夏季臨時休診のお知らせ
2024年7月27日土曜日
Paris 2024 オリンピック開会式
日本時間で本日午前2時半から、フランスはパリで、オリンピック開会式が行われました。
夜中から、寝ずに見たよという方もいることと思いますが、今回は日本と時間差がほぼ半日あり、当面熱帯夜と睡眠不足のダブルパンチが心配です。
すでに、男女サッカー予選が始まり、男子はパラグアイに快勝、女子はスペインに惜敗という結果が出ていますが、まだまだこれからです。
今回の開会式で、初めてで画期的だったのは、競技場ではなくセーヌ川を中心に式が行われたというところ。選手の入場行進はトラックではなく、100隻近い船でセーヌ川を順番に航行しました。
また、それらの光景は川沿いで無料で観客が見れたというのも、金の問題が取り沙汰されやすいオリンピックとしては英断だろうと思います。また、選手登場とフランスらしいアーティスティックなパフォーマンスが並行して行われたのも珍しい。
ただし、間延びした感はあって、まとまった「ショー」としての面白さはかなり減ってしまった感じ。さらにあいにくの天気で、事前にアナウンスがあった「夕日とのコラボ」が実現しなかったのも残念でした。
日本は、開幕直前の体操女子の問題で水を差された感がありますが、国を代表してオリンピックに参加するからには、それぞれが自分の持てる力をすべて発揮してもらいたいものです。そして、それに結果が伴えば言うことなしですね。
2024年7月26日金曜日
コクヨ GLOO
マツコ・デラックスの番組で紹介された、最新の革新的文房具をもう一つ。
スティックタイプの固形のりを使うことが多いのですが、領収書とかをチャッチャと貼りまくるときは、実は液体のりの方が意外と使いやすいものです。
ところが、液体のりは水っぽいので、貼るものがしわしわになったり、はみ出ると乾くのに時間がかかる。
そこを解決したのがコクヨのGLOO (グルー)です。
何か糖分が入って、紙にしみ込みにくいためしわしわになりにくいらしい。貼った時に明らかにきれいです。
そして、塗り面が四角というのも、ありそうでなかった。今までのはどれも〇ですから、しっかり角まで塗りにくく、場合によってははみ出てしまいやすかった。
これはなかなかの一品です。
2024年7月25日木曜日
重版出来! (2016)
原作は松田奈緒子のマンガで、マンガ週刊誌編集部を舞台に出版業界の実態をコミカルに描いたもの。黒木華はテレビ・ドラマ初主演です。
そもそもこのタイトルは何? というところから始まりますが「じゅうばん」って本を増刷することだと思うんですが、「でき」っと続くと意味がよくわからない。ドラマを見ればすぐわかるんですが、まず、「じゅうばん」ではなくて「じゅうはん」。そして「でき」ではなくて「しゅったい」と読むんだそうです。本が売れて増刷できるという意味で、出版社の最大に嬉しいことで、これを目標に皆が頑張って仕事をするわけです。
けがで柔道を引退した黒澤心(黒木華)は、マンガで何度も勇気づけられたことから大手出版社、興都館に就職し、業界2位のコミック誌、週刊バイブス編集部に配属されます。編集長はタイガース狂の和田(松重豊)、心の指導にあたる冷静な副編集長の五百旗頭(オダギリジョー)、編集部員には、漫画家は使い捨てという安井昇(安田顕)、一途に漫画家を応援する菊地文則(永岡佑)、威勢が良い壬生平太(荒川良々)が揃っています。営業部部長は岡英二(生瀬勝久)、そして心に感化され営業の仕事に開眼する小泉純(坂口健太郎)などがいて、超ポジティブな心の周囲には様々な出来事が絶えません。
マンガ界の重鎮、三蔵山(小日向文世)のスランプの原因を発見し立ち直らせたり、辛い過去をひきづる新人マンガ家の中田(永山絢斗)がデヴューできるように走り回ったり、今は自暴自棄な生活を送るかつての人気マンガ家の娘にマンガの素晴らしさを伝えたりと、とにかく心は忙しい。
このドラマの面白さは、主人公は心で、実に気持の良い周りを元気にするキャラクターが痛快というところ。コメディなんですが、やはり無理に笑わせようとするのではなく、心の言葉や行動が、無理なく可笑しさを作り出すところが素晴らしい。そして、それらにほとんど無駄な時間を費やしていない。必要最低限、ドラマを前に進めるための情報をしっかり描き出しているのです。
そして、もう一つのポイントは、登場する主だった人々のそれぞれにしっかりエピソードを割り振って、物語の中で無駄なキャラクターがいないというのもすごいことです。興都館の社長(高田純次)が何故質素な生活にこだわっているのか、安井が何故マンガ家に厳しい態度を取るのか、小泉がなんでやる気がない「ユーレイ」社員になったのか、三蔵山の万年スタッフの沼田(ムロツヨシ)が何故独り立ちできないのかなど、それぞれが端的に深く描かれます。
連続テレビドラマの場合は、いくら演出が素晴らしくても、やはり脚本家の技量がかなり大きく関与すると思います。最初からゴールをしっかりと考えていないと、途中で無駄な部分ばかりが目立ってしまいます。野木亜紀子の脚本が注目されるのは、おそらく全体の構成力が際立っていて、ストーリーが破綻せずにキャラクターを丁寧に描いているところにあるように感じました。
2024年7月24日水曜日
夏休み
あっ、夏休みなんですね。
気がつけば、7月も下旬。早い物です。
朝、近くの公園に人がわんさか集まっていて、それもこどもたちが中心。なるほど、ラジオ体操だな、夏休みに入ったんだと気がつきます。
自分が小学生の時は・・・あったのかもしれませんけど、少なくとも地域の自治会主体のこのような集まりは無かったように思います。
スタンプを集めるんでしょうけど、それが楽しみな子はどんだけいるのか・・・
そんなことより、毎日ダラダラしやすい長期の休みですから、生活のリズムを作ると言うことが大事。
ラジオ体操もしっかりすれば、とても体に良いことなんで、がんばって出きるだけ参加することは意義がありますね。
2024年7月23日火曜日
フェイクニュース あるいはどこか遠くの戦争の話 (2018)
大手の新聞社からネット・メディア「イーストポスト」に出向中の東雲樹(北川景子)は、ネットの「鶴亀食品の人気インスタント麺に青虫が混入していた」という猿滑(光石研)のツイートに注目します。
このツイートは瞬く間に拡散し、鶴亀食品は一気に業績が悪化。似たような異物混入を報告するブログがいくつも登場し、東雲はそもそもがフェイク・ニュースだという記事をかきます。
今度は東雲が多くの誹謗中傷を受けることになり、いい加減な噂がネットの中で広がり続けます。東雲は新聞記者時代に、経産省官僚の最上(杉本哲太)の不正を取材し、セクハラをされた際に得意のテコンドーで最上に怪我をさせた過去がありました。調べていくと、収益目的で猿滑のツイートに便乗するブログを書いた者やインチキのニュースサイトに誘導する者などがみつかります。
新聞社の同僚だった西(永山絢斗)からの情報もあり、これらの情報操作を画策しているのは、県知事選に立候補している最上の疑いが浮上します。東雲はさらに深く真実を探し求めて、取材を続けるのでした。
ネット社会の怖さを描いたものとしては、2012年の「白ゆき姫殺人事件」(原作は湊かなえの2011年の小説)が先駆的作品として思い出されます。野木作品では、憶測が事実のように拡散していく怖さだけでなく、どうやってフェイクが作られていくか、そしてどうやって対処すれば良いのかという点を深く掘り下げようとしています。
ただ、その結論は一度ネットに上がった話題は永遠にネットの中を漂い続けるということ、そして人々が自らの正義だとバラバラに主張することが、まるで善も悪も無い、まるで「戦争」のようなものという悲しい現実です。人々がそこまでおかしなことにならないと信じたいところはありますが、多少なりとも「かもしれない」と思わせるところが脚本の妙味です。
ネットの中で検索だけでニュースを作り、いかに閲覧者数を稼ぐかだけが評価の対象となっているネット・メディアの実態と、北川景子のいかにも仕事のできる美人という外見も合わさって、実際に取材して真実を探りたい東雲が一人浮いてしまっている状況が過不足なく描かれています。
自分のちょっとした「つぶやき」から、社会的地位、家庭すら失う猿滑、あるいはネットで様々に誹謗される東雲の人間性などは基本的に救済されることがありません。しかし、少しだけ東雲に同調していくイーストポストの仲間を通じて、一縷の望みを託せる「メディアの良心」がわずかに垣間見えるのは見ていて助かります。
テーマがテーマだけに、野木作品の持ち味の一つである出過ぎないユーモアは封印されていますが、自身のオリジナル作品として勝負していける脚本家であることを再認識できる作品です。
2024年7月22日月曜日
カラオケ行こ! (2024)
良質な作品を作るためには、脚本もかなり重要な位置を占めています。原作がある場合、それを3次元の世界で、しかも一定の制約の中で、ストーリーとして成立させるのは脚本家の手腕にかかっている。
最近、原作の実写化における改変について議論を呼んでいるわけですが、世界観が変わりすぎて批判されることもあるし、原作を知っていても新しい楽しみを得られると評価される場合もあり、意見は様々です。どちらの場合でも、原作者との緊密な連携があれば、トラブルは少ないはず。しかし、ヒットすれば何をしても良いというような、実写制作側の「おごり」のようなものが感じられるのは残念なところです。
野木亜紀子は作家性の強い脚本家として、注目すべき人だと思います。2010年にオリジナルの「さよならロビンソンクルーソー」で第22回フジテレビヤングシナリオ大賞を受賞しデヴューし、2012年には「ラッキーセブン(フジテレビ)」の半分以上の脚本を任され、松本潤、瑛太、松嶋菜々子、大泉洋、角野卓造などのそうそうたるメンツを見事に動かしました。
そして「空飛ぶ広報室(2013 TBS)」、「掟上今日子の備忘録(2015 日テレ)」、「逃げるは恥だが役に立つ(2016 TBS)」、「獣になれない私たち(2018 日テレ)」と新垣結衣の主演ドラマを連続4作担当しました。また「アンナチュラル(2018 TBS)」、「MIU404 (2020 TBS)」などのヒット作も手掛けています。特に「アンナチュラル」以後は、すべてテレビでは原作も自ら手掛けるオリジナル作品だけというのが特筆すべきポイントです。
映画でも「図書館戦争(2013~15)」の全シリーズを皮切りに、「アイアムヒーロー(2016)」、「罪の声(2020)」などの話題作を担当しました。そして、もうじき、「アンナチュラル」と「MIU404」の世界観をクロスオーバーさせた「ラストマイル」の公開が迫っています。
目下のところ、野木亜紀子脚本の最新作はこの映画です。原作は和山やまのマンガで、監督は山下敦弘。
森丘中学の合唱部の部長をしている岡聡実(斎藤潤)は、合唱コンクールの帰りに突然祭林組若頭補佐の成田狂児(綾野剛)に「カラオケに行こう」と呼び止められます。組長の誕生日に行われる恒例のカラオケ大会で、一番下手な者が組長自ら下手糞な刺青をされてしまうので、歌い方を教えろということでした。X JAPANの「紅」を熱唱する狂児は、お世辞にもうまいとは言えない。
なりゆきで付き合うことになってしまった聡実でしたが、変声期を迎えて担当のボーイ・ソプラノがきつくなっており悩んでいたのです。秋の合唱大会の当日が祭林組のカラオケ大会でした。バスでいつものカラオケ店の前を通りかかった聡実は、店の前に潰れた狂児の車と力なく救急車に運ばれる男性を目撃してしまうのでした。
野木亜紀子の脚本がどんな特徴があるのかを論じるだけの知見は持ち合わせていませんが、どの作品でも言えることは登場人物のキャラクターが立っているなと感じます。この映画でも変声期を迎えた思春期のビミョーな時期の中学生、通すべき筋は通しカラオケに真剣に取り組もうとするヤクザという、対照的な二人なのにしだいに「ともだち」になっていく過程に無理を感じません。
内容だけ聞けばコメディなんですが、無理に笑いを取るようなユーモアはほとんどなく、自然な彼らの行動がじわっと可笑しさを出しているあたりは好感が持てるところ。聡実の本音の部分も、映画独自の「映画を見る部」というものを設定して、その中で垣間見えるというのもなかなか良いアイデアでした。
いずれにしても、過ぎ去っていく時代、それは変声期を迎えた中学生であったり、古いタタイプのヤクザであったりするわけですが、それらの哀愁みたいなものをうまく映像の中に表現した作品であろうと思いました。
2024年7月21日日曜日
ORENZ
そもそも文房具の基本中の基本は紙と筆記具だと思うんです。鉛筆があるから、消しゴムや筆箱に価値があるわけですし、紙があるからハサミやのりが必要になる。ところが、世の中のデジタル化の中で、紙と筆記具は急速に使用頻度が減少しています。
