2024年10月4日金曜日

密告はうたう (2021)

警視庁にはいろいろな部署がありますが、いっけん事務作業中心のように思えるのが人事・会計などを担当しているのが警務部。中でも警務部の人事第一課というところは、かなり怖い。

何が怖いって、監察係というものが設けられていて、警察の中で警察官が被疑者となっている場合の捜査を行っています。つまり警察の中の警察。一般の警察職員からすれば、自分たちを監視する「嫌な奴ら」ということになり、部署名から「じんいち」と陰で呼んでいるようです。

そんな「じんいち」を舞台にしたのが、伊兼源太郎の小説「警視庁監察ファイル」シリーズで、WOWWOWがドラマ化しました。脚本は鈴木謙一、監督はテレビ朝日で多くのサスペンスを手掛けた内片輝です。WOWWOWらしい、かなり重厚な作りで見応えのあるドラマに仕上がっています。

2年前。警視庁捜査一課の刑事だった佐良正輝(松岡昌弘)は、所轄時代の後輩の斎藤康太(戸塚翔太)とその婚約者、皆口菜子(泉里香)と殺人事件の捜査をしていました。しかし、警察内部の情報が洩れている疑いがあったため、三人は極秘に独自の捜査を行っていた過程で、斎藤が射殺されてしまう。その時、皆口は「私のせいだ・・・」と口にしていたのです。

その後、佐良は責任を問われ、警務部に移動となったのでした。ある日、人事一課の監察官、能馬慶一郎(中村トオル)に呼び出された佐良は、係長の須賀(池田鉄平)と組んで皆口の行動確認をするように命じられます。

皆口も府中の運転免許試験場に移動になっていたのですが、そこで取得した個人情報を持ち出して売っているという密告があったのです。皆口との関係を知る能馬は、佐良に「君も彼女のことを洗ってみたい思っていたでしょう」と言うのでした。

皆口を調べていくと、斎藤の死の謎だけでなく、7年前の佐良らが関わった未解決殺人事件の警察関係者の不可解な動きも確認されていきます。本来監察対象者との接触はタブーとされていますが、佐良は皆口と直接対峙するしかないと決意するのでした。

頭にタオル巻いて元気一杯だったり、女装してキレキレの家政婦だったりするイメージの松岡昌弘ですが、ここでは実に寡黙でこの仕事に前向きであるとと同時に、人を信じたい気持ちもある難しい役どころを演じています。

どちらかというと映画向きのような感じなので、1時間全6回はちよっと長すぎる印象。しかし、その分重苦しさはたっぷりと描かれていて、好評だったのかSeason 2も制作されています。