまま走り切れるか途中で1回の充電で大丈夫という感じになります。

PHEVは普段使いを電気で走り、遠出の時はガソリンでも走るという使用法が想定できるわけですが、それでもプリウスPHEVは87km、RX450h+で86km、エクリプスクロスPHEVで65km、CX-60PHEVで74kmなのでまず問題はない。エンジンも使えば、理論上の最大連続走行可能距離はそれぞれ、1126km、1120km、865km、804kmとなり、うまくいけば首都圏から九州・北海道まで行けるかもしれません。

2023年12月29日金曜日

PHEVへの道 4 決定!!


車選びは何の制約も考えなければ、めっちゃ楽しい・・・のですが、現実は厳しい。最大の難関は予算。10万、20万で買えるわけじゃない。その10倍、いや数十倍は必要ですから、貯金と現収入を秤にかけて・・・

旧車なんですが、来年3月に次の7年目の車検が来るんです。さすがに5年過ぎると、あちこち傷んでいるところが目に付くようになりました。それでも、コロナ禍でけっこう厳しい状況になったのでもう乗り潰すかとも思ったのですが、たまたまディーラーの担当に、今どき新車は1年くらいかかるだろうと、無理を承知で来年の車検に間に合うなら買うよとか言ってしまいました。

そしたら担当ががんばっちゃった。キャンセル枠をおさえたんで車検に間に合います・・・って、テッテレ~と音楽が鳴り響くのを感じました。これも運命と言うものかと腹をくくって、「国民車」たるプリウスのPHEVを買うことに決めたというわけ。

なんでプリウスかというと、今までのはエクステリアが好きじゃなかったのですが、現行の60系のかっこよさは突き抜けています。ハイブリッド車を普及させるという目的が無くなって、完全に走らせたい車としてまったく新しく生まれ変わった感じがします。

何しろ今年のカー・オブ・ザ・イヤーに輝いたのも当然で、フロントガラスの傾斜角(車好きはAピラーの角度と言います)が21゜で、一般的な27゜よりかなり寝ている。そのため、ボンネットから自然に立ち上がるカーブが見事。ハンマーヘッドと呼ばれるトヨタの新しいフロント・マスク・デザインもインパクトは絶大です。

じゃあ、グレードは? 一番の決め手は安全装備の充実。さすがに若くはないので、トヨタのどんどん進化している安全装備は絶対に必要。他のメーカーと違って、あまり大々的な宣伝はしていませんが、他社と同等か場合によってはそれ以上のシステムがすでに搭載されています。となると370万円のHEVのグレードZが有力。これにさらなる機能が追加され、さらにPHEVとなったのがグレードZ PHEVで460万円で、その価格差は90万円。

現在、BEVとPHEVは国からエコカー補助金がつくのがポイント(HEVはつきません)で、これが55万円です。となると、実質的な差は35万円に縮まります。これは、他にもいろいろな要素はありますが、有用な追加機能を考えるとまったく悩む必要がない。

車の下取りは今はけっこう有利。全世界的に半導体不足で、新車の生産が滞り気味で、なかなか手に入りにくい。すぐに車が欲しいという人は、中古車に流れ気味で、中古車市場は上り調子です。

300万円くらいで購入した旧車は、以前の感覚ならもうじき7年だと下取り価格は数十万円。ところが、交渉の結果、何と、何と、100万円にしてくれました。というわけで、補助金が出る前提で、305万円という結果に大変満足しています。諸費用を入れて325万円くらいは、十分想定内でした。

普通に注文するとHEVで約1年、PHEVでも半年くらいの待ちなので、わずか3~4か月で納車されるというのは、待っている方には申し訳ありませんが、来年も頑張って働こうというモチベーションになりますね。

2023年12月28日木曜日

PHEVへの道 3 車選び


具体的にPHEVのタイプで車選びをするならば、ざっと見て現状で新車販売している日本製となるとおおよその価格順で次のようなものがあります。

トヨタ センチュリー
レクサス RX450h+
レクサス NX450h+
トヨタ クラウンスポーツRS
マツダ CX-60 PHEV
三菱 アウトランダー PHEV
トヨタ ハリアーPHEV
トヨタ RAV4 PHEV
三菱 エクリプスクロスPHEV
トヨタ プリウスPHEV

センチュリーは皇室が使うような別格の車ですから、一般人からすると真っ先に除外。思っていたより選択肢は少なく、驚いたのは圧倒的にSUVタイプばかりなこと。そうでないのはプリウスしかありません。もちろん、フェラーリとかポルシェとか、BMW、ベンツといった外国車も含めれば話は変わりますが、ちょっとお財布が・・・

PHEVが無い日産は、独自のe-POWERというシステムでラインナップを展開している。ざっくり言えばモーターで走るのですが、必要な電気はガソリン・エンジンで発電するというもの。エンジンでは走らず、ガソリン駆動の発電機を載せているBEVという感じ。当然、充電するという仕組みは無い。

モーター走行で、加速性は当然良いのですが、いわゆる「燃費」という考え方では特に優位性はありません。また、基本的にガソリン消費は必須となるので、未来的には否定される仕組みではないかと思います。

免許を取得して以来、基本的にトヨタ車を乗り継いできた自分としては、やはりトヨタ以外はよほどのことが無いと選択肢には入ってきませんかが、ある程度全体を見渡しておきましょう。

プリウス(2000cc)を除くと他はエンジンが排気量は2400~2500ccで、馬力もほぼ同じてすが、エクリプス・クロスだけはかなり非力。モーターはプリウスとCX-60はFFですが、他はリア・モーターも搭載されています。フロント・モーターはいずれも180馬力程度で同じで、リア・モーターは54馬力くらいというのも同じ。ただし、エクリプス・クロスだけはリアが82馬力でエンジンの弱さを補っています。オフロード走行を中心に使いたい方は、エクリプスは選択肢に入るかもしれません。

電池はいずれもリチウム・イオン50Ah程度で同じ。動力性能・電池性能に数字上では大きな差がなさそうに見えますが、燃費や電力走行距離はトヨタに一日の長があることはさすがというところでしょうか。プリウスを除くトヨタの5車種は、エンジン・モーターはまったく同一のプラットフォームになっています。タンク容量や電池溶量も同じなので、選択の基準は純粋にエクステリア、インテリア、安全装備などの差で考えるしかありません。

プリウスはHEVの元祖であり、PHEVについも本家本元であることは間違いない。最初は爆発的に売れた3代目(30系)で2012年に登場しましたが、エンジンは99PSの1800ccと82PSのモーターを使用し、電力だけで26.4kmまで走行できました。2017年にフルモデル・チェンジした40~50系では電池容量を増やして電力走行は68.2kmに向上しました。

2023年初頭に発売された現行の5代目(60系)では、もう燃費向上が主目的のような開発理念は一掃され、「Hybrid Reborn」のコンセプトのもと、まったく違う車と言ってもよいくらいの変更がなされました。今までのもっさりしたデザインを捨て、まるでスーパーカーかというくらいフロントガラスを寝かせ流麗な外見になり、燃費が落ちても走りの楽しさを感じられる内容になったと言われています。

価格としては三菱自動車は比較的安価ですが、一番安いのはプリウスの460万円。それでも同一グレードのHEVに比べて90万円上乗せされています。その他は諸費用込みで最低で600万円は超えますし、最も高価なRXは900万円超えですから、安々とは手が出せないというのが本音です。

2023年12月27日水曜日

PHEVへの道 2 自動車の充電方法


自分の場合、2012年以来、ハイブリッドカー(HEV)を運転しています。他の車の迷惑ならない程度に筋金入りの燃費オタクになっていると思いますが、もちろん、今更ガソリン車に戻るつもりもありません。

しかし、昨今の環境問題や最新技術などを考えると、いつまでもHEVでもないなということは感じています。かといって、完全に電気だけで走るBEVにするだけの勇気も無いというへたれなので、現実的な選択肢として次はプラグイン・ハイブリッド車(PHEV)を本気で考え始めました。

PHEVなら、電池容量が無ければ普通にHEVとして走ればいいわけですから、かなり気が楽というものです。とは言っても、せっかくなので、少しでも電気だけで走れる環境は用意したい。そこで解決しなければいけないのが充電方法です。

場所については自宅に充電できる仕組みを用意する方法と、充電スポットと呼ばれるパブリック・スペースを利用する方法があります。また、充電方法には、普通充電と急速充電がある。

PHEVは、遠出してすべて電気だけで走ると言う使い方は想定されていないので、基本は自宅で夜間に充電するのが基本のようです。充電スポットを調べてみると、例えば自宅から職場までの通勤路から無理なく寄れる場所としては数か所が見つかりました。ただし、普通充電か急速充電のどちらか片方に対応していて、基本的にPHEVの場合は普通充電のみのことが多い。

高速道路の大きなSAには充電スポットが設置されていますが、PHEVが使用すると、電気命のBEVドライバーからひんしゅくを買うと言われています。BEVからすれば、ガソリンでも走れるんだから時間がかかる充電の場所をPHEVに奪われるのは嬉しくないというのは理解できる。

充電スポットの利用は、基本的に会員登録と基本料などの支払いが必要になります。ある程度、全体を取りまとめて充電インフラを支えている感じなのが、e-Mobility Powerというところ。会員登録(登録料1980円)をして、急速・普通充電の両方を利用する(4180円/月)か普通充電のみを利用するか(1540円/月)のどちらかを選択します。使用するとその都度、急速なら27.5円/分、普通なら3.85円/分の料金が発生します。場所によっては、非会員でも利用できるスポットもあるようですが、当然使用料金は高額になります。

さて本命は自宅での充電ということになるわけですが、通常の家庭のコンセントはAC100Vです。一般的な自動車用の普通充電は200Vを使用します。また、充電中は多くの電流を消費しますので、普通の家電などに使っているコンセントと共用は厳しい。ブレーカーから専用線を用意する必要があり、それなりの専門的な電気工事が必要になります。

充電専用のコンセントだけを用意するのなら5万円程度、充電ケーブルまで含めて用意すると数10万円が必要と言われています。電池容量にもよりますが、PHEVならば普通充電でだいたい夜の間にフル充電が可能であることが多い。

時間がかかっても良ければ100Vでの充電も可能ですが、電流は少なくなりますので200Vの場合と比べて5倍以上の時間がかかります。Amazonなどで探すと100V対応のケーブルは2万円程度から4万円以内で、かなり安く済ませられます。ただし、漏電などのトラブル防止は必須なので確実にアースはとっておいた方がよさそう。

うちの場合は、家の中にあるブレーカーから駐車場まで10m以上あり、しかも駐車場がコンクリートで囲まれていて容易に工事ができそうもない。ただし、幸い駐車場内に100Vのコンセントは来ているので、何とかアースだけ確保すれば時間がかかっても100V充電はすぐに可能です。毎日電池を使い切るほど走ることはないと思うので、100Vでも毎日夜間充電できればPHEVの実用に支障はない・・・と思いたいところです(ディーラーで聞いたら100Vは遅いけどOKと言われました)。

2023年12月26日火曜日

PHEVへの道 1 エコカーの種類


自動車が走る基本的に仕組み・・・って、雑な理解としては、動力源で分類すると、従来からの一般普及しているのがガソリン・エンジン車、そしてディーゼル・エンジン車、そして21世紀になって急速にシェアを広げたのがガソリン・エンジン+電動モーター車、最近特に注目されるの完全電動の電気自動車、未来型の水素を利用する燃料電池自動車などがあります。

化石燃料を利用することは地球温暖化に大きな影響があり、排出するCO2ガス削減の取り組みは全地球規模で必須のものとして認識されている昨今ですから、少なくとも一般人が普段利用する自家用車については、できるだけガソリンを使わないエコな車にシフトしていることは当然と言えば当然のこと。

海外では電気自動車(BEV)の普及が急ピッチに行われている印象ですが、日本はとなると実に遅れている。新車販売台数のうち、半分以上がBEVとなったヨーロッパに対して日本はわずか3%程度。

最初に実用BEVを発売した日産でさえ、いまだにリーフ、アリア、サクラの3車種のみしかありませんし、ましてや日本の車産業の頂点に君臨するトヨタに至ってはbZ4Xの1台のみ。最近になってLEXUSブランドからUX300e、RZ450eの2つが追加されました。スバルもbZ4Xと同一車体のソルテラだけですし、ホンダもミニカーみたいなHonda eのみです。マツダはMX-30のBEVモデルの1種。世界初の量産型BEVだったi-MiEVを送り出した三菱自動車も、今では軽自動車大2車種だけです。

いろいろな理由が言われていますが、日本の場合、トヨタのガソリン・エンジン+電動モーター車(ハイブリッド車、HEV)の先駆けとなったプリウスが「国民車」並みに普及したことで、使い勝手が良いHEVが浸透してしまったということ。そのHEV総本山のトヨタは、燃料電池自動車(FCV)の開発に重点を置き、BEVに積極的でなかった点が大きいように思います。

確かに水素燃料はCO2ゼロに対しては現状での最善の解決策なのかもしれませんが、トヨタがいくら頑張っても、先に水素ステーションのインフラが整わなければ絵に描いた餅みたいなもの。ガソリンスタンド並みとは言いませんが、自分のテリトリーに数か所のステーションが無ければFCVに乗ろうとは思えません。

次の理由は、FCVは当然のこと、BEVの値段が高いということ。そして、毎日の生活に使うだけでよいという距離だけ走れれば良いなら許容範囲だとは思いますが、遠出をするとなると数百km以上続けて走れないと、BEVで旅行なんて怖くてできません。最近の車種は、やっとそのレベルになってきたので、実用性は高まっていることは間違いありません。

ユーザー側からすると、基本的に自宅で充電というのが理想ですが、日本の住宅事情を考えると、簡単に充電設備を整えられるのは戸建住宅のみです。しだいに増えつつあると言っても、パブリックの充電施設は十分とは言えませんし、またガソリンなら数分で満タンなのに対して充電時間は最低でも30分かかり、それにかかる費用もガソリンよりも高くなることも普及を遅らせる要因の一つです。

