日本のギャグ・エンターテイメントの鬼才(?)と呼べるのが福田雄一。テレビでは脚本のみ、あるいは脚本・演出を手掛けた多くのドラマなどで、ほどほどのギャグの嵐で視聴者を笑わせ続けています。ところが、映画ともなるとタガが外れてしまったような「くだらなさ」が爆発して、特定の人だけが面白い賛否が極端に分かれるような作品が多くなる。
この映画もそういう作品の一つで、あまりにも監督の自己満足的な笑うに笑えないようなシーンが多すぎて、結局ストーリーの主題がぼやけてしまった感が否めない作品になりました。元は花沢健吾のマンガが原作ですが、かなり独自の斬新な世界観が設定されていて、(自分のように)原作を知らない者には、よりこの映画は何だかよくわからないうちに終わってしまうのです。
忍者は現代でも密かに存在を続けていて、厳格ではありますが今風の組織NINとして暗躍しているらしい。NINを抜けた忍者の大半はアンダーニンジャ(UN)と呼ばれる組織に入り、NINと敵対していました。NINのメンバーのうち一般職は下忍と呼ばれ、地味に暮らしている雲隠九郎(山﨑賢人)もその一人。上司の中忍の加藤(間宮祥太郎)から、講談高校に潜入しUNの情報を掴むように指令を受けます。
講談高校の女学生である野口(浜辺美波)と知り合った九郎は、いじめられっ子の瑛太(坂口涼太郎)からも校内の事情を調べます。すると、学校全体を陰で操っているのは、実質的には用務員の主事さん(平田満)であると確信します。講談高校の地下はかつて、NINとUNが雌雄を決する戦いをした場所で、多くの忍者が死亡した聖域のような場所でした。
UNの刺客として猿田(岡山天音)が、講談高校に乗り込んできて殺戮を始めたためNINの鈴木(白石麻衣)や蜂谷(宮世琉弥)が応戦します。美人でぶりっ子の山田(山本千尋)を怪しいと感じていた九郎は、封印されていた地下の迷宮へと向かうのでした。
まぁ、さしあたって、一番のお勧めはヒロインの浜辺美波の変顔。基本的に美人系女優さんなのに、よくぞここまで吹っ切れた演技ができるもんだと感心します。一部のファンの人は、崩れ去る理想像にがっかりするかもしれないくらいの勢い。ビラン側のヒロインは山本千尋で、本格的な武術をやっていただけに、なかなか切れのあるアクションが見物です。
佐藤二朗やムロツヨシの意味不明のギャグは、せっかくの物語の緊迫感を薄れさせているのですが、それこそが福田節だと考える人にはたまらないパートだろうと思います。アクション・シーンの出来は評判が良いので、そういった「無駄」な時間がもったいないと思い人もかなりいるのも間違いない。
福田監督は当然、そういった賛否両論は重々承知の上でやっている確信犯みたいなものなので、嫌いなら見なければよいと居直っているように思います。物語は雲隠十郎の登場で終わっているので、まだまだ続編の構想もあるのかもしれませんから、見ようと言う方はそれなりに覚悟した方が良さそうです。
