2012年12月31日月曜日

大晦日2012

大晦日です。年越しそばを食べながら今年1年を振り返り、反省すべきことを反省し、来るべき2013年に向かって新たな目標を・・・と言いたいところですが、実際は昨日の続きの今日、今日の続きの明日。なかなかそんなかっこよく毎日を過ごすことができません。

クリニックを開業してからは、年末の診療が終わるとすぐ新年で、あっという間に診療再開という感じが続いていましたが、今年は昨日が丸々一日あったので・・・やっぱり、だらだらと過ごしてしまいました。

ところで、話は変わりますが、自分はファッションについてはとんと縁がない。基本的に派手な色や柄物が好きではないので、おのずと地味目な服ばかり。

ズボンは、もう20年以上ツータックのチノパンしかはかない。ジーパンは最後に買ったのが20数年前で、その唯一の一本は去年ついに破れて処分しました。

ワイシャツは、学生の頃からボタンダウンがメイン。無地で白か水色かグレー、あるいは縦ストライプ程度がはいっているものが多い。ボタンダウンの利点は、大学病院の頃に手術で着替えるのに、ネクタイをいちいちはずさなくていい。

上着は車での移動ばかりなので、冬でもたいしたものはいらない。そもそも、今までダウンジャケットというものを買った事が無い。あとは、休みのときに自宅で来ているTシャツが数枚あれば、ほとんど困らないという、大変シンプルな身なりです。

となると、まさにUNIQLOだけで間に合ってしまう。確かに、ごく一部を除いて、もう何年も上から下まで、下着から上着まで、ほぼUNIQLOで固めた生活をこの10年くらいしているということになります。

まぁ、ほとんど考えることもないので楽チンと言えばそれまでですが、時にはちょっとオシャレな服を着てみたいと思わないわけではありません。

昨日は息子の服を買いに出かけたのですが、多少今時のかっこいい服を見ていると着てみたい気持ちが出てくるわけです。そこでちょっと試着・・・UNIQLOなら、たいていサイズはLで大丈夫なのですが、最近の若者の服はきつい。LLでもパツンパツンです。

いやはや、やっぱり今時のファッションとは縁がないようで、来年もUNIQLOにお世話になることになりそうです。ただ、典型的な中年太りのお腹をなんとかしないとという、ささやかな来年の目標はみつかりましたけどね。

2012年も終わります。このつまらないブログを読んでみた方がいれば、大変ありがとうございました。皆様が多にとって、2013年が良い年でありますように。

2012年12月30日日曜日

20世紀少年 (2008-2009)


いわずとしれた浦沢直樹原作コミックの実写版映画化。日本テレビ開局55周年作品という威信をかけ、話が壮大ですから最初から三部作としてつくられたもの。もう、ネットなどでもさんざん賛否両論が出尽くした感があります。

まず、もともと話が複雑・・・というのも、浦沢作品は、というより大多数のコミックが書き下ろしではなく連載ですから、長くなればなるほど話の展開が複雑化するのは当たり前。登場人物も多く、そのへんの整理だけでも大変。

人気のあった原作の場合は、映画化されたとき観客がどうしても、原作のイメージをひきずる。そこで、徹底的に原作に忠実に映像化するか、まったく独自の展開を考えるかすることが多い。特にコミックが原作だと、すでに読んだ人にとっては視覚的なイメージが出来上がっているため、映画を作る側のハードルはより高くなります。

例えば、「三丁目の夕日」の場合は、もともと全体を通してのストーリーはなく、原作は小さいエピソードの集まり。ですから、実写化する場合、世界観だけしっかりと作れば、あとは自由がききます。

この映画の場合には、場所・時間そして人物設定をしっかりと作ったうえで、長大なストーリーを一定の時間内に収めなければならない。さらに、最大のミステリーである「ともだち」は誰かという点についての答えをださないといけないわけです。

正直言って、自分はコミックを一生懸命読むという趣味はほとんど無いので、この原作についても実は知っていましたけど読んだことがありません。

そういう人間にとっては、おそらく製作者が一番苦労した部分については、申し訳ないのですがほとんどわからない。 ですから、おそらくコミックのキャラに合わせた登場人物の「大袈裟」な、あるいは「怪しい」扮装については多少違和感を感じたりします。

その一方で、ストーリーについては無駄を省いて、複雑な展開がサクサク進んでいくのでわかりやすいという印象でした。原作者の浦沢が脚本に参加しているので、基本的なストーリーの破綻はありません。もちろん、予備知識なしなので、理解するのに多少骨が折れましたけどね。

そんなわけで、純粋に映画として楽しんでみると、感想は「長い」ということ。一作で3時間程度で完結というくらいが望ましい。

ケンジかカンナか、どちらかに焦点を絞り込んでもよかったかもと思ってしまいます。もっとも、ケンジの少年時代にすべての話の原点があって、カンナが狂言回しでストーリーが進んでいくので難しいかもしれません。

監督は堤幸彦。基本的にテレビの人ですが、比較的マニアックな作りで有名。TRICKのシリーズや、最近ではSPECのシリーズが人気で、いずれも一癖二癖ある。特にカメラワークに特徴があり、悪く言えば「懲りすぎで自己満足」的な画角の切り取り方が多い。

この映画では、原作のコマ割すら忠実に再現しようとしたとのことで、さらに多くのCGを使用が必須ですから、それほどの自由はききません。ですから、比較的堤らしさは封印され、吹き出しの台詞こそありませんが、確かに動くマンガを見ている感じです。

興行収入は、平均すると一作について40億円弱ですから、まずまずの成功だったのではないでしょぅか。というわけで、ストーリー(あるいは脚本に)に★4つ半、監督に★3つ、全体としては、うーん・・・悩むところですが、おまけして★4つとしておきましょう。

2012年12月29日土曜日

診療終了

2012年の診療は、本日で終了いたしました。

この1年間、受診された患者さんは、満足していただいた方もいるでしょうし、満足できなかった方もいるかもしれません。また来年、さらにがんばります。どうか、よろしくお願いいたします。

開業してから一昨年までは、年末は大晦日まで診療をしました、さすがに、スタッフに大晦日まで働いてくれというのもどうかと思ったので、大晦日は家族総出。時には、有志のスタッフにお願いしてなんとか回してきたんです。

ところが、去年は、家族がなかなか都合がつかず大晦日診療は無理だったため、30日で終了にしました。今年も、そのつもりだったのですが、カレンダーをみていたら、2012年は30日が日曜日。


うちのクリニックはカレンダーの赤い日は休診というのが大原則。というわけで、今年はなんと本日29日で終了ということになりました。その分というのも変ですが、いつも1月5日から新年の診療をしていましたが、来年は1月4日から始めます。

2012年12月28日金曜日

2012年のニュース

今年の大きな出来事などを、自分のブログの中から拾い出してみると・・・

一昨年の東日本大震災の影響はそれなりに残っているものの、少しずつ前向きに回復し始めています。できるだけ、明るい話題に注目したいと思う一年だったのかもしれません。

そういう意味でも、トップはやはりロンドン・オリンピック関連の話題でしょう。4年に一度のスポーツの祭典というのは、建前部分もありますけど、おおかたのアスリートにとって大切な目標の一つであることは変わりありません。

医学的な話題では、京都の山中教授のiPS細胞の研究がノーベル賞受賞というニュースがだんとつです。医療の未来像を大きく変える可能性があるので、自分たちの次世代の医者にとっては最も今後も注目すべき話です。

対照的なのは、それと前後して出てきたiPS細胞を利用した治療を行ったという虚言癖の人物。こういうやからは取るに足りない存在ですが、医学全体の信用を、そして研究者の努力の成果をおとしめた行為は絶対に許されません。

