2012年11月30日金曜日

対症治療と原因治療

以前、けっこう遠く(普通なら旅行感覚でいくような場所)の病院へ土日の2泊3日当直バイトに行っていたことがあります。かなり田舎で、医者を探すのに大変だったのでしょう。普通のバイト料の1.5倍くらいで、往復が大変だったことを除けば、かなり美味しいバイトでした。

さらに時々院長の土曜日外来の代診こみというときもあったりして、その場合は給与の上乗せが半端ではありません。そこの院長というのが、整形外科の学会ではかなり有名な先生で、某有名私立医大で教授になるかならないかくらいの方でした。

実際は、教授になれずに都落ちみたいなところだったようですが、それでもあの先生のかわりの外来をするというのは、初めてのときは相当緊張したのを覚えています。

ところが、実際行ってみると・・・看護師に呼ばれて行くと、診察室のベッドに患者さんのお年寄りがこちらに背を向けて4人座っています。しかも、みんな服をめくって、腰を出している。

そして渡されたのが、痛み止めの入った注射器。何も聞かなくていいから、さっさと腰に注射しろと言わんばかりの目配せで、こちらもよくわからないので「ハイ、次。ハイ、次」と注射をしていく。4人終わると、また待合室から4人呼ばれて入ってくるなり、同じように座って腰を出すんです。

数十人、そんな具合に注射すると、あとは普通の外来がポツポツあって、なんともいいんだか悪いんだかわからないようなうちに終了。代わりで診療をしている身としては、余計なことは何も言えませんから、黙って指示されたようにこなしましたが、あの先生ともあろうものがという気持ちが出てくるのは当然のこと。

さすがに、今でもあれはないわと思っていますが、一つだけ勉強になったことがあります。

患者さんは、体調を崩したときその原因をはっきりさせた上で、2種類に分かれるということです。多少語弊があるかもしれませんが、比較的都会に多いのが、原因をしっかり取り除くことを希望する方。そして、比較的田舎に多いのが、とにかく辛い今の症状を減らして欲しいと思う方。

仕事を休んだり、代わりを頼める人と、自分が休むと生活が成り立たないような人の違いという言い方もあるかもしれません。単なるめんどうくさいのが嫌いなだけかもしれませんし、考え方はいろいろだということです。

原因の種類によっては、選択の余地がない場合はありますが、患者さんの求めているものは何かを考えて、原因治療をすすめるか対象治療を中心にするかは、よく相談をしていくことが大切。やはり、患者さんと医者は同一の目線で病気を考えないと、治療に対する満足度というのは高くできませんね。

2012年11月29日木曜日

クリニック大掃除

今日は、午後からクリニックの床の清掃を業者を入れてやりました。

実は、業者が入るのは初めてのこと。今までどうしていたかというと、もともとワックスなどの必要のない床にしていたので、毎日の清掃とときどきのモップでの水拭きが中心。

毎年、年末最後の診療後に気合を入れた掃除を自前でしていたんです。 去年はひざまずいて「激オチ君」大会をしたんですが、おかげで膝は痛いは腰は辛いは、翌日には腕は筋肉痛になるはで大変でした。

さすがに年をとってくると、こういう作業がしんどい・・・ということで、今年は業者にお願いすることにしたわけです。

クリニックが広いので、もしも通常の床清掃作業だと10万円近くかかってしまいそうなのですが、ワックス無しでかなり安くなりました。

それにしても、ふだん動かせないようなものも移動しての掃除ですから、見えないところからたくさんのゴミが出てくるものです。とりあえず、だいぶすっきりしたので大満足でした。

2012年11月28日水曜日

スターフルーツ

何でも知っているつもりでも、知らないことは世界中にごまんとある・・・って、当たり前ですけど。これも知らなかった。今まで見たこともないし、聞いたこともありませんでした。

名称、スターフルーツ。確かに断面が五角形で、まさにスター。切る前の形は、いかにも南国のフルーツという感じ。もちろん、いただきもの。

で、かんじんの味のほうは・・・う~ん、微妙ですなぁ。全体にかなり薄味で、うっすらと甘いような、なんとなく酸っぱいような、ほんわりと渋いような感じ。

食感は、多少さくさくした感じがあって、梨が近いかもしれません。これは、食物繊維が豊富ってことでしょうか。

貰っておいて申し訳ないのですが、とても美味しいとは言えない。でも、けっこう高価なもののようですから、 それなりに味あわせていただきました。

とりあえず、しばしこのフルーツを話題に盛り上がったりできましたので、楽しいときをすごすことに十分に貢献しました。

2012年11月27日火曜日

冬到来準備

この1週間、寒さが厳しくなってきました。街のいたるところで、急速に紅葉がひろがっています。

近くの銀杏の街路樹は、いっきに黄色になって、あとは葉が落ちるだけという感じになってきました。 暦は12月から冬ですから、冬突入の準備OKというところでしょうか。

今年は暖冬という予想が、寒さが厳しい冬になると変更されました。すでに北海道には、猛烈な寒波が入り込んで大雪になっているようです。

大震災以降、しだいに生活は以前の状態に戻ってきましたが、意識は変わったと思います。寒さに対して、どのように備えるかはヒトそれぞれだとは思いますが、少なくとも無駄な電気の使用は控えようと思う気持ちは続いています。

気の早いところでは、すでにおなじみのイルミネーションを始めた個人の住宅はもちろん、お店でもクリスマスの装飾をしたところもありますね。

クリニックでも、毎年12月にはツリーや冬のアイテムを並べたり、サンタクロースの折り紙を差し上げたりしています。こちらは、準備OK。スタッフ全員で400個のサンタを折り上げました。

巷では、ウイルス性急性腸炎が激増しているのも冬のおとずれを感じさせますし、インフルエンザの予防接種もピークとなり冬への備えは万全という感じでしょうか。

さぁ、いつでも来い!! 寒さなんかには負けないぞ!!

