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2012年12月13日木曜日

Mischa Maisky 10 Classic Albums

現代クラシック音楽演奏家で、ピアノのアルゲリッチ、バイオリンのクレメール、そしてチェロのマイスキーの三人はいわゆる「巨匠」と呼ぶにふさわしい地位を確立しています。

彼らに共通しているのは、ドイツ・グラマフォンが80~90年代に力を入れて売り出したこと。三人の単独のアルバムはもとより、アルゲリッチ+クレメール、あるいはアルゲリッチ+マイスキー、さらに三人によるトリオなど、多くの録音が残されています。

もちろん、レコード会社の商業的な作戦だけでなく、三人の気が合ったからこそ恒常的なユニットとして成立していた関係なんでしょうね。 今でも、時々新譜がでますから、なかなか強力な集団としてマークしておく必要があります。

この三人がからんだアルバムの一番の特徴は、なんと言っても「過激性」ということでしょぅか。ピアノはソロと違って、弦楽器との競演(バイオリン・ソナタ、チェロ・ソナタ)ではやや伴奏者となる傾向があり、比較的個性を表に出さないタイプのピアニストが好まれる傾向があります。

アルゲリッチはその点、本当に遠慮が無いというか、ある意味男性的というか、とにかく攻撃的な演奏をして、クレメールやマイスキーをあおりたてるのです。ですから、評論によっては下品な演奏と言われていたりしますが、それが面白いんじゃないですか。

おとなしいアルゲリッチになるなら、他にも素晴らしい演奏はいくらでもあるでしょう。彼女の存在が、三人の演奏をさらに高揚させる鍵であることは間違いないのです。

そんなわけで、クレメールとマイスキーのアルゲリッチ抜きのそれぞれの単独のアルバムはというと、やや物足りなく感じてしまうわけです。あきらかに、演奏の質が違うようなところがあって、悪くはないけど、他の演奏家のものでもいい。

マイスキーは特にそういうところが顕著で、チェロ演奏家としては、アルゲリッチがらみでないアルバムについてはやや「平凡」という印象がぬぐいきれません。ただ、モダン楽器の奏者としては平均以上の演奏であることは間違いないのでしょう。

来年初頭に、そういうマイスキーのグラマフォンでのアルバムがボックスで安く登場します。まとめて、アルゲリッチ抜きのマイスキーを再評価するにはたいへん便利なセットですから、あらためてじっくり聴いてみたいと思います。