医学そのものとは違いますが、天皇陛下の病気と手術というのも大きなニュースでした。大変失礼なことをいうと、平成になったとき「大正みたいに短いのかなぁ」と思ったものです。しかし、いろいろなご苦労があるかとは思いますが、病気も乗り越えて元気でいらっしゃることには頭が下がります。

社会的には、最後の最後での年末総選挙、そして民主党の壊滅的大敗は記憶にとどめるべきことかもしれません。あまりに国民不在の政治が続き、今回の選挙も国民にとっては夢を抱かせるものではなく、政権交代という大きな出来事が起こった割には何かしらけた感じがします。

芸能界では、アイドルタレントの大活躍がめだちました。実力よりも、容姿や話題性がもてはやされる風潮は・・・なんとなく危機感をおぼえます。偶像崇拝が悪いとはいいませんが、どんどん現実からの逃避が進むような感じ。

とりあえず、AKB48の活躍はものすごかったですけど、8月の前田敦子退団後はやや失速感は否定できないようです。退団(=卒業)ネタを出すようになったら、プロデューサーの頭の中にはそろそろ終わりが見えてきたかも。

個人的には、10年ぶりに新車が来たこと、これが一番。いまどきのエコなハイブリッドカーに変わり、燃費をいかによくするかという今まで気にしなかった運転の楽しみが増えました。ただ、遠出する閑も時間もないので、いまだにスカっと走るようなことが無いのが残念。

趣味の音楽は、クラシックについては昔のものについてはだいたい漁り尽くした感があり、新譜についてもそれほど聞きたくなる物がありませんでした。ジャズは、コルトレーンとビル・エバンスをあらためて聞き直すというのがマイ・ブームだった一年です。どっちにしても、過去の遺産ですから、新しいことではありません。

それより、今もはまっているのが、日本のテレビ・ドラマや映画。「踊る大捜査線」から始まり、まったく見ていなかったこの10年くらいの邦画に注目中。なかなかお父さんがテレビを独占することができないので、自然と離れていたところもあるんですが、パソコンも進化して鑑賞環境もずいぶんとよくなったと思います。

なんにしても、2011年の続きが2012年。そして来年も今年の続きですけど、どこかに区切りがあることは大事。一度振り返って、懐かしむだけでは駄目ですが、点検して次につながる目標を考えることは意味があります。あらためて、来年も良い年になればと思います。

2012年12月27日木曜日

2012年 総決算

今年も総決算をする時期になってきました。2005年12月にクリニックを開業して、丸7年たちました。今年は、一言でいうと「凪」の年だったようです。

クリニックの経営的なところでは、医療法人を設立して2年たち、だいたいこの形態にも慣れてきました。法人化することのメリット・デメリットも、最初に理屈としては理解していたつもりですが、実際に経験的にもわかってきたところです。

法人化して、複数の施設の経営が可能になることはメリットの一つですが、今のところそういう考えは頭にはありません。経営者としては、欲が無いと怒られそうですが、一つのクリニックを経営しているだけで心身ともに余裕が無いというのが実情です。

介護系の施設や在宅関連に手を伸ばすというのが一般的かと思いますが、まだまだ先行き不透明なところがあり、そうは簡単に広げてみようとはなりません。大学の後輩には、いくつものクリニックを経営しているやり手もいたりしますが、頭の中はどういう構造になっているのか見てみたいものです。

スタッフは多少の移動がありましたが、全体的にはおちついていました。ただし、スタッフの病気などがあって、人の遣り繰りの多い年だったかもしれません。

少ないぎりぎりの人数でやっているので、一人休むだけでも影響が大きい。各人が都合をつけあって、うまく抜けそうなところを補ってくれたので、何とか切り抜けることができました。スタッフには感謝することばかりで、頭が上がりません。

一番力を入れている関節リウマチ診療については、昨年末にエコー検査の機器を導入して、今年は実用的に使用することができました。それぞれの機械にはくせがあるので、ある程度慣れが必要ですが、最近ではリウマチ以外にも幅を広げて使用しています。

リウマチ診断・治療の進歩は相変わらず著しく、ついていくのにアップアップであるのは今年も同じ。特にT2Tと呼ばれる「早期に診断して寛解にもっていく」というトレンドは、よりリウマチ医に大きな目標を与えました。

近隣のリウマチ医の先生たちとの「田園都市リウマチフォーラム」も軌道に乗って、より緊密な診診連携や病診連携を築いていけてます。来年は、さらに幅を広げて活動していこうと計画しているところです。

 自分のことはというと、クリニック以外の仕事は相変わらず。女子医科大学膠原病リウマチ痛風センターの非常勤講師の仕事、横浜新緑総合病院のリウマチ外来、横浜市社会福祉協議会のケアプラザの協力医、そして当直バイト。

さすがに、当直バイトは減りました。この一年は、第1、第3、第5の土日だけ。祝祭日の当直は、ほとんどやりませんでした。まぁ、そこそこの内科的な外来や病棟指示などは医者として最低限の技能を維持するために大事なので、まだしばらくは続けることでしょう。

こどもも成長して、夫婦だけという時間も少しずつ増えてきました。だんだん老夫婦という感じが想像できるようになる年になって、自分の健康も考えないとね。来年も、今年の続きですが、どこかが少しは進歩する部分があるようにしていきたいものだと思います。

2012年12月26日水曜日

ステマ

あのさぁ、最近寒くて空気も超乾燥してない? 肌がカピカピになって、やたらと困るんだよね。男性だって、お肌の手入れは多少きになるしさぁ。

でもさぁ、この前ともだちのSHOTAからいいものを教えてもらったんだよね。スキンミルク・スーパーローションっていうんだけど、100mlのボトルが580円で、めっちゃ安いから、最初は信じてなかったんだけどね。

ところが、使ってみてびっくり。肌がしっとりしてさぁ、外を歩いていてもしっとり感がなくならないのさ。そのせいか、寒さもあまり感じなかったんだよね。なかなか優れものだとわかったよ。

しかも、安心なのは、すべて天然成分だけでできているってとこ。いっぱい使っても、心配ないでしょ。最近のものは、いろいろな化学成分が入っていて、使うのが怖いからね。

一応、大手のお店でもたまに買えるようだけど、人気で入荷するとすぐに売り切れみたいだから、使ってみたいなら直販サイトのほうが確実みたい。

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という感じに書かれたブログが問題になっているそうで、特に芸能人プログでメーカーから謝礼をもらって書き込んでいる事例がずいぶんと話題になりました。

書く側は、ちょっとした小銭稼ぎということでしょうから、そんなに問題にされるとは思っていなかったでしょう。読む側は、有名人からの口コミですから、中にはそのまま信じてしまう人もけっこういたようです。

こんいう宣伝形態のことを通称「ステマ」と呼んでいます。ステルス・マーケティングの略で、隠れた販売戦略という意味。一見、宣伝のようでなく、実は・・・みたいなもので、世の中にはあふれている。

自分も、特定のものを良いとか悪いとか書くことはありますし、実際に大手通販サイトのamazonへのリンクを利用して一部の商品を掲載していたりする。これは、画像をブログに利用したいときの、著作権問題を回避する目的です。

さすがに、こんな弱小ブログから、しかも積極的に宣伝しているわけではないリンクで商品を買う人もいないとみえて、amazonからのバックマージンはいまだにゼロですけどね。

大事なのは、買う側の真偽を見極める力でしょうから、あまりのせられた芸能人を批判してもしょうがないと思います。その商品が文章通りのものなら文句も出なかったでしょうから、最も問題なのは商品の品質そのものじゃないでしょぅか。

ネット社会は、大変便利ですがその分落とし穴も多い。薬の主作用と副作用と同じで、よく効く薬ほど、副作用も多いものです。そこをしっかり理解して、上手に使うことが重要なんですよね。

2012年12月25日火曜日

RESET

先週の総選挙において、民主党大敗についてはさんざんニュースでも報道され、いろいろな解説員やコメンテータの方々がさんざん結果の分析を行い一定の評価が出来上がったようです。

