2012年11月22日木曜日

TOKYOエアポート 第6話

久しぶりにテレビのドラマを毎週見ているんですけど、それはフジテレビの日曜日の「TOKYOエアポート」で、ちょっと前にもここで書き込んでいます。

最近のドラマとしては地味なほうで、視聴率も第1回こそ14%くらいでしたが、その後は8~9%で今クールのドラマの中ではベスト10からは落ちてしまいます。

しかし、人気タレントだけにおんぶするような中身の無いドラマと違って、事故がなくて当たり前で注目されることも無く褒められることも無い空港の管制官を主人公にして、現実的な危機管理をしっかりと描く作りは高官がもてます。

さて、前回で後半に突入の第6話ということだったのですが、この話は医者としても大変興味深いものでした。離陸したばかりの政府専用機の中で大臣が脳梗塞を起こし、緊急で羽田に戻ってくる話。

ところが、そのすぐ後ろに200人の乗客が乗った旅客機がエンジンか故障し緊急の着陸を要請してきます。政府専用機はまた燃料がたくさん残っていて、安全な着陸のための規定をクリアしていない。

燃料を捨てたいが、すぐ後ろにいる故障した飛行機への影響を考慮すると管制官は廃棄を許可できない。大臣は一時心肺停止になる状況で、一刻を争う。

そこで管制官は、両方の機体を安全に着陸させ、より多くの人命の安全を確保するために、政府専用機を後回しにして故障機を先に下ろすという選択をします。当然、メディアから大臣が死にそうな状況で着陸を後回しにしたことを批判し、大問題となってしまうというわけです。

燃料をたくさん残して着陸した場合、機体が破損したりオーバーランを起こして大事故になるかもしれません。そうなると、後続の故障機は着陸場所を失い200人以上の人命が失われるかもしれません。

管制官は起こった事故をどうにかするのが仕事ではなく、事故を未然に防ぐことが使命ですから、
確実により多くの命を守るという観点から、管制官側は管制官の選択は正解であると主張します。

実際、自分も基本的にはそれには賛成できると考えます。大災害が起こった場合は、助からない可能性が高い命よりも助かる命を優先するのが災害医療の鉄則です。

ただし、職業で命の大きさが変わるものではないと建前ではありますが、現実には無意識の中である程度の差をつけて考えるのは本音の部分でまちがいなくある。

さらに、この話の場合、まだ災害に至っていないので、発生した順番で助かるか助からないかにかかわらず、最大限の努力をする救急医療の観点から考えると、緊急性の高い大臣の命を優先すべきとするのも当然です。

本当の正解はなかなか結論が出ないのかもしれませんが、こういう点を考えさせるチャンスをもらえるという点でもすぐれたドラマと考えます。ドラマは後半戦に入ってきましたが、是非皆さんにも見てもらいたいと思います。