主演が小栗旬と長澤まさみ、監督は片山修。俳優は若手の人気者二人を起用し、月9みたいなラブ・コメディを作れそうなところですが、中身は山岳映画で恋愛の要素は基本的に無し。
監督はテレビ出身で、映画は3本目。最近はこういう映画監督が多いというより、今の映画の人気の成り立ちが、テレビドラマのヒットを受けて映画版というながけが多いということでしょうか。
ただし、この映画はテレビドラマはありません。原作はいろいろと受賞しているマンガ。マンガを原作としている映画も多いですね。
主人公はとびきり明るい、そしてやさしさにあふれボランティアで北アルプスで山岳救助を行う好青年。そこへ父親の遺志をついで救助隊員になった女の子が入ってきて、山の厳しさ、救助活動の怖さを学んでいく。
よくできた原作に助けられて、よくできたエピソードを細かくつないでいき、クライマックスまでストーリー展開はなかなかよくできています。ただし、こまかいことを言えば、リアリティには欠けるところが多々あって、実際にはそんなことは無理無理というところが少なくはありません。
二人の俳優は演技としては、好演といってよいと思いますし、さすがに現在大きな人気があるのはうなずけるというところ。山を愛する仲間として無条件の信頼を寄せる関係が描かれていきます。
ただし、さすがに忙しい二人の実際の登山シーンは少なくて物足りない。長澤のエピソードが、最後の救助場面にかぶさるのですが、さすがにひ弱な女の子が男性をかつごうとするというのは無理がある。そこへ無条件に登場する小栗というのも、やや話がうますぎ。
これがテレビドラマだったら・・・というより、やはりテレビ的な作りというべきでしょぅか。毎回、救助を通して人間形成して行く話しがいくつかあって、1週間だっているから、前回の多少の矛盾は目をつぶって、次回に期待を持たせる展開を心がける感じ。
と、いうわけで小栗・長澤の演技に★4つ、うつくしい景色を見れる山岳映画としては★4つ、映画全体の作りというか、監督の評価としては★3つというところでしょうか。つまり俳優と風景に頼った標準的な山岳映画・・・と書いてますけど、自分としては嫌いじゃありませんよ。