3年間の民主党の混乱に国民がNOを突きつけた結果、民主党は史上まれにみる議席の減少で惨敗。第三極といわれた集団には、国民は慎重な姿勢をくずさず、維新の会だけがある程度の議席を確保しました。

アンチ民主党は、自民党候補者に投票したものの、比例での自民党への投票は少なく、かならずしも自民党が信任されたとは言いがたい。今回の選挙は「政権交代」ではなく「政権崩壊」であるとか、野田首相の「自爆テロ」の失敗といった言葉がメディアで踊っています。

なんとも、しらけた話です。投票しないといけないから投票した、あの人になってもらいたくないからこっちに入れた。政治家に対して、これほど国民が失望していることを端的に表した選挙はなかったのではないでしょぅか。

選挙結果を受けて、野田総理は即日、代表辞任を発表しました。そして、本日、海江田万里氏を新代表に選出しました。なんにしても、自民党から流れてきた、「影の首相」とか「おぼっちゃま総理」とか、よけいな人たちをそぎ落としたわけですから、ここからが本当の勝負かもしれません。

自民党にとっても、黙っていて票が集まる時代ではないことは重々承知のことでしょぅから、ここからが本当の力の見せ所。この3年間に、どれだけの新しいところをためていたのかが試されます。

戦後政治が、今回の選挙でついにリセットされたと考えたい。ここから、新しい力がもう一度政治を国民に近いものにしてくれることを信じたい・・・大丈夫っすよネ。

2012年12月24日月曜日

昨日の忘年会 @ 新横浜

日頃、出入りしている・・・と言っても、いかがわしいことをしているわけじゃない。毎週、昼休みに行って、整形外科的な問題があれば相談に乗るようにしている老健の忘年会に出席しました。

場所は新横浜、駅近の比較的小さいホテル。ここは、かれこれ20年くらい前になりますか、横浜北部地域に関わりだして、初めての忘年会でも利用したところ。

あれから・・・いやはや、年取ったなぁ、と感慨にふける忘年会でした。

2012年12月23日日曜日

続・リウマチ気質

タイトルに「続」とつけたものの、前回この話題は4年前。もう、だいぶ前のことです。

なんで、また「リウマチ気質」かというと、以前このブログへのアクセスで使用される検索キーワードの上位にあるから。開業して、丸7年が過ぎて、気がつくと開業医初心者から多少なりとも中級者になったでしょうか、うちのクリニックが関節リウマチを専門にしていることもだいぶ周知されてきたと思います。

毎日、せっせとやや時代遅れになってきた感があるブログを更新するのも、元はと言えば無料の宣伝ツールとしての活用からでした。さすがに、ここまで続くと、もう日課みたいなもの。毎日書くのも義務感というより習慣となり、自分の記録としてけっこう重宝したりします。

さて、リウマチ気質ですけど、最近NHKテレビの「ためしてガッテン」で関節リウマチが取り上げられ、来院する方の中にもご覧になった方がけっこういたりします。

以前から、この番組に限らず、テレビで医療関連の情報を話題にする場合にはセンセーショナルな一面を強調するばかりで、病気を心配している人の不安をあおるような番組作りが気になっていました(NHKと言えども視聴率は重要ですからね)。

今回は、東京女子医科大学膠原病リウマチ痛風センターの所長である山中寿先生が出演していて、なかなか的を得た解説をしていました。なんて書くと、贔屓の引き倒しみたいな話で恐縮ですが、なにしろ自分もセンターの非常勤講師という立場ですからね。

山中先生は、話が整然としていてわかりやすい。会話もてきぱきしていて、頭の良さがほとばしるタイプの先生です。でも、にこやかな態度が(丸っこい顔つきや体型のせいか?)、全体的な雰囲気を和らげている。いずれにしても、現在の日本の関節リウマチ診療を牽引する人物としては、5本の指に入るような方です。

今回のテレビの中でも、関節リウマチは「治る」ようになってきたことが話題になっていました。早期に見つけて、早期に治療を開始すること、しかも(高額ですが)生物学的製剤を早くに導入することが寛解(かんかい)と呼ぶ治癒に近い状態への近道です。

リウマチ気質というのは、 療養が長期化してしだいに「神経質」になってくるような状況で使うことが多いと思います。そりゃそうでしょう。以前は、一生治りません、しだいに手足が変形して出来ないことが増えます、死ぬかもしれない薬を使い続けます、などなど不安になるような話しばかりをしていたんです。

誰だって、だんだん病気に対して神経質になるのは当たり前。しかし、残念なことに医者の間では「リウマチ気質」という言葉はどちらかというと「うるさい患者」という意味をこめて使われることが多い。

リウマチを専門にしていない医者ほど、その傾向は強いと言わざるをえません。少なくとも、治せる可能性が出てきた今の状況では、専門にしている医者にとっては死語です。患者さんと医者が一緒になって、前向きに病気と闘っていく中ではリウマチ気質というのは存在しないと思います。

だいいち、ネットが浸透して、なんでも「検索」の時代ですから、リウマチに限らずどんな病気も事前に患者さんが情報(正誤混在ですが)をいろいろ知っていることが多い。いろいろなことを知れば知るほど、「神経質」な傾向は出てくるものです。

いずれにしても、早期診断・早期治療のためにも、専門にしている医療機関へ受診し相談することが最も大切。リウマチ科という診療科の標榜はあてになりません。極端なことを言えば、うちのクリニックも、患者さんを集めるために産婦人科とか看板に書くことは可能なのです。

専門のクリニックを探す方法は多くはありませんが、ネットなどをうまく利用することは効果的です。自分も、わざわざ得意じゃないところをホームページに掲載しようとは思いません。なんにしても、関節リウマチ診療はどんどん進歩している分野で、「リウマチ気質」はそれに比例して過去のものとなっていることは間違いありません。

2012年12月22日土曜日

ALWAYS 三丁目の夕日 (2005-2012)


2005年の第一作、翌2006年の「ALWAYS 続・三丁目の夕日」、そして今年2012年の「ALWAYS 三丁目の夕日'64」と山崎貴監督が、昭和30年代の時代を完璧に映画の中に再現した三部作です。

敗戦後、少しずつ再生しだした日本は昭和30年代に高度経済成長期に突入します。携帯電話もインターネットも無いにもかかわらず、日本が最も元気で活気付いていた頃です。

第一作は昭和33年、東京タワーが完成する直前の東京、港区を舞台にしています。上野駅、集団就職という、まさに時代を反映する出来事から始まります。

上京してきたのは堀北真希で、まさに田舎の女学生然。迎えにきたのは就職先の鈴木オートの社長である堤真一。乗っている車はオート三輪。奥さんは薬師丸ひろ子で、使っている冷蔵庫は氷で冷やすタイプ。

向かいの駄菓子屋の主は、しがない小説家の吉岡秀隆。彼が通う小料理屋の女将が小雪で、彼女からこどもをおしつけられてしまう。この二組の世帯を中心に、町の何気ない日常の話が進行していきます。

映画では、ストーリーが基本。役者がいて、いろいろな役柄を演じて、自分たちに様々な疑似体験を通じて楽しくさせたり、悲しくさせたり、あるいは怒らせたり、そして喜ばせる。

その背景となる舞台は世界を作る裏方で、けっして表にでしゃばるものではなく、意識しないところで体験に現実味を加える道具の一つ。

でも、この映画ではむしろ背景が主役といっても過言ではありません。まず見事なまでに再現された昭和30年代の東京の景色が、すぐに気持ちを一気にこどもの頃へ戻してくれるのです。本当は、気がつかれてはいけないもので、本来は映画では引き立て役。

ミニチュアとCGとオープンセットだとわかっていますが、あまりの出来栄えに「絵空事」的な感情をさしはさむ余地を与えません。

心の中に残っていたおぼろげな記憶が呼び戻されるのですが、すでに美化されたいい思い出だけが映画の中の「現実」として蘇るのです。それは、昭和30年代という時代の箱の中で繰り広げられるドラマについても同じ。

