2024年9月7日土曜日

ST 警視庁科学特捜班 (2014)

これは日本テレビの単発のスペシャル・ドラマ。2007年の「SP 警視庁警備部警護課第四係」以後、この人気にあやかってか似たようなタイトルが増えました(もっと古いのもあるかもしれませんけど)。

原作は今野敏による警察小説で、テレビ・ドラマとはいえ「カイジ」シリーズで藤原竜也と縁が深い佐藤東弥が監督、「20世紀少年」や「GANTZ」を担当した渡辺雄介が脚本という本気モードのスタッフが揃いました。

警察物としては架空の特殊なチームが活躍する話ですが、STというのは「Science Taskforce」の略。科捜研に設立された捜査権を持つチームですが、集まったのはかなり癖の強いはみ出し者揃い。

リーダーは法医学担当で、極度の対人恐怖症という赤城左門(藤原竜也)で、基本的に自分のアパートから出てこない引きこもり。しかし、メンバーからは絶大な信頼を得ていて、ST室の会話はすべてリアルタイムで聞いています。

プロファイリング担当は青山翔(志田未来)で、秩序恐怖症(潔癖症の反対)のため周りが整然としていると頭が働かない。化学担当で、鋭敏な嗅覚と優れた身体能力を持つのが黒崎勇治(窪田正孝)で、極度の先端恐怖症で超がつくほどの無口。

スタイル抜群でボディコンスーツに身を包む結城翠(芦名星)は、離れていても聞き取れる高度な聴覚の持ち主で、閉所恐怖症。化学担当で僧侶との二足の草鞋を履くのが山吹才蔵で、不眠症です。

そして、あらたに警部としてSTを統率する役目を担ったのが百合根友久(岡田将生)で、警視庁の中で嫌われ者のSTに移動するのは荷が重かったのですが、どちらかというと潔癖症のメモ魔。経験の少なさから悩みますが、STを創設した三枝参事官(渡部篤郎)から「君にしかできない仕事をしてくれ」と励まされます。また捜査一課の叩き上げの菊川(田中哲司)も、少しずつSTに理解を示すようになります。

無差別銃乱射事件が発生し、死亡した被害者はヤクザの愛人だった女性。捜査本部が立ち上がり、STのメンバーも招集されますが、警視庁内で嫌われ者の彼らにはなかなか情報が伝わってきません。さらに第2、第3の殺人事件が発生し、STは独自に犯人の実態に迫っていくのでした。

百合根は間に入って、次第に自分の役割を理解するようになり、STのメンバーそれぞれの生きづらさを理解しつつ、捜査本部にも本気で物を言うようになっていきます。そして、ついに赤城は最終的な犯人像を特定し、百合根と菊川らは逮捕に向かうのでした。

映画としてみるとスケールはやや劣るのですが、単発ドラマとしては上々の出来。岡田将生の無理のないキャラ設定がツボにはまっている感じですし、特に志田未来の膨大な長セリフは見事としか言いようがありません。最後の美味しいところをもっていくのは、やっぱり藤原竜也で、これは美味しい役処という感じです。

さすがに単発で終わるのはもったいない面白い面々が集まっているなと思ったら、翌年「ST 赤と白の捜査ファイル」として連続ドラマとして帰ってきていました。気に入ったら、是非続けて楽しむことをお勧めします。