現状の自動車用の電池はニッケル水素電池かリチウムイオン電池の二者択一ですが、どちらも一長一短なので、そこで特に期待するのはトヨタが力を入れている全固体電池の実用化です。全個体電池は安全性・容量などを格段に改善できると言われており、BEVに搭載されれば、様々な使用上の不安は払拭されると思われます。

となると、現状でのよりベターな選択肢の一つにあげられるのがプラグイン・ハイブリッド車(PHEV)でしょう。HEVでは電池走行はせいぜい数kmで、実質的にはガソリン・エンジンのあくまでもサポートという位置づけです。PHEVは通常のHEVよりもより大きな電池容量を搭載するもので、数年前までは電池だけで数十kmまでは走れるのでちょっと買い物くらいならBEVみたいに使用できるというのが謳い文句でした。

しかし、最近のPHEVは違います。100km近くBEVとして走れるものが普通になってきたので、毎日夜に充電していれば確実に日常使いでエンジンが動くことは無くなりました。電池容量を使い切れば、通常のHEVとして走り続けられるので遠出も安心です。ただし、より大きな電池を積んでいるため、車体重量が増え同型のHEVに比べると燃費は落ちてしまいますし、当然価格も高くなる。

まぁ、だいたいこれくらい整理しておけば、それぞれの特徴を大掴みできたかなという感じです。自分のライフスタイルと照らし合わせて、より地球環境にやさしい選択をしていくことが大事というまとめになるかと思います。

2023年12月25日月曜日

ローストチキン


昨日はクリスマス・イブ。イエス・キリスト生誕前夜祭ということで、キリスト教徒でなくても、何となく美味しいものを食べて飲みたくなるというものです。

定番のメニューはローストチキン。そもそも、キリスト教徒がアメリカに渡り開拓を始めた時代に、お祝い宴にに欠かせない豚や羊が手に入りにくいため七面鳥(ターキー)を食べるようになったのが始まり。現代では七面鳥も入手しにくいので、広く出回っている鶏になったということ。

スーパーに行くと、山ほど出来上がったものが売られています。もちろん、それがダメとは言いませんが、自分で作った方が出来立ての美味しさは何十倍にもなるというもの。

こどもたちが家にいた頃は、丸ごと1羽で作ったことはありますが、年寄二人では脚1本づつで十分すぎる量になる。

そんな面倒なことと思うかもしれませんが、工程は2つだけで実働10分程度でとっても簡単です。

大きめのビニール袋に、お好みで塩・こしょう・ニンニク・醤油・砂糖を入れます。量は適当ですが、塩と砂糖は少な目でおおさじ3~4杯分くらいにして、あとは2~3倍分になるように水を足しておきます。

その中に鶏肉をいれて空気を押し出すようにして入り口を結んだら数時間放置。あとはオーブンで焼くだけ。予熱して250゜で20分焼いたら出来上がり。うちのオーブン・レンジは、やや表示より実際の温度が低い印象があるので、230゜くらいでも良いかもしれません。

皮はパリパリ、中身はジューシー。下手なタレントの食レポみたいですが、めちゃめちゃうまい。まぁ、毎年のことですから、去年もほとんど同じ内容を書いてます。

オーブン機能があるのにレンジとしか使ったことが無いというあなた、そうあなた。ついにオーブン・デヴューするなら、これが一番簡単ですから、是非今夜作りましょう。

2023年12月24日日曜日

We wish you a merry Christmas


中世から伝わる定番のクリスマス・キャロルのひとつに「おめでとうクリスマス」という曲がありますが、むしろ英語のタイトル「We wish you a merry Christmas」の方が通りが良いかもしれません。

イエス・キリストが誕生した12月25日とその前夜祭にあたる24日を祝うのは、キリスト教を信じる者にとっては最も大事なイベントです。カトリックであろうとプロテスタントであろうと、イブは「大晦日」でクリスマスが教会歴の1年の始まりです。

この後に続くのは「・・・and a happy new year」で、キリスト教圏で新年の事まで喜ぶのは珍しい。そのかわり、新年を中心に考える日本では、受け入れやすい感覚なのかもしれません。

電球の頃は発熱によって木が傷むということで、一度下火になりましたが、LEDの普及により最近はど派手なイルミネーションがあちこちで復活して話題になります。

たまプラーザ駅近くの大きな公園には、けっこうな巨木(高さ40mくらいはありそう)がありますが、しっかりと電飾で飾られていました。

やたらとあちこちがキラキラ光っているより、デーンと一本だけ輝いているのは、むしろ存在感を際立たせているようで目を引きます。

皆様、良いクリスマスをお過ごしください。



2023年12月23日土曜日

カプセル・コーヒーでお好みの味を楽しむ

まぁ、うちではコーヒーをキューリグを使っているんですが・・・キューリグと言っても知らない人が多いとは思いますが、簡単に言うとカプセル・コーヒーの一つ。挽かれた1杯分のコーヒー粉が、円筒の中に封入されていて、セットしてスイッチを押すとお湯が出てきてドリップしてくれる。

ペーパー・ドリップなどに比べれば、カプセルは当然割高ですが、後片付けがいらないし、タンクに水さえ入っていればすぐ飲めるという便利さはなかなか捨てがたい。

ただ、日本でスタンダードなのはUCCが出していますが、カプセル1個で100円くらいするし、Starbucksのようなブランド物だと数百円することもあるのが悩み。そこで、ネットで最も廉価(約60円/個)なコストコ・ブランドのKirklandばかり使っています。

そうなるといろいろな豆の味わいを楽しめないのがつまらない・・・という時に活躍するのがこれです。好きな挽豆を入れて、何度も再利用が可能というコーヒーポッド。ステンレス製で、側面と底が細かい網になっていて、蓋を取ると標準量の10g程度を入れることができます。

いいことづくめのようですが、うちのマシーンで使用するとごくわずかに高さが足りないのか、普段は手放しでOKなのに、これを使う時はしっかり押し続けていないと行程が止まってしまいます。それと、何か水っぽい薄い味になってしまうのが最大の問題点。そもそも使用すると洗う手間が増える。

しょうがないので、セロハンテープで側面の網部分をふさいでみました。まぁ、これなら何とかいけるかなという感じ。でも、結局、普通に売っている挽いた豆の値段が150gで800円くらいしますから、結局10g使えば50円以上になるので、Kirklandでがまんしようと言うことになってしまうのでした。

2023年12月22日金曜日

オムレツ


言わずとも知れたオムレツは、すでに日本では家庭料理の一つになっているもの。各家庭で、それぞれ「母の味」みたいなものができているように思います。

明治から日本に導入され、ひき肉と玉ねぎを炒めたものを間に卵焼きの間に挟むというのが定番化して、各家庭によって、ジャガイモ、ニンジン、グリーンピース、あるいはいろいろな野菜などを追加していることと思います。

そもそも、フランス料理の一つで、語源は諸説あるようです。16世紀ごろ、剣を意味するギリシャ語由来のオムレットからきているというのが有力。男性(homme)と素早い(leste)が合わさったという説もあって、作る時の料理人の動きから考えられたのでしょうか。

基本となるのは何も入れないプレーン・オムレツで、洋食シェフにとってはこれをきっちり作るのは基本中の基本だと思いますが、素人がやるとなかなかうまくいかないもの。シンプルな素材だけに簡単そうで難しい。

まぁ、食べれば一緒と割り切って、形は気にせずいろいろな中身を入れて楽しむことに徹するのが精神衛生上よろしいかと・・・

なので、出来上がりは見せられません。中に入れたものの紹介。

年末が近づくこの時期、冷蔵庫の整理は必須。中途半端に余ったものなどを消費して、正月用品のための隙間を作らないといけません。

そこで、今回は溜まっていたベーコン、インゲン、冷凍コーンなどをいっきに消費しました。バターで炒めて薄めに塩・コショウで味付けしています。

ケチャップかけて、普通に美味しくいただきました。

2023年12月21日木曜日

シクラメン


シクラメンは英語でも「cyclamen」ですが、「豚の饅頭」という何ともユニークな別名もあったりします。

贈っても頂いても喜ばれるし、飾っても見栄えがするので、なかなか重宝します。安いものから高いものまでいろいろありますが、やはり見事さは値段に比例します。

これはスーパーの店頭で売っていたもので、何と500円・・・なんですが、見た目は2000円くらいのボリュームがあるのでお買い得品でした。

昭和人としては、この花の名前が知れ渡ったきっかけが、1975年にヒットした布施明の「シクラメンのかおり(作詞・作曲 小椋佳)」でした。

恋しい人をも真綿色(清しい)、薄紅色(まぶしい)、薄紫色(寂しい)と例える歌詞もグっときたんでしょうが、あえて一番よくみられる深紅をはずしているところが小椋佳のうまいところなのかもしれません。

鼻を近づけて香りを嗅いでみた・・・・ 。。。 、、、 う~ん、匂わないや。

2023年12月20日水曜日

セブンのおにぎり 21


今回見つけた新発売はこれ。

「チキンライス」は何も説明はいらない。まさにケチャップライスです。

チキンライスという割には、チキンの塊感はあまり無いところが、やや不満を感じるところですが、120円という価格的にはお財布に嬉しい方なので良しとしましょう。

それよりは目玉は「枝豆ベーコン」です。

バター醤油仕立てとありますので、もう味はあらかた想像できるというもの。実際、食べると裏切らない味ですから、安心して手に取れる。

めちゃめちゃ美味しいとまでは言いませんが、そこそこ美味しい。何よりも、チキンライスよりも安い110円というのが今どき頑張ったという感じ。

ベーコンは味だし用にみじん切りになったものが入っていて、具材としての存在感はあまり無い。

その代わり、食感を補っているのが枝豆で、大小10粒くらいは混ざっている感じでしたので、ケチケチ感はありませんでした。

2023年12月19日火曜日

アルコール無しワイン


ノン・アルコール飲料がずいぶんと増えましたが、これも時代の要請と言うもの。特に飲酒運転は、今の時代では完全OUTです。

アルコールを廃した酒類の代表はビール。他にもテレビで宣伝しているものとしては梅酒などもよく知られていますが、ワインでもあるんです。

今回は正月用に用意したワインの1本をノンアルコールにしました。しかもスパークリング。

まあ、シャンパンの代わりの代わりというところなんですが、商品名としては「脱アルコール白ワイン」と書いてあります。

ブドウ品種はシャルドネを選択。だいたいシャルドネにしておけば、はずれは少ない。

ワインを作ってからアルコールを除くようです。面白いのは普通のワインと違うのは消費期限があることで、これも「2027年2月」と記載されています。

実はまだ飲んでいないので、味についてはわかりませんが、これからはますますニーズが高くなっていくのだろうと思います。

2023年12月18日月曜日

風と共に去りぬ (1939)

ハリウッド映画、いや世界中の映画の中でも金字塔と言える作品。アカデミー賞では、作品賞・監督賞・主演女優賞・助演女優賞・脚色賞・特別賞・技術効果賞を受賞。

最初のカラー映画は1932年のディズニーの「花と木」で、長編映画としては1935年の「虚栄の市」が始まりです。この作品は、そういった初期のカラー作品としても、十分に色彩の見事さを再現したことは驚嘆に値します。

製作は当時のハリウッドの大親分であったデビッド・O・セルズニック、監督はヴィクター・フレミング。原作はマーガレット・ミッチェルで、南北戦争と共に白人の権威が「去っていく」ことを描いています。

前後編に分かれ、全部で222分という長尺の映画でしたが、壮大なストーリーが人々を魅了し大ヒット。初公開から85年ほどになりますが、いまだに色あせない魅力が詰まった作品です。

南北戦争直前の時代。アメリカ南部の農園主の娘、スカーレット・オハラ(ヴィヴィアン・リー)はアシュレー・ウィルクス(レスリー・ハワード)が好き。しかし、アシュレーは、従妹のメラニー・ハミルトン(オリヴィア・デ・ハヴィランド)と婚約し、それを知ったスカーレットは激しく周囲にあたるのですが、その強いところに引かれたのがレット・バトラー(クラーク・ゲーブル)でした。

スカーレットは当てつけにメラニーの弟であるチャールズ(ランド・ブルックス)と結婚しますが、チャールズは南北戦争に出征し亡くなり、若くして未亡人になってしまいます。そんなスカーレットに接近してきたのが、不躾な態度をとるレットでした。

しかし、北軍が迫り陥落寸前のアトランタからレットに助けられ脱出したスカーレットは、故郷のタラに戻るもののそこは荒廃し、スカーレットは生きるために人に何を言われようとがむしゃらに行動するのでした。

最初は嫌っていたレットの再婚したスカーレットでしたが、次第にそれぞれの心は離れていく一方でした。多くの者を裏切り失ったスカーレットが、本当の自分の気持ちに気がついたときは、時すでに遅かったのです。

一番有名な台詞は、ラスト・シーンでレットに去られて失意のスカーレットが言う「明日は明日の風が吹く」で、今ではほとんどことわざのように知られ、その語源がこの台詞とも言われています。もっとも、正確には「Tomorrow is another day (明日は別の日)」ですから、翻訳した方がうまかったということ。今では、「また明日が来るわ」などの別の訳し方も使われています。

昭和人はまず見てない人はいないと思いますが、平成人はどうなんでしょうか。古い映画ですが、まったくそれを感じさせない映像は素晴らしい。もちろん、その後に多くの名作が登場してる映画界ですから、ランキングの最上位とは言えませんが、少なくとも一度見ておくべき映画であることは間違いありません。

2023年12月17日日曜日

2023年総決算


12月も半分終わっていて、令和5年、2023年という年もあとわずか。

今年も世界中でいろいろな記憶に残ることがありました。相変わらず、ロシアのウクライナ侵攻は継続しており、当初短期戦と考えられていた戦争は長期化し、当事者以外の注目度が下がりつつあることは否定できません。

