インポッシブルなミッションばかりをこなしていると思ったら、間でこんなこともしてました・・・というトム・クルーズ主演の怪奇冒険物。
ユニバーサル映画は、戦前にけっこう怪奇物ノヒット作をいくつか作っていました。吸血鬼、フランケンシュタイン、そしてミイラ。ワーナーのDCユニバース、20世紀フォックスのマーヴェル・シリーズのヒットを受けて、ユニバーサルも自社の怪奇物をリブートして「ダーク・ユニバース」という構想をぶち上げた。
その第1作として登場したのが1932年の「ミイラ再生」を元にしたこの映画。「MI3」、「トランスフォーマー・シリーズ」、「スタートレック・シリーズ」などの脚本を担当してアレックス・カーツマンが監督に抜擢されました。
古代エジプトで王位を継承するはずだったアマネット王女(ソフィア・ブテラ)は、父親のメネフトラ王に男児が誕生したことで、自ら悪神セトに魂を明け渡し父子を殺害しました。しかし捕えられミイラにされ厳重に隠されました(という、ほぼ架空の設定)。
現代のイラク、メソポタミアの地で盗掘が目的のニック・モートン(トム・クルーズ)と考古学者のジェニファー・ハルジー(アナベル・ウォーリス)は、アマネットが封印されている棺を発見し、飛行機でロンドンに輸送します。しかし、カラスの大群に襲われ飛行機は墜落、かろうじて二人は助かりますが、ニックはアマネットによってセト神の生贄として呪われてしまうのです。
アマネットはニックに迫りますが、その時、彼らを助けたのはプロディジウムという秘密組織。ジェニファーもプロディジウムの協力者でした。組織を率いているのはジキル博士(ラッセル・クロウ)で、薬が切れると危険なハイドに変身するというやばい人。彼らの任務は、捕えられたアマネットのようなモンスターから人類を守ることらしい。
ロンドンの地下で十字軍の秘密墓所が発見され、その中にアマネットが生贄をささげる際に必要な赤い宝石が見つかり、そのことを探知したアマネットは鎖を引きちぎって脱走します。ニックとジェニファーも、宝石を破壊するために墓所に向かいますが、宝石はアマネットの手に落ちてしまいます!!
で、この後、あれやこれやで当然アマネットを退治するんですが、その代償としてニックが魔界に堕ちてしまう。しかし良心を残したニックは、これから続々と登場するであろう吸血鬼やフランケンシュタインと戦うというのが、ユニバーサルの計画。
ただし、残念なことにトム・クルーズ主演作の中でも1、2を争う低評価。アメリカ国内では黒字にできず、評論家諸氏からもたくさんのダメ出しがあって、「ダーク・ユニバース」の構想は白紙に戻ってしまったようです。
確かに、シリーズ化するための設定の説明が多くて本編の話がスカスカ。ミイラの話ですが、あまりその部分については深く掘り下げていないので、単なるモンスターという扱い。しかも、アマネットに生気を吸い取られた人間が生き返ってうようよしてばかりいるので、ゾンビ映画という方が似合っている。
実は「ハムナプトラ/失われた砂漠の都(1999)」も「ミイラ再生」のリメイクなんですが、オリジナルの話を踏襲しつつ、エジプトを舞台にしっかりと現代風のストーリーにまとめ上げているので、B級SFX映画にしては評判が良くシリーズ化しました。
ソフィア・ブテラはまぁまぁかっこいいんですが、ヒロインのアナベル・ウォーリスはどうも影が薄い感じ。ラッセル・クロウやトム・クルーズを起用した割には、あまり彼らの存在感が出ずにパッとしませんでした。