2023年12月8日金曜日

かわいい女 (1969)

ロックフォードの事件メモ・・・覚えていますか? 知っているのは、たぶん50歳以上の方。70年代後半にテレビで放送され、ずいぶんと人気になりました。主役のロックフォードを演じたのが、「大脱走(1963)」にも出演していたジェームス・ガーナー。

そのJ・ガーナーが、レイモンド・チャンドラーが創り出した私立探偵フィリップ・マーロウを演じた映画です。原作は長編第5作「かわいい女(The Little Sister)」で、監督はポール・ボガート。「ネオ・ノワール」と呼ばれるカラー映画の一つ。

オーファメイ・クエストという若い女性から兄のオリンを探してほしいと依頼されたマーロウは、滞在先のホテルを訪ねます。しかし、すでにオリンは姿を消していてヒックスと名乗る男がいました。マーロウが受付に戻ると管理人の男は首の後ろにアイスピックを突き立てられて殺されていました。

ヒックスはマーロウに仕事を依頼したいと連絡してきますが、マーロウが到着する前にヒックスもアイスピックで殺されてしまいます。しかもマーロウは謎の女性に殴り倒されてしまいます。女性を追跡すると、彼女は女優のメイビス・ウォルドでした。ギャングのスティールグレイブが絡んでいて、ウォルドは彼との関係をヒックスに脅迫されていたのかもしれない。

オーファメイはオリンがラガーディ医師の診療所に隠れているらしいとマーロウに伝えますが、ラガーディは逆にマーロウを眠らせてしまいます。気がつくと銃声がして、オリンが倒れこんできます。オリンは最後の力でマーロウにアイスピックを突き立てようとしたのでした。

そもそもチャンドラーの原作がいつもプロットが複雑すぎることが、小説ならいいのですが、映画となるとなかなか筋書きを理解しにくいという問題に直面します。ここでも、ばらばらのエピソードが次々と出てくるので、登場人物の相関関係が複雑でわかりにくい。

ここでのフィリップ・マーロウは、ガーナーの比較的陽気なキャラクターを反映して、ハードボイルドとはやや違った趣があります。コメディとまではいきませんが、ちょっととぼけた感じで、かっこよさはやや少なめ。

実は・・・一番の見所は、スティールグレイブの殺し屋として登場するのが、あのブルース・リーというところ。まだ有名になる前ですが、マーロウに手を引くように脅しに来て事務所をめちゃめちゃにして帰っていくシーン、そして手を引かないマーロウを殺そうとしてホテルのテラスから悲鳴と共に落ちてしまう2つのシーンだけですが、それなりにブルース・リーらしさがあって楽しめます。