本屋さんが減っているというのはしばしば話題になりますが、文房具屋さんも見かけなくなってきました。ところが、逆にアナログなものに新鮮な楽しみを発見する若者が増えているというのも事実で、我々昭和人の常識を覆すような画期的な文房具も増えています。
そんなわけで、マツコ・デラックスの番組で紹介された文房具を、さっそく買ってみました。
一言で云えば「シャーペン」なんですが、シャープペンシルは削らずに書き続けられる鉛筆として、たぶん自分が小学生高学年ごろから一般に普及したと思います。ある意味、革命的に「書く」という行為が楽になった。
ただし、芯が細いので、ちょっと力を入れると芯がポキポキ折れてしまう。ついつい、カチカチとノックし過ぎるのもダメ。そこで、最近画期的な製品がぺんてるから登場していました。
その名は「ORENZ(オレンズ)」です。芯が「折れんず」というわかりやすいネーミングの是非はともかく、セールスポイントは芯が折れないというもの。
ノックは1回。芯がカバーと一緒に出てきて、書いて芯が擦り減るのに合わせて、カバーがスライドしていくことで邪魔をしないというもの。
芯を強力に保護できるので、0.2mmという信じられない細さの製品もラインナップされています。あまりの人気で入手困難になっている。今回は在庫があった0.5mmを手に入れましたが、一番馴染みのある太さなので、字を書くという目的では書き味は何の問題もありません。
確かに1回のノックで芯がカバーごと出てきて、普通に書く分には通常の数倍は書き続けられる印象です。シャーペンを使う時のストレスがかなり軽減されることは間違いなく、なかなか面白い製品です。
2024年7月20日土曜日
グッドモーニングショー (2016)
朝のワイドショー担当するメイン・キャスターは澄田真吾(中井貴一)、サブに入る女子アナは小川圭子(長澤まさみ)と新人の三木沙也(志田未来)。プロデューサーの石山聡(時任三郎)は、マンネリで人心一新が検討されていることを澄田に伝えます。
この日、いつものように午前3時に起床した澄田は、いきなり息子からできちゃった結婚すると告げられ、出社すると勘違い女子の圭子に私たちが付き合っていることを放送中にカミングアウトすると言われ、報道部からは低俗なワイドショーと嫌味を言われる。
それでも、いつも通り8時になると番組をスタート。いつもと同じと思いきや、突然入ってきた「立てこもり事件」の速報。テレビ局から近い場所で、猟銃を持った男が人質を取って立てこもったのです。しかも、犯人の要求は、何と澄田を連れてこいというものでした。
視聴率のためなら何でもしなきゃいけない澄田は、しかたがなく現場に急行し、隠しカメラ・隠しマイクをしたためて警察に守られて店に入るのでした。犯人の西谷颯太(濱田岳)は、澄田にワイドショーが散々嘘をまき散らしてきたことを土下座して謝罪しろというのです。
前半、生放送のテレビ番組が作られる仕組みの一端が事細かに見せられるのは、楽屋を除くような新鮮さがあり、本物を見たことが無くてもなるほどと納得できます。後半の犯人説得は、さすがにそんなこと警察がさせるわけがない。
でも、怒涛の勢いで番組が進行するのと同じで、映画を見ている側もそれが嘘だろうとか考える暇がありません。一気に押し切ってしまう、企画力の勝利ということでしょうか。こういう真面目そうなキャスターの役には、中井貴一はぴったりというところ。直接ストーリーに関わるわけではありませんが、長澤まさみのいかにも「女子アナ」風のキャンキャンした雰囲気が良いアクセントになっています。
特別に世間に訴える内容があるとは言えませんが、ワイドショーの功罪をうまくまとめ上げているところが見どころというところでしょうか。
2024年7月19日金曜日
2024年7月18日木曜日
劇場版 コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命- (2018)
医療系ドラマは嘘がわかってしまうのであまり見ないのですが、「TOKYO EMR」よりは現実味があり、若い医師たちの成長に主軸があるので、これはけっこう楽しめます。神がった医師が登場する「ドクターX」とか「ブラックペアン」はありえないし、「白い巨塔」のような権威主義に凝り固まったのも嘘臭くてダメ。
2008年から始まったテレビ・ドラマ「コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命」は、大変人気を呼び、2009年にスペシャル・ドラマ、2010年に2ndシーズンが放送され、緊急時にヘリで駆け付ける若い救急救命医師たちの成長が描かれました。さらに2017年に彼らの下に新たな若い研修医が配属される3rdシーズンが放送され、その延長として10年間の完結編となる劇場版が2018年に公開されました。シリーズ全体の演出に関わった西浦正記が監督を務め、3rdからスタッフになった安達奈緒子が脚本を担当しています。
ヘリコプターに搭乗して現場に直接医師が出向き、救える命を一人でも増やすというドクターヘリのフライトドクターの認定を取得した藍沢耕作(山下智久)、白石恵(新垣結衣)、緋山美帆子(戸田恵梨香)、藤川一男(浅利陽介)と、1人のフライトナース・冴島はるか(比嘉愛未)は、翔陽大学附属北部病院救命救急センターで苦楽を共にしてきた仲間。彼らの下に配属されたのは、フライトドクター候補生の名取颯馬(有岡大貴)、灰谷俊平(成田凌)、横峯あかり(新木優子)と新人フライトナースの雪村双葉(馬場ふみか)です。
今回のストーリーで扱われる大きな出来事は、成田空港での旅客機着陸失敗による事故と海ほたるへのフェリーの衝突事故。例によって立て続けに大きな事故が起こるのはストーリーを進めるうえでしょうがないのですが、実は間に挟まった雪村とアルコール依存症の母親とのエピソードが重要。これまでにも藍沢や白石の家族との関係が描かれ、彼らが成長する過程で家族との関りも大きなカギになっています。
基本的には、劇場版だけを見ても楽しめるとは思いますが、主要登場人物の動きは、10年かけて積み上げてきた細かいエピソードが様々な形で反映されたもの。はっきり言って、過去のテレビ・シリーズを知っているか知らないかで、映画への没入感はかなり大きな差が出るところ。おそらく制作サイドも、ずっとファンでいてくれた人々へ一定の決着を見せることをものすごく意識したのだろうと思います。
そういう意味で、「映画」としての評価はなかなか難しい。2時間程度の一定の枠内で何らかのドラマを見せるものとしては明らかに不親切で、明らかに大河ドラマの最終回みたいなものになっています。ですから、通常の映画ファンにはあまりお勧めできないかもしれません。映画は山ピーやガッキーのファンという方向けなんですが、もっともそういう方はテレビ・シリーズもずっと見てきたとは思うので、特に問題はないのかもしれません。
2024年7月17日水曜日
パレード (2024)
この映画も、そのようなネット配信の最新作の一つ。監督は37歳という若さにもかかわらず、すでに「新聞記者(2019)」で注目される藤井道人。脚本は「百円の恋(2014)」の足立紳です。
津波に呑み込まれ海岸に打ち上げられた美奈子(長澤まさみ)は、離れ離れになった息子を探して瓦礫の山となった街の歩いて救護所にたどりつきますが、誰も自分に関心を持たず、話しかけても返事すらしません。再び街に出ると、一台の車の男性が通りすがりに「大丈夫ですか」と声をかけてくれました。
アキラ(坂口健太郎)と名乗る男性は、街から離れた廃遊園地に美奈子を連れていきますが、そこにはやたらと口数が多いマイケル(リリー・フランキー)、皆の食事の面倒などを見るスナックのママ(寺島しのぶ)、ヤクザのせがれの勝利(横浜流星)、新聞ばかり読んでいる無口な田中(田中哲司)がいました。
かれらの話から、美奈子はすでに死んでいること、現世に強い未練を残した者たちが「あっちの世界」との間でとどまる場所であることが伝えられます。最初は受け入れられない美奈子でしたが、しだいに状況を理解し、息子の安否を調べるようになりました。
ママは自分のこどもたちが無事に大人になるのかを見届けたい、アキラは無骨な父親が自分のことを小説に書くようになったのでその完成を待ちたい、マイケルは別れた恋人にちゃんと謝りたいなどの未練があったのです。そういう思いを持った死者は他の場所にも大勢いて、月に一度全員が街の通りを行進するのが恒例で、そこで会いたかった人を探すのでした。
勝利は組の抗争で死んで、残した恋人がどうなったかが気がかりでした。自分の七回忌の法要を遠くから見つめていた女性を見つけると、彼女が今でも自分の事を忘れずいること、でもその上で新しい幸せを掴もうとしていることがわかり安心します。勝利は田中に「行きましょう」と云います。田中はこの世界の「監視員」で、思いの整理がついた人々を「あっちの世界」に導く係だったのです。
新たにセーラー服の高校生ナナ(森七菜)が仲間に加わります。彼女はいじめを苦にして自殺したのでした。マイケルはみんなに協力してもらい、自分の過去をストーリーにした映画を撮り始めます。そして、美奈子は息子が無事に施設で生活し始めたことを知らされるのでした。
死後の世界を舞台にしたストーリーはたくさんありますが、この世に未練があり成仏できずに「彷徨える幽霊」となった人々を描くというのは新鮮な着眼点かもしれません。生き残っている者にも、死者に対する未練はあるはずで、そういう意味では現世と映画の世界は合わせ鏡のような存在なのかもしれません。
ただし、こっちから向こうには行けるかもしれませんが、向こうからこっちには戻ってこれないというところが決定的な違いです。自分の死を納得できる形にするのは、とても大変なことなんでしょう。特に事故などで突然の死を迎えた方には、並大抵のことではない。この映画では、死んで終わりではなく、死んでから始まるストーリーがあることを教えてくれます。
もちろん、あくまでも生きている人の想像にすぎませんが、誰もそんな世界を生きているうちに知ることはできないのですから、ファンタジーと言ってしまえば確かにその通りです。でも、一欠片のリアルを感じることがあれば、この映画は成功といえるのかもしれません。
注) 2月に公開されたばかりなので、紹介しているBlurayはおそらく中国製で正規品ではありません
2024年7月16日火曜日
キャラクター (2021)
人気マンガ家のアシスタントをしている山城圭吾(菅田将暉)は、作画能力が高いことは誰もが認めるものの、読者を魅了するキャラクターを描けないため、自身が自立することを諦めかけていました。
アシスタントとしての最期の仕事、「幸せそうな家」のスケッチをするため夜の街に出た山城は、クラシック音楽が聞こえてくるモダンな一軒家を見つけます。スケッチをしていると、近所の家から顔を出した人に「音楽がうるさい。止めるように言ってくれ」と頼まれ、家の中に入ってしまいます。
そこで山城はが目撃したのは、食卓を囲むように椅子に縛り付けらた4人家族の惨殺遺体でした。そして、庭から出ていく犯人を目撃しますが、真壁(中村獅童)や清田(小栗旬)ら警察の取り調べでは「誰も見ていない」と証言します。
山城は憑りつかれたように事件をヒントにして、目撃した犯人の姿を主人公にしたマンガ「34(サンジュウシ)」を書き始めます。これが大人気となり、1年後には恋人の河瀨夏美(高畑充希)と結婚してタワーマンションに引っ越していました。
そして山林の中で林道から転げ落ちた車の中で、あらたに4人家族の惨殺遺体が見つかります。清田は事件の様子が「34」で描かれたものと酷似していることに気がつき、山城に話を聞きに来ます。そして、もう一人、両角(Fukase)と名乗る青年も山城に接触してくるのでした。山城は両角を見て凍り付くのでした。
基本的には犯人が分かっているサイコ・スリラーですが、犯行の動機や山城との対決、そして衝撃的な小栗旬の役回りなどの見所満載の映画。とは言っても、2時間程度の映画の中で描くには話の展開が早すぎて、それぞれの人物描写が物足りない。それぞれの「キャラクター」が特徴的なのに、ネタの掛け捨てになっているような印象です。
その結果、誰にも感情移入できないので、映画の世界に没入しにくいところがあるように思いました。ただし、Fukaseの演技そのものは初めてとは思えない注目のものです。直接的な猟奇殺人のシーンはほぼ無いのですが、十分にサイコティックな怖さが伝わってきます。
全体のコンセプトは面白いので、ネット・ドラマで5~6話くらいで、もう少し丁寧に描かれるともっと興味深く仕上がったのではないかと感じます。
2024年7月15日月曜日
メタモルフォーゼの縁側 (2022)
原作は鶴谷香央理の漫画で、監督は「青くて痛くて脆い(2020)」の狩山俊輔、脚本は「ちゅらさん」、「ひよっこ」の岡田惠和。「メタモルフォーゼ」とは「変化」とか「変身」という意味。
高校生の佐山うらら(芦田愛菜)は、いろいろなことを気にするタイプ。自分を表に出すのが不得意で、同級生で幼馴染の河村紡(高橋恭介)が他の女の子と仲良くしていることも気になっている。うららが本屋でバイトをしていると、75歳の市野井雪(宮本信子)が表紙の絵がきれいという理由でBL(ボーイズ・ラブ)コミックを買っていきました。