2012年11月26日月曜日

肝炎勉強会 @ センター南

今夜は地元のセンター南の大学病院で、再活性化による肝炎についての講演会にいきました。都筑区医師会の内科医会が関係する会で、自分は本来関係ないところですが、行ってよかったです。

必ずしも肝臓疾患を専門にしているとは限らない医者を対象にしていると思ったので、自分のような門外漢にもわかりやすい話を期待していたのですが、まさにその通りでした。

肝炎そのものの基礎的な話は、なかなか聞く機会はないので自分で本を読むしかありません。ただ、特にB型肝炎は複雑なので、専門家でないとなかなか理解が難しい。もちろん、今夜ちょっと聞いただけでわかったわけではありませんが・・・

肝炎の基本はウイルスによる直接の障害ではなく、ウイルス感染した肝細胞を免疫反応によって破壊していくことが原因。ですから、免疫機構に影響を及ぼす何らかの治療を行うことがウイルスの再活性化を起こすことが問題となっています。

そのような治療は、患者数からも関節リウマチが代表的な疾患となります。リウマチは自分の関節に対してアレルギーを起こしているような、自己免疫性疾患の一つです。治療では、内服でも注射でも免疫を調整することが中心。

もちろん、リウマチ患者さんでの肝炎ウイルス再活性は、そんなに頻繁に経験することはなく、比較的珍しいことです。しかし、症状が出た場合には重篤な状態になりやすいため、無視できない。学会でもガイドラインを作って、診療の中で注意をしていくことを喚起しています。

それにしても、学生の頃と違って、新しく勉強することがなかなか頭に入っていかないのは頭がだいぶ固くなったせいでしょうか・・・

2012年11月25日日曜日

休みの日曜日

今日は、かみさんもこどもも朝からでかけてまして・・・

とーちゃん一人の日曜日!!
丸々休みです~

というわけで、ブログもやすみ。あいからず。

それにしても、逆に一人っきりで、何もすることが浮かびませんが・・・

2012年11月24日土曜日

ランナー

健康志向の高まりなのか、単なるブームなのか、まぁ何でかはどうでもいいんですけど、世の中は走っているヒトが多いっす。いえ、何もバスに乗り遅れるからって急いでいるわけじゃない。

ジョギングとかランニングとか言いますけどね、まぁ要するに有酸素運動というわけです。有酸素運動は、呼吸をつづけて酸素を取り込みながらする運動で、より脂肪の燃焼を促進するので・・・

メタボリックなヒトには喜ばれる。こりゃ、嬉しい。何しろ、食事だけでダイエットしても、リバウンドしたり、むしろ筋肉も減ってしまい体力を落として失敗するじゃないすか。筋肉を減らすと基礎代謝も減っちゃいますからね。

何にしても、整形外科的には走るのが好きなヒトで、足を痛くしたり膝を痛くすることがよくあることが問題です。何しろほとんどの走っているヒトは、もともと長距離の走り方のコーチングなんて受けたことがないでしょ。

自分が言うのもなんですけど、短距離と長距離では走り方が違う。言ってみれば、別のスポーツということです。誰でも「かけっこ」はやったことがあるっしょ。そいつは短距離の走り方なんです。

短距離は、息を止めて一気に走り抜ける無酸素運動。これを長距離でやったら、そりゃ足にも膝にも負担がかからないわけがない。

是非、いいことですから、皆さんに走ってもらいたいものですが、その前に一度はしっかりと教室などで走り方を勉強してもらいたいと思うんですよね。

2012年11月23日金曜日

コストコ

コストコは、今更説明の必要はないでしょう。最近は、コンビニで解説本が売られているくらいです。

実は、自分は今まで実際に行った事は無く、大量のトイレットペーパーとか、巨大な肉とかにびっくりしていただけでした。

そもそも、会員制ですけどうちは会員ではないので、家内のともだちにくっついていくコバンザメ戦法。数人で行って、必要なものをあとで半分ずつとかに分けてシェアするのが現実的です。

それにしても、まぁ天井が高いこと。にもかかわらず、みんな巨大なカートを押していくので、通路は渋滞。あちこちで衝突事故が多発していました。

保存が可能なものを中心に、あれも欲しいこれも欲しいとカートに突っ込んでいったので、けっこうな金額になってびっくり。冷静に考えると、それほど安いとも思えない値段も少なくありません。

買い物をするという行為は、質で勝負するか量で勝負するのか、何で満足感を得るのかはいろいろですが、いずれにしてもほどほどがいいようです。

2012年11月22日木曜日

TOKYOエアポート 第6話

久しぶりにテレビのドラマを毎週見ているんですけど、それはフジテレビの日曜日の「TOKYOエアポート」で、ちょっと前にもここで書き込んでいます。

最近のドラマとしては地味なほうで、視聴率も第1回こそ14%くらいでしたが、その後は8~9%で今クールのドラマの中ではベスト10からは落ちてしまいます。

しかし、人気タレントだけにおんぶするような中身の無いドラマと違って、事故がなくて当たり前で注目されることも無く褒められることも無い空港の管制官を主人公にして、現実的な危機管理をしっかりと描く作りは高官がもてます。

さて、前回で後半に突入の第6話ということだったのですが、この話は医者としても大変興味深いものでした。離陸したばかりの政府専用機の中で大臣が脳梗塞を起こし、緊急で羽田に戻ってくる話。

ところが、そのすぐ後ろに200人の乗客が乗った旅客機がエンジンか故障し緊急の着陸を要請してきます。政府専用機はまた燃料がたくさん残っていて、安全な着陸のための規定をクリアしていない。

燃料を捨てたいが、すぐ後ろにいる故障した飛行機への影響を考慮すると管制官は廃棄を許可できない。大臣は一時心肺停止になる状況で、一刻を争う。

そこで管制官は、両方の機体を安全に着陸させ、より多くの人命の安全を確保するために、政府専用機を後回しにして故障機を先に下ろすという選択をします。当然、メディアから大臣が死にそうな状況で着陸を後回しにしたことを批判し、大問題となってしまうというわけです。

燃料をたくさん残して着陸した場合、機体が破損したりオーバーランを起こして大事故になるかもしれません。そうなると、後続の故障機は着陸場所を失い200人以上の人命が失われるかもしれません。

管制官は起こった事故をどうにかするのが仕事ではなく、事故を未然に防ぐことが使命ですから、
確実により多くの命を守るという観点から、管制官側は管制官の選択は正解であると主張します。

実際、自分も基本的にはそれには賛成できると考えます。大災害が起こった場合は、助からない可能性が高い命よりも助かる命を優先するのが災害医療の鉄則です。

ただし、職業で命の大きさが変わるものではないと建前ではありますが、現実には無意識の中である程度の差をつけて考えるのは本音の部分でまちがいなくある。

さらに、この話の場合、まだ災害に至っていないので、発生した順番で助かるか助からないかにかかわらず、最大限の努力をする救急医療の観点から考えると、緊急性の高い大臣の命を優先すべきとするのも当然です。

本当の正解はなかなか結論が出ないのかもしれませんが、こういう点を考えさせるチャンスをもらえるという点でもすぐれたドラマと考えます。ドラマは後半戦に入ってきましたが、是非皆さんにも見てもらいたいと思います。

