今どきの女優さんの中では、どんな役でもこなせて、演技力でも評価が高い綾瀬はるかはトップクラスに位置していることに異論をはさむ方はいないと思います。ふだんのインタヴューなどでの天然系のキャラクターは、好感度を上げることにも役立っていますし、その雰囲気を持ち込んだコメディでの演技もなかなか魅力的。
綾瀬のコメディエンヌとしての演技が、映画で見れるのは木村拓哉主演の「HERO(2007)」あたりが最初で、端役ですが印象を残しました。実際この頃にブレークした感がありますが、主役の一人として、最初に活躍したのが「ハッピーフライト」です。
とはいえ、空港で働くさまざまな人々のどたばたの1日を描いていて、全員が主役みたいな映画です。監督はフジテレビ系の矢口史靖で、「ウォーターボーイズ」、「スイングガールズ」など、最近では「サバイバル・ファミリー」で知られています。
綾瀬はるかの役どころは天然でどじをしまくる新米のCAで、そのちょっと先輩が吹石一恵、鬼の上司が寺島しのぶ。機長昇格に臨むパイロットは田辺誠一、その訓練教官が時任三郎。
クランド・スタッフは田畑智子、平岩紙、その上司に田山涼成。オペレーション・コントロール・センターは肘井美佳、昼行燈みたいな上司に岸部一徳。そして新米整備士、厳格な上司に田中哲司。乗客には、笹野高史、菅原大吉、バードパトロールはベンガル、管制官に宮田早苗などなど。
どの部署に興味を持つかは見る人それぞれの好みですが、やはり機内のCAとパイロットが中心になるのはしょうがない。綾瀬はるかは、初フライトで失敗ばかりで、上司に怒られ自信を失いかけますが、特技が活きて皆の窮地を救います。きっと、仕事に慣れて自信を深め、良い先輩CAになっていきそうな感じです。
ストーリーは書くほどではなく、綾瀬、田辺らが乗り込んだ飛行機がバードストライクにより、エンジントラブルに見舞われ引き返すことになり、嵐の空港は大騒ぎになるというもの。それぞれの部署での、バタバタ振りを比較的リアルな描き方で見せていきます。
つまり、物凄く大事件というほどの物は起こりませんが、飛行機の運行に携わるすべての人たちを、100分という限られた時間の中で、丁寧に描出していると思います。実際の現場でも日常的にありうる話という感じが好感を持てます。空港が好き、飛行機が好き、そして綾瀬はるかが好きという方は見て損はありません。