ここに登場する人は、悪人はいない。近所同士でのおせっかいなくらいの付き合いもあり、出てくる人々は他人のためにせっせと汗を流すのです。そんな嘘っぽさが、自然に見えてくるのもよくできた舞台のおかげ。

ダンプカーの土埃や、排気ガスによる公害などはここにはでてきません。こそ泥とかもいないし、チンピラとかも出てこない。それぞれの昭和を知る人の記憶の中のいいところだけを、救い出してくれているのです。

それを偽物と考えればそれまでのことですが、素直に自己満足の世界にひたればいい。まさに本当の「仮想現実」の空間を楽しむことができる、これはまさに映画でしかできないことなんでしょう。

現代の仮想現実、バーチャルリアリティにはその土台となる知識・経験・記憶といったものが欠けています。想像の世界を、本物のように見せるだけのこと。

なんにしても、まさにこの映画の時代に、まさにその土地の付近で育った自分としては、無条件に受け入れてしまうわけです。

2012年12月21日金曜日

インフルエンザ流行入り

厚労省からインフルエンザ流行入りの宣言が出されました。

医師会から流されてくる都筑区内の発生状況からも、9月頃から、ポツポツと患者さんが発生し、11月から多めになってきて、そして最近は急に増えている。

インフルエンザの恐怖に日本中が大騒ぎしたのは2009年のことで、大震災以前、すでに3年前のこと。

それより前から言われていた「パンデミック」というキーワードによって、かなりの警戒態勢がとられ、実際に発生した新型ウィルスの毒性も低くて、混乱の割には大きな被害になりませんでした。

日本人の「良いところ」の一つが、喉もと過ぎると忘れるところ。最近は、あまりインフルエンザについての話題は出てきません。

しかし、いろいろなところで手洗い・うがいの励行や、消毒液の設置が日常的に行われるようになって、感染予防に対する意識は変わったと思います。

新型騒ぎで、予防接種をする意識は高まったことも一因だと思うのですが、確かに新型以前に比べて患者発生数は少なくなったように感じています。

夜間の当直のバイトをしていて、この時期になると、以前は毎回何人かインフルエンザ患者さんに遭遇していたものですが、最近はあまりみかけません。

予防できる(もちろんパーフェクトではありませんが)なら、治療にかかる医療費や社会的な損失を最小限にとどめることができるわけですから、積極的に予防接種を受けて、寒くて乾燥が厳しい期間は十分に注意をしていきたいものだと思います。

2012年12月20日木曜日

あと一ヶ月

受験生の皆さ~ん、いよいよ大学入試センター試験まであと一ヶ月となりました。最後の最後、ラストスパートです。体調管理に気をつけて、緊張感を持続させてがんばりましょう。

自分は受験というのは、中学に入るときが最初。中高一貫校だったので、高校受験はありませんでした。次が大学入試、ここでたっぷり浪人生活をした関係で、毎年受験生・・・浪人生活は無駄ではありませんが、短いにこしたことはありません。

そして、医師国家試験が人生最大の受験イベント。なにしろ、これに合格しないと何にもなりません。医学部を卒業して医学士になっても、できる仕事は何もないんです。そういう意味で、医学部というのが、国家試験予備校として存在しているというのは厳然たる事実です。

そして、試験らしい試験としては、整形外科専門医試験がもっかのところ最後の受験です。どの科でも専門医という資格は、持っていないと恥ずかしいみたいに言われ、取るのが当たり前みたいになりました。

しかし、現実には各科の学会がそれぞれ独自に受験方法を決め、さらに独自の基準で選定しているわけで、公的な資格としての拘束性もないかわりに、持っていることの優位性もありません。

まぁ、無いよりもましという程度ですから、他の受験に比べるとだいぶ軽いものかもしれません。同じように、誰もが持っていて当たり前の資格試験としては自動車の運転免許試験があります。

試験としては、まぁ普通にやっていれば誰でも取得可能なものですが、何しろ公的な資格ですから持っていればいろいろなところで役に立つ。

受験は、準備にかける意欲・努力と必ずしも結果の効果が比例しないということでしょうか。まぁ、そう言わずに、とにかく何かの目標に向けてがんばることは何にしても人生に無駄ということはないはずです。

とはいえ、さすがに50歳もとっくに過ぎて、今から何かを受験するということも無さそうです。 今のところ、いろいろな受験する人の応援団の一員です。

2012年12月19日水曜日

強力・協力

年末ムードが少しずつ高まっていますが、自分の場合はまだまだ気分が向かっていません。って言うか、毎日がアップアップ。寒さか増してから、患者さんの数はむしろ少なめ。それほど忙しいわけではないのですが、最近比較的ヘヴィな患者さんが多い。

開業医というのは、日常的によくある病気を扱い、病院に比べて診断や治療で難しいことはあまりないだろうと思いがち。まぁ、確かにそうなんですけど、時代は数年前に比べてだんだん変わってきている部分もありそうです。

大きな病院は、この数年で紹介状を持ってくる患者さん以外は診療しないという形態をとることが多くなってきました。これは、病院が病院として機能するために、クリニックでみれる患者さんを抱え込まないようにして勤務医の負担を軽減しようということ。

まずはクリニックを受診、そこで振り分けをして重症の度合いによって病院へ紹介されるという形は、単純に考えて当たり前のこと。自分も大学病院時代に経験しましたが、外来診療のかなりの患者さんは湿布をだすだけで、昼休みがほとんどなくそのまま午後は手術室に駆け込んだりすることが多々ありました。

その分、開業医の負担が増えることになるわけですが、開業医は経済的に潤っているんだからそのくらい文句を言うなというところでしょぅか。まぁ、確かに勤務医に対して所得が多いことは否定しませんが、一人の開業医のクリニックを経営するために払っている労力の絶対量からすると、その差はほとんど感じられません。

こういうことを書くと、自分で好きでやっているんだろうと言われそうですが、確かにそうです。ですから、経済的な見返りとかを期待するわけではありません。その分、開業医もより勉強をして、少なくとも初期医療の充実をはかるだけです。

特に関節リウマチを専門にして日常診療をしていると、基本的に外来で完結できる病気ですから、より深いところまで開業医レベルでの解決が求められます。結局、今後も病院や近隣のクリニックとの連携協力を強めて行って、患者さんの流れをよりスムースにすることが大切と思います。

2012年12月18日火曜日

忘年会 石花海 @ センター南

今夜は、リウマチ診療を行う近辺の医者で始めた勉強会の忘年会でした。

場所はセンター南の石花海(せのみ)という創作鮨の店。基本的には和食で、創作といってもそんなに奇抜なものは出でこない。この近辺では、それほど安くはありませんが、一定の評判の店です。

前回行ったのは、去年の春ですから、ずいぶん久しぶり。あいかわらず、たいへん美味しい食事を堪能しました。今回面白かったのは、店員さんから「いくら丼」ですと説明されで出てきた、これ。

丼と言われて、ちょっと驚いたのですが、実物がこれまたかわいい。となりの海老の握りと比べれば大きさが想像できるというもの。直径5センチくらいのガラスの器に入っていて、丼といっても量的には軍艦巻きくらい。

このあたりが創作鮨の面目躍如というところで、見た目にも実際に食べてみても大変楽しめるところです。

2012年12月17日月曜日

総選挙終了

自民党圧勝となった今回の総選挙。

裏返すと、前回の選挙と同じような現象が起こったと考えるのが妥当でしょう。前回の選挙では、長く続いた自民党政治に嫌気がさして、アンチ自民票が急増し、その結果政権交代が起こったのです。