うららは雪が何度か訪れるうちに会話をするようになり、他のBLコミックを貸してほしいといわれ雪の自宅にも訪問するようになります。二人は年齢を超えてともだちになり、BLの魅力で大いに盛り上がるのです。
マンガを描くことも好きなうららは、自分が描くから二人で同人誌販売会に出ようと雪を誘います。その当日、雪が腰を痛めたため、一人で販売会に行ったうららでしたが、自分の場所を開くことができずにいました。そこへ紡がやって来て、「僕はこの話好きだよ」と言って1冊購入してくれたのです。
雪は知り合いの助けで車でなんとか近くまできたところで、車が故障し立ち往生。そこへ通りかかった販売会帰りの女性が、うららのマンガに興味を示し雪が持っていた一冊を買い取ってくれました。その女性は二人が大好きなマンガの作者であるコメダ優(古川琴音)だったのです。
雪の自宅の縁側で、二人がいろいろと語り合ううちに年齢差を超えた大切な時間を過ごし、まだまだ大人になり切れない不安定な揺れる思いを抱えるうららは、しだい自分の思いを表に出すように変わっていくのです。雪はこどもの頃を思い出し、自分にもまだ挑戦できることが残っていたことに気がつき、それぞれが「メタモルフォーゼ」していく。
大袈裟な波風が立つわけではありませんが、少しずつ汐が満ち引きするような内容で、最後まで飽きずに見ることかできました。BLについては趣味じゃないのでよくわかりませんが、登場する二人にとっても、おそらく遠いところにある存在だと思います。でも、遠いからこそ、未来を見るため、過去を振り返るためのきっかけとして機能したように思います。
2024年7月14日日曜日
そらのレストラン (2019)
設楽亘理(大泉洋)とこと絵(本上まなみ)の夫婦、そして娘の潮莉(庄野凛)の三人は、海が見える牧場を営み、採れた牛乳でチーズを作っていました。
幼馴染でもある近所の農家の富永芳樹(高橋努)、石村甲介(マキタスポーツ)と妻の美智(安藤玉恵)、イカ釣り漁師の野添隆史(石崎ひゅーい)と言った友人たちと毎日を過ごしていました。そこに脱サラで牧羊を始めたばかりの神戸陽太郎(岡田将生)が加わり、より賑やかさが増してきました。
彼らは収穫物を朝市に持っていくと、札幌の有名シェフである朝田一行(眞島秀和)がその美味しさに感動して、皆にそれらを使った創作料理をふるまいました。それぞれが、自分の作ったものには自信がありましたが、さらに美味しくなったことに驚きます。そして、この美味しさをもっと多くの人に知ってもらおうと、一日だけの「レストラン」を開こうということになります。
亘理は父親が亡くなり牧場を継いだ時に、近くのチーズ工房の大谷雄二(小日向文世)にこの牛乳じゃないとチーズが作れないと言われ、出来上がったチーズの美味しさに感動してチーズ作りの教えを請うたのです。以来、大谷を師匠と仰ぎ、度々味見してもらいますが、なかなか理想の味にたどり着けない。大谷の妻、佐弥子(風吹ジュン)はこと絵や美智らとの交流の中で、やさしい祖母のような役割をしていて、まるで仲間全員が一つの家族のようでした。
ある日、亘理は出来上がったチーズを大谷に吟味してもらうため持っていくと、彼は口にする前に「なんでチーズを作っているんだ。お前は・・・」と言いかけて倒れます。そのまま帰らぬ人になってしまい、師を失った亘理は目標を失ったことで牧場もやめると言い出すのです。
仲間たちがそれぞれのやり方で励ます中、佐弥子から贈られた鍵で工房に入った亘理は、たった一つ残っていた初めて牛乳を届けた日に作られたチーズを見つけます。それを食べてみると涙が流れ、亘理はやっと「大谷さんのチーズ」ではなく「自分のチーズ」を作らないといけないことに気がつくのでした。
ファンタジー色が強く、心が現れるようなやさしさが描かれた前2作に比べると、ストーリー性が強調され、起承転結がはっきりした内容になりました。前のふわっとした雰囲気が好きな人にはちょっと現実感が強すぎるかもしれませんが、物語としての面白さは一番かもしれません。
冒頭、吹雪の中、「海の見える牧場」を見たくてやってきたこと絵が初めて亘理と出会うシーンは、いろいろ賛否両論がありそうです。いきなり10年後に三人家族になっているのですから、話が突飛すぎる。ただ、この地で生活する厳しさ、その中で作られる牛乳の良さ、そして亘理とこと絵の人間性みたいなものが端的に伝わるシーンであり、夏の牧場のさわやかな雰囲気をより強調する役割があるように思います。
2024年7月13日土曜日
ぶどうのなみだ (2014)
アオ(大泉洋)は、空知で小麦畑で生業とする父親(大杉連)に反発し家を出て、オーケストラ指揮者として名が知られるようになります。父親が亡くなっても葬儀に出席することが無かったアオでしたが、突発性難聴で夢を断念せざるをえなくなりました。小麦畑を継いだ弟のロク(染谷将太)のもとに戻ったアオは、ブドウを植え付けワイン作りを始めますが、なかなか思ったようなワインができません。
ある日、キャンピングカーでやってきたエリカ(安藤裕子)が、ブドウ畑沿いの道路に穴を掘り始めます。アオは勝手なことをするなと怒りますが、ここはあたなの土地じゃないとあしらわれてしまいます。調べに行ったアオの友人たち、しまいにはロクまでも、エリカと宴会を楽しむ始末に、アオは面白くない。
自分を残して出て行った母親との唯一の絆であるアンモナイトの化石を集めるため。エリカは穴を掘っていたのです。アオは一生懸命なエリカの姿に少しずつ心を開き、アオのワインは泥臭いが美味しいと言います。今年の新しい樽を開いたアオは、思い通りにいかないことにイラ立ち、樽を捨て研究の資料などをぶちまけてしまいます。
ロクは、アオが家を出るきっかけになったアオの音楽のトロフィーを捨てたのは父親ではなく自分であること、そして拾い上げた父親が大事にしまい込んでいたことを話します。やっとアンモナイトを見つけたエリカは、アオに手紙を残して突然いなくなってしまうのです。
最後の最後までまったく笑顔を見せない大泉洋というのは、他には無いかもしれません。いつもの明るいキャラを封印して、シリウスな演技に徹する大泉というのも珍しく、この映画の見所の一つになっています。
前作もそうなんですが、北海道の自然の美しさは目を見張るものがあります。それがこの映画の大元にあることは間違いなく、ファンタジー風のストーリーや登場人物に違和感を感じたとしても、それを積み込んで許容してしまう魅力と言えそうです。
タイトルの「ぶどうのなみだ」は、春になると剪定した枝から水が染み出て活発な命の活動が再開されることを意味しており、登場人物たちの再生をあらわす言葉ということです。
2024年7月12日金曜日
しあわせのパン (2012)
北海道、洞爺湖西岸に実在するゴーシュという喫茶店がモデルになっていて、ロケもこの店を中心に行われました。監督・脚本は三島有紀子、原田知世と大泉洋のW主演で、1年近くかけて四季の景色を映しこみました。
水縞尚(大泉洋)とりえ(原田知世)の夫婦は、洞爺湖を望む高台にロッジを経営し、1階のカフェ・マーニには尚が焼くパンとりえが淹れるコーヒーが名物となり、ちょっと変わった常連客がたむろするようになりました。
夏のある日、彼に旅行をドタキャンされた香(森カンナ)がやってきます。たまたまやってきた常連の時生(平岡佑太)にも香は酔った勢いで絡みますが、水縞夫妻のもてなしと時生の優しさによって、しだいに本当の幸せに少し気がつくのでした。
秋のある日、父親(光石研)と暮らす小学生の未久(八木優希)が店にやってきました。未久は一人で過ごす時間ばかりで、父親とも話をする時間がほとんどありません。りえは未久の気持ちを察して、父親と二人の食事をセッティングします。
冬のある日、吹雪の中、坂本夫妻(中村嘉葎雄、渡辺美佐子)がやってきます。二人は生きていく希望を失い、新婚の思い出の地にやってきたのです。尚とりえは、二人の不審な雰囲気を察して、人生に楽しみがあふれていることをあらためて気がついてもらえるよう仕向けるのでした。そして春がやって来るのです・・・
終始、北海道の景色を背景に、水縞夫婦の温かさがゆったりと流れる時間の中に描き出されています。大きな事件が起こるわけではありませんが、見終わって何となく気持ちが優しくなれる気がします。
大泉洋もここではギャグを封印して、素敵な大人を演じているのですが、これはこれで一つのはまり役という感じがします。原田知世は相変わらずの透明感のある美しさで、映画の雰囲気をしっかりと代弁していました。
2024年7月11日木曜日
セブンのおにぎり 43
季節限定のコンセプトおにぎりが登場です。
夏!! っということで、夏祭りの屋台をイメージしたと思われる二品です。
「玉子をのせた そばめし」はそのまんまソース焼きそばを細かくしてご飯と混ぜたもの。具材としては、キャベツ、豚肉、天かすなどが何となく入っています。
一番の売りはタイトルにもある「目玉焼き」風の薄いたまごがのっていること。おにぎりと薄焼き卵の間にはあおさ入りマヨネーズで、焼きそば感をアップさせています。
味は濃い目。いかにもB級グルメのソースの味がたっぷり味わえます。
もう一つは、「こんがり焼いた 焼きコーン」です。醤油をかけて焼いた屋台のとうもろこしをバラバラにして、バター醤油ごはんと混ぜたもの。
こういうトウモロコシが好きなので、登場したのは嬉しいし、当然想像通りの味で文句はありません。
ただ、とうもろこしがバラバラと落ちるので、食べにくいったってありゃしない。思い切り包装を切ってはいけないやつです。食べるときはご注意を。
2024年7月10日水曜日
銀魂2 掟は破るためにこそある (2018)
一作目はついやや褒めてしまったのですが、2作目は・・・はっきり言って遊びすぎ。
坂田銀時(小栗旬)、志村新八(菅田将暉)、神楽(橋本環奈)の万事屋三人衆が主役のはずなんですが、ほぼギャグをするための登場で、特に彼らがメインの前半はダラダラと笑えないネタが延々と続く・・・というとこの映画ファンからはお叱りを受けるかもしれませんけど、どう考えても調子に乗って悪乗りしている。
メインのストーリーの本当の主役は真選組。幕府を潰したい高杉晋助(堂本剛)は、真選組副長の土方十四郎(柳楽優弥)の首にヘタレチップを打ち込み、超硬派の土方をいっきにヘタレに変身させて真選組から追い出します。そして、局長近藤勲(中村勘九郎)の信認厚い伊藤鴨太郎(三浦春馬)に、真選組の乗っ取りをさせようとするのです。
鴨太郎は近藤を乗せた列車を、自分の配下だけにして近藤暗殺を企てます。しかし、沖田総悟(吉沢亮)は一人、近藤を守るため奮闘するのです。ヘタレになった土方は最後の真選組としての思いを銀時に託し「真選組を守ってくれ」と頼むのでした。土方をつれて万事屋の三人は、列車に追い付き沖田を援護するのです。
江戸では、高杉の配下、千人斬りの河上万斉(窪田正孝)が将軍(勝地涼)の首を狙って江戸城に攻め込みます。急遽江戸にもどった銀時は万斉と、そして戦いの中でヘタレチップを無効化することができた土方は鴨太郎との決戦に挑むのでした。
福田監督の悪いところがいっぱい詰まった映画・・・と言うと言いすぎかもしれませんが、申し訳ありませんが二度と見ないと思う作品になってしまいました。ただし、唯一見るべきところは、今は亡き三浦春馬の演技。徹頭徹尾ギャグ無しで、孤独な鴨太郎をシリアスに演じていました。
2024年7月9日火曜日
さんじゅうきゅうどぉ~ 2024
先週からだいぶ暑くなってきて、梅雨の湿気でムシムシするわでとにかく不快な日が続きます。
横浜界隈では、去年、38゜突破が7月11日、39゜は7月19日、そして40゜の大台が8月5日というのが自分の記録。
今年は、昨日は朝から30゜近い気温があり午後にはついに39゜まで上がりました。地図で見ると関東から東海地方は真っ赤っかです。
体感温度50゜とか表示されると、もう普通に外を歩ける気温じゃない。
夕立があってちょっと涼しくなった昭和の夏が懐かしい~
2024年7月8日月曜日
銀魂 (2017)
21世紀の空知英秋の「銀魂」は、まったくわからない。わからないにも関わらず「SF人情なんちゃって時代劇コメディ」と作者自ら称しているところとキャスティングに興味があって映画ならというわけで見てしまいました。
原作を知らないと、この独特過ぎる世界観はわずかな説明しかないのでかなり理解に苦しむと思いきや、見ているうちに何となくわかってくる仕組みになっていました。監督は例によってバカ騒ぎ大好きなギャグ映画が得意の福田雄一で、当然脚本も監督本人が担当。福田作品らしくくだらないしょーもないギャグ満載なんですが、テンポが良いので見れる作品でした。
