監督は「紙の月(2014)」、「騙し絵の牙(2021)」などの吉田大八で、自ら俳優業も兼ねる喜安浩平が監督と共同脚本でクレジットされています。原作は平成生まれ初の直木賞作家である朝井リョウのデヴュー作。
桐島というのは、高校の男子バレーボール部のキャプテンで、学校中の人気者。ある日、突然、桐島が部活を辞めるという話が持ち上がるのです。噂は広がり、周囲の友人たちには動揺が広がるのです。
この映画の興味深いところは、原作にならって桐島本人は登場しないということ。ある意味、タイトルにもなっている桐島は、どこにでもありそうな微妙なバランスの上に成り立っていた高校生活に小さな波紋を投げかけるきっかけにすぎない。その波紋がどんどん大きくなる様子を、青春群像劇として描いています。
また、映画の作りとしては、それぞれの主要登場人物の視点で、同じ出来事を繰り返し見ることで、多くの主観が入り乱れるところが面白い。同じ出来事に遭遇しても、人によって感じ方が違うわけで、映画の受け手はむしろその出来事を客観的に感じられるのです。
映画部の前田 涼也(神木隆之介)はあまり目立たない存在ですが、学生映画賞を受賞し、自ら生徒会をドキュメントする映画を製作します。
野球部の菊池宏樹(東出昌大)は、桐島の親友ですが部活を辞めることは相談されていませんでした。野球部も含めて、何事にも真剣になれず不完全燃焼の毎日を送っています。
野崎沙奈(松岡茉優)は、ぱっと見目立つ顔立ちで宏樹の彼女。それらのことを十分自覚していて、やや上から目線な態度が目立ちます。
飯田梨沙(山本美月)は、桐島の彼女で真面目な美人。彼女も桐島のことを知らされておらず、傷ついてしまいます。
バドミントン部の東原かすみ(橋本愛)は、しっかり者でともだち付き合いが上手。同じ部活の宮部実果(清水くるみ)と仲が良い。
それぞれが、他人との関係を持ちそれなりに悩むのが「青春時代」であるなら、いかにもありそうなエピソードが連鎖反応して、学生間の暗黙のヒエラルヒーを超えて熱を帯びていくことで、一定の解決を提示していくというのが、この映画のテーマにあるように思います。
人気者の頂点がくずれることで、人気者グルーブが崩れ、そこに関わる者たちが行き場を失う。それまで無視されていたグループはそんな影響は受けず、自分たちがやりたいことを続ける。立場が逆転し、弱者が強者に自分を気づかせるきっかけになることも起こり得るということを教えてくれます。
野崎沙奈(松岡茉優)は、ぱっと見目立つ顔立ちで宏樹の彼女。それらのことを十分自覚していて、やや上から目線な態度が目立ちます。
飯田梨沙(山本美月)は、桐島の彼女で真面目な美人。彼女も桐島のことを知らされておらず、傷ついてしまいます。
バドミントン部の東原かすみ(橋本愛)は、しっかり者でともだち付き合いが上手。同じ部活の宮部実果(清水くるみ)と仲が良い。
それぞれが、他人との関係を持ちそれなりに悩むのが「青春時代」であるなら、いかにもありそうなエピソードが連鎖反応して、学生間の暗黙のヒエラルヒーを超えて熱を帯びていくことで、一定の解決を提示していくというのが、この映画のテーマにあるように思います。
人気者の頂点がくずれることで、人気者グルーブが崩れ、そこに関わる者たちが行き場を失う。それまで無視されていたグループはそんな影響は受けず、自分たちがやりたいことを続ける。立場が逆転し、弱者が強者に自分を気づかせるきっかけになることも起こり得るということを教えてくれます。