今回も、自民党が信頼されていたわけではなく、アンチ民主票が結果として自民党に流れたのであって、自民党が信任された結果とはいえません。

ただし、参議院ですでにアンチ民主現象が起こっていたあとですから、自民党は両院で多数政党となるわけです。いわゆる「ねじれ国会」が久しぶりに消滅することが、政権交代としては大きな違いでしょう。

第三極と呼ばれていた集団は、必ずしも大成功とはいえない結果だと思います。ダメダメ民主から直前離反して流れた人への批判や、そもそも中心となる橋元さんが石原さんを迎えたことで特徴が落ちてしまったこと、そして選挙直前にいきなり登場する者などで、かえって信用を得られなかったのでしょう。

なんにしても、再度政権を奪回した自民党は、過去の自民党をしっかりと総括して、前回なぜ負けたのか、そして今回民主党の大敗の評価の上に国民にしっかりとした政権運営をみせてもらいたい。

そこから信頼を得ることができるようになれば、生き返ってきたゾンビも本当の命を吹き返すかも知れません。政治が国民の信頼を再び得られるか、本当の最後のチャンスかもしれないですよね。

2012年12月16日日曜日

K-20 怪人二十面相・伝 (2008)

日本人、特に昭和を生きてきた者にとって、江戸川乱歩の数々の探偵小説はこどもの頃の原点みたいなもの。今のこどもがポケモンで育っているように、名探偵明智小五郎と怪人二十面相の冒険譚に心わくわくさせられたはず。

明智と二十面相の対決に新しい解釈を加え、もう一つの答えを見せてくれるストーリーは魅力的だ。もちろん、絶対的な原典主義で考えれば、邪道な設定ということになるかもしれないが、全体のお伽噺的な映画作りがそういう堅苦しさを封印した。

当然、舞台は日本で、ここは東京なんだろうが、今の日本を知っていると、完全に別世界の話と思えてくる。なにしろ、第2次世界大戦が無かった場合の1949年という発想が目新しい。

特権階級と庶民の貧富の格差がどんどん広がり、軍はさらに力をもつようになる。確かに、戦争が無ければこういう世界はありなのかもしれない。「ブレードランナー」と「バットマン」のゴッサムシティをまぜこぜにしたみたいな世界。

ハリウッドの大作と比べれば、こどもだましみたいな特殊効果が満載だが、それも許される。役者の体をはったアクションが、なかなかスピード感があって爽快だからだ。主演は金城武で、相変わらずしゃべりはイマイチだが勘弁しよう。

まわりを固める俳優がいい。思いきりお嬢様の松たか子、明智役の仲村トオル、主人公をメカでサポートする國村隼などがうまい具合にかみ合っていて、脚本がなかなか上出来みたい。

その脚本と監督を兼任したのが、佐藤嗣麻子。この映画が第一回監督作品だが、脚本家としては、けっこう話題になった映画やテレビの仕事をしている人。最近ではキムタクの宇宙戦艦ヤマトの脚本も手がけている。

監督としては、プライベートでもパートナーで、もともと特殊効果を専門にしていた映画監督山崎貴(Always 三丁目の夕日で有名)がかなりバックアップしていると思われる。

それなりの、あっと言わせるどんでん返しが用意されているので(ただし最後の対決の前までにだいたいわかってしまうけど)、ストーリーについては書かないでおく。

もちろん、名作映画として未来にずっと記憶されるようなものではないかもしれない。あえて、細かいことは気にせずに、頭をバカにして映画はこうして楽しもうというような作品だ。

2012年12月15日土曜日

最後のお願い

今日は冷たい雨で、もう少し気温が低ければ雪が降り出しそうな午後でした。明日は国政選挙ですが、街頭演説は今日が最終日。

立候補した「志」ある方々にとっては、自分をアピールするチャンスは今日まで。宣伝カーが走り回って名前を連呼し、型どおりに白い手袋をした応援スタッフが一生懸命手を振ります。

もう、うるさいと思うくらい、そこら中で賑やかに選挙活動をするのは、昔も今もそれほど変わらない風景・・・のはずですが、どうも今回は、自分は冷めている。

朝、家を出てクリニックへ向かう。途中で駅前を通りますが、朝早いので選挙活動は無し。クリニックで夜まで診療。クリニックは駅前ですが、港北ニュータウンはいろいろ環境についての条例があるせいか、ほとんど選挙関連の音は聞こえてきません。

あれっ? 選挙期間だったっけ? と思えるくらいに静か。ニュースを見ると、確かに首都圏の大きな駅では政党幹部の方々がなんかやっている。早朝は、民放でも政見放送を流していて、間違いなく選挙期間。

前回大きな期待をして政権交代に流れた日本ですが、勝手に期待をした民衆が愚かだったんでしょうか。現政権与党に投票するのはためらわれる。うまいことばかりを言っている「第三極」とかいう人たちを、にわかに信用するわけにもいかない。

 今のところ、巷では最大野党が人気を得ているようです。でも、彼らがどうしようもないから、今の日本が出来上がったんじゃないですか。すでに仕事ができそうな人材は離党して、残っているのはゾンビだけです。

 そんなことを思っているから、よけいに選挙の声が耳に届かないのかもしれませんね。

2012年12月14日金曜日

剣岳 点の記 (2009)

新田次郎は、諏訪市出身の日本の山岳小説の巨匠。高校生の頃に数冊読んで、ずいぶんと山のすごさを教えてもらったものです。映画にもなった「八甲田山死の彷徨」は有名です。

その映画版の撮影に当たったのが木村大作。自然の厳しさと隣り合わせの美しさを、見事にスクリーンの中に映しだしました。もともとは黒澤組の撮影助手として、その技術とセンスのよさで黒澤明監督からも一目おかれていた人物。

その木村大作が、70歳を過ぎて初めて撮影だけでなく、自ら監督した映画として評判になったのがこの映画。撮影にまつわる、監督のこだわりから来る壮絶なエピソードはずいぶんとメディアの芸能ニュースを賑わせました。

確かに美しい。こういう画面を見れるのがテレビと映画の違いだと思うような、素晴らしい映像美学が全編を貫いている。おそらく納得できる絵が撮れるまで、じっくりと時間をかけ、一瞬のためにものすごい時間と労力と費用がかかっているんでしょう。

テレビ出身のにわか映画人には作れないような、これが映画だというような作品ではあります・・・が、しかし、残念ながらつまらない。なんでしょうか、映像の美しさだけが際立っていて、中身の肝心なストーリーの展開がつまらない。

新田次郎の史実に基づいた原作があり、基の話としては問題は無い。やはり撮影監督はあくまでもカメラマンであって監督ではないという、つまらない結論になってしまうのかもしれません。

前半は剣岳初登頂をめざすための下見。これが長い。剣岳そのものには入らないのですが十分に山登り気分を見せてくれるので、後半本登頂では、まだ登っているのかという感じです。

雪崩に襲われたり、ところどころに緊張する場面が出てくるのですが、全体のテンションが均一で特に盛り上がるところがない。山岳会との初登庁競争も淡々としていて、全部カットしてもかまわないような感じ。

何しろ、最後の山頂直前の場面で、画面がとまるのは気持ちが一気に途切れてしまう。次のシーンではいっきに山頂に立ち、あまりの編集の荒さが目立ちます。

木村大作は、来年もう一度山岳映画に監督として挑戦するとのニュースが最近ありました。映画らしい映画を作れる最後の職人として、次回作に期待したいとは思います。

2012年12月13日木曜日

Mischa Maisky 10 Classic Albums

現代クラシック音楽演奏家で、ピアノのアルゲリッチ、バイオリンのクレメール、そしてチェロのマイスキーの三人はいわゆる「巨匠」と呼ぶにふさわしい地位を確立しています。

彼らに共通しているのは、ドイツ・グラマフォンが80~90年代に力を入れて売り出したこと。三人の単独のアルバムはもとより、アルゲリッチ+クレメール、あるいはアルゲリッチ+マイスキー、さらに三人によるトリオなど、多くの録音が残されています。