未来感のある世界ですが、時代は江戸末期。天人(アマント)と呼ばれる宇宙人の襲来によって、将軍は天人の軍門に下り幕府は傀儡政権になってしまいました。かつて吉田松陽の塾で学んだ坂田銀時(小栗旬)、桂小太郎(岡田将生)、高杉晋助(堂本剛)らは天人に戦いを挑んでいましたが、今では散り散りになり刀も失い隠遁生活を送っていました。町では治安を守るため真選組が組織され、局長の近藤勲(中村勘九郎)、副長の土方十四郎(柳楽優弥)、沖田総悟(吉沢亮)らが幅を利かせていました。
銀時は町で何でも引き受ける万事屋を商売にして、元剣術道場の跡取りで弱虫の志村新八(菅田将暉)、宇宙最強の夜兎族の少女である神楽(橋本環奈)らと生活していました。銀時は刀鍛冶の村田鉄也(安田顕)から連絡を受け、盗まれた亡き父の打った名刀「紅桜」を探すよう依頼されます。そのころ江戸の町に辻斬りが出没し、銀時の昔馴染みの桂が斬られます。
桂を斬ったのが紅桜を手にした岡田似蔵(新井浩文)であることがわかり、銀時は仁蔵と戦うのですが、紅桜の強大な妖力の前に重傷を負ってしまいます。桂の匂いをペットの巨大犬・定春に追わせた神楽は停泊中の巨大戦艦にたどり着きますが、そこは悪徳商人の武市変平太(佐藤二朗)と部下の二丁拳銃使いの来島また子(菜々緒)、そして彼らを操り江戸の町を破壊することを企む高杉晋助らのアジトだったのです。
紅桜は村田自身が打ったもので、斬れば斬るほど相手のデータを蓄積して強大化し、持つ者すら取り込んでしまう刀でした。似蔵はもはや刀と一体化した化け物と化していたのです。神楽は捕まり、助けに乗り込んだ新八も捕らえられピンチとなりますが、事件の真相にたどり着いた真選組が乗り込んできます。そして、まだ傷が癒えない銀時も決戦を挑んでくるのでした。
原作を知っている人からは、かなりマンガに近い見た目の登場人物、そしてセリフや行動も原作を損ねないので、なかなか評判は良いらしい。アクション・シーンはまずまず頑張った。CGは合格最低ラインはクリア。笑わせる部分としんみりさせる部分のバランスが丁度よいので、ギャグはやりすぎ感はあるものの作品としてはまとまった出来になっています。
2024年7月7日日曜日
キューティハニー (2004)
2004年に実写映画化されたわけですが、何と監督が「エヴァンゲリオン」の庵野秀明。アニメの主題歌を今風にリメイクして歌った倖田來未も人気となり、話題性は十分でした・・・が、さすがにはっちゃけたノリについていける観客は多くはなかったようで、興行的には失敗し制作会社は倒産しています。
悪の組織、シスター・ジル(篠井英介)が率いるパンサークロー。その四天王がブラック・クロー(及川光博)、ゴールド・クロー(片桐はいり)、コバルト・クロー(小日向しえ)、スカーレット・クロー(新谷真弓)の四人です。彼らは、貴金属を大量に強奪、若い女性を大勢誘拐し、そして宇津木博士(京本政樹)を拉致しました。
宇津木博士の姪、如月ハニー(佐藤江梨子)は叔父様を救うべく、大量のおにぎりを食べてエネルギーを蓄えると愛の戦士キューティ・ハニーに変身し、博士を救出します。それを見ていた警視庁の秋夏子警部(市川実日子)は、ハニーの謎を探るべく追跡し、新聞記者の早見清児(村上淳)はパンサークローの情報と引き換えにハニーに密着取材を申し出ます。
実はハニーの父、如月博士はパンクローの手によって殺されていたのです。清児は
・・・って、まぁ、ストーリー的にはよくある「戦隊物」的な展開で、当然正義は勝つわけですが、主人公が最後に愛の力を使うと言うのが多少違うかもしれません(微々たるものですけど)。
実写化にあたっては、マンガ的になるようにコマ撮りした絵をつなげるパラパラ漫画みたいな手法が多用されていて、監督の工夫と褒めたいところですが、アクションとしては嘘くささが目立ってしまい、サトエリのファンという方以外にはあまり響かないように思います。
やはりこの手のマンガの実写化というのは、原作に寄せすぎればつまらないし、かといって離れすぎても嘘っぽさが際立つと言う、映画人泣かせというところのようです。にもかかわらず、2007年にはテレビドラマ版(原幹恵主演)が作られ、2016年には再度映画化(西内まりや主演)されているというのは、一定のコアなファンがいるということでしょうか。
2024年7月6日土曜日
新解釈・三國志 (2020)
当然、内容は中国の後漢から三国時代の、各地で多くの人材が名を上げていた時代の歴史書「三國志」を基にしたものですが、勇猛果敢なはずの登場人物をかなりその場しのぎのいい加減な人物として描いているので、いくら「新解釈」とは言え、よくも中国から猛反発を食らわなかったなと思います。
とは言え、いずれにしてもくだらいギャグ満載で、あまりにもドタバタが過ぎてしまったため、有名俳優が大勢出演しているにも関わらず、やはり高い評価は得られていません。基本的にはマニアックな福田ファンとかコアな大泉ファン以外には、ほぼ不要な作品と言えると思います。
蜀を率いる劉備(大泉洋)は超めんどくさがりなのに、部下の関羽(橋本さとし)と張飛(高橋努)から祭り上げられて仕方がなく将軍になっちゃった。一番強い部下は常にかっこつける趙雲(岩田剛典)で、時代考証的絶世の美女である貂蝉(渡辺直美)を、後漢を牛耳っていた暴君、董卓(佐藤二朗)のもとに送り込み、部下の呂布(城田優)を手玉に取って董卓を殺させます。
劉備は軍司として諸葛孔明(ムロツヨシ)を招き入れますが、孔明も劉備に劣らずいい加減な男。劣勢の呉の孫権(岡田健史)と手を組んで、北方で力を強大化している魏の曹操(小栗旬)と対決するように進言します。
長江の赤壁で相対する曹操軍と劉備・孫権連合軍。曹操軍は合戦前の酒盛りで裸踊りで楽しんだため、多くの兵がお腹をこわし疫病が蔓延してしまいます。劉備は疫病のところなんかに行きたくないと撤退してしまうのです。
孔明だけが残り、ずっと向かい風でしたがもう直追い風になるタイミングで火を放てば勝てると言い張るのでしたが、呉の周瑜(賀来賢人)は信用しません。実は孔明の考える作戦は、すべて妻の黄夫人(橋本環奈)の手ほどきによるものだったのです。
他に磯村勇斗、山本美月、山田孝之、西田敏行なども登場しますが、びっくりするチョイ役で広瀬すずまで出演しているのは驚きました。
2024年7月5日金曜日
らんま1/2 (2011)
最近新たなアニメ・シリーズ製作がニュースになり、再び話題になっています。過去に実写化されたのは一度だけで、日本テレビが2011年に2時間枠のスペシャル・ドラマ(正味95分)として放送しました。劇場用映画ではありませんが、原作を知らなくてもわかりやすい作りで評判は悪くありませんでした。
天道早雲(生瀬勝久)の天道道場を受け継ぐ使命を持つのは、早雲の三女、女子高生の天道あかね(新垣結衣)。何事にものんびりとした長女、かすみ(長谷川京子)、キャバレーで働くお金に目が無い次女、なびき(西山茉希)と暮らしています。
そこへ、早雲の旧友、長い修行生活を送っていた早乙女玄馬(古田新太)が息子の乱馬(賀来賢人)を連れて現れます。二人は修行中に呪われた泉に落ちたことで、水を浴びると乱馬は女(夏菜)に、玄馬はパンダになってしまうという特異体質になっていました。元の姿に戻るにはお湯をかぶらないといけないのです。その呪いを消し去り男に戻るためには和風男溺泉を浴びる必要があり、天道早雲が泉の在りかを知っているために戻ってきたのです。
早雲はあかねと乱馬を結婚させると勝手に決めていたことで、最初は反発するあかねでしたが、和風男溺泉を巡ってマダム・カマンベール(田山涼成)率いる謎の組織に襲われ、しだいに乱馬と心を通わせるようになります。しかし、ついに泉の鍵を奪われてしまうのでした。カマンベールは、いわゆる「おかま」の組織で、世の中の女をすべて男に変えてしまおうという野望を持っていたのです。
あかねにちょっかいを出す先輩に永山絢斗、天道家を見守る小乃東風に谷原章介などが出演していますが、若い俳優さんたちについてはなかなか初々しい場面がたくさんあって楽しめます。特に女乱馬の夏菜がなかなか頑張っていると思いました。
テレビ用ですから、低予算で特殊効果はかなり貧弱ですが、まぁ、最低限のところは抑えているので、ぎりぎり許せる範囲です。せっかくですから、そのまま劇場版とかも作れば面白かったかもしれませんね。
2024年7月4日木曜日
新紙幣
昨日、日本銀行券・・・つまり、お金ですが、20年ぶりに新デザインに一新されたものが発行されました。
何か、まるでお祭り騒ぎみたいなところがありますが、そんなに先を争ってもいずれありふれた存在になるので、まぁ、そのうち実物を手にするまで待てばいいと思います。
最初にお札を意識したのは「聖徳太子」と「板垣退助」でした。それが福沢諭吉、津田梅子、夏目漱石になり、いつのまにか夏目さんが引退して野口さんに交代。板垣さんと岩倉具視さんはにいたっては完全に消滅してしまいました。
ところが、今回の紙幣の顔なんですが、正直、誰? というのは自分の無知だと言ってしまえばそれまでなんですが、名前を聞けば知っていますが、顔までは記憶になかった。
偉人と呼ばれる人は、誰かの主観的評価。歴史は勝者の記録とも言われていますから、万人に同じような価値があるものではありません。特定の人物を紙幣にデザインすると、必ず賛否入り混じるのは当然です。
いっそのこと、富士山だけとか風光明媚な景色だけでもいいんじゃない、という意見ももっともな気がします。
まぁ、キャッシュレスが進む世の中ですから、紙幣の重みはどんどん減っているので、財布の中での存在感は薄れていますから、どれだけの意味があるのかはよくわかりませんね。
2024年7月3日水曜日
ルパン三世 カリオストロの城 (1979)
すでにアニメのテレビ放映が始まっていた時期で、映画版としては第2作となりました。ルパン映画としても宮崎作品としても、今でも高い評価を受けています。ちなみにカリオストロは、18世紀のイタリアの詐欺師の名前。金持ちから得たお金を、庶民にばらまいたことでも有名です。
モナコで国営カジノで、ルパン、次元、五右衛門らが盗み出したのは精巧な偽札でした。かれらは、その出所と思われたカリオストロ公国に向かいます。入国したとたんに、カリオストロ伯爵に結婚を迫られ逃げ出したクラリスと出会います。クラリスは亡き大公の娘で、伯爵は摂政として国をわがものにしていたのです。
伯爵の部下に追われるクラリスを助けるルパンでしたが、崖を転落し気を失っている間にクラリスは連れ去られるのでした。意識を取り戻したルパンは、クラリスが遺していった指輪を見て、昔助けてくれた少女だったことを思い出すのです。ルパンは、仲間と共にクラリスを助けるべくカリオストロの城に向かうのでした。
声優はルパン三世を山田康夫、峰不二子ほ増山江威子、次元大介は小林清志、石川五右衛門は井上真樹夫、銭形幸一は納谷悟朗。声優のレジェンドばかりですが、全員がすでに故人となっていて、これだけでも見る、いや聞く価値がある。クラリスはナウシカの声優も務めた島本須美です。
2024年7月2日火曜日
シティ・ハンター (2024)
町の始末屋として、裏社会で活動する冴羽獠(鈴木亮平)は、相棒の元刑事の槇村秀幸(安藤政信)と今日も行方不明の妹を探してほしいという依頼の調査をしていました。見つけ出した捜索対象のコスプレイヤーのくるみ(華村あすか)は、冴羽が驚くような身体能力で逃げ出してしまいます。その頃、街では人並外れて狂暴化した人間による事件が多発し、それらの犯人はその数日後にも死んでしまうのです。
槇村は過去の因縁で狂暴化に関する薬を調査していましたが、狂暴化した人間に殺されてしまいます。種村の妹の香(森田望智)は、冴羽に兄の仇を討ってくれと頼み込みます。はじめは相手にしなかった冴羽でしたが、その熱心さに行動を共にするようになります。
くるみをやっと探し出しますが、彼女はローレ化粧品に拉致され狂暴化薬、エンジェルダストの実験台の一人だったのです。彼らは、エンジェルダストを使用しても死なないくるみの血清か必要だったのです。
ローレを操っているのは国際的犯罪組織ユニオン・テオーベで、冴羽と香はエンジェルダストの実験を行っているローレの地下要塞に乗り込んでいくのでした。
裏社会の情報交換をする女刑事に木村文乃、その上司に杉本哲太、ユニオンの幹部に迫田孝也、裏社会のボスの一人に橋爪功などが登場します。
一番の見所は、カメレオン俳優とも呼ばれる鈴木亮平の見事なまでのはじけっぷりです。鈴木亮平が世に知られるきっかけになった「変態仮面」を彷彿とさせるような、下品なバカ騒ぎっぷりには驚かされます。女と見ればデレデレしっぱなしの冴羽獠のキャラクターがしっかり再現されいました。
かなり知られた漫画で、アニメ化もとっくにされているので、実写化ともなると固定したイメージが出来上がっていますが、おおむねファンからも高評価されているようです。冴羽と香がチームを組むことになるきっかけを描いているので、今後、シリーズ化される可能性に期待です。
注) 4月に公開されたばかりなので、紹介しているBlurayはおそらく中国製で正規品ではありません
2024年7月1日月曜日
ルパン三世 (2014)
