2024年10月6日日曜日

アンナチュラル (2018)

純粋な警察物ではなく、法医学(法律上の問題を解き明かす医学)に着目したドラマ。脚本の野木亜紀子によるオリジナル作品で、演出には野木の盟友、塚原あゆ子が加わっています。ヒロインでお姫様キャラが多かった石原さとみにとっても、俳優としての幅を広げたと高く評価されました。

舞台となるのはUDIラボ。正式には不自然死究明研究所と呼ぶ架空の組織で、原因が特定されない多くの不自然死を専門的に解明するための公的機関とされています。所長は神倉保夫(松重豊)で、ラボの設立に並々ならない尽力をし、所員からの信頼が厚い存在です。

メイン・キャストの三澄ミコト(石原さとみ)は、食嗜好の変わった法医学者で、無理心中事件の生き残りという過去を持ちます。生きることにこだわり、納得できない死について強いこだわりを見せます。

三澄班の臨床検査技師は東海林夕子(市川実日子)は、ミコトと旧知の間柄で、自ら異性間交流会と呼ぶ合コン好き。久部六郎(窪田正孝)は目的がわからなくなり、休学中の医大生。バイトとして三澄班の記録係になりましたが、実はUDIラボの内情を調べて週刊誌に法三くしていました。

中堂系(井浦新)は、優秀ですが粗暴な態度が多く周囲との壁を作っているような法医学者。8年前に恋人を殺され、何故彼女が死ななければならなかったのか知るため自ら法医解剖をおこなったため、証拠隠滅目的と疑われ犯人として逮捕されました。中堂班の臨床検査技師は坂本誠(飯尾和樹)でムーミン好きですが、中堂のハラスメントの一番被害者。

ドラマでは、一話完結の死因の謎の救命ストーリーと共に、中堂の恋人の事件にからんだ謎が展開します。彼女の口の中に残されていた「赤い金魚」の印と同じものを、持ち込まれた遺体から発見し連続殺人と考え、ミコトにも調査の協力を依頼します。そして、ついに容疑者を見つけ暴走してしまうのでした。

医学が絡んだドラマとしては、比較的リアルな描写が好感を持てます。ただし、医療関係者が事件の捜査に口を出し過ぎるどころか、手も足も出すのはどうかと思いますが、徹底的に死因を究明するUDIという組織を用意したことで何とかギリギリセーフというところでしょうか。

比較的目立たないキャラまで、設定がしっかりしているのは野木作品の特徴で、それがドラマの奥行きを深めています。誰でも登場人物に感情移入できるので、見ていて必ず入り込めます。そういうところが、ドラマの完成度を高めているように感じます。