もちろん、レコード会社の商業的な作戦だけでなく、三人の気が合ったからこそ恒常的なユニットとして成立していた関係なんでしょうね。 今でも、時々新譜がでますから、なかなか強力な集団としてマークしておく必要があります。

この三人がからんだアルバムの一番の特徴は、なんと言っても「過激性」ということでしょぅか。ピアノはソロと違って、弦楽器との競演(バイオリン・ソナタ、チェロ・ソナタ)ではやや伴奏者となる傾向があり、比較的個性を表に出さないタイプのピアニストが好まれる傾向があります。

アルゲリッチはその点、本当に遠慮が無いというか、ある意味男性的というか、とにかく攻撃的な演奏をして、クレメールやマイスキーをあおりたてるのです。ですから、評論によっては下品な演奏と言われていたりしますが、それが面白いんじゃないですか。

おとなしいアルゲリッチになるなら、他にも素晴らしい演奏はいくらでもあるでしょう。彼女の存在が、三人の演奏をさらに高揚させる鍵であることは間違いないのです。

そんなわけで、クレメールとマイスキーのアルゲリッチ抜きのそれぞれの単独のアルバムはというと、やや物足りなく感じてしまうわけです。あきらかに、演奏の質が違うようなところがあって、悪くはないけど、他の演奏家のものでもいい。

マイスキーは特にそういうところが顕著で、チェロ演奏家としては、アルゲリッチがらみでないアルバムについてはやや「平凡」という印象がぬぐいきれません。ただ、モダン楽器の奏者としては平均以上の演奏であることは間違いないのでしょう。

来年初頭に、そういうマイスキーのグラマフォンでのアルバムがボックスで安く登場します。まとめて、アルゲリッチ抜きのマイスキーを再評価するにはたいへん便利なセットですから、あらためてじっくり聴いてみたいと思います。

2012年12月12日水曜日

サンタ折り紙

いつからだったかよく覚えていませんが、クリニックではこの時期になると毎年サンタクロースの折り紙を受診した方に差し上げています。

お一人様ひとつ。おおよそ2週間くらい配れることを目標に、11月から業務の合間にスタッフ全員で作りました。最初は「どうやって折るんだっけ」となるんですが、すぐに思い出してスイスイ折っていくことができました。

この折り紙をちゃんと折れて、はじめてうちのクリニックでは一人前のスタッフになれる・・・というほどのものではありませんが、仕事内容のそれぞれ違うスタッフが、全員で同じことを一生懸命やるのは大変意味があることなんです。

もとはと言えば、患者さんに折り方を教わったのが始まり。ちょっとしたことですけど、いろいろな意味で、大変いいことを教えてもらったと毎年この時期になるとありがたく思います。

折り紙には、小さいお菓子のプレゼントを添えてあります。無くなったらおしまいですので、その場合はあしからず。

2012年12月11日火曜日

初診料

初診という言葉は、一般的には何か新しい問題で病院を受診することと思われています。また、逆に同じことで同じ病院を受診する場合、間があいても再診と考えている方も多いかもしれません。

初診・再診という言葉は、厚労省が決めている医療報酬点数表、つまり医療の定価表できめられています。基本的には270点、つまり1点10円で2700円。3割の自己負担の方の場合は、窓口で支払う額は810円となります。

別のことでかかっているときに、新たな問題が生じたときは、初診扱いにはなりません。例えば、足の捻挫でかかった日は初診、翌日に手をあらたに打撲してかかってもそれは再診の扱いです。

先行する問題が治癒・中止となった場合の後に、新たな問題で受診すれば、それは初診扱いです。同じ問題で受診する場合も、患者さんの自己理由により1ヶ月以上経過してから受診する場合は再度初診となります。

このあたりは、医療機関側の考え方にもよりますが、うちのクリニックではおおよそ2ヶ月間以上開いた場合は診察の上、初診にするか再診にするか判断します。そして、3ヶ月以上あいている場合は、初診としています。

慢性的な病気で定期的な通院をしている場合は、医療機関側から「次回は2ヵ月後」というように指示することもあるので、通常は間隔があいても毎回再診の扱いになります。

ただし、定期的な通院というのは、一般的には最大で3ヶ月後くらいまでのものと考えている医療機関が多いと思います。うちのクリニックも含めて半年以上間があいた場合には、無条件に初診の扱いとすることが多いのでないでしょうか。

いろいろなケースがあり、なかなかクリアカットにはいかないところが多いことなので、再度受診する場合には、急性疾患や外傷の場合には1ヶ月以内、慢性疾患では3ヶ月以内の再診をするようにしたいものです。

2012年12月10日月曜日

ガス欠

今日はまいった。何が? って、週明けですけど寒いから、患者さんの全体の数はそれほどではなかったんですが、新患が多かった。

新患は話を聞き手際よく診察して5分、レントゲンなどで5分、そして結果を説明して5分。だいたい一人について15分くらいかかります。今日は新患だけで30人くらいですから、これだけでほぼ1日の診療時間である8時間を費やしてしまいます。

しかも、夕方6時を過ぎてからの新患攻撃で、もう時間内にどれだけがんばっても終わらない。結局終了したのが、7時40分。なんとか8時にはクリニックに施錠できましたが、もうくたくたでした。

そんなことはめったにない閑散クリニックなんだから、ありがたく思ってがんばんなさいといわれそうですが、逆にめったにないからバテバテです。

土曜日に注入したアルコール燃料は、一気に燃やし尽くしてしまいましたです、ハイ。

2012年12月9日日曜日

県庁の星 (2006)

織田裕二と柴崎コウの主演の、当時まぁまぁ話題になった映画です。最近の映画のほとんどがそうであるように、西谷弘監督はテレビ出身。ただし、もともとのテレビドラマはありません。この一本のなかで、話は完結します。

二人が少しずつひかれていく恋愛ドラマ的な要素がありますが、それはあくまでもおまけ。自然と笑えるシーンが出てきますが、コメディというわけでもない。

根底にあるのは、かなり痛烈な現代社会の風刺です。そして、必ずしも成功物語での美談でもありません。そこを、嫌味なくサラっと描いてみせたところが、好感の持てる作品として評価できます。

県庁職員で、「お役所仕事」がバリバリでできると評価されている織田が、市民への政治的ポーズのために一般企業のノウハウを吸収するという名目で、地元のしがないスーパーマーケットへ出向することになります。

前半はスーパーの実情を描き、まずは一般企業のよくないところ、つまり利益優先で社会に対しても責任を回避している部分の話となっています。ただし、織田の役所感覚とのズレのなかに笑いを盛り込むことで、直接は役人の体質批判が中心となります。

中盤は、役所での出世も「玉の輿」だった結婚も失い失意に打ちひしがれる織田が、市民のために目覚めスーパーの営業回復のために奔走する話。もともと仕事ができる男ですから、目的意識がはっきりするとその手腕は遺憾なく発揮され、スーパーの職員も意識改革されていく。

そして、最後は県議会に乗り込んだ織田が、直接的に役所批判を展開し、利権にまみれた議長と対決することになります。そのなかで市長だけが織田の話を聞こうといいう姿勢を見せ、役所も意識改革を始めるきっかけとなる・・・というところで終われば、まさにドラマ的な展開でめでたしめでたし。

ここからはネタバレのようなことですが・・・

最後の最後、いかにもやさしげな酒井和歌子の市長は「前向きに検討する」だけ、いかにもわるそうな石坂浩二の議長が織田の改革案をゴミ箱に捨てるところは痛烈です。どんなにがんばっても、役所仕事はかわらない。国のレベルでも、政治と言うのは市民とはかけはなれたところに存在しているというメッセージとなっているようです。

それでも、織田はそれを予想していてへこまない。柴崎を初めてデートに誘い、さわやかさをエンディングに残すことで、後味を悪くしないようにしたことが映画としての完成度を高くしているように思います。

