2025年11月29日土曜日
OTC類似薬
昨今、政治の話題でしばしば耳にするのが「OTC類似薬」という言葉。
OTCは「Over the Counter」の略で、カウンター越しに買うことができるという意味で、OTC薬というと、普通の一般薬局で購入可能な薬のことです。
代表的なOTC薬としては、解熱鎮痛薬のロキソニンS、バファリンA(アスピリン)、胃腸薬のガスター10、総合感冒薬のパブロンS、新ルルAゴールドDX、抗アレルギー薬のアレグラFXなどがあります。
じゃあ、OTC類似薬というのは何?
OTC類似薬は、医師が診察した上で発行する処方箋が必要な医療用医薬品でありながら、成分や効能がOTC医薬品と同等の薬のことです。
例えば、ロキソニンは三共製薬がおおよそ40年前に開発した「痛み止め」です。長年の実績で安全性などが担保されたため、2011年にOTC薬のロキソニンSとして、一般の薬局でも販売されるようになりました。
ただ。ここで一言文句を言いたい。医療用医薬品のロキソニンをOTC類似薬と呼ぶのは、どうしてもしっくりこない。ロキソニンが先で、ロキソニンSが後ですから、OTC類似薬というと後から出てきたみたいな印象になってしまう。OTC薬を医療用医薬品類似薬と呼んでもらいたいものです。
それはともかく、気になるのは価格です。医療用医薬品のロキソニンは1錠が10.4円、ジェネリック薬の場合は10.1円です。1日に3回内服する薬ですので、4日分だと12錠が必要になります。薬そのものの値段は大したことはありませんが、診察料、処方箋料、そして処方箋薬局での指導管理料などが加わりますので3割負担で1000円程度の自己負担となります。一方、一般薬局でOTC薬のロキソニンSを購入する場合は、1箱に12錠入っていて、消費税込みで768円です。
ただし、4週間分必要な場合は、医療用医薬品のロキソニンなら3割負担で300円程度増えるだけですが、OTC薬のロキソニンSだと7箱必要なので5,376円となり、大きな差が出てきます。つまり、とても大雑把な言い方をすると、ロキソニンSが4箱(16日分)を超えなければ、OTC薬を買ったほうが安上がりということになります。
今、政治家の方々が相談しているのは、OTC類似薬は健康保険の対象外でいいんじゃないかという話。ケガやぎっくり腰などで一時的な痛みで使用する場合は、ほとんどが1週間以内の使用であることが多いので、健康保険から外されても金額的にはあまり問題はないかもしれません。ただし、それはあくまでも診察は受けなくてよいと自己判断できる場合です。
中には日常生活を続けるために長期間の服用が必要な方もいますし、いろいろなパターンがあるはずなので、一律に保険適応外としてしまうのはいかがなものかと思います。増加し続ける医療費の中で薬剤費は、このような安くなった薬ではなく、近年次から次へと登場してくる高額な新薬が関与している部分が大きいことは明らかで、OTC類似薬の保険適応を外しても効果は限定的だと感じます。
いずれにしても、現状の皆保険制度の維持は今後困難になっていくことは火を見るより明らかではあるので、抜本的な構造的改革が必要であることは間違いがありません。