2012年11月21日水曜日

プチ連休

今週は金曜日に勤労感謝の日がありますので、世間の多くの方は3連休ですね。いやぁ~、うらやましいことです。

もしかして人生が終わるときに何か後悔をするとしたら(・・・そんな大袈裟な話でもないけど)、その一つの候補に挙がるのが「週休二日」を経験したかった、というもの。

なにしろ、今まで一度もそういう経験が無いもんで。研修医は勤務時間なんてあって無い様なものでしたから。家には寝に帰るだけ、休日は同期と交代で出勤、あるいは当直だったりしたものです。

1990年頃だったか、4週6休という制度が始めて病院に導入されました。お~、2週に一度は土曜日も休みになるんだぁと大喜び・・・もつかの間、休みになるのは病院だけだと。

つまり、大学病院に勤務していると、医学部の場合は大学の職員として研究と教育以外に診療という3つの仕事をこなさないといけない。4週6休となるのは、あくまでも病院ですから診療の部分だけ。

付属病院は休みでも、医学部は休みではありませんから出勤しないといけない。というわけで、結局4週4休であることに変わりないというわけです。

でも、患者さんは病院が休診になるので医者も休んでいると思われてしまう。まぁ、そりゃそうでしょう。一般病院はヒトが少ないので、出向しているときは当然休みなんて無い。開業医になってからは、いっそう難しい。

今週は木曜は午前だけで、午後からは仕事が無く翌日が祝日で休診。そらに土曜日が夕方までて゜、その翌日が日曜日という、ダブルで休みが重なるというのは連休ではないにしても、すごいことです。

いや~、正直ちょっと、いやだいぶ嬉しい。その分患者さんに迷惑をかける部分もあるかもしれないのですが、こっちも人間なんで、まぁ勘弁してください。

2012年11月20日火曜日

私はこの映画が嫌いです。

AKB48の大島優子さんが、現在公開中の注目の映画「悪の教典」を観て号泣し、「私はこの映画が嫌いです」とコメントしたと話題になっています。

映画については、自分はテレビなどでやってる予告編などの内容しか知らないですし、またその内容から見たいとも思いません。ですから、どうのこうの言うつもりはありません。ただ、主演の伊藤英明の舞台挨拶などでのはゃぎっぷりが・・・

まぁ、それはさておき、大島さんは現在人気のアイドルですから、その言葉にはそれなりの影響力があります。何かを批判する発言は慎重にすべきところですが、少なくとも匿名での発言ではなく、また未成年でもないのでそれ自体は許されると思います。

結局は、そういう話題も宣伝の一環にしてしまおうという映画製作側のたくましい意図が見え隠れしてしまうところもあったりするわけですが、映画の内容からすれば楽しめるヒトと、拒絶するヒトにわかれることは想定内なのは当然でしょう。

以前、深作欣二監督作品「バトルロワイヤル」(2000)という邦画がありましたが、ここでも国の方針によって殺し合いをさせられる中学生という内容に、多くの賛否両論が巻き起こりました。

これはDVDで見ていますが、殺人が行われるある一定の根拠は説明されていますが、少なくとも映画を見ている側が納得できる理由とはいえない。そういう不条理を投げかけたまま映画が進行していくので、自分はまったく映画に入っていけなかったです。

単なる殺し合いのゲームという映像で、何かの問題提起とかもっともらしい理由をつけても映画としての価値は見出せませんでした。基本的に、そういう設定を思いつく原作者がいると言う事のほうが恐ろしい気がします。

映画やテレビドラマでは殺人事件は山ほど描かれていますが、直接殺すシーンが出で来る場合は、一般に残虐と思われる状態が強いほど見ている側にきちんとした理由がわかるようにすることは映画製作上必要なことだろうと思います。

ヒッチコックは「観客の期待を裏切っては、賛同は得られない」というような内容の発言をしています。それを逆手にとって成功したのが「サイコ」なのですが、基本的に映画術として守るべきことのはず。

今後、「悪の教典」についてもいろいろとメディアで論争が起こるのかもしれませんが、いずれにしても教師が自分の生徒を虐殺して行くという基本プロットは、それ自体考え付くこと、また映像化しようと思うことに疑問を感じるのは自分だけでしょうか。教師からの攻撃は「告白」(2010)のようなストーリーが限界という気がします。

2012年11月19日月曜日

L.Visconti / Conversation Piece (1974)

「地獄に堕ちた勇者ども」、「ベニスに死す」とくれば、当然次はゲルマン三部作として有名な「ルードヴィヒ」としたいところですが、実はこれを劇場で見たことが無い。

「ルードヴィヒ」は80年代になってビデオで見たのが最初。しかも完全版で4時間の大作でした。作品としてはもちろん悪いはずがないのですが、自分としては映画館で見た鮮烈な印象が強い「家族の肖像」をヴィスコンティ作品のベストにあげたい。

まずキャスティングの魅力。ヴィスコンティお気に入りの新旧の男優、バート・ランカスターとヘルムート・バーガーが共演しているところがいい。

ランカスターはつまらない西部劇俳優で、あとは「泳ぐ人」、「大空港」でくらいしか思い出さないのですが、ヴィスコンティの「山猫」とこの「家族の肖像」の2本で、映画史に刻まれる俳優となったといったら言い過ぎでしょうか。

バーガーは「地獄に・・・」で鮮烈な女装で衝撃のデヴューをし、ヴィスコンティとは特別な関係があったことは有名で、監督亡き後は未亡人を公然と名乗っていました。

ヴィスコンティの映画としては珍しく、室内のシーンがほとんどで、どちらかというと舞台劇のような・・・つまり、ヴィスコンティにすれば昔取った杵柄のような得意とするステージで話が進んでいきます。

豪華絢爛たるシーンはなく、地味なヴィスコンティの作品の中でも、さらに地味な設定となっていますが、かえってそこに強烈なリアリズムが込められている。

老教授は、身よりもなく家族の様子を描いた古い絵画の収集を唯一の楽しみにしています。そこへ強引に間借りすることになった現代の若者たちが、教授の平穏な毎日に割り込んでくる。はじめは疎ましく感じていた教授は、しだいに「家族」ができたと思うようになりますが、悲劇によって終止符をうたれ、教授も病により息を引き取る。

何も救いがあるわけでもない話ですが、家族という物がどれほどもろい物かを語っているのか、それともだからこそ家族の大切さを語っているのか。それは、見る人の判断なのでしょう。

「ベニスに死す」でのマーラーのアダージオのように、最後の教授の死の床のシーンに流れるのはワーグナーの未発表だったピアノ曲です。この寂寥感が素晴らしくマッチしていて、見終わった後の余韻をながく残す要因となっています。

