麻見和史による小説が原作で、如月塔子と彼女が所属する警視庁捜査一課十一係が活躍するシリーズの第一作目。誉田哲也による「姫川玲子シリーズ」からの「ストロベリーナイト(2010)」と似たようなテイストなんですが、女刑事がまだまだ馴れない新人であるところがポイントです。
WOWWOWがテレビ・ドラマ化し、全5回のシリーズとして放送されました。脚本は「舟を編む(2013)」の渡辺憲作、テレビの推理物が得意な内片輝が監督を務めました。
警視庁捜査一課十一係に新たに配属された新人女性刑事、如月塔子(木村文乃)は主任の鷹野秀昭(青木崇高)の指導を受けることになります。着任早々、モルタルで固められた死体が発見されという事件が発生します。捜査本部が立ち上がると、トレミーと名乗る人物から警察に電話がかかってくるのです。
トレミーは話しやすい女刑事を出せと言うため、如月が電話に出るのです。彼の予告通り、第2の死体が見つかり、同時に謎の人骨の写真が送られてきました。トレミーはさらに何度も如月を電話に呼び出し、何も見つけられない警察をなじるのです。
警察は過去に未解決となっている母子誘拐事件に注目します。母親は殺され、この事件で如月の父親、如月功刑事は犯人によって重傷を負わされました。この傷も関係して如月功は早世していたのです。そして、二人の被害者がこの事件の犯人ではなかったかという疑いが出てきます。
トレミーは、ついにこの事件で生き残ったこども、八木沼雅人(古川雄輝)ではないかと推定されました。トレミーは事件を解決できなかった警察へ挑戦していると考えられましたが、ついに第三の被害者がでることを予告してきます。トレミーが復讐すべき第三の人物とは・・・!!
いやいや、実によくできたストーリーです。5時間分の映像によって、新人女性刑事の不安と葛藤、なかなか正体がつかめないトレミー、上司として如月を育てようとする鷹野らのさまざまな思いが過不足なく描かれています。
時間的にはこれ以下でも駄目だし、これ以上ではだれてしまいそうなちょうど良いところで、一気に見れる面白さがあります。演技が下手ではない木村文乃ですが、まさに新米で不安たっぷりな様子をたどたどしさでうまく表現しているように思いました。
本来、凶悪犯であるトレミーについても、なかなか表にでるわけではないのに、実に存在感を感じることができるのは古川雄輝の功績かもしれません。豪快で愉快な役回りが多い青木崇高も、ここでは実に落ち着いた演技を見せてくれています。