原作を雰囲気を忠実に描き出したアニメが有名だけに、どう作っても実写版ともなれば違和感を持たれるのは承知の上で、世界に通用するように国際色豊かに企画された作品になっている・・・のですが、それが予想通り何ともゴチャゴチャ感満載で、どちらかというと低評価の方が多いことで落ち着いています。
配役はなかなかうまい。ルパン三世の小栗旬、次元大介の玉山鉄二、石川五右衛門の綾野剛にというメイン・キャラは見事にはまっている。これはアニメ・ファンからもある程度は受け入れられそうな感じがします。
浅野忠信の銭形警部も悪くはありませんが、問題は峰不二子の黒木メイサ。ルパンを翻弄する美女という役柄で、おそらくファン一人一人がいろいろなイメージを持っていて、誰が演じても賛同を得られるのは難しそうなところ。黒木メイサでは、グラマラス感とかセクシー感という意味では、やや物足りないというのは、おじさんの感想です。
ルパン、次元、五右衛門、不二子、さらに泥棒仲間が加わって、ルパンらが慕う大泥棒の敵討で、敵の要塞に突入してお宝を奪取するというのがあらすじ。ストーリーがごちゃごちゃしていて、詳しく書き出したらきりが無い展開です。
その中で、いかにもルパンらしいカッコよさとユーモアがてんこ盛りになっているわけですが、ただ国際色を意識し過ぎて大多数の方は前半で寝落ちしてしまうかもしれません。
映画が始まってまず最初のかっこいいシーンはルパンから・・・と思ったら、峰不二子と後は誰?これという連中が登場。どうやら、不二子以外は後からルパン一味に参加するということらしく、銭形もまだルパンとは面識がないらしい。まずはルパンとその仲間が実写だと、こんだけカッコよいというところを見たいと言う出鼻をくじかれる。
そして、外国人俳優多数登場で、台詞が日本語、英語、中国語を中心に飛び交うため、いちいち字幕のお世話にならざるを得ないというところも、入り込みにくくする要因になっている。ルパンでさえ日本語になったり英語になったりなので、大変疲れます。
そんなわけで、役者さんたちはご苦労様でしたが、映画としては???という感じは否めません。
2024年6月30日日曜日
S - 最後の警官 - 奪還 (2015)
原作は作・小森陽一、画・藤堂裕によるマンガで、犯人を生け捕りにして死なせずに確保することを目的とした架空の組織、警視庁特殊急襲捜査班(NPS, National Police Safetyrescue)の物語。警察に実在する組織として、制圧を任務とするSAT(特殊急襲部隊)、捜査を任務とするSIT(特殊事件捜査係)があり、NPSは両者の機能を備えた第三の「S」という設定です。
元警視庁次官で今でも暗然たる力を持つSATの生みの親、霧山六郎(近藤正臣)が、NPS創設の発案者でした。霧山はひそかにテロリストの正木圭吾(オダギリジョー)を利用して、犯人を死なせないというNPSでは対処できない事件を起こさせ、SATの力を増強し犯人を殺すことを厭わない組織に改編していくことが目的でした。NPSは目的を達成するためのスケープ・ゴートだったのです。
SAT隊長の中丸(高島政宏)の腹心の部下だった香椎秀樹(大森南朋)は、犯人殲滅を厭わない中丸と袂を分かち、NPSの隊長に就任。副官の速田(平山浩行)、交渉術に長けた古橋(池内博之)、警察犬を操る梶原(高橋努)らとチームを組みます。そして、ある事件をきっかけに犯人が死ねば残されたものは怒りを向ける相手がいなくなることから、犯人も死なせてはならないという信念を持つ警察官、神御蔵一號(向井理)をスカウトします。
SATには一流のスナイパーである蘇我伊織(綾野剛)がいて、たびたび一號と衝突するのですが、蘇我は姉を殺されたことで犯人は死をもって裁くべき考えていました。一號の考えに同調することはありませんが、いくつもの事件を経てしだいに一號のやり方も認めるようになります。蘇我に劣らない射撃の腕を持つ林イルマ(新垣結衣)が加わりますが、彼女もまた犯人を死なせることは絶対にできないと考えていました。
ドラマの最終話で、霧山の意志によりNPSは壊滅するはずでしたが、SATが協力して無事に事件を解決しました。しかし、主犯の正木は取り逃がしていて、翌年公開された劇場版映画が本当の最終回という位置づけになっています。ドラマの内容はほとんど知っているものとしてストーリーが展開するので、最低限このくらいの知識が無いと映画版は理解できないと思います。
しばらく潜伏していた正木は、日本からフランスに向けて運搬されるプルトニウムを積んだ貨物船を占拠し、日本政府に閣僚全員が乗船することを要求します。NPS、SATだけでなく実在する海上保安庁のSST(特殊警備隊)も加わり、総力戦による奪還作戦が始まりました。
しかし、正木の目的は閣僚を人質にして大金を手にすることではなく、また霧山の意図した強大な力を持つ犯罪者に対する警察力の無能さを世間に知らしめることでもなかったのです。SST隊長の倉田(青木崇高)のこどもの乗るバスをジャックし揺さぶりをかけつつ、貨物船を東京湾に戻し、核爆発により関東全域を壊滅させようとしていたのでした。
ドラマから登場する一號の恋人ゆづる(吹石一恵)、科学警察研究所主任で香椎の良き理解者である横川秋(土屋アンナ)らも加わり、スケールの大きな戦いが描かれています。「誰も絶対に死なせない」というのは医者の言うことだけではなく、警察の中でも同じような設定が生きていて、いろいろな考え方をする人物も公平に配置することで、奥行きのあるストーリーに仕上がりました。
テレビ版から引き続き、監督は平野俊一、脚本は古谷和尚が担当。丸腰で凶悪犯に立ち向かうというのはリアリティのかけらもないと批判される部分もありますが、テレビ版放映前から、映画化が決定していただけあって、ストーリーの無駄を省いて、一気に駆け抜ける爽快感がある映画になっています。
2024年6月29日土曜日
くるま OR バイク ??
車で走っていたら、バックミラーに何か見たことが無い感じの車両が接近してきました。
車ともバイクとも判別できない、独特のフォルム。不思議な外観の車両です。
そこで、ドラレコのリアカメラ映像をチェック。信号待ちで後ろについた時の画像がこちら。
この写真をGoogleの画像検索にドロップすると・・・まあ、便利な時代になったものです。すぐに正体が判明しました。
カンナム(can-am)というメーカーのSPYDER F3というものです。
ベースモデルで約350万円・・・って、けっこうまともな車が買える。ただフロントの形状からグレードはLIMITEDのようなので410万円かもしれません。
三輪バイクと紹介されていますが、扱いとしてはバイクの免許ではなく、普通自動車免許が必要らしい。つまり三輪自動車ということのようです。
確かにかっこいい~感じなんですが、バイクのような機動力は期待できないし、雨が降れば濡れるし、冬は寒い・・・って、こういうのに乗る人は、そんなことは気にしていませんよね。
2024年6月28日金曜日
工業地帯
川崎あたりの首都高速道路を走っていると、周囲が見渡す限り工業地帯という場所があります。
たくさんのプラントがあって、煙突が立ち並び、複雑に絡み合うようにパイプがあちこちに延びていく様子は、何か機械が生き物のように見えてしまう。
工場フェチ、とか、煙突フェチ・・・こういう光景が大好きでたまらんという人がけっこういるらしい。特に愛好家は、これらの夜景は大好物。
ただ、昭和の高度経済成長期に日本に「公害」があったことを覚えていますか。
自分も、こどものときに車が通るたびに、その排気ガスに息を止めて我慢したことを覚えています。
社会科で「四大公害」として熊本の水俣病、岐阜県神通川のイタイイタイ病、四日市の喘息、そして新潟水俣病などを教わりました。そして、近かったせいもあってか、必ず川崎の排煙による大気汚染の問題も併せて話題に上ったことを覚えています。
そんな時代もあった・・・と過去の事ですけど、こういう場所を見ると必ず思い出します。
2024年6月27日木曜日
セブンのおにぎり 42
今回は、新発売ではありません。今だけ!! ・・・のサービスです。
「期間限定 税込110円、うれしい値!」というシールがついて、セブンイレブンのおにぎりのシリーズとしては最安値です。
「かき醤油使用 たまご醤油」は、まさに卵かけご飯に可能な限り寄せたおにぎり。さすがに、そのままでは握りようがないので、真ん中にとろとろの卵が入っていて、周りは普通の白い米というもの。
口を大きく開けて、ガブリとかぶりつけば、まさに卵かけご飯の味です。安さがポイントですが、20円ほど高くなっても海苔で巻いてもらえば、さらに美味しさアップで手に取ると思います。
もう一つのうれしい値は「焼きガラ醤油仕立て 炒飯」です。
セブンの炒飯シリーズは、定期的に具材の量が多くなったり少なくなったりと「何となく」更新されていますが、まあ、どれも似たり寄ったり。
今回のは具材が無い方。ほぼ卵とちょっとの長ネギだけというシンプルなもので、特に期待することもなく、こんなもんでしょうというところ。
とにかく財布に優しいことが一番の価値のおにぎりですから、それ以外は二の次ということで良いと思います。
2024年6月26日水曜日
罪の声 (2020)
1984年3月江崎グリコ社長が誘拐され身代金を要求されたものの、3日後に社長が自力で脱出しました。4月になって、江崎グリコに脅迫状が届き、犯人は「かい人21面相」と名乗りました。マスコミにも「売られている菓子に毒物を混入した」とするマスコミへの挑戦状が送られてきました。9月からは森永製菓に脅迫状が届き、その他の企業にも及びます。
10月には実際に青酸ソーダ混入の菓子が相次いで市中から発見され、これらの騒ぎは翌年まで続きますが、何度かチャンスがあったものの犯人を逮捕できなかった滋賀県警本部長が自殺するにおよび、1985年8月に犯人から終息宣言が出されました。すべての刑事・民事事案は2000年に時効となっています。死者も出ず、金銭的被害も出ませんでしたが、初めての「劇場型犯罪」と呼ばれています。
新聞記者だった塩田武士は、この事件を徹底的に調査し、犯人こそフィクションですが、現実の事件に沿った形の小説を2016年に発表しました。これを原作とし、監督・土井裕泰、脚本・野木亜紀子で映画化したのがこの作品で、初共演の小栗旬と星野源のW主演となりました。
2018年、京都で洋服の仕立て屋を営む曽根俊也(星野源)は、たまたま見つけた父親の遺品に英語で書かれた手帳とカセットテープを見つけます。手帳に製菓会社である「ギンガ」と「萬堂」と書かれているのを見つけた俊也は、インターネットで検索すると35年前の「くら魔天狗」と名乗る犯人による連続企業脅迫が行われた「ギン萬事件」に行き当たり、犯人が脅迫に使ったとされるこどもの音声と同じものがカセット・テープに収録されていることに愕然とし、そしてその声は自分の子供の時の声だと確信するのです。
その頃、大日新聞大阪本社の記者、阿久津英士(小栗旬)はギン萬事件の特集記事の取材を始めていました。事件の直前に似たような誘拐事件がロンドンで発生していることを知りイギリスに渡りますが、特に目新しい情報はありませんでした。また、株に詳しい人を取材し、犯人の本当の目的は株価を操作して儲けることだった可能性を指摘されます。
俊也は父を古くから知る人物から、手帳の文字は消息不明となっている父の弟、曽根達雄が書いたものではないと教えられます。俊也の祖父はギンガの社員でしたが、当時の学生運動のウチゲバ事件の巻き沿いで殺されたのです。しかし、ギンガの対応に恨みを持った達雄は、次第に過激派に傾倒し行方をくらましたのでした。また達雄は事件前に、事件で脅迫された企業の株の状況を調べていたのです。
俊也は、達雄の足取りをたどっていくと、達雄の友人の生島が事件の最中に家族ごと消えたことが判明します。生島には娘と息子がいて、残されている脅迫電話の音声の残りの二つの声の主の可能性が出てきました。その頃、阿久津は犯人らしき人物の足取りを追い、次第に犯行グループの実態が少しずつ判明してくるのです。そして、俊也が同じように事件を調べていることに気がつきます。
阿久津は駿也の店を訪ねますが、俊也は話すことは無いと言い、今更公にして私たちの生活を壊すことに、どんな意義があるのかと問いただします。奥津はそれに答えることはできず、一度おとなしく帰るのでした。しかし、俊也は生島の娘のかつての同級生から生島が殺されたため逃げたらしいことを教えられ、彼女も声を利用されたが、今では俊也のように幸せに暮らしているかもしれないと望みが持てたと言われるのです。
俊也は家族にすべてを話し、阿久津に連絡を取ります。二人は、分かった情報を持ち寄り、事件の解明に向かって協力することにしました。そして声を使われたこどもたちがどうなったのか、その後の人生の足取りを追いかけるのでした。
この映画のポイントは、事件そのものを解明することよりも、犯罪に使われた声のこどものその後の人生にどんな影響があったのかに焦点を当てているところ。犯罪が被害者・加害者だけでなく、家族やその周囲の人々にも大きな影響を与え、その人生そのものを変えてしまうのだということを明らかにしています。
