フランチェスコ・ジェミニアーニもイタリア・バロック後期の作曲家。トスカーナで1687年に生まれ、A.スカルラッティ、コレッリより直接学び、24歳でナポリの宮廷楽団で成功します。
27歳でロンドンに招聘され、ヘンデルの伴奏で国王ジョージ1世の前でヴァイオリン演奏を披露して以来生涯の大部分をイギリスで過ごし、1762年にアイルランドのダブリンで亡くなりました。
晩年に出版されたいくつかのヴァイオリン演奏の理論書は、当時の演奏家にとって最も有意義な教科書となり、現在も研究者にとって重要な文献と評価されています。
ジェミニアーニは、多くの合奏協奏曲を残していますが、ここで聞くのは師匠でもあるコレッリのヴァイオリン・ソナタ作品5をベースにしたもの。「2つのヴァイオリン、ヴィオラ、チェロと通奏低音のための」とあり、実質的には弦楽四重奏の形態となっています。
原曲と聞き比べてみると、元の主旋律は同じでも、トリオ・ソナタだった編成が厚みを増してより音楽的になっています。だからといって、ヴァイオリンの独奏部分が埋もれてしまっていないのが面白い。
ここでも、演奏はキアラ・バンティーニが率いるアンサンブル415。録音が良いのもありますが、各楽器のバランスの良さは、バンティーニの考え方が全体によく伝わっているということでしょうか。素朴なトリオ・ソナタもいいのですが、華やかさが増したこちらも悪くはありません。