2012年11月18日日曜日

L.Visconti / Death in Venice (1971)

ヴィスコンティは貴族社会の出身であり、20世紀に入って崩壊していく貴族制度の中で数々の悲喜劇を実体験していた人物です。若い頃から舞台の仕事をはじめ、名監督のジャン・ルノワールのもとで映画を学びました。

1942年の「郵便配達は二度ベルを鳴らす」で監督デヴューし、ネオリアリズムの先駆者の一人としてイタリアのみならず世界映画史上に名を残すことになります。後半生では、自分の出自である貴族の没落がテーマとなり、リアリズムを求めつつも幻想的な作品を作り続けました。

ヴィスコンティの作品では、ひとつの対決軸があるわけで、それは崩壊していく旧体制と勢力を増してくる新体制であることが基本。その構図の中から、翻弄されていく人々のドラマが生まれてくるのです。

ノーベル賞作家であるトーマス・マンが書いた「ベニスに死す」は、まさにヴィスコンティのためにあると言っても過言ではありませんでした。マン自身もドイツの富裕な家庭に生まれ、家族の崩壊、ドイツからの亡命という人生を歩みました。

主人公の作家のモデルは、作曲家のマーラーであることは周知の事実。創作意欲をなくした老境に入った作家が、保養のために訪れたベニスで美少年に心を奪われ、今で言うストーカーまがいの行動をおこすが、流行していたコレラにより命を落とすという話。

マーラーはあくまでも、主人公の設定の上での参考であり、実際にベニスでの話はマン自身の実体験に基づく物でした。そして、映画の中でも美少年への憧れは、そのままヴィスコンティの思いとも重なっていることは間違いない。

この映画の白眉となるのは、最後の浜辺のシーン。マーラーの交響曲第5番第4楽章アタージオが流れる長いシーンです。老いて醜塊を晒す主人公は、床屋のすすめるままに顔を真っ白に塗り、髪の毛を染め、偽りの若さを手に入れます。

そして浜辺で椅子に座って、波打ち際で遊ぶ美少年を見つめ続けます。コレラによって体力を失っている主人公は、美少年がいじめられても助けるだけの行動を起こすことができない。

美少年は、自分の若さや美しさを見せつけ、一方主人公は流れ落ちる汗のため染料が流れ出し、いつわりの若さがはがれ落ちていく中で息絶えていくのです。

老いと若さ、美しさと醜さ。これほどに感動的に描き出したシーンは、知る限り映画史上にはありません。死ぬまでに見なければいけない映画の一本として、絶対に忘れられない作品と思います。

2012年11月17日土曜日

L.Visconti / The Damned (1969)

イタリアの映画監督、ルキノ・ヴィスコンティが亡くなったのは1976年。ああ、もう36年も前だったのかと、最近ふと気がつきました。

若い頃は、いろいろなところで背伸びをしてかっこつけたくなるものです。自分も、当然ずいぶんと生意気なことをやっていた。高校の同級生が映画が大好きで、しかもやたらと難しい映画ばかりを好む奴だったので、浪人していたときに彼からずいぶんと感化されたものです。

彼とは池袋の場末の映画館でオールナイトで黒澤映画を立て続けに見たりもしましたが、男同士で「生きる」とか「どですかでん」とかを眠い目をこすりながら徹夜で見続けて、まぁなんとも色気の無い話です。

ヴィスコンティを知ったのも、そんな彼からの影響でした。遺作となった「イノセント(1976)」の公開にあわせて、過去の作品も上映されたんです。

当時は、ヴィスコンティがどんな人なのかもよく知らず、映画とはとにかく難しい芸術論を戦わせるための道具と思っていて、その素材としては最適なものと考えていたんでしょうね。

「地獄に堕ちた勇者ども」という邦題がついたこの映画は、最初のモーリス・ジャーレの激しい音楽とともに鉄工所の作業の様子がタイトルバックに流れ、とにかく不安をかきたてるような始まり方をします。

富裕層である鉄鋼王の一家の没落の話・・・と思って見ていましたし、退廃した自堕落な生活に主眼がおかれているような印象をもちましたが、結局何の話かよくわからなかったというのが本当のところ。

それでも、ヴィスコンティの画面からほとばしるような強いエネルギーみたいなものはどこかで感じていたんだと思います。どうにかしてこの映画のメッセージを理解しないといけないというような、感覚はずっと続いていました。

この数十年の間に、テレビでも懐古放映されたりもしましたし、DVDも発売され繰り返し見ることができるようになりました。一度見ると、何かひとつわかった気がするのですが、いまだに理解できない何かが残っています。

貴族というもの、ヒットラーが率いたナチスというものを歴史の中からしっかりと把握しないと、この映画の本質はわからないのでしょう。積極的に理解するための努力はしていませんが、また何か新しい発見のために何年かに一度は見たくなる映画の一つです。

2012年11月16日金曜日

国会解散

野田くんたら、約束通り国会を解散しました。議長の開散宣言の後、議員さんたちの「バンザイ」はいったい何なんでしょうかね。

一体何がバンザイなのか、誰か説明したもらいたいものです。昔からの風習と言ってしまえばそれまでですが、もう少しまともな態度をとれないものなのでしょうか。

もっとも、自分のような者が文句を言える筋合いはないのかもしれませんけど。とにかく、これから年末総選挙に向けて、いろいろと街が騒がしくなるわけです。

各地域の選挙で立候補する人というのは、基本的には地域の代理人となるわけで、地域の利益を国政の場で推進していくことは基本的な大事な仕事のはずです。

いつの頃からか、それが利権というものを生み、地域への利益誘導は批判的な見方をされるようになりました。それは、人々の地域への定着性の希薄化ということも関係しているのかもしれません。

そうなると、何を基準に投票をすればいいんでしょうか。国全体の利益を優先して考えろということなんでしょうが、政党の公約というものは建前であって、マニフェストというのはその場かぎりの人気取りであることは実証されています。

旧与党が、今の政治の混乱を招いた根源であるならば、その混乱の責任の一端を担う人物が再び率いたとして、どんな解決策も期待できません。

何かが変わると期待した政権交代も、ただの夢・幻でした。現与党は、結局旧態を踏襲し継続しているだけです。その他の群雄割拠する小集団は、力不足であることは火を見るより明らか。

5年後、10年後、できればもっと先の未来の日本がどんな姿であるべきなのか。きちっと説明し、納得させてくれるような政治をしてくれるのは誰なのでしょう。バンザイとか言っている暇なんてないはずなのにね。

2012年11月15日木曜日

寒っ!!

