2024年8月6日火曜日

屍人荘の殺人 (2019)

新感覚ミステリー映画です。何が新感覚なのかと言うと・・・殺されるべき被害者がいて、動機を持った犯人がいて、そして何とゾンビが出てきて囲まれることで密室殺人の形を作ると言うところが目新しい。

原作は今村昌弘のベストセラー推理小説で、監督は木村ひさし、脚本は蒔田光治で、二人とも主としてテレビで活躍しています。原作は、その後シリーズ化されているので、映画も続きが作られるかもしれません。

神紅大学の学生でミステリー愛好会の会長、明智恭介(中村倫也)と部員の葉村譲(神木隆之介)は、ホームズとワトソン気取りで、学校内の謎に首を突っ込んでいました。そこへ、実際に警察が手を焼く難事件を解決したことがある剣崎比留子(浜辺美波)が、二人をロックフェス研の夏合宿についてきて欲しいと頼みました。

ロックフェスが行われる会場の近くに先輩の七宮(柄本時生)の別荘、紫湛荘があり、毎年そこで合宿・・・と言っても、フェスを楽しんで飲み食いする集まりがあるのですが、昨年、女子部員が合宿の最中に行方不明になっていたのです。そこへ「今年の生贄は誰だ?」という脅迫状が届いたため、その真相を探るための依頼でした。

しかし、フェスの会場では何者かによってウィルスがばらまかれ、集まった人々は次々にゾンビ化していったのです。ロックフェス研のメンバー、葉村、剣崎らは何とか紫湛荘に立てこもりますが、明智はゾンビに襲われてしまうのでした。

そして、周囲をゾンビが取り囲み、どこにも逃げようがない状況で、紫湛荘の中で連続殺人事件が発生するのでした。葉村は剣崎に協力して、事件の捜査を開始するのでしたが、ゾンビは扉を破って侵入し、彼らの運命は風前の灯火となってしまうのです。

そもそもゾンビが出てくる時点で、ミステリーとしてはギャグみたいなもので、実際映画もコメディ要素がたくさん入れ込んであります。家の外に出れない状況を作れば、その理由は嵐でも孤島でも何でもいいんですが、ここではゾンビを殺人の道具としても都合よく利用している。

そのかわりといっては何ですが、トリックとしてはあまり謎に満ちたものは使われないし、その謎を解くためのヒントも親切に提示しているとも言いにくいところがあります。主演級の中村倫也も早々に退場してしまい、実質的には神木と浜辺の掛け合いを楽しむ作品で、まぁ浜辺美波ファンの方向けという感じでしょうか。