日本では2月に日銀総裁が交代し、アメリカと逆を行く黒田氏のゼロ金利政策が植田新総裁も継続。しかし、一市民としてはその効果は感じられることはなく、ウクライナ危機に端を発する物価高騰は世界経済に大きな影響を与え続けています。

3月はWBC。何と言っても、不景気の中、大谷選手を中心に侍JAPANの活躍は目を見張るものがありました。スポーツの国民的娯楽の王座をサッカーに取って代わられた感がある野球ですが、あらためて野球の面白さが再確認されました。

2020年初頭から始まったコロナ禍は、約3年間続き、新型コロナウイルス感染症は5月にインフルエンザと同等の5類扱いとなりました。当初の病原性はだいぶ弱まりましたが、ウイルスが消えたわけではありませんので、危機感が一気に薄れてしまったことは医療に従事する者としては困惑を隠せません。

夏に大いにニュースになったのは、中古車販売のBIG MOTORの不正問題。連日、旧態然としたハラスメントが横行する会社の実態が報道され、不正請求により消費者も国側も被害を受けたにもかかわらず、いまだに刑事事件として立件されていない(?)にもかかわらず伊藤忠商事による再建案とかが出てくるのはどういうことなんでしょうか。

そんな話題をさらってしまったのが日本大学とジャニーズ問題。日大のアメリカンフットボール部員が大麻・覚醒剤使用で逮捕され、歴史のある部はついに廃部が決定しました。日大経営陣の不協和音もクローズアップされました。

長年囁かれていたジャニーズ事務所創業者、ジャニー喜多川氏の性加害問題は、外国のジャーナリズムにより公のものとされ、事務所への忖度にまみれていた日本のメディアもついに取り上げざるを得なくなりました。9月にはついにジャニーズ消滅が発表されたことで、日本の芸能界の地図は大きく塗り替わろうとしています。

10月に世界に衝撃を与えたのは、イスラエルのガザ地区への進攻。パレスチナ側の敵対するハマス掃討のためとはいえ、民間人にも大きな犠牲を出しているイスラエルに対して非難が強まっていますが、対照的にアメリカの親イスラエル姿勢が鮮明化しています。

明るい話題になったのは、またもや大谷翔平選手。日本人としてはメジャーリーグで初めてホームラン王となり2度目の年間MVPを獲得。そして、FAとなった大谷選手の獲得を巡ってオフシーズンの主役として、日本だけでなく本場アメリカでも連日話題で盛り上がりました。来年からはドジャーズの一員としての活躍を期待しています。

今年はミュージシャンで亡くなった方が多かったように思います。1月にはジェフ・ベック、高橋幸宏、鮎川誠、2月にはバート・バカラック、4月には坂本龍一、ハリー・べラフォンテ、5月にはティナ・ターナー、7月にはジェーン・バーキン、10月には谷村新司、もんたよしのり、11月には大橋純子などなど・・・自分たちの世代には慣れ親しんだ方々が去っていったことは残念としか言いようがない。

個人的にはほんどニュースは無い一年でした。コロナ禍で患者数が激減しクリニック経営としてはかなり厳しい時期を乗り越えたとは言え、以前のような患者動向にはなかなか戻るものではありません。できることを粛々と継続していくしかありませんが、それが患者さんからの信頼と経営の安定化につながると考えるしかありません。

生まれて初めてということが一つあります。当直バイトもしなくなり、コマゴマとした臨時収入もなく、ふるさと納税もしなかったので、収入はクリニックだけ。初めて確定申告をせず、年末調整だけで終わったというのは、ちよっと不思議な気分です。

趣味的なことでは、今年はまずイタリアン・バロックにはまり、そして春以降は映画三昧。最近の活躍している俳優さんを中心に邦画をいろいろ見ましたが、古いものにも見逃していたものが多々ありました。そちらにも手を出していたら、洋画にもしだいに範囲が広がり、さずかに100年以上の歴史がある映画の世界はまだ底が見えてきません。

12月にクリニック開院から19年目に突入しましたが、当然20年、25年、その先まで継続できるように努力をつづけるしかありませんね。

2023年12月16日土曜日

セブンのおにぎり 20


今度は「牛めし」です。

簡単に言えば、牛丼をおにぎりにしたもの。コンビニの牛肉おにぎりとしては、焼肉系と共に人気があるもの。

開封すると、少しごぼうの香りがしました。そういうところは、牛丼と言うよりもすき焼きの方が近いかもしれません。

ご飯の味付けは薄め。中心に牛肉しぐれ煮が入っています。まぁ、予想通りの味で、可もなく不可もなくの出来栄えというところ。

監修しているのは柿安とありますが、柿安は松坂牛を中心にした老舗精肉店。他にも料亭、レストランなどを展開しているプライドもあるでしょうから、一定の評価をしての「監修」ということでしょうか。

寒いときは、ちょっと温めてから食べたいと思いました。

2023年12月15日金曜日

第三の男 (1949)

見たことは無くても、タイトルを聞いたことが無いという方はまずいないくらい有名な映画。映画のオールタイム・ランキングではいまだに必ず上位に登場します。

監督はイギリスのキャロル・リード。音楽はアントン・カラスのチター演奏で、テーマ曲も大変よく知られています。チターはオーストリア、スイス付近で使われる琴とギターを混ぜ合わせたような35本ほどの弦を弾く楽器です。脚本はグレアム・グリーンで、映画公開後にノベライズを出版しています。

製作は、ハリウッドで当時飛ぶ鳥を落とす勢いのあったデビッド・O・セルズニックで、クライム・サスペンスなのですが、舞台をウィーンにしていることもあってか、フィルム・ノワールという枠を超えてしまった作品。しかし、白黒の陰影を強調した映像は特徴的です。アカデミー賞では撮影賞、カンヌ映画祭ではグランプリを獲得しました。

大戦後、ウィーンは米英仏露による共同統治が行われていました。そこへ売れない西部劇作家のホリー・マーチンス(ジョゼフ・コットン)が、友人のハリー・ライム(オーソン・ウェルズ)の招待でやってきます。しかし、前日にライムは自動車事故で亡くなっていて、葬儀に参加していたキャロウェイ少佐(トレヴァー・ハワード)から、ライムは殺しも辞さない密売人だと教えられます。

ホリーはライムの友人だというクルツ男爵から連絡を受け会うと、男爵は事故の時一緒にいて、その時の模様を話してくれました。もう一人、ルーマニア人のポペスコという男も一緒にいて、ホリーの世話を頼むと言われたと話すのでした。また、事故を起こしたのはライムのお抱え運転手であり、葬儀の時にいた女性、アンナ・シュミット(アリダ・ヴァリ)はライムの恋人だと聞かされます。

ライムの死を不審に思うホリーはアンナと、事故を目撃したライムのアパートの管理人に話を聞くと、事故直後にライムを道の端に移動させたのはクルツとポペスコ、そしてもう一人の謎の男だと言いますが関わるのは御免だと言います。アンナがアパートに戻ると警察が家宅捜査をしていて、アンナのパスポートを没収し連行するのです。

古い映画で、名作の誉れが高いので、もう語り尽された感がありますので、いまさらここでとやかく言ってもしょうがない。基本的には暗黒街の犯罪を扱っていて、名作だからといって難しいことはありません。ただし、ストーリーは多少入り組んでいて、一回ですーっと頭に入るかと言うとそうでもない。

そこらあたりは、フィルム・ノワールの特徴と言えばそれまで。基本的には悪女が出てきて主人公を翻弄するか、そうでなければ男の友情と裏切りというのが、フィルム・ノワールの真骨頂ですから、いずれにしてもそう簡単にストーリーが組み立てられているわけではないということです。

今となってはよくあるシーンですが、観覧車を使ったスリルとか、地下水道を走り回るサスペンスとか、並木道を女が一人で歩く俯瞰のカメラワークなどは、この映画で使われたのが最初ですから、いずれもまさに元祖名シーンのオンパレードです。

特に注目したいのは、セット撮影の屋内のシーンと違い、屋外は戦後すぐのウィーンの様子をとらえており、記録としても大変貴重なものになっています。

2023年12月14日木曜日

セブンのおにぎり 19


いつも新作おにぎりを紹介していますが、鮭・たらこ・梅・昆布などの古典的定番となっているものは別として、セブンイレブンが始めた新作物の中にも完全に定着したものがあります。

その代表的なものがこれ、「炙り焼きソーセージ」です。おそらく、一番よく買うかもしれません。

たぶん、初めて登場したのは、90年代半ばだったと思いますが、おにぎり大の直径があるボロニアソーセージの厚切りスライスが乗っていて、真ん中にはマヨネーズが仕込んであります。そしてライス部分は、絶妙なコショウが利いていて、それらを海苔の帯でとめてあるというもの。

初めて食べた時は感動物でした。おにぎりという概念を変えたと言ってもよいくらい、革新的な商品だと感じたことを覚えています。

今ではほかのコンビニにも似たような商品がラインナップされていますが、セブンイレブンに勝るものは無いと断言できます。

ただし、一時、原材料費を抑えるために海苔を無くしていましたが、たったこれだけの海苔ですが、有ると無いのでは大違い。また、数年前には、明らかにつなぎを増やしたスカスカのソーセージになっていた時期もありましたが、これもアウトです。

多少、値上げされても、この形は死守してもらいたい一品です。

2023年12月13日水曜日

クリスマス・シーズン到来


クリニックでは・・・こういう時、せっせとブログを書いていると便利なもので、過去の記事を調べると、2008年に最初に登場してから今年で16回目になるのですが、ちょっとだけお菓子を添えたサンタクロースの折り紙を来院した方に差し上げています。

2か月くらい前からスタッフ総出(院長含む!!)で折り紙を折り始め、ひげやリボンをつけて、400個を用意しました。何度か追っているスタッフの腕も格段と進歩して、みんな実にじょうずに早く折れるようになりました。

去年からマイナカードの読み取り機を置いた関係で、受付カウンターが手狭になり、サンタの人形に折り紙を持ってもらうようになりました。

その分、並べてある数が減ってしまい、いろいろな色から好きなものを選んでもらったりはできませんが、中には、毎年楽しみにしているという方もいらっしゃるのようなので、数があるうちにお渡しできればと思います。

2023年12月12日火曜日

ボギー! 俺も男だ (1972)

もともとはウッディ・アレンが1969年に書き下ろした舞台劇が原作で、アレン自ら脚本を書き映画化したもの。ハンフリー・ボガートに憧れる不器用な男を主人公にしたコメディ。

アレンはユダヤ系の生粋のニューヨーカーで、神経質なロマンチストというイメージですが、すでに監督としても評価されていたにもかかわらず、ここでは名匠ハーバート・ロスに監督は任せています。とは言え、アレンのカラーを重視したのか、映画はアレンのに匂いがプンプンする出来です。

アラン(ウッディ・アレン)は、映画評論家。ハンフリー・ボガートに憧れ、「カサブランカ」をしょっちゅう見ては、ボギー(ハンフリー・ボガートの愛称)と自分を比較しています。時にはボギーの幻(ジェリー・レイシー )が登場して、ああしろこうしろと言い出す。行動派の妻ナンシーは、そんなアランに愛想をつかして離婚。

友人のディック(トニー・ロバーツ)と妻のリンダ(ダイアン・キートン)は、そんなアランを心配して、いろいろと女性を紹介しようとしてくれまが、どんな女性でもかっこつけてしまい空回りするアランなので、まったく話が進展しない。

ディックは仕事人間で、絶えず自分の居場所の電話番号を会社に事細かく連絡するような男。リンダはアランと一緒にいると、次第に心が休まるのを感じます。アランもリンダの前だと、自分を飾らず素直になれるのです。

ボギーの幻もアランをたきつけ、アランは次第にリンダに惚れてしまった自分に混乱します。ボギーの幻はディック主張中にやったきたリンダをモノにしろとアランを煽りまくるのですが、離婚した妻の幻が登場して「彼をほっといて」と言ってボギーの幻を撃ち殺してしまいます。

しかし、アランはドタバタの混乱の中でリンダと夜を共にしてしまうのです。しかししだいにアランは罪の意識にさいなまれ、ディックもリンダに男ができたかもしれないとアランに相談します。再び現れたボギーの幻は、今度は粋な別れ方を指南するのでした。

基本的に「カサブランカ」のパロディ的な要素が強く、冒頭のタイトル、スタッフロールの間の約5分間はカサブランカのラストシーンがそのまま使われています。当然タイトル(Play it Again,Sam)も「カサブランカ」の中で、イングリッド・バーグマンの台詞、「Play it once, Sam」からとられたもの。

結末も予想通り「カサブランカ」に準じていて、オチは最初から想像できてしまうわけですが、そこへ持っていくための展開がうまく、さすがアレンという出来になっています。

登場するボギーの幻は、終始ボルサリーノ帽にトレンチ・コートというボガートの代名詞のようないで立ち。演じるジェリー・レイシーは、他には目立った活躍はしていない俳優ですが、声色は似ている印象です。彼を含めてダイアン・キートン、トニー・ロバーツは舞台でも同じ役を演じました。

70年代はベトナム戦争の影響もあってアメリカが病んでいた時代と言えますが、アレンの映画の登場人物は、いずれも精神科医を主治医に持ち、アスピリンをはじめとするさまざまな薬漬けになっているのがステータスのように描かれます。アランはまさにそんな一人で、ウッディ・アレンそのものを地で行くような役柄なのかもしれません。

2023年12月11日月曜日

さらば愛しき女よ (1975)

探偵フィリップ・マーロウが登場する2作目の長編で、レイモンド・チャンドラーの小説「Farewell, My Lovely(1940)」の映画化。40年代に2回映画化されているので、今作は3回目。「ロング・グッドバイ」を製作したエリオット・カストナーが製作総指揮を担当し、監督はディック・リチャーズ。