寒くなってきました。冬が近い、という感じがしました。季節を感じる事柄はいろいろありますが、気温はその最たるものでしょう。

今朝は気温が10度以下になり、うちの車の天井をみたら・・・初霜!! そりゃ、寒いわけだ。

トヨタのハイブリッド車は、電気走行が可能なのが売り。エンジンが回転しないと、車の中の温度が上がらないので確かに寒い。かといって、エンジンが回ってもそのままにしておくと、アイドリングで落ちる燃費はバカになりません。

この数日で、灯油を売ってまわる小さいタンクローリーの流すオルゴールの音楽も聞こえるようになりました。

世の中はいろいろですが、確実に、冬に向かっているわけですね。

2012年11月14日水曜日

終わりは突然

野田くんが、突然の解散表明。以前、自民党に三行半を突きつけた有権者、民主党にがっかりした有権者、第三局に期待したい有権者・・・石原さんが「大同団結」をぶち上げたばかりですが、さすがに団結するには時間が無いよなぁ。ゾンビが率いる自民党もねぇ。

野田くんは一か八かの決断をしたんでしょうが、さぁ吉と出るか凶とでるかは年内にはっきりします。少なくとも、「近いうち」の範囲内と評価できる期間での約束履行に踏み切ったということでしょぅか。

こんだけ大きなニュースのはずですが、政治に対して幻滅している大多数の有権者・・・もちろん、自分もその中の一人ですが、もっと大きな衝撃を受けたニュースは、森光子さんの死去。

70年代、TBSで放送された「時間ですよ」は、自分ら戦後昭和のこどもにとっては忘れられないテレビ・ドラマでした。何しろ銭湯の様子が必ず映り、女性の裸が嫌でも見えてしまうという、今では考えられないような光景が毎回広がっていたんです。なぜか、親も見ることを止めなかったですねぇ。

森光子さんはその中で「おかみさん」として、小学生でもきっちりと認識をした最初の女優さんでした。吉永小百合さんが人気をだしたのは60年代で、自分はサユリストになるにはちょっと遅かった。もちろん森さんはアイドル女優ではなく、長い下積みののちだそうですが。

そして、それからずっと現役女優としてごく最近まで活躍を続けたわけで、半世紀近くにわたって、ほとんど年をとったように思わせない「化け物」だったのです。

森さんの年齢が話題になるたびに、「えっ、もうそんな年なの!?」と驚くことしかり。実際、92歳という年齢を聞くとあらためて頭が下がる思いです。晩年、ジャニーズのタレントを従えて話題を振りまきましたが、それですら嫌味に思いませんでした。

とにかく、昭和の残照のかなりの部分がついに消えました。時代が進む中での必然ですが、やはり寂しさは禁じ得ません。

合掌

2012年11月13日火曜日

Backhaus / Beethoven Piano Concartos

ピアノ協奏曲もクラシック音楽の中では主要ジャンルの一つ。鍵盤楽器は多声楽器で、比較的手軽にオーケストラのような合奏を再現できるわけです。ですから、古くから鍵盤楽器による協奏曲は存在し、開祖は誰かというとなかなか難しい。

バロックだと、当然J.S.バッハの7つのチェンバロによる協奏曲が有名で、今ではピアノで演奏されることも珍しくありません。ハンマークラヴィアが発明されて、古典の時代にはモーツァルトの27の協奏曲があります。

しかし、モーツァルトはどのジャンルでも言えることですが、天才に任せてインスピレーションを形にしまくったわけで、そのほとんどは似たり寄ったり。一つ一つを、作品として考え抜いて完成されたのはベートーヴェンの5つの協奏曲でしょう。

ベートーヴェンの時代はピアノの進歩が顕著で、その発展と共に彼の32のピアノ・ソナタもどんどん音域が広がり表現される世界が完成されていきました。それは協奏曲にも言えることで、あえてピアノ協奏曲の父は誰かと決定するなら。ベートーヴェンを是非に推薦したいと思います。

ただ、一般に良く知られるピアノ協奏曲の大多数はロマン派以降から生まれています。シューマン、メンデルスゾーン、 ブラームス、グリーク、チャイコフスキー、ラフマニノフなどの協奏曲は定番として定着し、主要メロディはクラシック音楽愛好家でなくてもたいてい知っているものです。

で、ここまで書いておいて、いまさら何ですが、もともと編成が大きくなるほど演奏の自由度が少なくなるということで、自分はオーケストラは好きじゃない。ソロかデュエット、あとは数人編成の室内楽が好きなので、当然オーケストラが伴奏をつとめる協奏曲というのはそれほど興味が湧かないわけです。

まぁ、避けて通るわけにもいかないので常識の範囲で楽しむ程度で申し訳ないのですが、あえてどれか一つを選ぶならバックハウスのベートーヴェンを推薦したいと思います。

バックハウスのベートーヴェンのピアノ・ソナタは、最高評価を与えるヒトが多い。自分は、そのごつごつした感じがあまり好きではないので、ソナタについてはあまり好まないんです。しかし、協奏曲では、オーケストラに負けないボリューム感を描き出す力はさすがと思います。

何にしても好き好きの話ですから、単なる戯言と思って聞き流してもらってかまいませんけどね・・・

2012年11月12日月曜日

Mezena / Viotti Violin Concertos

ヴィオッティは、モーツァルトと同世代のイタリアの作曲家。作曲家としてよりも、ヴァイオリン奏者としての名声が高いようです。近代ヴァイオリンの父といわれ、一番有名なのが29のヴァイオリン協奏曲。

・・・というのが、クラシック音楽を楽しむ際の基本知識。もともと、ヴァイオリン好きというわけではない自分としては、久しくまったく知らない存在でした。

名だたる作曲家はたいていヴァイオリン協奏曲のひとつやふたつは書いているわけで、もちろん有名曲のはいったCDはそれなりに所有していますが、あくまでも常識の範囲。いろいろと聴き比べるほどのコレクションではありません。

ヴィオッティを知ったのも偶然で、正直に白状すると単純に値段が安くてCDの枚数の多い全集物を探していただけなんですよね。ですから、当然このアルバムの奏者であるメッツェナについても、まったく知りません。

音楽はさすがにモーツァルト時代だけあって、どれをとっても金太郎飴状態のところがあります。一生懸命聴くには29曲はいらないというのが本音ですが、中に数曲ハっとさせられる美しい曲がみつかりました。

真のクラシック音楽ファンからは邪道扱いされるかもしれませんが、BGM的に流すなら嫌味が無くてとても良い。こういう全集は、歴史をしっかりパッケージしておくという役目もあるわけですから、ヴァイオリンを楽しむヒトには重宝するセットではないでしょぅか。

