綾瀬はるか主演の青春コメディ映画。監督はブジテレビ系の「海猿」、「MOZU」などを手掛けてきた羽住栄一郎。
軟弱男子中学バレーボール部員から「試合で勝ったらおっぱい見せて」と言われて、困惑しながらも奮闘する女性教師を通して、皆が成長していく話で、コメディ要素は主としてこどもたちが担当。
もちろん、綾瀬はるかがおっぱいを出すはずはありませんが、ブルーリボン賞主演女優賞、日本アカデミー賞優秀主演女優賞を受賞し、けっこう見れる映画になっています。
思春期の性に興味を持つバカっぽい中学生。そこへ赴任してきた新人教師の寺嶋美香子(綾瀬はるか)は、彼らの所属する男子バレーボール部の顧問をすることになります。ところが、バレーボール部というのは名ばかりで、まったくバレーはしたことがなく、集まってバカをしているだけの連中。
奮起を促す美香子に、彼らは「勝ったらおっぱい見せくれ」と頼み、美香子が返答を言いよどんでいるうちに、その気になって頑張り始めます。そんな彼らを指導しているうちに、美香子も後に引けなくなってしまいました。
ところが試合の直前に、その約束が噂で広まってしまい、美香子は好調から真相を迫られます。部員たちは、自分たちが勝手に言い出したことだと説明しますが、美香子は了承したと言い責任は自分にあると認め退職することになるのでした。
実は、美香子は前に勤務していた学校で、こどもたちと一緒にライブに行こうと言ったことを責められて、自分はそんなことは言っていないと釈明してしまった結果、こどもたちの信頼を失った苦い経験をしていたのです。
試合当日、美香子がいないバレーボール部員は元気なく第1セットを失います。そこへ、自分の信念に対して自信を取り戻した美香子が応援に駆け付け、第2セットを奪い返しますが、最終セットは力尽き試合は負けてしまいました。
でも、彼らはがんばることを勉強し、負けても前に向かう力を得ることができました。美香子も、新たな気持ちで教師を続ける勇気をもらいました。去っていく美香子に、部員たちは精一杯の見送りをするのでした。
もちろん、ほぼ経験ゼロのチームがちょっと頑張って勝てるわけはなく、今どきは「おっぱいを見せる」なんて不適切な指導としてやり玉に挙げられるのは当然で、ストーリーとしては荒唐無稽みたいなところがあって突っ込みどころは満載。
でも、舞台を70年代に設定し、街中のシーンでは走っている車がみんなレトロなものなのには驚かされます。使われている音楽も、当時のヒット曲がどんどん出てきます。青春ドラマが大人気だった時代ですから、こんな展開も中高年には懐かしく受け入れやすい。
綾瀬はるかの好演だけでなく、市毛良枝、仲村トオルらのベテランが端役で要所を締めているのもあって、うまくまとめ上げられた映画となっています。