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2024年9月25日水曜日

ST 赤と白の捜査ファイル (2015)

もともとは2013年春の2時間枠の単発ドラマでしたが、2014年春に「ST 赤と白の捜査ファイル」として連続ドラマとして再登場。さすがに主たる登場人物の際立ったキャラクターを、そのまま終わりにするのはもったいないと思ったのもしれません。しかも、その最終回は一定の完結をしたものの、新たな事件を予告するものでした。それが2015年初頭に公開された劇場版ということになります。

連続ドラマで変わったところは、まずST(警視庁科学特別捜査班)の生みの親である三枝参事官(渡部篤夫)が退職し、何故かカフェのマスターに転進していること(理由は連続ドラマの最終回で明らかになります)。代わりにSTのお目付け役になったのは松戸紫織理事官(瀬戸朝香)で、STに対する態度はかなりきつめ。捜査一課の刑事でSTに協力的な菊川(田中哲司)に筒井桃子(柴本幸)という女性刑事が部下につきます。

一癖も二癖もあるSTのメンバーは同じで、キャリア組からSTの班長になった百合根友久警部(岡田将生)、法医学者の赤城左門(藤原竜也)、プロファイリング担当である青山翔(志田未来)、物理学担当の結城翠(芦名星)、化学担当の黒崎勇治(窪田正孝)、同じく化学担当の山吹才蔵(三宅弘城)という面々。スペシャルでは完全な引きこもりだった赤城は、百合根のおかげで何とか人前に出れるようにはなりました。

連続ドラマでも、独自の捜査により事件を解決していくSTでしたが、好き勝手ばかりのメンバー束ねて何とか信頼を積み上げてきた百合根が、警部から警視に出世して警察庁刑事局特殊犯罪対策室室長に栄転することが決まります。百合根がSTを去るまで残りあと4日という時に、何と殺人容疑で赤城が逮捕されるという事態が発生するというところで連続ドラマは終了、そして映画が始まります。

信号機が意図的に操作されたことによる事故が発生します。赤城は高度なハッキングによる事件と考え、すぐさま鏑木徹(ユースケ・サンタマリア)を容疑者に特定し、彼の住居に向かいます。筒井らが現場に到着すると、火の手があがる鏑木の家から出てきたのは赤城でした。鏑木と思われる焼死体も見つかり、鏑木のパソコンからは警視庁にハッキングして得た赤城が捜査費用を横領をしていたというデータが発見されます。

赤城は殺人容疑で拘留されますが、どうしても納得がいかない百合根はわざと同期で次期ST班長に任命された池田管理官(林遣都)を殴り倒し、赤城の隣の留置場に入り込みます。問い詰める百合根に赤城は、死んだのは鏑木では無いこと、鏑木はHUGINというハッキングソフトを開発し何かを企んでいることなどを話し、何と逃亡してしまうのです。

釈放された百合根は、赤城が言っていた鏑木の元恋人、堂島菜緒美(安達祐実)が滞在しているホテルに向かいますが、菜緒美はすでに鏑木の部下に拉致されていました。そこへ現れた赤城と共に、隠れていた菜緒美の娘、椿(鈴木梨央)を発見し、椿から「HUGINの反対がMUNIN。お母さんはMUNINを作れる」という話を聞いて、赤城は蕪城の真の目的に気がつくのでした。

原作は今野敏による小説。一連のシリーズに関わるのは、監督の佐藤東弥、脚本の渡辺雄介。タイトルの赤と白は赤城と百合根(白)を意味していますが、STのメンバーは全員色を現わすネーミングです。

劇場版は百合根にとっては最後の事件という扱いで、STにとっては集大成みたいなストーリー。変人すぎて居場所が無かったメンバーを、居場所を作り皆から必要と感じられる存在に育てることが、百合根が知らず知らずのうちに成し遂げてきたことでした。ずいぶんとひどい扱われ方をされてきた百合根でしたが、メンバーとの信頼関係は強固な物になっていたのです。

だからこそ、百合根は彼らがさらに大きくなれるように自分と離れることを受け入れたわけで、だからこそこの事件を解決したいとかなり無理をする。赤城らも、百合根を無傷で栄転させたくて出来るだけ事件から引き離そうとします。そんな状況設定ですから、これまでちょっとやりすぎ感もあったギャグ部分は影を潜め、映画では丁度良いバランスになりました。

この映画だけでも楽しめることはできますが、やはりこの極端すぎるキャラクターを理解すめためには連続ドラマ、さらには発端となるスペシャル・ドラマから見ないと難しい。なかなか面白いシリーズなんですが、そういう意味ではハードルが高め鴨しれません。