2024年9月22日日曜日

警視庁アウトサイダー (2023)

「メゾン・ド・ポリス」の加藤実秋の小説をもとにしたテレビ朝日の連続ドラマで、あえて分類すると警察バディ物のサスペンス・コメディ。桜町中央署という所轄警察が舞台で、刑事課のエースと呼ばれる蓮見光輔と警視庁組織犯罪対策部、通称「マル暴」から移動してきた架川英児のコンビが活躍します。

配役は架川が西島秀俊、蓮見が濱田岳ですが、誰もが想像するイメージと違い、西島がコメディを担当し、濱田は終始シリアスというところが目新しい。そこへ警視庁副総監を父に持つ水木直央が赴任してきますが、空気の読めないのんびり女子を演じるのは上白石萌歌。

架川と蓮見には口には出せない訳アリの事情かあって、全体を貫く謎になっています。一話ごとに事件を解決していきますが、最後についに謎が解き明かされるというよくあるパターン。

比較的ドラマの序盤で謎は明かされていて、架川がマル暴を辞めたのは、警察内部に大規模な検挙計画を暴力団にリークした内通者によって、罠にかけられたため。そして、蓮見は失踪者の戸籍を利用して警察官になったのですが、刑事だった父親が殺人犯に仕立て上げられたために、父の冤罪を晴らすために警察内部に入り込んだのです。

架川の過去に大きく関係する元上司の藤原要に柳葉敏郎、蓮見の過去につながる犯罪撲滅を掲げる衆議院議員、小山内雄一に斎藤工が登場します。水木の父親の有働副総監は片岡愛之助で、彼もまた訳アリの雰囲気。撮り鉄の鉄オタ鑑識官、仁科素子を演じるのは優香で、以前危ないところを助けられた弱味で架川の無茶な頼みに協力します。

濱田岳がコメディを封印して、冷静沈着な優秀な刑事を演じるのは新鮮味がある。すでに出来上がった印象もあって、事情が分かるにつれ感情移入しやすく、ガンバレと応援したくなります。

一方、西島のコメディはピンとこない。「メゾン・ド・ポリス」では、やることはまじめで、全体の雰囲気がコメディだったので、あまり違和感は感じませんでしたが、積極的に西島がバカをするのは笑うに笑えない。架川の特徴である「血を見ると卒倒する」というのも、わざとらしさしかありません。

水木のキャラクターもわざとらしさ全開で、2+1的な変則バディ形式を取っていますが、副総監との関連をドラマチックにするためだけのキャラクターと感じてしまいます。架川と蓮見の謎を解明するのが目的のドラマとはいえ、毎回の事件の解決についてはかなり荒っぽいところがあって刑事ドラマとしては雑な印象がしました。