2024年8月26日月曜日

SPEC -警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿 (2010)

タイトル、ながっ! ということは横に置いておいて、2010年の秋ドラマ枠で放送されたもの。テレビ・ドラマとしては、実に深い深い設定があって、元はと云えば1999年の「ケイゾク」でコンビを組んだ脚本の西荻弓絵と監督の堤幸彦、そしてプロデューサーの植田博樹が、同じ世界観を持った続編にしようということで作られました。

とは言っても、ややオカルト色の強めの「ケイゾク」よりも時代を反映してか技術的にもスタイリッシュな作りになり、スペックと呼ばれる隠れた特殊能力を巡る持つ者と持たざる者たちの攻防に焦点を当てています。両者には直接的なストーリーの続きはあまりありませんが、もしも機会があれば「ケイゾク」もドラマの名作として見ておいて損はない。

本作は当初、テレビで伝えるにはハード過ぎる内容とエキセントリックなキャラクター設定から評価が心配されましたが、連続ドラマ後にスペシャル・ドラマ2本、劇場版3本が作られる大きな「起承転結」の人気シリーズとなりました。

連続ドラマは「起」の部分にあたるパートで、通常の第1話、第2話・・・ではなく「甲の回」、「乙の回」、丙丁戌
己庚辛壬、そして癸(起)と続くこだわりようです。前半はいろいろな超能力者、スペック・ホルダーが登場し、未詳事件特別対策係が解決する一話完結の形をとっていますが、後半は物語全体のテーマが中心となって序章部分の一定の解決が目指されます。

主人公、当麻紗綾(戸田恵梨香)は、IQ201の天才で大食漢でガサツな女刑事。三角巾で隠した左手は、過去の事件で切断し再接着手術を受けて使えない。使える右手でいつでもキャリーバックを引き釣り歩き、祖母から教え込まれた書道の達人という変わり者。婚約者だった地居聖(城田優)は、今でも何かと関わってきます。

SIT(特殊事件捜査係)の隊員だった瀬文焚流(加瀬亮)は、現場で部下の志村勇作(伊藤毅)が錯乱して乱射したのですが、撃たれた銃弾が被弾したのは志村の方という謎の事件の責任を問われ、未詳事件特別対策係に配置換えされてしまいます。志村は直物状態となり、妹の美鈴(福田沙紀)からは兄を撃ったと非難されています。

未詳事件特別対策係の係長は野々村光太郎(竜雷太)で、「ケイゾク」では捜査一課弐係長でした。昼行燈みたいにのらりくらりした対応で、いつも柿ピー瓶を抱え込んで食べている。奥さんの雅とは離婚調停中らしく、来客を案内してくる婦警の雅(有村架純)と愛人関係になっています。

甲の回では、成り上がりの国会議員、五木谷(金子賢)と秘書の脇(上川隆也)が未詳を訪れ、近々行なわれるパーティで五木谷が殺されるという占いがあると言うのです。占ったのは有名な占い師である冷泉俊明(田中哲司)で、2億円払えば回避する方法を教えると言うのです。しかし、パーティの警備に参加した当麻と瀬文でしたが、五木谷はまんまと毒殺されてしまいます。当麻は高度な身体能力のスペックを持つ者が犯人と確信し犯人に迫りますが、その時突然時間が停止し、一人の少年一十一(ニノマエジュウイチ)が現れます。

連続ドラマの表の悪役がニノマエですが、実は裏でニノマエを操るスペックホルダーがいます。最後にそれらを倒すのですが、これは少しずつ表面に現れた前兆みたいなものでした。