2012年11月11日日曜日

年末・年始休診のお知らせ

ますます、朝晩の冷え込みが強まってまいりました。そりゃそうでしょう、11月のなかばにかかってきて、もう冬近しですもんね。

前にも書きましたが、年末の予定がだんだん確定してきました。やはり、年末は12月29日(土曜日)までの診療とします。うちのクリニックの原則は、カレンダーの赤い日は休み。それと、年末は12月30日までで終了。

どっちを優先するか悩みどころでしたが、まぁ通常日曜日は休みというのがある程度浸透していると思いますので、1日早いのですが29日で年内は終了というのが妥当と考えました。

組で考えるのは、年始はいつから診療を始めるかということですが、例年だと1月5日からですが、年末を1日早く終了するので1月4日(金曜日)スタートにしたいと思います。

年末・年始休診のお知らせ
12月30日(土曜日)~1月3日(木曜日)
は休診とさせていただきます。
新年は1月4日(金曜日)から診療をいたします。
よろしくお願いいたします。

月に1回の通院を続けてもらっている患者さんが多いので、1ヶ月以上前に余裕をもって発表しておかないといけません。ちょっと早い話のようですが、けっこう早くもないかも。

おっと、その前にクリニック最大のイベント(?)の忘年会の準備しないと・・・

2012年11月10日土曜日

Windows8

あっ、そういえば、基幹OSのWindowsがヴァージョン・アップしていたんだわ。いつだっけ、先月? いや、もう、まったくと言っていいほど気にかけてなかったんですよ。

だいいち、世間でも話題性については今一でしょう。あんまり、騒がれていませんもんね。まぁ、iPhoneやAndroidに押されまくりで、まったく伸びてこないモバイル関連の強化が中心・・・ですよね。

まぁ、今更、その分野についてはMicrosoftもあきらめた方がいいんじゃないですかね。 今のモバイルOSはよくできていて、アプリも充実していますから、Windows PCとの連携とかも、それほど困らんでしょう。

よくできたOSだったXPの後、Vistaは全世界規模で不満爆発でした。名誉挽回ってなわけで登場したWindows7は、XPの良いところとVistaの悪いところをうまく整理整頓した感じ。

つまりめだった不満はなく、Windows7はそれなりに完成されたものになっています。何も、こんなに短期間(と思うけどね)で、メジャー・チェンジするこたぁないでしょう。盛り上がらないのは当然。

1985年のWindows 1.0は実用性なしで、1987年の2.0でハードウェアの進化でちょっと使えるようになりました。当時の一太郎とかLotus123とかdBASE IIIとか、まぁアプリケーションをパソコンの再起動なしで切り替えて使えるだけでしたけどね。

1990年に3.0が出て、やっとOSらしくなって、Windowskの中で複数のソフトを同時にいじる感じが実現しましたけど、基本は擬似的なマルチタスク。3.1でネットワーク機能が強化され、一気に広がっていきました。と、同時にネットワーク専用の業務用としてWindows NT3.1がでました。

1995年のWindows95、1998年のWindows98と順調にアップして、NT系も 4.0になった後、2000年のWindows Meで大失敗。とりあえずつなぎで出して大不評。出さなきゃ良かったMicrosoftという感じでしたよね。

その一方でNT系はWindows2000になって、使いかってがこなれた。そこでMicrosoftは、ついに会社の原点だったMS-DOSを捨てて、一般向けのOSもNT系に統合して2001年に登場したのがWindows XPとなるわけです。

確かにすでに10年を超えて、OSとしては古臭いXPですが、さすがに現在では完成度は高く、クローズな世界での使用であれば、最も効率的な仕事をさせられる。ぶっちゃけ、うちのクリニックの院内LANはXPですから。

ただし、急激に広がるネットワーク環境への対応という点で、2007年にVistaが登場。ただし、守りを強化しすぎて重すぎでとても使う気にならない代物でした。またまたやっちゃったMicrosoft。ですから、2009年のWindows7はさぞかしよくなっただろうと期待も高かったわけです。

そして3年たって、Windows7もだいぶこなれてきたところですから、まぁ今回のはWindows7.1とか、Windows7+とか、そんな感じのところで、特に何を期待することもありませんでしたというのが本音でしょぅか。

確かにパーソナルなPCは、今後どんどんモバイル端末に移行していく可能性が高いので、据え置き型のコンピュータ用のOSは業務用基幹サーバーとして特化して行くんでしょうね。

となると、Microsoftもシェアを維持していくためには、モバイルに力を入れるのは当然なんですけど、う~ん、どうでしょう、ちょっと遅すぎた感は否めません。

とりあえず、業務的に使用していない自分でOSを変更可能な複数台のパソコンは、すべてWindows7になっていて、今のところWindows8に変更の予定は考えていないというところです。

2012年11月9日金曜日

田中さん

文部科学大臣の田中さん。この1週間、ずいぶんと話題を振りまいてくれました。新規に開設する認可待ちの3大学の認可をしないというのは、もうほとんど開設準備が完了していた各学校関係者に対して大きな衝撃でした。

与野党の中から、ずいぶんとたしなめられたのか、自分でもまずかったと思ったのか、とりあえず田中さん自ら謝罪することで一応収束に向かうことになりました。さすがに、今回はやりすぎで、これが田中さんだということに・・・

というのが、世間の一般的な見方。

でも、ちょっと待てよと。

大学の設立の認可がまだ出ていないのに、もともと来春から学校が始まりますとして見込み発進していたわけでしょう。これは、どうなんでしょうか。事情はわかります。通常なら、これで認可されるはずと、学校側も思っていたわけだし、官僚からも大丈夫という連絡を受けていたのでしょう。

すでに準備完了していて、いまさら何を言っていると文句をつけるのは本来どうなんでしょうか。話は違いますが、八ツ場ダムの場合を思い出しました。工事開始の認可が出る以前ではなく、すでに工事が開始されていたなもかかわらず中止を決定したし、その時に大多数の国民もそれを望んだはず。

今回はメディアも含めて、「弱いもの」の側を圧倒的に応援する状況となりましたが、確かに田中さんの独り相撲でしたから、国民的同意はありません。今回のことを含めて、今後はしっかりと議論を重ねて考えていかないといけないこととして記憶する必要があります。

実際、大学の数は入学する全体の学生数からすると多すぎるというのは事実のようです。少子化などの影響もあって、一部の大学に人気が集中し、多くの大学では定員割れという現実は無視できません。

