ピアノ協奏曲もクラシック音楽の中では主要ジャンルの一つ。鍵盤楽器は多声楽器で、比較的手軽にオーケストラのような合奏を再現できるわけです。ですから、古くから鍵盤楽器による協奏曲は存在し、開祖は誰かというとなかなか難しい。
バロックだと、当然J.S.バッハの7つのチェンバロによる協奏曲が有名で、今ではピアノで演奏されることも珍しくありません。ハンマークラヴィアが発明されて、古典の時代にはモーツァルトの27の協奏曲があります。
しかし、モーツァルトはどのジャンルでも言えることですが、天才に任せてインスピレーションを形にしまくったわけで、そのほとんどは似たり寄ったり。一つ一つを、作品として考え抜いて完成されたのはベートーヴェンの5つの協奏曲でしょう。
ベートーヴェンの時代はピアノの進歩が顕著で、その発展と共に彼の32のピアノ・ソナタもどんどん音域が広がり表現される世界が完成されていきました。それは協奏曲にも言えることで、あえてピアノ協奏曲の父は誰かと決定するなら。ベートーヴェンを是非に推薦したいと思います。
ただ、一般に良く知られるピアノ協奏曲の大多数はロマン派以降から生まれています。シューマン、メンデルスゾーン、 ブラームス、グリーク、チャイコフスキー、ラフマニノフなどの協奏曲は定番として定着し、主要メロディはクラシック音楽愛好家でなくてもたいてい知っているものです。
で、ここまで書いておいて、いまさら何ですが、もともと編成が大きくなるほど演奏の自由度が少なくなるということで、自分はオーケストラは好きじゃない。ソロかデュエット、あとは数人編成の室内楽が好きなので、当然オーケストラが伴奏をつとめる協奏曲というのはそれほど興味が湧かないわけです。
まぁ、避けて通るわけにもいかないので常識の範囲で楽しむ程度で申し訳ないのですが、あえてどれか一つを選ぶならバックハウスのベートーヴェンを推薦したいと思います。
バックハウスのベートーヴェンのピアノ・ソナタは、最高評価を与えるヒトが多い。自分は、そのごつごつした感じがあまり好きではないので、ソナタについてはあまり好まないんです。しかし、協奏曲では、オーケストラに負けないボリューム感を描き出す力はさすがと思います。
何にしても好き好きの話ですから、単なる戯言と思って聞き流してもらってかまいませんけどね・・・