熱血漢の似合う織田と、どこか冷めた柴崎というキャスティングにも助けられ、なかなかよくできた映画ではないかと思います。監督のさらなる成長への期待も含めて、★4つ半くらいあげたい感じでした。

2012年12月8日土曜日

クリニック忘年会 @ センター南

年の瀬になると忘年会。クリニックも、1年間がんばって働いたスタッフをねぎらい忘年会を今夜行いました。

場所は「いつもの」ところ、べったこ亭です。おいおい、またかい。そこばかりで宴会をやっているね、と言われてしまいそうです。

でも、なかなか人数に見合った個室みたいな場所がある店で、それなりに美味しい料理が出てくるお店というのがなかなかないものです。一度フィットすると、けっこう慣れた場所は安心というところ。

この店は、値段もリーズナブルで料理も悪くない。居酒屋ですがうるさすぎず、そしてある程度隔離された10人ちょっとが囲みやすい大きすぎず小さすぎずのテーブルがあるんです。

うちの忘年会では、毎年「院長セレクト」と称して、全員にプレゼントを用意しています。それほど高額なものはありませんが、数ヶ月前からamazonをじっとにらんで、できるだけ定価と売値の差が大きいものを中心に探していました。

今年も定価ベースで数万円から数千円のものまでいろいろと用意をしましたが、院長としても探すのが楽しいし、また喜んでもらえるも嬉しい。今年は、まぁまぁ適材適所でプレゼントがゆきわたり、だいたい満足してもらえたようです。

ちなみに、プレゼントを渡すきっかけとなるのはゲーム。今回はトランプゲームの定番、ババ抜きをしました。地味ですけど、けっこう盛り上がるものです。ただし、今回はスーパーババ抜きということで、トランプセットを二組使用して、なんとJOKERを4枚いれてやってみました。


勝ち抜けで積み上げたプレゼントを選べますが、ルールは包装された外見だけで選ぶということ。大きいからといって高いものとは限りません。ワイワイガヤガヤ大騒ぎになりました。

2次会はスターバックでコーヒーと、あとちょっとだけ甘いもの。スタバには似合わない、酔っ払い集団が店の一角を占拠して迷惑をかけたかもしれません。スンマセン。

2012年12月7日金曜日

年賀状まだまだ

年末準備というのは、11月から始まっていて、チョコチョコやっていたはずなんですが、なかなか進まないものです。


予想通りというか・・・年賀状が決まらない。なにしろ来年の干支はは「龍」ですから、ごともっぽいものなら簡単です。ドラゴンならいくらでも思いつくところなんですが、いくらなんでも50過ぎたおっさんがだすにはどうもね。

いろいろなサンプルの絵柄とか見ていても、かっこ良過ぎるか可愛すぎる、あるいはこわもて風とか重厚なものなど、いまひとつぱっとしないのです。

確か12年前はこどもたちが小さかったので、年賀状といえばこどもの写真ですんでいました。こどもの写真と言うのは年賀状の定番ですが、もらった側はあまり面白いものではない。 こういうのは、親ばかと照れのしのぎあいみたいなものです。

前回はミレニアムな2000年ですから、ゼロが3つ。それぞれの3つの丸から、こどもたちが身を乗り出すような合成画像をパソコンで作った覚えがあります。

かつてプリントゴッコという簡易印刷器が大ヒットして、独創的な年賀状を作るのが流行りました。80から90年代が全盛期で、2000年以降はパソコンの普及に伴い急速に衰退。2008年についに販売を終了しています。

その後は消耗品のサポートだけをおこなっていましたが、販売していた会社ではついに今年の年末で完全に事業を終了するということです。

実際、年賀状という「紙媒体」そのものの衰退も同時に起こっていて、自分も年々年賀状の枚数は減っているような感じがします。年賀状を取り巻く環境そのものが、確実に干支が1周する間に大きな変化をしたことは間違いありません。

とにかく、まだ完全にやめてしまうというものでもないので、なんとか考えたいとは思いますけどね。

追記 来年の干支はへびだと、指摘を受けました。大きな勘違いで、穴があったら入りたいところです。

2012年12月6日木曜日

岳 -ガク- (2011)

主演が小栗旬と長澤まさみ、監督は片山修。俳優は若手の人気者二人を起用し、月9みたいなラブ・コメディを作れそうなところですが、中身は山岳映画で恋愛の要素は基本的に無し。

監督はテレビ出身で、映画は3本目。最近はこういう映画監督が多いというより、今の映画の人気の成り立ちが、テレビドラマのヒットを受けて映画版というながけが多いということでしょうか。

ただし、この映画はテレビドラマはありません。原作はいろいろと受賞しているマンガ。マンガを原作としている映画も多いですね。

主人公はとびきり明るい、そしてやさしさにあふれボランティアで北アルプスで山岳救助を行う好青年。そこへ父親の遺志をついで救助隊員になった女の子が入ってきて、山の厳しさ、救助活動の怖さを学んでいく。

よくできた原作に助けられて、よくできたエピソードを細かくつないでいき、クライマックスまでストーリー展開はなかなかよくできています。ただし、こまかいことを言えば、リアリティには欠けるところが多々あって、実際にはそんなことは無理無理というところが少なくはありません。

二人の俳優は演技としては、好演といってよいと思いますし、さすがに現在大きな人気があるのはうなずけるというところ。山を愛する仲間として無条件の信頼を寄せる関係が描かれていきます。

ただし、さすがに忙しい二人の実際の登山シーンは少なくて物足りない。長澤のエピソードが、最後の救助場面にかぶさるのですが、さすがにひ弱な女の子が男性をかつごうとするというのは無理がある。そこへ無条件に登場する小栗というのも、やや話がうますぎ。

これがテレビドラマだったら・・・というより、やはりテレビ的な作りというべきでしょぅか。毎回、救助を通して人間形成して行く話しがいくつかあって、1週間だっているから、前回の多少の矛盾は目をつぶって、次回に期待を持たせる展開を心がける感じ。

と、いうわけで小栗・長澤の演技に★4つ、うつくしい景色を見れる山岳映画としては★4つ、映画全体の作りというか、監督の評価としては★3つというところでしょうか。つまり俳優と風景に頼った標準的な山岳映画・・・と書いてますけど、自分としては嫌いじゃありませんよ。

2012年12月5日水曜日

クリスマスツリー

開院以来、12月になるとクリニックでも冬模様の飾りをするんですが、そのメインはクリスマスツリー。

もっとも、キリスト教信者でもないのに・・・とか、もう野暮なことは言いっこ無しでしょう。クリスマスを中心としたイベントは、日本ではとっくの昔に定着して、12月の風物詩としては無くてはならないものになっています。

自分も小さい頃から家にツリーが飾られ、靴下を用意して夜中にサンタがこっそり来ることを信じていたくちです。当然、自分のこどもたちが小さいうちは、当然のようにツリーを飾っていたわけです。

クリニックでは、自宅で使っていた大き目のツリーを持って行って使っていたんですが、いつのまにか足の部分が壊れてしまいました。そこで、そこらにあった木を使って足を継ぎ足して、多少不安定ながら使い続けていました。

昨日出してきたんですけど、期間限定での出し入れですが、だんだん土台も怪しくなってだいぶヤバイ状況になっている。それでも、なんとか膝まずいて土台の調整をしてバランスをとりました。

よっしゃ、OK、と思って立ち上がった、そのときです。パリっ。えっ? 何。なんと、立ち上がった自分の足の下にあったのは、電飾の豆球。光物はツリーには欠かせません。だいたい一つ電球が駄目になると、全部つかなくなってしまうものですよね。

そんなこんなで、結局ツリー自体から買い替えすることになってしまいました。すぐに向かいのホームセンターに行ってみたものの、大きめのが無い。家庭で飾りやすい60cmクラスが主流なんですね。