マーロウを演じるのは名優ロバート・ミッチャム。「ロング・グッドバイ」は70年代の今風にアレンジされていましたが、今回は原作通りで、戦前のロサンジェルスが舞台で、ちょいと年老いたマーロウを渋く描いています。

フィリップ・マーロウ(ロバート・ミッチャム)は、刑務所から出てきたばかりだというムース・マロイ(ジャック・オハローラン)という粗暴な大男から、昔の恋人ヴェルマ・ヴァレントを探すよう依頼されます。マロイは、ヴェルマが働いていた飲み屋にマーロウを連れて行きますが、そこは今は黒人の店になっていて、店主を殺してしまい姿を隠してしまう。

マーロウは店の向かいの宿に住んでいる、かつての店のバンドマンから、当時の店主の妻、ジェシー(シルヴィア・マイルズ)の居所を知り訪ねます。ヴェルマの写真を手に入れ、たどっていくと簡単に見つけることができましたが、彼女は廃人になって病院に入院していました。

リンゼイ・マリオット(ジョン・オーライリー)と名乗る男が事務所に来て、頼まれて盗まれた翡翠を買い戻す大金を持ち歩くので護衛してほしいと依頼してきます。指定された場所に行くとマーロウは殴り倒され、気がつくと警察がいてリンゼイは殺され大金も消えていました。

マーロウは翡翠コレクターとして有名なグレイル元判事を訪問し、若く美しい妻のヘレン(シャーロット・ランブリング)がマリオットを雇ったことを知ります。さらに女ギャングのアムソー(ケート・マータフ)に拉致され、マロイの居所を聞かれ監禁されます。そこにはバンドマンの死体もありましたが、一味の内輪もめのどさくさに紛れて逃げ出しました。

元検事で今は裏稼業に勤しむブルネットからも、マロイの居所を聞かれ、マーロウはさらに銃撃され命を狙われます。ジェシーに尋ねると、本物のヴェルマは別人で生きていると言い、マロイに連絡させると約束しました。

連絡してきたマロイを連れて待っていると、電話がかかって来てマロイは約束の場所に出向きますが、殺されそうになりなりマーロウに助けられ再び姿を消します。警察に事情を隠せなくなってきたマーロウは、刑事をジェシーの家に連れて行くと、すでにジェシーも殺されていたのです。

マーロウがしきりにジョー・ディマジオの連続安打記録を気にしているので、これは1941年の話。こちらは、戦前のアメリカの雰囲気が色濃く画面を彩ります。マーロウの一人称で進む小説の形式を踏襲して、ミッチャムのけだるいナレーションから入るのも原作を大事にしているポイント。

ただし、マーロウとマロイの出会い方などは変更してあり、まずはマーロウがどんな探偵なのかを印象付ける前説的な短い事件からスタートします。また、ブルーネットの役割も拡大しているようです。

原作に忠実なマーロウという意味では、ハンフリー・ボガートは背が低いけどカッコよすぎ。ロバート・モンゴメリーは印象が薄く、ジェームス・ガーナーは、しょぼくれ過ぎ。いろいろなマーロウがいてよいわけですが、ロバート・ミッチャムは、最も「らしい」感じがして好感が持てますし、現代風ならエリオット・グールドが素晴らしいという結論です。

ロバート・ミッチャムは、1978年にボガートの「三つ数えろ」のリメイクである「大いなる眠り(1978)」でもマーロウ役を演じています。

2023年12月10日日曜日

ロング・グッドバイ (1973)

1953年に発表されたレイモンド・チャンドラー原作の探偵フィリップ・マーロウが活躍する6作目の長編、「長いお別れ(The Long Goodbye)」が原作。マーロウを演じるのは二枚目になりきらない役が多いエリオット・グールド。監督は「M★A★S★H (1970)」のロバート・アルトマン。

マーロウ(エリオット・グールド)が夜中に飼い猫に餌を与えていると、友人のテリー・レノックス(ジム・バウトン)が訪ねてきて、理由も言わずにこれからメキシコのティファナまで車で送ってくれと言い出します。

朝になってマーロウがアパートに戻ると刑事たちがいて、殺人事件の容疑者の逃亡幇助の罪で彼を無理やり連行し尋問します。テリーの妻が殺されたのでした。しかし、数日後、テリーが死んだので用は無いと釈放されます。 

街に戻るとマーロウは、アイリーン・ウェイド(ニーナ・ヴァン・パラント)から失踪した夫の人気作家であるロジャー(スターリング・ヘイドン)の行方を捜してほしいと依頼されます。ウェイド家を行くと、そこはテリーの家のすぐ近くでした。アルコール依存症のロジャーが、ベリンジャー医師(ヘンリー・ギブソン)の療養施設にいるところを発見したマーロウは、彼を連れて帰ります。

再びアパートに戻ると、今度はギャングのマーティ・オーガスティンが待ち受けていて、テリーが自分から盗んだ大金の在りかを探せと脅迫される。後をつけていくと、彼らはウェイドの家に向かい、アイリーンと何か言い争いをしているところを目撃します。

マーロウは郵便でテリーからの「お別れだ。すまない」という短い遺書のような文面と5000ドルという高額紙幣の入った郵便を受け取ります。マーロウはメキシコに行き、テリーが銃で自殺したと聞かされますが、持っていた荷物が亡くなっていることに気がつくのです。

例によって、マーロウ物はあらすじを書いてみても、何が何だかよくわからない。断片的な複雑なエピソードが小出しに出てきて、最後の最後につながってくる。ですから、小説として読むにはかまわないのですが、映画としてはそれなりの辛抱が必要です。

そこが我慢できれば、このキャラクターは大変に魅力的。特にエリオット・グールドのフィリップ・マーロウは、70年代風に描かれていますが、実に面白くてどこか懐かしい感じがします。何故かなと考えていたら答えがわかりました。

この映画のマーロウは、アクションを省いた松田優作なんです。ヨガと瞑想にふける変わった隣人の美女たち、ちょっとコメディ要素を持ったギャング。警察に対しては非協力的で、お金よりも独自の正義のもとに行動し、必要ではあれば違法なことも気にしない探偵。これって、松田優作主演の「探偵物語」の工藤俊作のイメージにそっくり。実際、松田優作はこの映画のファンだったらしい。

ネオ・ノワールと呼ばれる範疇のアメリカ・ニューシネマの一本という位置づけになります。皮肉たっぷりのしゃべり方をする「負け犬」っぽい主人公が、悪女的な女性に翻弄されるようで、最後は真実に到達し勝利する。しかし、その勝利には自分以外には何の価値も無いという、時代を色濃く反映した仕上がりが絶妙です。

オーガスティンの部下の一人に無名時代のアーノルド・シュワルツェネッガーが、唯一の武器であるムキムキ・ボディを武器に登場しているのも楽しみの一つです。村上春樹も大絶賛したこの映画は、最も成功した原作に縛られないマーロウ物と呼んでも差し支えありません。

2023年12月9日土曜日

セブンのおにぎり 18


おっと、またまた高級そうなネーミングのおにぎりを見つけてしまいました。

新発売というシールが無いので、けっこう前からあったのかもしれませんが、手に取ったのは初めてです。

となると、一度は食べてみないと・・・なんですが、これは価格が高い。230円は、安いものなら2個買える。しかも、海苔は巻いてないし・・・

などと考えながらも、正直、あまり期待せずに食べてみました。

包装を開けると、確かにほんのりとカニの香りがします。でも、食べてみると、予想通りカニの味はほとんどしない。カニが入っている気配を感じる食感もありません。

具材で一番元気が良いのはタケノコ。椎茸入りとも書いてありますが、存在感はありません。

原材料には「かにエキス調味料」、「椎茸入りかにほぐし身煮」と書いてあるんですけどね。

2023年12月8日金曜日

かわいい女 (1969)

ロックフォードの事件メモ・・・覚えていますか? 知っているのは、たぶん50歳以上の方。70年代後半にテレビで放送され、ずいぶんと人気になりました。主役のロックフォードを演じたのが、「大脱走(1963)」にも出演していたジェームス・ガーナー。

そのJ・ガーナーが、レイモンド・チャンドラーが創り出した私立探偵フィリップ・マーロウを演じた映画です。原作は長編第5作「かわいい女(The Little Sister)」で、監督はポール・ボガート。「ネオ・ノワール」と呼ばれるカラー映画の一つ。

オーファメイ・クエストという若い女性から兄のオリンを探してほしいと依頼されたマーロウは、滞在先のホテルを訪ねます。しかし、すでにオリンは姿を消していてヒックスと名乗る男がいました。マーロウが受付に戻ると管理人の男は首の後ろにアイスピックを突き立てられて殺されていました。

ヒックスはマーロウに仕事を依頼したいと連絡してきますが、マーロウが到着する前にヒックスもアイスピックで殺されてしまいます。しかもマーロウは謎の女性に殴り倒されてしまいます。女性を追跡すると、彼女は女優のメイビス・ウォルドでした。ギャングのスティールグレイブが絡んでいて、ウォルドは彼との関係をヒックスに脅迫されていたのかもしれない。

オーファメイはオリンがラガーディ医師の診療所に隠れているらしいとマーロウに伝えますが、ラガーディは逆にマーロウを眠らせてしまいます。気がつくと銃声がして、オリンが倒れこんできます。オリンは最後の力でマーロウにアイスピックを突き立てようとしたのでした。

そもそもチャンドラーの原作がいつもプロットが複雑すぎることが、小説ならいいのですが、映画となるとなかなか筋書きを理解しにくいという問題に直面します。ここでも、ばらばらのエピソードが次々と出てくるので、登場人物の相関関係が複雑でわかりにくい。

ここでのフィリップ・マーロウは、ガーナーの比較的陽気なキャラクターを反映して、ハードボイルドとはやや違った趣があります。コメディとまではいきませんが、ちょっととぼけた感じで、かっこよさはやや少なめ。

実は・・・一番の見所は、スティールグレイブの殺し屋として登場するのが、あのブルース・リーというところ。まだ有名になる前ですが、マーロウに手を引くように脅しに来て事務所をめちゃめちゃにして帰っていくシーン、そして手を引かないマーロウを殺そうとしてホテルのテラスから悲鳴と共に落ちてしまう2つのシーンだけですが、それなりにブルース・リーらしさがあって楽しめます。

2023年12月7日木曜日

今年は「謎肉まみれ」2


昨日、「謎肉まみれ」を紹介して、まだ手に入れていなかったシリーズ。

普段行かないコンビニに行ったら・・・ありました。

即購入でGETしました。

「エビまみれ」のカップヌードルと「謎肉まみれ」のカレー・ヌードルです。

謎肉やエビがたくさん入っているのは、ちょっとお得感がある。

ただし、いろいろな具材のバランスの調和というのが、長年人気を博しているポイントのひとつでしょうから、こういう企画物はあくまでもイレギュラーな「遊び」です。

ずっと、これを食べ続けるということになると・・・

入っている具材で残った物はというと・・・タマゴですかね。「タマゴまみれ」が出たら・・・いやいや、これはお得感はかなり少ないので、嬉しくないですね。

2023年12月6日水曜日

今年は「謎肉まみれ」


2016年から始まった日清カップヌードルの「謎肉祭」ですが、2017年は「帰ってきた謎肉祭」2018年は「謎肉の素」2019年からは「年に1度の謎肉祭」となり恒例化しました。

今年は、「謎肉まみれ」というタイトルで、何と定番味も巻き込んでの展開となっています。

謎肉特化型カップヌードルと銘打って、従来の謎肉祭を楽しむ一方で、具材がエビだけになった「エビまみれ」カップードルも登場しました。

さらに、「謎肉まみれ」のカレーヌードルと「イカまみれ」シーフード・ヌードルもラインナップされ、日清の突き抜けた遊び心はとどまるところを知らないという勢いです。

毎回、これらを食べるのはちょっと・・・とは思いますが、時に変わったカップヌードルに手を出してみたくなるファン心理をうまくついてきた作戦は大賛成です。

定番となると、冒険しなくても一定の利益は出るんでしょうが、話題性を維持して消費者を楽しませることを忘れないというところが素晴らしい。

2023年12月5日火曜日

東京ジョー (1949)

ハンフリー・ボガート主演の一風かわったクライム・サスペンス。

ジョセフ・バレット(ハンフリー・ボガート)は、戦前に銀座で東京ジョーズというキャバレーを経営していました。終戦となり、久しぶりに羽田空港に降り立ったジョーは、今は日本人が経営している店に立ち寄ります。旧友のイトー(島田テル)と再会して、かつて店の歌手で恋人だったトリーナ(フローレンス・マリーナ)の居場所を知ります。

しかし、トリーナはアメリカ軍の法律顧問ランディス(アレクサンダー・ノックス)と結婚しており、ジョーを拒絶します。ジョーは元秘密警察のキムラ男爵(早川雪舟)に近づき、トリーナが戦時中に日本軍に協力していたことを知り、このことを公にすれば反逆罪になり、ランディスもおしまいだと脅すのでした。しかし、トリーナはそれはこどもを助けるためだったと説明し、そのこどもの父親はジョーだったのです。

キムラはジョーに航空運送会社をまかせ、さらなる陰謀に巻き込んでいきます。しかし、アメリカ軍GHQは、初めからジョーをマークしていて、木村が逃亡戦犯を秘密裏に帰国させるためにジョーを利用していることを察知していました。GHQはジョーを呼び出し、陰謀を潰すために3人を羽田で引き渡すように命令し、ジョーも了承します。

キムラは事態を察知し、トリーナの娘を誘拐します。ジョーは機内でGHQに連絡を取りますが、乗せた三人に機を乗っ取られてしまいます。しかし横浜の廃飛行場に着陸したところをGHQが取り囲み全員を逮捕します。ジョーは娘を取り戻すために、キムラのアジトに向かうのでした。

冒頭が富士山の空撮。羽田から終戦間もない東京の街並みが映し出されるところは、何か不思議な感じですが、ちょっと嬉しい。もっとも、ハンフリー・ボガートが実際に来日したわけではなく、ボギーの影武者が代役をしているわけで、メインの撮影はアメリカ。顔がわかる場面では、スクリーン・プロセスの手法が用いられています。