ものすごく重たいテーマに挑戦したもので、もちろんこれが真実かどうかはわかりませんが、十分すぎる説得力を持った内容になっており、脚本は日本アカデミー賞最優秀脚本賞を受賞しました。一見、ばらばらに動いている俊也と阿久津の線が次第に近づいていくところは、さすがという感じです。
また脇役がすごい。俊也の妻は市川実日子、母は梶芽衣子、父の同僚に日野正平、曽根達也は宇崎竜童。他にも松重豊、橋本じゅん、桜木健一、浅茅陽子、佐藤蛾次郎、正司照枝、宮下順子などなどで、ちょい役でも手を抜いていません。
2024年6月25日火曜日
くちびるに歌を (2015)
監督は三木孝浩、共同脚本は持地佑季子と登米裕一です。主演は新垣結衣ですが、ずっと心を閉ざし笑い顔が無いという役柄は、まず他では見られません。撮影は五島列島を中心とした長崎県で行われ、新垣はピアノ、合唱部員は合唱の特訓を受けて実際に歌唱に臨みました。
合唱部の面倒を見ていた松山ハルコ先生(木村文乃、)が産休に入るため、ハルコの友人の柏木ユリ(新垣結衣)が臨時教員として島の中学に着任します。ユリは将来が期待されたピアニストでしたが、恋人が交通事故で亡くなってから、その責任を重く受け止めピアノが弾けなくなってしまったのです。
合唱部員の仲村ナズナは、早くに母を亡くし父親は愛人といなくなっていました。そんなナズナのことを気にかけているのは向井ケイスケ。桑原サトルは、兄が自閉症だから自分が生まれたと思い、兄に対する責任を重く受け止めているのでした。
最初は、女子部員と男子部員が対立したり、ユリの突き放したような態度によってばらばらでしたが、ハルコからの宿題だった「15年後の自分に手紙をかくこと」を実践し、ユリも過去の中学の時の文集で15年前の自分の文章を読んで、少しずつお互いを理解し始めます。そして、いよいよコンクールの当日となり、それぞれが様々な思いを持って課題曲の挑もうとしていました。
けして奇をてらった展開は無く、普通と言えば普通なんですが、逆にこの手の映画では見ている者の想像通りに進むことでがっかりさせないことが大事。そういう意味ではお手本みたいな映画です。否が応にも感動してしまいますし、気を許していると泣いちゃうかもしれません。
2024年6月24日月曜日
劇場版 TOKYO MER -走る緊急救命室- (2023)
主要キャストはすべて一緒。監督はドラマでも半分を演出した松木彩。シリーズすべての脚本は黒岩勉が担当しています。連続ドラマでは、東京都知事の赤塚梓(石田ゆり子)の構想により、東京海浜病院に創設されたEMR(東京モバイル・エマージェンシー・ルーム)のもとに集められたのはチーフで専任の喜多見幸太(鈴木亮平)、厚生労働省医系技官の音羽尚(賀来賢人)、麻酔科医の冬木治朗(小手伸也)、研修医の弦巻比奈(中条あやみ)、看護師の蔵前夏梅(菜々緒)、ベトナムから研修で来日した看護師のホアン・ラン・ミン(フォンチー)、そして臨床工学士の徳丸元一(佐野勇斗)らの7名の活躍と成長が描かれました。
連続ドラマで余裕がありますから、例によって研修医弦巻の活躍っぷりはちょっと現実味が無いのですが、それを補って余りある横糸が張り巡らされていました。その一つが、喜多見の過去。「待っていては助けられない命がある」を信念に、苦しんでいる人がいれば老若男女・職業・善悪に関係なく、危険な現場に飛び込んでいくという、医療アクションドラマとしてよくできていました。
もう一つは、これはややありきたり感がありますが、都知事の先行に苦々しい思いを持ち計画を潰したい厚生労働省側の大臣(渡辺真起子)や官僚(鶴見慎吾)たちとの対立があります。音羽は、MERの問題を明らかにするために送り込まれたのですが、次第に喜多見に感化されていくのです。
見物は、救急処置や緊急手術の場面なんですが、北里大学の救命センターが全面的に協力して、実にやっていることはリアル。最新の部分はよくわからないところもありますが、自分も大学で救急車と格闘していたころにやったことがあると思い出し、そうそうと拍手したくなったり、いやいやもうちょっとこうした方が良くないかと思い見入ってしまいました。
さて、劇場版は舞台は横浜ミナトミライ。ランドマークタワーで放火による大規模火災が発生し、上層階に193名が取り残されるという事件が発生します。連続ドラマの最期にMERを離れた音羽が、あらたに厚生労働省管轄の全国規模のMER設置を計画し、その第一号として発足したヨコハマMERが登場します。
エリート集団のヨコハマMERのチーフは、女性の鴨井友(杏)で、喜多見の自分だけでなくチームを危険にさらす状況に対して「危険を冒しても救えない命がある」と否定し対立を深めます。
取り残された人々の中に、喜多見の妻で妊娠中の心臓外科医、高輪千晶(仲里依紗)とチームの夏梅がいることが判明し、物語はさらに緊迫度を増していきます。喜多見らトウキョウMERは、東京消防庁レスキュー部隊の千住(要潤)らと共にビル内に突入していくのでした。
映画は2時間勝負なので、ドラマの時のような複雑な設定が無く、ある意味いたって常識的なヨコハマMERとの対立の軸しかありません。研修医だった弦巻はしっかり成長していて、代わりに新たな研修医の潮見知広(ジェシー)が加わっていますが、危険におじけづいて後方支援に回される辺りはある意味リアリティがあります。
シリーズ全般を通して感じるのは、手に汗握るよくできたストーリーだと思いますが、医者としては「待っていたら救えない」のは理解できますが、「テレビだから救えている」という部分があることは間違いなく、ヨコハマEMRの立場の方がわかりやすい・・・けど、それじゃ、ドラマとしては面白くなりませんね。
2024年6月23日日曜日
医療系ドラマ
テレビ各局が用意しているドラマ枠は、約50番組。現在は各季節ごとに完結するスタイルが主流ですから、年間で200本くらいの新しいドラマが「量産」されていることになります。
その中には医療系ドラマが必ずいくつか混ざっています。今は改変時期ですから、7月から始まるタイトルを眺めてみると、少なくとも4つくらいはありそうです。テレビ局も苦労していて、単純な医者が出てくるものはない。今回は、山岳だったり、繁華街だったり、いつもの法医学とか、2度目の天才外科医とかが登場するようです。
ただ、正直に言いますが、名作とされる「白い巨塔(もちろん田宮二郎版)」以来、少なくとも自分の知っている医療の現場からは、あまりにかけ離れすぎてリアリティの欠片すら感じられないものばかりで、ドラマに没入できるものは皆無と言ってよいくらいです。
もちろん医学の世界を隅々まで知っているわけではありませんから、中には本当にそんなこともあるのかもしれませんけど、とにかくあり得ない設定が多すぎる。
人気の高いものだとシリーズ化された「ドクターX」は、とにかく日本の医療システムではフリーランスの医者というのは基本的に活躍できる場所は限られ、特に大病院ではまずありえない。「私、失敗しないので」とか言い出したら誰も協力しないし、そもそもフリーランスでそれだけの技量を保つのは不可能に近いと思います。
放射線科が主役の「ラジエーションハウス」も、直接患者さんを診ることが無い放射線科の医師や、まして放射線技師が一つの事案に表立って行動する暇なんてあるはずがない。法医学者が主役の「科捜研の女」や「アンナチュラル」も、刑事の仕事を肩代わりするなんて想像を絶するものです。
となると、既存の組織にこだわらずドラマチックな部門を創設してしまうという路線があり、はなからリアリティは横に置いておくというのが「コード・ブルー」や「TOKYO MER」という現場で救急救命医療を実践してしまうというもの。
これらは、まだ最初からスリリングなアクション物としては見れなくはないのですが、やはり現実に現場でできることは限られていて、いくら何でもそりゃないよと言いたくなることが多々あります。特にあり得ないのが研修医の活躍。
若く未熟な研修医が、いろいろ悩んで成長するというのは定番の展開ですが、日本の研修システムでは、研修医にそこまでさせるというのはあまりに無謀すぎるし、いくら勉強していてもそれだけ医療行為を行えるまでになるのは無理すぎるというものです。
まぁ、そんなかたいことを言わずに、あくまでもエンターテイメントなんだから楽しみなさいよと言われそうですが、やはりどうしてもリアルが気になってしょうがないのです。
2024年6月22日土曜日
梅雨入り
毎年、梅雨が始まった、終わったと書いていると、たまには去年はどうだったとかがわかって役に立つ・・・時もあるかもしれない、という程度のこと。
去年は、平年並みの6月8日。今年は2週間近く遅かったというところで落ち着きました。
実際のところ、この1週間は晴れたり振ったりで、もう梅雨だろうと思う天気が多かった。梅雨前線の位置がなかなか固定されないことで、専門家は梅雨入り宣言を渋っていたようです。
梅雨明けはどうなるんでしょうか。例年通りで、短く開けてくれれば助かりますけどね。
2024年6月21日金曜日
シーフードサラダ
説明するまでも無いのですが、サラダとしてシーフードを中心にしたものです。
野菜の量がもっと少なくて、シーフードを食べるのが目的なら、イタリアンのカルパッチョがあります。もっとも、シーフードのカルパッチョは、日本発祥のなんちゃってイタリアンです。
今回は、シーフードと野菜が半々。
野菜は、トマト、タマネギ、ピーマン。そして、隠し味的にセロリも入れています。
シーフードは、ヤリイカ、ムキエビ、サーモンです。
シーフードは臭みが苦手となりやすいので、イカとムキエビは茹でてあります。サーモンは炙ってあります。
ドレッシングはベーシック。塩・コショー、オリーブ・オイル、そしてお酢かワインビネガーで酸味を加えるというのが普通ですが、今回は香りを絶たせるためレモン果汁を用いました。
ちょっと高級感が漂い、満足感の高いサラダになりました。
2024年6月20日木曜日
超濃厚!! カルボナーラ
パスタ・ソースの中でも、カルボナーラは人気上位に必ず登場します。
そして、だいたい喜ばれるキーワードのひとつになるのが「濃厚」です。テレビのグルメ番組で食レポというと、「濃厚」と言えばスムみたいなところがあります。
じゃあ、目一杯、濃厚なカルボナーラを作ってみようじゃありませんか・・・ということで、実際やってみました。
基本的なカルボナーラのレシピは難しくはありません。
一人前、パスタは100g、通常はスパゲティかスパゲティーニが用いられます。これを茹でるのですが、忘れてはいけないのが10%の濃度になるように塩を入れること。これがそのまま最終的な味につながります。茹で時間は、それぞれのパスタが指定している時間通りでOKです。
ソースは一人前で、生クリーム100ml、生卵の卵黄1個、挽いたパルミジャーノ・レッジャーノ(いわゆる粉チーズ)を20g程度、多めの粗挽きの黒コショウをしっかり混ぜ合わせておきます。
フライパンで少量のみじん切りしにたタマネギと短冊状に厚切りにしたパンチェッタ(またはベーコン)を炒めます。茹で上がったパスタを入れたら、火は止めるかごく弱火にしてソースを混ぜ合わせ、とろみがしっかり出たらもう一度黒コショウを振って出来上がり。
濃厚にするには、できるだけ濃い目の生クリームを使う、卵黄を増やす、パルミジャーノ・レッジャーノを増やすという方法があります。昨今は何でも値上がりで、生クリームも高いし、チーズが増やしすぎると濃厚というより重たくなってしまう。
そこで、今回は卵黄を一人前2個使い、パスタは太目のスパゲティにしました。
結果。いかにも濃厚。パスタに絡みつくソースが垂れ落ちる感じがありません。味はもちろん完璧です・・・が、やはりソースが重い。そこを狙ったわけですが、やや食べるのに疲れる感じもします。
口に入れて美味しいと感じて、さらに口にしたくなるというのが「美味しい」の要素の一つなら、重たいとどうしてもやや次の一口までに時間がかかってしまいます。やはり、通常量で作るのがベストだと感じました。濃厚なら良いというもんじゃないというのが結論です。
2024年6月19日水曜日
前科者 (2022)
もともとは香川まさひと・作、月島冬二・画によるマンガで、2021年にWOWOWドラマとして6話が放送されました。続いて、オリジナル・ストーリーとして監督・脚本を岸善幸が担当して映画化されたもの。
阿川佳代(有村架純)はコンビニでのバイトをしながら、保護司をしている女性。女性らしい気遣いする一方で、時には保護対象者のダメなところは強い調子で叱責するのです。
殺人罪で収監された工藤誠(森田剛)は、半年前に出所し担当の保護司、阿川佳代のものを訪れました。佳代は普通に生きることが大事で、工藤にも必ず更生することができると話しました。その後、工藤は町の自動車修理工場で働き、愛想が無く笑うこともありませんが、しっかりと仕事をするようになっていました。