そんなわけで、またもやamazonのお世話になることに・・・というわけで、皆さん楽しみにしていてください。それなりのものを近日中にお見せできると思います。

2012年12月4日火曜日

プリンセストヨトミ(2011)

日本の男優で、この何年かで最も乗りに乗っているのは50歳代なら役所広司。40歳代は、戦国時代で、唐沢寿明や織田裕二、あるいは中井貴一らとともに、注目されるのは堤真一かと。

けっこうコミカルな演技やちょっととぼけた役柄もこななしますが、どちらかというと影があるどっしりとした役での好演が光ります。声のトーンが低いので、登場するだけでうわついた感じがなくなり、場面がしまる。

「クライマーズハイ(2008)」では、仕事一筋で家族との関係をうまく作れなかった不器用な父親を演じましたが、昨年の「プリンセストヨトミ」では父親の最後の願いを無視したことを後悔する息子を演じています。

この映画は、会計検査院が大阪のOJOという組織への補助金を監査していくうちに、大阪城夏の陣で断絶したはずの豊臣家の末裔を守る大阪国の存在に気がつくという話。メインプロットだけ聞くと、サスペンス映画かと思いがちですが、実はだいぶ違う。

自分の勝手な解釈かもしれませんが、OJOの存在とか、大阪国の存在とか荒唐無稽の題材は、あくまでもストーリーを進めていくためのマクガフィンです。マクガフィンとはヒッチコックの映画手法で、観客をひきつける小道具みたいなもので、それ自体にはあまり意味がないもののこと。

この映画のテーマは、父親から息子へ連綿と続いていく「守りぬく」べきものの伝承を通して家族の絆を問うというものです。

映画の最大の盛り上がりは終盤に大阪国国民と対峙する堤真一と中井貴一との対話シーンです。ここで、大阪国の真の存在が語られ、堤の父親との関係での後悔が説明されます。なかなか緊迫感のある堤真一らしい役どころで、堤の面目躍如という感じです。

ただ、残念なのはせっかくのキャストを揃えておきながら、スタッフの力に物足りなさを感じてしまう。監督は鈴木雅之、ほとんどテレビの仕事ばかりで、そのジャンルではけっこう人気ドラマの演出をてがけています。

映画オリジナルの作品はもこの映画が始めて。時間があるテレビのように一つの場面が長めで、かったるいところがしばしば気になります。大阪国の説明も、中井貴一の台詞回しに頼りすぎで、もっと視覚にたより観客の想像力をうまく利用すべきでしょう。

というわけで、 この映画は堤と中井の現在乗っている男優の対決を通して、父子の関係を考えてみる映画として見れば★4つ。大阪国という架空の歴史ミステリーに基づくサスペンスとして見れば★2つというところでしょうか。

2012年12月3日月曜日

年末総選挙

ローマ法王もツイッターを使う時代になり、どうも見えないところでの人と人のつながりだけは活発です。スマートホンやタブレットの普及も加速され、個人レベルでインターネットを意識せずに利用する環境はどんどん拡大中。

そんな中で、いよいよ総選挙が始まります。自民党から民主党への「政権交代」で沸いた前回から、初めての民主党に対する評価が下されます。

民主党も、所詮、反自民で出てきたグループが群雄割拠する集団であり、それぞれのグループが利害を求めて、さらに離反してやせ細る一方です。これは自民党の派閥構成と同じですが、歴史がないだけに共通の利害が形成されていないところが弱かったのでしょうか。

自民党は、この間目だった成果を・・・あげれなかったと思うのは誰しも同じではないでしょうか。何しろネガティブ前総裁と、ゾンビ現総裁に率いられては、何を言っても言葉に力を感じられません。

政権は交代しても、政治は交代しなかった民主党を批判すると、結局はその前の自民党政治時代の批判に必ずつながるわけですから。自民党は、この数年間に自分たちの過去の政治を総括しておくべきだった。

第×極という集団もぞろぞろでてきていますが、みかけの勢いに勘違いして後悔したことは国民はすでに経験済み。選挙直前に、むりやり意見をすりあわせて集団化しても、国民のためあるいは政治家としての個々の信念のために立ち上がったわけではないことが見え見え。

投票用紙には「拒否」という選択項目もあってもいいんじゃいかと思ったりもしますが、一度今の政治家をリセットしたいと思うのは自分だけ? でも、しばらくは国民も忍耐が必要なことも確かで、何をするにしても大きいことほど時間をかけていくしかないかもしれません。

2012年12月2日日曜日

12月早々に、ショッキングなニュース。中央高速道路の笹子トンネル内で、天井の崩落事故が起こりました。自分も、かみさんの実家が信州ですので、年に何回かは通る場所。人ごととは思えません。

たまたま、通りかかって事故に遭われた方にはお気の毒としか言いようがありませんが、心からご冥福をお祈りするしかありません。

このような事故に遭遇する確率は、おそらく天文学的に低いものだと思いますが、やはり人には運・不運というものがあるのでしょうか。

医者として理科系の道を歩んでいる立場としては、何かの結果というのはそれなりの過程かに生じる物であり、あまり「運」とか「気」とかのせいにはしたくはありません。

今週はじめに、すぐ近くで交通事故がありまして、亡くなられた方がいらっしゃいます。実は、その方は、もう何年か自分のクリニックに通院をされていて、とても気さくな方だったんです。

その日の帰った時間を確認すると、おそらくクリニックからの帰りに事故に遭われたようなのです。その日にクリニックに来なければ、あるいはもう少し長くクリニックにいたら・・・そして、もう少し早く救急病院に搬送されていれば・・・

なんともやるせない気持ちになり、人の運というものもどこかで感じてしまうわけです。

2012年12月1日土曜日

クライマーズハイ(2008)

いよいよ12月。ここまで来ると、1年なんて、あっという間に過ぎてしまいます。

さて、「クライマーズハイ」ですが、 横山秀夫原作の2008年の日本映画。1985年、航空機史上最大の死亡事故となっている日航ジャンボ機墜落事故を題材にして、群馬県の地元の地方新聞社の記者が奔走する話。

しかし、この映画は事故のドキュメントではありません。新聞記者が、どれだけ記事を練り上げ、新聞を作っていこうとしているか。未曾有の事故の中で混乱を極める、新聞記者の魂をうたいあげている映画です。

最後には、スクープに確信が得られなかったために、全国紙に先に取られてしまい、ある意味敗北してしまいます。しかし、地元紙だからこそできること、地元紙だからこそ伝えなければならないことにこだわる主人公たちの話は、胸を打つ物があります。

タイトルは登山用語で、山に登っている時に興奮状態となって恐怖感が麻痺する状態のことだそうです。新聞に記事を載せていく課程を登山になぞらえて、興奮状態で紙面を作っていく様子に見立てているのでしょう。

ですから、いわゆる山岳映画ではありませんが、主人公が老いてからいわくのある登山に挑戦しながら、息子とうまく付き合っていけない状態を効果的にカットインしていくところが面白い。

本当は、不器用な父親が家族の絆を取り戻すための話がメイン・プロットで、そこへ若い頃の記者として経験したクライマーズハイのエピソードをフラッシュバックさせているのかもしれません。

以前にも書いたと思うのですが、日航機の事故は医学部6年生、国家試験前最後の夏に起こり、自分もリアルタイムに勉強そっちのけでニュースを見続けたのです。もちろん、事故の当事者とはまったく関係はありませんが、なにがしかの影響を残しているはずです。

映画の最後の方で、事故機に搭乗していた方が家族にあてて書いた殴り書きの遺書が紹介されていますが、この話も今でも鮮明に覚えていて、涙が出てしまいました。何が起こっているかわからない恐怖、そして死を覚悟して家族へ精一杯の感謝を伝える文章は、この映画の本当の始まりだったのかもしれません。