2021年10月6日水曜日

メン・イン・ブラック3 (2012)

10年ぶりのシリーズ3作目。監督は同じバリー・ソネンフェルド、製作総指揮にスピルバーグが絡むのも同じ。目新しいところは、まず前作までMIBのリーダーだったZを演じたリップ・トーンが高齢のため降板し(2019年に88歳で亡くなりました)、「ハリー・ポッター・シリーズ」でお馴染みのエマ・ワトソンが新たなリーダーOとして就任しました。

今回はタイム・トラベルが鍵になるので、ヤングKが登場します。演じるのはジェームズ・ブローリンの息子でジョシュ・ブローリン。もちろん、Kのトミー・リー・ジョーンズ、Jのウィル・スミスは再登場。過去に戻ってJがKを助けるというアイデアは、何と発案者はウィル・スミスだったとか。

月の刑務所から凶悪なボリス・ジ・アニマル(ジェマイン・クレメント)が脱獄。彼は1969年7月16日にKによって左腕を失い逮捕された恨みを晴らすために、地球に戻ってきます。そして、密かにタイム・トラベルを行うジェフリーによって1969年にタイム・スリップするのです。時空の歪みのために、現代のJは激しい頭痛を感じ、翌朝MIB本部に行くと誰もKを知らない。

Oは40年前にKは死んだと言いますが、あまりにKのことを知っているJの様子から時空破壊が起こったのかもしれないと考えます。Oはマークしていたジェフリーの居所を教え、Jが向かうと確かにボリス・ジ・アニマルを過去に送ったと白状します。Jもジェフリーの助けで、Kがボリス・ジ・アニマルを逮捕する前日にスリップするのでした。

ボリス・ジ・アニマルを発見し銃を向けたところ、横からヤングKによって気絶させられ、目を覚ましたのはいかにもレトロなMIB本部でした。最初は不審に思っていたヤングKでしたが、ここでもいろいろと知っているJの言うことをだんだん信じるようになります。

二人は予知能力を持つ宇宙人グリフィン(マイケル・スタールバーグ)から、地球を救えるバリアを貼れるアークネットを渡され、もうじきフロリダから打ち上げられるアポロ11号の先端に取り付けることになります。Kにフロリダに行くと死ぬからと止めるJでしたが、Kは承知しません。グリフィンも連れてアポロの発射場に到着しますが、1969年と2012年の二人のボリス・ジ・アニマルが襲い掛かってくるのでした!!

トミー・リー・ジョーンズの登場シーンは最初と最後だけでわずかなんですが、ヤングKのジョシュ・ブローリンが、メイクのせいもあるかもしれませんが、絶妙な演技によっていかにも若いトミー・リー・ジョーンズという感じで、ずっとKが映画の中で活躍している感じにまったく違和感がありません。

変えられた過去を元に戻すということで、タイム・トラベルの作法はほとんどくずしていないのですが、冷静に考えると多少の混乱はあるようです。しかし、3作目のアイデアとしては大変痛快で、時間のずれを利用した笑いの要素も盛り込まれ、シリーズ本来の味がうまく出せているように思いました。

特に1969年7月16日というのが、おそらく多くのアメリカ人ならピンと来る日付。この日、フロリダのケープカナベラルにあるNASAのケネディ宇宙センターからアポロ11号が打ち上げられ、7月20日に人類が初めて月に降り立ったのです。この歴史的快挙の裏で、こんなことが起こっていたという発想は大変ユニークです。

アンディ・ウォーホールが実はMIBの職員だったり、そこに訪ねてくるのヨーコはたぶんオノ・ヨーコ。現代のMIB本部のモニターにはレディ・ガガ、ジャスティン・ビーバー、ティム・バートン、デビッド・ベッカムらが登場していますが、ガガ様はそれだけでなく過去のMIB本部内でもエイリアンの格好で横切っているらしいし。

このあと2019年には、監督・主役俳優が変わった「MIBインターナショナル」が制作されました。こちらは、同じ世界観を引き継いだロンドン支局の話になっています。