2024年9月5日木曜日

時効警察 (2006)

警察が登場すると、何か殺伐としたドラマばかりを想像してしまいますが、思いっきり脱力系のものもある。この「時効警察」は、犯罪を推理して犯人を捜すんですが、コメディ色が強く、そもそも何のために捜査しているんだかよくわからんというテレビ朝日の異色作。

何しろ、時効になった事件を「趣味として」捜査して犯人を特定しようと言うのですから、かなり変わっている。ただ、そのほんわかした雰囲気がうけたのか、2007年に「帰ってきた時効警察」という続編も作られ、さらに2019年に「時効警察はじめました」という3rd Seasonまで放送されました。

舞台は総武警察署の時効管理課(架空の組織)。熊本課長(岩松了)の下に、又来(ふせりえ)、サネイエ(江口のり子)、そして霧山修一朗(オダギリジョー)という部下がいて、時効になった事件の資料整理・保管を行っています。

霧山は何も趣味がなかったため、時効になった事件の犯人を捜すことに趣味にすると言いだしました。そこへ霧山にちょっと気があり、しょっちゅう時効管理課に顔を出す交通課の三日月しずか(麻生久美子)が、霧山の犯人探しに協力するという一話完結の形式の連続ドラマです。

最終的には、霧山の推理を確定する証拠はもう出てこないわけなので、霧山は犯人と思われる人物に「あとは犯人の協力、つまり自白によって私の推理が正しいのかどうか確定します」と言い出す始末。その上、最後には「このことは誰にも言いません」と書いたカードに印鑑を押して犯人に渡すというのがお決まりとなっています。

元々、ドラマとしては犯人はだいたい想像できるので、倒叙型推理小説(古畑任三郎シリーズみたいなもの)の形式で、何故犯罪が起こったのか、どうして犯罪を隠し通せたか、といったところが焦点になっています。

オダギリ・ジョーというと寡黙で冷徹な役が多い印象ですが、ここではキャッシュレスのCMで演じたとぼけた役柄のまま。今では冷静な上司みたいな役が多い麻生久美子も、まだ20代で若々しい。

三木聡、園子温、岩松了らが脚本と監督を担当し、2nd Seasonからはオダギリ・ジョーも参加して作られています。複数の共作にしては、何ともぬるい笑いは共通していて、何とも言えないほっこりとした世界観がけっこう癖になるドラマになっています。