なんらかの整理統合は必要であることに間違いはなく、今回の新設3大学についても本当に必要なのかという点については・・・まぁ、自分がどうのこうの言う立場にはありませんけど、定員割れ大学の数が増えるだけの結果になった場合は誰が責任とるんでしょうかね。

自分が卒業した医学部についても、定員は適正なのか疑問がもたれています。歯学部については、どう考えても多すぎでしょう。介護関係は人材不足ですが、大学出身の「キャリア」みたいなヒトより「現場」で働くヒトが足りていない。

なんにしても、大学だけ増やしても解決はしないことだけは間違いないようです。

2012年11月8日木曜日

みかん

これがみかんかどうかはわかりませんが、柑橘系のどれかであることは間違いない。近でこんなにたわわに実っているのに気が付いて、ちょっと驚きました。

それほど珍しいことではないのですが、ガーデニング花盛りの昨今ですから、実のつく植物はそれほど人気があるわけではない。

ちゃんと、食べられるまとなに実をつけるのは手入れが並大抵のことではないはずで、きっとこれもさぞかし酸っぱいんじゃないかと思ってしまいます。

まぁ、もぎ取って食べようということではないので、美味しかろうがどっちでもいいんですけどね。とりあえず、身近な場所で季節を感じるものを見つけたというのが嬉しかっただけです。

真夏にみかんを売っている今日この頃ですけど、季節の変化を五感を総動員して感じたいものだと思います。

2012年11月7日水曜日

あなでじ

SONYミュージックが、自社で権利を保有する楽曲をiTunesストアに提供するというニュースは、すでに最新の音楽を追っかけなくなった自分には、それほど大きな話ではありません。

しかし、若者の間では音楽をダウンロードするという分化が定着してきており、人気アーティストをたくさん抱えるSONYミュージックが、最強のダウンロード市場を持つアップルと提携することは大歓迎のようです。

SONYは元祖持ち運ぶ音楽プレイヤーのWalkmanがあるだけに、独自の牙城を守り続けていましたが、さすがにアップルのiPhoneやiPodのシェアの大きさには対抗できないと判断したんでしょう。

パソコンのOSについては、MicrosoftのWindowsにまったく歯が立たないアップルですが、モバイルデバイスの領域ではほぼ完全勝利という状態です。このあたりが故ジョブスの先見の明ということでしょうか。

それにしても、レコードで育ちCDで未来を見た自分たちの世代では、物理的に存在する物に対する所有欲というのが根強く存在します。音楽という目に見えないものを、形として手に入れるということは、単に曲を楽しむ以上の満足感を与えてくれるものです。

ですから、コレクションしたCDケースを演奏家ごとに並べたり、ジャンルによって並べたりすることは、別の意味で楽しいわけです。ずらっと並んだ、ベートーヴェンやシューベルトのピアノソナタ全集の数を数えてニヤニヤすることも悪くない。

音楽などのメディアが、パソコンの普及とともにデジタルデータ化されることは必然といえます。ダウンロード販売では、当然パッケージを用意する手間、販売するための場所や人件費など膨大なコストカットが可能となります。

もちろん、自分もせっせと買ったCDを取り込み、車の中や当直バイト先などでカーナビやパソコンで楽しむというのが主なスタイルになってずいぶんとたちました。基本的に、携帯プレイヤーを使うような時間はほとんどありません。

ですから、当分半アナログ・半デジタル生活みたいな状況は続くことでしょう。いくらパソコン好きでも、昭和の人間としてはそのへんが限界かもしれませんね。

2012年11月6日火曜日

アメリカ大統領選挙

いよいよアメリカの大統領選挙が始まります。良しも悪しくも、アメリカは世界をリードする大国であることは間違いなく、そういう国のトップを決める選挙ですから、その結果と言うのは世界中で注目されます。

前大統領のブッシュは、2000年の就任直後に「同時多発テロ」が発生しいきなり戦争を開始、しかも目に見えない集団を相手にして難しい舵取りを迫られました。

そして第2期政権でも戦争の後始末に追われ、国内政治については何も成果をあげられず、悪化した経済状況の中、2008年にオバマにその座を明け渡すことになりました。

オバマは初の黒人大統領というセンセーションはあるものの、いまだに落ち込んだ国内状況を決定的に回復させるところまでは至っていません。対外的には、いや日本にとってはアメリカの強権ばかりが目立った新世紀という感じ。

そりゃそうでしょう。なんにしても、戦争をすればその後始末がわずか数年で収束するとは思えない。その影響はまだまだしばらくは続くでしょうし、さらなる新たな火種を抱え込む結果になることは容易に想像できます。

対立候補のロムニーは、報道されている話からは「特権階級」的な人物。「庶民に近い存在」とされるオバマとの対比は、比較的明瞭。アメリカ国民の選択の結果は、何を望んでいるのかわかりやすい形で見えてきそうです。

アメリカ大統領は4年ごとの選挙。就任後1年目は計画の立案、2年目に実行。3年目に調整、4年目に結果が出る。政治でもなんでも、なんらかの仕事をするには4年間というのは最低必要な期間。

 1年単位でころころ首相がかわっていくどこかの国では、政治から何かを導き出すことなんてできませんね。一定期間仕事をできるだけの能力が政治家に欠如しているのか、国民が早急な結果を望みすぎているのか・・・


それはさておき、他国の一市民の自分が何を言っても、しょせん野次馬みたいなもので、誰も鼻にもかけてくれませんが、廻り回って何らかの影響を被る事は間違いないわけですから、注目せざるをえないですね。

2012年11月5日月曜日

でめせん

確か、記憶が正しければですけど、小学生のときよくやったのが「でめせん」というゲーム。今時、ネットで調べても「でめせん」は出てこないみたいで、細かい点を再確認できない。

基本は野球みたいなものですけど、3塁はありません。つまり三角ベースというやつで、距離もかなり近くなっている。投手と打席の間に丸い輪を書いてあるのも違う。

ボールは軟式テニスのボールを使いました。ピッチャーは下手投げで、バッターは・・・こぶしで打ち返す。バットは使いません。大事なのは、打ったボールをピッチャーの手前にある輪の中でバウンドさせないといけない。

どうです? やったことありますか? 誰が考えたのか、どういう歴史があるのかまったくわかりませんが、まさに狭い校庭で、短い休み時間に、ちょっと始めるにはすごく簡単でいいシステムです。

人数もいらないし、最低4人でOK。ボールが遠くまで飛ぶ心配がないので、ベースのある三角形だけならテニスコート半分もあれば大丈夫。

今でも、やっているこどもはいるんでしょうか。さすがに大人がするには、コンパクトすぎるとは思いますが、小学校の体育の時間でもほとんど道具がいらないのでやりやすいと思います。

