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2024年8月5日月曜日

ホムンクルス (2021)

Netflixの映画。山本英夫の漫画が原作で、ホラー映画専門みたいな清水崇が監督。例によって原作は未読ですが、映画はなかなかハードな仕上がり。精神世界に関する内容で、ボーっと見ていると、何が何だかよくわからない。

新宿の公園で車を根城にホームレス生活をしている名越進(綾野剛)は、以前の記憶が無く毎日を死んだように生きている。ある日、伊藤学(成田凌)というパンクな格好をした若者が近づいてきて、生きる目的が生まれるバイトをしないかと持ち掛けてきます。

あまりのしつこさに、名越は伊藤の部屋を訪れ、伊藤が父親が経営する大病院の研修医でると知ります。伊藤は名越に対して、前頭部に穴をあけ脳の圧を開放すると新しい能力が獲得できるトレバネーションを行います。すると、左目だけで見ると、他人の深層心理が具現化した像、ホムンクルスが見えるようになるのでした。

町で絡まれたヤクザの組長(内野聖陽)を左目で見ると、大きなロボットの中に埋もれていて鎌を持つ様子が見えます。組長はこどものときにともだちとロボットのおもちゃを巡って喧嘩になり、たまたまあった鎌でともだちが小指を切断してしまったのでした。組長はその時に謝らなかったことが、ずっとトラウマになっていたのです。しかし、名越にそのことを指摘され謝ることができたおかげで、トラウマから解放されホムンクルスは消失しました。

全身が砂になってしまうホムンクルスを持つ女子高校生のユカリ(石井杏奈)は、両親からの厳しい制約と日常のマニュアルに縛られた生活に苦しんでいました。名越に心を見透かされたユカリは、母親に反抗することができるようになり、彼女のホムンクルスも消失するのです。

他人のホムンクルスを消すたびに、名越本人が記憶を無くした原因、つまり名越自身のホムンクルスも少しずつ実態を現わしてきます。偶然見つけた赤い服を着た顔が無い女性のホムンクルスが、かつての恋人奈々子(岸井ゆきの)であることに気がついた名越は、自分の本当の家を思い出し、奈々子を連れて行くのです。しかし、奈々子の額にもトレバネーションの痕を見つけた名越は、伊藤に問いただすため彼の部屋に向かうのでした。

いわゆるホラー映画ではなく、サイコティック・スリラーとでも呼べばいいのかもしれません。とにかく綾野剛の狂気をはらんだ熱演には拍手を送ります。その狂気の裏返しになっているのが成田凌で、こちらも負けずの熱演です。

ただ、ストーリーが難解で、おそらく意図的に説明をしない作りのようなので、なかなか状況が理解しにくい。説明が少ない中で登場人物のセリフが抽象的なので、なおさら難しく感じます。とはいえ、何となく最後まで見れちゃう面白さはありました。