日本はまだアメリカ軍の占領下にあり、しだいにソビエト連邦が力を拡大し東西冷戦の下地ができつつあった時代背景を理解したうえで見ると、キムラの陰謀というのも理解しやすいかもしれません。

早川雪舟は、サイレント時代からハリウッドで最初に成功したアジア人俳優で、日本で最も知られているのは「戦場にかける橋(1957)」でしょうか。島田テルは日系アメリカ人で、「007は二度死ぬ(1967)」のスペクターの一員で有名です。

まあ、この頃の日本を舞台にしたアメリカ映画は「なんちゃって日本」なので、かなり違和感はありますが、ハンフリー・ボガートもこんな映画に出ていたんだという珍しさも手伝って、それなりに楽しめると思います。

2023年12月4日月曜日

湖中の女 (1947)

タフでなければ生きて行けない。優しくなれなければ生きている資格がない

これ、どこかで一度は聞いたことがあると思いますが、実はこれフィリップ・マーロウの言葉。マーロウはレイモンド・チャンドラーが創り出した小説の中のハードボイルド探偵。この台詞は、チャンドラーの遺作となった「プレイバック」の中で語られたもの。

原文は「If I wasn't hard, I Wouldn't be alive. If I couldn't ever be gentle, I won't deserve to be alive」というもので、まさにマーロウの生き方を体現しているんですが、数ある作品の中で、残念ながら「プレイバック」だけは映画化されていません。

この作品はマーロウ物としては4作目の長編が原作で、本作でマーロウを演じるのはロバート・モンゴメリーという主として戦前に活躍した俳優で、実は監督も兼任している。その秘密は、原作の小説がマーロウの一人称により物語が語られているため、それを映像化したということ。

つまり、本編はマーロウの見ている視点で画面が構成され、直接本人が映るのはイントロダクションとエンディング、そしてたまに鏡に映る姿だけという斬新な構成。当然、通常行なわれるカット割りなどは、同じ場面ではまったくありません。マーロウが下を向くとカメラは下を向き、横を見ればカメラも横に向くという感じ。

ちなみにロバート・モンゴメリーは知らないという場合、「奥様は魔女」のサマンサを演じたエリザベス・モンゴメリーのお父さんと言うと親しみが出てくるかもしれません。

私立探偵フィリップ・マーロウ(ロバート・モンゴメリー)は、探偵稼業だけではクリスマスを迎えても懐具合は寂しい。自分の体験した事件を題材にした小説をデレス・キングスビー(レオン・エイムズ)の経営する雑誌社に送ったところ、編集主任のアドリエンヌ・フロムセット(オードリー・トッター)から来社するよう手紙が来ます。

マーロウが出向くと、アドリエンヌはデレスの妻、クリスタルの行方を探すように依頼されます。アドリエンヌはデレスを自分のものにするため、クリスタルに離婚届を書かせたかったのです。アドリエンヌは、クリスタルはクリス・レヴァリーという男と一緒らしいというので、マーロウはクリスに合うため彼の住むベイシティに向かいます。

しかし、クリスに殴り倒され、気がつくとマーロウは現地の警察署の牢の中。警察では高圧的な景観の取り調べを受け何とか釈放されます。アドリエンヌに報告に戻ると、デレスの別荘があるリトル・フォーン湖で、管理人の妻、ミリュエル・チェスの溺死体が発見されたと知らせがあります。

アドリエンヌは湖に行くように言いますが、マーロウは無視してあらためてクリスの家に行くと、クリスは射殺されていました。近くにはA・Fのイニシャルの入ったハンカチがあり、そのことを伝えるとアドリエンヌからは調査契約の破棄すると言われます。ベイシティ警察にクリスの件を届け出ると、再び異常に高圧的な警官によって拘束されるのでした。

「湖中の女」というタイトルの割には、いかにも映画的な湖に遺体が沈んでいるようなシーンはなく、 あくまでもマーロウが自分の目で見えるものだけに特化した演出になっています。当時としては、画期的な演出ですが、やはりカット割りによる緊迫感が無く、何となくだらだらと進行する雰囲気はいただけない。

もちろん、マーローの姿を鏡に映したり、パンチが飛んできて殴られ画面が暗くなるなどの工夫はいろいろあるんですが、マーロウ視点でカメラが動き回るのは落ち着きません。この手の実験的手法は、はっきり言って作っている人は作っている時には面白いと思っているのですが、ヒッチコックの「ロープ(リアルタイム・ワンシーン撮影)」や「救命艇(すべて小船の中だけ)」でも、結局ヒッチコックは後で振り返って後悔しています。

やはり、フィリップ・マーロウというハードボイルド探偵が、活躍する姿が直接的に映像として見れないと、映画としての楽しみは半減してしまうと言うのが結論のようです。

2023年12月3日日曜日

三つ数えろ (1946)

レイモンド・チャンドラーは有名なアメリカの推理作家ですが、小説を書き始めたのは大恐慌により仕事が無くなった中年期になってから。小説の成功により映画の仕事にも関わるようになり、多くの脚本を手掛けています。特にヒッチコックの「見知らぬ乗客」は有名。

シャーロック・ホームズやエルキュール・ポアロのような小説の中の有名な探偵がいますが、アメリカではフィリップ・マーロウが最も知られており、その生みの親がチャンドラーです。チャンドラーが遺した8つの長編は、いずれもマーロウが登場し、ハードボイルドの探偵として活躍しています。

最初にマーロウが登場したのが、1939年の「大いなる眠り (The Big Sleep)」で、この映画はこれを原作としています。映画の原題はそのままですが、邦題は終盤の台詞から、ハードボイルド感が強まる命令形にしてインパクトをもたらしました。監督はジョン・ウェインとの西部劇が有名なハワード・ホークス。フィルム・ノワールとしては、最も人気がある金字塔的な作品と言えそうです。

ロサンゼルスで、私立探偵を営むフィリップ・マーロウ(ハンフリー・ボガート)は、スターンウッド将軍(チャールズ・ワルドロン)に招かれます。将軍には姉のヴィヴィアン(ローレン・バコール)と妹のカルメン(マーサ・ヴィッカーズ)という二人の娘がいて、二人とも奔放な美人でしたたか者。

将軍は、古本屋のガイガーがカルメンを度々恐喝しているようだと話し解決してくれるように頼みます。将軍が以前用心棒として頼りにしていたリーガンは急に姿を消し、ヴィヴィアンによれば運転手もいなくなったらしい。

マーロウは店を見張り、車で出かけるガイガーをつけます。一軒家に入ると、続けてカルメンが一人で車を運転してきて、同じ家に入っていきました。しばらくして、うとうとしていたマーロウは女性の悲鳴と銃声に目を覚まし家に飛び込みます。

床には射殺されたガイガー。そのそばでチャイナドレス姿で酩酊状態のカルメン。そのカルメンを撮影するための隠しカメラがあり、フィルムは抜き取られていました。裏からは2台の車が走り去っていく。

マーロウはカルメンを家に連れ帰り、ヴィヴィアンに黙っているように言います。自分の車を取りに戻ると、ガイガーの遺体は消えていました。その頃波止場では、スターンウッド邸の車と共に運転手の遺体が引き上げられていました。

この映画の2年前にホークス監督の「脱出」で共演したボガートとバコールは、それをきつかけに結婚したので、この映画の時点では夫婦共演となりました。この後も度々共演しており、バコールは食道がんで57歳で死去したボガートを最後まで支え続けました。

謎が謎を呼ぶ複雑な展開で、ストーリーを追うのは一筋縄ではいきません。もともと原作が込み入っているせいらしいのですが、映画では台詞がやたらと多く、気を抜いていると訳が分からなくなります。

とは言え、犯罪を解明する推理小説ですから、謎が無ければ始まらない。しかし、ハードボイルドの特徴である、犯罪そのものより関係者の動きが重視され、危険な状況でもクールに決めて見せる探偵と、ちょっと危険な香りが漂う女性との絡みが見事に描かれています。

渋めの中年(この映画撮影の時、ボガートは45歳)というのははまっていますが、原作のマーロウは長身という設定で、ボガートは身長173cmでアメリカ人としては高くはない。そこで、度々身長が低いことをとぼけた台詞としてうまく利用しているところは良いセンスです。

2023年12月2日土曜日

銚子電鉄のぬれ煎


一番普通の煎餅(せんべい)は、醤油を塗った餅を薄く延ばして焼いたもの。焼きあがった直後に醤油にどっぷりつけて、柔らかく仕上げたものが「ぬれ煎」と呼ばれます。

発祥は千葉県の銚子。犬吠埼がある、千葉の東の端っこ。

ここの米菓店が元祖で、銚子の名産品の一つである醤油(ヤマサ、ヒゲタ)とのコラボで60年代に商品化されました。

ぬれ煎を全国区に有名にしたのは、何といっても銚子電気鉄道。実は銚子電鉄は1998年に倒産しています。

1976年から「たい焼き」を製造・販売をしていましたが、1996年に「ぬれ煎」を作るようになり、破産後に事業存続のため「ぬれ煎キャンペーン」を行いました。

これが大人気となり、再建の道筋ができたというのは有名な話。その後も、鉄道事業とは関係ない業種との連携商品開発などで、最近は数十万円(!)の黒字化に成功しています。

2023年12月1日金曜日

セブンのおにぎり 17


今回見つけた新発売のセブン・イレブンのおにぎりは二つ。

でも、たぶん前にも期間限定で売っていたような気がします。

「具たっぷり 炭火牛焼肉」は、間違いなく以前にもあった。確かに牛切り牛肉が多めに入っていることは否定しません・・・が、ほとんど薄めの味の焼き肉のたれの混ぜご飯を食べているような感じ。

まずいとは言いませんが、まぁ、150円という値段なりのもの。焼肉だからと、過度な期待はしない方がよさそうです。八代目儀兵衛監修になってますが、米がタレまみれなのであまり意味は無いかもです。

もう一つの「高菜チャーシュー」も、前にあったような気がするんですが自信が無い。ちょっと前にあったのは「高菜・明太子」でした。

まぁまぁ、合格点を差し上げたいところですが、高菜はしっかり高菜なんですが、チャーシュー感はあまり無かったみたい。

2023年11月30日木曜日

生茶 Rich


最近、はまっている物。いわゆる、「マイ・ブーム」の一つがこれ。

「生茶(なまちゃ)」は、KIRINのお茶飲料のブランド。

これは、さらに「Rich」という商品名が追加されていて、まさに豊かな(rich名)お茶の味が楽しめる商品。

KIRINから、何かをもらっているわけではありませんが、実に旨い!!

通常の「生茶」と比べて、10倍の「かぶせ茶」をマイクロ粉砕して使用してあるとのこと。まるで、飲みやすくした抹茶を味わうような感じで、とても贅沢な雰囲気です。

通常の500~600mlのボトルが130円くらいですが、これは400mlで140円。実質的には1.5倍程度の値段になるのですが、それだけの価値は十分にあります。

量を減らして価格を抑えたと考えると、良心的な作戦で、手に取りやすいと思います。見つけたら、カゴに入れたいマスト・アイテムです。

2023年11月29日水曜日

ローラ殺人事件 (1944)

暗黒映画とも呼ばれ、主として犯罪をテーマにハードボイルドな主人公が登場するフィルム・ノワールと呼ばれる一群の映画を、その初期に支えたのはヨーロッパから亡命してきた映画監督たちだったというのは興味深い事実です。

もちろん、生粋のアメリカ人であるジョン・ヒューストンのような人もいましたが、多くはナチス・ドイツの迫害を逃れて来た人々で、彼らは当時通俗小説としてあまり映画界が見向きもしなかった犯罪小説を取り上げました。後に有名な人気小説家となるダシール・ハメット、コーネル・ウールリッチ、レイモンド・チャンドラーなどが原作として用いられ、チャンドラーは積極的に脚本にも参加しました。

当初は、メインの文芸大作などとの併映用に低予算・短期間で粗製乱造される傾向がありましたが、次第に人気が高まり50年代以降になってくるとフィルム・ノワールがメインに座るようになってきます。

オットー・プレミンジャー監督も、生まれは現ウクライナのユダヤ系オーストリア人です。1935年にアメリカに渡り、1944年の本作が初監督作品。後にマリリン・モンロー主演の「帰らざる河(1954)」、ジーン・セバーグ主演の「悲しみよこんにちは(1957)」なども監督し、その一方で主として悪役俳優としても活躍し、ビリー・ワイルダー監督の「第十七捕虜収容所(1953)」は有名です。

ヴェラ・キャスパリーの原作のこの作品は、元々は別の監督が起用され撮影が始まったものの、制作に携わっていたプレミンジャーの進言により自らが監督に就任したもの。斬新な構成力が評価され、フィルム・ノワールの代表作の一本として認知されることになりました。

エッセイストのライデッカー(クリフトン・ウェッブ)の家を、マクファーソン刑事(ダナ・アンドリュース)が尋ねたところから始まります。ライデッカーの回顧という形でナレーションがかぶさり、ローラ・ハント(ジーン・ティアニー)が昨夜殺されたことが語られます。関係者の一人としてライデッカーを訪ねたのですが、捜査に興味があるといいマクファーソンに同行します。

次に訪ねたのは遺体の発見者の一人、アン・トリードウェル夫人(ジュディス・アンターソン)で、質問の流れで、ローラが至近距離からのショットガンで頭を撃たれたことがわかります。トリードウェルがローラの婚約者とされるシェルビー・カーペンター(ヴィンセント・プライス)に度々金を渡していることを尋ねていると、当のカーペンターがやってきました。

マクファーソンは、いろいろと話を聞いているうちに、次第にローラへの興味が深まっていくのです。ローラが何を求めて暮らしていたのか、何故殺されねばならなかったのか。もう一度、現場に戻ることにしたマクファーソンは、ローラの遺体があった彼女のアパートに向かいます。そして、疲れてつい寝込んでしまうのでした。

