その頃のこどもがなりたい職業は「野球選手」、「飛行機のパイロット・スチュワーデス」が必ず一位争いをしている時代。このドラマの影響も少なくなかっただろうと想像します。1983年の堀ちえみ主演の「スチュワーデス物語」も主人公を比喩する「どじでのろまな亀」というセリフと共に大ヒットしましたが、陰湿ないじめのシーンも多く好きじゃないためほぼ見ていない。これらはすべて「日本の翼」として輝いていた日本航空(JALが協力しています。
1978年に「大空港」という鶴田浩二・中村雅俊主演で、空港警察の話がありました。空港を舞台としていますが、基本的に刑事物であり、ちょっと対象外という感じ。1992年に続編としてキャストを一新して「大空港'92」、さらに1994年に続編の「新空港物語」が放送されましたが、こちらも犯罪物です。
次に航空業界への就職希望者の増加に寄与したのが2003年の木村拓哉主演の「GOOD LUCK!!」で、全日空(ANA)が全面協力しました。苦労して副操縦士となった主人公が航空整備士の女性(柴咲コウ)との恋を温めながら、怪我を乗り越えてパイロットに復帰する話。当時は毎回30%近い視聴率で、特に最終回は37.6%という驚異的な人気となりました。
2008年に公開された映画「ハッピーフライト」は、飛行機が飛ぶことに関わる全ての職業に注目した矢口史靖監督の傑作。パイロットは時任三郎、田辺誠一、CA(この頃はスチュワーデスと呼ばなくなりました)は綾瀬はるか、寺島しのぶ、グランドスタッフは田畑智子、平岩紙、オペレーションセンターは岸部一徳、整備士は田中哲司といった面々が、無事に飛行機を飛ばすために奮闘します。
あらためて興味を強く持ったのがANA協力の2011年の「TOKYOコントロール」でした。きっかけはテレビで世界初の3D放送というところ。たまたま買ったテレビが3D対応で、是非この新しい技術を体験したかったから。主役は航空管制官で、しかも飛行場ではなく所沢の東京航空管制部が舞台。演じるのは時任三郎、清水美沙、川原亜矢子ら。レーダー画面だけで、飛行機の運行をしっかりコントロールするというところが興味をかき立てます。
翌2012年、「TOKYOコントロール」の続編的な「TOKYOエアポート~東京空港管制保安部」が放送されました。こちらも協力はANA。今回の舞台は羽田空港の管制塔。前作から同じ俳優がスライドし、そこへ新米管制官の深田恭子が成長していく話となっています。副操縦士になったものの怪我で飛行機に乗れなくなった恋人の話が絡めてあり、前作より一般向けかもしれません。
2013年は航空物の大豊作の年。1月の「あぽやん~走る国際空港」は、成田空港内の旅行代理店でおこる様々なトラブルを解決するためセンダー(案内係)の伊藤淳史が走り回るというもの。4月は「空飛ぶ広報室」があります。こちらは自衛隊の全面協力により、航空自衛隊広報室が舞台。事故によりパイロットを外された綾野剛と、テレビ局から取材に来た勝気な新垣結衣とが衝突しながら再生していく話。とは言え、どちらも飛行機物としてはちょっとフラストレーションを感じます。
この年の本命は10月からの「ミス・パイロット」です。自社養成パイロットに採用された堀北真希がライバルの相武紗季らと供に、教官の斎藤工、岩城滉一のもと資格をとるまでの成長のストーリー。何も知らない一般人が副操縦士として飛行機を操縦するまでを描くと言うのは、今までになかったパターンです。
職業根性ドラマなので、真っ直ぐな主人公が様々な問題をクリアしつつ頑張るわけで、恋愛要素は基本的にありません。ANA協力で、実際の教育課程に沿った単発機操縦訓練や、フライトシミュレーター訓練などが描かれているのが見所になっています。それにしても、女性がパイロットを目指すと言うのは時代の変化が感じられますね。
さらにこの年、竹内結子主演で2つのスペシャル・ドラマが放送されました。3月に放送されたのが「チープ・フライト」で、大手航空会社CAの竹内結子が、突然に子会社として立ち上がったLCC(格安航空会社)に出向となり、初出航に向けて新米CAを取りまとめていくドタバタコメディ。LCCが取り上げられると言うのも時代の流れです。年末に放送されたのが「大空港2013」で、舞台は松本空港。脚本・監督は三谷幸喜。竹内結子はグランドスタッフで、訳アリの乗客が巻き起こす出発までの三谷作品らしい大騒ぎを描きます。
ここまでで、他にもあるとは思いますが、少なくともたいがいの人が覚えている物は網羅されていると思いますが、長くなってきたので今回はこの辺で・・・