2025年11月25日火曜日

ババンババンバンバンパイア (2025)


コメディ映画は、笑わせることが一番大事で、笑って元気が出ればOK・・・というのは、確かに正論です。とは言え、笑いのためにストーリーがあるのか、ストーリーのために笑いがあるかで、映画としての質はだいぶ異なるものになります。

この映画は、奥嶋ひろまさのBLマンガが原作。昨今やたらとメディアに増えた「BL」は、普通は「Boy's Love」でゲイの同性愛を意味しているわけですが、この作品の場合は「Bloody Love」ということらしい。

そもそもの設定が奇抜で、450年前本能寺で織田信長と伴に命を落としたはずの森蘭丸が、不死のバンパイアとして生き延びていて、現代の銭湯で働きながら銭湯の息子が美味しく育つの待っているというもの。森蘭丸が吸血鬼というストーリーの骨格だけならホラーなんですが、銭湯の息子への「愛」が登場したことで、完全にギャグ化しています。

それを実写映画化したのは、「一度死んでみた」の浜崎慎治監督で、脚本は大人気となったテレビ・ドラマ「ごくせん」や「花咲舞が黙っていない」の松田裕子です。主題歌はドリフターズの「いい湯だな」の替え歌で、最後まで楽しませます。

銭湯「こいの湯」に住み込みで働く森蘭丸(吉沢亮)は、実はバンパイアでした。銭湯を営むのは、おおらかな三代目主人は春彦(音尾琢真)、その美人の妻は珠緒(映見さくら)、隠居した二代目長次郎(笹野高史)、そして美少年の息子李仁(板垣李光人)という立野一家で、蘭丸の450年前からバンパイアという話は妄言と思い、その設定を維持する努力がすごいと思っていました。

バンパイアの究極の御馳走は18歳童貞の血なので、蘭丸は李仁が成長するのをひたすら待っていたわけですが、高校に進学した李仁は、同級生の篠塚葵(原菜乃華)に恋してしまいます。蘭丸は、李仁の童貞を守るため葵との仲を引き裂こうとするのですが、李仁は逆に蘭丸が恋のライバルだと勘違いします。

李仁や葵の学校の担任をしている坂本梅太郎(満島新之助)は、実はバンパイア・ハンターで蘭丸の存在に気がつくと・・・。そして、バンパイア・ハンターを逆に血祭りにあげている森長可(眞栄田郷敦)も蘭丸を探していたのです。葵の兄、フランケンこと篠塚健(関口メンディ)も巻き込んで、ストーリーは混迷していくのでした。

信長が蘭丸を寵愛した逸話は有名ですが、蘭丸の兄・森長可はあまり知られていません。ヘビメタなミュージカル仕立てを部分的に導入して、サクサクとあらすじを説明してしまうところはうまい方法です。また、蘭丸が何故李仁の血を狙うのかも、歌にしたことで下ネタ感が減って受け入れやすくなったと思います。

信長を演じたのは堤真一で、本能寺で死ぬのは「本能寺ホテル」以来2度目。出番は多くはありませんが、信長ははまり役かもしれません。子役から活躍している原菜乃華は、やっと俳優らしくなってきたように思います。それにしても、同じころに大ヒットした「国宝」の準備もしていたはずの吉沢亮が、「国宝」とは真反対のぶっ飛んだ演技をしているところは、その振り幅の広さに感心します。

どちらかと言えば、笑わせるためのストーリーで、特に何かを主張するような映画ではありませんが、ギャグがストーリーにしっかり溶け込んでいるので、無理なく笑って楽しめる作品になっていると思います。