そこへ、何とローラが現れます。「私の部屋で何をしているの。警察を呼びます」と言うローラに、マクファーソンは「私が警察です。あなたは何が起こったのか知らないのですか」と答えるのでした。

今どきの言い方すれば、実に展開がクール。ローラが死んだことが前提で話が始まり、見ていて謎解き中心に進むと思って見ていると、何と死んだはずのローラが登場するのです。本当に死んでいなかったのか、それともローラの真実を追い求めるマクファーソンの妄想なのか。

ジーン・ティアニーの女優としての存在感が際立つ作品で、この映画の時点では24歳。正直、まったく知らない女優さんでしたし、実際あまり後世に残る映画への出演はほぼ無いと言えますが、ここでは美しさもさることながら全てを真実と思わせる圧倒的な演技力が素晴らしい。それだけでも見る価値がある映画です。

2023年11月28日火曜日

サンセット大通り (1950)

フィルム・ノワールの代表的な一作で、アカデミー賞では主だった賞にノミネートされ、美術、脚本、作曲の各賞を受賞しました。監督はビリー・ワイルダー。ワイルダーというと都会派ラブコメの名手という印象がありますが、戦後活躍始めた頃はフィルム・ノワールを牽引する重要な監督でした。

ワイルダーはユダヤ系オーストリアの出身で、当初は脚本家として売り出しますが、ナチス台頭により1933年にフランスに亡命、俳優ピーター・ローレらと共に翌年アメリカにわたりました。戦時中からハリウッドで監督して使われるようになり、最初のヒット作はフィルム・ノワールの名作とされる「深夜の告白 (1944)」でした。

1945年にはアルコール依存症を真っ向から取り上げた「失われた週末」がアカデミー作品賞、監督賞、主演男優賞(レイ・ミランド)、脚色賞を受賞し、名実ともに戦後ハリウッドを代表する映画監督の一人に名を連ねることになりました。

ジョー・ギリス(ウィリアム・ホールデン)はハリウッドの売れない脚本家で、借金り取り立て屋ら追われ、サンセット大通りの手入れもされず放置されたような大きな屋敷に逃げ込みます。そこはサイレント映画時代の大スターであった、今は年老いたノーマ・デスモンド(グロリア・スワンソン)の邸宅で、執事と暮らしていました。

誇り高いノーマは再帰を願って、サロメを自ら演じるための脚本を自作しており、ジョーに過去の遺物にすらならないような脚本を泊まり込みで完成させることに強引に決めるのです。ジョーも渡りに船と引き受けてしまいます。

しかし、過去の栄光をひきづるノーマの要求には困難がつきまとい、週に何度か過去の出演作の映画を見させられ、時には下僕にように扱われ、ノーマの選ぶ服を身につけなければならないのです。ついに息苦しくなったジョーは街に逃げ出します。

しかし、そのためにノーマは自殺未遂を引き起こしたため、ジョーは戻ってノーマの歪んだ執念と妄想の中にはまり込んでいくのでした。そこへ撮影所からノーマの所有する古い車を撮影に使いたいという連絡が来ますが、ノーマは自分への出演依頼と思い込み、異常な精神はもはやブレーキが利かなくなっていくのでした。

ウィリアム・ホールデンは名優ですが、この時は30歳そこそこで、まだまだ駆け出しの俳優の一人でした。しかし、この映画をきっかけに演技派として認知されるようになりました。グロリア・スワンソンは、まさにサイレント時代の大女優。よくぞ、こんな役を引き受けたものです。戦前1934年が最後で、16年ぶりの復活でした。ちなみに、本人役の「エアポート'75」が最後の出演でした。

そのスワンソンの鬼気迫る演技が最大の見せ所で、時代が変わって忘れ去られた過去の栄光にすがる様は、まさに本人にそのまま当てはまる。実際、たくさんの女優にオファーを断られたようです。執事役の方も、昔のサイレント時代に監督をしていたエリッヒ・フォン・シュトロハイムが演じているところがすごい。

ノーマのトランプの相手として登場するのもバスター・キートンだったり、ノーマが会いに行くのも本物のセシル・B・デミルという、まさにサイレント時代のハリウッドを支えた人々が登場するのも見所です。

2023年11月27日月曜日

カサブランカ (1942)

もう言わずと知れた、世界中でこれまでに作られた映画の中でも10本の指に入りそうなくらい有名な作品。ハリウッドのフィルム・ノワールを代表する映画であり、主演したハンフリー・ボガート、イングリッド・バーグマンにとってもまさに代表作と言えます。監督のマイケル・カーティスはもとはユダヤ系ハンガリーの人で、ドイツを経て第1次世界大戦後にアメリカに帰化し、多くの作品に携わりました。

第16回のアカデミー賞において、作品賞、監督賞、脚色賞の三冠を受賞しました。多くの名セリフと共に、元は他のミュージカルのために作られた劇中で歌われる「時の過行くままに(As Time Goes by)」を誰もが知る名曲に押し上げました。

1941年12月、フランス領モロッコが舞台。当時、フランスはナチス・ドイツの傀儡であったヴィシー政権下にありましたが、多くの人々が亡命する経由地としてモロッコは重要な政治的要衝となっていました。

モロッコの旧市街、カサブランカで酒場を経営しているリック(ハンフリー・ボガート)は、闇で飛行機に乗るための通行証を用意しているウーガーテ(ピーター・ローレ)から、ドイツ軍発行の最優先通行証を預かります。

警察署長のルノー(クロード・レインズ)は、ウーガーテが通行証を売る相手がドイツ政府からお尋ね者とされているヴィクター・ラズロ(ポール・ヘンリード)であることをリックに話し、店で逮捕するので邪魔をするなと言います。ウーガーテを捕らえた後、店に訪れたラズロは、イルザ(イングリッド・バーグマン)を連れていました。

リックとイルザはかつてパリで甘い時間を過ごした仲でしたが、ナチスの進軍によりパリが落城する直前、何も理由を告げずにイルザは消えたのでした。イルザの来訪に動揺を隠せないリックを尻目に、ルノーはラズロに明日警察署に来るように伝えます。

ドイツ軍司令官から絶対にカサブランカからは出させないと宣言されたラズロは、ウーガーテが持っていた通行証をリックが持っていること耳にします。ラズロはリックに通行証を売ってくれるように頼みますが、リックは理由はイルザが知っているからと断ります。イルザはリックの元を訪れ、拳銃をリックに向けますが撃てません。

イルザはラズロとすでに結婚していたのですが、収容所で死んだと思っていたのが、パリが落ちる直前に生きていることがわかったのです。リックはルノーに、イルザと出国するが、ラズロが現れるから飛行場で逮捕するように話すのでした。

まぁ、結末も知れ渡っているので今更隠すことはありませんが、一見クールに立ち振る舞うリックという男は、本来は熱い心を持った人情家であり、そういう意味では純粋な「ハードボイルド」ではありません。結局はかつて愛した女性のために、すべてを捨てて助けるという、「しびれる」行動を起こす人物です。

付きまとう女が「昨夜はどこにいたの?」と聞けば「そんな昔の事は覚えていないさ」と答え、さらに「今晩会える?」に対しては「そんな先の事はわからない」と答える・・・って、カッコ良すぎです。イルザとの恋の思い出のキーワードは「Here’s looking at you, kid」というもので、実は映画の中で4回も使われます。

「Here is to ~」は「~に乾杯」という意味で、直訳すれば「君を見ていることに乾杯」という意味ですが、これを日本語に訳したのが「君の瞳に乾杯」という超有名な名セリフ。戦前から戦後にかけて字幕翻訳者として活躍した高瀬鎮夫さんという方が訳しました。

イルザが店のピアノ弾きのサムに、リックとの思い出の曲である「時の過行くままに」をリクエストする時の「あれを弾いて、サム (Play it once,Sam)」もなかなか気が利いたセリフです。これが大好きなウッディ・アレンが脚本を作った映画が「ボギー! 俺も男だ(1972)」で、原題は「Play it again, Sam」です。ボギーはボガートの愛称です。

2023年11月26日日曜日

マルタの鷹 (1941)

ゆで卵は英語では、 固く(hard)茹でられた(boiled)卵(egg)と言います。そこから、感情的にならず淡々と行動するようなキャラクターをハードボイルドと呼び、必要とあらば時には暴力や既成の道徳観からも外れるようなことも辞さない登場人物が活躍する文芸作品に対して用いられる言葉です。

ハードボイルドな小説であれば、多くのストーリーはミステリー、サスペンス、あるいはクライム物と呼ばれるようなジャンルに属することになり、主人公は探偵、刑事、ギャング、スパイなどであったりします。

1940年代から、アメリカではハードボイルド作品の映画化が盛んになり、1946年にニーノメフランクというフランスの映画評論家が、これらの作品を紹介するにあたって「フィルム・ノワール(film noir)」と記述しました。フランクは「感傷的なヒューマニズムを排除したダークな犯罪映画」と説明しており、コントラストが強い白と黒、光と影が明確な撮影手法が用いられていました。

あくまでも製作者側、あるいは視聴者側の感覚的な印象の話であって、実際には、フィルム・ノワールという言葉に厳密な定義があるわけではありません。フィルム・ノワールという用語は、アメリカに逆輸入されて60年代まで用いられます。映画の世界でカラー撮影が一般化すると、70年代以降は「ネオ・ノワール」という言葉で置き換えられるようになりますが、80年代以後は該当する作品は少なくなります。

50年代以後、主としてギャング物を中心にフランスでも盛んになり、「フレンチ・フィルム・ノワール」と呼ばれ、アメリカ映画の「悪女」に対して「親友の裏切り」がテーマとして取り上げられることが多いことが特徴です。

フィルム・ノワールのはしりとして古典的名作と呼ばれるのがこの映画で、原作はハードボイルドを確立したと言われているダシール・ハメット。主人公の私立探偵、サム・スペードはハードボイルドの代表的なキャラクターとして人気になりました。

サンフランシスコにあるスペード&アーチャー探偵事務所に、ミス・ワンダリーと名乗る女性が訪ねてきます。ワンダリーは、対応したサム・スペード(ハンフリー・ボガート)にフロイド・サーズビーという男から妹を助け出してほしいと依頼します。

しかし、サーズビーを尾行したアーチャーと、サーズビーも殺されてしまう。スペードは連絡してきたワンダリーのもとを訪ねると、彼女は本当の名はブリジット・オショーネシー(メアリー・アスター)と名乗り、妹の話はすべて嘘だが狙われているので助けて欲しいと懇願するも、詳しい話はしようとしないのです。

その夜、事務所にカイロ(ピーター・ローレ)という男がやってきて、ブリジットが預けた鷹の彫像を出せと銃を突きつけますが、スペードに銃と奪われ持っているなら五千ドル出すと言うのです。スペードはブリジットとカイロを会わせ、直接交渉をさせます。ブリジットは、マルタの鷹と呼ばれる高価な中世の彫像をサーズビーが隠してしまったと話しますが、彫像を狙っている者は他にもいるのでした。

探偵スペードは秘書ときわどい会話を楽しんだり、相棒が死んでその妻からあなたが殺したんでしょうと詰め寄られたり、依頼人のブリジットに手を出したりと、なかなかのハードボイルド振り。ブリジットも偽名を使うし、なかなか本当のことは言わずに泣き落としにかかったりと悪女感たっぷり。まさこれがにフィル・ノワールという感じです。

ワーナーブラザーズで3度目の映画化(1931年、1936年に次ぐ)ですが、最も原作に忠実に作られたと言われています。脚本・監督を務めたのはジョン・ヒューストン。名匠と呼ばれるヒューストンですが、この作品が監督デヴュー作です。

ほとんど原作通りの台詞が使われていますが、マルタの鷹の彫像は何だと聞かれて、スペードが答えるラストの有名な台詞である「The stuff that dreams are made of (夢を作るものさ)」はヒューストンのオリジナル。

ハンフリー・ボガートにとっては、この作品で人気に火が付きました。ピーター・ローレはヒッチコックの「暗殺者の家」でも怪演した性格俳優、メアリー・アスターは当時ハリウッドを賑わしていたスキャンダル女優で、ヒューストンの適材適所のキャスティングもはまっています。

2023年11月25日土曜日

死刑台のエレベーター (1958)

原作はノエル・カレフのサスペンス小説。ルイ・マル監督のデヴュー作。そして、それ以上に自分にとって有名なのは、音楽が全編にわたりマイルス・デイビスが担当したということ。

この映画のためにフランスに招かれたマイルスは、映画のラッシュを見ながら現地ミュージシャンと即興的に音楽をつけていったという伝説を残しました。本当にその場で急に演奏したのか信じがたいほど、緊張感のある場面とマッチするジャズの音楽が心地よい。

サンウドトラックは、立派なトータル・アルバムとして成立していて、今までに音だけでも何度も聞き返したものです。評論家諸氏が指摘するのは、エコーを深くかけたトランペットの音が、まさにマイルスの音を確立させた原点と言うことで、確かに納得です。

映画も素晴らしい。白黒で撮影され、まさにフランス・フィルム・ノワールのジャンルを形成する名作の一本と呼ぶのにふさわしい。冒頭、ジャンヌ・モローのどアップから始まり、いきなり「ジュテーム(愛しているわ)」が繰り返される。これだけで、もうが画面に引き込まれてしまいます。

社長夫人フロランス(ジャンヌ・モロー)は、夫の部下であるジュリアン(モーリス・ロネ)と不倫関係にあり、夫を共謀して殺すのです。ジュリアンは社長を殺したあと、偶然に会社のエレベーターに閉じ込められ、フロランスは待ち合わせ場所でなかなかやって来ない恋人を心配する。

若者が出来心からジュリアンの車を盗んで、恋人とドライブにでかけます。若い二人は深い思慮はなく、モーテルで事件を引き起こし、シェリエ警部(リノ・ヴァンチュラ)は二つの事件のもつれた糸をたどっていくことになるのです。