ある日、近くの交番で巡査が襲われ、拳銃を奪われる事件が発生します。何とか一命をとりとめた警官は、実は職権を利用して恐喝などをしていたのです。刑事の鈴木(マキタスポーツ)と滝本(磯村勇斗)の事情聴取にも答えようとしません。
そしてDV被害者の保護をしていた区役所の福祉課の田辺やすこが、奪われた銃で撃たれて殺害される事件が起きます。警察には「偽善者に天罰がくだった」という内容の文書が送られてきます。
その頃、工藤に近づいてきた男がいました。麻薬中毒になっていた弟の実(若葉竜也)でした。夜の河原に散歩に行こうという実に付いて行くと、実は通りかかった自転車の男性に銃を向け射殺するのでした。男性は二人が入っていた養護施設の担当者でした。
工藤は観察期間の最期の面会をすっぼしてしまったため、仮釈放が取り消されてしまいます。さらに、被害者の爪の間から工藤のDNAが検出されたため、容疑者として警察に追われることになってしまうのです。滝本は事情を聴くために佳代のもとを訪れます。
実は、加代と滝本は高校の時同級生でした。通り魔に襲われそうになった佳代を、滝本の父親が助け、身代わりに殺されたのです。滝本は犯罪者は何度でも罪を犯すんだと言うのです。かつて工藤の母親が夫のDVを相談したが相手にしなかった警官、逃げた母子の転居先を夫に教えてしまった福祉課の職員、そしてその結果母親は殺されているのです。そして、兄弟が送られた児童施設で二人に暴力をふるっていた職員。それらが被害者だと話します。
二人の父親、遠山史雄(リリー・フランキー)の住所を、彼の弁護をした宮口弁護士(木村多江)から教えてもらい、加代は遠山に会いにいきます。佳代が工藤のこどもの時の話を聞いていると、工藤と実がやってきます。しかし、次の標的として、遠山をマークしている警察が包囲していたのです。
クライム・サスペンス風の連続殺人が起こりますが、あくまでも保護司として前科者に寄り添う阿川佳代を軸としたヒューマン・ドラマです。ここでの有村架純は、これまでにやったことがない大変難しい役をこなしています。
劇中、かつて保護対象者だった斎藤みどり(石橋静河)が、ところどころで登場し佳代の本質を少しずつ明らかにしてくれますが、「まともに生きている人たちが、まともにできなかった犯罪者に立ち直れと言っても説得力が無い。佳代はまともに生きてこれなかった弱さがあるから信じられる」というような発言をしていて、加代の複雑な心情を代弁しています。
過去のトラウマを引きづり続けている女性というのは、有村作品では多いパターンですが、ここで心を負おう暗雲は最高レベルですし、それを力にしてさらに同じようなトラウマを持つ人々に寄り添うという複雑な状況は簡単ではありません。
台詞は多くありませんが、トラウマを持つ前科者として、そしてだからこそ兄弟の絆を優先せざるを得ないという工藤という男も、ものすごい存在感があります。森田剛は、ここでも優れた演技力で、見るものを圧倒してくれます。
テレビのシリーズは見ていませんが、映画だけでも大変見応えがあって、コロナ禍であまり話題にならなかった印象なのが残念です。
2024年6月18日火曜日
夏美のホタル (2016)
写真家を目指す学生の河合夏美(有村架純)は、同棲している相羽慎吾(工藤阿須加)が写真を諦めて実家の造り酒屋を継ごうと思っているという話に腹を立て、一人でバイクを走らせ、昔父と蛍が飛び交うのを見た山村に出かけます。夏美のカメラもバイクも、今は亡き父親から譲られたものでした。
夏美は村のたけ屋という雑貨屋に立ち寄ります。店をやっているのは、事故で足が不自由な中年男で、近所のこどもたちから「地蔵さん」と呼ばれ親しまれている福井恵三(光石研)とその老いた母ヤスエ(吉行和子)でした。夏美は彼らと仲良くなり、家に滞在させてもらうことになります。慎吾もやって来て、結局二人でたけ屋にやっかいになることになりました。
近所に一人で住んでいる気難しい仏師の榊山雲月(小林薫)も、しだいに心を開いていきます。恵三は離婚して家族に何もできなかった、雲月は家族を捨てて仕事を選んで村に移り住んできた、そして夏美の父はひとり親のバイクレーサーでしたが、突然の病で他界してしまったのです。夏美は父親の夢であるレーサーの道をあきらめたのは、自分のためではないのかと思っていました。
ある日、恵三は動脈瘤破裂で倒れ危篤に陥ってしまいます。雲月は別れた妻と子に合わせてやれとヤスエに言いますが、ヤスエはうちのことに口を出さないでと言い、夏美と慎吾にも帰ってくれと言うのでした。一時、意識を取り戻した恵三は、皆がいればいいと強がるのです。
ヤスエは夏美と慎吾の助けを借りて、別れた妻と子に頭を下げに行きました。面会に来た二人を見て、恵三は心から喜ぶのでした。慎吾は今まであきらめてばかりだった自分に気がつき、一人東京に去っていきます。
恵三は夏美に、昔、ふらっと店に来たバイク乗りの話をします。事故で仲間を亡くし悩んでいた彼に、恵三は三つの恵みがあると教えました。この世に生まれること、親に愛されること、そして親になって子を愛すること。お父さんは夏美のことを本当に愛していたんだよと教えるのです。
恵三の葬式。やってきた慎吾は、夏美に酒造りの難しさとそれに立ち向かう決心がついたことを話し、夏美は雲月に恵三にそっくりな地蔵を彫ってくれと頼みます。それから3年たち、慎吾は身重の夏美と共に再びたけ屋を訪れました。締め切ったたけ屋には人の気配はなく、近くの祠に恵三に似たのと、小さなヤスエに似せた2体の地蔵が祀られていました。
作品としては地味な印象ですが、有村架純の現在の女優イメージを形作る原点のような映画。迷いをたくさん持つ若者が、田舎での他人との交流の中から、少しずつ大切なものを得る流れの中で、父親に対する思いを強く持つ主人公を演じています。
映画では吉行、光石と小林のベテランが、しっかり脇を固めていて、若い有村と工藤を支え切っているところが素晴らしい。
有村架純も女優ですから、当然恋愛映画もあるわけですが、何しろこちらが苦手なジャンルであまりそこに時間を割きたくない・・・ということで、紹介だけしておきます。
2015年 ストロボエッジ 福士蒼汰とW主演で高校生の役。
2017年 ナラタージュ 松本潤とW主演で、大学生。高校の時の恩師との恋。
2021年 花束みたいな恋をした 菅田将暉とW主演。大学生から社会人になる5年間。
「ストロボエッジ」のみ恋愛成就ですが、あとは残念な結果。「フォルトゥナの瞳」と「月の満ち欠け」も恋愛がメインではありませんが、どちらも恋愛は不成立で終わっています。どうも、あまりハッピーエンドにならない役が多いみたいですが、そこがリアリティにつながり、女性からも支持されるところなのかもしれません。
2024年6月17日月曜日
2024年6月16日日曜日
ちひろさん (2023)
監督は「からかい上手の高木さん」で注目される今泉力哉。製作総指揮はWOWWOWを主戦場とする岡野真紀子、製作会社は最近次々と話題作を提供するNetflixです。だんだん映画の製作形態もネット寄りになってきたことを実感できます。
のこのこ弁当で売り子として働くちひろ(有村架純)は、以前風俗嬢であったことを隠すことも無く、当時の源氏名のまま呼ばれ、愛想が良く評判は上々です。
オカジ(豊嶋花)は目立たない女子高校生で、家では細かい親に従順ですが、ちひろの町での様子に興味を持ち、ちひろにも気に入られ感化され自分を表にだすようになっていきます。
まこと(嶋田鉄太)は小学生。母親はシングルマザーで、あまりまことの面倒は見ていません。ちひろにいたずらを仕掛けたことで知り合い、弁当をもらったり一緒に遊んだりするようになりました。
べっちん(長澤樹)は、オカジと同級生ですが、引きこもりで高校へはほとんど登校したことがない。隠れ家にしていた廃屋ビルにマンガを置いていて、ちひろと知り合い意気投合します。
バジル(van)は風俗時代からのちひろの友人のニューハーフ。ちひろの分け隔てのない付き合い方が好きで、今でもときどき一緒に食事したり遊びに出かける仲。
内海(リリー・フランキー)はちひろが働いていた風俗店の店長で、今は熱帯魚店を営んでいます。気のあるバジルが店を手伝いますが、娘のように思えるちひろに関わることで、バジルとちひろの間に亀裂が入るのです。
尾藤(平田満)はのこのこ弁当の店主で、ちひろが風俗嬢だったことを知ったうえで、お弁当を綺麗に食べきったことが気に入り雇うことにしたのです。妻の多恵(風吹ジュン)は、唯一ちひろが本名の古澤綾で接する母親のような存在で、視力を失い入院中です。
特別に大きな事件が起こるわけではなく、日常の普通の出来事がさざ波のように寄せては引いていくようなストーリーなんですが、ちひろの純粋な心が自然と周りに人々を集め、まるで疑似的な「家族」を形成していくような雰囲気を作り上げています。
それは家族のいない孤独なちひろにとってはどこかで欲しているはずなんですが、実際に表に見え始めるとちひろは距離をとるように身を引いてしまう。おそらく過去の家族に対する嫌な思いがあるのかもしれません。
それにしても、どうしても「かわいい」イメージが先行する有村架純に「したくなっちゃった」と言わせ、付き合っているわけでもない男と一夜を共にするシーン(まぁ、ほとんど何も見えませんけど・・・)が登場するのには驚いた。作られたイメージを踏襲しつつも、大人の女性としての変わっていこうとする姿勢の表れなのかもしれません。
2024年6月15日土曜日
かぞくいろ RAILWAYS わたしたちの出発 (2018)
25歳の奥薗晶(有村架純)と10歳の奥薗駿也(歸山竜成)は、東京から鹿児島の奥薗節夫(國村隼)を訪ねてきました。節夫の息子、修平(青木崇高)は東京でイラストレーターの仕事をしていましたが、妻は駿也を産むときに亡くなってしまい、男手一つで駿也を育てていたのです。たまたま知り合った家族のいない晶と再婚したものの、妊娠した晶は流産しています。
しかし、修平が突然の病で亡くなったため、晶と駿也は節夫を頼ってやってきたのでした。節夫は鹿児島のオレンジ鉄道の運転士をしていて、晶も父親譲りで鉄道好きの駿也のために運転士になることを決意します。厳しい研修を受けついに運転士免許を取得した晶でしたが、研修運転で突然飛び出してきた鹿を轢いてしまいパニックになるのです。
学校で家族について作文を発表することになった駿也は、父親との思い出ばかりを書いたため、晶に「もうお父さんには会えないんだよ」と言われ、反発して「晶ちゃんがいなくなればよかった」と口にしてしまうのでした。
運転士としての適性に悩んでいたところに、母親になろうとしている駿也の言葉にショックをうけた晶は、一人東京に戻り修平と駿也と三人でいつも来ていた鉄橋から下を走る鉄道をじっと眺めていました。そこへ駿也からきっとそこにいると教えられた節夫がやってきて、晶にどうなっても心配ないから自分で決断しなさいと優しく言うのです。
そして携帯に修平からのコールがあり、出ると駿也でした。ごめんなさいと一言いって電話が切れると、晶は着信者の名前を修平から駿也に変更して駅に走るのでした。
有村架純主演の映画としては、やや話題性が低かった印象ですが、内容はなかなか素晴らしい。比較的わかりやすい展開で、ストーリーの流れも想像しやすいのですが、少しずつ回想シーンを入れて、晶と駿也、そして節夫が新しい家族を作り上げていく様子がうまくまとめ上げられています。
有村架純の役どころもけっこう難しいもので、連れ子の駿也の母親になろうと決意する過程、全くの他人である義父であり運転士としての先輩である節夫との関係性などは今までにはないものでした。ただし、周囲をホッとさせる雰囲気と、一つの芯が通った女性を演じると言う点では、有村らしさの完成形みたいなところがあるように思います。
鉄道好きの人には、実際にある熊本・鹿児島間を走るディーゼル1両編成のオレンジ鉄道が見どころでしょう。実際に列車が走ってくるシーンでは、有村本人が運転席に座っているように見えるのですが、本当のところはどうなんでしょう。
2024年6月14日金曜日
女子ーズ (2014)
赤木直子(レッド)が桐谷美玲、青田美佳(ブルー)が藤井美菜、緑山かのこ(グリーン)が有村架純、黄川田ゆり(イエロー)が高畑充希、紺野すみれ(ネイビー)が山本美月というキャスティングですから、10年前の映画とはいえ、このメンバーは二度と揃えられるもんじゃない。
なんちゃらレンジャーが任期満了になって、レンジャーのまとめ役のチャールス(佐藤二朗)は、名前に色が入っているというだけで女子たち5人を新たに集めました。レッドはとにかく超真面目な建設会社の社員、ブルーはパリピ系のアパレル販売員、グリーンは臭い演技をする劇団員、イエローは貧乏でバイトに明け暮れ、そしてネイビーは金持ちの財閥令嬢です。
何しろ女子ですから、集まれば女子会。怪人が出現してもまつ毛の手入れ中とか、バイトで忙しいとか、いろいろな理由で集まらない。真面目なレッドはそのたびにイライラしているんですが、ついに自分の大事な仕事のプレゼンのために、自分も穴をあけてしまうのです。
