麻見和史原作の「警視庁捜査一課十一係シリーズ」の実写化第2弾です。前作に続き監督は内片輝ですが、脚本は八津弘幸になっています。前作「石の繭」事件から1年後を描き、あの事件のトラウマをまだ克服しきれていない如月塔子と鷹野主任の活躍が描かれます。主だったキャストは続投です。
十一係の仲間からすっかり信頼されるようになった如月塔子(木村文乃)でしたが、父親の如月功刑事の形見の時計の音を聞かないと、気持ちを落ち着けられない日々を送っていました。
そんな中、事件が発生します。アパートの一室で他殺体が発見しれますが、遺体を含めて部屋中が赤いペンキで塗りめぐらされていたのです。そして、出口の扉には同じ赤いペンキで「〇×」と書かれていました。
如月は鷹野主任(青木崇高)と捜査を開始しますが、何者かに尾行されていることに気がつきます。そして、被害者が何者かと連絡を取り合っていたことがわかり、そのメモには「オックスが暴れている。注意しろ」とありました。如月らはオックスが犯人であり、尾行していたのは犯人ではないかと考えます。
その時、ビルの爆発が起こりました。そして、最初の被害者と連絡を取り合っていたと推察される人物が、第2の被害者として発見されます。やはり犯行現場のアパートは、赤いペンキがぶちまけられていました。そして、第2、第3のビル爆発事件が発生するのです。
連続爆破で使われた爆弾の仕様が、過去にトレミーが使用したものに酷似していることがわかると、精神的につらそうな如月を鷹野は資料整理の予備役に変更します。現場に行けない如月は、しかたがなく資料の整理を始めますが、爆破された建物の共通点を発見し、殺人事件との接点も発見します。そして、さらなる殺人、さらなる爆破の発生が予測されたため、如月は自分がすべきことをあらためて確認するのでした。
如月のトラウマは、「石の繭」事件でトレミーの罠にはまり爆発に巻きこまれたことが原因にあり、物語の最期には再びトレミーとの重要なやり取りが必要になってくるのです。そのような意味でも、絶対に「石の繭」を先に見たほうが良いと断言します。
確実に刑事として成長したものの、まだ不安を抱える如月塔子を描くことがテーマのストーリーであり、仲間との関係性もより強くなってきたことがよくわかります。ただし、推理物として見れば不親切であることは否定できません。そこをどう評価するかで、賛否が分かれるように思います。
連続猟奇殺人と連続爆破テロを関連付けるのも、視聴者を驚かせるネタではありますが、さすがにちょっと無理っぽい。それぞれの犯人の利益とリスクのバランスを考えると、必ずしも均衡が取れているとは言い難い。この辺りは、何故このような犯罪が起こったのかという動機が話の中心と割り切った方がよさそうです。