21世紀になって医療機関が変わったことの一つに、受診した方の呼び方があります。
患者(patient)は、診療を受けるために病院などに訪れた人のことですが、医療を提供する側からは、一般に「患者さん」と言い、名前で「××さん」と呼ぶのが慣例になっていたのは20世紀の話。
様付けは、厚労省がよりよい医療サービスのために「患者さま」、「××さま」とすることが望ましいという指針みたいなものを出して、国公立施設から広まったものです。
同じころに、「個人情報」が問題となり名前すら呼んではいけないという風潮も相まって、番号で呼び出す病院も出てきたものです。
最近、「患者さま」呼びをやめる病院が増えているそうです。その理由は・・・「カスハラ」らしい。カスタマー・ハラスメントは、最近はいろいろなサービス業で問題となっており、度を越した対応を求める人に苦慮する話がいろいろと伝わってきます。
病院でも同じで、そういう人がしばしば業務を著しく妨害することになり、ある程度毅然とした態度で接することが必要だという意見が増えているのだそうです。時代だな、と簡単に片づけるわけにはいかない難しい問題です。
ちなみにうちのクリニックでは、開院当初からあえて様付けはしませんでした。呼び方は「苗字+さん」をずっと使い続けています。
理由は、医療を提供する側と受ける側は、どっちが上ということは無いと思っているから。ですから「お医者さま」と呼ばれることも嫌なので、「先生」呼びで十分です。これまでにカスハラと呼べるような事態は数回ありましたが、特別な対策をしないといけないほどとは認識していません。
時代が変わって、いろいろな常識が変わるのは当然ではありますが、ハラスメントが増えた、そして何でもハラスメントと呼んでしまう風潮は、どこかで「何かが違う」気持ちを持っています。