レッドが来なかったと4人が心配して家を尋ねると、仕事だったからというレッドに皆はあきれてしまいます。それから、レッドは連絡をされても無視することが続きます。チャールスはレッドを呼び出し、レッド抜きでもほかの4人が精一杯戦っていることを教えます。
再び怪人が現れ、反省したレッドはいつもの採石場に向かいますが、今度は他の4人がいない。レッドは一人一人のもとに言って謝り、何とか全員揃うことができました。しかし、今までの怪人以上に強敵で巨大化して襲ってきたため、ついに、新兵器女子-ズロボが登場するのでした。
監督・脚本はほぼギャグ映画ばかり作っている福田雄一。戦隊員を演じた5人にとっては、若かりし頃の黒歴史みたいなもの。とてもじゃないけど、見返したくはならないと思います。それぞれのファンが怖いもの見たさで見ればいいのかな、という感じです。
2024年6月13日木曜日
コーヒーが冷めないうちに (2018)
時田数(有村架純)と叔父の時田流(深水元基)がやっている街の古くからある喫茶店「フニクリフニクラ」は、ちょっとかわったところがあります。特定の一つの席に座って、数が淹れたコーヒーを飲むと過去に戻れるのです。ただし、過去に戻っても現在の状況には変化は起きない、コーヒーが冷める前に飲み切らないと現在に戻れなくなるという条件があります。
1週間前に急にアメリカに転勤で旅立った男ともだち(林遣都)と喧嘩になってしまった清川二美子(波瑠)は、戻って彼に言いたいことがあるという。しかし、その席にはずっと女性(石田ゆり子)が座っていて、なかなか席が空きません。二美子は席を替わってもらおうと女性の肩に触れると強い息苦しさを感じるのです。数は彼女は「幽霊」みたいなもので、20年前にコーヒーを飲み切らなかったために戻ってこれなくなったと説明します。
女性はたまにトイレに立つので、その隙に二美子は席について数にコーヒーを淹れてもらいます。すると水の中を落ちていくような感覚があり、1週間前に戻っていました。二美子は男ともだちの気持ちを確かめきれないうちにコーヒーが冷めてしまいそうになり、慌てて飲み干し「今」に戻ってきました。現在を変えることはできませんが、二美子は思い切って彼と連絡を取りアメリカに旅立つ決意をし、未来は変えることができることに気がついたのでした。
よく来店しずっとコーヒーを飲んでいる初老の婦人(薬師丸ひろ子)は、いつも男性(松重豊)が迎えに来ます。婦人は夫に何か渡したいと考えているようですが、実は認知症が進行して迎えに来る男性がその夫であることさえわからないのでした。
男性は数にコーヒーを淹れてもらい、まだ妻が認知症が出ていないときに戻ります。妻はこの店の過去に戻れることを知っていて、夫が未来から来たことを理解します。夫は何か自分に渡し忘れているものがあるかと聞くと、妻はカードの入った封筒を渡しあなたは未来に帰りなさいと言います。カードには自分の認知症のことが書かれていて、自分のことで無理しないように書かれていました。
スナックを営んでいる平井八絵子(吉田羊)も常連客。ときどき郷里から訪ねてくる妹のことは避けていて、伝言を置いて行っても読みもしません。実家の旅館を嫌がって都会に出てきて、すべてを妹に押し付けたことが重くのしかかっているのです、しかし、その妹が突然交通事故で亡くなってしまいます。
平井は前回妹が訪ねてきたときに戻り、今までの事を謝りたかったのですが、時間切れで戻るしかありませんでした。そして、郷里に戻り旅館を継ぐ決意をして帰っていくのでした。
数は店に通う新谷亮介(伊藤健太郎)と次第に仲良くなり、ついに妊娠します。実はずっと例の椅子に座っている謎の女性は数の母、要なのでした。数は、母親にコーヒーを淹れたこと、そして自分が一人残されたことがずっと心にあって、素直に受け入れることができないでいたのです。亮介は数の重荷を取り除くため、ある方法を思いつくのでした。
可愛らしい顔立ちから、「女の子」らしい役回りが多い有村架純ですが、ふわ~とした雰囲気から、徐々に癒し系の役柄が増えてきました。この映画は、そんな人を和ませる雰囲気がみられる作品です。ただし、心にある種のトラウマを抱え、芯の強い女性という、ある意味典型的な有村架純が得意なジャンルと言えそうです。
タイム・スリップ系のファンタジー作品なのですが、SFではなくあくまでも誰もが一つは心に刻んでいる「後悔」を解決するための道具として過去に戻るという状況が出現します。そして過去を振り返っても、起きたことは変わらない。でも、区切りをつけることができれば、人は未来に向かって前向きになれるというメッセージが込められています。
タイム・スリップ映画では、しばしば時間軸が混乱しやすいのですが、数自身のエピソードについては、よく見ていないと、そしてよく考えないと何でそうなるのかわかりにくくなります。集中して見るようにしましょう。
2024年6月12日水曜日
セブンのおにぎり 41
行くたびに新発売が並んでいて、セブンイレブンのおにぎりの棚が元気。
毎回チェックするのも大変ですが、今回も「新発売シール」が貼られているのがありました。
目玉は・・・まさに目立のような、「丸ごと半熟煮玉子」です。今までは、卵を半分に切ったものがありましたが、今回は丸ごと1個のゆで卵が入っているので、もはやご飯はほぼおまけ。
濃厚豚骨醤油御飯となっていますが、量が少ないのでほとんどどうでもいいような存在。茹で卵はしっかりと味がしみ込んで、めちゃめちゃ美味しいです。
もう一つは「のりバタしょうゆ」で、こちらは可もなく不可もない想像通り。
まぁ、バターと醤油というのは、だいたい間違いのない組み合わせ。味的には問題ありません。
とは言え、海苔が具材としてはあまり食感がないので、ペースト状のものがはいっているだけというのが、ちょっと寂しいというところでしょうか。
2024年6月11日火曜日
ビリギャル (2015)
仲間と遊んでばかりいてまったく勉強をしなかった工藤さやか(有村架純)は、学校でも担任の西村(安田顕)からクズ呼ばわりされています。父親(田中哲司)は長男の野球の才能ばかりを期待して、さやかはまったく放置されていました。
母親(吉田羊)は、さやかを個人指導の塾に連れて行きます。担当の講師、坪井(伊藤淳史)はさやかの話もよく聞きどうせなら慶応大学を目指そうと言うのです。弁護士の父親に反発してグレている森玲司(野村周平)も入塾してきます。
さやかは小学生の勉強から開始し、苦手な歴史はマンガを読み込んで次第に勉強に力をいれていきます。遊び仲間も、頑張っているさやかを応援し、遊びに誘うのをやめると伝え、自分たちをクズ扱いする学校を見返してほしいと言います。
しかし、3年生になって模擬試験を受けるようになると何度受けても成績が伸びない。しかし、坪井らの励ましや母の努力で何とかさらなる猛勉強を行い、ついに大学入試の日を迎えるのでした。
まずは実話をもとにしていることがすごい。小学生レベルの学力で、1年半で大学入試、しかも慶応とか狙うというのは、普通に考えれば不可能としか言いようがない。坪井先生は、自分もクズ扱いされた過去から、一人一人の状況を考慮した指導をするのですが、保護者や学校の先生にも毅然とした態度で臨むところが素晴らしい。
また、塾代を出さない父親に代わって夜も働きに出る母親もすごい。長男以外はどうでもいいと豪語する父親も、ある意味すごい。もっとも、長男が野球で挫折してこどもに託した夢が崩れ去るところは多少お気の毒。
有村架純のギャル演技は、ちょっと無理がある感じ。「イェ~イ」とか言っても、ちょっと可愛すぎ。夏休みが終わって金髪をやめた後の方が違和感が無くなります。とは言え、この映画の演技で日本アカデミー賞、ブルーリボン賞などの主演女優賞を受賞し、飛躍の作品となったことは間違いありません。
2024年6月10日月曜日
ギャル バサラ 戦国時代は圏外です (2011)
監督は佐藤太で、縁があるAKB48、SKE48のメンバーが顔出しています。簡単に言うと、現代女子高生が戦国時代にタイム・スリップして、携帯電話(まだスマホはメジャーじゃなかった)が圏外になってしまう話ですが、それほど練られているわけじゃないので細かいことは気にしてはいけません。
あさみ(有村架純)とヒロ子(荒井萌)と優(竹富聖花)の3人と公平(賀来賢人)は、授業をさぼったため、補習で戦国時代の展示をしている博物館に行くことになります。同級生の卓也(森廉)も、父親の民間研究科と一緒に訪れていました。その時急にタイムホールが発生し、5人は飲み込まれてしまうのです。
気がつくと、そこは戦国時代で野武士が斬りあいをしている状況に、次第に5人は状況がわかってきます。百姓から武士になることを夢見ている与平(浜尾京介)、吾作(相馬圭祐)、利吉(鈴木勝吾)の3人の若者と知り合います。
彼らは織田信長(松方弘樹)がいる岐阜城に向かいますが、途中で野武士の襲撃を受け、与平は命を落とし、ひろ子と公平は河津信行(有薗芳記)の一派に連れ去られてしまいます。あさみと優は羽柴藤吉郎の妻ねね(篠田麻里子)と面会します。実はねねも未来からタイムスリップして来たのです。ねねは藤吉郎に歴史の知識を使って助言をしていたのでした。
優はねねの言葉でこの時代で生き抜く気持ちに傾き、あさみと喧嘩になります。卓也は次のタイムホールが発生する時間と場所を計算し、帰れるチャンスを見つけるのでした。それまで、ひろ子と公平を助け出すためため、吾作と利吉の力を借りるのでした。
まぁ、いわゆるB級映画的なものなので、内容的には既視感のある映画のつなぎ合わせみたいなところはあるんですが、女子高生が主役でときどきタイムホールが開く時だけ携帯が使えて未来と会話ができるというところが目新しい。
有村架純はまだ十代なんですが、逆に今でも同じ雰囲気を保っているのには驚きます。とにかく演技的にはそんなもんかというところはありますが、ファンの方なら見逃せない作品かもしれません。
2024年6月9日日曜日
セブンのおにぎり 40
セブン・イレブンの「韓国グルメフェア」のおにぎりシリーズの第2弾です。
こちらの方が、より韓国を感じられるかもしれません。
右は、韓国の太巻きとして、最近ではスーパーでもよく見かけるようになった「ビビンバキンパ」です。中に入っている具材は、キュウリ、ニンジン、大根、卵焼き、ポーク・ソーセージ。
そして焼肉風の味がついた牛肉も入っているんですが、あまりに細かすぎて何だか味はすれども姿は見えずという感じ。
とは言え、それなりの雰囲気は出ているので、美味しく食べることができます。ただ、これ1個で285円はちょっときつい。
左は「韓国式ハンバーグ トッカルビ」です。
豚肉のつくねみたいな感じですが、ハンバーグと呼ぶにはちょっと違うかも。味は韓国を感じるほどのことはないのですが、まぁ、普通に美味しいというところ。
ちょっと気になったのは、肉の部分を噛んでいると粘り気みたいな食感があるところ。レンコンとかがはいっているような感じ。
原材料を見てみると、たぶんその正体は「豚皮すり身」だろうと思います。コラーゲンたっぷりということなんでしょうが、正直に言うと傷んだ肉を食べているような感じがしてちょっと不安になりました。
2024年6月8日土曜日
ミステリと言う勿れ (2023)
大学生で、観察力が優れていて、やたらと細かいことを説明し続けるという、扱いにくい久能整(菅田将暉)は、広島にやってきて高校生の狩集汐路(原菜乃華)から、なかば強引に命の危険がある金になるバイトとして、自分のボディ・ガード兼謎解き係として雇われます。
汐路の一族の家長である祖父の遺言状開封の儀が執り行われ、相続権のある孫4人が集められました。遺言は、ゆら(柴咲コウ)、理紀之助(町田啓太)、新音(萩原利久)と汐路の4人に、狩集家の広大な敷地内にある4つの蔵を与え、それぞれの蔵を調べて「足りない物を過不足なくそろえる」ことができたものにすべての財産を相続させるというものでした。
相続権を持っていた4人の父や母は、8年前に交通事故で死亡しており、運転していた汐路の父親の居眠り運転が原因とされていました。しかし、汐路は遺産相続をめぐって、昔から続く一族の確執が関係していると考えていました。そして、早くも汐路の周囲には不穏な動きが始まっていたのです。
ストーリーの性質上、起承転結の起の部分しか紹介しませんが、一見横溝正史ばりの「おどろおどろしい」一族の話に金田一耕助のような探偵が出で来るわけですから本格的推理物のような話・・・と思いきや、謎解きについてはそれほど力は入っていません。
大元のマンガを読まず、ドラマも見なかった自分としては、少々主人公のキャラクターに戸惑うところがありますが、どうやら基本点的にこの変わっためんどうくさい大学生の喋りを楽しむというのが作法のようです。できれば、ドラマを先に見れた方がより楽しめるのでないでしょうか。
出演者としては、狩集家の顧問弁護士の車坂義家に段田安則、その息子も朝晴に松下洸平、狩集家の顧問会計士の真壁軍司に角野卓造、汐路の両親は滝藤賢一と鈴木保奈美、ゆらの夫に野間口徹など。他に松坂慶子、松嶋菜々子も登場します。