サッカー人気が似たようなフットサルにも波及してきたように、野球もできるだけ誰でも簡単にできるようなサブセットがあってもいいかもしれません。

2012年11月4日日曜日

懐かしの事件物

じゃあ、太陽にほえる前はと言うと・・・「キーハンター」と「ザ・ガードマン」です。

キーハンターは丹波哲郎のボスのもと、千葉真一、谷隼人、野際陽子、松岡きっこというメンバーがそろって、警察物というよりは探偵物というか、なんかよくわからない。

ならしろ、こちとら小学生。時々やる怪談物がやたらと怖かった。これが、のちにGメン・シリーズの母体になったんでしょうかね。とにかく、さすがに千葉真一のアクションがかっこよかった。

ザ・ガードマンは、宇津井健でしょう。川津佑介なんかも出てました。こっちは警察官じゃありませんから、けっこう地味。まあ、どっも人気はありましたよね。

でも、親には気がつかれないように、こっそりと見てたのが「プレイガール」でしたっけ。これも、今となってはどういう集団だったのか、よくわかりません。なんか沢たまきを筆頭に、お色気むんむんのお姉さんたちが活躍する事件物。

真っ赤な唇のアニメーションがこども心にもドキっとさせられました。当時でも、今でも、親がこどもにみせたくない番組の筆頭でしょうね。

2012年11月3日土曜日

太陽にほえろ

もしも、今「太陽にほえろ」をやっていたら・・・

「太陽にほえろ」は70年代を代表する刑事ドラマ。戦後昭和のどまんなかに育った自分たちにとっては、すべてのテレビ番組の中でも最も人気を博した物ではないでしょうか。

何しろ当時は、10数回で終了なんてことはない。14年間、全718回。水戸黄門並みと言っても過言ではありません。放送する日本テレビも、金曜日だけは巨人に野球の試合をさせなかった。

「踊る大捜査線」の第一回は、青島刑事が取り調べのシミュレーションをするところから始まります。ここで、「警察をなめんじゃないよ」と机を叩いたかと思うと、「タバコ吸うか」「カツ丼たべるか」「くにのお袋さんどうしてる」など泣き落としにかかり、「刑事ドラマの見すぎ」と言われるわけです。

これあたりは、まさに「太陽にほえろ」で作られた刑事のイメージそのもの。踊るは、「太陽にほえろ」のパロディからはじまったのです。

ドラマですから、リアルタイムでも突っ込みどころは満載でした。しかし、それでもそれまでの犯罪物のドラマの中では、現実感を強く表に出し見ている側には、警察というところをこういうところなんだと強く印象づけることになりました。

ただ、さすがに昭和と現代では、世相もだいぶ異なります。今、もう一度作られても、昔を懐かしむ世代には喜ばれても、新たなファンはつかないだろうなと思います。

まず、そもそも七曲署の刑事部屋は当然禁煙。刑事たちは、署内敷地内のの隅っこの喫煙スペースで、寒さに震えながらタバコを吸って、そこが捜査会議場になっている。

拳銃はほぼ発砲禁止。車での派手な追跡も厳禁。ちょっとやると、すぐにメディアに行き過ぎと叩かれ、ボスがそのたびに記者会見。「正当な行為でした。しかし、市民に不安を与えたことは遺憾に思います」と頭を下げるんじゃしまりません。

殉職者がでたら、当然上司も責任を取らされ、あっという間に降格人事です。ボスが、あっという間に平に戻ってしまいます。

そもそも、マカロニもジーパンも携帯電話を持っていて、刺されても撃たれてもすぐに救急車を呼べたかもしれないですしね。そんなに簡単に殉職したりしないでしょう。

まあ、もう一回同じような構想のドラマを作ろうなんてという企画はまず出てこない。時代が生んだものは、その時代にだけ生き続けるんですよね。

2012年11月2日金曜日

生命保険

結婚した年に、初めて生命保険というものに加入しましたっけ。いわゆる保険の外交のおばちゃんというんですか、 今時ならセールス・レディと呼ぶ方が訪れいろいろと説明をしていきました。

その方は、もちろん営業トークもあったでしょうけど、一生懸命で好感度も悪くなく、こちらの質問にも丁寧に説明をしてくれました。

加入したのは、生涯保険というタイプ。そのときの話では、65歳くらいまで払い込み、80歳まで保証が続くというように理解していました。確か「80歳以上生きていたら、困るね。まぁ、平均的にはなさそうなことだけど」みたいな会話をしたように記憶しています。

それから引越しして、住居の近くの営業所に引き継がれたのですが、そこからがどうもよくわからなくなったんです。何かというと、より保険料を引き上げる話ばかりをしにくる。そもそも生涯も保証を得たければ、もっと払わないといけないとか。

最初の理解が不十分だったと言われればそれまでですが、もう一度ネガティブな気持ちになった部分、つまりその場を言いくるめられて高額な保険料を払い続けることへの疑問は膨らむ一方。

ここにきて、またもや保険の更新時期です、ついては保険料がかわりますという連絡。これまでの数倍の保険料がかかりますというじゃありませんか。いゃあ、どうも納得できない。

保険会社からは、毎年毎年「残念ながら配当金はありません。さらなる営業努力を・・・」みたいな通知が来るんですが、まぁ配当金を当てにしているわけではありませんが、保険料だけはどんどん取られている・・・というより搾取されている印象です。

こどもも成長してきて、もちろんあと何年かはリタイアするわけにはいかないわけですが、結婚した頃よりも保証の程度はだいぶ少なくてもいい。

とにかく、一度リセットして、今後の生活に必要な保証を整理整頓したくなりました。今の保険会社、営業さんとは縁を切って、自分から理解ができるものを探したいと思います。

2012年11月1日木曜日

秋深し・・・

さぁ、11月です。 ・・・ ・・・ とは言え、特に昨日の続きですけどね。

季節は秋から少しずつ移り変わっていくのですが、今年は夏の残暑が長かったですよね。そのせいか、10月になってやっと秋らしくなった感がありましたが、やっと最近になって「隣は何をする人ぞ」になりました。

そう言えば、あまり空も秋を感じなかったなぁ。秋の空の特徴は、やはり雲。代表的なものは、いわし雲とかですけど、夕焼けとかも含めて、ピンと来た日が記憶に無いです。

今日の日没も、抜けるような青空の中に、ちょっとだけ普通の雲が浮かんできれいでしたが、どっちかと言うと春っぽい感じがしました。

秋はどこへ? とか思っているうちに、一気に冬になるのかなぁ。