沖田修一は、2006年に映画監督デヴューしましたが、2009年の長編2作目「南極料理人」で一躍知られるようになりました。一貫して、脚本も手掛けており、原作有る無しに関わらず、映像作家として独自の世界を構築してきました。
ほのぼのとした雰囲気の中で、自然に笑いがこみ上げてくるような癒し系のような作品が多いのですが、この作品は特にその傾向が強い。
ストーリーはいたって簡単です。紅葉の山の中で滝を見学するツアーに参加した7人のおばちゃんが、素人ガイド(黒田大輔)のせいで迷子になり、なんとなく協力して一晩野宿し、本来の目的だった滝を見ることができた・・・という感じです。
おばちゃんたちは、ほとんど知らない女優さんばかりですし、実際素人も混ざっているらしい。知られた人がでてこないので、なおさらただのおばちゃんに見えるというのがポイントです。
それぞれが、一般に「おばちゃん」と呼ばれる人の特徴を備えていて、最初のうちはお互いにその「おばちゃん」らしさが鼻につく。ところが、遭難したとなると反目している場合じゃないことが少しずつわかってきて、それぞれの持ち味を生かした協力体制かできてきます。
それはもう「おばちゃん」というより、危機的状況を逆手にとって楽しむ少女のような感じになっていきます。何とか帰り道の目鼻がついたところで、まだ滝を見ていないことに気がついた7人は、とにかく滝だけは見て帰ろうと再び戻っていくのです。
かなりゆったりとした流れの映像で、劇中音楽もかなり控えめで、たまに聞こえるのはほとんどゆったりとしたクラシック音楽なので、緊張感はかなり少な目です。
そんなのんびりとした時間を過ごさせてくれる佳作として、休日の午後にゴロっとなってみるのに丁度良い作品です。
