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2012年12月30日日曜日

20世紀少年 (2008-2009)


いわずとしれた浦沢直樹原作コミックの実写版映画化。日本テレビ開局55周年作品という威信をかけ、話が壮大ですから最初から三部作としてつくられたもの。もう、ネットなどでもさんざん賛否両論が出尽くした感があります。

まず、もともと話が複雑・・・というのも、浦沢作品は、というより大多数のコミックが書き下ろしではなく連載ですから、長くなればなるほど話の展開が複雑化するのは当たり前。登場人物も多く、そのへんの整理だけでも大変。

人気のあった原作の場合は、映画化されたとき観客がどうしても、原作のイメージをひきずる。そこで、徹底的に原作に忠実に映像化するか、まったく独自の展開を考えるかすることが多い。特にコミックが原作だと、すでに読んだ人にとっては視覚的なイメージが出来上がっているため、映画を作る側のハードルはより高くなります。

例えば、「三丁目の夕日」の場合は、もともと全体を通してのストーリーはなく、原作は小さいエピソードの集まり。ですから、実写化する場合、世界観だけしっかりと作れば、あとは自由がききます。

この映画の場合には、場所・時間そして人物設定をしっかりと作ったうえで、長大なストーリーを一定の時間内に収めなければならない。さらに、最大のミステリーである「ともだち」は誰かという点についての答えをださないといけないわけです。

正直言って、自分はコミックを一生懸命読むという趣味はほとんど無いので、この原作についても実は知っていましたけど読んだことがありません。

そういう人間にとっては、おそらく製作者が一番苦労した部分については、申し訳ないのですがほとんどわからない。 ですから、おそらくコミックのキャラに合わせた登場人物の「大袈裟」な、あるいは「怪しい」扮装については多少違和感を感じたりします。

その一方で、ストーリーについては無駄を省いて、複雑な展開がサクサク進んでいくのでわかりやすいという印象でした。原作者の浦沢が脚本に参加しているので、基本的なストーリーの破綻はありません。もちろん、予備知識なしなので、理解するのに多少骨が折れましたけどね。

そんなわけで、純粋に映画として楽しんでみると、感想は「長い」ということ。一作で3時間程度で完結というくらいが望ましい。

ケンジかカンナか、どちらかに焦点を絞り込んでもよかったかもと思ってしまいます。もっとも、ケンジの少年時代にすべての話の原点があって、カンナが狂言回しでストーリーが進んでいくので難しいかもしれません。

監督は堤幸彦。基本的にテレビの人ですが、比較的マニアックな作りで有名。TRICKのシリーズや、最近ではSPECのシリーズが人気で、いずれも一癖二癖ある。特にカメラワークに特徴があり、悪く言えば「懲りすぎで自己満足」的な画角の切り取り方が多い。

この映画では、原作のコマ割すら忠実に再現しようとしたとのことで、さらに多くのCGを使用が必須ですから、それほどの自由はききません。ですから、比較的堤らしさは封印され、吹き出しの台詞こそありませんが、確かに動くマンガを見ている感じです。

興行収入は、平均すると一作について40億円弱ですから、まずまずの成功だったのではないでしょぅか。というわけで、ストーリー(あるいは脚本に)に★4つ半、監督に★3つ、全体としては、うーん・・・悩むところですが、おまけして★4つとしておきましょう。