2024年9月10日火曜日

dele (2018)

dele(ディーリー)はパソコンのキーボードにあるdelete(削除)のこと。もともと小説が原作で、作者は本多孝好。本多は金城一紀の友人で、金城の勧めで連続ドラマ制作を前提に書かれました。脚本は、本多本人をはじめ、金城、瀧本智行らが作りました。

弁護士の坂上舞(麻生久美子)の弟、坂上圭司(山田孝之)は車椅子で生活し、舞の事務所の地下で「dele.LIFE」という会社を経営していました。この会社は依頼人が死んだ場合に、一定時間スマホやパソコンが操作されなかったら、リモートでそれらの中に残るデジタル・データを削除する仕事をやっていました。

真柴祐太郎(菅田将暉)は便利屋をしていましたが、舞に気に入られて、圭司のアシスタントに就きます。仕事は動けない圭司にかわって、依頼人の死亡確認をすること。電話一本で片付く場合もありますが、出かけて行かないとわからないことも多い。

圭司は死亡確認が取れれば、キー一つを押すだけで簡単にデータを削除してしまういたってビジネスライクなところがあります。しかし、祐太郎は死んだ人にもいろいろな事情があって、時にはデータが残された人に大きな意味を持つこともあると主張し、本来見るべきではないデータを確認させてくれと主張するのです。

ネット配信系のドラマと比べると、深夜枠の比較的低予算で、出演者も多くはありません。しかし、とにかく内容が良い。原案・脚本がよければ、まだまだ地上波も捨てたものじゃないというところを見せてくれます。

何が良いかというと、一つ一つの「事件」にまつわる人間ドラマの掘り下げがするどくて、人の死はどんな場合も、大なり小なりドラマがあるということ。そのことは、ドラマにまつわる多くの賞を受賞したことが証明しています。