2024年10月7日月曜日

MIU404 (2020)

野木亜紀子によるオリジナル脚本と塚原あゆ子の演出という最強コンビ、そして「アンナチュラル」のチームが再結集した作品。

警視庁の刑事部捜査一課には、事件発生時に素早い初動捜査を行うことを専門とする特別な班が設置されていて、これを機動捜査隊(MIU、略して機捜)と呼びます。第一から第三までが実在し、2010年には二機捜を舞台にした「警視庁機動捜査隊216」という連続ドラマがありました。

ここでは働き方改革の一環として、第四機捜が新設されたという設定で、桔梗ゆづる(麻生久美子)が隊長に就任します。四機捜に招集されたのは、冷静沈着な志摩一未(星野源)で、彼は後輩を追い詰め死に追いやった過去があります。キャリア組の九重世人(岡田健史)は刑事局長の息子で、頭でっかちで現場経験はゼロ。班長の陣馬耕平(橋本じゅん)が教育係としてつくことになります。

志摩がバディを組むことになったのは伊吹藍(綾野剛)で、底抜けに明るいのですが常識外の行動で問題を起こし何度も移動を命じられています。最初は伊吹の扱いに苦慮しますが、志摩のトラウマを伊吹が解決し、伊吹が警察官になるきっかけを作った恩師の事件では、逆に志摩が伊吹をサポートするのでした。

ある時、女性が襲われ助けを求める通報があり、警官が駆けつけると犯人も被害者もいないという事例が何度も発生したため、四機捜が出動することになります。実は、陸上部の高校生たちのいたずらだったのですが、ついに本物の暴漢が出現し、本当の事件になってしまいます。

いたずらをしていた連中は捕まり反省しますが、成田岳(鈴鹿央士)だけが逃亡し、違法ドラッグの売人である久住(菅田将暉)の仲間になってしまうのです。久住のボスはエトリと呼ばれ、その実態は分かっていませんでした。

桔梗はエトリを取り逃がした過去があり、その際に重要証言をした羽野麦(黒川智花)を自宅に匿っていました。久住は羽野の居所を探し出し誘拐しますが、志摩と伊吹によって成田と一緒に救出に成功。しかし、エトリは久住の仕掛けた爆弾により爆殺されてしまうのです。それらの責任により四機捜は解散が決定したため、久住を追うため志摩と伊吹はそれぞれが独自に単独捜査を開始するのでした。

基本は「一話完結+全体の謎」形式なんですが、どちらかというと全体の謎の比率が高く、どこか一話だけを見るのはお勧めできません。桔梗との因縁から始まるエトリと久住という巨悪に志摩・伊吹が立ち向かうというストーリーが中心の展開で、毎回次を見たくなること請け合いです。

例によって野木脚本は、キャラクターが微に入り細に入り設定されていて、実に魅力的で躍動感があります。星野・綾野のW主演もたいへん魅力的ですが、ここで注目されるのは、たぶん初めての悪役を演じる菅田将暉。久住は悪を正当化するでなく、虚無的な思想からつかみどころのない表現しにくいキャラですが、菅田はその怖さみたいなものを存分に醸し出していました。

「アンナチュラル」と「MIU404」を同一世界観に登場させ、この夏大ヒットしたのが映画「ラストマイル」で、できれば映画を見る前にこの2つのドラマは見ておくことを強くお勧めします。