日本でもドラマ化されたり、映画化されたりして人気があるストーリーですが、やはりジャンヌ・モローの圧倒的な美しさと存在感の前では陳腐な印象は拭えません。言葉では言い表せないこれがパリのけだるさ・・・まさにフランス映画ならではという雰囲気が濃厚に漂う名作です。

2023年11月24日金曜日

でっかい椎茸


大きさに驚く・・・椎茸です。

大きさを想像してもらいやすくするため、隣に大根を置きました。だいたい直径は10cmくらいはあるので、通常のスーパーに並ぶものの倍くらいになりそう。

那須高原に行ったお土産でもらったのですが、10個くらいで600円くらいなので、値段も手頃。貰ってもインパクト絶大で楽しい。

もっとも、肝心なのは味。大きいと味がボケてしまうのではと心配になりますが、大丈夫です。

今回はバター醤油で味付けし、じっくりとフライパンで焼いた感じなのですが、柔らかめの「アワビ・ステーキ」のような食感で、なかなかのもの。

持って帰るのに多少はかさばりますが、話題性もばっちりでおすすめの一品です。

2023年11月23日木曜日

セブンのおにぎり 16


注目してみると、まぁ、次から次へと新作が登場しているのに驚くのがコンビニのおにぎり。

今回のセブンイレブンの新発売は、「やみつき香味だれとたまご」と「かに味噌醤油のまぜめし」の二つ。

かに味噌醤油まぜめしは、カケジャンケジャン仕立てとなっていて、カケジャンケジャンは渡り蟹を醤油に漬け込んだ韓国料理のこと。

実は5月に「韓国フェア」として登場していたもののリニューアル版です。

何が新しいのかというと、韓国海苔で巻けるようになったところ。手で持っても大丈夫なように海苔のゴマ油は少な目という感じ。

前回は180円でしたが、今回は165円に値下げ。海苔付きで値下げというのは、ちょっと不思議ですが、どこで価格を抑えたのかはよくわからない。なんとなくカニの風味がする、普通に美味しい味付きご飯です。

もう一つの「たまご」がやたらと目立つ方。これがよくわからない。

和風でもないし、中華風でも、韓国風でもない、ちょっとニンニク、ちょっと生姜の風味がする混ぜご飯という感じなんですが・・・

たまご? たまごはどこ? 原材料には「味付きゆで玉子」と書いてあるのですが、よくわかりませんでした。セブンイレブンには、味付きゆで玉子の半分に切ったものがどーんといれてあるおにぎりがすでにありますが、それをぐちゃぐちゃに崩してみたということなのか?

たまごの味はよくわからないという不思議な一品で、二度目は無いというところです。

2023年11月22日水曜日

セブンのおにぎり 15


おにぎりの中に入っているのは、昭和のスタンダードは鮭、たらこ、梅、昆布とかでした。今は、具材は様々。えっ、こんなものまでおにぎりになるの? って思うものもあったりします。

今回のは洋食系。これはおにぎりと呼んでいいのか、ちょっと疑問は感じますが、ふだんお皿で食べるものを手軽に持ち運べるというのは、ちょっと嬉しいところかもしれない。

海老のシーフード・ピラフは、まさに想像通りの味。いわゆるバターライスに海老の風味が加わって、当然のように美味しい。

むきエビの細かいかけらが入っていて、海老の味を感じますが、大きめのかけらは当然少な目なのはしょうがないとあきらめられるところです。

さて、もうひとつはオムライス。ケチャップライスに、きれいに丸く固められたオムレツがのっているのでオムレツと呼ぶわけですが、そもそもこれをオムレツと呼んでいいのか悩みます。

卵は保存の問題でコンビニでも頭を悩ませる食材の一つだと思いますが、このオムレツも何か人工的で均一なタマゴ風味という印象で、黄色い色をしていることを除けばタマゴ料理と呼ぶには抵抗があります。

デミグラス・ソースと表示してあるのですが、外見からは見えません。ソースは食べてみると、オムレツの下に隠されていました。あー、なるほどという感じ。

これなら、海老のシーフード・ピラフに準じて、ケチャップ味のチキン・ライスくらいにした方がよかったように思います。まぁ、好みの問題ですけどね。

2023年11月21日火曜日

ホームセンターのアウトレット・バーゲン


先週から、クリニックの近くのホームセンターでバーゲン・セールをしています。

・・・というだけの話題。

なんですが、100円均一の小物雑貨から1000円の上着まで、店前の廊下をはみ出して屋外にまで並んでいます。

屋外は、店員さんが立っているわけではないので、大丈夫なのかと思ってしまいますが、廃棄処分するよりは少しでも売れればという開き直りが感じられます。

衣類はホームセンターの仕事着みたいなものがほとんどなので、はっきり言ってファッション性は期待してはいけません。

それでも「安さは正義」みたいなところがありますから、だいぶ品物は減ってきた。興味がある方は急げ!!

2023年11月20日月曜日

PLAN 75 (2022)

とある老人施設。一人の若者が血だらけの腕に猟銃を持ってうろついていました。彼は、入所者たちを殺してまわったらしく、「高齢者が増え,我々の負担ばかりが増える現実を変えるきっかけになればいい」と遺言を遺して、自らの頭を打ちぬくのでした。

世界に類を見ない高齢化社会となり、高齢者を襲撃する事件が多発する日本で、政府はその解決策の一つとして「PLAN75」の始動させました。これは、75歳以上になると自らの意思で安楽死を選択する権利を認めるもので、自治体の組織としてPLAN75への参加を積極的に勧めることになったのです。

78歳の角谷ミチ(倍賞千恵子)は、身寄りはなく、同じような年齢の同僚たちとホテルの清掃員として働く毎日でした。しかし、同僚の一人が突然倒れたことをきっかけに職を失ってしまいます。新しい仕事を探しても、なかなか見つけることはできず、かと言って生活保護にも抵抗がありました。

PLAN75の職員である岡部ヒロム(磯村勇斗)は、申し込みに来た老人が20年来音信不通だった叔父であることに気が付きます。親族という理由で担当をはずされたヒロムでしたが、自分にとってたった一人の親族であるので気になってアパートを訪ねたりするのでした。

フィリピンから来たマリア(ステファニー・アリアン)は、老人施設で働きその仕事ぶりは誰からも好かれていました。しかし、フィリピンに残して来たこどもの手術費用か必要で、PLAN75の火葬場で遺品を整理する仕事も始めました。

連絡がつかなくなった元同僚が孤独死しているのを発見したミチは、PLAN75に申し込むことにします。一時金として自由に使える10万円が渡され、ミチの担当になった成宮(河合優美)と電話でいろいろと長話をすることができました。規則違反ですが、ミチは直接成宮と会ってボーリングを楽しんだりもできました。いよいよ明日となって、電話の成宮は涙声で最後の伝達事項を伝えます。

朝となり、ミチもヒロムの叔父も、ついにPLAN75施設にやってきました。叔父を送ってきたヒロムはどこかに納得できない何かを感じていました。マリアは上司がめぼしい遺品を自分のポケットに入れてしまうことに、後ろめたさを感じます。思い残すことは無いと覚悟を決めていたミチでしたが・・・・

・・・というストーリー。監督・脚本ははこれが長編作デヴューとなる早川千絵。言葉による説明を極力排して映像に語らせることに注力した感じがします。冒頭でモーツァルトのピアノ・ソナタKV283 第2楽章が使われているところを除くと、全体に音楽が無い静寂が支配していますが、ここぞとばかりに時折やや抽象的な曲が鳴るのは印象的です。

内容からして明るさはなく、淡々と彩度の低い映像を撮り続けるのは浦田秀穂。製作には日本だけでなく、フランス、フィリピン、カタールなどが協力した国際色を意識した作品になっています。

日本では比較的珍しい、いわゆる近未来のディストピア(ユートビアの反対語)を描く作品ですが、むしろ舞台は現代と言ってよい感じなので、パラレル・ワールドという方が正しいのかもしれません。

現実に高齢化社会は様々な問題をはらんでいることは事実ですし、こんな制度はばかばかしいと一笑に付すわけにもいかないところが鋭いポイント。ひたすら健康寿命を延ばすことに注力してきた厚生行政が、一転して高齢者を切り捨てるというのは、潜在的な支持者がいても不思議はありません。

実際、自分もちゃくちゃくと高齢者に近づいているので、他人事のようには思えない。高齢者がいなければ高齢社会の問題は解決するというのは、確かに真理の一つなのかもしれません。この映画では、だからと言って、そのことを肯定するわけではなく、見た者一人一人がそれぞれの年代において、考えなければならないことを突き付けていると言えます。

2023年11月19日日曜日

ポケモン & ドーナッツ


ミスター・ドーナッツが好きという方、かつポケット・モンスターが好きという方には、例年この時期にこたえられない楽しさを運んでくるのが、ミスター・ドーナッツのポケモン・コラボ企画。

今年は「ポカーンとのんびりひとやすみ」というテーマで、ピカチュー、コダック、モンスター・ボールを象ったドーナッツが登場。

他にもカビゴンをテーマにした2種類も加わって、クリスマンごろまでワクワク・ドキドキが続く・・・らしい。

さすがに、おじさんはどうでもいいのですが、合わせて販売されているポーチとか、ランチ・ボックスとかが欲しくなる方もたくさんいるようです・・・

なお、カロリーは一段とアップしているように思います。

2023年11月18日土曜日

悪魔が来りて笛を吹く (1979)

角川映画「犬神家の一族」から始まった市川崑監督の石坂浩二の金田一耕助は、その後東宝でシリーズ化されましたが、1979年に再び角川春樹事務所が金田一物を作ったのは東映。しかも金田一耕助には西田敏行がキャスティングされました。笛(フルート)が重要なアイテムだからということか、音楽は邦楽界の重鎮、山本邦山が担当しています。監督は斎藤光正です。

今だに謎を残す昭和28年に発生した帝銀(帝国銀行)事件をモチーフにしています。青酸カリによって行員12名を毒殺し、逮捕された平沢貞道は死刑判決を受けるも執行前に獄死しました。この話では、天銀堂という宝石店に置き換えられ、容疑者として取り調べを受けた元子爵の椿英輔(中谷昇)が釈放後に自殺したことから話が始まります。

英輔の妻、椿秌子(鰐淵春子)は妖艶な美人で19歳の娘、美禰子(斎藤とも子)、秌子の伯父で元伯爵の玉虫公丸(小澤栄太郎)、秌子の兄で陰気な新宮利彦(石濱朗)、英輔に気に入られ居候している三島東太郎(宮内淳)らが、同じ屋根の下に暮らしています。

美禰子は死んだはずの英輔からの「この家には悪魔が住んでいる」という手紙を見つけ不安になり金田一耕助に連絡を取るのです。椿家に招待された金田一は、親族一同がこっくりさんのような占いで火炎太鼓のような模様が浮き出て驚愕するところを目撃します。また、生前に英輔がレコードに吹き込んだフルートの独奏曲が流れだし、集まった者はさらに恐怖の表情を浮かべます。

そして、その夜、玉虫公丸が閉ざされた室内で殺されてしまうのです。これは、さらなる椿家の因縁に絡む連続殺人事件の始まりでした。金田一は等々力警部(夏八木勲)と共に捜査を開始するのでした。

他にも、二木てるみ、村松英子、池波志乃、山本麟一などが登場します。チョイ役で中村雅俊、秋野太作、梅宮辰夫、金子信雄、浜木綿子、中村珠緒、さらには角川春樹、横溝正史まで出てくるというサービスぶりです。

西田金田一は、石坂浩二で評判がよかった原作に忠実な着物に袴という書生姿で登場し、トレードマークのお釜帽をかぶっています。これはあえて映画の石坂浩二、テレビの古谷一行の二枚目イメージを覆すためのキャスティングです。

しかし、映画として成功しているかと言えば・・・市川崑作品の完成度が高かっただけに、複雑な人間関係を説明しきれていない上に、フルートにこだわり過ぎた演出がやや鼻につく感じがします。

角川映画のキャッチフレーズに「見てから読むか、読んでから見るか」というのがあったと記憶していますが、さすがにこれは先に原作を知らないとちんぷんかんぷんという感じ。ただし、原作を知っていると、なんじゃこりゃという出来と言わざるを得ません。

2023年11月17日金曜日

億男 (2018)

川村元気・・・って何者?


