スティーブン・キング原作の小説「IT」の後編。前回の80年代の話から27年後、再び踊るピエロ、ペニーワイスの恐怖がデリーの町に戻ってきました。監督は前作と同じでアンディ・ムスキエティ。もともと2部構成ですから、監督が変わったらおかしいということ。
それにしても日本だけの副題「それが・・・」は前作では褒めましたが、今回は原題との間に「THE END」が挟まっただけという、なんともわかりにくいタイトル。一見すると区別がつきにくいのはどうかと思います。そもそも、それを見えても終わらないことが多いし・・・
あれから27年、デリーの町で殺人・行方不明事件が発生します。唯一デリーの町に残って、図書館で働きながらペニーワイスのことを調べ続けていたマイクは、「それ」の復活を確信して、大人になった「負け犬クラブ」の面々に連絡を取り集めます。
ペニーワイスに立ち向かい勝利したと思っていた「負け犬クラブ」は、ビリー、ベン、ベバリー、リッチー、スタンリー、エディ、マイクの七人。しかし、スタンリーは招集の電話の後自殺してしまいます。ペニーワイスを倒すには、マイクが調べた先住民族の儀式を全員で行わなければならないのです。
ペニーワイスは、それぞれに再び悪夢を呼び起こし精神的に襲い掛かって来るのでした。彼らはついに、ペニーワイスとの最終決戦に挑むために、27年前と同じ朽ち果てた洋館に足を踏み入れるのでした。
やっつけたはずのペニーワイスが、27年後に再び復活して恐怖をまき散らすという内容ですが、そもそも原作が2つの時代を描いたものですから、いわゆる続編ではありません。最初から2部構成で企画制作されたもので、負け犬クラブのメンバーは10代なかばから40代にになっています。
ペニーワイスは、ある意味、彼らに植え付けられたトラウマの象徴。一度は克服したかに思えたわけですが、どこかに隠れ潜んで簡単に消えるものではありません。マイクはずっとトラウマに囚われ続けたわけで、他のメンバーは記憶から忘れ去ることで封印したはずのトラウマがマイクの電話によって呼び起こされてしまう。
トラウマの重圧に耐えられず自ら命を捨てる者もいるし、逃げ出そうとする者、そして立ち向かう者。大人になってそれぞれ違った思惑があるのは当然ですが、友情のもとに再集結して乗り越えようと努力することが中心テーマなんでしょうか。
ペニーワイスはほぼCGのようですが、後編では戦隊物の定番である最後は巨大化する怪獣状態で、とてもホラーとは呼べません。サイコホラー調のモンスター・アクション映画になっています。それにしても頼みの綱の儀式が失敗して、こんな手でやっつけるんかい、と言いたくなる結末でした。
ちなみに、ちょっと驚いたことが一つ。何と、原作者のスティーブン・キングが古道具屋の親父でカメオ出演しています。それも、けっこうセリフもあって、カメオの域を超えていました。