2024年9月15日日曜日

未解決の女 警視庁文書捜査官 (2018)

原作は「殺人分析班」シリーズの麻見和史の「警視庁文書捜査官」シリーズの小説。「カイジ人生逆転ゲーム」の大森美香が脚本を担当してテレビ朝日がドラマ化しました。主人公は女性で、捜査一課科学捜査係文書解読班主任、鳴海理沙警部補(鈴木京香)。実働するワトソン役に男性の矢代朋彦巡査部長と女性の夏目静香巡査と原作ではなっていますが、ドラマ化にあたっては二人のワトソン役を両者を合わせたような矢代朋(波留)に集約されています。

2009年に時効廃止となったことを受けて、未解決となっている事件の掘り起こしのため警視庁捜査一課に設けられたのが捜査資料などの文書を整理・分類するための文書解読班で、地下の奥深くの書類倉庫が彼らの仕事場。

係長の財津(高田純次)は、淡々と書類整理をして定時で必ず帰る。主任の草加(遠藤憲一)も無駄口を叩かず、せっせと自分の仕事だけこなすタイプ。対人関係が苦手な鳴海は、文書解読のエキスパートで、捜査資料の行間からしばしば真実を掘り起こした実績から、捜査一課の面々に「倉庫番の魔女」と呼ばれていました。

強行犯の担当だった矢代朋は、捜査で大けがをしたため文書解読班へ配置換えになってしまいます。当然、倉庫でもやもやしているのは性分に合わないので、上から依頼された書類に目を通していて疑問を感じると、自分の足で動いて確かめずにはいられない。

時には本来書類倉庫から表に出ない仲間を引き連れて、独自に捜査をしたりするのですが、その結果得られた新たな情報を加えると、鳴海は「文字の神様が下りてきた」と言って謎を解明するのでした。

同じネタを使いまわすのが得意なテレビ朝日ですから、2019年に2時間枠のスペシャル・ドラマ、そして2020年にSeason 2を製作していますので、それなりに視聴率が取れたということのようです。

波留の刑事役は初めてではありませんが、正直、あまり向いている役柄とは思えない。刑事らしい鋭さがあるわけではないし、だからと言って「女性らしさ」を前面に出してくる感じでもない。アクションもお世辞にも上手とは言えません。鈴木京香はぴったりの役柄ですが、どちらかというと波留メインで物語が進行するので、主役としての色が薄い印象です。

本来は文書だけから事件を解決する「安楽椅子探偵」のニュアンスがあるはずのタイトルですが、結局は足でかせぐ通常の刑事ドラマみたいになってしまい、一番の特徴的な設定が生かし切れていない感じがします。