現代の邦画界で、最も注目すべきクリエイターの一人と言える人物。1979年生まれで、最初の足跡は2006年に企画・製作に携わった「電車男」で、以後「デトロイト・メタル・シティ」、「告白」、「悪人」、「モテキ」などを立て続けにヒットさせました。他にも「君の名は」、「怒り」、「何者」、「天気の子」、「すずめの戸締り」、「怪物」と話題作に関わっていることは特筆すべきことです。

2012年に自ら初めての小説「世界から猫が消えたなら」を発表し、2014年には「億男」、2016年に「四月になれば彼女は」、そして2019年の「百花」まですべてが映画化、または映画化が予定されています。2021年には「神曲」を発表しており、おそらく映画化を見据えているのではないでしょうか。

3歳で初めて見た映画が「E.T.」で、以来、父親の影響もあって古今東西の名作映画を見まくったという学生時代までの蓄積が、確かな鑑賞眼を培い、映画作りの立場でもしっかりと生かされているということだろうと思います。

さて、その川村元気の2番目の小説は、大友啓史により映画化され、主演は「世界から・・・」に続いて佐藤健が勤め、「るろうに剣心」のペアが再びというところ。

大倉一男(佐藤健)は、図書館で働ていますが、莫大な借金を背負いパン工場でバイトもする生活。妻の万佐子(黒木華)は、愛想をつかして娘を連れて別居してしまいました。しかし、たまたま買った宝くじが当選して、一男は三億円を手に入れます。

大金に不安になった一男は、起業した会社が成功して大金持ちになった大学からの友人である九十九(高橋一生)に、これからどうすればいいか相談に行きますが、九十九はお祝いだとパーティを開き、一男は飲み過ぎて寝込んでしまいます。

目を覚ますと、三億円と共に九十九は消えていました。一男は、パーティに居合わせたアキラ(池田エライザ)が持っていた名刺をヒントに、九十九の行方を追います。九十九の会社で技術責任者をしていた百瀬(北村一輝)に会いに行くと、億万長者の遊び方を見せつけられるのでした。百瀬は元財務責任者だった千住(藤原竜也)を紹介します。

千住はセミナーを主催するマネーアドバイザーとなっていて、集まった人々を洗脳して金を巻き上げるような怪しい男でした。千住の話によると、九十九の会社は最初の勢いが無くなり、火の車になっていたのです。百瀬や千住らは沈みかけた船から真っ先に逃げ出したということ。千住は元広報担当の安田(沢尻エリカ)なら、行方を知っているかもしれないと言います。

安田は公営住宅で質素な暮らしをしていて、結局、夢と理想を追いかける九十九に付いて行けず、みんながお金が一度手にしたことで変わってしまったと話します。一男は九十九とかつて旅行して熱く語り合ったことを思い出し、お金が無いことでも自分は変わってしまったことを思い知るのです。そんな一男の前に、三億円を持った九十九が姿を現しました。

お金って何だろう、お金によって人が変わってしまうのは何故なんだろう、という問いかけをしている映画。急に金持ちになってどうしていいかわからない主人公が、行く先々で出会う人々からその答えを探っていくという内容です。

・・・なんですが、キャスティングの割には、それぞれの俳優の良さが見えてこない。そもそも庶民的には到底手にしたことが無いレベルの大金の話なので、どうも絵空事感かついて回ります。

要するに、一つ一つのエピソードにリアリティが無さすぎで、そんな中で「お金とは・・・」みたいな話をされても何かなぁ・・・という映画でした。

2023年11月16日木曜日

セブンのおにぎり 14


またまた見つけた新発売。

定番シリーズ以外の変わり種おにぎりは、常に数種類あります。さらにその中の一つ、二つは季節性の再登場だったり新たに考案されたもの。

今回の「新発売」は「湘南しらす菜飯」で、首都圏では江の島の「生しらす」が有名なので、湘南の名を冠したのだろうと思います。もっとも生はさすがに無理なので、しらすは茹でてあります。

菜飯の菜は小松菜で、ご飯に混ぜ込んでありますが、あまり目立たず味も特に感じません。味付けは、うっすらと生姜風味がする醤油をかけた混ぜご飯です。

最初の一口でカニっぽい味がした気がしましたが、もちろん入っていません。しらすの味もそれほど感じないので、まぁ、こんなもんかという感じです。

2023年11月15日水曜日

オリオン


首都圏では「星降る夜空」なんて表現は、完全に過去の物で、数えるくらいしか星は見えないのが当たり前になってしまいました。

空気が汚れているから、街の明かりが強すぎるからとかいろいろ言われていますが、さすがに空気が澄む今の時期は、いつもよりは大目に星が見えるように思います。

実際、露光時間をかなり長めにして写真を撮ってみると、肉眼でみるより多くの星が確認できるのは、ちょっと嬉しくなります。

そんな空ですが、今でも確認できる数少ない星座の一つがオリオン座。

南の空に、この時期は比較的下の方で見つけやすい。四角形を作る4つの星の真ん中に3つの星がてん、てん、てんと並ぶのでわかりやすい。

オリオンすら見えなくなったら、もう世界は終わりだと思います・・・って大袈裟か。

2023年11月14日火曜日

世界から猫が消えたなら (2016)

いかにも今の時代だからこそのメディア、LINE公式アカウントで連載された川村元気の小説が原作。家族の在り方、世界に自分が存在することの意味などをほのぼのとした雰囲気のファンタジーとして描いた映画。監督はCMの世界で多くのヒット作を手掛けた永井聡。脚本はテレビ・ドラマで活躍する岡田惠和。

郵便配達の仕事をしてごく普通に暮らしている、僕(佐藤健)は脳腫瘍で余命いくばくもないと宣言されます。家に帰ると、自分とそっくりの「悪魔」が現れ、何かを一つを世界から無くせば一日寿命を延ばすと持ち掛けます。ただし、何を選ぶかは「悪魔」が選択し、拒否することはできると説明し、まずは電話を消すと言います。

最後の電話を昔の別れた彼女(宮崎あおい)にして、翌日映画館で働く彼女に会いに行きます。会うとなかなか会話が進まない二人でしたが、別れた後に電話で長々と会話を楽しんだことを思い出します。夜になると次々と電話が消えて行ってしまうのでした。そして「悪魔」が再び現れ、今度は映画を消すと言い出します。

学生時代からずっと映画のビデオを貸してくれて、映画の話でずっとつながっていた「ツタヤ」(濱田岳)と呼ぶ友人がいました。僕は彼に会いに行くと、最後に見るならどの映画だろうと質問しますが、ツタヤは映画は無限だから最後なんかないというのです。しかし彼女の働く映画館も、ツタヤの貸ビデオ屋も夜になると消えてしまう。再び「悪魔」が現れ、次は時計を消すと言うのです。

町の古びた時計店を営む父親(奥田瑛二)は寡黙で頑固。母親(原田美枝子)が死んだ時も、黙って治した時計を枕元に置くだけでした。そんな父親とは僕はうまく関係を築けず、こどもの時に拾った飼い猫のレタスと母親だけが家族のようなものでした。僕は彼女とブエノスアイレスに旅行したことを思い出します。しかし、旅先で知り合った男性がいとも簡単に殺され命を失ったことで、気まずくなり別れてしまったのです。「悪魔」は次は猫を消すことにしました。

最初に飼っていた猫はレタスの箱に捨てられていたのでレタスと名付けていましたが、病気で死ぬときに、母親はレタスにやっと楽になれるとと語りかけていました。そして次に飼うことになったのはキャベツの箱に入っていたのでキャベツ。実は父親が代わりの猫を探してくれていたのです。猫との関係が母親と父親との一番大事なカギになっていたことを思い出した僕は、「悪魔」に猫が消えることを拒否するのです。

僕は大事なものと引き換えに命が長引いても、世の中の自分の存在していたことも消えていくことに気が付きました。自分が消えても、何も変わらないかもしれないれど、誰かが少しでも自分を思い出しくれること、そして母親と父親の思い出をしっかり残すことを選択したのでした。

時間軸の移動が多く、何かが消えることで過去や現在が変化してしまうので、柔らかなストーリーなんですが、気を抜いていると話が分からなくなりますので注意が必要です。また、登場人物は固有名詞で呼ばれないので、見るものが自分に置き換えて感情移入しやすいというのもポイントです。

一人の一市民、場合によってはそれなりの有名人がいなくなっても、世界は当然回るのですが、その人の周りには小さなドラマがたくさん生まれているということ。楽しいことも悲しいこともありますが、その一つ一つがそれなりの意味を持っていることをあらためて思い出させてくれます。

そんな大きなことを描いてくれているわけではありませんが、自分が何を大事にしているのかを思い出させてくれる、ちょっといい作品です。また、佐藤健の他の作品とはちょっと違う役柄も見どころになっています。

2023年11月13日月曜日

犬神家の一族 (1976)

名匠、市川崑監督が横溝正史原作の金田一耕助が登場する「探偵小説」を実写化したのは、1976年の「犬神家の一族」が最初でした。角川春樹事務所が手掛けた、いわゆる「角川映画」の第1回作品で、それまでの邦画界にはなかったメディア・ミックスの手法で一世を風靡したことは特記すべきことでした。

原作は1950年に発表されたもので、横溝作品としては必ずしも高評価とは言えないところもあるのですが、この角川のプロモーションの成功により、テレビ・ドラマ化も何度もされ、今では最も知られている作品になっています。

特に湖面にさかさまに殺された被害者の二本の脚が突き出たシーンは、抜群のインパクトで誰もが鮮烈な印象を持ったことは間違いありません。市川崑は以前から久里子亭(くりすてい、アガサ・クリスティのもじり)というペン・ネームで脚本に参加するほどでしたので、この仕事を快諾したと言われています。

原作に登場する金田一耕助は、人なつっこい笑顔の体格は貧相な青年ですが、身なりには無頓着。よれよれ着物に袴という書生姿で、お釜帽をかぶった髪の毛はぼさぼさに伸ばし、興奮するとかきむしってフケを飛ばしてしまう。

これまでに映画化された金田一耕助は時代順に片岡千恵蔵、岡譲二、河津清三郎、池辺良、高倉健、中尾彬らがいましたが、古いほどスーツ姿で決めていて「フィリップ・マーロウ」を意識していたものと思われます。今作では石坂浩二が金田一を演じましたが、初めて原作に忠実な実写化がなされており、これ以降の西田敏行、古谷一行、鹿賀丈史、豊川悦司らの金田一はこのスタイルが踏襲されています(渥美清だけ除く)。

戦後すぐの那須湖畔に地域の名家、犬神家の大邸宅がありました。当主であった佐兵衛(三國連太郎)が亡くなり、遺産目当てに長女の松子(高峰三枝子)、次女の竹子(三条美紀)、そして三女の梅子(草笛光子)を中心に一族が集まってきます。松子、竹子、梅子にはそれぞれ佐清、佐武、佐智という息子がいました。

犬神家の顧問弁護士をしている古舘(小澤栄太郎)は、不穏なものを感じ金田一耕助(石坂浩二)を呼び寄せるのでした。金田一は犬神家に住む野々宮珠世(島田陽子)が乗ったボートが沈みそうなところを助けます。これは、珠世と結婚した者が遺産を想像するという遺言を巡っての連続殺人事件の前奏曲でした。

と、まぁ、犯人が誰かが一番の問題です。興味があったら、是非本編をご覧ください・・・ということなんですが、実は悩ましいことが一つあります。市川崑監督、石坂浩二主演でもう一つの「犬神家」があるんです。

作られたのは2006年で、30年ぶりのリメイクという位置づけ。ごく一部は変更点はあるものの、ほとんど1976年版と台詞もカット割りも変わらない。基本的に同じ脚本を土台にしています。石坂浩二(金田一)、大滝秀治(神官)、加藤武(警察署長)は同じ役で登場。松子は富司純子、竹子は松坂慶子、梅子は萬田久子、佐清は尾上菊之助、野々宮珠世は松嶋菜々子です。

豪華なキャスティングで話題性は十分ですが、なんでここまで同じものを作る必要があったのかが不明。灰皿のアップで、まったく同じ形・柄の灰皿が映し出されるこだわりには驚きます。まして、市川崑にとってはこれが遺作となってしまったことは、さぞかし面白くなかったのではないかと思います。若者から中年男になった金田一というのが多少興味深いところがありますが、そのまま顔つきが年食っただけというのが結論です。

2023年11月12日日曜日

本陣殺人事件 (1975)

横溝正史は70年代に、角川書店が仕掛けた最初のメディア・ミックスの対象となって大ブームになりました。特に金田一耕助は、横溝が創作した探偵として人気が高く、今でも名前は知られていることと思います。

映画としては、戦前にも金田一を片岡千恵蔵が演じましたが、スーツ姿で拳銃を構えるという原作のイメージとはほど遠いモダンな姿。角川は1976年から市川崑監督のもと、石坂浩二の原作に比較的忠実な金田一によってシリーズをヒットさせました。

しかし、これに先立つ1975年に公開されたこの映画は、当時かなり先鋭的な作家性の強い映画作りでマニアックな人気を持っていたATG(日本アート・シアター・ギルド)が製作したもので、その後の角川によるブームの陰に隠れて忘れられた存在になってしまった感があります。

しかし、原作(1946年)は金田一耕助が初めて登場した作品であり、戦後最初の長編として横溝も力を入れたもので、しかも開放的な日本家屋を舞台にした密室殺人として大変話題になりました。日本の推理小説史の中でも、重要な作品として位置づけられています。

監督・脚本は高林陽一。音楽は、高林監督と盟友だった商業映画に進出する直前の大林信彦。金田一耕助役は中尾彬で、現代の若者としてジーンズ姿で登場します。この後の横溝・金田一シリーズで度々登場することになる磯川警部は東野孝彦、金田一のパトロンとなる久保銀蔵は加賀邦夫。物語の鍵となる一柳鈴子は人気が出始めた高沢順子が演じました。

純粋な犯人捜しと密室トリックを暴くのが目的ですから、あらすじは詳しく紹介することは控えます。横溝が得意とした因習に縛られしきたりを重んじる日本旧家が舞台ですが、角川作品で取り上げられたものに比べれはあまり「おどろおどろしい」雰囲気は薄い。

岡山の旧本陣であった一柳家で、長男の腎蔵と農家出身の久保克子の婚礼が行われました。しかし、その新婚初夜に二人が眠る離れから悲鳴が響き渡り、家人が駆けつけると腎蔵と克子が斬殺されていました。

部屋には二人以外には人はいない。凶器の日本刀は庭の中央に刺さっている。そして、その日は季節外れの雪が降り積もっていたため、離れの周りには誰かが出入りした足跡も残されていなかったのでした。

映像は役者の顔のアップを中心とした主観的な表現が多用されています。カメラ移動による描写もほとんどなく、たんたんとした映像が、かえって感情に訴えるより冷静に事件を追う様子を強調しているように思います。

ただ、石坂・金田一があまりにも原作の風貌を再現していたので(後にテレビで古谷一行がこれを踏襲しました)、やはり原作を知るものとしては、中尾・金田一への違和感は今となっては消しようがない。

また、純粋に犯罪トリックを暴きつつも、いかにも芸術性を重視したATGらしい、深い洞察力を要する難しい映像、悪く言えば「意味不明」なシーンも散見され、本来の推理小説としてのエンターテインメント性が横に置いておかれているところもあるのが、原作ファンとしては残念なところかもしれません。